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はじめ通信10−0906
堀船水害はなぜ再発したか(シリーズ6)
構造物による水位上昇について専門家から助言を受けました


●先日、水害シリーズの5回目で、川の中の構造物が意外に大きな水位上昇効果をもたらすとの私なりの問題提起をさせていただきましたが、さっそく土木専門家のKさんよりファックスをいただき、「提案する考え方は一つのアイデアである」とのコメントをいただきました。
 さらに専門的に検討するには、「水理学」か「流体力学」の法則や実験データによる検証が必要であるとして、日本における水理学の草分け的存在である、物部長穂氏の「水理学」を文献として、ご紹介いただきました。


●その文献で紹介されている複数の計算式の中から、70年代の版で348ページにある、下記のような数式<文献中では、「式(15.25)]と表示されています>によって、川の中の橋脚による「せき上げ効果」といわれる水位上昇を割り出すことができることがわかりました。
 この計算式は、川の中に橋脚が立っている場合、その橋脚のすぐ手前で起きると想定される水位上昇値を試算するものです。

●この「橋脚によるせき上げ」の計算式は以下の通りになります。
凾=Q~2÷2G×〔α+ρCd(b/B)〕÷(Bh0)~2 − α×(v1)~2÷2G

 ここに、それぞれの記号にあたる数値を挿入します。(右上の図を参照)
凾:求めたい水位の上昇幅
Q:流量・・・・・・480m~3/s
G:重力加速度・・・9・8m/s~2
α:橋脚の角度・・・90度=0・785rad
ρ:水の密度・・・・0・98
Cd:抵抗係数・・・2(四角の柱に水流が当たる場合、2と類推)
B:川幅・・・・・・16m
b:橋脚の幅・・・・0・5m
h0:川の水深・・・・6・6m
v1:流速・・・・・・4・5m/s

●実際の数値計算は、以下のとおりです。
凾=230400÷19・6×〔0・785+0・98×2×0・5÷16〕÷(16×6・6)~2−0・785×20・25÷19・6
凾=0・892−0・811=0・081(m)
 以上の結果、柱の直近でおきる水位上昇は約8センチという試算となりました。
 ここから分かることは、川幅に対して10分の1以下の幅の橋脚では、b/Bが0・1以下となり、通常では水位上昇は10〜20センチ以下となること。
 この計算式は、橋脚が一つ、または複数でも、相当はなれて立っている場合を想定しており、例えば太さは小さくても、二つ以上の柱もしくは橋脚が、接近して河の水流に対して直角に並んでいる場合は、この数式では表わせない、より大きな水位上昇が見られるだろうと考えられます。残念ながら、そうした場合を想定した計算式は、まだ見つかっていません。


●以上のように今回の試算結果は、数値も私の想定した16センチに比べ半分程度あると同時に、私が堀船の石神井川の実態から考えた、多数の柱による全体としての水位上昇効果とは、少しくいちがう点があると思います。
 それでも上記の通り、試算によってかなり近い数値が得られたので、私のかなり大まかな仮説が、ある程度裏付けられたのではないかと考えています。
 引きつづき皆様のお知恵や情報をおよせください。

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