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体験的マンションレポート27号

解決の難しいペット飼育問題

●最近、流行っているCMのひとつに、父親が娘に連れられてペットショップに行き、買う気のなかった小型犬に心を奪われてしまうというストーリーと、続編として娘の結婚式にペットとおそろいのタキシードを勧められてまたまた悩む父親のCMがあります。スポンサーは社会的批判の強いサラ金会社。だからこそイメージ戦略には心血を注いでいるのでしょう。

 人気の秘密は、ちょっと思い込みが強すぎるようだけれど、意外に中年男性にありそうな話題ということらしい。

●確かにペット飼育はこの間急速に中高年層に拡大しました。マンションでも避けて通れない問題です。ところが意外に解決が難しく、こじれると訴訟にまで発展することもあるので、毎年の理事会で先送りされがちです。

 私は、マンションも多くが高齢化が進む中で、一人暮らしや高齢者のみの世帯にとって、なくてはならぬ家族となる場合もあるペットの飼育については、やはり原則として認める方向での検討が必要だと考えています。

●この立場にたって、マンションでのペット飼育をめぐる現状と問題点を見ると、事の解決が意外に難しいことがわかります。まず現状として、

(1)ペットを認めているマンションでさえ、よほどの高級マンション以外はペット飼育のための共用の設備を備えたところはほとんどないこと。

(2)しかし現状では認めているいないにかかわらず、どのマンションでも堂々と飼っている人が結構いること。

(3)それをいまや少数派のペット嫌いや規則に厳格な居住者が総会などで批判していること。

(4)しかも多くの場合、管理組合役員がこの問題を、大規模改修などに比べて割合軽く扱いがちだということ。

(5)そして争いが深刻になるケースは、近隣住人に動物アレルギーの被害が起きている場合など、かつての騒音問題のように感情的対立やノイローゼまで起こしかねない問題を抱えているからだといえます。

●多くのマンションでは、管理組合の規約改正だけで対応しようとしている場合が多いと思います。ところが、「他の居住者に迷惑を及ぼすようなペット飼育は行わないよう努めること」などというあいまいな規定を作ると、その解釈をめぐって、片や賛成派は「これで堂々と買ってよい」と考えるし、片や反対派は「私は迷惑だからやめてくれ」と、対立がかえって深まる場合もあるのです。

 規約や規則はもちろんですが、問題解決にはさらに本腰を入れた取り組みが必要と思います。

●私はこの点で、かつて多くのマンションで最大のコミュニティー問題だった、上下や左右の騒音や振動の問題が、新しいマンションではあまり聞かれなくなったことを参考にすべきと思います。
 これはひとえに上下の壁が厚くなったからにほかなりません。壁を厚くした理由は、騒音問題を起こさないためもありますが、最大の要因は地震対策です。

●わがマンションは、1971年(昭和46年)竣工で、その直後の宮城沖地震の教訓から建築物の耐震設計基準が大幅に改正される前の建築ですから、天井のコンクリートの厚さが12センチメートルしかありません。今では20から25センチが通例です。

●ペット飼育が隣人やマンション居住者全体に迷惑をかけないようきっちり対策をとるためには、散歩からの帰りの汚れ落としや排泄などの施設、バルコニー越しに隣りへ抜け毛や臭い等が行かない工夫、もちろん猫など自由に共用廊下を歩かせないなど、通常の街なかに比べても、かなりの設備上の対策が必要だと思います。できうることなら、費用も一戸当たり10万円を超えるぐらいの負担を覚悟すべきでしょう。

●それだけの費用をかけても、飼いたい人にペットを認めていくことが、マンションのグレードも、安定したコミュニティーもアップさせる道だということを互いに認識することが、この問題解決の最大の要です。

次回以降、管理組合の飼育規定例など、ソフト面からもう少し掘り下げてみたい。


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