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 体験的マンションレポート(11)02・1・7

「被災して初めて知った火災保険のしくみ」

●2000年8月12日夕刻に718号室で起きた火災で、我が家は賃貸の618号室が全ての部屋で水浸しになり、もともとの自宅である619号室も南半分が水を被りました。不幸中の幸いで、どちらも火災保険に加入していたため、手続きをとり、一定の保険料を受け取ることが出来ました。

●まず618号室は賃貸契約なので、火災保険も借家人の持分のみを保証します。したがって、住宅そのものについては、持ち主に帰属します。(ちなみにドアやふすまなどはもちろん、畳も住宅の一部とされています。)私の場合は賃貸契約を仲介した不動産屋のすすめで2年間で2万円の掛け捨て保険に入っていました。

●保険の請求にはまず消防署の罹災証明書が必要です。消防の証明書の申請用紙の被害物件の届け欄には「動産」のみ記入し、床や天井など建物の被害は、保険会社の社員が直接査定します。被害は類焼で焼けた場合はもちろん、我が家のように消防の水で使えなくなった物件の被害も補償します。

●618号室には、膨大な書籍類の他、コンピューターやプリンター、OA機器やカメラなどの機材を始め、衣類やフトン、アルバムなどが押しいれなどにぎっしり入っていました。上の階から水が落ち始めても、どうしようもないまま全体が水にぬれてしまいました。水と言っても、焦げ臭いにおいの、こげ茶色のお湯の状態です。アルバムなどお金に替えられない家族の大切な記念の品々がだめになりました。

●お金に換算できないものは仕方がありません。私は、電子機器類やカメラ、たんすや本棚など耐久消費財は、購入当時の値段で、書籍は割り切って、古本屋の処分価格で、衣類は購入価格の半値程度を目安に、罹災照明の申請欄に書き込みました。あとで知ったのですが、私の申請金額が大体常識的だったようで、消防署もそのまま罹災証明を発行し、保険会社もほぼ申請どおり保証してくれました。この結果、618号室は家財のみ対象でしたが、130万円位の保険金がおりました。

●619号室は自分の持ち家なので、畳やふすま、などは申請できますが、あくまで罹災証明は動産だけです。建物の被害は1週間後くらいに保険会社が見に来ましたが、水のしみが大分乾いていたので、私は水が落ちた直後の写真を撮影しておいて担当者に渡しました。こちらの部屋は水の被害は半分だけだったので、保険適用範囲が広いわりには保険金は618号室より少額でした。

●その後、管理組合の主催で火災保険についての学習会があり大手保険会社の社員が業界共通の常識をはなしてくれましたが、ビックリするようなことがいくつかありました。

わが団地の団体加入保険は建設当時の保険を更新していましたが、今ではもっと条件が良く保険料も安い商品があるので、絶えず吟味すべき。いずれにせよ団体保険が保証するのは共用部分のみで、個人宅への充分な補償は無理。

わが団地の住宅(地区30年、50平米弱)なら個人加入では、大体年間6千から7千円ぐらいの保険料が適切だと言う事。

地震保険は2から3割高くなるが、地震による被害も確実に保障させる点では意味がある。ただしマンションが全壊した場合などは自分が一軒だけ保険に入っていても住宅自体の再建は難しい。

火災の場合は法律で、重大な過失や放火でもない限り火元の責任は問われないため、火元の家が「賠償」保険に入っていても保険金は出ない。

 したがって火元の人が類焼した住宅に弁償したいと思っても、法律で義務のない保険金は保険会社が認めないので、通常1割増ぐらいの「賠償つき」保険は、ほとんど加入する意味はない。

 などなど、自分が火災保険についていかに無知だったかを思い知らされました。

●今後一番心配なのは、やはり大規模な震災です。東京全体規模で被害が起きれば、民間の保険会社は支払不能になるのは目に見えています。解決の道は、やはり政府による個人住宅への補償しかないと思います。さらに、被害にあう前に、耐震の診断や補強にこそ、もっと公的資金をつぎ込むことが、国民にとっても国にとっても損害を最小限に抑える決め手だと思うのですが・・・。

●私個人にとって、もう一つの問題は、どうやって2件の部屋の被害を早く、しかも適切に修理するかでした。とりわけ618号室は賃貸です。契約書を調べると、火災や自然災害などによる被害の修理は、通例どおり持ち主の責任です。ただし持ち主に責任のない災害などの場合、修復費用が都合つかない場合などは、いったん賃貸契約を解約できるとされています。そうなった場合、非常に話がこじれる恐れがあります。私は、こちらからいち早くオーナーが受け入れやすい提案をした方がよいと考えました。

●私が火災の翌日オーナーに連絡をとり協議を申し入れると、オーナーは不動産屋と一緒に見舞いに来ました。私は、自分の持ち家の619と618を同じ業者で修理したい事、そのため、自分に任せてもらえば618号室の修理費を半額負担したいと申し出ました。

●オーナーはむずかしい交渉になると予期していたらしく「半額負担」の話を聞くと急に機嫌が良くなり「618はいずれ曽根さんに買ってもらうつもりなので(前から購入を希望しているのですがオーナーの事情で売却出来ない現状です)この際、現状復帰でなくともゆかや洗面所などをグレードアップしても構いません。」と言ってくれました。おかげで、私は近所の懇意にしていた土建組合の方に、修理を頼むことが出来ました。不幸中の幸いでした。

●2軒の修理は8月中旬から工事を始め、急いでもらったおかげで夏休み明けにはすっかり綺麗になりました。その間、近所の家には家具やパソコンを置かしてもらったり、懐中電灯やその他の機材を借りたり、すっかりお世話になりました。近所付き合いの大切さをこれほど痛感したことはありません。


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