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 体験的マンションレポート(NO.32)9−0519

マンション・コミュニティーのあり方(1)
コミュニティー活性化のカギは少子化打開!

●大規模マンションの課題

 わが団地は、公団が建てた1棟12階建てで275戸という築38年の大型マンションで、住宅のある2階以上のフロアー(2階が15戸、他は26戸ずつ)からそれぞれ役員を選んでいます。

 8年ほど前、このコーナーのNo.15の記事で、マンションの管理組合と自治会の関係について、わが団地の例を紹介しましたが、その後もさまざまな点から、分譲マンションの住民組織のあり方が問題となっているので、何回かに分けて具体的に紹介します。

●防災が大きな課題に

 わが団地では、まず2000年の火災事故をきっかけに、二つの住民組織の間で災害対策をどうするのかが問題になりました。

 北区が防災対策の窓口にしているのは自治会・町会で、防災組織も自治会長が災対本部長、防火防犯部長が自衛消防隊長を兼ねているところがほとんどです。

 いざ災害のとき災害対策が独自に機能しにくいと議論され、わがマンションでは、独自の「災害対策本部」が立ち上げられ、私が自衛消防隊長として7年間務めました。

●住民組織が増えることのメリット・デメリット

 第3の住民組織として、当初は災対本部の本部員を各階から4名ずつ、すべて専任で選びました。

 しかし管理組合、自治会、災対本部の役員が次々廻ってきて大変だという声が上がり、いまは専任部員を各階2人ずつに絞っています。

 第3の組織をつくる場合、その任務を限定すること、中心の人は一定期間任せられる専門家的位置づけがないと、住民負担が大きいでしょう。

●「役員のなり手がいない」のは、高齢化だけが原因ではない

 自治会も、各階で役員と幹事を1名ずつ選んでいたのを役員のみに絞り、3組織の
役員は、かなり減らしました。それでもまだ、役員の負担が重いという声が上がって
います。
 高齢化が主な原因といわれますが、一方で、元気な高齢者はけっこうウオーキング
やショッピング、名所めぐりなどに出かけています。
 私は、従来の自治会活動が機能しにくくなってきたのは、担い手の多くが高齢者で
あると同時に、少子化が大きな要因ではないかと思います。

●自治会行事にみんなをひきつけてきたのは子どもたち

 自治会活動など地域のコミュニティーは、子どもを通じての場合が、非常に多いのです。小学校への入学祝、夏休みのラジオ体操、夏祭り、子ども祭、地域の青少年委員会、マラソン大会などはもちろん、もちつき大会なども、以前は子ども中心におこなわれ、盛り上がっていたのですが、子どもが減ったため、親どうしの付き合いも、子ども中心の行事も、だんだん縮小し、維持が難しくなったのではないでしょうか。

 私は、地域のコミュニティー全体を活性化する点では、高齢化対策とともに少子化の克服が決定的だと感じています。 

●行政の少子化対策とともにファミリーが住めるマンションに

 子育て家庭が増えれば、家族どうしのつきあいも生まれ、子どもを通じて住民組織にかかわる必要が出てくるでしょう。年輩の方も子どもの世話で、活躍の場がぐんと増えるでしょう。世代間の交流も深まるはずです。

 私は、子どもが増えることが、まちがいなく地域の活性化につながると思います。
 
●マンションでは、住宅の広さが最大問題

 マンションの最大の課題は、若年世帯でも負担可能な費用で、子育て可能な広さのマンションが提供できるかだと思います。

 その点で、中古マンションというのは、同じ面積の住宅が、新築の半分程度の価格で購入できる利点がありますが、一方で、専用面積が60平米を超えるマンションが少ないこと、住宅ローンが不利になる点があります。

●わが団地の場合

 例えばわが団地では、(先日のリニューアル番組でもやっていたように)、2戸を1戸にするリニューアル工事などを技術的、財政的に開拓し、希望する方に可能なメニューや設計のアドバイスを行なうことが必要だと感じています。それができるのは、やはり管理組合か、もしくはその依頼を受けた専門家以外にはありえないでしょう。

 そして当面は、当事者個人の負担で行なうにしても、将来的には、増築工事を行なえる条件つくりのために、管理組合が法人化して、財政の一部活用によるマンション内空き家の買い取りや増築工事と分譲などまで責任を持てるようになれれば理想的です。それには管理組合への区分所有者の圧倒的な信頼を得られる運営が不可欠でしょう。

※次回は、自治会と管理組合の合同の可能性についてです。

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