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 体験的マンションレポート(NO.33)9−0522

ママンションのコミュニティー活性化について(2)
管理組合を自治会として認めさせることはできるのか


●すでに世帯の半分近くに迫りつつありながら、行政との関係はまだまだ確立されていない分譲マンション。とくに、一つの町を形成するほどの大規模マンションが、各地に増えてきている中で、行政側の扱いが、二つの点で課題になっています。

 第1は、固定資産税などの課税の範囲です。団地内の通路などは私道ではありますが、一般の私道と違って、公的な課税の配慮や改修の支援などはほとんどありません。(耐震補強への助成が若干ある程度)

 第2は、一般の町会や自治会への支援との違いです。

 マンションには、法的に管理組合結成が義務付けられているにもかかわらず、これをほとんどの自治体が、自治会と同等には認めておらず、例えば、北区では、自治会ごとに、区の広報配布手数料や、街路灯の補修費、防災資機材の支給、そのほかのさまざまな支援がありますが、管理組合には、ありません。大型マンションなどは、管理組合と別個に自治会を作るか、地域の自治会に個別もしくは団体で加入するしかありません。

●私は、ニュータウンが作られ、分譲マンションが多い多摩市や、江東区などで、自治会同等の扱いを受けていると聞いて、北区でも同じような扱いにできないかと、区の担当者に聞き取り調査をしました。

 私が、北区地域振興課に取材した内容は、以下の通りです。

(1)自治会と管理組合の現状は

@北区のマンション住戸数はすでに40%を占める。
A多くを占める中小規模のマンションでは、地域の自治会・町会に戸数分を減じた「特別会員」として加入しているのが圧倒的。
B当住宅のように両者が並立しているところは少ない。
C地域の自治会・町会加入者とマンション独自の組織加入者が混在していて、運営に混乱しているところもある。

(2)北区の考え方は、以下の通りでした

「 どういう形態であれ自治会が増えることは望ましい。しかし、管理組合が法的に自治会と異なるだけに、今の条例の中で、自治会と同等に扱うことは困難。

 条例を改正するとしても、住宅所有者の団体である管理組合と、そのエリアに居住している人の団体である自治会との本質的違いがあり、同様には扱えない。」

 (管理組合が自治会の活動も併せて行い、役員も事実上同一化する場合は、どういう方法をとりうるかについて)

「 管理組合と自治会双方の規約に、兼任を明記するのは適切ではない。しかし、実態として毎年、管理組合の役員が自治会の役員を兼ねることとして、両者の総会で承認されれば、事実上、組織を合同することは可能である。

 その場合、双方の規約に明記はできないので、覚え書き等を交わすことで、毎年、管理組合と自治会の総会を同じ日に連続して開催し、理事長以下の役員を自治会役員と兼ねて選出すれば可能である。ただし北区では、こうした形態をとっているマンションは、現在つかんでいない。」

 江東区などで、自治会・町会とマンション管理組合を同等に扱い、自治会と同じに援助金を出したり、区広報の配布を委託している例もあるが、事実は、前述の通り、便宜的に「合同」して運営している方法だとのことでした。

(3)わがマンションの場合は・・

●わが団地でも、275戸というかなり大規模の共同住宅だけに、自治会としては独立して結成すべき規模ですが、役員のなり手が減り、自治会、災害対策本部、管理組合3者の組織的合同で、役員数を減らすなど組織的なスリム化ができないかを検討しようと、会合がもたれました。

●しかし、毎年、同日に自治会と管理組合の総会を連続して開き、覚書を交わすなど、非常に不安定なやり方に、疑問が出されました。

 さらに大きいのは、組織合同したとしても、自治会や管理組合全体の活動規模はスリム化はあまりできる余地がないということです。

●話し合いの結果、当面は自治会、災害対策本部、管理組合3者で活動内容を点検し、役員の兼任ができないかを、それぞれの組織で検討し、スリム化が可能なところから提案していくことになりました。

 また、自治会と管理組合の「合同化」は、規約の改正も伴うこともあり、時間をかけて議論していくことになりました。

(4)本来は、行政の責任で検討すべき課題

●大きな分譲マンションほど、様ざまな居住者が増えてきます。区分所有者が自宅を賃貸して、別の人が住んでいる場合、自治会でないと加入できません。これは個別のマンションでは解決ができないことです。

●区内・都内でマンションが半数近くになった現在、21世紀もずっと都市型居住の中心となるであろう分譲マンションのコミュニティー組織のあり方は、本来、行政がまじめに検討すべき課題です。

 形式的な「合同」ではなく、実質的な活動の重複を避け、必要最小限の役員で、居住者全体が気軽に参加できるコミュニティー組織のありかたを、さぐるべきときが来ていると思います。

 区が自治会に補助している、防災や街灯、広報配布などの支出は、実は、管理組合に対して行なうことができるものです。 管理組合と自治会の共通点をまず抽出して、その範囲は、両者を同等に援助することが検討されてよいのではないでしょうか。

●私は、個別のマンションごとにできることとして、さまざまな階層の世帯が、積極的に参加しやすい活動形態を生み出し、それを行政が生かして、地域や区内で交流するなどが必要だと思います。

 とりわけ今後は、新たに入居してくる若い世帯、それも子育て世帯だけでなく、いない世帯でもメリットがあるコミュニティー作りが重要だと考えます。

 またもう一つは、退職した男性の地域デビューを温かく迎えるアイデアです。防災や、環境対策、緑化など、努力が形で残せるハード系も含めた目標を立てて、いろんな経験を生かせる場を作ることも大事だと思います。

(次回は、マンション活性化を支援する行政の課題について、考えます)

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