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 体験的マンションレポート(NO.34)09-1029
文献紹介シリーズ@

これからマンションを買う方に役立つ本
「得をするマンションの選び方」(角川oneテーマ21)

●最近ようやくマンション購入で、まともな入門書が増えてきました。
 その中で、世界不況が始まった以降のできるだけ新しい文献で、割合良心的だと思えたのが、上記タイトルで紹介した、碓井氏の本です。

●私が共感したのは、一般のマンション購入希望者が、簡単にアプローチできる方法で、分かりやすいマンションの見極めのポイントを教えてくれていることです。

 例えば、最寄の駅から3〜8分以内で、バスや自転車を利用しない立地の方が、長くすむには便利なこと。

 また、外階段が、鉄製より、コンクリート製を選ぶよう勧めていること。室内では、浴室やキッチンのちょっとした余裕があるかどうかで、設計者の誠意や”うで”が読み取れることなどです。

 ただし、この本に書かれた77の基準は、どれも辛口で、全てあてはめると、とても手ごろな値段で庶民が手の届くマンションを探すのは無理だろうというのが、一番の難点でしょう。

●もう一つの評価点は、超高層マンションに批判的であること。

 碓井氏は、「ごった煮マンション」という表現で、超高層マンションは、戸数が多くなるだけでなく、階数によって、住む人の所得水準に大きな格差ができてしまい、管理組合活動やコミュニティー作りに大きな困難があることを指摘しています。これは実態を良く見ていると思います。

 (欲を言えば、どんなに優れた超高層マンションでも、高層階の子どもや高齢者が外出しにくいことや、災害時の超高層からの避難が大変だという点にも指摘が欲しかったのですが。)

●さらにマンションの購入は、極めて慎重に判断すべきということや、買い時が、不況が終わりかかる2010年後半ごろだというのも、なかなかうがった見かたです。

●中古マンションについては水周りのチェックの指摘だけで、残念ながら私が住んでいるような、築30年以上のマンションは、耐震基準改訂以前ということで、お勧めには入っていないようですが、購入者の経済事情から中古のマンションで相対的に安心なところを探している人のために、耐震補強の評価なども欲しかったところです。(都のほうでは、マンションの耐震性能や環境性能のランクを、新築に限ってですが認定する制度を立ち上げつつあります)

●最後に、この著者の略歴紹介の欄に「マンション管理士」の資格の有無が、(当然取得済みでしょうが)明記されておらず、ちょっぴり残念でした。

 この資格の創立当時は、極めて合格率が低かったので、初期にマンション管理士を取得しているなら、マンションに住んでからの管理や改修についても万全のステイタスだと思うのですが。


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