体験的マンションレポートへ  ツッコミ運動録へ   そね都議活動

 体験的マンションレポート(18)7・24
「マンション建て替え促進とはいうが・・」

●7月17日の東京新聞夕刊に、マンションの建て替え促進のために、法制審議会で区分所有法はじめ制度改善を検討中という記事が出ました。


 よほどの支援策かと思いきや、改正要綱のポイントは(1)阪神大震災のような被害や老朽化で安全上よほど問題がある以外は全員一致の建替しか認められなかったが、今後築30年以上の建物は管理組合員の5分の4以上で建替えが決議できる。(2)但し建替え決定の会議は、個々人の判断時間を保障するため2ヶ月以上前に召集することとされました。

●つまり、財政支援や容積率の緩和ではなく、少数の反対者がいても建替えができるようにしてやる内容です。これで実際に建替えがスムーズに行えるかどうかは極めて疑問です。

 ほんとうの促進には、マンション居住者の置かれている特殊な事情への配慮が不可欠です。つまりマンション購入時は、それぞれ購入資金を工面した居住者が、偶然同じマンションを区分所有することになります。しかし30年以上経過した時、その居住者が全て建替え資金を工面できる状態になっているかどうかは何の保障もありませんし、特別の積み立てでも義務付けない限り不可能でしょう。

●ましてや何年先に建替え問題がやってくるとわかっている場合ならまだしも、大震災のように、ある日突然建物が被害を受けて建替えなければならない場合などは足並みがそろうはずがありません。

 わが党が年来主張しているように、マンションの、とくに戸数の多い建物については、小さいながら一つの街を再開発するのと同じような扱いを行い、例えば100戸のマンションなら100軒が関わった区画整理事業や市街地再開発事業と同じ様に、各自の建替えが支援されるのは当然だと思います。

●たとえば、都が事業者となった赤羽北の第2種市街地再開発事業では、個別の地権者が、事業者である都に土地・建物の権利を売却して他に移転することや、地域内に居住する賃貸居住者には都営住宅並で居住が続けられるよう、再開発住宅が認められました。

 同様に、あるマンションで建替え事業を取り組む場合に、事業に参加できなかったり売却希望の区分所有者には、区分所有権を公的に買い取ること、また区分所有者からの賃貸で住んでいて、今後も住み続けたいと希望する居住者には、事業者がオーナーから買い取って、賃貸契約を継続するなどの実質的支援が行われて然るべきということになります。

 現実に再開発の実例を見ても、建替え事業にこれぐらいの公的権限を与え、財政支援を行わなければ、3桁の戸数の大規模マンションが全居住者の合意で建替えにこぎつけることは無理だと思います。

●自民党政府の持ち家政策のもとでは、築30年以上たったものでも個別マンションに対してここまでの優遇策が実現されるとは、当面考えにくいのが実情でしょう。都施行の第2種再開発でさえ、いずれも大赤字を出して、十条駅前はじめ新たな計画は凍結されています。

 私は、こうした政治の現状から見ても、さらには資源の無駄使いを防ぐ点からも、30年以上のマンションをどんどん建替えさせようという今度の政策には批判的です。もちろん安全上建替えしか道のない建物もあるでしょうが、30年以上でも大半の場合、適切な手を入れればかなりの期間住み続けられるマンション建物が多いのも事実だと考えます。

●では、昔の基準で造られたマンションの、狭すぎる弊害(70年代までは、分譲マンションの戸当り平均専用面積は50平米程度だった)や、設備の遅れをどのように克服していくかなどについては、また次回で。


 体験的マンションレポートへ  ツッコミ運動録へ   そね都議活動