体験的マンションレポートへ  ツッコミ運動録へ   そね都議活動

 体験的マンションレポート(19)2・7・31
中古マンションの狭さ解決に、
 2戸を1戸に改装する検討が必要

●前回、マンションの建替えは、ゼネコンは儲かるけれども、よほどの誘導策がない限り居住者の負担が重すぎると書きました。ではどんな方法で古い老朽マンションの問題を克服するのか・・。

 1973年以後のマンションラッシュの時期に、コンクリートに海砂(うみずな)やアルカリ骨材(石灰岩など)を使った粗悪な建物や、1階がピロティ−になった構造欠陥のものなどは例外として建替えるしかないでしょう。

 しかし大半のマンションは耐震性もそれほど費用をかけずに補強が可能であるし、コンクリートの寿命は、法定では70年ですが実際には大切に使えばもっと長持ちするので、30年たったからとにかく建替えと考える必要はないと思います。

●まず30年経つ前から手を入れてまめに修理することです。とりわけコンクリート劣化の原因は表面からの雨水の浸透ですから、中の鉄筋まで錆びが入る前に、表面からの水の浸透を抑えるよう、耐水性の表面塗装をきちんとすることです。建物の外壁はもちろんですが、バルコニーなど戸別の部分もていねいに防水加工すると相当長持ちします。

●また給排水管は、以前紹介したように70年代まで亜鉛メッキの錆び易い鋼管を使っており、中に樹脂で塗膜した新しい管に取り替える必要があります。これも交換すれば半永久的に使えます。他にもガス管や電話線その他の設備も後で修繕し易いよう、壁の表面に出した形で(多少不細工ではありますが)更新していくのが賢明でしょう。

●最後に残るのが部屋の広さの問題です。これだけは1軒の住宅では解決できません。以前、バルコニーの外側に壁を造って、そこを部屋として使うアイデアを検討しましたが、強度が足りませんでした。

 現実には、2軒の住宅をバルコニーの境界をはずして繋いで使っている住宅が、我が家を含めてかなり増えています。これをもっと本格的に出来ないものかと、専門家の意見を聞いて見ました。

●私が思っていたほど簡単ではありませんが、設計上可能な位置で2軒の仕切りの壁を抜いてドアをつければ2軒を1軒として使えるし、一方の部屋の浴室や台所を取り外せば、かなり広く使えるようになります。

 隣どうしの2軒で壁を抜くより、力学的には上下の部屋を床と天井で繋いで階段をつけるほうが、可能性が高いそうです。

●こうした住宅は個人が2軒の部屋を入手してから自分で工事するより、管理組合による方法がもっと効率的です。

 たとえば現在の所有者で、自分の子供に相続する当てのない人から管理組合が生前に買い取って、亡くなった後ストックしたりマンション内で交換したりして2軒ずつまとめて改装し、希望者に販売していくのです。

 わがマンションの場合、管理組合が積立金の一部を活用するだけでも10軒程度の空家を買い取り可能です。2軒まとまるまで賃貸で貸して使うなどすれば、ほとんど無駄なく活用できると思います。(ただし、こうした資産運用には、法人格をとることが前提です)

●このことは、1人暮らしや夫婦の高齢者が増えがちな老朽マンションに若いファミリー世帯を入居させ、多様な世代が住めるようにしていく上でも有効です。

 造りの相対的にしっかりした公団の分譲マンションなどで、おそらく早晩こうした試みが始まるのではないでしょうか。


 体験的マンションレポートへ  ツッコミ運動録へ   そね都議活動