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 体験的マンションレポート(20)02・8・11
マンションのコミュニティーと
       プライバシー保護の両立


●今わが団地で、
ある居住者から非常に極端な形ですが根本的な問題提起がされ、何度か本人と協議をしています。それは災害対策本部の位置付けに関することです。

 昨年春につくられた団地のしおりの中に、この団地にある住民組織として管理組合と自治会そして災害対策本部の紹介欄があります。例えば、各組織の加入対象者は、管理組合が「区分所有者」・つまり不在のオーナーも含めた各住宅の持ち主、自治会と災害対策本部の加入対象は、賃貸の人も含めた現居住者全員と記載されています。これは当然です。ところがその次に「参加形態」として、自治会は「任意加入」と書かれ、管理組合と災対本部が「強制加入」と記述されていて、この方は、「災対本部には、区分所有法に基く管理組合のように法的加入根拠がなく強制できないはずだ」として、この記述を含めて是正されるまで、管理組合費から出ている災対本部予算分だけ組合費から差し引いて納入しています。

●マンションのように、共同住宅を管理するという共同利益のための組合には法的に加入が義務付けられている・つまり個人住宅に済んでいながら「管理組合活動」を通じてコミュニティーを維持していかなければならないマンションの宿命があります。

 同時に一方で、共同・コミュニティーの部分はなるべく最小限にして、個人のプライバシーを最優先したいという考え方も広く存在し、この論理でいえば、必要性もわからない災対本部に「強制加入」などとんでもないということになります。これは、組合費を払うかどうかの問題は別にして当然でしょう。

●私は災対本部の役員として、防災活動をスムーズに進めるには、昔のように向う三軒両隣ぐらいは家族や気ごころも知りあっているほうが都合がよいに決まっていますが、そこまでプライバシーを預けて協力し合える関係を作るのは並大抵ではないと思います。

 結局、「強制的」に参加をうながしていくのでなく、防災訓練などの参加者が一つでも新しい役立つ情報や知識を得て「良かった」と思えるように努力していき、参加率を高めていくことが最大の道だと思っています。

●一つの具体的懸案として、今年度は団地に災害や訓練の際に使う放送設備を設置することになっており、私はその担当責任者です。一昨年の火災で非常ベルさえ鳴らなず、火災に気付かない居住者もいたことから、新たな災対本部の立ち上げの時から放送設備を強く期待する声があり、今年の予算でつけることになりました。

 しかし私個人の意見は放送設備には積極的になれません。 我が団地は築30年以上の公団分譲住宅ですから建物は極めて開放的で、固定的放送設備を持たなくても、性能の良いハンドマイクで緊急連絡は十分可能だという気がします。以前、杉並で区の防災無線が選挙の時に電波ジャックされて特定候補を攻撃する道具に悪用されました。もちろんこんなことは考えにくいとしても、共同住宅に放送設備はどうしてもなじまない印象があるのです。

●このようにプライバシー保護と共同のコミュニティーの前進には、一つひとつの問題を具体的に解決していかねばなりません。その際、少数だからといって個人の意見を封じることは禁物です。ことが基本的な人権問題に発展しかねないからです。分譲マンションの永遠のテーマでしょう。

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