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 体験的マンションレポート(23号)3・1・14

 「防災組織のあり方を巡って」

●私は現在、自分の住むマンションで、災害対策本部の役員の一人として活動しています。この体験レポートをお読みの方はご存知の通り、2年半前の夏の火災事故がきっかけで、2年前に災対本部が、それまでの自治会と管理組合役員による当て職ばかりで自分が災対本部でどんな役に着いているかさえ自覚できないような開店休業状態を改め、専任役員を中心にかなり本格的な組織につくり変えられたのです。私は、専任で2年任期の自衛消防隊長を務めて来ました。

●しかし2年の活動を通じて、新しい防災組織にも色々改善すべき点が浮かび上がり、現在役員会で、改めて組織と規約の改定を準備しています。その論議を通じて、分譲マンションにとっての防災組織のあり方について色々考えさせられることがありました。

●まず、すでに管理組合と自治会がある上に、第3の住民組織として防災組織を作ることが有効かどうかです。

 わがマンションは275戸ですからかなりの大所帯で、確かに防災組織を独自に作る意味があると思います。しかし最近では、管理組合が防災の任務も負っている場合が多いようです。(実際100戸以下の小規模なマンションでは別組織は煩雑かもしれません。)

●我がマンションの場合は、現に住んでいる管理組合員(区分所有者)は8割ぐらいで、残り2割は所有者からの賃貸で居住しています。また自治会は任意加入で、毎年の会費納入者を会員としており、これも8割程度です。どちらにも所属していない居住者も少なからずいるわけですから、マンションの全居住者を網羅すべき災害対策活動は、厳密にはこれらの組織に解消できないことになります。

●そこでこの2年間、できるだけ多くの居住者が任務を持つようにと、役員が23人、本部員全体で60人の組織を作って活動してきましたが、役員会で明確な任務のない役員や、階ごとの役員も実際の活動の中で力を発揮しきれず、「お客さま」的になってしまうなど、役員会の出席もだんだん少なくなって来ました。

 災害対策本部は、地震など大規模災害を想定すれば、できるだけ多くの人が明確な任務を持って本部の役職についてもらうのが理想ですが、いつおきるかわからない災害に備えて、ずうっと万全の態勢を維持していくというのは、実際は困難があることを実感して来ました。

●費用の負担についても議論があり、以前の自治会負担から管理組合負担に切り替え、区からの防災補助金も、管理組合を通じて入金するようにしました。

 しかし独立した組織なのに、お金の出し入れも管理組合の通帳からなので会計や監査もなく、日常の会議や連絡などを担う事務局や総務もありません。日常の雑務が、全て消防隊長に集まってしまう傾向もあります。災害時のための本部と言っても、住民組織として対外活動や訓練その他の日常活動を運営していく体制を持っていなければ、活動はスムーズに回りません。

●また、災対本部が専任役員を多く確保する反面、自治会や管理組合も含めると、頻繁になにかの役職が回ってくるという不満も各階から聞かれます。

 居住者の中には2年前火災の起きた7階の方をはじめ、非常に熱心に組織作りに関わってきた方がいる反面、ある階では、空き部屋が多かったり役員のなり手が少なく、3つの組織に多くの役員を出せないという実情もあります。マンションは一種の共同住宅ですからコミュニティーが大切なのは当然ですが、一方で個人生活を大事にしたいという居住者の声も無視するわけにはいかないと私も思います。

 やはり、そのマンションにふさわしい組織のあり方を、実際に役立ち、機能的であると同時に無理をせず継続できる形にするには、まだまだ研究が必要のようです。

(写真は昨年の防災訓練の一コマ。緑の入った服を着ているのが私です)

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