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震災レポートNO.18 <2011・4・8>

各地の社会保険病院・厚生年金病院が被災地の患者にとって最後の命のとりでに
●国は”身売り”に出したままの娘に家族の看病させるなら、まず”身売り”先から連れもどせ

●東日本大震災は、全国の地域医療の抱えている問題を浮き彫りにしました。東北の山間部の集落には1軒しかない診療所がだめになり、患者さんたちが事実上の無医村に孤立して取り残されている地域が多く生まれています。
 この中で、各県の最後のいのちのとりでとして奮闘しているのが、2年前にRFO(整理機構)に移管され、売却されようとしている社会保険病院・厚生年金病院です。

●3月4日に、国会で「社会保険病院の受け皿となる地域医療機能推進機構法案」を早く国会に提出せよという集会が開かれたばかりのタイミングで、震災が発生しました。
 昨年の6月、通常国会の最終段階で、首相の交代による民主と自民の対立の中で、衆議院を通過していた法案が、一日だけ審議が足りずに廃案になったことが大きな影を落としています。
 この時、公的存続の法案に反対した、自民党やみんなの党の姿勢が厳しく問われなければなりません。
 北社保病院のある北区をはじめ、病院の地元では、のきなみ全会一致で地方議会による存続を求める意見書が採択されているのですから。

《 計画停電対応で社会保険・厚生年金病院がずらり 》

●東電や東北電力の計画停電に対応して、自宅で人工呼吸器や酸素吸入器、在宅透析機器などを使う患者さんらに、厚生労働省は、関東、東北の44病院に相談窓口を設置、自宅療養する患者、家族に停電への備えや医師が助言することになりました。このうち17病院が、被災地などの社会保険病院や厚生年金病院でした。

●東京では9箇所の病院が指定されましたが、うち4箇所が社会保険病院・厚生年金病院です。もちろん、東京北社会保険病院も含まれており、やはり公的病院だからこそ機敏に国で対応をさせることができることを物語っています。

 それにしても政府は、私に言わせれば、身売りに出したはずの娘が買い手がつかずに”人買い”の店に残っているからといって、勝手に身内の一人かのように、また家族の看病をさせるようなもので、まずは親として娘に詫びて人買いの店から連れ戻し、食うや食わずで我慢している娘に着物でも買ってやるのが”人の道”というもんじゃないでしょうか。
(つまり整理機構・RFOに移管されて以来、日常業務経費しか認められず、災害時の臨時予算も組めない現状を打開できるのです。)

●先日、被災者救援関係の臨時法が満場一致で成立しましたが、社会保険病院の公的存続法案こそ、国会に出せる準備はできているし、一日も早く成立させるべきです。
 それにより、凍結されている新たな予算措置も取れるようになり、社保病院や厚生年金病院が思い切って被災地の災害救援拠点として奮闘できるようにすべきじゃないでしょうか。
 これにさえ反対するようなら、その政党は国民や被災者の厳しい糾弾を浴びることになるでしょう。

《 自ら被災しながら、患者さんのため不眠不休 》

 労働組合のネットワークなどを通じて、東北の各病院の状況がレポートされていますので、一部要約してお伝えします。

●東北厚生年金病院(仙台市宮城野区)
 地震直後から、入院患者350名、救急患者30名を治療しながら、避難者も1000名を受け入れ、職員300名で対応。
 建物には、亀裂が見られ、一部の壁が剥離し落下している。
 一時は電気も止まり、自家発電も重油不足が深刻。
 水道はストップし、井戸水があるが、パイプが破損し手で汲み上げている。県からの給水支援受けている。

●宮城社会保険病院(仙台市太白区)
 入院患者は130名。救急受け入れ39名、職員は50人で対応。避難者350名近く受け入れ。
 建物は、管理センターのタイルが、はがれて落下。壁の亀裂、天井も一部落下の危険がある。
 水道が止まり、井戸水をトイレに使用している。

●仙台社会保険病院(仙台市青葉区)
 入院患者274名、救急、透析患者350名を受け入れ。職員60名で対応。近隣のクリニックにも協力を要請した。

<その後、赤旗日曜版(3月30日付)の報道によると、仙台社会保険病院の透析患者は、通常は100人前後だが、震災翌日の12日から3日間は、毎日600人以上に上ったと報じられており、職員は不眠不休で対応したとのことです。
 「宮城県の(透析)患者さんにとって、私たちが最後の頼みなので、ギブアップするわけには行かないと、みんなが踏ん張った」と職員の感想を取材しています。
 東北地方のように、大学病院などはほとんど無く、民間の中小病院が診療できなくなった中で、社会保険病院など公的病院が、最後のいのちのとりでだということが、浮き彫りになったのではないでしょうか>


 建物被害としては、看護宿舎に亀裂が入り、看護師は病院に避難。第2病棟が破損。(第1、第3に移動)
 水道がストップし井戸水使用中。県からの水供給を受け、13日に水道は復旧。

●二本松病院(福島県二本松市)
 福島原発の放射能漏れにより、これまで被爆者等を受け入れていた双葉厚生病院が退避命令区域となったため、同病院からの患者の受け入れを行っている。(人数は不明)
 全国の社会保険病院から、様ざまな支援が寄せられているが、備蓄食料については、給食を業者に委託している病院が多いため、なかなか困難がある。
 公的病院のネットワークを全面的に生かすためには、やはり「直営」が重要であることを痛感しているとのレポートがあった。

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