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震災レポートNO.25 <2011・5・19>

原爆被爆者の浴びた放射線と福島原発からの放射能の違いと共通点は
(東京都被爆者団体協議会のニュース「東友」より)


●4月25日付の東京の被爆者団体「東友会」のニュース、「東友」には、東北に住む被爆者の方々の安否確認で奔走する団体の取り組みと、いまだに消息のつかめない被爆者の方々、風評被害もふくめ、人生で2度目の放射能被害に見舞われた例など、リアルな状況報告が掲載されています。(右の画像)

●同時に被爆者の方々が66年前に受けた放射線被害と、今回の福島原発から拡散している放射能との違いや共通点などを、非常に冷静に分析した記事が掲載されています。

●自らの被爆体験をリアルに語りながら、その経験を、福島原発周辺の住民はじめ放射能の危険を心配している人々に役立ててもらおうという真摯な姿勢に感動すら覚えました。

●前前回のレポートでも触れたように、原発被害への地元住民の不安をかわすために、「福島原発の被害は、広島・長崎の原爆被害と比べれば、はるかに安全」と総理大臣に答えさせようとした無神経な国会質問を行った民主党議員もいました。「福島原発の安全性」を証明するために、広島長崎の原爆を引き合いに出すことの理不尽さは、絶対に許せません。

●同時に私は、この被爆者のニュースの記事を読んで、原爆被爆者の方々こそ、今回の原発による放射線被害によって「唯一の被爆国日本でふたたび被爆者をうんでしまうことのないよう」痛切な願いをもっていることをこの記事から感じました。

 以下に、その要約を紹介します。

緊急特集 福島第一原子力発電所の事故
被爆者はどう考え、どう対応するか


 福島原発の放射能漏れが被爆者にも大変な不安を呼び起こしています。広島・長崎で浴びた放射線被害と、今度の放射線被害がどう違うかを、Iさんに調べてもらいました。

Q Iさんは爆心地付近で被爆なさったそうですね

A 福島原発の報道を見て、私自身が受けた放射能がどれぐらいだったのか気になりました。私は長崎市の爆心地から200メートルしか離れていない駒場町で被爆し、防空壕の中にいて助かりました。生き残ったのは奇跡です。防空壕を出て、つぶれてしまった私の家のそばで一晩を過ごし、翌朝そこを出て田舎の親戚のところへ行きました。

Q たいへんな体験をなさいましたね。自分が受けた放射線量はどうだったのですか。

A 爆発の瞬間から30分以降の残留放射能がどれぐらいだったかを、原子物理学者の庄野直美さんが発表されている「短期間残留したガンマ線の線量」の表によって計算してみました。
 9日午前11時半から10日午前8時まで2950ミリシーベルトと言う結果です。被ばく線量は2000ミリシーベルトを超えると出血や脱毛が起こり、5%の人が死亡、4000ミリシーベルトで半数の人が死亡するといわれています。

Q 私は広島被爆ですが、髪の毛が全部抜け、私の姉は9月末に原子病で死にました。長崎、広島の被爆者はみんなやはりそんな放射能を浴びているのですね?

A 爆発の直後の瞬間放射能は非常に大きく、半致死量の4000ミリシーベルトの放射線が降り注いだ地域は、広島で爆心地から半径1025メートル、長崎で1200メートルでした。
 爆心地から3キロメートル以内で被爆した人はコンクリートなどで完全に遮蔽されていない限り50_シーベルトは職業として放射線業務をする人が1年間にさらされていいとされる限度で、日本原子力委員会の指針ではこの量で、一般人を「避難」させるとしています。

・・・< 中略 >・・・

Q 体外と体内に取り込まれた場合で放射性物質の影響は違うのですね

A そうです。内部被爆と外部被爆という言葉を使います。透過性の高いガンマ線や中性子線の場合、7シーベルトを全身に受ければほとんど死を免れないのですが、アルファ線やベータ線は、透過力が小さいので、体外からの照射の障害は皮膚だけにとどまるのです。
 しかし、いったん体の中に入った放射性物質は、体内の色んなところに沈着して放射線を出し、アルファ線やベータ線を出す物質は特に大きな問題になります。
 体内へは汚染された食物・水の摂取、放射性の粉塵・ガスの吸入、または皮膚から取り込まれます。どこに沈着するかは放射性物質によって異なり、ヨウ素は甲状腺に、セシウムは全身の筋肉に、ストロンチウムは骨や歯に沈着します。

Q 福島原発から出た放射能はどれくらいの量なのですか

A 3万〜11万テラベクレルと報道されています。チェルノブイリが200万テラベクレルで、これに次ぐものです。避難指示や出荷制限はやむをえなかったでしょう。

中略

Q 広島・長崎の汚染はミリシーベルト単位で、今発表されている大気中放射線量はマイクロシーベルトです。農作物などの出荷制限を厳しくいなければいけないのですか

A 避難指示は原子力委員会による指標があり、50_シーベルト以上と予想されれば、乳幼児・妊婦は「避難」、成人は「屋内避難」、10〜50_シーベルトで乳幼児・妊婦は「屋内非難」とあります。
 それに基づいて、20キロメートル以内は「避難」、20〜30キロメートルは「屋内避難」と指示されました。(その後さらに事態は変化しています)
 水や食料については、被ばく線量を制限する国際放射線防護委員会の勧告を参考に、原子力安全委員会で検討され、放射線障害防止法に基づく法令が出されています。
 
ヨウ素では、水・牛乳は1キロ当たり300ベクレル、野菜類は2000ベクレルまで、セシウムでは水・牛乳は200ベクレル、野菜・肉・魚は500ベクレルまでと定められています。
 
放射線の危険度は、広島・長崎の被爆者のデータを基に推定されていて、1ミリシーベルトを全身被爆した場合の死亡確率が、10万分の5とされ、これを超えると危険だとして食の安全性の基準がつくられています。10万分の5と言う死亡確率は、車で5000キロ走行したときやタバコ50本喫煙と同じです。

Q 東日本大震災に加え、原発事故の被害を受けた人たちにどのような支援ができるでしょうか。


A 私たち被爆者は、地獄のような体験をし、戦後も不安を抱えてきました。けれども「ふたたび被爆者をつくるな」と立ち上がり、多くの国民の支援を受けながら、今日まで歩んでくることができました。
 報道を見ると、福島の避難者にいわれのない差別があったとか、風評被害で周辺地域の経済が打撃を受けているという話も聞こえてきます。
 
被爆者も就職や結婚、様ざまな場面でさべつされたことがありましたから、他人事のように思えません。
 原爆被害は、軍事機密で長らく隠蔽され、国民はもとより被爆者地震が自分の穂外の実体を知ることができませんでした。救援や復興で入市した多くの人が被爆地の水や食べ物を撮りました。いま思えばすすんで内部被爆をしたことになります。
 被爆者は「ふたたび被爆者をつくるな」の願いが、この事故で破られることだけは避けたいと考えています。難問山積ですが、早く非難の解除と水、野菜、魚の安全が宣言されることを祈ります。


 東電や政府は、危険を隠したり、形式的な公表ではなく、真実を公開して誠意ある対策を提示し、国民の協力を仰いで欲しいと願います。
 被爆者は高齢化し、現場に行っての支援はできませんが、被災地の皆さん、避難者の皆さんに心から連帯と支援を送りたいと思います

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