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 2003年度予算案に対する意見開陳  
  2003・2・28・曽根 はじめ

 都の平成15年度予算案は、医療費助成を始め、介護保険の負担軽減、雇用、中小企業対策の充実など、都民の切実な都民要求に応える姿勢が見られず、「財政再建推進プラン」の最終年度として、老人福祉手当の完全廃止など経済給付的事業の計画通りの切りすてと、「改革」の名によるあらたな施策の後退、「重点事業」以外の都民施策に対する一律10%マイナスシーリングなど、各分野の施策に深刻な影響を及ぼしています。

 一方、大型のビルや幹線道路中心の「都市再生」には、重点的に予算が配分され、公共事業の生活型への見直しや借金依存型財政運営の転換は先送りされました。

 都財政は厳しい状況ではありますが、逆立ちした税金の使い方を改めれば、切実な都民要求に応えることは可能です。

 次に子どもと教育にかかわって意見を述べます。

 いま、いじめや不登校などが深刻さを増す中で、自治体における教育改革の、二つの相反する方向が鮮明になりつつあります。

 全国ではゆきとどいた教育をめざし、少人数学級実現の動きが過半数の府県に及び、また学校、父母、子どもの参加による子どもを中心にした開かれた学校づくりなどの取り組みも広がっています。

 一方で東京の教育は、「都立高校改革」の名による、生徒や父母をはじめ学校関係者、都民の要望を無視した学校統廃合・夜間定時制高校の大幅削減、普通科高校の進学校・中堅校・教育課題校などの類別化や、「ヒト、モノ、カネ」で差別された経営支援、また、学区撤廃や自己PRカード、中学校での学力テストなど、受験競争を激化させる制度見直しの上からの押し付けが行なわれています。

 また障害児教育のあまりに遅れた教育条件整備や給食民間委託の拡大、図書館、青年の家、多摩社会教育会館等、生涯学習・社会教育施設の廃止・縮小など、施策の後退が相次いでいます。教職員への管理強化となる主幹制度導入や、人事考課と連動の研修、君が代・日の丸のおしつけなど、教育基本法に定められた、民主主義の教育理念とは無縁の方向が強まっています。

 子どもたちが安心してのびのびと学べる学校と、誰もが参加できる生涯学習の充実を願う立場から、以下、各局別に意見を述べます。

(1) 大学管理本部について、意見を述べます。
○ 都立の大学改革は、国と連動した独立行政法人化や、教職員の非公務員化をやめ、教育と学問研究の振興、大学自治の尊重の立場で、大学関係者、都民の参加のもとに再検討すると共に、広く検討状況を公開すること。

○ 都立大学、短期大学の昼夜開講制を存続させ、働きながら学ぼうとする学生の要望に応えること。

○ 授業料の引き上げをやめ、むしろ授業料減免の拡大をはじめ、学生の経済負担の軽減策を充実させること。寄宿料などを値上げしないこと。

○ 学生の就職指導の体制を強化し、キャリアガイダンスなどに専任職員を配置すること。

○ 都内の産業集積の特長を生かした多様な部門で、情報・技術・データ解析などで中小企業との連携・ネットワークを強め、東京の地域経済の発展に寄与する取り組みを充実させること。

(2)生活文化局
○ 男女平等推進基金をあらためて確保し、DV対策や裁判支援、自主研究への助成など男女平等施策の発展・充実をはかること。

○ 私学助成を公立学校運営費の実質2分の1をめざし充実をはかると共に、授業料減免制度の抜本的拡充、少人数学級への取り組み支援、耐震改修助成などを拡大すること。私学教育の自主性・自立性を尊重すること。

○ 食品安全条例の制定と、その実効性を保障する、表示の適正化、トレーサビリティー、リスクコミュニケーションの確立を図り、消費者の自主的活動への支援を強めること。

○ 消費生活センターの相談機能や区市町村への情報提供、研修など、専門性を高める取り組みを強化し、相談のネットワークづくりに取り組むこと。

○ メディアリテラシー、青少年のひきこもり対策など、新たな課題に積極的に取り組むこと。

○ 都民相談の法律相談廃止をやめ、充実をはかること。

○ 都の育英資金の大学生への適用を再開し、有資格者全員が受けられるように改善すること。

(3)教育庁
○ 都立高校改革は、うえからの一方的な統廃合や制度見直しをやめ、生徒を含む学校関係者の参加で再検討すること。

○ 公立小・中・高校での30人学級、定時制高校の25人学級実現へ、計画的に踏み出すこと。

○ 新規の教員採用を拡大し、若手教員を増やすこと。養護教諭の複数配置、スクールカウンセラーの全校配置を急ぐこと。

○ 主幹制度や人事考課と連動させた10年研修の導入など、教職員への管理統制強化をやめること。

○ 養護学校の慢性的教室不足を解消するため、学校の増設と施設の増改築を進め、分校の本校化、病弱養護への高等部設置などを実現すること。

○ 重度重複や医療的ケアの必要に応じた、重度重複学級の増設、教職員の増員、スクールバスの増車、寄宿舎の充実などをはかること。また、給食調理の民間委託化は、これまでの問題点を検証し、肢体不自由校への導入をやめること。

○ 学校週5日制対策を強化し、遅れている障害児対応を拡充し、区市町村の自主的取組に、都独自に支援すること。

○ 都立図書館の蔵書の大量処分、視力障害者サービスの縮小を行なわず、三館体制を維持し、区市町村の図書館へのバックアップ機能を強めること。

○ 水元青年の家の廃止、多摩社会教育会館の縮小、夢の島体育館のユースプラザ統合を中止し、それぞれ利用者の要望を尊重して、充実をめざすこと。

○ 子どもの読書の機会を増やすため、学校司書の専任化をめざすこと。都立子ども図書館の建設を進めること。


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