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2000年4月14日公営企業決算委員会
臨海開発会計破綻の現状、「経済効果」のからくり

◯曽根委員 質疑もきょうで終わりで、最後でございますので、簡潔にやりたいと思いますが、ご協力をお願いします。  それから、今回は平成十年度、九八年度の決算なんですが、この年は臨海開発事業会計、この中で、いわば大きなエポックがあった年です。つまり、青島都政見直し後初めての二次公募の決定が、この六月に行われたわけですね。局としては、待望の二次公募第一号ということになるんでしょうけれども、私たちはこれに対して、新たな破綻への第一歩であるということで、これがいかにこの開発の都民利益になるような見直しをしていく上で障害になっているかということについて、若干関連をしたいと思います。  この見直しの際に、原則としておおむね五年ごとに見直しをする、その際に財政見通しも出しますよということが決められていました。こういう方針に基づくと、来年あたりが五年になるんですが、この方針どおりの見直しを行い、財政見通しも新たに出すというお考えはあるでしょうか。

◯渡辺開発部長 平成八年七月の臨海副都心開発の基本方針及び平成九年三月の臨海副都心まちづくり推進計画では、おおむね五年ごとに、必要に応じて開発の内容を見直すこと等としてございます。このとおりでございます。

◯曽根委員 これについて、代表質問で、私たち、知事が危機突破・戦略プランの中で臨海再整備指針の策定を表明しまして、あわせて開発整備ビジョンも出す。中間まとめはことし六月ごろですか、出すというふうにしているので、この中には当然臨海開発が含まれておりますから、開発の見直しとなる。だとすれば、当然財政見通しもあわせて出す必要があるだろうということで、これは繰り上げて、おおむね五年なんですから、ことしは四年目なんですから、おおむね五年として財政見通しを出すべきだというふうに質問しましたが、知事ははっきりとお答えにならなかったんです。  改めて港湾局として、これは開発整備指針、ビジョン策定とあわせて、財政見通しを出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

◯渡辺開発部長 臨海ビジョンの策定に向けて検討を進めているところでございます。検討状況を踏まえて、先ほど申し上げました臨海副都心まちづくり計画における、おおむね五年ごとに必要に応じて開発の内容を見直す等としているということに対応してまいります。

◯曽根委員 時間があれなんで、はっきりお答えいただきたいんですが、開発ビジョンの中間まとめはことし六月ごろに出すといっているわけです。ですから、当然その前提として、その中に含まれている臨海開発の財政見通しをきちんとこれまでの経過も含めて明らかにしなければ、次の大きな開発を考える前提が立たないと思うんですよ。したがって、これは来年五年目だからというのではなくて、今年度中にやらなきゃならないものだと思いますが、いかがでしょうか。

◯渡辺開発部長 現在、鋭意臨海ビジョンの策定に向けて検討を進めているところでございます。その検討状況を踏まえて、適切に対応してまいります。

◯曽根委員 私は、臨海開発もう十年以上になりますから、その中で財政的にはどうだったのか、今後見通しがあるのか、まさにその開発整備ビジョンを大きくつくるとしても、その中核が臨海副都心ですから、その見通しが立たずして周りの開発なんていうのはあり得ないわけでしょう。それをはっきり、その整備ビジョンの中間まとめと一緒に、ある程度の見通しを出すというふうにいえないということは、二つ考えられると思うんですけれども、一つは、臨海開発事業会計の現在の財政状況が都民に説明できない状態なのかということか、今後の見通しが立たないのかというふうに見られても仕方ないと思うんです。これは指摘だけしておきます。

 もう一つは、長期収支を見直しのときに立てたわけですが、これが一体今どうなっているのか。私、率直に意見をいいますけれども、一つは、第一次進出企業は既に全部契約が終わっているはずだったんですね、長期収支上は。ところが、その中で二つ明確な撤退が出て、もう二次公募に繰り入れられましたね。東京都市開発と資生堂のグループですね。それから、明確にはなっていないけれども、三井不動産は、事実上、一昨年の春に進出権放棄ですよ。こういうところまで来ているんですから、そういう部分の収入欠陥が既に出ている。それから、今までに予定がなかった臨海高速鉄道に追加出資をしなければならなくなった。これも臨海会計からの出資がある。しかも、二年おくれる。地価も低迷しているというふうに、長期収支からの大きな後退要因になっていると思うんですが、私は、そういう点からも、大至急この財政見通しを立て直す必要があると思うんですが、この点はいかがでしょうか。

◯渡辺開発部長 平成九年の臨海副都心開発の長期収支試算におきましては、平成四十八年度の収支均衡年次までの都有地運用収入等を試算しているものでございます。平成十年度までに都有地運用収入等は三千五百十七億円でございまして、試算をいたしました二兆五千三百七十八億円の一四%でございました。本格的に土地処分を開始したのは平成三年度からでございますので、既に有償処分面積の約四割が処分されているということでございます。収入額及び面積の点から見て、今後貸付地からの賃貸料収入、また、藤田委員の方にご説明いたしましたように、臨海高速道路の開通あるいは交通基盤の整備並びにまちとしての熟成等があるということを考えますと、長期収支試算による長期的な収支の見通しは十分成算があるものと考えてございます。

◯曽根委員 都有地の運用収入は、開発全部の期間を通じてといいますか、均衡の年次までで二兆五千三百七十八億円、そのうち、今までに三千五百十七億円が収入されたから、今後も大丈夫だろうというけれども、それはちょっとあんまりだと思うんですよ。まだ一四%で、あと二兆二千億、収入予定が残っているわけですね。ここが私は大問題だと思うんです。確かに一企業の進出については、これは二次公募でかわりの企業が見つかれば、それは穴埋めができるでしょう、何年かおくれるけれども。それから、追加出資もそのとき限りの出費ですよ。もう余り議論する時間がないから、自分でいっちゃうんですけれども。  ただ、私、地価の動向だけは、これは後々大きな影響が残る問題だと思うので、それをわかりやすくするために、ちょっときょうはパネルを一枚用意したんですが、私なりにつくった臨海副都心の地代収入の模式図です。(パネルを示す)模式図というのは、極めて概略的な図だからそういうふうに書いたんですが、これは土地処分に伴う権利金の収入とか、売却も予定していますが、売却収入とか、一時的なお金は無視して、地代収入だけを見たものです。これから入る二兆二千億円の収入予定の恐らく二兆円近くは地代収入だと思いますので、ここがどうなるかが大きいんですね。  しかも、今後の開発処分については、わかりやすくするために、極めて理想的に開発が進んだという前提で、二次公募で残りを予定していますね。これが一気に全部契約ができたというふうに仮定して、十二年度、それから、基本方針でありますね、十七年度までに企業進出を予定している区画が。これもめでたく全部一気にできたと仮定して、一気にここで地代収入が上がる。それから、最終的には二十五年間で全部熟成するといっていますので、最後の開発がこれで終わるというふうに三段階で土地処分が行われたと仮定しまして、本当はこんなにきれいにはいかないでしょうけれども、そうすると、地代の動きを見ますと、今の長期収支によると、二〇〇〇年から二〇〇五年まで、この五年間は二%で上昇する。
 さらに、「ゆりかもめ」が延伸し、道路が一部できれば、その後は三%で前進する。上昇していく。で、平成四十八年までですね。今高速鉄道が二年おくれたということで、ことしは地価が上がらなかったわけです。さっきは下がらなかったからよかったという話がありましたが、これがもう一年「ゆりかもめ」にかかるということになりますと、毎年二%ずつ地価の上昇から外れていくわけです。
 二年間で約四%。これが地下鉄が開通しても地価がもし上がらなければ、さらに深刻な事態になる。二年間おくれただけで全体が四%ずつ、ずっと最後まで、この黄色い色を塗った部分が累積して収入が減るわけですから、これから二兆二千億予定しているとすれば、四%で約一千億円弱収入減になるわけですね。さらに、二〇〇五年まで地価が上がらなかったとするならば、六%ぐらい落ちまして、二兆二千億円の六%ということで、さらに大きな減益、減収、収入欠陥が生じる。  これから数年間の地価の動向というのは、開発の将来にわたるまさにネックになるだろうというふうに思うんですが、これが二年おくれる段階に入りつつあるわけですね。したがって、私のこの図でいうと黄色いラインに入ってきている。さらにこの赤いラインに入らないという保証はないということだと思うんですが、この先を考えますと、これは財政見通しを改めてきちんと立て直す、地価の上昇に頼った財政収入計画というのを見直すことがどうしても必要じゃないかと思うんです。改めてお聞きしますが、いかがでしょうか。

◯渡辺開発部長 地価上昇の見込みについてでございますが、二%ないし三%というような形で、長期的な試算の中で設定をしているものでございます。長くなるので省略いたしますけれども、先ほど、平成十二年の公示地価では、恵比寿駅周辺は二百七十九万円、目黒駅周辺で二百十一万円、五反田駅周辺で三百三十五万円という数字が出ております。
 一方、臨海副都心は、現在平均で百十四万円である。こういうようなことからも、おのずから臨海副都心のまちの熟成、あるいは臨海高速鉄道、交通基盤の整備によって、今後の地価の動向については、成算があるというぐあいにいえると思います。  もちろん収支両面にわたりまして節減を行い、また増収努力を不断の努力で行っていく。収支の見直しということではなくて、日々の中でそういう努力を行っていく必要は、私ども、十分考えてございます。

◯曽根委員 やっぱり努力しなければならないということだというふうにお答えになりましたが、私は、確かに地下鉄開通や「ゆりかもめ」の延伸で一時期地価が上がるということは、あり得ないことじゃないというふうには思いますよ。しかし、この計画の最大の弱点というのは、地価が二%なり三%で将来上がり続けるという想定をしていることなんですよ。これは単に臨海副都心の土地の地価ということじゃなくて、東京全体の業務・商業の土地の地価が上がっていかない限り、臨海だけこういうふうな上がり方をするということは、通常あり得ないわけですね。
 そういう点で見て、これから三十年、四十年の期間ですから、確かに地価がまた上がっていく可能性も十分あります。しかし、これまでのように、バブルを経験した日本の経済が、また将来、現在の地価の二・七倍に上がるだろうというふうに単純に予測できるような状況なのか、また、そういう予測をもとに公共開発を行っていいのかということが、私、厳しく問われていると思うんですよ。バブル時代ほどではないにしても、ミニバブル的な地価の設定のもとに財政計画が立てられている。私は、こういう考え方から今後はこういう公共開発は脱皮していく必要があるだろうということをまず申し上げておきたいと思います。  二つ目に、先日の予算特別委員会や本会議で、いわゆる臨海開発の税収効果という話がありました。その中で、将来のことはいろいろ予測は立つと思うんですが、今決算でやっています九八年度、平成十年度までに一般会計から投資したお金が税収で回収されるのはいつかという質問に対して、二〇〇一年までに税収で回収できるという答弁がありました。これは、税収というのはそんなにはっきりして出てくるものかなと疑問を持ったんですが、この税収の根拠はどういうものでしょうか。

◯渡辺開発部長 今回臨海副都心開発にかかわる税収試算でございますけれども、個別企業の税収額を具体的に把握するというのは、税務上の守秘義務等の問題がございますので困難ではございますが、臨海副都心開発に伴う全体としての税収効果をとらえ、開発の効果を測定しようということで、調査を専門家に委託して実施したものでございます。したがいまして、一定の前提のもとに税収額の推計を行っております。  ご指摘の予算委員会での答弁は、平成十年度までに開発のために支出した一般財源は一千五百億円であったが、平成十三年度までの開発の効果として、都税収入の推計額はこれを上回る一千六百億円であるというような試算結果を申し上げたものでございます。  今回の本試算の推計方法につきましては、平成九年三月の臨海副都心まちづくり推進計画の人口フレーム、建設投資額、土地処分等を基礎とし、都区部の税収実績等をもとに行ったものでございます。  なお、平成十年までには既に建物の建設等あるいは土地の処分等が行われてございますので、この部分につきましては、現実の実際の状況を反映させた形で対応をさせて、モデル計算をしたものでございます。

◯曽根委員 今、個別企業の税収を押さえるのは、私企業ですから困難だというお話がありました。これはもちろんのことですが、困難だということよりも、私、主税局の職員の方とか、それから税務専門の方に聞いたんですが、どの方も、そういうことは意味がないというお話でした。つまり、臨海開発にたとえ本社があったとしても、その企業はたまたまそのビルがあいていたので、そこを借りて、臨海開発で営業をしている。じゃ、臨海から税金が上がったという。これは陳腐な考え方だと。陳腐という言葉は最近はやっているんですが、空きビルは都内いずこにもあるわけで、どれを選ぶかというのはあくまで選択の問題で、たまたま臨海に来たから臨海から税収が来たということは、極めてナンセンスな話だというお話もありました。  それから、経済の専門家の方に聞いたら、例えば臨海のためにつくった企業、第三セクターなんかそういうのに当たると思うんですが、それが新たに職員も雇い、税収を上げているということであれば、これは臨海の独自の税収効果だといってもいいだろうが、しかし、現実は、臨海開発のためにつくった企業は軒並み全部赤字なわけですよ。熱供給ぐらいですか、今黒字なのは。そういう状態ですよね。まあ、百歩譲って、臨海に進出したおかげで独自のメリットがあって、もうけが出た、ふえたという企業があれば、それは経済用語でいえば特別利潤というんだそうですけれども、臨海に来たおかげでもうかって、その分、税収もふえましたというのがあればまだしも、一般論で、そこに働いている人口で、それで割り返して、都区部の税金の就業人口一人当たりのでやるというやり方がいかに乱暴なことかというのは、私がいうまでもないと思うんです。  そういう点で、就業人口というのは、本会議でも答弁がありましたが、現在臨海部に住んでいる方は三千人、居住者は約三千人、就業人口は約二万五千人、この数でよろしいんですか。こういう形でもってはめ込んだということでよろしいんでしょうか。もう一回ちょっと確認だけ。

◯渡辺開発部長 それでは、若干長くなりますが、具体的な試算方法を、都税収入の主な項目である固定資産税と法人事業税についてご説明申し上げます。  固定資産税につきましては、臨海副都心の売却予定地面積あるいは貸付予定地面積に計画上の地価を乗じた土地資産額に課税評価額への換算率〇・七を乗じ、さらに税率を乗じることによって算出したものでございます。売却予定地だけでございます。貸付地については、固定資産税はかかっておりません。また、建物についても同様のような形の所定の税率を掛けたものでございます。  法人事業税につきましては、算定の基礎である都区部の税収実績を当該法人の就業人口で除した就業者一人当たりの税収実績額に、臨海副都心の開発計画上、あるいは既に開発が終了している過去の年次については実際の就業人口等を乗じて得たものでございます。また、景気変動に関する料率を乗ずることによって、景気変動の割合を考慮しているものでございます。  なお、土地開発について、税収効果が意味がないというご指摘もあろうかとは思いますけれども、具体的に申し上げますと、固定資産税については具体的にその場所で発生するものでございますので、先ほどの主税局の職員のご指摘は当たらないのではないかというぐあいに考えております。  また、臨海副都心の進出事業者等についてごらんいただきますと、ホテル等につきましては、臨海副都心という眺望を重要視して立地しておりますし、またNTTドコモは、テレコムセンタービルの中で携帯通信事業という新たな事業を展開することによって事業拡大をしたものでございます。さらに、フジテレビにつきましては、河田町におきましては既に事業を継続することが将来のディジタル化等について困難であるということから、事業拡大で進出をしたというようなことでございます。また、商業施設等につきましては、新たな集客機能を持つことで事業収入を得る機会を得たということでございますので、必ずしも先ほどのご指摘は当たらないのかな、実際に税収は現実の形として臨海副都心の中で生まれてきているのではないかと私どもは推計したものでございます。

◯曽根委員 かなり細かい説明があったので、一言だけいっておきます。  フジテレビジョンは認めます。進出直前の営業収益に対して、平成十年の、九八年の営業収益は二倍近く伸びていますよ。確かにあそこは進出して利潤をふやしましたよ。我々見ていてもわかりますよ。うまくやったなと思いますよ。  ところが、そういう企業ばかりじゃない。大体は横ばいで、もしくはマイナスなんですよ。まあ、全都的にそうなんですが。  一番ひどいのは、テナントとして一番大きいところだと思うんですが、昭和シェル石油です。あそこは社員が猛烈に反対したんですね。私、詳しく紹介したいんですけれども、時間がないからやめますが、大変な反対が社内であったのに、社長のワンマンで移ったんですよ。移って、その後、業績はどうかというと、九四年度四百四十六億円あった営業利益が、九八年度には二十八億六千万円しかないんですよ。私、これは偶然じゃないと思うんだ。いや、それは石油業界そのものの問題だといわれるかもしれないけれども、とんでもないですよ。あそこに移って何が具体的には問題になったかといえば、とにかくお客さんが来るのに交通の便がなくて困っているというのが、社員からもたくさん聞こえてきた。私、現に調べに行ったんですから。「ゆりかもめ」で事故があったときにも聞きに行きましたよ。そうしたら、その話も出ました。臨海に進出したために企業利益を下げたところは、間違いなくある。これは首をかしげるのだったら、昭和シェル石油によく聞いてもらいたいんですけれども、こういう例もあるんですよ。  ですから、経済効果、税収効果というのを、こういう形で押さえることのナンセンス、個別企業についてつかめない、また、つかむ意味のない税収効果を云々するやり方は、私は意味がないと思う。  むしろ、本当に経済効果というんだったら、都民の立場に立って、臨海開発が本当に都民の暮らしや営業や中小企業の立場に立った経済的な効果があるのかどうかということを、本当にまじめに考えていく必要が、私はあると思うんですよ。  一つの例として、憩いの場という点で、来訪者の数については先ほど質問がありました。二千五百万人、平成十年、九八年度が、三千百五十万人にふえたということで、一年間にかなり大きく伸びているわけですが、この直接の原因は何だと思っていますか。

◯渡辺開発部長 平成十年から十一年にかけまして、パレットタウンの開業、あるいは、パレットタウンの開業によりまして、臨海副都心のPRといいますか、認知度が非常に高まってくるということがございまして、多くの方が訪れたのではないかなというぐあいに考えてございます。

◯曽根委員 パレットタウンの威力は物すごいと思います。私、二回行ってきました。確かにお客さんはすごい入っています。その影響が、私は、都内の有料のテーマパークが軒並み入場者が一割、二割、多いところで半分までダウンしているということに、直接影響を与えていると思うんです。先ほどお話のあったように、都民が平均して三回ぐらい行っているということになるんでしょう。アクアシティ、それからパレットタウンを合わせると、四千万人に及ぶんじゃないかといわれているわけですね。本当に東京じゅうのお客さんを引っ張っているわけですよ。しかし、そのことが、それでは本当に都民の方が消費購買力を伸ばしながら、そこにお金を落としてくれたのかということなんです。  直接的な影響を受けている東京ディズニーランド、ご存じかもしれませんが、九八年から九九年にかけて、千七百五十万人入場者がいたのが、千六百五十万人、百万人下がったわけですね。これは開園以来初めてのダウンだそうです。大きなダウンをさせている。東京ディズニーランドというのは、大体今一人のお客さんが幾らぐらいお金を使うかというデータは出ていないそうですが、大人でいうと五千二百四十円のフリーパスというのを使うことが多い。有料のテーマパークですね。そういうところでお金を使うのをあきらめて、臨海副都心で「ゆりかもめ」に乗っていけば、お金をそれほど使わなくても娯楽ができるという方向に都民が今ずっと流れているということに乗っているからこそ、お客さんが集まっているということであって、じゃ、経済効果としてどうなのかという問題なんですよ。  都民としては、そういうことにお金を使わなくなっているんですね。できるだけ安上がりで楽しめるところに行こう。これに合っているということであって、今まで皆さんが論議している経済効果というのは、そういうものじゃなかったはずなんです。私は、それはそれとして都民の選択ですから、これはいいことだと思いますよ、それにこたえるものができたということは。だから、必ずしも悪いものだと思いません。しかし、経済効果云々でいうならば、違うでしょうということを申し上げておきたい。  最後に、見解をちょっと一言お伺いしておきたいんですけれども、都民の暮らし向き調査の速報というのが出ました。臨海開発、頑張って、お客さんをいっぱい集めている。そのことが娯楽や遊興費、それから交通費にどう影響しているか。都民が何しろ一人三回ぐらい行ったという勘定になるんですから。しかし、暮らし向き調査によれば、去年の都民の暮らしは、この統計をとり出して、公表して三十年近くになりますが、最大の落ち込みなんですよ。娯楽教養費はマイナス四・三%、全体の消費がマイナス三・五%に対して、さらに大きく落ち込んでいる。それから交通費に至っては、マイナスの一二%だったかな、一〇%を超えるマイナス、一年間で。そういうところまで都民の暮らしというのは落ち込んでいるわけです。  そういう中で、臨海だけひとり勝ちという状態が、東京じゅうに住んで、暮らしている都民や、またそれぞれの地域で頑張っている中小企業、営業の方々にとって、本当にいいことなのかということを考える必要があると思うんですよ。私は、都民の憩いの場として臨海開発を活用していくということは否定していませんが、やはり東京の暮らし、都民の暮らしや地域ごとの中小企業や産業基盤や、そういうものにとって、本当の意味での地域経済を盛り上げるために活用するという方向で見直していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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