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2001年3月21日厚生委員会
介護保険の減免、緊急ショートステイ、伊豆山老人ホームについて

◯曽根委員 今の松本委員の質問、原理的なところは全く同感で、本当に家族の中に病人が出るととんでもないことになるという、みんな痛切な思いを持っているものですから、本当にぐずぐずいいたくないんですけれども、やっぱりこれからいろいろ質問をさせていただきたいと思います。  一つは、介護保険問題で、我が会派は、前々から、都内、特に身近な区市町村のところで介護保険の矛盾がどうしてもしわ寄せされると。保険者である区市町村が、利用者である高齢者の実態、保険料がなかなか払えない、利用料が高くてサービスが利用できないという実情を踏まえて、やむを得ず減免制度などに取り組まざるを得ないと。また、積極的に取り組んでいる自治体もどんどん出てきているという中で、あとは、これまで、制度が順調であり、保険料、利用料それぞれ、いわば低所得者対策もとれているので特に必要ないというふうなお答えがあったわけですが、この間、この議会に入ってからは、例えば社会福祉法人の特別対策について、都も何らかの支援を考えるというようなお話もありました。  それで、改めて、そういう社会福祉法人を通じての、国の制度でありますけれども、特別対策について都も何らかの支援が必要だというふうになるとすれば、これは事業の中の一部ですから、介護保険制度を利用している、また利用したいと思っている都民全体により広く適用されるには、各区市町村が取り組むべき、また取り組んでいる減額もしくは免額制度などについて、東京都が一定の基準をつくって応援をするというのが一番普遍的になるわけですよ。
 そういう点で、保険料、利用料の減免制度に対する支援は、やっぱりもう少し工夫して取り組んでいくということが改めて必要なんじゃないかと思うんですが、この点について、区市町村の取り組みについての評価と、また、都の今後の支援の検討という点でのお答えをいただきたい。

◯吉川介護保険室長 介護保険制度においては、すべての被保険者が公平に保険料を負担するとともに、利用者が費用の一部を負担することが、共同連帯の理念に立脚した介護保険制度の健全かつ円滑な運営のために不可欠であると認識しております。このことから、保険者において、高齢者が保険料を全く支払わないこととしたり、減免分を一般財源から補てんしたり、収入のみに着目いたしまして一律に減免措置を講じることは問題があると認識しております。
 なお、既に先生もご案内のとおり、制度上、所得に応じた保険料設定方式の仕組みが設けられているほか、保険料率などの弾力化も可能とされておりまして、区市町村がこれらの措置を活用することは有意義と考えております。
 一方、利用者負担でございますが、利用者負担も、制度上、既に著しく高額とならないための高額介護サービス費の仕組みが設けられておりまして、その中では、低所得者についてさらに上限額が引き下げられておりまして、さらに、特別対策としても減免が可能とされております。  保険者である区市町村が、介護保険制度の根幹は堅持しつつ、真に必要な場合に工夫を凝らし、これらの措置を活用することは有意義であるというふうに考えております。

◯曽根委員 まあ、かなり──以前は、保険料についての減免は本来の根幹に抵触するというようなお話もあったわけですが……。
 川崎市、これは保険者ですが、川崎市は政令都市でかなり大きな人口を抱えていると。ここで保険料の減額制度に取り組む際に、厚生省とかなりやりとりがあった。去年の四月からスタートした。政令都市で一番早かったと思うんですよ。そのときに、やっぱり厚生省のアドバイスがかなり厳しくあって、とにかく一律削減はだめよと、それから保険財政の中でやらなければだめと、一般財源をつぎ込んではいけないなどのいろいろな注文がついたんだけれども、それをいわばクリアした形での減額制度をスタートさせることができたわけで、これが、今政令都市四市ぐらいに広がっている制度の大体共通したものになっているわけです。  こういう取り組みも始まっており、全国の中でも、かなりの自治体のところで減額ないし免額の制度が始まっているわけですから、東京都も、これは区市町村によって全くばらばらという現状から、もう少し統一的なものになるような取り組みをぜひお願いしておきたいと思います。  それから、我が党は、施設で、特養も非常に足りない話とか希望がふえている話はこの間も私したんですが、ショートステイについても、まず、施設が全国最下位であること、それから、介護の認定、介護度によって利用日数に制限があったりして──介護保険が始まる前は、北区なんかでいいますと、二カ月ぐらい預かってくれるミドルステイというのがあったんですよ。それがもう全然できないわけですよね。二カ月も預かったら、要介護度五ぐらいの人ぐらいしか利用ができないわけです。  というようなことで、大変利用もしにくい、数も足りないということで、この制度をやっぱり改善していく必要があるんじゃないかというふうに思っているんですが、今度予算の中で介護一一九番ですか、緊急ショートステイという取り組みを始めるようなんですが、どれぐらいの規模で、どういう場合に利用できるのか、ちょっと制度について説明をお願いしたいと思います。

◯反町施設事業部長 高齢者緊急ショートステイ事業でございますが、高齢者が在宅で安心して暮らしていくには、介護者が急病で入院した場合などに、要介護者を二十四時間いつでも受け入れ、介護するシステムが必要でございます。このような都民のニーズにこたえるべく、高齢者緊急ショートステイ事業を実施するものでございます。
 当面は都立ナーシングホーム二カ所でモデル的に実施するものでございまして、合わせて七床程度で、平均一週間程度で、年間にしますと、およそ五百人程度の受け入れを想定してございます。

◯曽根委員 七床ということなので、確かに東京都の取り組みとしては、これはもう必要不可欠だと思うんです。というのは、本当に介護している側が倒れたときに、緊急に要介護で寝たきりの方をどう対処するのかということは、これは緊急対応を問われますので、こういうベッドがないと大変だということは確かだと思います。  ただ、ケアマネジャーなどの方に話を聞きますと、何か一定説明がケアマネジャーなどにはされたようなんですけれども、まだ使いにくいんじゃないかと。幾つかいっていました。一つは、ベッド数が限られていると。それから、都内で二カ所だけ、板橋と東村山の二カ所だけであること。それから、現場で消防署の方の救急などの判断が必要だというふうなことがあるらしいと。これは、ちょっと確かかどうかわかりません。もし間違っていたら、お答えいただきたいんですが。  それから、結局預かるということになった場合は、ケアプランを変更しなきゃならないと。もしこのケアプランの利用限度額に、まあ達しているということは余りないでしょうけれども、ぎりぎりまで来ているという月末などの場合に、それを超えることはできないわけで、やっぱり別枠で利用できれば一番いいですねという話がありました。  都立で始めるので、場所や数の限定はやむを得ない、もっと広げていけばいいと思うんですが、制度として、私も、やっぱり緊急の場合であるだけに、その人がどの程度介護保険のサービスを利用しているかに関係なく、必要なときには必要な日数預かれるだけの、何か別枠のものが必要じゃないかというふうに思うんですが、そういうお考えはないでしょうか。

◯反町施設事業部長 緊急ショートステイ事業は、介護保険制度を活用した事業でございまして、利用料を介護保険給付限度額の別枠で設けることは、現在のところ想定してございません。

◯曽根委員 今、介護保険の枠内で、その月々なんでしょうね、ショートステイのサービスの利用限度の枠内だというお話なんですが、そのこともできれば改善をお願いしたいと、これは要望にとどめます。  それから、ショートステイ全体についても、このショートステイというのは、要介護度によって利用日数なんかも違いますけれども、本来のあり方として、本人の状態がどうかということだけではなく、むしろ家族が介護休暇をとりたいとか、さっきあったような、家族が倒れたとかそういった場合に、それに必要な日数というのが出てくると思うんですよ。
 そういう面からいうと、最初からこのケアプランの中に入れていくのもなかなか難しいことですし、それから、本人の状態いかんでもって日数の制限があるというのも、ちょっと本来の趣旨から違うのかなと。もう少し実際に必要な方に必要なだけショートステイの利用ができるような制度に、これは国の制度の問題だとは思いますけれども、改善が必要じゃないかと。その点で、できれば国に対してもそういった実情も働きかけていく必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◯吉川介護保険室長 先生のご指摘はショートステイの使い勝手の点だと思いますけれども、この点につきましては、昨年の十月三十一日の国の医療保険福祉審議会の答申を経まして、これまでショートステイサービスについては、訪問通所サービスとは別に、先生がおっしゃられたような日数で別管理をしていたわけですけれども、一本化するということで改善が図られるということを決められて、これは十四年一月一日からということになっております。それから、十三年一月一日、この一月一日からも、既に行われている振りかえの拡大ということも措置されたところでございます。

◯曽根委員 一定の改善の努力はされているとは思うんですが、これもあくまでサービス利用限度額の枠内でしょうから、それを超えることはできないという点は、根本問題はまだ残ると思うんです。  現場の話を聞きますと、北区なんかでも足りないんですよね。ですから、家族がいざというときのために利用したいからと思って待っていたのでは、全然入らないわけですね、必要なときになっても。二カ月、三カ月先にならないと予約が入らないという状況ですから。ですから、ケアマネジャーは、その先々の月のところにどうやってショートステイの日数を確保するか、これがケアマネジャーの腕の見せどころだというふうにいわれるぐらい、確保が大変なんだそうです。  ですから、休む必要がなかろうがあろうが、その月になったら、その日数が確保されればそこで預かってもらうというふうなやり方しか今はできないということらしいので、これは何とか、例えばですけれども、住宅改造の場合には、介護保険の対象者であっても、介護保険の中の二十万と、外からの国の包括補助による足し前ができる制度があるので、そういったものが必要な性格を持っているんじゃないかというふうに──課長さんのところで首を振っている人がいますけれども、これは、実態からすると、そういう融通をきかせる制度にしないと、いつまでたっても使いにくい、数も足りない、だから利用が進まないということの悪循環を繰り返してしまうんじゃないかと思うので、ぜひ改善方策をお願いしたいと思うんです。  それから、これは介護保険の中の話ではないんですけれども、介護保険で自立と判定された方が介護保険のお世話にならないように、むしろ元気に長生きができるようにするための自立支援の事業として、国の方での包括補助では生きがい活動支援ですか、それから、東京都の包括補助でいきいき事業というのを始めているわけですが、国の包括補助を使って、例えば、北区の桐ケ丘団地という大きな都営団地がありますが、その中にデイホームがあって、これは十年ぐらいの歴史がありますけれども、介護保険が始まって、その介護保険の外の自立支援事業として行ったわけです。  ところが、ここで大きな問題は、この自立支援事業が、介護保険における利用料の一割負担の原則とバランスをとらなければならないということで、今までは食事代程度でよかったものが、一割負担というのが入ってきたわけです。具体的にいいますと、桐ケ丘デイホームでは、今までは、食事代三百五十円ということで気軽に参加できるものだったのが、今度は食事代が四百円になり、プラス利用料として四百円、一回八百円になったんです。八百円といったら、千円未満なんだから安いじゃないかと思うかもしれませんが、週に二回、月にずっと通うと、月に六千円ぐらいになっちゃうわけです。それで、利用が実際激減しちゃったんですね、介護保険が始まってから。
 ですから、私は、こういうのは、お金の負担をかけると──いわば、どうしても行かなきゃならない施設じゃないんですよね、お年寄りが元気で暮らすための生きがい活動ですから。それで、できるだけ負担はかけるべきじゃないということで、減額すべきだというふうに主張していたんですが、ようやくこの四月から、北区も減額制度をつくることになりました。  東京都としてもぜひ、保険制度の中のことも減額は必要ですが、自立支援事業についてもまた減額せざるを得ないという区市町村の実情がありますし、それから、もっとほかの面でも東京都がいろいろ支援をしていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

◯若林保健福祉部長 国の介護予防・生きがい活動支援事業の実施要綱によりますと、区市町村は、介護保険の対象サービスの利用料との均衡を考慮しつつ、食材料費の実費等を定め、利用者がこれを負担すると規定されており、利用料については、一割程度の負担をすることが基本となっております。その上で、低所得者等への利用料の減額につきましては、介護保険制度を勘案して、区市町村が独自に定めるものというふうにされているところでございます。  いきいき事業につきましてのお尋ねがございましたけれども、いきいき事業につきましては、介護保険制度と介護予防・生活支援事業など他の補助制度で補助を受けていないということを条件として、高齢者の生きがい活動や介護予防に資する独自事業については補助対象としているところでございます。  区市町村が、地域特性を踏まえてさまざまな創意工夫をすることは、いきいき事業の趣旨でございます。

◯曽根委員 それで、国の制度が、そういう意味では原則がそのようになっていますから、減額という措置をとらない限りは、大体一割程度ということで負担がかかるわけですね。  桐ケ丘デイホームも、利用を促進するための減額制度を区独自につくったと。これはその努力だと思うんです。その上で、さらに、同じ事業に都の別の補助をつけることは今できないというお話がありましたが、例えば、ここのデイホームの厨房を利用して配食サービスを別個に事業として立ち上げるというようなことは大いに工夫できるんじゃないかというふうに考えておられました。  そうした場合は、この東京都のいきいき事業について、別の事業として申請をし、自立高齢者に対するサービスとして、区独自のやり方でやっていくことはできるんでしょう。どうですか。

◯若林保健福祉部長 ただいま答弁申し上げましたとおり、いきいき事業は、他の制度を受けていないということが前提になります。ですから、今先生のお話のありました事業が重複していないかどうか、それを申請に基づいて確認した上で判断をしていきたいというふうに思っております。

◯曽根委員 工夫の仕方によっては別事業として申請もできるようですから、ぜひ、そういう点では──こうした活動はいろいろ区市町村によって違いが出てくるし、地域の特性もあると思うんですよ。そういう点では、今まで取り組んでいるものですぐれた経験を蓄積しているところ、しかしそういう運動がたまたまなかったところ、活動がなかったところ、いろんな、こっちのいいところは取り入れていくというようなことが必要かと思うので、こうしたいきいき事業などについても、また生きがい事業についても、よいものの交流、普及に努めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

◯若林保健福祉部長 福祉改革を確実に推進していくためには、区市町村がみずからの発想に基づき、地域の中で積極的に取り組んでいただくことが何としても必要であるというふうに考えております。  都としても、特色ある取り組みを積極的に支援していく方針でありまして、この三月には、今年度の各区市町村の先進的な取り組み事例を紹介する事例集を発行することとしております。また、四月以降、成果発表会も予定しているところでございます。

◯曽根委員 次に、東京都の養護老人ホームであります伊豆山老人ホームの廃止計画について質問したいと思うんです。これは、二月の特別委員会でも我が党の大山委員が質問しましたけれども、その場合は相手が高齢室じゃなかったものですから、具体的に聞けなかったことが何点かありますので……。  特に、この老人ホーム、かなり歴史が古いわけですよね。なぜ今廃止なのかということで、まず最初に、廃止をしなければならないとされた理由、それから、いつまでに廃止をするつもりなのか、今そこに、老人ホームに住んでいる方の処遇はどうするのかについて、基本的な点をお聞きしておきます。

◯反町施設事業部長 伊豆山老人ホームの廃止理由でございますが、養護老人ホームにつきましては、在宅サービスはもとより、施設サービスにつきましても、身近な地域でサービスを受けられることが望ましいということでございますが、伊豆山老人ホームにつきましては、都外に設置されてございます。現在の施設は昭和五十年に建てられておりまして、施設が老朽化してございます。施設の維持管理費がかさんでございます。利用者は熱海市の住民となっておりまして、介護保険給付が必要となった場合、保険者である熱海市の負担増となるため、市の方から対応が要請されてございます。さらに、市内唯一の総合病院でございます国立熱海病院が廃止が予定されておりまして、診療科目の縮小が行われるなど、利用サービスが低下してございます。  以上のことを総合的に勘案し、利用者に十分なサービスの提供ができないと判断し、廃止するものでございます。廃止は十四年度末を予定してございます。さらに、利用者につきましては、本年十一月に開設を予定してございます潮見老人ホームに移転を予定してございます。

◯曽根委員 都外施設であることはもちろんなんですが、しかし、ここに住んでいる方は長くそこになじんで暮らしており、特に都外だからどうしても不自由という方は、そういう話は全く、私たち住んでいる方にもお話を聞きましたが、出ていませんし、老朽化というのは、建物自体がまだ三十年たっていませんし、しかも、何年か前に全室エアコンが入って、極めて快適な状況で、何でこれが老朽化なんだろうなという状況であります。それで、結局財政的な理由をもとにして廃止するんじゃないかというふうに現地の方もおっしゃっていました。  熱海市との関係で利用者サービスに支障が生じるというのも、例えば、ここを廃止して、その後の施設をでは熱海市がどうするのかというようなことを考えれば、財政負担としては、そっちの方が地元自治体としては大変だと思うんですよ。私は、そういう点では、この施設は、東京都として責任を持って大事にするのが本来の筋じゃないかと思うんです。
 それは、いきさつからいっても、これはお聞きしておきたいんです。この熱海市の伊豆山になぜ都立の養護老人ホームができたのか、どういういきさつがあったのか、お聞きします。

◯反町施設事業部長 伊豆山老人ホームが熱海市に設立されました経緯でございますけれども、昭和二十六年に、熱海市に在住しておられます岩間甲斐之助さんという方がおられまして、その方のご厚意によりまして、現在の土地約一万坪でございますけれども、無償譲渡されたものでございます。寄附された方は東京都立の養老施設を設置することを望んでいたこともあり、当該土地の使用目的について、寄附者、東京都知事、熱海市長の三者で、養老施設の用地とすることで覚書を交わしてございます。  その後、昭和二十七年八月一日に東京都伊豆山老人ホームを開設したものでございます。

◯曽根委員 岩間さんという方ですよね。今お答えにあったと思うんですけれども、よく聞き取れなかったんですが、その方が、養老施設として土地を無償で寄附したいという大変奇特な方で、昭和二十六年当時ですから、温泉の出るこのすばらしい土地をよく思い切ったなと思いますが、そのときになぜ東京都を選んだかというふうに、私ちょっと養育院の歴史の方で調べたら、東京都が、当時養育院というのがあって、戦前から非常に養老施設、養老事業については歴史もあり、当時としてはレベルも高いと、それで、東京都がいいだろうということで、熱海市長、東京都知事、それで岩間さんと三者で覚書を交わし、市議会でも議決をしたという話ですよね。それで、そういう施設を東京都の都合でということで廃止するのは、この点でもいかがなものかと思うんです。  特にこれは養護老人ホームですから、今後の養護老人ホーム、さっき役割が変わってきたという話がありましたが、では、東京都として、養護老人ホームは、ここの方は潮見にという話ですけれども、では、全体として、東京都の養護老人ホーム、これからどれぐらいつくっていくのか、そして、一方で、養護老人ホームを待っている方はどれぐらいの規模でいるのでしょうか。

◯金内高齢政策部長 先ほどもお答えしましたとおり、養護老人ホームの役割は、社会経済状況の大きな変化を背景といたしまして、制度発足当初と大きく変化しております。  養護老人ホームの定員をふやせというお話でございますけれども、その問題につきましては、現在、養護老人ホームがどういうような役割を果たすべきか、あるいは、ケアリビングなど新たな高齢者の住まいとの役割分担、これらを踏まえた整理が必要と認識しております。現在、鋭意検討中でございます。  なお、伊豆山あるいは潮見等の個々の施設については、施設や地域の実情を踏まえて、具体的な対応をしているところでございます。

◯若林保健福祉部長 養護老人ホームの待機者についてのお尋ねがありましたが、先ほども答弁申し上げましたけれども、区市町村からの報告をいただいたものを集計したところでは、二千三百四十六名、十二月末現在でございます。

◯曽根委員 金内部長等のお話を踏まえれば、はっきりいって、東京都は二千三百四十六名の希望者に責任を持って供給するというふうにはならないですよね、これは。本当に供給しますか。この方々に対しては供給するというふうにならないでしょう。あり方については検討していくわけですよね。養護老人ホームが、これからはその方の直接希望にこたえるのか、それとも、それにかわる施設をつくっていってそれにこたえるのか、これは検討中なんですよね。
 そうなりますと、少なくとも今ある養護老人ホームは、そういう意味では希望者にこたえる唯一の道ということになるわけですよ。それが潮見に今回できる。この潮見についても、私、いきさつがあると思うんですが、潮見のこの建設というのは、どういういきさつがあったものですか。

◯反町施設事業部長 潮見老人ホームについてでございますが、板橋老人ホームが昭和三十九年の建設で、老朽化し、また狭隘化していることから、利用者の居住環境の向上とあわせて、地域性や規模の適正化などの観点を踏まえまして、分散改築をする必要がございます。潮見老人ホームは、この板橋老人ホームの分散改築の三番目の施設として建設を進めているものでございまして、平成十三年十一月に開設を予定してございます。

◯曽根委員 つまり、潮見についても、全く新しく建設されるものではなくて、板橋の養護老人ホームの分散改築という形をとっているわけで、全体としては、養護老人ホームはふやしていないわけですね。  ですから、その潮見が貴重な、新しくできる養護老人ホームでありますが、ここに全部伊豆山の方を、今八十九名か九十名か、資料がありましたが、入れてしまうと。養護老人ホームというのは、例えば山谷の方ですね、そういう方々を収容したり、それから、ホームレス問題がこれからどんどん取り組まなければならないという方向も出されている中で、更生施設を経て養護老人ホームに迎え入れるということが今まではやられてきた。それはどうするのか、受け皿は。潮見というのは、ちょうど更生施設があるところなんですよね。そういうことも恐らく東京都は考えてきたところもあるんじゃないかなと私は思うんです。それが、伊豆山からこっちへ入れてしまうと。  養護老人ホームのあり方を検討するというのは、それはそれとして、やってはならないということはないと思いますよ。それは、本当に今の時代にふさわしい養護老人ホームなのか、それともケアリビングという形がもっといいものになるのか、それは検討を大いにしたいと思うんですよ。  しかし、ケアリビング、ケアハウスでさえまだ全体でわずかしかできていないのに、二千三百人待っていると。その受け皿がはっきりしないのに、現に今住んでいて、しかも、老朽化といっても、まだ三十年たっていない建物を廃止してしまうというのは、やっぱりもう少し検討の余地があるんじゃないかということを申し上げておきたいと思うんです。
 全体として、都外の施設について、東京都は今どんどん整理をしようという方向だと思いますが、私は、将来、高齢者が人口の四分の一になっていくだろうと、これはもう間違いなくそうなると思いますが、東京都が持っている施設を、どういう形にしろ、活用していくという道はいろいろあると思うんですよ。何でも直営がいいというふうに我々もいっていないんですよ。いろんな形があり得ると思うんです。しかし、手放してしまって、廃止してしまったら、これはもう利用できないわけで、やっぱり都民の貴重な財産の一つとしていろいろ検討していくべきじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

(公明党、石井議員の質問後半) そこでお尋ねいたしますけれども、もしこのシルバーパスを、従来どおり、共産党がいうように何でもただでやれ、何でも無料にしろというやり方でやったならば、今後このシルバーパスの予算というのはどうなるのか。例えば、平成十五年、また、今後十年後どうなるのか、お尋ねします。

◯若林保健福祉部長 これまでの事業をそのまま見直しをしないで継続した場合の、バス事業者に対する東京都の補償額の推計でございますけれども、十五年度が約百八十六億円、二十二年度が約二百三十六億円というふうに推計したところでございます。

◯石井委員 今後、さらに百八十億、二百三十六億と。この何でもただという──ただにこしたことはないわけだけれども、限られた財源でさまざまなことをしなければならない。若い世代にツケを回すことはできないわけですからね。もしこのままシルバーパスを続けていったら、東京の福祉はどうなるんですかね。前川室長、いかがでしょうか。

◯前川高齢者施策推進室長 私どもは、今、福祉改革推進プランを推進していこうというふうに考えているわけでございますが、この福祉改革推進プランは、五年間で五千二百億円ほど投入をしてやっていこうという極めて積極的な計画を組んだわけでございます。これが可能になりましたのは、今ご指摘があったシルバーパス等も含めまして、いわゆる経済的給付事業の見直しをさせていただいたと。それでできた財源を活用して、この計画が可能になったというふうに考えております。  でありますから、この見直しをしなかったとすれば、財政負担が過大となるということももちろんですが、あわせて、私どもが目指している、新しい福祉の方向を目指す計画の策定も事実上困難であったろうというふうに考えております。

◯石井委員 新たな福祉の展開が困難になるということは、非常に重大な問題ですよね。都民生活に与える影響が非常に大きくなるということですよね。  ところで、この事務手数料千円をいただきましたよね。そのいただいた千円はどう使っているのか、重ねてお尋ねをいたします。

◯若林保健福祉部長 区市町村が実施するコミュニティバスの導入、移送手段の確保、高齢者の社会参加の仕組みづくりなどの事業への補助、また、就労の確保としまして、パスの発行業務をシルバー人材センターの会員にお願いしたところでございますけれども、高齢者の社会参加促進のための施策を新たに実施したところでございます。

◯石井委員 そういう新たな展開がなされているわけですよね。福祉切り捨てどころか、冷たく切り捨てどころか、その財源を他に転用するならば切り捨てということをいわれてもやむを得ないかもしれないけれども、むしろ、高齢者施策を中心に新たな施策の展開がなされている。共産党は、そうした新たな展開がなされていることについては何ら言及することなく、ただ単に無料化がなくなったということ一点だけをもって、議会のすべての政党を、また行政側の努力を、一方的に批判しているわけですよね。  そうした新たな展開がなされているということをやっぱり都民の皆様に広く広報すべきじゃないですか。いいかげんな、都民の皆さんに不安をあおるような宣伝だけが先行して、一生懸命いい仕事をやっているのに、そのことは知られていないと。もっともっとしっかりPRすべきだと思いますが、いかがですか。

◯金内高齢政策部長 高齢者施策の新たな展開につきましては、高齢者施策推進室としてさまざまなPRの取り組みを実施してまいりました。昨年の四月から五月にかけましては、都民向けリーフレット、我々高齢福祉の独自のリーフレットでございますが、これを七十万部配布をしております。また「東京の社会福祉」あるいは高齢者福祉推進プラン二〇〇〇の中でも取り上げておりますし、ホームページ、あるいはラジオ、テレビ番組でも周知を図りました。
 今後とも、例えば、先生ごらんになったかと思いますが、新しい福祉をということで、福祉改革の意義を新聞広告に出したり、あるいはポスターにしたりして、積極的に新たな施策、新しい東京の福祉を都民に伝えていきたいというふうに思います。

◯石井委員 だから、例えばバスとか地下鉄の中にも、確かに千円はいただいたけれども、その千円をいただくことによって、コミュニティバスの導入ということで、十四区市町村で十五の事業の新たなコミュニティバスの展開が図れたんですよ、千円をいただきましたから、NPOによる移送手段の拡充がなされたんですよ、また、それによって、シルバー人材センターの方が一万六千五百人の雇用がなされたんですよということを、車内づり広告とか、そういうところでやってくださいよ。そうすれば、共産党のそうした切り捨てだとか冷たいとか、千円をいただいたことが全面有料化ということがいかに天下の物笑いになるか、明確になると思うんですよ。いかがですか。

◯若林保健福祉部長 事業を所管する部といたしまして、新しい施策につきましては、私どもとしましても、積極的に都民の皆さんにご理解いただけるようなPRを工夫していきたいというふうに思っております。

◯石井委員 それで、私たちの認識は、確かに石原知事は、当初、財源が足らないから聖域なく福祉も医療も教育もカットすると。そのメニューの中にはシルバーパスも入っていた。当初ならばかなり大幅に削減されるところであった。しかしながら、私たち議会側が頑張って、一つは、何回も、幾たびとなく申し入れを行い、そして、その財源獲得のための行政改革も徹底的に行い──その行政改革を共産党は全くやらない、二十年間全くやってこなかったけれども、私たち議会側は全力でやってきた。  そうしたバックグラウンドもあって、知事の聖域なく見直すメニューの中のシルバーパスの継続が図られ、なおかつ、当初事務手数料も六千円であったものが千円という形で、もう何段となく、議会側の努力と行政側のちょうちょうはっしのぎりぎりの交渉の中で、今日こうやって落ちついてきたわけですよね。そういう議会の努力というものを共産党は全くやってこなかった。財源を獲得する行政改革ということは全くやってこなかった。やってこないけれども、それで、何か新たな福祉施策ができれば、みんな私たちがやったんだ、できないのはみんなオール与党が悪いんだと、そんなことは通っていいわけがないわけであります。  最後に室長にお尋ねいたしますけれども、こうした経過からして、冷たいとか福祉切り捨てだとか、そういう批判は全く当たらないと思いますが、前川室長、いかがですか。

◯前川高齢者施策推進室長 これまで、高齢者もそうですが、いわゆる福祉施策は、国の社会保障制度が不十分であった昭和四十年代にその骨格を固めて、基本的構造を変えずに事業展開してきたわけでございます。  しかし、この間、国においても、年金、医療など社会保障制度が充実をいたしましたし、また、都民のニーズは、昔に比べればはるかに高度化、複雑化しているわけでございます。先ほどの先般の見直しは、こうした変化を踏まえて、利用者本位の新しい福祉を構築していく福祉改革の方向に沿って実施をしたものであり、福祉改革の一環をなすものと我々は考えております。  したがって、この福祉の施策見直しが、財源配分の点から、あるいは施策展開の点から見ても、福祉切り捨てとする批判は全く当たらないと考えております。

◯石井委員 福祉切り捨ての批判は全く当たらないという室長の答弁がありました。私は、人の悪口はいわないけれども、共産党が公明党に対して「しんぶん赤旗」でこのように報道したので、私は、みずからの党の社会的責任を守るために、明確にいわせていただきました。いわれたことはいい返す。  以上で終わります。

(曽根議員の反論)
◯曽根委員 一言だけ。  一つだけ、シルバーパスの問題に限ってお話があったので、私もシルバーパスの問題だけ聞きますけれども、前も資料をお願いしたので覚えていらっしゃると思うんですが、政令指定都市の中で、シルバーパスと同じ敬老の意味での乗車証を発行している政令都市は、たしか一つを除いて大体発行していると思うんですが、この間、有料化したりしたところはあるんですか。

◯若林保健福祉部長 今ちょうど年度の変わる時期でございまして、新年度に向けての予算要求を各政令市でもやっているところでございまして、正確には私どもまだ把握しておりません。

◯曽根委員 そんな、あるわけありませんよ。大体お年寄りに、たとえ千円ででも、お金を払わなきゃあげませんよという考え方が、私は敬老の精神じゃないといっているんですよ。気楽に乗ってもらおうと思う方が、本当に命をかけて日本を戦後支えてきたお年寄りに対する態度じゃないかと。こんな当たり前のことで、それで、そのための財源が大変になるとか、そういっている前に、全国の自治体に倣って東京都も頑張るべきだということを申し上げて、終わります。

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