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2001年3月5日厚生委員会
保育予算の増額補正に付いて

◯曽根委員 私からは、補正予算概要の五ページにあります保育所運営費の都負担分の増額補正についてお聞きしたいと思うんです。  まず、この二億六千万円余の歳出増が、補正が必要になったのは、この都負担分が幾らから幾らに増額をされたためで、何が原因というふうになっているんでしょうか。

◯福永子ども家庭部長 今回の保育所の運営費の都負担金でございますけれども、五ページにございますように、既定予算額百四十八億千二百九十六万一千円でございますが、執行見込みが百五十億八千八十万円ということでございまして、補正予算として今回二億六千七百八十三万九千円を増額するものでございます。  十二年度の予算の徴収金の単価につきましては、その時点では十一年四月一日現在ということで年齢、階層別に基づいて算出しましたけれども、十二年四月一日時点の実績が判明しましたところ、これに基づいて算出した単価の方が、十二年度の単価よりも低くなったということで、今回、その歳出の増額という見込みで計上しております。

◯曽根委員 年度当初は、昨年度の四月の時点で階層や年齢の単価を組むと。それが年度途中、今年度の四月のが出てみたら大分変わっていたと。都負担分が上がるということは、つまりは、例えば保育階層、所得階層でいえば、全体として下がるということによって保育料が下がって、その穴埋めとしての都費負担分がふえたのかなというふうに思うんですが、保育園児の父母の所得階層でいうと、どの辺がどういうふうに影響を受けているんでしょうか。

◯福永子ども家庭部長 保育の負担金は、徴収基準上七つの区分にされておるわけでございまして、その中で所得税の非課税世帯の割合でございますけれども、十一年度は二〇%であったものが、十二年度につきましては二四%ということで増加したものでございます。

◯曽根委員 こういった補正は、ここ数年たしかなかったと思うんですが、決算の上で、都の負担分が増額になるということは、過去二、三年ではあったんでしょうか。それ、額も含めてわかりますでしょうか。

◯福永子ども家庭部長 少子化が進行する中にありまして、女性の社会進出あるいは核家族化などによりまして保育需要が増大しておりまして、その中で保育所における定員の弾力化による入所児数の増加ということや、あるいは低年齢児の受け入れ拡大等によりまして、これまで、平成九年度、十年度、十一年度におきまして当初予算を上回ったことがございます。  額で申し上げますと、九年度は一千八百万円、十年度は三億六千五百万円、十一年度は一億九千八百万円ということでございます。

◯曽根委員 たしか増額になったのは九年度からですよね。それまでは使い残して、むしろ予算が残るという傾向だったと思うんですが、この三年間ぐらいが、いわば当初に組んだけれども、前の年の実績で組んだけれども、その年、所得階層が落ちていたり、いろいろ年齢階層も変わったというようなことで、前の年よりも実態が、都費が多く必要になるということを繰り返してきていると思うんです。その分、当初に見込んでもいると思うんですが、それでも予想を超えてさらに下がるということが繰り返されている。  その背景としては、私、やっぱりこの三年間ぐらい、保育園児の父母の階層も含めた、先ほどお話しのあったように、所得階層、所得状況が全体としては落ちていると。特に低所得層の部分が収入がどうも減っていることが、かなりこういうことにも反映しているのかなというふうに思うんですが、先ほどの理由の説明の中では、保育定数の弾力化とか、年齢の変化とか、いろいろお話しあったけれども、都民全体で所得が落ちていることが、この保育料の問題、それから都の負担にもはね返ってくるというのは当然あり得ることだなと思うんですが、いかがですか。

◯福永子ども家庭部長 平成十二年分でございますけれども、主な原因といたしまして、平成十一年分の所得税におきまして、年少扶養親族につきまして──これは十六歳未満の児童を扶養するということでございますが、十万円の控除額の割り増しというものが認められたという影響が出ているというふうに考えております。  また、平成十年度におきましては、国の徴収基準が、十階層であったものが七階層になったということの影響が主なものというふうに考えております。

◯曽根委員 そういうことも原因の一つになっていることは私も否定しませんよ。所得控除がされたわけだから、その部分、十万円ぐらいといえども、階層ぎりぎりのところにいる方は下の階層に移るということになりますから。  しかし、平成九年度から平成十二年度にかけて、これは予算ですけれども、個人都民税でいえば一五%近く落ちているわけですよね。これは全所得階層が入っていますけれども、個人都民税が一五%もこの三年間だけで落ちているのに、これが保育料の問題だとか、保育園児の父母の所得階層のこの問題にはね返らないはずがないと思うんですよ。そういう実態としてそれが全く影響ないんだというふうな何か根拠でもお持ちなんですか。

◯福永子ども家庭部長 保育料の費用徴収の階層別の人員の割合で申し上げますと、所得税の非課税世帯の割合ですが、平成九年度が一九%、平成十年度が一九・五%、平成十一年度が二〇・六%ということで、大幅な変動というのは特にございません。

◯曽根委員 本当に頑迷ですね。所得階層というのは、大枠で七段階に分けているわけで、その段階が大きく変わるというのは、これはもう非常に大きな変化ですけれども、そこに至らないまでも、都民全体が所得が落ちていると、それが保育料の面にも私は当然はね返っているし、現に去年からことしにかけては四%ふえているわけですから、そういうことは影響していないはずがないと思うんですよ。この実態は正確に見て、実態を把握してやっぱり保育問題を考えていく必要があるということは指摘しておきたいと思うんです。  特に、今東京都がやろうとしている認証保育所などは、認可保育園に預けるのに比べて間違いなく保育料は上がるわけですよね。二倍、三倍になるんじゃないかというふうにいっている人もいるぐらいです。まだ中身が細かく決まっていませんから、今の段階でははっきりしたことをいえませんけれども、もし本当に保育園児を預けなきゃならない父母の実態に即して考えるならば、確かに高い保育料を払ってでも認証保育所に預けたいという親御さんももちろんいることは私たちも知っていますよ。しかし、東京都が本当に力を入れてやるべきは、認可保育園の保育園児の枠を広げて、極力広げて、やっぱり今までの保育料の基準で預けられるところをふやすというのが本筋だと思うんで、そのことだけは申し上げておきたいと思います。  終わります。

●老人医療費の増額はなぜ必要か

◯野村委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。  発言を願います。

◯曽根委員 予算概要の二ページに、高齢者の福祉増進ということで、老人医療費(国制度)の助成の三十四億円の増額補正が載っているんですが、老人医療費、国制度ですから、この間、対象者が大きく変わったわけでもなく、恐らくこれは介護保険との関連で増額補正をしなければならなくなったのではないかと思うんですが、どういったことでこの三十四億円が必要になったのか、全体がわかるような形でご説明いただきたいと思います。

◯若林保健福祉部長 補正予算に計上しました三十四億円につきましてご説明させていただきます。  老人医療費の補正予算額三十四億円につきましては、今年度の老人医療費、国制度でございますが、老人医療費都負担の所要額が四百四十九億円になる見込みとなりました。当初の予算額は三百八十九億円でございますので、おおよそ六十億円の不足が生ずることとなりました。議決をいただいた既決予算の範囲内、二十六億円を流用することといたしまして、不足の三十四億円の補正をお願いする、こういうことでございます。  この要因でございますが、介護保険法の施行に伴いまして、これまで老人保健で賄われていた医療サービスのうち、老人保健施設入所者の療養費、療養型病床群の入院費などにつきましては、介護保険でのサービスに移行することとなったわけでございます。しかしながら、実際には介護療養型医療施設への転換が進まなかったことなどから、所要経費に不足を来すこととなったものでございます。

◯曽根委員 わかりました。  つまり、この介護保険に、老健施設は全部移ったでしょうけれども、療養型病床群は医療型と介護型がまだ同居しているといいますか、両方並立しているという中で、医療型から介護型に転換するところが非常に少なかったということが原因だと思うんですが、そうすると、二十六億円措置したというのは、多分介護保険で払うはずのお金が、結局この老健法対応の医療型の方で払う分に回したのかなと思うんですが、その点が一点。  それから、介護型に移らないということについては、担当しているというか、現場の医療機関のところで躊躇する原因がやっぱりあると思うんですよね。医療保険でやってきたのを、介護保険の、報酬の支払いが、全く仕組みが変わるわけですよね。どういう点がやっぱりネックになっているのかと。それをもちろん打開していこうというふうに東京都は考えていらっしゃると思うんですが、都段階でこういうふうに解決していきたいというふうに思っていらっしゃることがあれば、お聞きしたいと思います。

◯若林保健福祉部長 二十六億円の予算流用に関するご質問でございますが、行政の科目としての高齢福祉費の中で流用していくということで整理させていただこうとしているものでございます。

◯吉川介護保険室長 介護療養型医療施設へ指定申請が進まない理由についてのお尋ねだったと思います。  幾つかの要因が考えられますが、三つ程度挙げさせていただきますと、一つは、介護報酬と診療報酬との関係で、介護報酬より診療報酬の方が相対的に有利であるというようなことがいわれております。  二点目は、介護報酬の方は要介護度別に報酬額が異なるということから、経営的に不安定であるというようなことが指摘されております。  三点目については、若干介護報酬とはかかわりはございませんけれども、介護型への移行に伴いまして、一人当たりの居室面積を広げるというようなことも指摘されているところでございます。

◯曽根委員 三つの原因というべきことがお話にあったんですが、先ほど解決の方向について考えていることがあればとお聞きしたので、もしありましたらお願いします。

◯吉川介護保険室長 指定申請促進に向けた取り組みというお尋ねだと思います。  介護保険制度における基盤整備は、東京都の大変重要な役割だというふうに認識しております。今後も関係機関に対して指定申請の促進を働きかけますとともに、十三年度からは、これまで年四回の申請受け付けということでやってまいりましたけれども、毎月の受け付けという方式に変更したいというふうに考えております。  さらに、今回の本会議におきまして、関係局から、この介護療養型医療施設への指定促進に向けた取り組みが答弁ございましたので、若干触れさせていただきますが、衛生局の方では、平成十三年度から新たに創設された介護療養型医療施設整備事業、都市計画局の方では、介護療養型医療施設などについて容積率など建築規制の緩和措置の検討、これらの取り組みが答弁として出ておりますので、これらも通じて指定申請の促進に努めていきたいというふうに考えております。

◯曽根委員 私、この間の本会議でそういう答弁があって、つまり、介護型の療養型病床群をつくるために、いわば援助も含めて、つくりやすくする、移行しやすくするということについては、いろいろとやっていかなくちゃならないと思うし、私たちも必要なものは賛成して応援もしたいと思っております。  ただ、もっと大きな要因として、これからどうなっていくのかなと思ったときに、今、医療型の方が診療報酬が若干有利だというのが原因になっているという話がありましたよね。これが一月から老健法が一割負担になる。入院もそうですよね。介護保険と基本的に同じになるわけですよね、七十歳以上の方は。ですから、そういう面でいうと、もう介護の方に移っても、診療報酬の、今までは実質七%ぐらいですか、医療の方は。だから、若干差があったのが、差がなくなる。  さらに、私、影響が大きいだろうなと思うのは、六十五歳から七十歳の東京都のマル福がなくなっていくということになれば、そこは国保で三割負担になってきますよね。入院もそうですよね。だから、マル福が外れていくのに伴って、医療型の療養施設よりも介護型にいく方が、どっちも負担は重いけれども、一割負担の方がまだましという状況になっていくのかなと。そういうことも東京都としてはいわば促進材料として考えられると思うんですが、そういうことも含んでおられますか。

◯金内高齢政策部長 先ほど、介護保険室長あるいは保健福祉部長の方からお答えしましたとおり、私どもといたしましては、介護型の療養型病床群をやはり誘導していく必要があるだろうということで、その手だてを申し上げました。  ただ、基本的に医療保険と介護保険、あるいは保険外負担も含めまして、若干そごがあることは確かでございますので、その辺については国に要望していきたいというふうに思います。

◯曽根委員 私、介護として対応すべきお年寄りの状態に対して介護型の療養施設をつくっていく、それを促進するというのは、大いに結構だと思うんですよ。しかし、結局なかなか移らないなら、本人負担を医療施設の方を重くすることによって押し出していく。いや、結果、そうなるんですよ。三割負担になるんですから、六十五歳からは。というようなやり方で、結局、お年寄りに負担をかける形で医療から介護に押し出すというふうなやり方が、いかにも、何というか、やり方として納得できない。  介護型の施設をつくるためにいろいろ誘導策をとる、これは大いに結構なんだけど、そういうふうになってくると思うんですね、間違いなく。ほうっておいたって、大体もう介護に移っていくだろうというふうに恐らく腹の中で思っていらっしゃるんじゃないかと思うんだけど、そういう形でのやり方については、これはマル福そのものを廃止、我々はもう大反対なんだけれども、同時にこういう問題も起きてくるという点で問題提起をしておきたいなと。  マル福の問題は、もっと別の機会にやることがあると思いますので、これぐらいにしておきます。

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