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2002年11月14日文教委員会
生活文化局事務事業質疑

●私学助成充実を求める

〇曽根委員 私も私学問題について質問をさせていただきます。
 質問に先立ちまして、先ほど石川委員から千代田学園のことについてのお話がありましたが、私どもにも、この学園に通う生徒さんや家族の方から、切々とした要請、要望がされておりまして、既に請願、陳情でしたか、出されております。これは、東京都が六億何がしの補助金を出していくことに伴う行政責任があることはもちろんですけれども、千人以上に及ぶ生徒さんや家族の、何百万もかけて、何年もかけて通ってきた勉学の場がなくなるかどうか、それをまた保障できるかどうかという、東京都に問われているのは、道義的な責任もあると思います。そういう点で、私たち都議会としても無関心ではいられない問題だというふうに思っておりましたので、ぜひこれを機に、文教委員会でもできれば、場合によっては集中審議も含めて、やはり関係者も含めた状況もお聞きするというような場を持っていただければというふうに思っています。過去には、四年か五年前に、同様の問題のときに東京都が、公式か非公式かわかりませんが、専修学校の生徒さんたちが他に転学するために骨を折ったという経過もあったやに聞いておりますので、行政として何ができるかということも含めた論議の場を、ぜひ委員長にはお願いしたいと思います。

〇渡辺委員長 ただいまの件につきましては、理事会で一応検討させていただくということで、承りました。

〇曽根委員 それでは、質問に入らせていただきます。
 私学行政については、どうしても避けることができないのは来年の財政問題です。これは、予算見積もりの中身については別の機会に譲りますが、ことし七月に、来年度予算の見積もり編成について、依命通達と同時期に、財務局の「財政再建の取組状況と平成十五年度予算編成」と題してのパンフレットが出されまして、この中で、財政再建に向けて何がハードルになっているのかという問いに答える形で、一つは、都税など収入見通しが厳しいことと、二つ目に、高どまりを続ける経常的な経費の存在を挙げています。

 この例として、給与関係や、また区市町村補助とあわせ、私立学校経常費補助等を例示しているわけです。この財務局のパンフレットの指摘、高どまりを続ける経常的な経費の代表例として私学助成を挙げているということについて、生文局としてどのように受けとめておられますか。

〇中澤私学部長 ご指摘の財務局のパンフレットの記載は、厳しい財政状況のもと、総予算が減少している中で、私立学校経常費補助等の減少割合が少ないという点であろうと考えております。私としては、経常費補助等の公費助成が、公教育の一翼を担っている私立学校の運営のために大変重要な役割を持っていると認識をしております。今後とも、私立学校経常費補助について、補助率二分の一を堅持するほか、適切な補助の実施に努めてまいりたいと考えております。

〇曽根委員 生文局として、経常費補助の二分の一補助の原則を守っていくというのは当然なんですが、この財政パンフレットでは、高どまりを続ける経常的経費がなお多く存在しており、今後の歳出削減の課題となっていると、かなり踏み込んだ、いわば歳出削減の対象としてとらえているという表現も書かれております。さらに依命通達では、重要施策や重点事業は特別扱いはされるものの、それ以外については、局全体で一律一〇%のシーリングを本年同様来年もかけるということが記されておりましたけれども、生文局の来年度予算見積もりでは、これはそういう形になっていない、削減にはなっていないわけで、本当に財務局のこうした財政締めつけといいますか、そういう攻勢に対してきちんと対抗できるだけの根拠を持っておられるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。

〇中澤私学部長 既に先ほども申し上げましたように、経常経費等の公費助成は、公教育の一翼を担っている私立学校の運営の重要性をきちっと理解されてきた部分があるというふうに思っておりますし、また、現在の経常費補助、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化、この三つの目的は極めて重要なものであるというふうに思っております。

〇曽根委員 私、公教育の中での私学の役割を、もう少しきちんとわかりやすく押さえていくことは、生文局さんとしても非常に重要ではないかと思いまして、勝手ながら少し調べてみたんです。
 それで、二〇〇〇年度の決算ですね、一般会計予算に占める教育費の割合を関東近県と比較してみますと、埼玉では教育費が一般会計の三一・九%、千葉県では二九・九%、神奈川では何と三三・八%も占めているわけなんです。これに対して東京都は、一般会計約六兆円ですが、その中で教育予算の占める割合は一四・六%にとどまっている。

 もちろんこれは単純な比較はできません。都の予算には都区財調という特別の、他県にはない財政も入っている、一兆円ぐらい。これを除いて厳密な比較は、これは行政の方はいろいろやる方法はあるでしょうけど、私が都区財調を除く大ざっぱな比較をしてみても、東京の教育予算は、都区財調を除いても大体二割。他県は大体平均して三割。この一割程度の違いというのはどこから来るのか。これは、教育庁予算がもちろん入っていますので、さまざまな教育関係の施設や、また人の配置その他、東京都は他県に比べて区市町村にかなり押しつけている面があるなというふうに私は感じているから、それもあるでしょう。しかし、この一割、一般会計でいえば約六千億に及ぶ他県との格差の中には、間違いなく、東京で高校の六割、中学の三割近くを私学に担ってもらっているということによる東京都の公教育負担の軽減がされている分が入っているのは間違いないと思うんですが、私学部長、いかがでしょう。

〇中澤私学部長 ただいまの他県との比較は、私どもは現在しておりませんので、今にわかにお答えするということはちょっとできないと思います。

〇曽根委員 私も、大ざっぱな話をしていてもしようがないので、その逆の面から、つまり、私学に通っている子どもたちが東京で他県よりも多いことははっきりしているわけですから、そういう子どもたちをもし他県並みに公立で受け入れた場合に、どれくらいの違いが出てくるのかという面からいろいろ積算をしてみたんですよ。試算をしてみた。
 例えば、高校でいえば、高校生一人当たり教育費で、これは大体東京都が九九%ぐらい負担してますから、百十六万円ぐらいかかる。これに対して私学に行っている高校生には、三十五万円ぐらいの私学助成を都が負担している。その差額である約九十万円弱、他県からの高校生もいますから、その分を除いても、約八百億円ぐらいの違いが出てくるんですね。
 他県では大体三割ぐらいが私立高校生ですから、その差を考慮すると、約八百億円ぐらいの違いがある。小中はもう少し複雑で、これは義務教育ですから、東京都は人件費のみの負担で、大体四割ぐらいの負担です。それにしても、中学では二五%ぐらいが私立、小学校でも、東京では五%近くが私立へ行っていて、他県では一%程度です。そういうことも考えると、小中でも、都の負担として約三百億程度、つまり高校の半分かちょっと少ないぐらいは、やっぱり差がある。
 合計すると、小中高だけでも大体一千億から一千二百億程度、他県と比べて私立に多くを担っていただいている。それには、父母の大変な負担や、私立学校関係者の経営努力があるわけですね。それに負っているために、東京都が、教育費の負担が軽減されている部分があるというふうに−−。

 これは、担当局である生文局の方でも数字的には出てくると思うので、ぜひ調べていただいて、これがもしちゃんと正確なものが出れば、私学助成一千億ちょっと、高どまりどころか、むしろそれを上回るぐらいの額を、いわば東京都は教育予算の中で負担を、私学の人たちに負っているんだという意味では、私学助成というのは、高どまりどころか、むしろ私学の人たちに還元するさらなる充実が必要じゃないかということになると思うんですが、これは、三宅さん、局長になって初めての場なので、私学助成の充実に向けて、改めて決意をお聞かせいただきたいと思います。

〇三宅生活文化局長 ご指摘のとおり、特に東京におきます私立学校は、江戸時代からの寺子屋の伝統を踏まえて、長い歴史がございます。そういったことを踏まえて、それぞれ私立学校では、独自の校風や教育理念のもとに、さまざまな教育を展開していると理解しております。
 それから、先ほど来部長からも申し上げていますように、私立学校全体としては、通常の府県よりは私立学校に通う生徒の数も多いわけでございます。そういう意味では私立学校が公教育を、都立あるいは公立の学校ともども重要な一翼を担っていると理解しております。
 私どもとしては、厳しい財政状況ではございますけれども、私学振興の意義を十分に認めて、それを踏まえながら今後ともさまざまな努力をしていきたい、こう思っております。

〇曽根委員 局長さんの決意をお伺いしましたが、引き続き今の立場で努力をお願いしておきます。
 それで、先ほど部長さんがお答えになった二分の一補助の問題についてなんですが、標準的運営費の二分の一補助の原則、これを堅持していきたいというお話でしたが、この公立学校の二分の一という建前は、実際は実態と乖離しているというのが前から問題になっていました。きょう資料をいただいたわけですが、資料の二ページにあります私立高等学校生徒一人当たりの経常費補助額、これに対し都立高等学校生徒一人当たりの教育費、これが実際にかかっている費用で比較した場合の割合になるわけですが、最新の決算が出ている十二年度でいえば、補助額三十五万八千円に対して百二万六千円ですか、約三五%になりますね。これは以前はもう少し高かったんじゃないかと思うんですが、財政健全化計画で減額が始まる前の私学助成の段階では、平成五年あたりではどういう割合になっているでしょうか。

〇中澤私学部長 平成五年度で申し上げますと、私立経常費補助が一人当たり三十三万六千六百三十円でございました。都立が八十五万五千九百六十一円でございまして、その割合は三九・三%。平成六年度で三七・七%、平成七年度で三五・六%、平成八年度で三五・〇%、こういうふうになっております。

〇曽根委員 もともと平成五年の段階でも三九・三%ですから、標準的運営費の半分といっても、実態は四割。要するに標準的運営費そのものが実態の八割をカバーしているに過ぎなかった。しかし、今日は、三五%掛ける二ですから、七割しかカバーしてない。それもだんだん下がってきている。実態から離れてきている、補助の基準になるものが。これはどういう原因が考えられますか。

〇中澤私学部長 約四割から三五%前後、四、五%落ちてきているわけですけれども、その前に、全体としての割合が四割、三五%で少ない、こういうお話がございますけれども、公立にあって私立にない経費、あるいはまた、その逆もありまして、一人当たりの経費が必ずしも二分の一になるということはございません。その辺はご理解いただきたいと思います。
 今の原因でございますけれども、公立の決算値である地方教育費と経常費補助の生徒一人当たりの額を単純に比較することは大変難しゅうございます。原因の一つは、公立と私立の生徒数の減少率と教職員数の減少率に差があるということが挙げられるのではないかと思っております。平成五年度と十二年度を比べますと、都立の全日制高校の生徒数が一九・九%、約二〇%減少しているのに対しまして、教職員は九・七%の減でございます。
 一方、私立高校のそれは、生徒数が一四・七%の減少に対しまして、教員数は九%減、こうなっておりまして、教職員数がほぼ同程度の割合で減少して、運営費中のウエートが高い教職員の人件費が同様に減少したにもかかわらず、生徒数の減少割合が公立の方が多いために、一人当たりの単価が公立の方に高く出るというふうに考えられます。

〇曽根委員 かつて八割程度。これは、ほかにも私立、公立の違いを見なければなりませんから、今、部長がおっしゃったように、単純にこれが一〇〇%になるのは、というふうにはいえないでしょうが、それにしても、その後、落ちているということについては、明らかに標準的運営費の算定の仕方がだんだん実態から離れてきていることは間違いないと思うんです。
 これは、青島知事時代に行った財政健全化計画で、共済組合の負担分など幾つかの削減項目をつくって、それが昨年度、今年度までやられてきているということが大きな原因だと思いますが、最近、私どもの会派に私学協会の方々が要望に来られて、その中でも、時代の趨勢に見合った標準的運営費の見直し、改善が必要じゃないかということが掲げられておりました。これは生文だけの権限ではもちろんないわけですが、担当している私学助成の根幹を担っている問題ですので、生文局としてこうした要望にこたえていく努力をすべきだと思いますが、この点でのご見解をお願いします。

〇中澤私学部長 経常費補助につきましては先ほど申し上げましたが、教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化という三つの大きな目標を持って進めてきているところでございます。極めて重要な施策でありまして、今後も、東京都の厳しい財政の状況を踏まえながら、私学振興の観点から適切な予算の確保をしていきたいと思っております。

〇曽根委員 標準的運営費の算定基準について、直接のお答えはなかったんですが、ぜひ算定基準の見直し、改善も含めて、実質的に私学助成が、本当の意味で公立の二分の一に近づくような手だてを打っていただきたいと思います。
 もう一つ、極めて今日的な問題として、不況の影響で家庭の経済事情の悪化で、私学への進学や通学を断念したり、授業料の滞納をせざるを得なくなるケースが急増している問題があります。我が党も強く要望してきましたが、これに対応するための授業料減免制度に、都の三分の二の補助が実現いたしました。しかし、その普及が必ずしも思わしくないように見受けられます。現在、減免制度を持っている学校は、私立高校でどれぐらいの割合になるでしょうか。

〇中澤私学部長 授業料の減免規定を設けている学校でございますけれども、都内私立高等学校二百四十校中、平成十二年度に、補助対象となり得る、家計状況による授業料の減免規定を設けていた学校は六十七校、二八%、平成十三年度は七十四校、三一%でございまして、平成十二年度に、補助対象となり得る、家計急変による規定を設けていた学校は六十校、二五%、十三年度は七十二校、三〇%でございました。

〇曽根委員 まだ三割という段階です。今、生徒の家庭の状況の厳しさに対する学校側の認識、また、学校の伝統やグレードといいますか、そういうものにまだこだわっている風潮があるように聞いております。今までならば、一流企業や一流の金融機関の管理職など、間違いないといわれていた家庭が、今では必ずしも安泰ではないという状況です。そういう点で、これは学校で採用しなければ、その生徒さんは適用できないわけですから、この制度をできるだけ一〇〇%の学校で用意することが可能になるように、PRも必要じゃないかと思いますが、いかがですか。

〇中澤私学部長 授業料減免補助につきましては、各学校が減免規定を整備しまして、学校がそれを積極的に活用して、児童生徒の修学継続に役立ててもらうことが重要であると考えております。理事長・校長会、あるいは説明会を初めとして、これまでも機会あるごとに趣旨を訴えてきたところでございますし、今後とも積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。

〇曽根委員 ぜひお願いしたいと思うのです。
 それで、この事業については、都の単独事業で、国からの補助が出ていません。今、国の制度もつくっているんですが、聞くところによれば、都の事業を参考にして国も立ち上げたというふうに聞いているんですが、残念ながら国は当年度主義、都は前年度の実績で補助をするという制度の違いのために、国の補助が出ていないというふうに聞いています。これはぜひ他県同様国の補助が受けられるように、政府に対する要望を強めていただきたい。あわせて、私どもは、現在三分の二の補助を、都としては全額補助に拡充する決意が必要だということも指摘しておきたいと思います。

●都の法律相談廃止問題

 次に、都民相談の分野について幾つかの問題を取り上げたいんですが、最近、直接都民が相談に出かけたり電話をかけたりして、相談に応じてくれる窓口、都民利用の施設が相次いで閉鎖されたり縮小されています。この文教委員会で扱っている教育庁の方も数多くの施設を廃止しているわけですが、生活文化局でも、今年度になって相次いで、都民相談の場所がなくなったり縮小しました。
 まず取り上げたいのは、第一回定例会でも質問しましたが、都民相談室の法律相談の廃止問題です。昨年に比べて、ことしは体制を八割に縮小し、来年度はもう一切やらないというふうに計画されているようですが、年間八千件もの相談者が来るわけです。
 それで、今年度についてお聞きしたいんですけれども、八割に規模を縮小したというふうにされていますが、相談件数の方はどうなっているのか、どういう対策を講じているのかをお聞きします。

〇佐藤広報広聴部長 法律相談でございますが、今年度の法律相談は、従前どおり月曜日から金曜日まで毎日実施しておりますが、担当弁護士の人員を十三年度の八割規模に設定をして実施しているところでございます。十四年度の前半期における相談実績は、三千六百八十七件となっております。その相談内容を見ますと、例年と同様の傾向でございますが、不動産売買契約や賃貸借契約などの住まいの関係、それから財産相続や離婚などの家族関係、さらには、金銭貸借や購入商品の解約などの消費関係の相談事項が上位を占めている、そのような実情でございます。

〇曽根委員 八割の体制にもかかわらず、前半期で既に、昨年のペースからいって、実際には九割ぐらいですか、半期ですから。年末、年度末にかけて相談はふえる傾向にありますので、昨年同様の件数が相談に来る可能性が十分にあると思うんです。実際には弁護士さんの数を減らしているのにもかかわらず、それだけの件数をこなせるというのは、どういう工夫があるんでしょうか。

〇佐藤広報広聴部長 後半期の方が、開設日が日程上多少少なくなりますので、必ずしも、今、委員ご指摘のとおり前年並みという形になるかどうかはわかりませんが、現在、八割の設定の中で、それ以上に実施している実情でございますが、相談内容によりましては短時間で済む案件等がございますので、若干の範囲ならば、現場サイドで弾力的な対応が可能である、こういうところで工夫をしているところでございます。

〇曽根委員 都の相談は、区市町村などと違って平日毎日やっている。大体曜日が限られている区市町村に比べて、休みがとりにくい人や緊急の相談者には非常に助かる制度であります。また、最近、先ほど例のあったように、相続や住宅問題など、法律問題のトラブルはふえてきていまして、我々議員の事務所でもそれぞれやっているわけですけれども、予約がふえております。年間八千件もの相談があって、これを来年はもう完全に廃止する。区市町村で吸収するにしても、今どの区市町村でも、相談の充実は、大体行革のあおりで、むしろ減らす傾向なんですね。一体どこで吸収するのかというふうに思うんですが、都としては、どこかでやってくれるという見通しを持ってやっているんでしょうか。

〇佐藤広報広聴部長 都内での法律相談の実績でございますが、東京都は、今お話しのとおり、年間約八千件を実施してきておりますが、ほかに区市町村の窓口で、全区市で既に窓口を開設し実施してきております。区市で年間約六万件ほど受けております。また、そのほかに、財団法人の法律扶助協会が無料で相談をしておりますのが約三万三千件、さらには弁護士会で、これは若干の料金を払いますが、ここで相談を受けておりますのが約三万八千件というようなことが、法律相談の都内での実績ということで、合計約十三万九千、十四万件近い法律相談を受けているところでございます。
 そういう中にありまして、都の占める割合は非常に少ない。この全体でいけば五・八%というような状況になります。さらには、十三年度以降、法律扶助協会なり弁護士会でも窓口の増をしているというような状況にもございまして、区市の全部で開設されている等々の状況をあわせかんがみますと、都が重複して実施していく役割は極めて薄くなったというふうに判断しているところでございます。

〇曽根委員 有料のものを入れれば確かに十四万件ありますが、自治体でやっているものや法律扶助協会は無料相談ですね。これから見ると、一割近い割合を都が担ってきたわけです。無料相談としては非常に大きな位置を占めているし、ほかの自治体で取ってかわることは難しいと思うんです。どこの自治体も、全体としては今減らす傾向ですから、満杯です。そういう点では、都が直接都民のこうした相談に応じる姿勢をきちっと堅持するということが、都政を進める上でも重要ですし、また、その実態から見ても、これをいきなり切るということになれば、必ず大きな混乱が起きるということを指摘しておきたいと思うんです。再開、今の体制を維持できるよう、再検討を強く求めておきます。

●消費者相談について

もう一つの都民相談窓口である消費者総合センターについてお聞きします。
 ことしから多摩の窓口が廃止されて、電話相談が飯田橋の本部に一括をされました。電話の本数は確保したということですが、先ほどお話のあったように、スタッフを本部としては強化して、チームをつくったりして、重要な案件については統一処理ですか、そうしたものもできるようになった。その成果も上がっている。二十九件ぐらいあったということでした。その点は評価できると思うんです。しかし、その犠牲によって、多摩の方は窓口に来ても、いないし、電話は転送されるという体制になっているわけです。私は、電話相談についても決して足りている状況じゃないと思うんですよ。
 ちょっと一例だけ簡単にいいますけれども、私のところに相談が、秋ぐらい、九月ぐらいにありまして、それはインターネットで、インターネットは普通無料で見ていけるわけですが、知らないうちに有料ゾーンに入って、後から請求が来たというものです。そういった、要するにわからないように有料に誘導するようなやり方が、一部の業者、それもKDDIとか非常に大きな電話通信会社が間に入ってやられているという相談で、これは大きな問題だから、都の方に電話したそうなんですよ。そうしたら、つながらないと。しようがないから北区の相談室にかけた。これまたつながらない。それで、しようがなくて議員のところに電話が来たというわけなんです。私の方も電話をかけたけど、やっぱり東京都もつながらない。北区もつながらない。それで、やむなく担当の課長さんにお電話したんで、担当した方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、それで聞いてもらったら、それが非常にふえていると。もしかしたら二十九件の統一処理の中に入っているのかもしれませんが、相談がふえているということで、それで、苦情の受け付け先の電話番号や何かを教えていただいた。いってみれば、わきから消費者相談センターを利用させてもらったんですが、こういうことはよくないと思うんですよ、はっきりいってね。議員にたまたま知り合いがいる人しか利用できないんですよ、これは。(「何で出なかったんだ」と呼ぶ者あり)電話かけると鳴るんですよ。出るかなと思うと、テープが流れて、東京都の方は、地元の区市町村でも相談を受け付けていますと誘導するわけです。それで区市町村へかけると、北区は、ただいま電話が込み合っております、一たんお切りになって後でかけてくださいと。何度かけてもかからないんです。北区だけじゃないですよ、恐らく。
 そういう意味で、やっぱり電話の相談が、少なくとも二、三回かければつながるぐらいのところまで持っていかないと−−スタッフは非常に強化されて、こういう悪質なケースに対応できるネットワークを今つくっているというお話もあったから、それはいいことなんですけど、その成果が、いろんな形で入ってくる相談につながるところまでいかないと思うんですよ、電話がこれだけ込んじゃうと。電話がかかりにくいという話は聞こえているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

〇高田消費生活部長 お話がございました、消費生活総合センターに相談電話をせっかくかけても、なかなかかかりにくいというふうなお話でございますけれども、相談処理に当たりましては、内容にもよりますけれども、時間をかけて丁寧な聞き取りや助言に努めていることもございまして、回線がふさがっていて電話がかかりにくいという苦情もいただいている状況は確かにございます。
 私ども、相談を受けて解決に当たるということのほかに、確かに類似の相談がいろいろございまして、そういったものを適切に情報提供することによって、未然に被害を防止する、ないしは自主的に解決していただく手だてがないかというふうなことで、例えばホームページ上に相談事例集や、実際クーリングオフの仕方などを紹介するとか、都民にわかりやすい形での一方での情報提供にも努めてございます。毎号十二万五千部発行してございます消費生活情報誌「東京くらしねっと」にも、最近こんなふうな問題が出てますよ、というふうなことの情報提供は行って、図書館などの公共施設のほかに、都民が手にとりやすいような銀行、スーパーマーケットなどにも置いていただいて、情報が流れるようにしてございます。
 それから、新手のいろんな被害をもたらす事業者のやり方、いろいろ出てくるわけですけれども、そういったものにつきましては、緊急消費者被害情報というのを発しまして、報道機関を通じるとともに、ホームページ上にも掲載して、くれぐれもご注意いただくようにというふうな形でのさまざまな工夫をした情報提供もとうにやっております。

〇曽根委員 都民が出かけていけば、いろんな窓口や何かにそういう情報が置かれていたり、インターネットを使える人はのぞいてみることができると。一方通行の形ではあるけれども、そういうものはありますというお話はわかりました。
 しかし、こういう相談事業というのは、やっぱり最終的には相談者の身になって体制をつくらなければならないと思うんです。区市町村であっても、都であっても、電話相談を受けたときに、これは都の方で処理すべき問題とか、これは簡単に身近で解決できる問題とか、振り分けができて、それで、どこにかけても大体つながるのであれば、そういうネットワークができていれば申し分ないわけですが、実際にはどちらもかかりにくいというのが率直な現状です。したがって、長年の実績がありますから、東京都の消費者相談は、そういう点で東京都に信頼を寄せて、電話が期待してかかってくる以上は、電話相談の数に対応できるよう、台数と人をふやすことがやっぱり必要じゃないかということを求めておきたいと思います。
 それから、人的相談といいますか、直接の相談の窓口の話なんですが、多摩のセンターが閉鎖になって、直接相談は、飯田橋に行くか、もしくは予約をして、多摩のセンターに相談員に来てもらわなければなりません。私は消費生活対策審議会の方にも出ておりますが、最近、広域にまたがる悪質商法がふえていることだとか、また、大手メーカーの偽装表示だとか、違反の添加物の使用とか、都道府県のセンターの役割は非常に、むしろ重要になってきていると。区市町村では賄い切れない問題が多いという点で、都の消費者相談はさらに充実が必要だという論議がされております。それもあって、最近、都の条例の改正で、都の相談員に、被害者と業者の間に入ってあっせんを行うという権限も付与されたわけです。そういう点では、区市町村ではなかなか処理し切れない大きな問題がふえている現状のもとでは、そしてまた、悪質化しているものが出ている現状では、直接の相談を都としてきちんと受けていく、できるだけ身近なところに相談の窓口をつくっていくという、都の広域行政としての相談事業の役割はますます大きくなっていると思うんですが、いかがでしょうか。

〇高田消費生活部長 確かに、委員、お話がございましたように、さまざまな消費者をめぐる問題が出ておるわけでございますが、消費者問題というのは、とりもなおさず毎日の日々の生活の中で生じてくるものでございます。そういったことでは非常に身近な問題でございまして、まず第一義的には、区市町村の窓口においてこれを受け付けるというのが、行政の中における基本的な役割というふうに私どもは考えてございます。
 ただ、お話がございましたように、新手の手口が出てきたり、非常に複雑巧妙化しておりますので、それを個々、区市町村の窓口でばらばらにやっていては、なかなか十分な対応がし切れないというふうなところがございます。あるいは、区市町村の窓口ではまだ十分体制が整ってないというふうなこともございますので、そういったことについて、東京都として広域的ないしは区市町村と連携する、あるいは区市町村に対する支援をする意味で、専門的な機能を高めて、連携しながら、こういった相談にはこういうふうに応じてください、あるいは、問題を起こしているこの会社は最近こういうふうな状況にありますよというふうな情報を適宜流しながら、それぞれの窓口で、あるいは連携して、そうした問題にこたえられるようにしているわけでございます。

〇曽根委員 いずれにしても、今、部長さんがお話しのように、悪質なケースや広域にわたるそうしたトラブルがふえているのは事実であって、この分野は、いずれにしても思い切った拡充が必要だという認識では一致していると思うんですね。で、当然、あっせんの権限も持ち、直接、業者と被害者の間に入るということも、今後大規模に出てくる可能性があります。そういう点では、飯田橋に質的にも量的にもスタッフを強化して、どんな問題が起きても対処できるようにという研修や研究を深めていくことは、大変すばらしいことと思うんですが、多摩がその犠牲になっているというのは、同じ都内に住んでいる都民としては、私は、多摩の住民は納得できないと思うんです。そういう点で、飯田橋のスタッフの強化は当然としながらも、多摩の窓口がせっかくまだ残っているんですから、直接相談の窓口を再開していくということも検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇高田消費生活部長 相談業務を飯田橋の消費生活総合センターに集約いたしましたのは、都の相談処理の専門化を進めることによりまして、区市町村への情報発信や専門的助言の提供などを充実し、区市町村への支援につなげていくことをねらいとして始めたものでございます。都は、現行の相談体制を維持しながら、都域全体の相談処理のレベルアップを図っていく考えでございます。
 なお、来所により相談を希望する方々に対しましては、多摩消費生活センターにおいて、お話がございましたように予約による相談を受け付け、きめ細かな対応を図っているところでございます。

〇曽根委員 最後に意見を申し上げますけれども、今、質的な強化と迅速な対応ができるようにというようなお話は、一方ではやられていると思うんですが、消費者対策の予算として見れば、今はかつての半分ですよ、都の消費者対策予算は。そういう点で、そのしわ寄せは、極端ないい方をすれば、押しなべて多摩の方に集中しているような気がするんですよ。ほかの福祉や保健衛生や教育その他の分野も、やっぱり都の多摩の施設がどんどん削られていく。この生活文化局に関しても、多摩の都民はなぜいつも一人前の都民サービスが受けられないのかという問題は引き続き残るということも指摘しておきたいと思う。改めてまた別の機会にやりたいと思います。
 終わります。

大学管理本部事務事業質疑

〇曽根委員 もう既にお二方質問されておりますので、その流れの中で、できるだけ簡潔にやりたいと思うんです。
 今、お話を聞いていて、例えば、非公務員化問題でも賛成、反対論があると紹介されて、今、久保さんがお答えになった内容だったら、相変わらず反対論がそれなりに根拠を持って、また反論が出るだろうと。最後は、それをまとめられるような適切な方法をということで、適切で逃げられるということで、最終的な結論が出るまで、こういう議論の繰り返しをやっていたんでは、やっぱり本当の意味での改革論議にならないというふうに思うんです。その観点からちょっと申し上げたいんですけど、一つは、都立の大学ですから、改革ならば、最終的には都民の負託にこたえられるものにしなければならない。そういう点で、現在、何をどう検討しているかについて、都民がほとんどわからない状態で進んでいるということがあれば、これは大問題ですよ。ところが、昨年十一月に大綱発表以来もう一年になりますけれども、保健科学大学院とかビジネススクールとか、個々の事業の報告や議案はありましたが、都立の大学の改革の全体像がどうなっているのかについては、五月にペーパーが二枚出ただけですよね。これも委員会には報告されてません。議論もしてません。それで、例えば、四月まで法人化の検討の小委員会が行われていたわけですけど、それが設立準備委員会にどう引き継がれたのか。その節目があったわけですから、議会に報告があってもいいんだけど、なかった。
 それから、もう一つ非常に重大だなと思ったのは、四月までは、少なくとも大学の中では、この検討小委員会に出席していた各大学の代表の先生方が詳細の報告のメモをつくったり、検討委員会の資料はすべて学内でインターネットで公開していた。私たちものぞこうと思えばのぞくことができたわけです。ところが、その後、五月に設立準備委員会が始まってからは、この法人化問題を初めとして、ほとんど資料が出てこない。だから、職員や教員の方々も検討のあれに参加できなくなったという声が聞かれるんです。私は、すべてとはいいませんが、少なくとも学内で、当事者である大学の先生や職員の方、学生さん、そういう人たちを含めて、準備委員会でやっている議論の記録や資料については全面的に公開すべきじゃないかと思うんですけど、いかがですか。

〇菊地改革推進担当部長 大学改革の検討状況でございますが、昨年発表いたしました大学改革大綱は、改革の全体像をお示ししたものでございます。現在、四大学と大学管理本部で構成する都立新大学設立準備委員会のもとに、さまざまな分科会を設けまして、教育課程や入学者選抜など、大綱に掲げました基本的な計画の具体化を図るため、専門的な検討を進めています。各大学の教職員に対しましては、その過程や、この準備委員会などの開催の機会ごとに、必要な情報を明らかにしているところでございます。
 また、都民に対しましても、昨年の大学改革基本方針、大学改革大綱のほか、本年五月には新大学の基本構成を、七月にはチャレンジ入試、ゼミナール入試、九月にはビジネススクールの検討状況などと逐次公表してまいりました。さらに、運営諮問会議の議論につきましても、委員からの主なご意見等を開催の都度明らかにしているところでございます。
 現在、設立準備委員会におきましては、教育研究の実施方法等に関する専門的かつ内部的な検討を進めておりまして、今後とも、検討の進捗状況を勘案しながら、一定の取りまとめができる段階ごとに、都民にもわかりやすく明らかにしてまいります。

〇曽根委員 ちょっと確認しておきたいんですけど、今、必要な資料を出していると。さっきは、適切なものをつくると。適切とか必要というのは、大学の管理本部の側で判断してると思うんですけど、じゃ、なぜ全部公開できないんですか。四月まで、検討委員会、小委員会では、出された資料は全部、先生方が学内で公開していたわけですよ。だから、多くの都民の人たちも見ようと思えば見れたわけです。それが今できなくなっちゃってるわけですよ。なぜ隠す必要があるんですか。

〇菊地改革推進担当部長 先ほど申し上げましたが、現在の検討は、設立準備委員会等の中での分科会の専門的、内部的な検討、かなり技術的なものでございますが、この設立準備委員会を初め、このもとに置かれましたさまざまな分科会等の資料につきましては、可能な限り学内には公開しており、また、大学改革に関する有識者ヒアリング等につきましても、大学の教職員の自由な参加を得ているところでございます。一方、検討が緒についたばかりで、案としても未成熟な資料や、学内に公開することによって、かえって誤解を招くおそれのある資料などにつきましては、むしろ混乱を避けるためにも、会議に参加している教員の了解を得ながら、公開を差し控えていく責任もあると考えております。今後とも、学内に対しましては、可能な限り必要な資料の公開に努めていく考えでございます。

〇曽根委員 私、そういう発想が、最終的にはやっぱり誤解を招くことになると思うんですよ。ですから、今までもやってきて、大きな支障があったのならともかく、私ははっきりいって、そういうふうにオープンに議論しようという努力をしてきた検討小委員会の先生方、今度の設立準備委員会になってからは、そういうことをやる人を排除したんじゃないかと思うんですよ。そうすると、もう、技術的なことだとか、必要ないからとか、これは誤解を招くとかいうことで、管理本部の側がシャットアウトして、要するに情報を隠してしまう。そうすると、都民から見ればますます何をやっているんだろうかということになるんですね。四月までは支障なかったんですから、すべてオープンに、少なくとも当事者の学内についてはちゃんとオープンにして議論してやるべきだということを私は申し上げておきたい。
 そして、都民周知でこういった議論をすべきだという立場でいうと、聞こえてくるのは、組合の方の資料によると、結論として、先生は一八・六%削減しますというようなことが具体的にもう提案されている。我々には知らされていない。それから、キャンパスは、きょうの資料で見ると、現都立大学にほとんど集中するだろうということになっている。短大、夜間は廃止される。研究費も、かつての六割まで落ちてるんですけど、さらに減らされる可能性が強い。改革というからには、もっと夢や希望が出てくるのかと思えば、聞こえてくるのは、どうも統廃合、夜間、短大を廃止、キャンパスも縮めて教職員も減らすという話ばっかりなんですよ。ですから、これでは、将来こういう大学を、イメージとしても、中身としてもつくります、そのためにこうなんだというんじゃなくて、とにかく人、物、金を削るという話が先行して聞こえてしまうという点でも、私、この推進の側に立って考えても、非常に下手なやり方だなというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 それで、今年度いっぱいで何らかのまとめをするというお話がさっきちょっとありましたが、はっきりいって、それの内容を、例えば予算議会の中でとか、我々に報告をし、また都民にわかるような形で、何らかのビジョンなり構想なりを具体的なものとして出す用意があるんですか。

〇菊地改革推進担当部長 今、議員ご指摘の人員等の関係でございますが、これらは、具体的な検討の前提といたしまして、大学管理本部としての予算や人員を要求していくための案でございまして、今後、議会での予算審議などを経て決定される性質のものであると考えております。また、大綱にも既にお示ししてあるとおり、新大学におきましては、確かに夜間課程及び短期大学課程は置かないこととする一方で、ビジネススクール、法科大学院を初めとした新たな取り組みを考えております。また、新大学の教員定数につきましては、適切なスクラップ・アンド・ビルドと教育研究の維持発展を勘案の上、適切に定めていく必要があると考えております。

〇曽根委員 ちょっと答弁、いろいろ考えていくというのはいいんですけど、それをまとめた形で、例えば予算審議するには、こういうものをつくるので予算を通してくださいという話になるわけですよね。そういった何らかの、今年度いっぱいでまとめたものの結果を、我々に見える形で報告するとか、都民に具体的なものとして出すとか、何か用意があるんですか。

〇菊地改革推進担当部長 これまでも、検討の節目節目におきまして、まとめたものを作成しておりますし、そのような形でまた取り組んでまいりたいと考えております。

〇曽根委員 大学の構想全体については何か出すんですか。

〇菊地改革推進担当部長 昨年出しました改革大綱におきましては、全体の基本的な計画を出してきたところでございますが、さらに具体化したものを作成してまいる考えでございます。

〇曽根委員 いつごろ出すんですか。

〇飯塚管理部長 今の委員のご質問でございますが、予算等につきましては予算審議の中で十分ご議論いただきたいと思っておりますし、また、新しい大学についてまとめましたものについては、できるだけ早く新大学の全体の募集概要のようなものとしてまとめるつもりでおります。なるべく早い段階で年度内にお示ししていきたいと思っております。

〇曽根委員 募集概要なので、十七年度開設だから、十六年度ぐらいになっちゃうかと思ったら、年度内ということで……。

〇飯塚管理部長 今、募集概要と申しましたが、大変失礼いたしました。募集概要となりますとかなり詳細になりますが、入試の概要全体像でございます。例えば、どういう基本的な構成の学部であるとか、何名程度募集するとか、そういう全体の概要でございます。大変失礼いたしました。

〇曽根委員 最初から大学現場の先生方や学生や、そういう方々の声が十分聞かれたという話もなかったし、また、都民共通の財産であるにもかかわらず、インターネットではご意見伺いますと出てるけれども、都民の要望や意見を広く集約していこうというような、例えば調査活動だとかアンケートとかいうことも聞きませんし、いってみれば、具体的なことは、知事や、または少数の諮問委員の方や都庁の方でいろいろとまとめてきた。そういうことで大綱がつくられて、しかし、その後の議論はなかなか表に出せないと。いってみれば、今、そういうやり方のツケが回ってると思うんですよ。はっきりいって、都民から本当に魅力的に見られて期待が集まっているという状況じゃないと思うんですよ。

例えば全寮制の問題だとか、それから、諮問会議でも、聞くところによると、戦前の旧制中学がよかった、ああいうような場にしたいみたいな話が出てみたり、都民が本当に期待して、これはいいことだと求めているものとは違うんじゃないかというようなものが出てきて、それに振り回される。大綱にも全寮制と出てますけど、あれ、どうなるのか。

 私は、こういうやり方を本当に改めて、前から繰り返しいってますけれども、例えば都民参加、そういった関係の専門家も参加できる公開のシンポジウムとか、そういったものをやって、いろんな意見を集めるという努力もあってしかるべきだと思うんですよ。検討するというような話だったんですが、いかがですか。

〇菊地改革推進担当部長 大学改革の検討に当たりましては、初期の段階でも、学生の意見を聞く会、また教職員の意見を聞く会等を、十二年、十三年、十四年と回数を重ねております。また、これまでの議会でのご議論はもちろんのこと、都民からのご意見、都政モニターや企業を対象にいたしましたアンケート結果、外部有識者から成る運営諮問会議の意見などを踏まえまして、都立の四大学の教職員等で構成する大学改革推進会議での検討を経て、昨年十一月に大学改革大綱として計画を策定し、公表させていただいたところでございます。
 現在は、この大綱の基本計画に基づきまして、四大学の教員とともに、教育研究の実施内容の設計など専門的検討及び実施作業を進めているところでございますが、既に五月以降八十回以上の検討会議を重ねております。これも全部、教職員と一緒に検討を重ねているものでございます。現段階での大学改革に関するシンポジウム等の開催については考えていませんが、都民を対象といたしました教育研究のテーマ別の講座、セミナーや中小企業等の参加も得た大学のシーズマッチング交流会などの機会を通じまして、都民の方々の新大学へのご理解、ご意見をいただいているところでございます。今後とも、それぞれの場面、目的に沿った効果的な方法を考えてまいります。

〇曽根委員 何かいろいろ数を並べたんですけれども、大学改革の全体像そのものについての公開的なものは今のところないということなんで、改めて検討を求めておきたいと思うんです。

 それで、あともう少し、具体的な問題についても幾つか聞きたいんですが、一つは、先ほども質問がありましたが、国の法人化と違う道を歩もうとしているだけじゃなくて、私が聞きましたところ、五月に出された公立大学の協会、この第三次試案というところでも、また、八月の公立大学協会の申し合わせですか、の中でも、いずれも、公立大学の法人化は国立大学のそれをモデルにするというふうにされていまして、都立のように、法人の中で経営と教育研究の長を分離する方向はとっていないわけです。そういう点では、全国の公立大学協会でさえ、もちろんこれは法人化の推進の立場ですが、経営と教育研究の責任者が分離するのは好ましくない、国の方向で行くべきだとしているときに、法制化との関係でも、東京都が突出して、いわば異質な道を歩むということで、法整備上の問題はないんですか。それから、こういうことをやった場合に、教職員が本当に都立の方に、いわば求めて来るというふうになるんでしょうか。

〇久保調整担当部長 まず、ご指摘の公立大学協会のご意見でございますが、これは委員ご指摘の資料でございます。公立大学等に関する懇談会資料というところでお話を申し上げますと、各公立大学の法人化に当たりましては、国立大学法人をモデルとすることを試行しつつも、その運営組織につきましては全国画一的な制度を義務づけるのではなく、各設置者や公立大学が、それぞれの地域ごとの多様な性格に最もふさわしい運営形態を選択できるメニュー方式を採用すべきであるとしております。
 また、公立大学の設置者で構成いたします全国公立大学設置団体協議会におきましても、国立大学法人型の形態にとどまらず、公立大学を設置する各自治体の考え方に基づき多様な設置形態が可能になるよう、国に公式に要請しているところでございます。
 また、もう一点ご懸念の教員の異動についてでございますが、私どもも、これを妨げるような内容の改革をするわけではございません。教員の採用に当たりましては、公募制を原則とするなど、むしろ現在以上に適切な人事交流が進むことを目指しているところでございます。

〇曽根委員 そういうふうに、東京都は東京都らしくというのは、いいことをやるときはいいんですよ。しかし、これが本当に教職員の、特にまじめに頑張ろうという人たちを引きつける力になるのかどうかですよ。経営の長と教育研究の長を分離するということは、先生方、研究や教育を担っている方々が、直接はお金を握れないということなんですよね、単純にいえば。それは知事の意向、知事が任命する経営の長によっていわば采配される、それに従わなきゃならないという大きな問題が起きますよ。そういう点では、ほかの大学に比べて都立大が、教育研究者の側から見て魅力的になるかどうかというのは、根本問題としては難しいと思うんです。
 それから、もう一つ、非公務員化という問題がありますよね。これについて、先ほども、兼職ができるようになるとか、学内外での多彩な活動が活発にできるんだとかおっしゃったんだけど、じゃ、大学管理本部として、今、都立大学で頑張ってる先生方、多くの方には残ってもらいたいと思うと思うんですけど、そういう教職員の人たちに、こういう方針を受けて何らかの意向調査をやったのかどうか。そして、還元しているのか。特に、まじめに腰を据えて研究や教育に打ち込もうという先生方が、この非公務員化を受け入れようという方向になっているんですか。

〇久保調整担当部長 この非公務員型の採用の問題は、既に大学改革大綱の中で検討する趣旨を示しておりまして、現在、これを受けまして、その詳細を大学教員とともに検討しているところでございます。この非公務員型を採用することにつきましては、何分にも大学教員の方々にとっても経験のないことであり、戸惑いもあるものと思われます。もちろん賛成する教員の方もいらっしゃいますし、戸惑いを示す方もいらっしゃるということを私どもも承知の上の改革でございます。しかし、先ほど来ご説明してきましたメリットを考えれば、この採用は、国立大学を含めまして、いわば社会と時代の要請であり、今後、詳細な制度設計の段階で教員の方々とも十分に協議をしていくことで理解していただけるものと考えております。
   〔発言する者あり〕
〇曽根委員 今お話がちょっとありましたが、私立大学では既に教職員は非公務員でやってるわけです。経験はもちろん国立大学の先生方にないんだけど、私立大学では既にやられていて、それなりに歴史があるわけですよ。もちろん、かなり共通の部分もありますが、はっきりいって、私立大学の教職員の置かれている身分や立場は、国立大学の先生方から見ると、やっぱり学問研究に、後でちょっといいますが、本当の意味で公立大学が担わなきゃならない、基礎的、基本的なものをベースにした学問研究、今、産業にすぐに役立たないとしても、将来大きく社会に貢献できる、そういう展望を持った、長期的視野に立った研究などができにくいということははっきりしていますよ。私の子どもも某私立大学に行ってますけど、はっきりいって、大学院に行ったけれども、企業の委託研究の下請をやらされる。それで、ちゃんと名前を出しますということで、ある研究の一定の部分を担うんだけれども、約束違反で、論文の中に名前も出ないと。そういったことが繰り返されているんですよ、私立では。

私、やっぱり公立と私立の差は歴然としてあると思うんです。この点はもう少し今後も議論していきますが、そういう点で、私はやっぱり、公立の大学である以上、そこで働く教職員が公務員であるのは当然だという立場に立って、これからも議論していきたいと思います。
 もう一つ、学生の問題なんですが、大綱で全く触れられていない入学料や授業料の問題です。これは、学生にとっては教育の内容と同じぐらい重要な負担の問題になります。それで、授業料はどういうふうに考えていこうとしているのか。法人化した場合は、今までのように国の横並びではもうできないわけで、どういう設定になるのか、考え方があったらお示しください。

〇久保調整担当部長 平成十七年四月に新大学が発足いたしますが、その時点での入学金、授業料等につきましては、今後、都の内部でも検討すべき課題ではございますが、遅くとも、新大学の募集要項を配布する平成十六年四月ごろまでには決定したいというふうに考えております。
 また、新しい法人が発足した後は、法人が検討することが基本ではございますが、その際には、妥当な受益者負担の水準、法人の財政状況、設置者である都や都議会のお考えなども反映させつつ、適正な授業料等の額を決定する必要があると考えているところでございます。この点につきましては、新しい法人制度の検討の中で、具体的にどのように決定すべきかの議論を尽くしてまいりたいというふうに私どもは考えているところでございます。

〇曽根委員 今まで国の横並びできたわけですよね、かつては独自の基準がありましたけど。今度はそうはいかないで、一定の基準を設ける必要がありますよね。私はこの際提案しておきたいんですけど、やっぱり都民に魅力ある改革、学生、院生、優秀な人材を集めるという点でいえば、極めて単純ですが、わかりやすい方法がある。それは、他の公立よりも学費を下げることなんですよ。そうしたら本当に、例えば院生なんか、どれだけ優秀な人材を集めるかという点は、これは都立大学の先生方も口をそろえていうんですけど、全国から集まりますよ、きちっと低廉な学費で募集をかければ。本当に公立大学としては最も有効なんで、全寮制なんかにする、数百億これにかけるんだったら、こういうやり方でこそ都民に魅力をアピールすべきだと。これは提案をしておきます。

 最後にもう一点だけ。ビジネススクール、来春、開くわけですよね。対象として、大学卒で現在働いている人などが通いやすい形を考えていると思うんですが、そういう点でやっぱり都庁を選んだと。これは利便性を重視したということで、コンセプトとしては、実業界にいる、実業で働いている方々が受けられるようなという形を考えたんですか。

〇久保調整担当部長 都立のビジネススクールについてのお尋ねでございますが、このビジネススクールは、これまで研究者養成を目的とした大学院とは若干目的を異にいたしておりまして、いわば高度専門職業人の養成を目的とした大学院として考えているものでございます。また、こういったビジネススクールは、近年、他の大学においても、都心部を中心に開設、または開設を予定しておりまして、ビジネススクールをめぐる競争が今後さらに激化することが予想される状況にある、こういう中での船出でございます。したがいまして、ビジネススクールの立地条件は、その成否のポイントの一つになると考えております。こういった二つの要素を勘案した上で、対象及びキャンパスの場所を決定したものでございまして、その主な対象を、文系、理系にとらわれず、将来のビジネスリーダーを目指すビジネスマンや起業家、いわゆるアントレプレナーを志す方々などの社会人とし、都庁をサテライトキャンパスとして開校することにしたものでございます。

〇曽根委員 横文字いっぱい出たんで笑っちゃったんですけど、結構ですよ、ビジネススクールとしてはそういうコンセプトになるでしょう。現場で働いている人を本当にグレードアップさせたいという点でいえば、都心じゃないと勝負になりません、これは。しかし、一方で、八王子キャンパスでは、夜間の学生の需要が薄れたという理由で、B類が廃止されようとしているわけです。私、はっきりいって、都内で職業人として働きながらも、厳しい条件でも大学に行きたいという若者に、ビジネススクールと同じように利便性を配慮すれば、規模はともかくとしても、夜間の大学も十分に可能だし、需要はあると思うんです。最近、調べてみたら、B類の受験の比率が、かつては一・何倍だったのが、ここ二、三年、四倍以上にはね上がってるわけですよね。入試制度の変更もあるかもしれませんが、A類に極めて近い倍率になっている。これは不況の問題もあると思うんですよ。だから、条件、厳しくなって、昼間は働かざるを得ないんだけれども、大学に帰りたいという人には、国立大学では夜間はほとんどありませんから、公立大学の一つの役割として、受け皿を何らかの形で維持すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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