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2002・2・19文教委員会(教育庁所管の請願陳情の質疑(曽根)

●久留米高校、都立高校統廃合計画の理不尽を解明

○曽根委員 初めに、私も久留米高校の存続要望の請願について何点かお聞きしたいと思います。
今、総合学科高校になってしまうことを前提にした幾つかのやりとりがあったんですが、存続要望が請願の趣旨ですので、ちょっともとに戻ってという形になりますが、私もこの佐伯さんという方にお話を伺ったところ、まず最初に疑問なのは、近隣に四校の普通科高校がある。これはたまたま歴史的な経過はあると思うんですね。

 近接四校の普通科高校があり、そのうち清瀬東と久留米が統合して総合学科になる。なぜ清瀬東と久留米ーー清瀬東の方ではなく、今回は久留米ですから、久留米高校がなぜ統合の対象になるのか、そこがどうしても最後までわからないんだということなんですが、その点についての理由をまずお聞きしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 統合の理由についてお話をさせていただきます。
 九学区の都立高校の適正配置をするために、清瀬、東久留米地区で統廃合を行う必要があった、これが統合の背景の一つでございますし、また、生徒が通える範囲内に総合学科を設置していくために、九学区に総合学科高校を一校設置する必要があるということがございます。
 ただいま委員ご質問の、久留米高校についてはというお話でございますが、久留米高校につきましては、清瀬、東久留米地域の四校がございますが、都立高校の中で校舎が最も老朽化している、統廃合を機に施設を整備することが望ましかった、そんなような状況で対象校にしたところでございます。

○曽根委員 前の委員の方もこもごもおっしゃったように、普通科高校として四校近接しているということから、それぞれ自然の成り行きで特色を持った学校にしていこうという努力がされてきたんだと思うんです。

 久留米高校の場合には、今話にあったとおり、サッカーを中心にしたスポーツ活動、それから文化活動、非常にレベルの高いところを築いてきたと。

 普通科高校は基本的な、いわば全日制普通科としての役割を持っていて、基本的な学力を子どもたちに保障するという役割は必要だと思いますが、同時に、この四校の場合は特に近接しているだけに、それぞれ特色を持った発展の仕方があり得たし、また、やってきたということで、普通科高校としてのあり方としては私は大いに評価できるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 繰り返しになりますが、久留米高校がこれまで部活あるいは学校運営についていろいろと教育実績を残してきたというようなことは事実でございます。
 今回、久留米高校と清瀬東高校を統合して総合学科高校を設置するということにいたしたわけでございますが、総合学科高校は普通科と専門学科の系列をあわせて置き、生徒が幅広い選択科目の中から自分が学ぶ内容を選べる、そういう学校でございます。
 久留米高校の活発な部活動など多くの実績について、先ほど申したとおり評価しておりまして、それは総合学科高校の中でさらに生かされていくというふうに受けとめております。

○曽根委員 二つの点で大きな疑問があります。
 一つは、普通科高校としての役割、これまでの実績を評価されるという趣旨のご答弁でしたが、しかし、久留米高校についての特定の統廃合理由は老朽化ということだけですよね、今のお話の中でいうと。

 結局、老朽化を何とかしなきやならないという問題が、普通科高校としての学校としての成果、実績、歴史を覆すことになるのかなと。現にほかにも普通科高校で残すところはあるわけですから。

 久留米は老朽化しているけれども、普通科高としての建てかえじやなくて、総合学科にしなきやならないという、教育庁の側の計画上の都合が優先されているのじゃないかということが一つです。

 もう一つは、総合学科にするということが、普通科高校としてスポーツ活動などを熱心にやってきた久留米高校のよさを本当に生かす道なのかということなんです。

 先ほども紹介があったので、私は詳しくはいいませんが、山口先生という方が長年勤めておられて、今は日本サッカー協会の非常に重要なポストにおられるようですが、地元の小中学生、特に四歳のころからサッカーは育てなきやいかんということで、地域に深く根差して育ててきた。

 それが今、久留米高校の歴史の非常にレベルの高いものをつくっている。東京の中の清水市みたいなものですかね。そういうことというのは、では総合学科になってどうなるんだ。よさを生かしますと抽象的にはいえるかもしれないけれども、地域の小中学生と深くつながっていて、後輩をどんどん招き入れているわけですよ。
 地元からの入学は非常に高いと思うんです、四校の中で。

 総合学科というのは、第九学区全域から、少なくともそこに一校つくるわけでしょう、第九学区全域の中で一校。
 したがって、地元中心というわけにはいかなくなる。もちろんサッカーは広がるかもしれませんよ。
 しかし、今まで久留米高校として独自につくつてきた特色、地域とのつながり、小中学生の指導、こういうものは少なくとも拡散せざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 先ほど触れさせていただきましたが、総合学科高校については、生徒が通える範囲内に総合学科高校を設置するということで、九学区につきましては、総合学科高校を久留米高校の地に置くというようにいたしたところでございます。
 久留米高校の部活動等特色ある教育活動につきましては、総合学科高校にすることで、例えばスポーツについて、今回の総合学科高校では健康スポーツ系列というようなものを設ける予定になっておりますが、そこでは、今まで普通科の中ではなかなか選択できなかった、例えばコーチ入門あるいはスポーツ理論、体育理論、そういうようなことも選択可能になるわけでございます。
 総合学科高校にすることによって幅広い科目を設置して、生徒の多様な要望にこたえる学校になると考えております。
                     
○曽根委員 私が申し上げた、地域の小中学生からのいわば人でつないでいく系列と、よき指導者の、いわば先生の集団、こういったものをどういうふうにしていくかという具体的な展望というのは、なかなか総合学科になっても生かされないと思うんです。

 現実に、例えば今具体的にできている京橋高校から晴海総合学科になった。京橋の先生はだれ一人晴海高校に残ってないですよ。全部かわっちゃっているわけです。

 ここはだれか残すかもしれません。しかし、今まで普通科高校でつくってきたものが、次善の策として何らかのつなぎはつくれたとしても、そっくり生かすことはできないし、逆に、スポーツ学科とかそういうものをつくるんだったら、普通科高校のままでも、カリキュラム改善で幾らでもできることだと私は思います。

 もう一つ、こういう久留米高校が残してほしいという要望が出たときに、総合学科や東京都の計画がどうしても優先なんだ、聞く耳持たんという態度ではなくて、何らかの調整策、もしくは具体的に生かす道というのを取り入れていくという、その補償というものが、私はいつもないと思うんですね。この点ではいかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 教育委員会では適正配置計画案を該当校の校長に示して、その後、教職員、PTA、同窓会等に対して、説明あるいは話し合いの場所をもって理解を求めた上で実施計画を決定したところでございます。
 計画策定後におきましても、必要に応じ関係者との話し合いをつづけているところでございます。今後とも学校関係者あるいは地域関係者と誠意を持って話し合い、理解を求めるとともに、新しい学校のあり方などにつきましては、可能な意見を取り入れていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 東京都は少なくとも、総合学科も含めて、絶対に計画がコンクリートされていて、その枠組みの中でしか意見を聞かないという態度は改めるべきだと思うんです。
 場合によっては、十九年度開校なんですから、まだ少なくとも5年はあるわけですから、十分に計画の組みかえもできる余地があるというふうに思いますので、少なくとも、募集停止を今予定しているのは十六年度ぐらいになると思うんですけれども、来年の春ぐらいには募集停止を決めなきやならないというときが来るので、それまでに抜本的に意見を聞いて、これは存続の請願なんですから、取り入れるように強く求めておきたいと思います。

 それから、ほか二件の請願がありますので、高校改革全体の問題について二点ほど簡潔にお聞きしておきたいと思います。
 今の久留米高校の問題でもそうだったんですが、私が文教委員会になって、去年小石川工業の問題をやりました。その前にも毎年必ず何本も高校存続の請願が出てくる、陳情が出てくるという状況です。

 数えてみれば、九七年に第一次の計画が出されまして、その前から進んでいたものも含めると、十を下らない高校の統廃合について、それがすんなり行く方が少なくて、どちらかというと、生徒さんや父母の方やPTAやOB会や、そういうところから地元の方から存続の請願が出る、陳情が出る。
 議会というのは、いってみれば行政と当事者との間でどうしても問題が解決しない、議会の方でなんとかしてくれということで、最後のよりどころみたいに出てくるわけですが、その前に何で調整ができないのか。
 計画に上った高校の大半で請願陳情が出てきて、議会で何とか審議してくれと。
 私はちょつと異常だと思うんです、今度の計画の進め方については。

 それで、少なくとも各校別に、一番当事者である生徒さんや父母やPTA、そういう方の代表も含めた検討の場を持って、お互い対等平等に、計画は最初に東京都が出すにしても、それをコンクリートしないで話し合うという仕組みを学校別につくるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 新たな計画を策定する際に、ご提言という意味でいえば、ご参考にさせていただきたいと思います。
 今回の高校改革につきましては、都民の多くの方に理解されて、さらに学校関係者からもおおむね理解をされているというふうに受けとめております。ただ、一部の方にまだご理解いただいていないということも事実でございまして、今後とも話し合いの機会を設けて理解を求めていきたい、かように考えております。

○曽根委員 いや、そういういい方というのはおかしいと思うんですよ。

 例えば久留米高校で五千人を超える地元の署名が集まっている。それは東京都民全体に久留米高校について考えてくれといっても、直接知らない高校については何もいえないと思うんですよ。だから、高校改革全体の計画自体はあれこれいうかもしれないけれども、おおむねの理解になっちゃう。
 しかし、少なくとも久留米高校関係者六千人近くが、待ってくれといっているというのが、一部の声になるのかと。
 いつもそういうことで教育庁の姿勢があるから、各学校のところで問題が解決しないというように思うんですが、私が申し上げた個別の学校での一番の当事者である生徒さんや父母、PTAの代表なども対等平等に入った形での検討会、コンクリートしないで話し合うということができないんですか。

○山際都立高校改革推進担当部長 これまでの高校改革におきまして、各学校においては個別にきめ細かく対応をしてきたところでございます。先ほど申し上げたとおり、まだ一部の方にご理解いただけない、そういう事実があることは事実でございまして、引き続き話し合いの機会を設け、可能なものについては施策に反映させるようにしてまいりたい、かように考えております。

○曽根委員 あくまで一部だというんだから、東京都の姿勢はよくわかりました。しかし、少なくとも例えば都議会で審議するときも、もうちょつときちつとやってもらいたい。
 実は、きのうの夜、先日問題になった小石川工業のOB会というか、関係者の方が来られて、この審議を前にやったときに、新宿区議会で存続の意見書が上がつたと。そのことについて我が会派の議員から質問したら、「いや、これは区議会の意見書じゃなくて、区議会議長個人の要望なんだ」というふうな答弁をしていると。
 区議会として意見書を決議しているんですよ。それを聞いているのに、区議会議長の個人的な要望だというふうに答える。
 そういうような不誠実な答えや、答えの間違いが多過ぎるということをその方は指摘していました。私は、そういうイロハの問題だけはきちっとやってもらいたいと思う。これはいっておきます。

 もう一つ、この統廃合計画を含む全体の計画を進めていく上で、私は大きな矛盾が起きていると思うのは、去年、ことしあたりの高校入試の中で、全日制を布望する生徒が、実際には計画進学率が達成できなかったために、三千人近く結局進めないという事態が起きていると思うんですが、その実際の目標、進学計画、就学計画と、現実の乖離というのはどれぐらいになっているか、ちょっと教えていただきたいのです。

○比留間学務部長 平成十二年度、平成十三年度、両年度とも計画進学率は九六・〇%でございます。実績の進学率については、これも両年度九二・二%となってございます。

○曽根委員 私、あるところで、ことしの春は九一・六%という数字を聞いたことがあるんですが、今九二・二%だということですが、その違いはどこにあるんでしょうか。

○比留間学務部長 平成十三年度、今年度からこの計画進学率、就学計画の考え方を若干変えた部分がありまして、これは具体的には昼間定時制高校についての扱いでございますけれども、これを含めるということにした点で数字が若干変わってきているものでございます。

○曽根委員 九六%の計画に対して、九二・二%ですか。しかし、これも十一年度につくった公私合意ですね、公立私立との合意で、お互いの割合を決めているときには含めなかった昼間定時制を入れての数字ですということですよね。
 それにしても四%の開きがあるわけです。二千人以上の子どもたち、二千七百人ぐらいですか。そうすると、これは例えば四十人クラスの定員にすれば八十学級ぐらいになるわけで、学校数にすれば十校程度をつくらなければならないぐらいの子どもたちが、全日制を求めながら、入れないで終わっているということになるわけです。

 これは計画をつくつた当初に比べても、なお私立に行くよりは都立に行かざるを得ない、もしくは都立を希望する生徒がふえてきたことが最大の原因じやないかと思うんですね、今日の経済状況から見て。
 そういう点で見れば、私は、公私立の合意はまだ十六年度まで五年間あるそうですけれども、やはりここで見直して、奇望と実態に合わせた公私の進学、就学計画をつくるべきだと思うんですが、いかがですか。

○比留間学務部長 現在の就学計画は、平成十一年十月の公私連絡協議会におきまして、平成十二年度から十六年度までの五か年の中期計画として合意をしたものでございます。
 主な合意内容でございますが、計画進学率を九六%とすること、公私の受け入れ分担を、都立五九・六、私立四〇・四とすることなどでございます。  
 公私はこれまで緊密な協力関係のもとで生徒急増期に対応するとともに、近年の生徒減少期におきましても、公私協調のもとで就学計画を策定してきたところでございまして、今後中期計画に基づき就学対策を講じていくことが必要であるというふうに考えてございます。

○曽根委員 私は、そういうことをいっていても、現実には乖離が生じて、都立高校は少し枠を広げなきやならない、定員以上広げなきゃならない事態も起きている。それでも間に合わないということですから、もう見直さなきゃならないと思うんです。

 そして同時に、その就学計画というのは統廃合による高校改革計画による高校定員数とセットになつているわけですから、これは整合しているわけですから、十校分の学校をつくるぐらいの定員を高杖改革の計画を見直して、どこかに生み出さなきゃならないというところに来ていると思うんです。第二次計画もそういう点の大きな矛盾を持っているということを指摘したい。

 さらに、もっと大きい乖離が今後生じると思うんです。これはやはり高校の統廃合問題での協議の中で出てきたグラフだということで、関係者の方にいただいたんですが、東京都がつくったものですね。

 平成十三年度東京構想二〇〇〇などによる人口集計、人口推計のやり方は、東京の人口は若干ふえていくというふうに修正されましたので、平成二十二年度になると、今の推計で行くと就学人数七万二百十四名に対して、新しい人口推計でいえば、七万四千七百五十八名と、約四千五百名の乖離が出るだろうということは、東京都の人口推計の中でも出てきているわけですね。

 そうすると、この第二次計画が終わって、統廃合が済むころには四千五百人の生徒の高校が足りなくなる。これは四十人のままの学級だとしても、二十校ぐらいの学校をつくらなきゃならなくなるわけですよ。
 一体どこで修正するのか。私は、第三次計画を何か計画しているようですけれども、新しい学校にその矛盾を全部しわ寄せすることはできないから、第一次、第二次でまだ統廃合がやられていない学校についても、少なくともキャパシティーの問題、定員の問題については見直さなきゃならないときにもう来ていると思うんですが、いかがですか。

○山際都立高校改革推進担当部長 委員ご指摘のとおり、長期推計の概況については先ほど挙げられた数字のような現象が起きているわけです。
 この長期現象の原因については、近年の社会経済状況等を背景に、都からの転出数が大幅に減少しているということが大きな原因となつているものと受けとめております。
 都立高校改革推進計画の中では、都立高校の規模と配置の適正化に当たりましては、教育人口推計、高杖進学率、公私比率について大幅な変更がある場合には調整を要しますというふうにしております。この推計を踏まえながら、新たな実施計画の策定に向けて検討を進めていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 我が会派は第三次計画については、第一次、第二次の流れを見る限り、決していいものにはならないだろうという点から凍結を求めていますが、それでもやるというなら、なくとも第一次、第二次の未実施校についても含めて、また、地元からのさまざまな、今出た請願なども含めた要望を受けて、全面的に定員も含めて見直すべきだということを申し上げて終わりたいと思います。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも保留とすることにご異議ありませんか。   

●片浜養護学校存続の請願

〇曽根委員 片浜養護学校の存続の請願について、ほぼ内容は同じ請願が二つ出されているわけですが、まず、今いる生徒さんたちの教育効果について評価が厳しいなというふうに思いますが、生徒さん自身はどうなのかという点は極めて明快なんですよ。

 ここは私、現地に行ってみないとやはりわからないなと思ったんですが、うちの会派で視察に行きました。十一月ごろでしたか、去年。三十二名の生徒さん全員、一人はお休みしていましたが、ほぼ全員と会いまして、全員がこの学校に残りたい、学校を残してほしい、後輩たちにもこの学校を残してほしいという希望を持っていました。こういうところは珍しいと思います。統廃合計画が出て、ショックで、校長先生のところに涙ながらに抗議したりというようなことが、前は私、厚生委員会のときに衛生局所管の成東の児童保健院のときにもあったんですが、病弱児で、そこで暮らしてやっと自分を支えているという子どもたちが、自分の住まいと教育の場を、学びの場を奪われるということで、非常にショックを受けたということも聞きました。

 教育効果が低いというのは教育庁側、大人の側の判断としてあるかもしれませんが、少なくとも子どもたちにおいては、非常に自信も持ったし、成長もしたし、高校にその後進んでだめになるような子はほとんどいないという話も先日の委員会の視察のときに聞きました。まず、このことを申し上げておきたいと思います。

 したがって、教育庁が残念ながら去年の暮れ、教育委員会の了承を得て廃校を決定した、一年ずらしたとはいうものの、その中身についても、また、検討の不足という点や子どもたちの気持ちも含めて関係者の合意が得られていないという点も、私たちは認められないというのが基本的立場です。
 それにしても、もう来年春、ことしの春からの入学停止になります。今石川理事からもお話があったように、少なくとも今の学年が残っている以上は、残っている学年の生徒さんの仲間をふやすということはあっていいんじゃないか、卒業までいられることになったんですから。それだけは何とか手だてをとってもらいたいなと。ケース・バイ・ケースでという話もありましたが、この点について、ケース・バイ・ケースで考えるということはあり得るということでしょうか。

〇比留間学務部長 東京都教育委員会といたしましては、現在、片浜養護学校、久留米養護学校の両校とも児童生徒数が減少しておりまして、社会性や集団性の育成などの面で十分な教育効果が期待できないということがございまして、片浜養護学校については十五年度末をもって閉校し、久留米養護学校に統合するという方針を決定したところでございます。
 こうした両校の状況を踏まえまして、できる限り早期に教育内容の充実を図りたいということで、新たな児童生徒の受け入れにつきましては、久留米養護学校で行い、集団としての一定の規模を確保していきたい、こういうことでございます。
 現在、片浜養護学校に在籍する児童生徒につきましては、環境の変化による病状の回復のおくれ、あるいは転学が生徒に与える心理的負担、こういったことを考慮いたしまして、閉校時期を現在の在校生が全員卒業する平成十五年度末ということにしたものでございます。

〇曽根委員 直接の私の質問にお答えなかったんですが、閉校時期はわかったんですが、すると、閉校までの一年間というのは、今在籍している一年生六人がそのまま残ったとしても、六人だけの学校になるわけです。そうすると、教育庁がいう教育効果の低い最たる事例になってしまう、一年間は。久留米の方はその分、片浜に行くはずだった子どもも受け入れて、久留米の方は若干改善されるかもしれないが、募集停止で入ってこないわけですから、六人が六人だけで教育を受けなさいということになる。これが本当に正しい解決の道なのかなということは、極めて疑問と思わざるを得ません。
 それからもう一つ、これは例が実際にあったそうなんですが、病弱養護学校ですから、病気が回復すれば地元に戻るということがあるわけですね。実際に戻った子どもさんがいたそうなんですね。トライアルというんですか。戻ったけれども、やはり残念ながら地元の地域の学校では続かなくて、また片浜に転学してきたという例があったそうです。これから二年間あるわけですが、二年余りの間にそういった例があった場合、今在籍している子どもが、病気が一定回復したということで地域に戻ったけれども、続かなくて養護学校に行く場合には、それはやはり片浜に戻るということは配慮されていいかと思いますが、いかがでしょうか。

〇比留間学務部長 現在、片浜養護学校には三十二名の生徒が在籍しているわけですが、先ほど申し上げましたとおり、この病弱養護学校については、生活管理を通して復帰を目指す学校でございます。したがいまして、前籍校に戻るというケースは当然あるわけでございますけれども、現在片浜養護学校で学んでいる子どもたちが前籍校に戻って、もし仮に今のようなケースがあった場合については、十分保護者、本人と話し合いが必要だというふうに考えますが、基本的には片浜養護学校での受け入れを検討してまいります。

〇曽根委員 今いる子どもたちについては最大の配慮をお願いしたいというふうに思います。
 それで、片浜の今後の問題にちょっと戻るんですけれども、先日、委員会の視察のときに、先生方に質問する時間を与えていただいて、全体で一時間の短い視察でしたが、非常に私ども勉強になりました。

 というのは、いただいた学校要覧でも、これは去年の五月のデータなんですが、二十七名、今は三十二名だそうですが、二十七名のうち十二名が肥満の病類ということで入っている。四割ぐらいになりますね。これはふえていると。東京全体でも確かに小中学生の中で肥満児はふえていると思います。そういう点でいうと、肥満という病類に属する病弱児の病気回復が片浜養護で非常に効果があるということが知られていくならば、これは非常に需要があるといいますかね、変な話ですが、それを必要とする子どもは無数にいるんじゃないかというふうに思いました。

 それで、先日、教育長を初めとして一緒に行かれたと思うんですが、例えば私が直接話した三年生の男子生徒は、入学時八十四キロだったのが六十五キロに体重も下がり、サッカーなどをやって、スポーツで自分に自信がついたというふうに本人が話してくれました。また、校長先生のお話では、百八キロという体重で入学した生徒が、七十一キロまで体重を落として、普通の体重に戻ったという例も報告がありました。そういう点では、これはそのときにお話が出たんですが、家庭ではなかなか食事のコントロールができない場合があるが、家庭から離れて寮生活を集団で送ることによって、集団の中で食事のコントロールや規律ある生活を送るという訓練ができて、そういう意味で片浜の役割が非常に貴重だなというふうに思ったんですが、この点の評価はいかがでしょうか。

〇比留間学務部長 片浜養護学校で肥満傾向にある子どもたちを受け入れて、教育をして、成果を上げているというのは、それはご指摘のとおりだというふうに考えております。
 ただ、肥満傾向にある児童生徒の健康改善につきましては、久留米養護学校におきましても、医師や家庭との連携を十分に図りながら、個に応じた食事指導や適切な運動等を通して生活習慣の改善を指導しており、十分な教育効果を上げてきてございます。したがいまして、片浜養護学校を閉校いたしましても、肥満傾向にある児童生徒への対応につきましては影響はないというふうに考えてございます。

〇曽根委員 今の比留間さんのご答弁は非常にわかったようなことなんですが、よく考えると、それは今片浜にいる子どもたちぐらいの人数だったら、久留米でも肥満児を受け入れて、訓練して回復することができますよという範囲でのお答えだと思うんです。

 それはできると思いますよ。久留米は久留米で特色があるのは、現実に重い子どもさんがいるし、それと同時に、肥満がふえている中で、肥満児を受け入れて、それも回復していくということはできると思うんです。ただ、東京全体の小学校、片浜は中学校しかありませんが、小中学校の中での肥満の子どもさんが非常にふえているという現実を踏まえると、なかなか家庭で食事のコントロールができない場合に、寮生活を送りながら回復するという一つの実践が片浜で築き上げられてきている。

 その特長を生かして考えるならば、これは片浜や久留米、両方のキャパシティーである−−今度は八十と五十、八十になったとしても合計百三十ですね。それをはるかに上回る、必要とする子どもたちがいるのではないかというのが私の実感なんですよ。

 そういう意味で、片浜については、私は、今閉校を決めてしまって、ましてや跡地を決めてさっさと東京が手放してしまうのは非常に早計じゃないかというふうに思うんです。その点で、もし跡地計画があるならあれなんですが、跡地計画がないのに、とにかく十五年度末で閉校だというのは、そういう意味でもちょっと早計なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

〇比留間学務部長 先ほど来ご説明申し上げておりますけれども、現在、都立の病弱養護学校二校は児童生徒の数が減少してきておりまして、増加する傾向にないということで、両校とも教育効果の面で課題を抱えているというふうに考えてございます。適正な学級、学校規模を確保して教育活動の活性化を図ることを目的として、今回都立の病弱養護学校を統合する、こういう考え方でございまして、片浜養護学校の跡地の利用につきましては、今後関係部局と協議しながら十分に検討をしてまいります。

〇曽根委員 最後に意見だけ申し上げますが、私は、跡地の利用が決まっていない以上、急ぐ必要ないということが第一点。
 それから、今生徒数が減っているという現実は、実際には片浜養護学校については、まだ廃校が決まっていない去年の春の時点から、入学したいという希望について制限が加えられた、いろいろいわれたということを実際には私たち聞いておりますので、宣伝をしないだけではなく、希望者まで門戸を狭めていたのではないかという強い疑いを私は持っております。そういう点では、逆に、片浜でこれだけの子どもさんたちの回復があったということをどうして教育庁は大いに、東京じゅうの肥満で苦しんで悶々と自宅で閉じこもったり、引きこもりになったりしている子どもたちに知らせてあげないのかということを強く思います。その点で、活用はまだできる、大いに活用の道はあるということを申し上げて終わります。
〇東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも保留とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一九四号及び請願一三第二三七号はいずれも保留と決定いたします。

●東京都近代文学博物館存続陳情

〇曽根委員 石川委員とダブるところは省略して、簡潔にお聞きしたいと思います。
 廃館に至った理由についてはご質問がありましたので、この五年間、入館者数について、簡単に数字を挙げてください。
〇嶋津生涯学習部長 五年間の入場者数について申し上げます。
 平成八年度が三万五千六百八十四でございます。九年になりまして三万六千九百七十三、十年度はふえまして、五万一千八百四人でございます。十一年度が四万三千百九十三、十二年度が五万六百二人でございます。
〇曽根委員 三万五千から五万一千の範囲で、割合にすれば、かなりの割合ででこぼこがあるわけですが、どうしてでしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 年度によって入館者数の幅があるのではないかというお話でございますけれども、毎年実施いたします企画展や、あるいは常設展の展示内容、あるいは期間によって、かなり影響を受けているところでございます。
 ちなみに、この五年間で五万人を超しました平成十年度につきましては、人気が結構高い明治期の文学を扱った「文学のある風景・東京−明治−」を百三十日にわたって開催をいたしまして、それが二万三千人を動員したということでございます。
 もう一つつけ加えれば、少ない観客数なものですから、天気がいいとか、そういったことも結構影響がありまして、余り定かな根拠にはなりませんが、一応そんな状況になってございます。
〇曽根委員 他県の施設も、大体五万人前後のところが多いですよね。それで、文学館、文学博物館というものは、やっぱり愛好者は限られているということと、それから、企画展の中身によって、やっぱり一般的に非常に大衆的に人気のある作家などが集まっている場合とそうでない場合で、かなりの幅があるということがあると思うんです。
 私も現地に行ってみて、ついこの間なんですが、これですよね、人気があったのが。なかなかいいパンフレットをつくっていただきまして、十年度の分ですけれども、まだ置いてあります。
 じゃ、その人気のある作家だけを特集を続けていればいいのかというと、こういう博物館の性格としては、そうではないと思うんですね。全部で十七万点ですか、これを満遍なくやっぱり順次公開しながら、愛好者を広げていく。それも爆発的に広がるものではないので、あくまでじわじわと、そういう文化を浸透していくというのが、この博物館の役割だと思うんです。そういう意味で、入館者が、例えば数十万人や百万人単位でやってくる、施設的にも物理的にも限度がありますし、そういう性格のものではないんじゃないか。先ほど行政評価の話がありましたが、行政評価にはそういった観点というのは、私が読む限り一切なかったので、非常に残念な思いがします。
 それから、もう一つ、全国でも、多くの自治体の文学館が大変予算の縮小で悩んでいるということがあります。昨年、東京都が廃館を決めた直後の十一月二十一日の朝日に、中村稔さんという有名な文学者ですけれども、この方が載せていまして、全国の主要な文学館、文学者の記念館の連合組織である全国文学館協議会の会合が山口で開かれたときに、東京の近代文学博物館の担当者から、来年三月の時点で廃館を決定されそうだ、収集した資料の処分などで悩んでいる状況について痛切な報告がされた。参加者の多くが、あすは我が身かという思いに沈んだという文章がありました。全国共通なんだなと思いました。
 この中村さんは、今、国会で、文化芸術振興基本法案がすんなりと成立するという時代にもかかわらず、一方で、実際の文化芸術の現場のところがこういう事態では、この法律は単なる作文の夢物語ではないかという厳しいご指摘をしているんですけれども、全国的にこういうふうに文学館が次々と縮小や廃館に追い込まれている事態について、これは単に東京だけの問題じゃないんですが、こういう流れについては、生涯学習や社会教育の立場からいうと、やっぱり憂うべきことじゃないかと思うんですが、いかがですか。
〇嶋津生涯学習部長 おっしゃるように、文学施設等、文化的なものが少なくなっているという側面もございまして、やはり率直に申し上げてせつないものもございますが、その一方で、東京におきましても、幾つか、武者小路実篤記念館であるとか、ここ何年間に、小粒ながら大変きらりと光る文学館のようなものがいっぱいできておりまして、そういう点では、まだまだ捨てがたいものがあるというぐあいに思ってございます。
〇曽根委員 個人の文学館はできるんですけど、こういう近代文学館のような網羅的なものがなかなかないんですよね。それで、建物は前田家の邸宅ということで、大変立派な建物なんですね。文化財に指定されているそうで、何でも今後も建物は公開を続けるというお話を聞きました。そうすると、今考えている来年度の財政はどういうふうになるんでしょうか。
〇嶋津生涯学習部長 文学館につきましては、今年度廃止なものですから、来年度、十四年度につきましては、資料等の移管の整理を行う一方で、この前田侯爵邸の維持管理、それから、公開する経費を今見積もっているところでございます。
〇曽根委員 これは教育庁にお聞きしたんで、私から数字を申し上げて恐縮ですが、建物の維持費が三千四百万ぐらい。管理運営費も入れると、年間予算の大体四割ぐらいは建物の維持管理などでかかるということで、あとは人件費と、資料とか事業費ですね。そうすると、四割ぐらいは今後もかかる予定にしていて、かつ、江戸東京博物館に移すわけですから、その費用もかかると思うんです。
 したがって、費用的には余り節約ということにもならないのかなという点でも、何だか資料だけ分散してしまって、非常にもったいないという気がしました。
 現地で、ちょっと雨が降っていたりして、入館者は少な目かなと思うんですが、それでも、近くにある東大の学生さんが何人かグループで来ていまして、どうですかと聞いたら、江戸東京博物館へ行ったことがあるけれども、あんなところへこの資料を移すのはちょっと賛成できないという意見がありました。
 それから、学校時代の同窓生だという、私よりちょっと年配ぐらいの男女のグループが来ていまして、みんな他県の方なんですね。初めて来たそうです。でも、こういう文学館があるということについては、これから私たちのような年代の人がいろいろ見て回るのに、非常にいいところじゃないかと。他県の人も利用しているということを、ぜひ議会でいってくれというふうにいわれましたので、伝えておきたいと思います。
 そういう点で、現地に来た人は、入館している方は、みんなそれぞれその雰囲気を楽しんでおられるように思いましたし、私は、文学博物館という本来の性格から、社会教育といいますか、今後、人生八十年時代、そしてまた、学校五日制も始まり、土日を中心に子どもたちにとっても社会教育、生涯学習が大事だというときに、こういう施設はきちんと今の形で残すべきじゃないかという要望を強く申し上げて、終わりたいと思います。
〇東委員長 ほかにご発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕
〇東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二三九号は不採択と決定いたしました。

●都立図書館の「あり方検討会報告」、10万冊処分に反対の請願書。

 ○曽根委員 野上委員と同じく、前の質問した人とダブったところは大胆に省略をして、できるだけ今まで質問した以外のところについて簡潔に聞いていきたいと思います。

 まず、一点目に、今回のあり方検討会の報告を出すに当たって、関係者に現状を説明し、意見を伺ってきたということがあって、先ほど関係者からの要望書、市議会などの意見書その他が紹介されましたが、一つ出てなかったのは、図書棺協議会のことなんですけれども、私、二月三日にこの問題での集会があったときに伺ったんですが、そこに四百人ぐらいの方が参加していましたけれども、発言の中で、図書館協議会の酒川さんという事務局長さんでしたかね、この方が涙ながらに訴えていまして、とにかく図書館協議会には、図書館の運営に関して最も最初に相談すべき組織であるにもかかわらず、任期の最後の十月十九日になって、初めてこの検討状況の説明があった。

それも、協議会側から要求をしなければ説明に来なかったという厳しい指摘があって、そういう点でも今回の手続には最初から問題があるというふうに指摘されていたんですが、この経過については、そのとおりなんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館協議会につきましては、公募も含めた都民の参加もこれあり、大変重要な組織であるというぐあいに認識してございます。今回、中間まとめを議論の素材として出しましたときに、この図書館協議会の委員には、八月の九日に原本を送付してございます。それから、九月の七日に中間のまとめの説明を改めていたしました。
 十月の十九日に、都立のこの図書館協議会で改めて検討状況も説明してございます。

○曽根委員 少なくとも酒川さんについては、十月十九日、最終日、これで押切さんの最後のあいさつがあって、一年間ご苦労さまでしたという日になって、初めて自分は説明を聞いた。その前は、その方も欠席があったのかもしれませんが、詳しい話も論議もされていないというふうにおっしゃっていました。

 少なくとも四月から検討していたのであれば、途中経過で、もっと前に詳しい説明があってしかるべき相手だと思うんですが、しかも、内容的にも、この方は図書館の今後のあり方について根本的な検討をしているにもかかわらず、図書館協議会でやってきた議論が全くむだになるようなことが一方で決められてしまったということで憤慨していました。
ここ(あり方検討会の報告書)の冒頭にある文章には、「(関係者に)説明してきた」とありますが、その関係者の理解を得たとは書かれていません。少なくとも図書館協議会など、最も信頼し、頼りにしなければならないその方々の理解と納得は得られていないという事は、私、ここで確認しなければならない事実だと思うんですが、いかがでしょう。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館協議会につきましては、先ほども申し上げましたように、図書館を運営する上で大変重要な組織であるというぐあいに考えてございます。
 ただ、いろいろな方たちの考え方があり、いろいろな人たちの意見もございますものですから、幾つか理解を求める作業は私どもとしてしてまいったつもりですけれども、その合意を得るという形のものでは必ずしもないというぐあいに了承してございます。

○曽根委員 これは非常に重大なことです。しかも、あえていわせていただければ、十一月から発足すべき新しい運営協議会が、その後、この決定(あり方検討会の最終報告の決定)の最近まで発足しなかった。

 つまり、図書館協議会をつくらずに、このあり方検討会の最終報告をつくってきたということも、事実として指摘しなければならない。もう協議会なんかそっちのけで、教育庁の中でつくっちゃったということに、実態としてなっているということです。これが第1です。

 それから、教育長会の要望書が、東京都の横山局長あてに出ているわけですが、この教育長会に対して、多摩の市町村立図書館長協議会、ここからそれぞれの教育長あてに要望が出ているわけです。これは教育庁を通して取り寄せていただきましたので、ごらんになったと思うんですが、ここに先ほど部長さんが読まれたことよりも非常に率直に、例えば、多摩地域の市町村立図書館の運営や利用者は、この東京都の方針で大きな影響を受ける、このような大規模な変更が都立図書館内部の検討で決定されたことに大変驚いている、多摩図書館資料の大量廃棄の作業が始められていることにも大きな危惧を抱いているなどなど、非常に率直に、東京都のやり方に対する批判が、この要望書の中に書かれているんです。公式の文書でこれだけ厳しい指摘をするということは、私は異例のことだと思うんです。

 これらを受けとめるならば、既にこれは中間まとめが出された後にこの指摘がされているわけですから、ここでいわれている、例えば大量の処分は慎重を期すこと、それから、一夕イトル一点などではなく複数を配置してほしいこと、それから、職員についても、教育長会の要望の中には、現職員体制を維持してほしいという要望などは、これはこの検討の報告の中では反映されていないというふうにいわざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 市町村立の館長協議会につきましては、幾つかその場所を使い、説明し、意見を交換するということをやってまいりました。ただ、同協議会からの要望書は、直接私どもあてには参っておりません。もっとも、この協議会の意見につきましては、その上部団体ともいうべき市の教育長会であるとか、あるいは、西多摩の町村の教育長会でぁるとか、そこが窓口となって受けとめられているものと考えておりまして、その二つの教育長会から出された要望書を、私どもとしては重いものとして受けとめて反映をさせてまいりました。

○曽根委員 「現職員体制、現状を維持されて」という教育長会の要望が、直接横山局長あてに来ていますね。それで、この要望についてなんですけれども、先ほど合理化は当然で、十七名削減しても大丈夫なんだという話がありました。そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、本の購入は中央図書館で管理するとはいっても、児童書関係とか、多摩の資料とかは今後、多摩でも購入するし、それから、日比谷も場合によってはあるかもしれない。そういう意味では、購入はそれぞれ実務はあるだろう。

 それから、接客サービスといいますか、対利用者サービスが中心の図書館ですから、どんなに削減するといっても限度があるし、IT化は既にかなりの程度されているというふうに、私、この間多摩図書館に行って伺ったら、言っておりますので、削減の余地は余りないんじゃないかと思うんです。

 しかも、今度、中央図書棺に一点だけというふうになった場合、本の移動を頻繁にやらなきゃならなくなると思うんですよね。それは回数をふやす計画なんかも立てなきゃならないでしょう。一体どこから人を出してくるのかなと思うんですが、同じ人が二回も三回もかかわることにならざるを得ないのかなというふうに思うんですが、一体これで両立するんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館には前向きな職員がいっぱいおりますので、十分消化できるものと考えてございます。

○曽根委員 人間のやる気だけに期待するというところがすごいと思いますが、教育庁の考えがよくわかりました。
 それで、私、やっぱり非人間的なやり方だと思うんですよね。職員に対しても。それから、本という一つの文化財に対しても、非常に乱暴な扱いだと思います。

 その極端な矛盾が、日比谷図書館に結構あらわれているなと思って、現場へ行って驚いたんですけれども、日比谷図書館は今改装していて、間もなく完成するわけですよね。数億円かけて、かなり頑丈な建物に生まれ変わろうとしています。その中には、四十七万冊の蔵書のスペースがあって、現在二十七万冊ぐらい入っていて、そのうち十六万冊が多摩に行くわけですから、残りは十一万冊程度になるわけですね。したがって、三十五、六万冊のスペースができるわけです。

 したがって、例えばこれから毎年購入したとしても、今の金額でいえば数万冊程度ですから、十年近い余裕が今の予算の規模でいえばあって、今、図書館の本が都立図書館からあふれ出すというような状況でないのは明らかだと思うんですが、なぜ日比谷のスペースが、そういう東京都の都立図書館の全体の本を守っていこうという計画の中に入ってこないんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 あり方検討委員会では、都立図書館全体で機能を分担し、書庫の管理も三館一体で計画的に実施しようというものでございます。したがって、日比谷図書館の児童資料を多摩に移転させることも、機能分担の一環としてこれを行うものでございまして、スペースががあるか否かという問題では必ずしもございません。

 また、日比谷図書館の書庫については、当面、耐震工事で減少した閲覧席の代替や、視聴覚資料の収蔵スペースとして利用しておるところでございまして、また今後は、中央図書館の書庫の補完として活用が予定されているところでございまして、必ずしも余裕があるということではございません。

○曽根委員 でも、これは現場へ行って実態を見れば一目瞭然なんですよ。私、日比谷図書館、周りも開架スペースの方は工事中なので移動していましたが、真ん中にある閉架書庫の部分は棚がそのまま残っていて、本も入っていました。入っている本は、すべて移動する十六万冊の児童書が入っていて、それも余裕がありますから。

何しろ三十万冊分ぐらいの閉架書庫があるわけですから。半分ぐらいしかないので、棚はかなりあいているわけです。ここは今回の工事でいじってないので、今後そのまま使えるわけです。しかも、この十六万冊が多摩に移るとすれば、私たちはこれは反対ですけれども、移るとすれば、大量のスペースが少なくとも閉架書摩についてはあくわけですよ。雑誌を入れるといったって、現場へ行けば、スペースに余裕があることは、もう一目瞭然なんですよ。

 私は、こうして日比谷図書館に、今後の都立図書館の図書の蔵書をあてにしないということの背景に、去年の十一月八日に教育委員会で教育長がおっしゃったように、かねてから財務当局から、日比谷図書館は廃館に向けて検討せよといわれていて、そして、なかなか今後の都立図書館の構想の中に入れにくいんだ、そういうのが背景にあるというふうにはっきり発言されている。そういうことがやっぱり影響しているといわざるを得ないんですが、いかがですか。

○嶋津生涯学習部長 日比谷の図書館のあり方につきましては、今後、この都立三館のあり方を含めて検討していくということが予定されてございまして、当面は、改修工事をする中で、都民サービスの縦続を図っていくということでございます。

○曽根委員 私は、日比谷図書館が現に耐震工事も間もなく完了して、そして、三十五、六万冊のスペースを抱えた図書館として立派に機能できる設備になるわけですから、ここを活用するならば、都立図書館の本を大量に処分し、東京都から手放してしまうという必要は全くないということを申し上げたいと思います。

 それから、一夕イトルー冊というのを原則とするという考え方についてなんですが、先ほどそれについては、よく使われる本は複数持つということは、今画、検討会の中で入れましたという答弁がありました。
 そこで、つまり、あんまり利用されない、貸し出しがされなかった本というのは、やっぱり一冊にしてしまうわけですよね。一五%だけですけれども、ダブルで持っているものでも一冊にしてしまうわけですが、そういう方針で、本当に今まで借りられなかったものでも、ある日突然借り手があらわれるというようなことが、図書館では起こり得るんじゃないですか。いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 住民にとりましての図書サービスは、基本的には四百近い館数を持ちます区市町村の役割であるというぐあいに考えてございます。それをバックアップする機能として都立の図書館は存在し、そのために一冊の図書は持つという機能を全うするつもりでございます。

○曽根委員 これも二月三日の集会で私お聞きして、なるほどなと思ったんですが、まず、国会図書館のように閲覧しか認めていない図書館の場合は別として、都立図書館のように、図書館を通じてレファレンスがあって、貸し出しもやるという場合には、紛失という可能性を考えなきゃならない。それから、個人に貸し出しを認めている以上は、破損ということも避けられない。長い年月保存するためには、複数を持つということは、少なくとも現在持っている本については必要だという意見がありました。もっともだと思います。

 それから、私、先ほど聞いたのは、こういう例があったからなんですよね。これは都立図書館の中央館の職員の方に、偶然経験したこととしてお聞きしたんですが、最近、二年ほど前に、ある新聞に草川八重子さんという作家の「空飛ぶおばあさん」という作品が連載されたそうなんですよ。草川八重子さんという方は私も知らないんですけれども、その連載が非常に反響を呼んだらしいんですね。その本は、二〇〇〇年言払本の泉社から出版されたそうです。これは三絶とも所蔵されていますし、本屋さんでもまだあるかもしれません。

 ところが、その直後に、同じ作家の、恐らく処女作だと思うんですが、「海を抱く」という小説が、急に借り手がついたらしいんですよ。たまたまその職員が勤務していた時間に、他の図書館からレファレンスがあった。探してみたら、ない。調べてみると、館内でそのとき閲覧をしている人がいた。

つまり、複数の人が同時期に、余りそれほど名前が知られていない作家の十年ぐらい前の作品ですが、一度も借りられたことのない本に、複数の借り主があらわれたということがあったそうなんですよ。
 こういうことというのは、私は今後も起き得るし、また、それが起きたときに要望にこたえるのが図書館だと思うんですよ。

 したがって、複数タイトルを持つというのは、たとえ今まで利用がなくても、少なくとも今持っている本については大事にすべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 必要のある資料につきましては、複数を設けるということを考えてございます。ただ、その一方で、極めて例外的なケースを想定して、すべてのものを持たなくてはならないという論理は、現実的ではないというぐあいに考えてございます。

○曽根委員 私は、もちろん都の財政状況もありますし、これからすべて二点ずつ買えといっているわけじゃないんです。しかし、これから買う冊数、2点買ったほうが私はいいと思いますよ。しかしそれはいろいろ判断があると思うんです。

しかし、今複数以上もっている本を何故処分して、東京都が手放さなきゃならないのかという事については、先ほど言いましたように、10年分のスペースがまだあるわけですから、充分に検討の余地があるし、また、図書館が持っている役割から言っても、これは当然、さきほどわざわざ例示した事態もあるわけですから、こういうことにかんがみて、都立と所管は、やはり図書館らしい、そして個人の貸し出しもする、大変利便性の高い、そして市町村をバックアップするという多くの機能をもった図書館として発展させるということが必要だと思います。

 その点で今回のあり方検討会は、もちろん中にはいい部分もたくさんあるんですけれども、重要な根本的な部分で、やはり都立図書館のあり方として、私は問題がやっぱりあるといわざるを得ないと思うんです。その点での再検討を強く求めて、この請願については趣旨を酌むべきだということを申し上げて、終わります。

●多摩市民活動サービスコーナーの存続を訴え

○曽根委員 まず、サービスコーナーの現状ですけれども、予算は先ほどお話がありましたけれども、私も存在を今まで、この問題が起きるまで知りませんで、昨年、この廃止計画が出たということで知らせを受けて、十一月二十日に現地を見学をいたしました。

 前に教育庁の、こちらの方におられた大崎さんが館長で行っていらしたので、よく知っている方だったので、いろいろと率直にお話も伺ってきました。それから、主人の嘱託職員の方にも活動の現状についても話を聞いてきたんですが、全体の印象ですけれども、東京都が持っている市民活動サポートのための施設として本当にささやかなものだというふうに思
いました。
 したがって、ここの利用する活動団体がある程度数も限られたり、地域的にも割合近くの方が多いというのも、あの規模からすると、広域的に多人数の団体が利用するには余りにも小さ過ぎて、集会室そのものが二十人ぐらい入ればいっぱいになるような部屋ですから、とても利用し切れないだろうなという風に思いました。
 そういう点でいうと、現状が、非常に東京都としては、私に言わせるとふがいない状態のものを、ふがいない状態だからもうやめますというのか、もうちょっとまともなものにして欲しいというのが、この請願の趣旨だと思うんですね。そういう大きな捕らえ方をしたときに、どっちに進むのかなという風に思うわけです。
 それで、先ほどの部長の答弁で、ちょつと改めて確認をしたいんですけれども、あのコ−ナー自体の持っている機能が、普通の区市町村並みのものだから、その程度のものだったら東京都がやるものじやないんだ、むしろ区市町村でやった方がいいというふうにとらえておられるのか、それとも、もともと東京都はこういう市民活動に対して直接場所を提供したりサービスを提供したりするんじやなくて、間接的な役割が東京都の役割だと思っていらつしやるのか、どちらなんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 スペースの大小は基本的な問題ではないというように考えてございまして、基本的には、第一義的に市民活動を支えるのは区市町村であつて、東京都はそれをバックアップする、広域的な視点からバックアップする、そういう認識を持ってございます。

○曽根委員 市民活動というのはいろいろなものがあるんですよね。ですから、確かにある市町村の範囲の、一つの市町村の範囲の中で、その規模の中でやっているグループももちろんありますが、しかし、あそこを利用している割合少人数の団体の中にも、私がお話を伺ったところでは、幾つか、十近い多摩の地域にまたがってメンバーが存在している、私が聞いたのは「シェークスピアの森」というちょっと変わった名前の英語のサークルなんですが、ここは青梅を中心として十ぐらいの地域の市民の方が集まってやっていて、そんなに人数多くないので、ちょうどあそこの会議室が使えるということで、非常に便利に使っているというお話でした。そういう活動もあるわけですよ、現に。
 そういう場合は市町村の公民館や会館を利用する場合、私のいる北区なんかは、メンバーの過半数がその市町村に住んでいないと利用できませんよという制限があるんですよ。多摩にも多分そういう制限がそれぞれあると思う。だから、メンバーの所在をちょつとごまかさないと使えないところがあるわけですよ、企共の施設で。そういう実態があることはご存じですか。

○嶋津生涯学習部長 区市町村によりましていろいろな形態を持っているというのは承知してございます。ただ、登録団体のみであるとか、あるいは半数以上のところでないとだめであるとか、そういったところもあることも承知しているつもりです。ただ、現実においてはいずれの自治体もかなり弾力的な運営をしているという実態であるということも伺つております。

○曽根委員 弾力的にはいろいろやっているかもしれません。しかし、規程がそうなっている場合、厳密に適用されたら、どこでも活動の拠点がなくなるというサークルが、私は多摩の方には特に多いんじやないかと思うんですよ。これは私のいる区部なんかは割合区ごとにしっかりと施設があつて、それで活動団体も割合区単位の団体が多いんですけれども、多摩の場合は市町村を越えて活動しているのが結構あるんですよ。また、そういうところが立川のこのサービスコーナーを利用している団体の中に結構あつて、そういうところから私たちは陳情を受けているわけなんです。
 それで、今後市民活動との連携は大事だというお答えが先ほどありましたので、大事だというのであれば、私一つの例を紹介したいんですが、ある方から紹介されて、神奈川の県民活動サポートセンターに行ってまいりました。
 そこは大きなビルの八階から上、十一階の半分まで、面積にして、多摩のサービスコーナーの六十倍の面積を持っています。多摩の人口と神奈川県の人口は、神奈川はちょっと多いでしょうが、大体互角ですから、そういう意味では多摩人口に責任を持つという、規模として、持つのであれば、あのぐらいの規模は少なくとも必要かなというふうに思ったわけです。

 そこには多摩にある会議室の様なものが数十ありまして、そのほかにこういうフロアになつていて、テーブルがそこかしこに置いてあって、フリーに使える場所もあるんですね。ロッカーがあり、レターケースがあって、そこに団体向けの連絡をすれば、職員の方がその団体のレターケースにファックスなり手紙を入れてくれるというふうに、いわば事務局的な役割も果たす。相談員もいる。
 そういう意味では、あそこは九五年の阪神の震災のあのボランティア活動を見て、知事の一声で、神奈川県も、(東京も同じだと思いますが)、震災の危険が迫っているだけに、ボランティアの受け皿としてそういうものを用意する必要があるということで、急遽あそこを開設したというふうに聞きました。年間三百六十日、年末年始の六日間を除いて基本的に全日開業、朝の九時から夜十時までやっている。非常にそういう意味では腰を据えてやっているなという気がしました。もちろん県民であり、自主的な活動で社会に貢献するという目的を持って非営利であれば、どなたでも利用できるということです。
 私は東京都で考えるならば、これぐらいの受け皿をつくって、もちろんそこには生文局でやればいいのかどうかという問題もあるでしょうが、そういう受け皿を持つべきだ、東京都が。今後のことを考えても、市民活動との連帯のために。そういう考えを持つんですが、これは部長さんにお聞きするのは酷かもしれませんが、まず部長さん個人としてどう思いますか。

○嶋津生涯学習部長 先ほども申し上げましたように、東京都は広域的な立場からNPOの団体などの活動がしやすい環境づくりを進めていくということ、これが大事であるという認識を持ってございます。ただ、NPO法人の発足も一九九八年であり、まだまだ言葉とは裏腹に、実体的にNPOの熟成も、あるいは行政側の対応も必ずしも十分ではないという実態がございます。
 それだけに今の神奈川県のお話とか、全国いろいろなところでいろいろな模索をしているのが実態であろうというように思ってございます。そういう意味
でも、東京都もあるべき広域自治体としてのサポートの姿をどういうぐあいにやっていくかということについては、当然考えていかなくちやいけないものというように考えてございます。

○曽根委員 余り長々と時間をかけられないので、意見として、今、今後のことは考えていかなければならないというお話だったので、私はそれを考えていく上で、神奈川県のサポートセンターができてから、今日に至って、常時利用団体が二千、一回でも利用している団体が八千ある。私は東京にもそれぐらいの団体が活動していると思うんです。問題は、ばらばらにやっているのじやなくて、こういうセンターができることで自治体ともつながりができ、それだけじやなくて、お互いにさまざまな情報や活動の交流ができるという点で非常に大きな意味があると思うんですね。ですから、東京都が直接市民活動をサポートする、援助する、受け皿を提供する、そこにこのセンターの意味があるんだと思うんです。
そういう方向を目指すべきだということを申し上げておきたい。

 それから、最後にちょつといきなりまたサービスコーナーの話に戻るんですが、先ほど印刷機が利用できるところが八十二カ所あるということでした。サービスコーナーの印刷機は、そうするとその八十二カ所についてどうなるんでしょうか。

○東委員長 ちょつと趣旨がわからない。
○曽根委員 ではもう一回。サービスコーナーにある、今活動団体が使っている印刷機はどのようになるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 市民活動コーナーの廃止に伴いまして、今の印刷機はとりあえず撤収するというぐあいに考えてございます。ただ、これ以後の社会教育会館のあり方の中で、住民のいわば使い勝手というか、意向の中で必要であれば、それを何らかの形でまた設けるということは一つの検討の対象であろうかというように思ってございます。

○曽根委員 悪いながらも、最後にちょっと、希望の灯がちょこっとついた感じで。
 昨日、団体の方が嶋津さんとお会いになったそうで、それで、嶋津さんも多摩の住民だし、あそこを利用したこともあるので、お気持ちはよくわかるという話があったというので、これは人間がやっていることなので、何とか配慮をお願いしたいんですよ。
 つまり、近くに公民棺ありますよ。コピーもあり、印刷機もあるところもあるんです。ただ、あそこの印刷機は、一つの原版からかなり拡大していろんなポスターなんかを印刷できる特殊なものなんですね。これを置いているところは、八十二カ所の中にここしかないと私は思うんです、多分。これが特色なんですよ。こういうものをとりあえず撤収じゃなくて、できれば何らかの形で使えることだけでも考えてもらいたいんですよ。なくならいように、努力をお願いしておきたいと思います。
 もちろん、多摩のサービスコーナーを存続し、もしくはさらにNPO等の為にグレードアップさせて欲しいという請願の趣旨は、当然くみ上げられるべきだという点を申し上げて、私の質問を終わります。

●定時制給食の自校方式への復活を求める

〇曽根委員 簡潔に一点だけお聞きしたいんですが、自校調理方式からグループ方式に変えた。この点については、我が会派からも、かつて質問をしておりますので、改めて、先ほど、調理室が小規模になったというようなお話がありましたが、むしろ、今、全体として定時制の学校は減っておりますし、学校間の距離もだんだんだんだん遠くなっている。しかも、学校での生徒数も減っている傾向にあると思うので、調理室が手狭になるということはちょっと考えにくいように思うんですね。
 そういう点からいっても、私は自校方式を続けていることと、配送して、何校かを回ることとの手間を考えると、そんなに経費の節減にもならないし、かつまた、何といいますか、つくっている学校の生徒と、配られる遠くの学校の生徒の、この格差はどうにも埋めようがない。定時制の生徒は、大体いろんな形で差別を受けてきたり、惨めな思いをしてきたりしている子が多いので、その中でもまた、温かい給食と冷たい給食という格差がつくというのは、どうにもやり切れない思いが、理不尽な感じがして仕方がないんですが、これはあくまでも全校に徹底していくという考えなんでしょうか。

〇桜井体育部長 ただいまの質問の中で、調理室と、お話承りましたが、調理数でございまして、喫食数も含めて調理数が少なくなってきた、そのために小規模化してきた。児童生徒の数にあわせて、数が少なくなったということでございます。
 今、ご質問にありましたが、高等学校の、特に夜間課程の給食におきますグループ方式、これにつきましては、給食制度の趣旨を尊重しながら、実情に合った合理的な給食を実施していると考えております。あわせて、効率化を図りまして、現在、十三年度から始めたわけでございますが、三カ年計画ですべて、百一校、今ございますが、おおむね単独校も含めまして五十校程度の調理校にしたいと考えております。
 自校方式のときと比べまして、現在の適温配膳車を使うことによりまして、遜色なく給食の提供ができていると考えておりますし、約四割近くの経費節減が図られることから、自校方式と何ら遜色のない、これから先も提供できるものと考えております。

〇曽根委員 意見を申し上げます。
 私も何年か前、まだ自校方式で全部やっていたところですが、地元の赤羽商業高校の定時制の給食を見に行ったことがあります。定時制は、一クラス少ないですけど、五、六十人でしょうかね、給食室に集まって、そこは定時制高校の一番にぎやかな時間ですよね。先生と生徒が一緒に食べていて、朝、昼、食べてない生徒もいるんですね。家庭の事情や仕事の事情か何かで。そうすると、先生が自分の給食を分けてあげたりして、ああ、これは教育というのは、こういうところにも教育というのはあるんだなというふうに実感をした思い出があります。
 そういう点からいって、私は、規模が小さくなった、先ほどちょっと間違って申しわけありませんでしたが、一校一校の調理数が少なくなった、だからまとめて四割削減で結構なことだというのでは、私は教育じゃないんじゃないかな。規模が小さくなったらなったなりの調理のそれぞれのやり方を考えていけば、そんなに経費をかけなくても改善は自校方式でできるんじゃないかというふうに思うので、ぜひこれについては、先ほどの答弁は余りいい答弁ではありませんでしたが、もとに戻してもらいたいと切にお願いしまして、この請願については採択をお願いしたいと思います。
 以上です。
〇東委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕
〇東委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二五二号は不採択と決定いたしました。

●ユースプラザに統合される夢の島プールの利用の確保を

〇曽根委員 簡潔に質問します。
 まず第一に、この夢の島体育館の屋内プールは四半世紀にわたって運営されてきたもので、その隣にPFI方式によるユース・プラザができることによって一体運営となる。そうすると、さまざまな条件が変わってくる。料金の問題は先ほど説明がありました。
 もう一つ、申し込みの受け付け時期なんですけれども、プールについては、たしかお聞きしたときは、半年前から受け付けじゃないかと思うんですが、ユース・プラザと一体となることによって、PFIのホテルの−−ユース・プラザの宿泊受け付けと同じ時期になるのか。そして、それはいつぐらい前から受け付けというふうになるのか、その点をお聞きします。

〇千葉局務担当部長 ご指摘のように、PFI方式というのは、民間事業者に主体的に我々が要求する業務要求水準に従って案を提出してもらおう、こういうことでございます。したがいまして、区部ユース・プラザの施設の利用受け付けの手順については、東京都が業務要求水準書に定めた条件、例えば、団体は原則としては同時期に受け付けることであるとか、そういったことを満たした上で民間事業者が設定することとしてございます。

〇曽根委員 そうすると、それは、現在のプールの申し込み時期は半年前ぐらいなんですが、何カ月前というようなことは、都の側からは、いわば縛りをかけていないということでしょうか。

〇千葉局務担当部長 東京都の側といたしましては、業務要求水準を基本的に満たすべきことは、今申し上げたとおりでございますけれども、それを徹底するのに当たって必要な参考データとして、現状の夢の島体育館の利用受け付け時期、そういったものについてはつまびらかにしてございます。それを参考にして定めるように、このような指定の仕方でございます。

〇曽根委員 そうすると、参考にはするけれども、徹底的に縛るということはできないということになりますよね、PFI方式の原則からいえば。そうすると、利用料金についても、最終的にはユース・プラザの事業者が決める。プールについてもそうなる。申し込み時期についても、何カ月前から申し込みできるのかについては、ユース・プラザと一体になるでしょうから、これもまだ変動する可能性がある。
 そうすると、この自主クラブの方々からのお話を伺うと、単純に夢の島体育館だけを使っているのであればまだしも、近くの辰巳プールなんかも使ってうまく組み合わせてやらなければ団体の活動を維持できない。辰巳プールは、今後も都立でやっていくとすれば、申し込みの時期が異なっていくということは、この夢の島体育館の活用について不安が出るというのは当然だと思うんです。もともとはスイミングクラブの方々が、このユース・プラザをつくることについて物をいうチャンスは余りなかったと思うので、いつの間にかユース・プラザにいわば体育館も巻き込まれてしまったというふうな思いで受けとめられても仕方ないと思うんですね。
 そういう点では、今ある活動が維持できるために、東京都側では最大限の配慮をするやはり責任があるだろうと思います。この点を、まず申し上げておきます。
 それから、青少年団体と、スイミングクラブも含めた一般の団体、これは基本的にどちらが優先ということではなくて、原則同格ということは先ほどご答弁がありましたが、そういうことで、この方々の心配している点については、同格ということのお答えでよろしいですね。

〇千葉局務担当部長 基本的にはそのように考えていただいて結構だと思います。ただ、休日等につきましては、プール利用を除きまして、青少年団体は一般団体よりも一定期間優先して受け付けるといったことを業務要求水準書で指定してございます。

〇曽根委員 今のご答弁の中で、休日のプール利用を除くその他の利用についての青少年団体への一定の優先があるということだったので、プールを利用している団体については基本的には同格であり、土日についても影響はないというふうに考えて受けとめさせていただきたいと思います。
 だとするならば、今後の利用で、団体がこの夢の島体育館を、今までどおりに引き続き活動していけるようにするために、申し込み時期等も、周りの体育施設を考慮した時期になるように、いわば同じ時期に申し込みができるように、やっぱり東京都の側から事業者に対して強く働きかけをしていただきたいというふうに思うんですが、この点について、今後の事業者との関係での東京都の姿勢についてお聞きします。

〇千葉局務担当部長 基本的に、より多くの都民の方に、そしてまた、今使われている方に、さらによりよく使っていただきたい、そういうことでございますので、さまざまな形での現状を示し、配慮をお願いするというふうに考えております。それらをもとに、より民間事業者のノウハウを活用して、いい形での設定をされることを期待しております。

〇曽根委員 最後に、プールの利用については、現在もある程度コース分けをして、個人の利用する部分と団体が利用する部分とで区別して使っているようなことをお聞きしているので、こういうやり方は今後も大いに活用すれば、個人も利用できるし、団体も同時に並行して利用するということが、よほど利用者が爆発的にふえない限りは十分やっていけるというふうに思いますので、その点もぜひ考慮して、今使っている人たちが、間違っても締め出されたり、使いにくくなったりすることがないように強く要望して、終わります。
 以上です。

〇東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件のうち第一項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二四九号中第一項は趣旨採択と決定いたしました。

●PFIではなく、公的なスポーツ施設の充実を

〇曽根委員 簡潔に、意見だけ述べておきたいと思います。
 全体としてこの請願が求めている内容は、アマチュアスポーツクラブに対する東京都の総合的な助成の仕組みや制度を確立することと、そのこととあわせて、都立のスポーツ施設の民間化ではなく、責任を持って公共の施設を守ってほしい。料金制も、現状、少なくとも上げないでほしいということだと思います。
 この団体に話を伺ってきたんですが、東京都のスポーツ施設は、全体として非常にまだ不足しているということと、同時に、大変老朽化が進んでいるということを私も知りました。例えば、駒沢屋内球技場、オリンピックのバレーボールをやったところなんですが、既に上の方の窓ガラスは破れて、中にカラスやハトが飛び交っているという現状や、お金をかけて直した東京体育館のトラックも、三百メートルを都合上二百メートルにしたために利用が激減してしまった。その分が、お隣にある織田フィールドの四百メートルトラックの方が非常に利用がしやすいということで混雑しているなど、スポーツ施設のあり方については、もう一度全体的によく利用者の立場に立った見直しが必要だというふうに私も思っております。
 それから、料金制については、先ほどPFIの問題をちょっとやりましたが、どうしても民間事業者、今回は大林、ゼクタ、セノーの三社のグループ、一グループのみが登録をして申し込んだ。ここが落札することはほぼ間違いないと思うんですが、ほとんど無競争状態で事業者が決まった。逆にいうと、なかなか採算性というのは民間の側から見て厳しいのかなと思います。
 そういう点でいうと、料金にそのことがはね返らなければいいなということと、やっぱりこういう民間の営利を基本とした企業に施設を任せていくということは、都として大変危険な道もあるんじゃないかということは考えざるを得ない。
 そういう点で、これらの請願の趣旨については、趣旨を採択していただきたいということを申し上げて、意見とします。
〇東委員長 ほかにありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件のうち第五項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二五三号の一のうち第五項は趣旨採択と決定いたしました。

●モラル都市宣言を求める請願に反対

〇曽根委員 今の服部副委員長のお話も、私も共感するところがたくさんあります。子どもたちの市民道徳を育てることは、学校においてはもちろんのこと家庭や地域において必要ですし、私たちも努力がまだまだ足りないというふうに思っております。
 この陳情者の理由書の中にあります、青少年による凶悪犯罪が続発したり、いじめや不登校の問題などが次々と深刻になっている。このことの解決が急がれていることももちろん、そのとおりだと思うんですが、しかし、その原因や解決の道というのは単純ではないことも、我々痛感しているところです。都市宣言をするということについては、私は一定の条件のもとで行われるべきであろうというふうに思います。それは、例えば私たちが求めている平和、非核の都市宣言のように、既に都民の大きな運動があり、都民の平和の日の行事があり、また、そこでのアピールも出されている、それを踏まえた形での総意というのはできるだろうと思うんですが、モラル都市宣言については、いわばそういった意味での、今どうしても都市宣言を上げなければならないのかというと、むしろ個々に解決すべき問題がそれぞれの分野であるだろうというふうに考えます。
 したがって、問題の解決はもちろん我々も頑張りますが、ここで議会の総意として都市宣言を上げるという必要までは私は感じていないので、そういう意味では、都市宣言についての賛成はしかねるという態度を申し上げたいと思います。
〇東委員長 ほかに発言はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇東委員長 それでは、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕
〇東委員長 起立多数と認めます。よって、請願一三第二五一号は趣旨採択と決定いたしました。

●主幹制度検討の最終報告に意見表明

〇曽根委員 昨年十二月に一度、中間まとめの段階で審議しておりますので、きょうは意見と若干の要望を述べさせていただきます。
 昨年要望した、この制度のあり方については根本的に検討をやり直してほしいという私は意見を申し上げたわけですが、非常に残念ながら、全く内容的には変わらないものが最終まとめとして出てきました。私があのときに疑問を呈した中心点は、結局、主任制度を見直して主幹制度を導入するという場合、今学校で起きている子どもの間でのいじめや不登校や、果ては学級崩壊に至るようなそういう事態を、頭には振ってあるけれども、そういう問題を解決する上で、学校が一丸となって教職員が当たらなければならないときに、なぜ主任制度では間に合わなくて、主幹制度でなければならないのかという理由が、子どもとの関係では一切書かれていないということについて指摘をしましたが、この疑問はいささかも解決をされていないということをいわなければなりません。
 それから、先ほど教員の意識改革に役に立つんだという答弁がありましたけれども、前回質疑の際に、私は最後に申し上げたと思うんですが、今度の主幹制度を導入しようとする教育庁の姿勢というのは、余り例えたくはないけれども、傾きかけた企業によく似ているんじゃないか。大体危なくなっている企業というのは、経営者が、社員がまじめに働かないとか怠けているとか、そういうことをまず、さんざんけなす。しかし、現実にはほとんどの社員はまじめに頑張っている。しかし、業績が上がらないという事態が長く続いている。そういうときに、倒れていく企業というのは、普通は経営者の経営方針が間違っているんだ、時代おくれなんだということに最後まで気がつかない、そのために企業が倒れていくというのが通り相場なんですが、今の教育庁の姿勢はまさにその傾きかけ、これから倒れていく企業に似ているんじゃないか。意識改革が必要なのは、子どもたちや、ましてや教員よりも、文部省や教育庁じゃないかということを申し上げておきたい。
 いずれにしても、今後の導入のプロセスなどについては今回新しく報告がありましたので、若干ながら予算審議の中で質疑をさせていただきたい。その際に、私が前回要望したように、少なくとも主幹制度の導入に一体どれだけの予算をかけなければならないのか、これぐらいのことは材料としてきちんと提供していただかないと、審議をやる上でのいわば条件が整わないと思いますので、その点を強く要望しておきたいと思います。

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