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2002・6・20文教委員会(教育庁の議案質疑)
初のPFI方式による区部ユースプラザの問題点を解明

○曽根委員 区部ユース・プラザをPFI方式で整備、かつ二十年間の運営を任せるという今回の事件案について、ユース・プラザ、これまでも何度か議論してまいりましたので、それを踏まえながら基本的なところをいくつか聞きたいと思います。

 まずユース・プラザ構想というのは、調べてみたら二十年以上前からいろいろ構想が検討されていたようですけれども、直接的には、平成八年に出された社会教育委員会議の新しい青少年社会教育施設ユース・プラザのあり方助言というものによって、直接的にはこの提言を受けて計画されたというふうに聞いています。私どもの会派の議員から、本会議、文教委員会などで繰り返し質問しましたが、教育長もそのようにお答えになっている。ここでは、今提案されている施設や、そこでの計画されている事業内容などとは、かなり異なる中身が提言され、また当時は、教育長は、これを尊重して具体化をするということで、基本計画を途中まではつくってきたのじゃないかと思うんですね。それが、今回、このような形で提案が、私にいわせれば大分、変わっちゃった。なぜ変わったのかということなんです。

●基本計画から、施設規模も大幅に縮小

 もともとは、提言によると、青年の家が非常に活用されているという事実を押さえながらも、しかし、青年の家というのは施設的には限界があるという、先ほど山本委員がおっしゃったとおりなんです。孝朽化もしているし、集会室も少ない。そこで、施設的にももっと総合的な機能を持ったものが必要だろう。それから各地に、七カ所ですか、もう既に五カ所ぐらい廃止になっちゃったんですが、散らばっているのに対して、広域的な役割を持ったものが必要であろうと。さらに、今の時代にふさわしく、新しい教育的な課題にもチャレンジしていくべきであるということで、例えば、家庭における教育のさまざまな問題にもコミットしていきたいとか、それから、より高度な教育的なカをつけた施設として、現代の青年の抱えている不登校問題や引きこもり問題など、こういったものにも相談やいわば社会復帰といいますかね、社会参加の自立促進というようなことの機能も含めた高度な役割を持たせたい、持たせるべきだと。それから規模の上でも、その当時の、東京都青年の家、総宿泊定員六百五十人を下回らない規模とすべきであるということなどが提言されていた。
定員の上では、多摩と合わせても五百人程度になりそうですので、下回っちゃっているんですが、私、この機能面でさまざまに提起されてきたものが、少なくともPFI方式の導入が検討される前までは、かなり具体的なところまで検討が進んでいたんじゃないかと思うんですが、今回、資料をいただいた中に、その比較をちょっとお願いしたんですけども、資料の四ページなんですけれども、平成十一年三月段階での基本計画で、かなり具体的に宿泊施設やスポーツ、それから活動施設などについての計画が具体化されていた。今回のものとの比較を出してほしいということでお願いして、こういう資料が出ました。
 それで、一番わかりやすいところからいきたいんですけれども、ここには、当時基本計画では、新設部分と既設部分となっていて、今回は新棟と既存棟というふうに名称は違いますけれども、要するに新しく建設する建物の部分、この規模を見ると、かなり違うんじゃないかと思うんです。現在提案されている新棟は大体四千六百平方メートルぐらいの床面積ですが、三年前の段階ではどの程度の規模だったのか。
それから研修、学習その他の活動室ですね、これもかなり数が違うんじゃないかと思うんですが、数が書き込まれていないので、この二つの点でどの程度違いがあったのか、これをまず明らかにしていただきたい。

○千葉局務担当部長 基本計画の策定時点、この時点ではこのような施設をつくろうと。これからうかがい知れるといいますか、現在あるスポーツ施設にこれまでなかった音楽室等を新しく新設する、そういうイメージのもとに多様な施設構成をしたい、こういう検討段階でございまして、具体的な形で、この時点でそれぞれ何室というようなことは決定しておりません。

○曽根委員 これは、当時、関係者に既に設計図なども回っていて、実際に部屋の間取りなども、大っぴらに都民に公表ではないけれども、関係者はよく知っていたわけです。私たちもいろいろ聞いているんですけれども、少なくとも新設棟については、今の四千六百平方メートルの大体二倍ぐらいの大きさを考えていて、部屋数も、現在は活動室は八室ぐらいですけれども、その三倍以上あったというふうにお聞きしているんですけれども、それは事実でしょうか。

○千葉局務担当部長 区部ユース・プラザ、できるだけ青少年の社会教育に資する施設にしようと、さまざまな検討過程を経ております。そういう中で、ピークに対応したらどの程度必要であるとか、そういったことを想定しながら考えた、そういうような検討過程というのも確かにございます。

〔 「関連性は、はっきりしなくちゃ、ないならないと」 と呼ぶ者あり〕

○曽根委員 これは私、非公開だとか、隠す必要、全くないと思うんですよ。今の提案について、自信を持って提案できるのであれば、途中段階でどの程度の検討をされたのか、そのプロセスをきちんと透明に明らかにすべきなんです、都民に。それで、PFIにおいては、こういう検討の結果、こうなったというふうに。そうでないと、正確な比較はできないと思うんですね、これだけでは。率直にいって、活動室は二十六室あったと、当時計画で。間取りも全部出ていたんですよ。そうじゃないですか。これぐらい明らかにした方がいいんじゃないですか。納得できませんよ、そんなことまでぼやかすのでは。

 〔 「いいじゃない、いろいろ検討があったというこ.とをいっているんだから」 「計画だって変わることがあるでしょう。いろいろなことで、どうってことないんじゃないの」と呼ぶ者あり〕

○千葉局務担当部長 活動室が二十六室だという資料につきましては、ちょっと私の方で、今手にございません。そのような経過というものが、いろいろな検討はさまざまな形でしておるとは思いますけれども、そのようなことを明快に決定し、それをというプロセスについては、ちょっと承知しておりません。

○曽根委員 少なくとも、面積でいえば今の二倍程度、活動室、活動のための部屋ですね、各会議室や研修室や工作室、その他いろいろ書いてありますが、要するに現在の八室の三倍以上あったという、これぐらいは率直にお答えになっていただいていいんじゃないですか。
 そこまで隠すんですか。はっきりそれぐらいは答えてくださいよ、その上でそれぞれの意見があるでしょうから。どうですか。

 〔 「曽根さんのいっていることもわからないよ」「根拠を、図面見してもらいなさいよ。これだから違うと言ったんじゃわからないじゃないのよ」「手の内明かさなくちゃわからないよ」と呼ぶ者あり〕

○千葉局務担当部長 特に隠すというようなお言葉ですけれども、検討過程において、さまざまな過程というのは当然にあります。その上で、その最終決定、財政動向、その他、需要動向、目的、そういったことを決定して、最終的にお諮りするわけです。今回、PFI事業でございますので、このような具体的性能発注といった、青少年社会教育施設としてはこのような施設が必要である。それを事業者に提案をお願いし、出されてきたものを審議、審査をして決定した、こういうことでございます。

○曽根委員 ちょっと聞き方を変えますけど、検討過程いろいろあったと思いますよ、でこぼこはね。ただ、その中で、私がいった程度の規模のことも検討されたことがあるというぐらいはいいですか。

○千葉局務担当部長 ピーク時といいますか、どうしてもそういった繁閑というのがあるわけですけれども、例えば繁の場合はどうであるのか、閑の場合はどうであるのか、繁のときに、今の二十六というのは私どもの経過の資料にはあれなんですけれども、相当大き目な用意というのも必要であろう、そういった検討は当然にあったと思います。

○曽根委員 ユース・プラザに求められる総合的な青少年の活動のための拠点としての機能ですね、宿泊施設としては二百五十人と、これは一貫して変わってないらしいんですが、 それに対してどれぐらいの活動の会議室その他をつくる必要があるのかと。
 私、学生のころ、サークルをやっぱりやっていたんですけど、そのころは、寝泊まりする場所と、会議をやる場所、同じだったんですよ。畳の大きな部屋があって、そこでみんなで、夜は寝袋かついでいって、布団屋から借りる料金も惜しかったんで、みんな寝袋で寝ていたんです。
 それで、朝起きて寝袋畳んで、そこで会議をやる。それで一つで済んでいたんですね。ところが、最近はそうもいかないんで、宿泊棟は宿泊棟、そうすると、基本的には宿泊棟の規模に匹敵するぐらいの活動のさまざまな会議室その他を設けないと、大体うまくいかないというのが今までの前例であって。
 これは、私、参考のために国立のオリンピック記念青少年センター、千駄ケ谷にありますけれども、そこにお聞きしたら、宿泊人数は千三百人に対して、大中小の会議室その他、演劇室だとか音楽室も入れて大体百ぐらいの部屋がある。百ぐらいの部屋があって、そうすると、利用どうですかというと、宿泊者が半分、日帰りで会議室だけ利用する方が半分ぐらいで動いてますということでした。やっぱり都内の公益的な役割を持つ青少年の拠点としては、それぐらいの会議室を持たないと、宿泊者が当然優先になる可能性が高いですから。
 こっちは八つしかないんです、二百五十人に対して部屋が。それも大きめの部屋はどうもないようなんですけれども。そうすると、大体宿泊者だけでも足りなくなります、活動しに来るのが基本なんですから。
 そういう点では、かつてピーク時というふうにおっしゃいましたが、少なくとも三倍ぐらいの規模の活動室がないと、拠点、場所がないと、やれる活動も限られちゃうわけですよ。このことをまず指摘しておきたいと思う。

●社会教育をまともに取り組めるのか

 それから社会教育事業をやっていくんだということでお話がありました。
 社会教育事業は、費用としては、だれがどのように負担するのか。それから中身は、だれがどのように企画、決定するのか。だれが行うのか。そのときに、社会教育事業を行う人の資格といいますかね、教育活動ですから、その資格はどうなっているのか。この点についてお聞きします。

○千葉局務担当部長 社会教育事業、従来の青年の家等でいわゆる主催事業として実施していた部分に対するお尋ねと考えます。その費用につきましては、東京都の施策と関連いたしますので、費用負担は東京都がいたすものであります。計画につきましては、ユース・プラザで日常的にユース・スクェアという施設をつくるんですけれども、そこでさまざまな活動をケアしているユース・プラザと、そして政策と関連するわけですから私ども東京都と、いわば都と選定事業者側の両方、そして学識経験者を交えた企画委員会というものを設置いたしまして、そこで具体的な毎年度の計画を立案してまいります。
 次に、実施でございますが、これは、PFI事業として選定事業者が行うものでございます。

○曽根委員 PFI事業者が教育活動を行う上での資格の問題はどうなりますか。

○千葉局務担当部長 失礼いたしました。社会教育事業の実施に当たりましては、高度な専門性、そういったものも必要とされます。したがいまして、この選定事業者の中に社会教育主事の有資格者、これを配置することを条件としております。

○曽根委員 つまり百六十二億八千万円何がしのPFIにおける契約金額の中には、そこで行う社会教育事業、自主事業の予算は別枠であって、この中に入っていないということですね。したがって、毎年その企画を東京都が入って計画するというようなことで、この冊子の中には図も入っているようですけれども、私は、なぜわざわざそんな複雑な仕組みまでつくってやらなきゃならないのか、東京都がその部分、社会教育事業の部分、直接職員を送ってやればいいじゃないかと、私は思うんですが、少なくともそれでもって果たしてうまくいくのか。例えば、毎年必要があれば、どれぐらいの予算を使っても一応上限なしにできるのか、それとも上限が決まって枠がはまっているのか。それから、社会教育主事を配置するというのは、今、青年の家、トータルでいっても、各施設に一人または二人以上の社会教育主事の方が配置されてますので、それぐらいの規模の社会教育主事がちゃんと配置されるような契約の取り決めになっているのかどうか、この点どうでしょうか。

○千葉局務担当部長 まず、費用、予算措置の関係でございます。今論議となっております社会教育事業、主催事業、これは、その時々の情勢、青少年に係る問題の状況、そういったものによってさまざまな展開が予想されます。したがいまして、これはPFI事業で行う以上、総トータルの債務負担の中には入れてございますけれども、毎年度、それらの必要性を単年度の予算査定といいますか、単年度の予算縞成で決めていく必要があるだろうということで、東京都の予算編成の議を経てやるものですから、青天井とか、そういう形でもありません。必要なものを、必要な経費を措置する、こういう仕組みでございます。
 それから、人数とおっしゃいましたが、一応私どもとしては、そういったことを行うために社会教育主事の資格を持った専門職員を配置すると。それについては、少なくともその事業には一名以上は配置しなければならないというようなことを申しておりまして、具体的に何人、どのように配置するかというのは、今後の具体的な運営の中で決まっていくというふうに考えております。

○曽根委員 その年ごとの社会教育の主催事業の額は、それは予算上の措置で決まっていくでしょうが、総枠二十年間で、債務負担行為で縛られているんじゃないですか、その点の枠はないんですか。

○千葉局務担当部長 債務負担行為として、ことしの第一回定例会で議決いただきましたときに盛り込んでおりました数値は、約一億四千万円でございます。

○曽根委員 これ、二十年間ですよね。

○千葉局務担当部長 そうです。

○曽根委員 いろいろでこぼこは、これからいろいろあるでしょうけれども、年に平均すると七百万円ぐらいということになるんですが、これが多いか少ないかというのは、いろいろご議論はあるでしょうけれども、少なくとも青年の家に今かけている事業費に比べればかなり低いんじゃないかということと、社会教育主事も一人以上ということで、あとは協議という点で、私は本当に八つの部屋しかないこのプラザを使って、プラザが主催する事業を年間七百万円程度の平均予算でどういうふうにやっていくのかという点でいうと、かなり多彩
な事業と、ここに書いてあるんですけれども、そうはならないだろうなというふうにいわざるを得ないと思います。

●青少年の心の相談は、計画から消滅

 それから、私、もっと心配なのが、引きこもりとか不登校の青少年に対応できる相談をふくめた事業をやるというふうになっているんですね、基本計画では。これは、かなり高度な専門性と先ほどおっしゃいましたが、本当に高度な専門性が必要であるし、児童相談所その他の関係機関との連携抜きには、単独で実施できるものではないんじゃないかというふうに思うんですよ。本当にユース・プラザをせっかくつくるんだったら、公益的にも、そういう役割をぜひ持ってもらいたいんですね。
 基本計画の考え方の中に、こういう基本的考え方という文書が当時出まして、ここの中に入っているんですが、不登校や引きこもり等の青少年に心と体の居場所 (フレンドリースペース) を提供する。青少年等の迷いや悩み等も相談、生活していく能力や技術を身につけ、はぐくむ場の提供というふうになっているんですね。 (「いつの資料」と呼ぶ者あり)これは三年前ぐらいですね。この基本方針を決めたときの。この方針、変わってませんよね。どうですか。

○千葉局務担当部長 平成十年一月にそのような方針を定めておりますが、具体的にその後、基本計画、そして今回のPFI事業としての提案と、そう進んでいっております。そういう中で、当然に今ご指摘のような引きこもり等の関係につきましては、そういう過程の中で、そこで直接というよりも、そのような適応指導教室等を展開する機関などがユース・プラザという場所を使って進める、そういうような形に、ユース・プラザの具体的な性格を明らかにする中で、その方針を応用的に考えている、そういうプロセスがございます。   

○曽根委員 やっぱりユース・プラザのあり方の提言からいうと、ユース・プラザ自身が、みずからが教育機関として今日の青少年問題に積極的に携わっていくべきであると、その役割は、現在の社会状況から発生する種々の青少年に関する課題について、教育的見地から実践に基づく調査研究を行い、これにどのようにこたえていくのかを考察することである。さらに、この結果に基づいて、継続的に教育活動を展開し、かつその評価を不断に行うことが要請される。ここまで書いているんです。調査研究をちゃんと担っていくべきだということで要請しております。それが実際には、そういう活動は別のところでやって、それに使う場をここで提供するにとどめるといいますか、そういうあり方になったんだというようなお話ですけど、明らかに助言の出していた提言からいうと、私は、中身抜きの、要するに部屋を提供しますというだけになっちゃっているんじゃないかなと思うんですね。
 これを専重するということで今まで進んできたんですよ。そういうふうにつくられてきたんですけれども、間違いなくこれは、相談活動そのものはやらないということですか。

○千葉局務担当部長 区部ユース・プラザにおきまして考えている相談活動といいますのは、青少年が自立などを促すために必要な団体活動、これに対する支援を考えております。
 したがいまして、青少年からどのような団体活動があるのか、こういう活動する場合には、どのような団体、あるいは講師がいるのか、そういった具体的な活動に関する相談、こういったものを想定してございます。       

〇曽根委員 やっぱり社会教育活動はやるけれども、本当に今、青少年が悩んでいる、現実にどんどんふえている引きこもりの問題とか不登校の問題に直接携わって研究調査したり、それに対して解決の道を探っていくというような事業をやるところではないということが今答弁でもはっきりしました。明らかにこれは提言からの後退ですよ。このことを指摘しておきたいと思うんです。
 やっぱりそうならざるを得ないんだと思うんですね。規模も小さくなった。特に小さくなった部分というのは学習、研修室ですよ。これは不採算部門ですよ、明らかに。で、採算が取れそうな宿泊施設やレストランなんかは、このあれを見ると、基本計画では、今の夢の島体育館の中に改装してレストランを入れる予定だったのが、それじゃあなかなかいいものができないということなんでしょうかね、今度は新棟の方に一から設計してレストランを入れる。
 そうすると、レストランというのがこの施設全体の中でほとんど唯一の事業者が収益が上げられる施設だと思うんですね、やりようによって。そこを新しく新築する建物の中に移した、こういう考え方、やり方の中に、PFIにすることによって、もともと不採算だけれどもやらなきゃならない社会教育の東京都としての事業、活動のあり方から、やっぱり採算を度外視はできないし、むしろそこを重視しなければならないというPFIに、私はつきものになると思う財政問題というんですかね、ここに軸足がシフトしたなというふうにいわざるを軒ないと思います。

 (「そんなこといわれていいの、そうじゃないんだろう。はっきりした方がいいよ」と呼ぶ者あり)

 ご意見があったら、後でまたお聞きしますよ。

●最大のメリット・財政の軽減はあるのか

その財政問題なんですね、先ほどPFIを選んだ基本的な理由の第一に、民間資金などを活用した都としての財政コストを低減できるんだというお話があり、本当に低減できるのかということなんです。

 私、資料も比較表をお願いして、いただいたわけですが、この資料の二ページ、これには、直接東京都がこの事業を執行した場合に、建設及び運営・維持管理費等で百九十一億一千九百万円かかるんだろうと。しかし、PFIで今回提案されたものは、これに対してサ−ビス購入料として百六十二億八千八百万円プラスモニタリング費用などで一億五千万円というふうに安く上がるんだというような話になっているわけです。この中身、もう少しきちんと見なきゃいけないと思うんで、ぜひこの中の新棟などの建設費、これが、公共の場合、直接執行の場合とPFIの場合で幾らかかったのか、及び借入利息がどちらの場合も出てきますので、借入利息の支払いにどれぐらいかかるということになるのか、この点をちょっとお聞きしたい。

○千葉局務担当部長 お答えいたします。
 サービス購入料のうちに含まれます新棟の建設費及び開業準備費等のいわゆる初期投資額、これにつきましては、事業者の提案では約二十四億六千万円となっております。これに対しまして都が直接実施した場合は、約二十八億三千万円程度と想定してございます。
 また、利息でございますが、返済利息の事業期間中の合計額は、事業者の提案では約十六億円余となっておりますが、実はこのうちには、一般的に資本金とされる額を劣後ローンとしておるものがございまして、これにかかる金利を控除すると、約八億円の返済利息ということに相なります。これに対して都が直接都債を発行した場合につきましては、これは約四億円程度で推定しております。
 以上でございます。

○曽根委員 そうすると、建物の直接の建設費でいうと、民間のPFIでつくった場合の方が三億七千万円ぐらい安くできるだろう。これ自体も、ちょっと私、疑念がありますけれども、同じ資材だとか工程のデータを使って積み上げていくのにもかかわらず、公共の方が何で二割も高いのかなと思いますが、しかし、明らかな違いは返済利息で、聞くところによると、都債の場合は、今二%ぐらいの返済利息、民間では五・二%程度だというふうに聞いてますので、明らかに差があるわけです。二十年たつと大きな差になる。先ほど劣後ローンというようなお話がありましたが、東京都がサービス購入料として事業者に支払う返済利息分のお金というのは十六億円ですよね。
 したがって、東京都が直接執行した場合の四億円と比べて約十二億円の差があるわけです。建築費がたとえ二割程度、三億七千万円ぐらい安いとしても、やっぱり返済利息では決定的に差がついて、これだけ見ると、建設及び利息の返済で見れば約九億円の差があり、公共でつくった方が安く上がるわけです。二割ぐらい安いんですね。でも、これじゃ比較にならないし、PFIに有利だということに、財政負担にならないので、そこで東京都は、二十年間の運営を任せるというのをくっつけて、そうすると運営費は、大体大半が人件費ですから、公務員を配置するよりは人件費は安く済むだろうということで、こっちで勝負しようとする。これで全体がほぼ同額になるようなんですね。これも偶然とは思えないほどなんです。

 ちょっと表をつくってみたんですが、(パネルで表を示す。下の図を参照)建設費自体は、公共の方が若干高い。しかし利息でいうと、やっぱり公共の方が安くなっちゃうんですね。総額でいうとほとんど同じ・・。
 しかし、ここに「税の還流」というのが七億一千万円程度ありまして、この分、PFIが下がるんですね。
 全体でいうと七億三千万円、PFIの方が安いよと・・。

 すると、税の還流分が大体イコールPFIが安い決め手になっている。この税の還流分というのは、恐らく固定資産税や法人事業税だと思うんですよ。これが東京都へ戻ってくる、事業者からね。ただこれは、教育庁に戻ってくるわけじゃなくて、一般会計に入るわけですね。だから教育庁としては、このメリットは財政的にはない。そのことは、もういわずもがなですが、税の還流分七億一千万円程度の中に、私、法人事業税も入っていると思うんですけどこれは、この事業者が赤字になるか黒字になるかによって若干違ってきます。どれぐらい法人事業税をこの七億円の中に想定していますか。       

〇千葉局務担当部長 法人事業税として想定しておりますのは、二十年間の合計で約一億二千万円でございます。

○曽根委員 したがって、その分については、事業者が黒字にならなければ入ってこない部分なんで、確実に入ってくる固定資産税分だけ考えると六億円程度なんですね。ですから、この事業の財政的なメリットを最終的にはかる場合、建設費だけでは公共の方が有利、二十年間の運営費入れれば人件費分下げられるので民間が追いついてきて、ほぼ同額、最後は税金が東京都に入ってくるということでPFIの方が財政的にはちょっと有利ということに過ぎないんですね。しかも教育庁は税金をもらうわけじゃないんで、その分を。教育庁自身の事業としてどうかというと、いわば東京都全体に税金が、若干ですが、六億円ぐらいね、二十年間で。戻ってくることを最終的な決め手としてPFIに踏み切ったということに、財政的にいえばなる。
 私、これだって、いろいろ疑問はありますよ、この建設費の差なんか。それにしても、私、この程度の財政の差で、この程度の違いで、先ほど申し上げたような施設の規模も、PFIで何とか賄うために不採算部門の活動室などをずうっと減らしてしまうし、それから事業の中身も、部屋が減っているんですから大した事業はできないんじゃないかと。社会教育主事も何人置くかも決まっていないというふうになるぐらいだったら、何で直接東京都がやらないんだと、この大事なユース・プラザを。という疑問は最終的には残ると思うんですよ、大きな疑問として。
 しかも、私には、本当に頭へきたというか、頭へきたという言い方は悪いですけど、モニタリングという費用がありますね、一億六千万円、これは、民間事業者がちゃんと仕事しているかどうかを東京都がチェックする費用ですね。
 この一億六千万円は、いわば施設が行う、私にいわせれば社会事業の魂ともいうべき事業費一億四千万円より多いんですよね。だから、東京都が直接やればいいものを、わざわざ民間にやらせて、全体では二十年間で一億四千万円しかお金ありませんよと。しかし、そのチェックするためにそれ以上のお金かけるわけです。これもどうかなという疑問があります。

●利用料金は、青年の家の10倍に

 最後に、これは青年の家の利用者から、どうしてもいってくれといわれているのは、料金のことです。青年の家の現行の青少年及び一般の宿泊料金、それからPFIによるユース・プラザの青少年及び一般の宿泊料金を教えてください。

○千葉局務担当部長 提案されました宿泊料金につきましては、基本的に少年の場合が二千円を上限、そして青年の場合は三千円を上限、そのようになっております。それに対応して、現在の青年の家は、少年が百七十円、青年が三百五十円、こういう事実でございます。

○曽根委員 社会教育法には、社会教育施設というものは、無料もしくは低廉な料金だと定められているんですよ。ほかの件もいろいろ調べたんですね。国立オリンピックセンターは、三年前ぐらいに新築になってデラックスな施設で、ほぼ同等のものでしょうね。ここは、さすがに青少年が千百五十円、一般が二千三百円でしたか、それでも安い。ほかの県の青年の家は、それぞれ法で定められておりますから、あるんですけど、千円を超えているところは一カ所もありません。大体五百円程度です。ですから、これが原則としてなってきたものだし、かつ私、いろいろ聞いてみても、この「一十年間ぐらい、高校生や大学生が自由に使えるお金というのは、ほとんど変わってないんですね、月々一万円から二万円の間です。したがって、財政的な負担能力という点でいえば、本当に青少年が集まって自主的に活動し、自分たちのお小遣いの中で寝泊まりをしたり活動したりするということを考えると、二千円なり三千円の料金というのが、ホテル並みとはいいませんけれども、確かに宿泊施設は立派でしょうけど、負担の能力に見合ったものなのかなという、この点も利用者の声としてあるし、現に青年の家は、もう廃止になる間際まで宿泊施設は満杯ですよ、九八%とか九五%という利用率で、廃止の直前までみんな予約して使ったんですね。

 それだけ喜ばれていた。こういう点でも、私は、青年の家は今二カ所残っています。せめてこの二カ所はきちんと残してもらいたいということと、あわせてプラザは、やはり原点に戻ってほしい、この提言に盛られていたように、やっぱり今日の新しい青少年のさまざまな抱えている悩みや問題点に対応できる施設や事業としでもっと貌模の大きい、質的にも高い水準のものに改めて具体化をし直すべきだということを申し上げて質問を終わります。

●区部ユースプラザに付いての意見表明

 次に、第百九十号議案に対して意見のある方は発言を願います。

〇曽根委員 区部ユース・プラザのPFI契約について、日本共産党の意見を述べます。
 ユース・プラザは、九六年六月の社会教育委員会議の助言を受け、九九年に基本計画が決定されました。そこでは、青少年の学習、交流、相談など、多様な活動の拠点として位置づけられたものです。しかし、今回PFI事業者が提案した施設事業計画では、ユース・プラザの真髄ともいうべき社会教育事業について、人的配置も、予算や都の関与も極めて制約され、施設面でも、当初計画より活動室が大幅に縮小するなど、到底、助言や基本計画で示された本格的事業を展開し得るものといえないことは明らかです。PFIに転換したために、社会教育活動の諸条件より事業の収益性、採算性が優先されたといわざるを得ません。
 また、都がPFI方式を選んだ第一の理由である財政負担の軽減についても、建設費については、直接執行よりPFI方式が二割程度高くなり、これを埋め合わせるために、民間による運営費の人件費分を低く設定したり、都への税金還流分まで計算に入れなければ、PFIの財政メリットは出てきません。これによる六%程度のコストの差は、建物維持管理の工夫、努力などによって直営でもカバーできる範囲のものであり、PFIにより都財政負担が確実に軽くなる根拠はありません。

 したがって、ユース・プラザの建設、整備、運営は、都が直接事業を行い、社会教育委員会議の助言を尊重し、基本計画の立場に立ち戻って、より充実したものに再検討すべきです。
 あわせて、青年の家は独自にその存続を図るべきであることを申し添えます。
 以上です。

〇東委員長 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で、契約議案及びPFI法に基づく議案の調査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。

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