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財政委員会速記録

平成二十五年十月二十二日(火曜日)

事務事業質疑「基金の活用と、都有地の利活用について」

〇曽根委員 私からは、大きくは、基金の活用と都有地の利活用問題について質問しますので、時間も限られており、前の質問者との趣旨がダブる点などは割愛をしていきたいと思います。

 まず、昨年来のアベノミクスの進行で、株式市場や輸出企業などの業績を中心に景気が好転していると盛んに宣伝されていますが、都内の地域の中小企業や商店街、勤労市民や年金生活者などには実感がない、むしろ、今後、社会保障の負担増などで暮らしへの切り込みが厳しくなってきているという状況だと思います。

 これに対して都の財政の現状はどうなっているか、また、都民施策の充実をどのように図っていくのかという点で質問をしていきたいと思うんですが、先ほど、八千七百億円余りの今年度の基金残高が見込まれるという話がありましたが、昨年度について見れば、決算で、年度末活用可能な基金残高が、予算より大幅に増額となっていると思うんですが、その総額は幾らか。予算よりふえた額となぜふえたのか、あわせてお聞きします。

〇潮田主計部長 昨年度の基金でございますが、財政調整基金など財源として活用可能な基金の残高は一兆一千五百八億円でございます。これは、当初、予算ベースで申しますと八千三百六十九億円でございましたが、その後、平成二十四年度の最終補正予算段階で、当初の予算対比で税収の伸び等があったこと、あるいは、都市再開発事業会計等さまざまなほかの要因がございまして、そこの積み立て、それから最終補正時の取り崩し、こうしたものがあったというのが一点でございます。

 それに加えまして、二十四年度決算でさらに積み立て、それからもう一点は取り崩しではなくて、取り崩しの抑制ということが税収の伸び等によってございましたことを踏まえまして、最終的に、一兆一千五百八億円ということで、当初予算で対比しまして三千百三十九億円の増という状況になっております。

〇曽根委員 今、要因についてもお話ありましたが、三千億円以上、上回り、これまで都税収入の減が続いた中で、昨年度から、いわゆる景気回復といわれるような動きが、都税の上でも反映してきているということなんですけれども、その内訳は、財務報告書に決算出ていますが、やはり法人二税が一千百二十五億円の増額になっていると。都税全体の一千七十三億円の増額を上回っているということは、法人二税が大きく伸びて、そのほかの個人都民税などは、逆にじり貧状態が続いているんだと思うんです。

 明らかに、アベノミクスの効果が、都税収入に、大手の企業が中心になる黒字企業には反映しているよと。しかし、七、八割が赤字の中小企業や、都民の個人都民税などを見ますと、やはり都民全体としては、都税収入を払える状況は悪くなっているというふうにいわざるを得ないと思うのです。

 背景として、この一年間で、私の計算ですけど、勤労都民の収入は、年間で十万円近く落ちているわけで、それが全都民的に見れば、数千億円の減収になります。それから、これから始まる三年間にわたる年金の二・五%の減額が、北区の計算では二十八億円影響する。すると都内では、北区の倍率でいくと一千億円規模での年金生活者の減収がこれから三年間続くと、三年間でそのぐらいになるということで、これに加えて、来年の春の消費税増税もありますので、予定がありますので、格差が上と下でどんどん開いていく方向じゃないかというのを大変心配しているわけです。

 格差の底辺の階層では、貧困と同時に生活破綻が広がってくる危険があるということで、東京都は、こうした事態を機敏に捉えて、あらゆる施策を通じて、国にも物を申すと同時に、格差の拡大を防ぎ、暮らしの防衛に当たる必要があるというふうに考えます。

 都民税は、現在一〇%でフラット税率ですので、いってみれば、所得の再配分の効果が非常に小さい、累進性がありませんので、したがって、都民施策の中で、暮らしの応援としてどういうことができるのかということを最大限考えていく必要があると思います。

 その立場から、一つは基金の活用ということで、基本的な姿勢について、きょうは限って質問したいんですが、基金については、財調基金を初め増額になっている、この多くは、法人税が反映しているわけですが、私たちからいわせると、都民の暮らしを犠牲にしながら、企業がもうけを上げているという面が大変あるので、自治体としては、都民に何らかの還元策を考える。

 かつても、雇用失業対策や中小企業対策、もしくは物価対策などで基金の活用というのがありました。また一方で、東京都は、オリンピックに向けての準備も必要になってきます。

 その中で、都民の暮らしが落ち込み続けている中では、オリンピックの成功もあり得ないと、この点を肝に銘じて、オリンピック準備基金も含めた都民に活用できる基金の、都民生活とオリンピック成功を両立させる立場での活用を考えていくべきだというふうに思うんですが、この基本的な姿勢についてお答えいただきたい。

〇潮田主計部長 まず、基金でございますけれども、景気の影響により激しい税収変動を繰り返す都財政を運営していく上で、年度間の財政調整機能を持ちます基金の活用ということが重要なポイントであるというふうに私ども考えておりまして、今後、オリンピック・パラリンピック開催の準備を進めていく中にありましても、基金、それぞれ条例で定めたものがございますので、その定めに沿いまして、そのもとで基金を有効に活用するとともに、これまでもしっかりと、福祉施策、医療施策、教育施策そういったものはもとより、中小企業対策ですとか、東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策の財源については、しっかりと確保した上で、都政に課せられた使命を確実に果たしていきたいというふうに考えております。

〇曽根委員 以前からも申し上げているように、オリンピック準備基金についても、基金の目的は決められておりますが、万やむを得ない場合には、都民生活にも活用するというようなことも含めて、基金全体の、本当に全体を見渡しての活用ということを強く要望しておきたいと思うんです。

 あわせて、私、先日、大島の方にも行ってきたんですが、大島の災害復旧、町田も含めてですけれども、予想以上の費用がかかる可能性があるというふうに感じました。きょうは予定しておりませんでしたので、要望にとどめますが、災害対策の面でも、必要な場合は、この基金の活用も含めた都財政の機敏な運用をお願いしておきたいと思います。

 そして次に、基金とともに、すぐに活用ができるという点では、都有地の活用、これは、私、以前からも強く会派としても求めてきたように、とりわけ切実な介護や福祉、保育施設の整備拡充に活用を進めるべきだと考えています。

 それは、介護施設を充実させることによって、家族介護の負担を減らし、今まで、親の介護で仕事を離れていた人たちが社会復帰できるようにすることや、保育施設は、むしろもっと直接的に職につくために、どうしても保育園に預けなければならない方々が待っているという点でも、この都有地の活用によって、こうした福祉施設の整備促進が図られる必要があると思っております。

 この点で、この間の取り組みについては、これまでも質問がありましたが、福祉施設という点について、この十年間の取り組みがあったと思うんですが、どのような活用がされてきたでしょうか。

〇岩瀬財産運用部長 財務局と福祉保健局が連携し、平成十五年度より、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を実施し、未利用都有地を、高齢者施設、障害者施設等に貸し付け、施設の整備促進に取り組んでまいりました。福祉インフラ整備事業による平成二十五年八月までの都有地の契約実績は三十七施設でございます。

〇曽根委員 三十七施設が福祉施設にこれまで活用されてきたと。これはたしか、平成十五年に、福祉インフラ整備事業が実施され始めてからの、ことしでいえば足かけ十一年になりますか。その経過を見ますと、最初の八年間では、十三施設の契約でしたが、平成二十三年度、二十四年度、今年度の一カ所も含めて、この二年とちょっとで二十三施設の契約がいっているように資料を見るとわかるんですが、つまりこの数年の間に、保育所などを含めて、都民の中で大きく、都有地の活用という点での世論やさまざまな運動が広がってきたということが、このことに影響しているのは間違いないというふうに思うんです。

 そういう点で、やっぱり都有地というのは、これは先ほど質問がちょっとありましたけれども、自治体間だけで情報が交換されているというだけでは、このような世論は起きないんですね。なぜこれが起きてきたかというと、国が未利用の国有地について情報公開して、誰にもわかる形に公表したからなんですよ。これが大きなきっかけになって、都有地だってあるじゃないかということになって、こうした契約が促進されると。やはりバックには、都民の強い要望や世論があるわけなんです。

 そういう点で、まだまだ残されている都有地があるという点で、先日、我が党都議団として、財務局や公営企業三局にもご協力をいただいて、約二百三十カ所の五百平米以上で使える未利用地について、情報を発表いたしました。

 こういう情報は、本来、東京都が、区や市町村はもちろんですが、もっと広範に情報を提供してこそ活用が促進されるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

〇岩瀬財産運用部長 区市町村による行政利用検討の際の参考としてもらうために、これまでも区市町村に対して、都有地情報を提供してきております。財務局の普通財産には、既に庁内各局での再利用や、区市町村への売却、貸し付けが予定されているものなど、一時的に財務局が保有しているものも含まれているため、情報提供に当たっては、そうした都有地を除き、実際に売却、貸し付け可能な都有地を選定しております。
 都といたしましては、行政利用の検討に当たりましては、区市町村への情報提供で十分でございまして、一般に広く公開する必要はないと考えております。

〇曽根委員 ここは、先ほどの質問者と立場が全く異なるんですが、私、先日の代表質問でも、具体的に名前を挙げさせていただいて恐縮だったんですが、北区の赤羽警察跡地について、これも私もちょっと驚いたんですが、この十年間、実際に何も使われていないまま、以前は下水道局などが借りて、借地で使っていたらしいんですが、有料駐車場などになっていただけで、聞いてみたら、もう普通財産になっているということで今回取り上げたんですが、非常に形もよく、千二百平方メートルで、赤羽駅にも近く、これが何でこのまま眠っていたのかと、十年近く放置されているというのは、本当に都有地としてはもったいないことだと思うんです。

 これはやはり行政間ではやりとりがあったのかもしれません。しかし都民に見えないところで、幾ら行政間で水面下のやりとりがあっても、それは、その地元の住民や都民的にはわからないわけで、実際には、北区に聞いても、東京都に聞いてもはっきりした答えも出てこないし、微妙にいうことも違うということで、やはり都民要望に基づいて、これはどういうふうにすれば一番活用できるのかということは、もっと公開の場で示した上で議論をされるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 さらに、財務局の普通財産だけではなく、他の局の行政財産についても、事実上未利用の場所はありますよね。例えば、都市整備局が都営住宅の建てかえなどで使っている土地、長い期間、もう建てかえが終わるか、とまっていて使っていない、今後どうするのかもはっきりしない、そういう土地の場合は、一定の期限を設けて、財務局が実態をつかみ活用を検討していくと、こういうことは可能だと思うんですが、どうでしょうか。

〇岩瀬財産運用部長 財務局は、既に各局に対して、定期的に未利用地調査等を実施し、行政財産の用途廃止が予定されている段階から用途廃止後の財産の利活用等について検討を行っております。

 今後も、都有施設の更新計画における早い段階から検討、調整を始めるなど、庁内各局と連携し財産の利活用を進めてまいります。

〇曽根委員 大変早口な答えで、よく趣旨がのみ込み切れなかったんですが、私どもも調べましたら、都内で今、都営住宅の団地六十四カ所で建てかえ事業が進行中もしくは間もなく始まる計画が出ているという状況だそうで、私のおります北区には八カ所の団地が、大体全部、地元ですからわかりますけれども、建てかえ事業にかかっております。

 その面積が、北区は大きな団地も、桐ヶ丘という団地もありますので、何と十四ヘクタールぐらいあります。この半分が高層化などで、土地が今後生まれてくるとすればですよ、財務局の持っていた普通財産などの土地、先ほどちょっと少ないというお話がありましたが、はるかに大きい土地の活用というのを検討できる余地がある。しかも都営住宅は、建てかえで建物の一階に福祉施設を入れるということも可能なので、そういう意味でいえば、土地の活用度の利用度も高いということで、こうしたことは、ぜひ今後、財務局としても、局間の連携で進めていっていただきたいということを申し上げておきます。

 最後に、貸し付けについては、お聞きしたところ、要綱があって、公共目的では五割減額ということが原則になっているようですが、もとの条例からいいますと、大幅な減額ができるという規定になっておりますので、目的によって、緊急性の高いものは四分の三減額、もしくは無償貸付などが行われるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇岩瀬財産運用部長 区市町村への都有地貸付に当たりましては、区市町村が整備する学校、公園、公民館の整備など、公用または公共用目的の場合は貸付料を減額してございます。

 特に認可保育所など不足している福祉施設整備に当たりましては、その緊急性や重要性に鑑み、区市町村みずからが整備するのではなく、民間事業者が整備する場合であっても、都有地活用による福祉インフラ整備事業として、特別に区市町村と同様に民間事業者への貸付料を減額することとし、負担軽減を図っております。

 区市町村との適正な役割分担のもと、都は広域的自治体としての立場から、引き続き適切に区市町村を支援してまいります。

〇曽根委員 最後に、意見要望にさせていただきますけど、先ほどいった赤羽警察跡地千二百平方メートル、ここから三百メートルぐらい離れたところに、代表質問でもちょっと紹介しましたが、無認可共同保育園が四園集まって福祉法人を設立して、土地を買ってつくった認可保育園、つちっこ保育園といいますが、それがあるんです。面積は四分の一です。二億三千万円の土地代、もう必死になって集めてつくったわけです。

 これにもし、私たちが提案したような条例があると四分の三補助で大変助かると同時に、もしあそこの赤羽警察の土地が、無償もしくは大幅減額で貸していただくことができるんだったら、もっとスムーズにもっといい場所に、本当に保育のことを真面目に取り組んできたそういう関係者が保育園をつくっていくことができるという道が大きく開けてくるんですね。

 こういう道が、現実問題として、今、非常に必要になっている分野で可能となるように、ぜひ頑張っていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。


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