そね質問目次へ  そね都議活動   


  
財政委員会速記録


平成二十六年六月十九日(木曜日)

「都の税収を奪う国との論争の課題について」


〇曽根委員 私からは、百三十五号議案について、何点か質問をさせていただきます。

 この春の国会で予算とともに可決されました地方法人税による法人住民税の一部国税化と、また法人事業税国税化の暫定措置の変更について、今回、都税条例改正内容に入ってきております。

 東京都はもちろん、私たち都議会各党ともに、国に対して物を申してきた問題です。国会で法案が可決されてしまってはいますが、これ自体による都税収入への影響については、大変大きくなります。

 今年度は、最小限の影響だそうですが、平成何年度に平年度化し、その影響額はどれぐらいになるのかをお知らせください。

〇加藤税制部長 このたびの地方法人課税の見直しは、平成二十六年十月一日以後に開始する事業年度から適用されることとなっております。したがいまして、一年間を通じて影響額が発生する、いわゆる平年度化いたしますのは、平成二十八年度となります。

 影響額でございますが、法人住民税法人税割の一部国税化に伴う影響は、平成二十六年度当初予算では約四千万円と見ておりますが、平年度ベースにいたしますと、平成二十六年度当初予算ベースで試算いたしますと約千八百億円の減収となる見込みでございます。

 また、法人事業税の暫定措置につきましては、三分の二の規模に縮小し、法人事業税に復元されることとなっておりますが、これによる影響額は二十六年度当初予算では五千万円縮小されまして約二千五億円、平年度になりますと約六百億円縮小されまして、約千四百億円の減収となる見込みでございます。

〇曽根委員 現在は、法人事業税の暫定措置の影響が、今年度は残って約二千億円ですので、二年後には、また税制の改正、その他の動きがありますけれども、平年度化した場合には、合計三千二百億円の影響額ということで、現在の一・五倍以上に税収減が広がってしまうということになります。

 これに対しては、東京都として、当然対応してこられたし、私たちも物をいってきましたが、それについてお聞きするのはちょっと時間の関係上飛ばしまして、法人税の地方法人税に対する攻撃は、これでおさまるわけではないということが、これからの大問題だと思うんです。

 例えば、今、関係大臣の間で合意されたといわれている国の法人税の減税が行われた場合、例えば、国の法人税で一%、こんな率ではないと思いますけれども、一%仮に引き下げられた場合の地方税への影響、国の税収ではどれぐらい下がり、東京都税の場合にはどれぐらい下がるのか。

〇加藤税制部長 政府税制調査会の資料によりますと、法人税率一%当たりの法人税収額は約三千九百億円とされております。したがいまして、法人税率を一%下げますと、この金額だけ国において減収になるということになります。

 また、東京都への影響額でございますが、都は法人税額をもとに算出する法人都民税、こちらが約二百五十億円減収になると見込まれます。

〇曽根委員 これが、いわれているように、実効税率、今三五%ちょっとを超えているところですが、これを二〇%台まで下げるということがいわれている。仮に五%下げるということになりますと、国の減税額も大きいですけど、法人都民税で二百五十億円掛ける五には単純にはならないでしょうが、実効税率全体の中に入っちゃっていますから、しかし一千億円規模の税収減が都税の段階で起きるということが考えられる。しかし、これにとどまるかどうかというのもわからないと思うんです。

 最近、専門家のいろいろ書いているものを読んだんですけど、一橋大学の國枝という人が、実は国税の方は海外と比較しても法人税はそれほど高いわけではないんだと、むしろ地方法人二税といわれる法人住民税と法人事業税が高いんだと、法人税率の引き下げの問題は、本来は地方法人税をどうするかが議論されなければならないと、こんなとんでもないことをぬけぬけといっているわけです。

 だから、こういう議論がもし政府の中に広がってしまったら、直接、国の法人税ではなく、地方法人税を狙い撃ちにして下げてくるというようなことが、これいずれも国会で決められることですから、これが行われた場合、例えば、実効税率一%を法人二税で下げた場合には、都税への影響はどうなるんでしょうか。

〇加藤税制部長 法人都民税と法人事業税で若干影響額が異なりますが、粗っぽく平成二十六年度ベースで試算をいたしますと、地方税だけで一%下げますと、都においては千六百億円から千八百億円程度の減収になると見込まれます。

〇曽根委員 これで五%下げたらなんてことは考えたくないんですけれども、いずれにしても、地方法人税そのものも含めて、法人税の減税の対象になり得るという状況が今起きているわけですので、これに対する東京都、そして私たち都議会としても、きちんと物をいう、むしろ闘っていくということが、この際、どうしてもいわなきゃならない問題だと思います。

 大体その際に大事なのは、これまでも法人税というのは平成に入って四回ぐらい下げているんですね。バブル期の直後と、平成十年、十一年、二十四年と、これは菅内閣のときですか−−下げて、その後に、じゃそれでもって景気がよくなって法人税収が上がったかというと、必ずしもそうじゃない、その後に物すごいバブルの崩壊が起きて、リーマンショックのときなんかは物すごい減収になったわけです。これに法人減税が乗っかっちゃったわけですから、どかんと下がったというときもあります。

 ですから財務省なんかは、こういう法人税を下げても、税収が、いわば均衡して上がってくるということが確実じゃない以上は、課税、減税に伴う代替財源が必要だということで、法人減税だけではなく、税金をどこで取り戻すかという問題が中立性という言葉のもとに出てきているわけです。

 今議論されているのは、租税特別措置の見直しか外形標準課税の拡大というふうにいわれていますが、大企業などが結構優遇を受けている租税特別措置が国の段階で見直されるとなかなか思えませんので、やはり外形標準課税の拡大という方向に来る可能性があるというふうに思うんですが、東京都などが国に対して今要求しているように、法人税を下げるんだったら、地方財政に影響が出ないようにと要望されていると思いますけれども、そうすると、だったら、かわりに地方税である地方法人事業税の外形標準課税を拡大してやるから、これで、かわりの財源にしたらいいじゃないかということで、議論が出てくる可能性が私は高いと思うんです。そのときに、問題は中小企業への影響です。これはもうマスコミでもいっているとおりです。

 現在、資本金一億円以上のところにかかっている外形標準課税が、一億円以下の資本金の中小企業に広がってきたら大変なことになる、この点についてはいかが考えますか。

〇加藤税制部長 地方法人課税は、法人が事業活動を行うに当たりまして、自治体の行政サービスを受けていることから、法人に応分の負担を求めているものでございます。外形標準課税というのは、こうした応益課税の性格を明確にし、負担の公平を図るとともに、税収の安定化も期待されております。

 理事ご指摘のように、中小企業への拡大は慎重であるべきというふうに思っておりますけれども、外形標準課税を拡大すること自体は、地方税のあるべき姿として、方向性の一つではあるかなというふうに思っております。

〇曽根委員 一億円の枠は踏み込んでこないだろうと思ったら、私は甘いと思うんです。というのは、今、外形標準課税のかかっている企業に対する課税をふやすというと専ら相手は大企業になります。

 しかし、それだけでは法人減税を五%以上下げる分の代替財源にはならないじゃないか、赤字だけれども、赤字で法人事業税を納めていない中小企業のところまで外形標準で課税しないと、代替財源にはなりませんよと財務省がいってくるに決まっているんです。そうすると、赤字の中小企業に踏み込んでくるという危険性は非常に高いと思うんです。マスコミも含めて、ここを大変心配されているのは当然だと思うんです。

 そこで、大企業に絞って課税するならば、私は、東京都として、法人超過課税の道があるんだということを強調しなきゃならないと思います。

 大企業に対する法人税超過課税による増収分というのは、今年度ベースで幾ら増収になっており−−例えば、事業税の方はまだ一・〇五ですよね、課税率が。これを単純に一・二まで、最高税率まで引き上げた場合の増収は幾ら見込めるのかお聞きします。

〇加藤税制部長 平成二十六年度当初予算の法人二税収入、約一兆六千億円ございます。これにおける超過課税分は約一千九百億円でございます。仮に法人事業税の超過税率を、制限税率、標準税率の一・二倍まで引き上げた場合には、新たに約六百億円の増収となります。

 先ほど一・〇五倍というお話がございましたけれども、全体の標準税率が下がっておりまして、超過課税一・二倍までやったとしても四倍にはならないということでございます。

〇曽根委員 私は、こういう課税も、当然、国に対して対抗措置として打ち出しながら、国が理不尽な大企業中心の法人減税やるんだったら、東京都にはこういう方法もありますよと、東京都の課税自主権を発揮して、何といっても守らなきゃならない都内の中小企業や都民の暮らしを守るためには、こういう対抗措置も持ってますよということも出しながら、国と闘っていく必要があると思います。

 大企業が法人税を下げてやれば海外に出なくなるだろうとか、また海外から来るだろうというのは、私は幻想だと思うんです。例えば、東京都は既にアジアヘッドクオーター特区で、進出企業の減税措置をとっているわけですけれども、法人事業税の免税措置をとられていますよね。しかし実績、これないでしょう、はっきりいってね、ゼロですよね。だから、法人事業税ゼロに下げてやっても、出ないところは出ないんです。別の条件があるということです。それは、何といっても国内に需要があるかどうかです。そういう点も見ながら闘っていく必要があると思います。その点で、やはり超過課税の引き上げなども対抗措置としながら、国に対して、これ以上の地方財源に対する攻撃や、それから一方的な大企業優遇の法人減税をやめるように、強く物を申すべきじゃないかと思いますが、最後にちょっと、局長の、ぜひ答弁をお聞きしたい−−部長ですか。

〇加藤税制部長 法人実効税率の引き下げにつきましては、日本の国際競争力の強化に資するということで進められておるようでございます。しかしながら都といたしましては、引き下げを行う場合には、国の責任において確実な代替財源を確保することが不可欠として要求をしております。また、地方交付税で補填をされましても東京は補填をされないわけでございますので、不交付団体を含めた全ての地方自治体の歳入に影響を及ぼさないようにというふうに、国に対して要求をしております。

 なお、超過課税の税率を引き上げるというご指摘でございますけれども、我が国の法人の実効税率は、諸外国と比較して高い水準にあるとされておりまして、立地競争力、企業の国際競争力の観点から、現状からさらに引き上げるということは適当でないと考えております。

〇曽根委員 最後に申し上げますが、この実効税率がまだ海外に比べて高いと、こういう点で国と同じ立場に立っていたのでは、やはり闘えないと思うんです。大体、今大企業の実態と、それから都民や大変な状況の中小企業の実態が、格差がどんどん開いているっていう、これは東京都が国に対していわなきゃならない問題だと思うんです。

 特に消費税増税以降、大変ですよ。五%のときから私たち区民アンケートとかいろいろとってきましたけれども、卵十個九十九円、食パン七十九円、牛乳百三十九円、このレベルで、あちこちスーパー探し回っているんだと、ただの一円も無駄遣いはしていないと、生活必需品しか購入していないが、もう限界だという、こういう声が多数寄せられているんです。この恨みは−−怒りというよりは恨みでしょう、この恨みはいつか爆発するということは避けられません。この点で都民の声をどこかで代表して、政府にぶつけなきゃならない。法人減税問題では、今、これが大事なときだということを申し上げて、質問を終わります。




   そね質問目次へ  そね都議活動