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財政委員会速記録第十七号


平成二十六年十二月十九日(金曜日)


税制調査会の答申について


〇曽根委員 私からも、さきの東京都の税制調査会の答申についての基本的な内容について、我が党の主張と共通する点が多いことから、今回の答申については、私も全体としてこの答申については賛成をしたわけですが、この中で、基本的な論点、幾つかの論点について、我が党の見解を述べるとともに、今後の取り組みですね、特にここでも取り上げております地方法人課税の不当な是正措置の撤回及びもとの地方税としての復活を目指す取り組みの問題について、基本点を絞って質問しておきたいと思います。

 まず、今回の答申については、初めの章で、これからの税制改革の視点として三つの点が挙げられております。

 第一に、地方分権の推進という視点ですが、先ほど局長の答弁にもありましたように、今日、行政サービスの六割を担いながら、地方財源は四割にとどまっている。この地方自治体の全体としての財源不足を、地方自治の精神にのっとった財政調整をしていかなければならないという点です。

 今日、国が一方的に、東京都などからの財源を吸い上げて他の地方に分配するという、いわば自治体間の対立をあおるようなやり方ではなく、全国の自治体がお互いに納得できる調整制度が必要だという点は、我が党も全く共通の立場でおります。

 それから二つ目の視点では、財政の持続可能性の確保という視点です。すなわちその公共サービスに必要な財源を安定的に確保する上で、国民の理解が得られるような給付と負担の適正化を行うということが指摘をされています。

 我が党はこの点では、とりわけ、東京都などが大都市として、企業の活動を支える公共サービスを行っているにもかかわらず、これにふさわしい税の負担を赤字その他の理由で大企業などが十分行っていないという問題の改善が必要であると考えております。

 第三に、時代に対応した公平の実現という点では幾つかの論点が示されております。例えば、働く現役世代への過度な負担がかからないようにするために、広く国民が可能な負担を分かち合うという点。ここでは、我が党は、特に高額所得階層への課税強化が何らかの方法で必要ではないか、高額資産を有する富裕層への新たな課税などを検討すべきであると考えております。

 また、格差拡大と貧困問題への対応のためには、この中でも指摘がありますが、特に、所得に係る地方課税の税率が、以前フラットにされて一〇%一律になっておりますが、個人住民税の累進課税への復元ということも考えなければならないときだというふうに指摘をしておきたいと思います。

 それから第U章として、税制改革の方向性については、ここでは、消費税の問題と法人税の問題が取り上げられております。

 消費税については、私どもは、答申とは立場を異にしておりまして、特に地方消費税については、答申では世代間の公平性や地域間の偏在が少ないということが挙げられて、地方の財源としてふさわしいということがいわれていますけれども、我が党の主張としては、前からもいっておりますように、何よりも貧困と格差の是正という点で、大きく消費税は逆行している。また、この間いわれてきた地域間の消費力の格差、これが今後ますます開いていく可能性があるということを考えると、地域間の偏在性についても、必ずしも消費税が小さいとはいえなくなってきているというふうに思います。

 それから、十一月二十五日の本委員会で、消費税一〇%増税の先送りについての影響についてただしましたが、そこで指摘しましたように、消費税の増税は、国民の反対世論ももちろんありますし、景気動向との関係で極めてリスクが大きいということで、今回先送りになったわけですが、ここに、地方の財源依存度を高めていくことは、都民の批判を免れないということも、また、都の税収全体の今後の見通しを立てる上でも極めて不安定であるということも指摘しておきたいと思います。

 地方法人課税については、先ほども述べたように、都や都議会としてのこの間の取り組みと一致しておりますので、繰り返しは避けます。

 そこで、確認しておきたい点は最後の章なんですが、地方財政調整制度について、答申の中で、国との論争点についての都の立場を基本的に述べていますけれども、これは原則的には賛成です。ただ、現実の取り組みの進め方については、答申は必ずしも具体的な有効な手だてを提起しているとは、なっておりません。この間の取り組みの点で二つ確認しておきたいんですが、一つは、十一月の十日付だと思いましたが、都が首都圏の知事とともに、国に対して地方法人課税の是正措置の撤廃と地方税としての復元を求めた。これは、消費税の増税の動向とはかかわりなく復元をという主張をしたのは、先手を打ったという点で時宜にかなったものだと思います。

 しかしその後、安倍首相によって、消費税増税の先送りの決断が下され、税制改革とともに税制が検討されるはずだった地方法人課税問題も、事実上先送りにされてしまっております。報道によると、十二月三十日といわれる税制大綱には、この地方法人課税問題は盛り込まれない公算が強いのではないかというふうに思われます。

 東京都としては、次の手だてもしくはこの主張をしていくことが大変重要だと思いますけれども、東京都としてどう対応していくお考えかをお聞きしておきたいと思います。

〇加藤税制部長 法人事業税の暫定措置及び法人住民税の一部国税化は、偏在是正の名のもとに地方税を国税化するものであり、地方分権に逆行する極めて不合理な措置でございます。引き続き都議会のご協力をいただきながら、不合理な偏在是正措置の即時撤廃と地方税への復元を国に対し強く求めてまいります。

〇曽根委員 その基本的な姿勢はよろしいんですけれども、どうするのかという点では、まだ具体的ではないと思いますし、やはり、そういう点でも不十分性があると思います。

 我が党としても、国に対して、年末年始にかけての具体的な取り組みも考えていきたいと思っておりますので、このことは申し上げておきたいと思います。

 もう一つ指摘しておきたいのは、税制改革の柱として、消費税のさらなる増税というのを前提としている限り、次の増税問題でも、都が再びこれに振り回されることになるという点です。地方法人税問題というのは、消費税とかかわりなく是正すべきといいましても、国は、もうとにかくない袖は振れないんだという態度をずっとこの間とり続けています。

 したがって、地方自治体として、消費税増税については協力をしない、国の財政再建や社会保障財源は、別の道を探るべきだという態度を私はやっぱりとるべきだと思うんです。

 先日の委員会で指摘しました株取引課税については、今回、一部ですけれども本税に戻ったことで、部分的ですが、都の税収のプラスになりました。これは先日、決算委員会のときに資料を要望していただいたものによると、昨年度では、本来入るべき都税のいわゆる株取引課税の税収が、四百億円以上減収になっていたと。去年は駆け込みがあったようですけども、平年でも百億円程度の減収が毎年生じていたというものが今回は是正されたわけです。このことで、いわれていたような株式の混乱も起きておりません。やればできるということだと思います。

 そういう点でも、新たな税源、財源を求めて、消費税増税にかわる地方の財源も含めた新たな財源対策については、大いに検討していくべきときが来ているということを指摘しまして、答申についての見解と質疑を終わります。


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