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予算特別委員会 総括質疑

2015年3月13日

「都の非正規公務員の待遇改善・北区の老人施設の虐待疑惑について」

〇鈴木(隆)副委員長 曽根はじめ副委員長の発言を許します。
   〔鈴木(隆)副委員長退席、委員長着席〕

〇曽根委員 初めに、都庁職員の雇用環境の改善について質問いたします。

 知事は、年頭の職員への挨拶で、必要な部署への職員の増員を行うと表明し、実際に、その一つとして、消防庁職員は救急隊員を含めて百十一人増員され、救急車の増車とともに、増員されたのは本当に何十年ぶりのことかと思います。

 我が党都議団は、かつて各議員が地元の消防署を訪ねて調査をしたところ、救急車が一度出動すると、なかなか署に戻れないまま、出先から次々救急出動に向かわなければならず、へとへとになっていることを調べ、指摘しまして、繰り返し増車とともに増員を求めてきた、この経過からも、知事の対応を歓迎するものであります。

 知事は、我が党の一般質問で、働きがいのある人間らしい仕事、つまりディーセントワークが当たり前の社会の実現をとただしたことに対し、全ての人が能力を存分に発揮できる仕事につき、本当の豊かさを実感できる社会を実現することが重要、また、非正規雇用への対策やワークライフバランスの推進などを長期ビジョンに位置づけ、取り組みを着実に進めていくと答弁しております。

 そこで、都の職員の雇用環境にも、正規、非正規を問わず、都民への公共サービスを担っていくことへの生きがいと誇りを持てるディーセントワークの考え方を生かしていくことが大切と思いますが、知事はどうお考えでしょうか。

〇舛添知事 曽根副委員長はご承知だと思いますけれども、国際労働機関、ILOで、このディーセントワークという概念をしっかりと世界に広めようとしております。

 そういう中で、この働きがいのある人間らしい仕事ということを指すディーセントワークの概念につきましては、私は、厚労大臣当時からその重要性に繰り返し触れてまいりました。全ての人が能力を存分に発揮できる仕事につき、豊かさを実感できる社会を実現することが重要であると認識しております。

 加えまして、都職員につきましては、住民福祉の増進が使命でありまして、都民に奉仕することに誇りと気概を持ってほしいと考えております。

〇曽根委員 都の職員は、住民福祉の増進という使命に誇りと気概を持ってほしい、この考えには私も大いに共感するところです。そういう都庁をつくっていく上で、きょうはどうしても越えなければならない課題についてお尋ねします。

 まず、正規職員の問題です。

 地方公務員として、みずからの仕事に誇りと気概を持てるためにも、真面目に職務を果たせばきちんと相応の賃金が支払われることは当然です。しかし、このイロハが必ずしも守られておりません。

 この間、教育庁職員、坂本通子さんの残業不払い訴訟事件がありまして、二〇一〇年に東京高裁で原告全面勝利の判決が確定し、これを受けて、時効分を除く直近分の残業代が坂本さんに支払われました。

 その後、教育庁本庁の職員には残業代が全額支給されるようになり、結果として、教育庁の人件費予算は一億円以上増額されたことを、後に原告側が明らかにしています。

 この増額分の大半は、それまで一部しか支払われなかった残業代を都教委が払ったことが要因ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇比留間教育長 超過勤務手当については、毎年度、業務量に応じて予算額を確保しております。

 超過勤務を行った場合の対応につきましては、平成二十二年に東京高裁で確定した判決を踏まえ、法令を遵守して適切に実施しているところでございます。

〇曽根委員 法令遵守の立場から、業務量に合わせて予算を確保したら増額したということですから、原告の指摘が当を得たのだと思います。

 裁判の中で、職員の退勤時間を記す名簿が二重帳簿になっていて、実際には帳簿が後で書き直され、残業時間の約半分だけが支給される仕組みになっていることが明白になったため、その後は残業代が払われるようになったのだと思います。

 また、公判の中で、都教委側は最初、原告が業務時間を引き延ばしていたかのように主張していましたが、原告が克明にその間の業務内容を証言したため、必要な業務を行うにはその時間の残業が必要だったと原告側の主張が認められました。

 ただ、坂本さんは、裁判後に人件費が増額され残業代が基本的に払われるようになったのは、教育庁本庁の職員だけのようだと話しております。教育庁から他局に異動した職員から、その局では、今までどおり未払いが残っているといわれたそうです。

 私は、ほかの都庁関係者からも話を聞きましたが、知事部局の職員にも不払い残業があるとのことでした。不払い残業は違法行為ですから、直ちになくすべきです。

 知事は、こうした問題が都庁内で起きていたことはご存じでしたでしょうか。

 また、都の職員のディーセントワークを実現するには、坂本さんのように苦労して裁判を闘わなければまともに実働分の残業代も払われない、この実態がほかにも広がっているのかどうかについて把握して必要な是正をしていく必要性を感じないでしょうか。知事、いかがですか。

〇比留間教育長 都教育委員会におけます職員の超過勤務は、適正な超過勤務命令に基づき実施をしているところであります。
 今後とも、管理職による事前命令、事後確認を徹底し、職員の勤務時間を適切に把握してまいります。

〇曽根委員 確かに、教育委員会も本庁以外の学校現場などはまだまだ残業代未払いの職場が多数残っておりますので、教育長、ちゃんとやっていただきたいと思います。

 知事はどうでしょうか。知事部局でも残業代不払いが広範に残されている実態をきちんと把握すべきじゃないですか。知事、いかがでしょうか。

〇中西総務局長 知事部局におきましても、管理職による事前命令、事後確認の徹底など適切な運用を図ってまいりたいと考えております。

〇曽根委員 知事は、昨年の代表質問に対して、労働基準法など関係法令を遵守し、従業員が安心して働ける雇用環境を整備することは、企業の当然の責務と答弁しています。

 実態を直ちに調査し、不払いがあれば改善するよう求めておきます。

 また、たまたま、けさNHKで、オリンピック成功と長期ビジョンに向けて、都は職員増員を含めて検討していると報道されました。都民の福祉増進とオリンピック成功を両立させるためにも、正規職員の増員は、都庁全体の士気を高めることにもなると私も思いますが、この報道について、知事のお考えをお答えいただけませんか。

〇中西総務局長 二〇二〇年のオリンピック大会に伴う対応、また、今後の都行政を円滑に進めるために必要な人員をしっかり確保していきたいというふうに考えております。

〇曽根委員 先ほど申し上げた教育庁で一億円以上の残業代の増額ということは、職員なら十人以上ふやせるわけです。できるだけ多くの職員、若手も含めて登用、採用して、オリンピックに向けて、質、量ともに優秀な組織として向かっていくように、ぜひ期待したいと思います。

 
次に、都の非常勤職員、臨時職員など非正規職員の雇用問題です。

 正規職員の抱える矛盾の、さらにしわ寄せを受けているのが、非正規の都職員です。

 これらの職員の方々の多くは、職場では正職員と同じように働いていながら、非常勤職員は賃金水準が正規職員の半分以下で、期末手当もなく有給休暇も少ない。任用も期間があり、一年間の雇用が毎年毎年、選考により更新が判断される不安定雇用です。さらに二〇〇八年からは、その任用は四回までが上限で、それを超えたら公募が行われることとされました。

 昨年八月現在、知事部局では非常勤職員が七千人余り、臨時職員が約千六百人で、知事部局では条例定数約二万六千人ですから、働く職員の四人に一人が非正規であり、しかも、この間ふえ続けております。

 我が党は、先日の代表質問で知事に、非正規の正規化を本格的に進めるなら、都の非正規職員の職を正規にしていく取り組みをと求めました。

 しかし、知事の答弁は、都の非常勤職員は正規職とは別の特別の仕事をしているかのように答えました。また、一人一人の非常勤職員を優先的に常勤化することは、国の法制度上も不可能と答弁しました。これは私たちの質問に、正面からの答えにはなっておりません。

 私たちが特に問題にしているのは、学校の嘱託医などのように初めから一般職員と異なる職種ではなく、かつてほとんど正規職員でやっていた、例えば都立図書館や建設事務所などの、ここの非正規職員の問題です。

 都は、正規職の方が定年退職するたびに職員定数を減らし、新たに非常勤や臨時職員を採用してきました。このような方々が正規職とほとんど同じように仕事をしている実態にもかかわらず、給与も半分以下、待遇も低くして、職員間の差別感を助長するだけでなく、一方で、正規職員が足りずに仕事の継承さえ難しくなっている職場が多数に上っているということなんです。

 そういうところでは、必要とされる人材を確保し、安定した雇用で経験を生かして働いてもらえるよう、この任用を改善する必要があると思いますが、改めて、代表質問の答弁をされた知事、どうでしょうか。

〇中西総務局長 東京都におきましては、毎年度、全ての業務につきまして、個々の職務内容及び業務量等を精査いたしまして、常勤職員や非常勤職員など最も適切な職を設置し、効率的かつ効果的な執行体制を確保しております。

 ご指摘のありました非常勤の図書館司書のように、常勤職員と同じ職場に配置する場合でありましても、非常勤職員と常勤職員では、その勤務形態等はもちろんのこと、その役割も異なっております。

 また、非常勤職員の勤務条件につきましては、特定の仕事に関する知識、経験、あるいは高度な専門性を有していることに着目いたしまして、常勤職員を参考にして、適切に設定していると考えております。

〇曽根委員 総務局長、そうおっしゃっても、以前はみんな正規職で働いていた職場に、次々と非常勤や臨時職を導入して、基本的には同じ仕事をやっているわけです。にもかかわらず、昇給も退職金もボーナスもなく、休暇制度も正規職員との間に大きな格差がある。これのどこが適切なんでしょうか。改めるべきだと思います。
 そこで、ぜひ知事自身にお答えいただきたいんですが、知事は先日、都庁版ワークライフバランス推進プランを策定することを明らかにいたしました。
 知事は厚労大臣時代にも、育児や介護のための休業などで、公務員の正規と非正規の間にある格差は、原則は同一にすべきとの認識を示したことがあります。

 都庁内でもワークライフバランスを推進していく上で、知事、正規と非正規の格差は改善するべきではありませんか。

〇中西総務局長 非常勤または臨時の公務員につきましても、法令等の範囲で、またそれぞれの職の性格を踏まえ、職務に専念できる働きやすい環境を整備することが重要であることは、常勤職員の場合と同様でございます。
 都では、平成二十七年度から新たに一般職非常勤職員の制度を導入いたしますが、このことで、今後は地方公務員法に基づく人事管理を行うこととなり、育児、介護のための休暇、休業について、常勤職員との一定の均衡が図られたところでございます。
 今後も、職務内容や勤務形態を踏まえつつ、一層の能力発揮や多様な人材活用に向けて、適切な勤務条件の整備に努めてまいります。

〇曽根委員 総務局長、そういいますけれども、四月からの新たな一般職非常勤制度でも、例えば妊娠出産休暇、母子保健検診休暇、育児時間、生理休暇、介護休暇などはどれも無給です。

 でも、正規職員には、母性保護等のために、今いった休暇は全部、有給なんです。

 (パネルを示す)しかし、港区の例を見ていただきたいんですけれども、東京の非常勤では無給のこれらの休暇を、港区では全部有給にしている、こういう自治体もあるわけなんです。やればできるし、予算も莫大にかかるわけじゃないんですよ。こういうところに格差をつけるのが、職員間の連帯や士気にやっぱり水を差すことになるんじゃないかと私は申し上げているわけです。

 全国でも、例えば大阪府は、非常勤職員の就業規則で、妊娠中の保健指導、健康診査、妊娠中の休憩時間などは有給になっています。
 都としても、ぜひ母性保護を進める立場から、非常勤職員についても妊娠出産休暇や育児時間、子供の看護休暇などを有給に改善して、非常勤の方々も仕事と育児の両立できる支援の必要があると思いますが、いかがですか。

〇中西総務局長 非常勤職員の休暇等の取り扱いについてでございますが、非常勤職員の場合には報酬が支払われますが、非常勤職員の報酬は勤務に対する対価であると考えられておりまして、いわゆる生活給的な色彩は含まないというのがその解釈でございます。
 私どもとしましては、そういったことを踏まえるとともに、また、国の非常勤職員制度も踏まえた上で、労使交渉を経て適切に設定しているものと考えております。

〇曽根委員 このように制度として上から縛りをかけているだけで、働いているのはみんな労働者、人間なんですから、しかも同じ職場で働いているんですから、それに対する格差をつけるというのは、私はやっぱり都の同じ職員としては非常によくないことだと思います。

 知事、都庁版ワークライフバランスを推進する、適切な勤務条件を整備するというのであれば、非正規職員の方々も、少なくとも妊娠、出産、子育てしながら活躍できるよう、知事の決断で、都庁がこれらの問題を改善するよう求めておきたいと思います。

 次に、最近導入されました、非常勤職員が非常に共通して不安に思っている、五年で事実上の雇いどめになる問題です。

 長期に安定して公務に専念したいと思っても、先々の不安がつきまとえば、安心して働くことはできません。住民サービスの確保、向上という点から見ても、これは問題です。

 こうした非常勤職員の待遇について、実は国の方が熱心に改善を求めてきているのが、消費生活相談員です。

 最近、毎年、消費者庁から、消費生活相談員の待遇改善、特に雇いどめはもちろんのこと、一律に任用回数の制限を設けないようにとの要請が来ているはずです。

 担当の生活文化局にお聞きしますけれども、二〇〇八年以来の総務局による非常勤への毎年の任用更新は四回までを上限とするという規制の対象から、消費生活相談員を除外できないかと総務局と協議したと思いますが、結果はどうなったでしょうか。

〇小林生活文化局長 東京都専務的非常勤職員設置要綱では、専務的非常勤職員の任用につきまして、公募によらない再度任用を四回までに限り可能としていますが、特別な理由がある場合は、例外的にその上限を超えて再度任用が可能となっております。

 消費生活相談員の職が、この特別な理由に該当するかどうか判断するに当たり、平成二十四年に総務局に意見を求めたところ、特別な理由とは、公募しても現職員以外に応募の見込みがない場合であり、欠員募集に多くの方から応募がある消費生活相談員の職は、特別な理由に該当する妥当性が低いとの回答がございました。

〇曽根委員 担当の生文局が全く消極的だと思うんですよ。もっと強く要請すべきだと思いますよ。これは我が党がいっているだけじゃなく、国がいっているんですから。
 私は国の方から、消費者相談の業務が、非常勤ではあっても極めて恒常的であり、また経験と実績が極めて重視されるべき職種であるにもかかわらず、いまだに幾つかの県と七十以上の市町村で、任用の上限回数を超えたら公募も受けさせないという雇いどめが行われており、今後、こういう自治体には、補助金をカットする異例のペナルティーまで検討しているという説明を受けました。

 私も、政令都市のある十五の道府県の消費生活課など担当部署の方に直接電話で状況をお聞きしましたが、ほとんどのところで、この間の国の働きかけを受けて、改善を進めてきています。

 熊本県以外は、全て相談員本人が希望すれば、期限を切らずに再任用しています。公募を行う場合でも、面接を重視して、これまでの相談員としての実績が客観的に評価され、重視されるよう配慮しており、希望者は全て採用していました。今どき、まだ雇いどめをしているところがあるとはと驚いている方や、また、五年で雇用打ち切りなんかしたら、人が来なくなりますといわれる自治体の担当者もいました。

 国の昨年四月の調査では、雇いどめが残っているとされていた宮城県、その宮城県の担当者の方にも聞きましたが、いろいろ工夫して現職の希望者は全て採用するようにしたと話していました。

 一昨年ですか、都の消費生活センターでの初めての公募がありましたよね。実際の採用試験は、やり方として論文や面接はあったんでしょうか。

〇小林生活文化局長 生活文化局といたしましては、総務局の意見も踏まえまして、消費生活相談員の職は要綱に定める特別な理由には該当しないと判断し、公募によらない四回の再度任用後も継続を希望する相談員に対して、公募による選考を行ったところでございます。

 結果といたしまして、継続を希望する全ての相談員について、これまでの業務経験等も評価し、引き続き任用したところでございます。

〇曽根委員 ちゃんと論文を出させて、面接もやっているわけですよね。

 その中で、その人の実績、経験が評価されるようになると、こういうことをもっと当事者に堂々と示すべきなんですよ。競争的な公募では、もう今後、継続して同じ仕事につける保障はないと思って、もう退職して、もっと安定したところに移った方もいたと聞きました。そして、有用な、有能な人材をもう既に何人か失っているんです。

 消費者庁は、このことに関しては本気で雇用の安定を求めています。昨年の森まさこ大臣、これは安倍政権の大臣ですけど、森まさこ大臣がわざわざ、みずから署名入りの手紙を寄せて、最近の改正法でもって消費生活相談員の職が法律で明確に位置づけられた専門職になったんだと、これにふさわしい待遇に改善すべきだということもいいながら、さらに、雇いどめは、それまで消費生活相談員として日々の研さんと実務経験の積み重ねにより獲得した知識、技術を活用する機会を失うことを意味し、消費者が質の高い相談とあっせんを受ける機会を奪うものだとまでいって、この雇用の改善に特段の配慮をということを繰り返し要請する手紙をよこしているわけです。

 こういう点で見ても、それから、間もなく四月早々には、消費者庁は、公募を行う場合でも相談員のこれまでの実績が正当に評価できるよう、採用の評価基準をガイドラインで示す予定であるともいっていました。

 私は、改めて消費生活相談員だけでなく、都民生活に密着した恒常的な仕事で、例えば福祉関係の相談員や、職業能力開発センターの指導員や、こうした経験豊富なすぐれた人材を確保するためには、経験を生かして継続して働いてもらえるように任用基準を改善する必要があると思いますが、どうでしょうか。

〇中西総務局長 非常勤職員の任期は一年以内ということになっておりますので、本来であれば毎年度、公募による選考を行うことが原則でございますが、都では、円滑な事務事業の実施と適切な人材確保の観点から、公募によらない再度任用を四回まで可能とする運用を行っております。

 また、先ほど消費生活相談員につきまして、公募に応募をさせないとかいうようなことがあるというようなお話をしておりましたが、先ほど生活文化局長からお答えしましたとおり、私どもは公募に応募するのは、当然応募していただいておりますし、先ほど生活文化局長から申し上げましたとおり、結果といたしまして、再度任用後に公募に応募した方全員が生活文化局での選考に合格しておりますので、いわゆる雇いどめというような実態はございません。

〇曽根委員 公募すら受けさせないなんていうのは、当たり前、とんでもない話ですよ。

 しかし、一旦雇用をとめて、そして競争的に外からも入ってくる受験者と全く同一の条件で採用試験を受けるということになれば、場合によっては、それまで経験を蓄積した生活相談員が総入れかえになってしまうことだってあり得るわけです。東京の場合は、たくさんの応募者がありますから、それで本当に蓄積、経験が後に引き継いでいけるのかということですよ。この間、相談員はふやしているわけですよね。人数はふやしていますよね。ですから、今働いている人をちゃんと残しても、新しい人はどんどん入ってくるわけですから、その人たちにきちんと経験を引き継いでいくためのベテランはどうしても必要なはずですよ。

 そういうことを見ても、今回の恒常的な非常勤職員については、ちゃんとそれにふさわしい任用の改善を改めて強く求めておきたいと思います。

 それから、正規職員の欠員の補充の問題も重要ですが、時間の関係で、例えば都立病院の看護師さんなどが、今は育休などに入ることがはっきりしていれば正規職員で補充されますが、産休の場合などで、年度内であれば臨時職の看護師さんを雇っているわけですけれども、これは極めて不安定になり、しかも臨時職ですから、夜勤や残業はできにくい雇用ですから、どうしても外来に行って、その分、正規職員の方に病棟などの仕事がしわ寄せされるというような問題がやっぱり起きているんで、こういうところは、欠員については基本的に常勤で埋めるということや、場合によっては任期つき職員などの制度も活用するということを、ぜひ検討していただきたいことを述べておきたいと思います。

 それでは次に、先ほどもいいましたけど、非正規職の処遇改善を、国なども参考にして進める問題について質問したいと思います。

 都立中央図書館では、最前線で利用者と対応する情報サービス課の職場だけでも、正規司書の退職後に、新たに非常勤の司書を雇って、職員約五十人のうち十人以上が非常勤になっております。これ以上正規職員を減らすと、中央図書館で長年積み重ねてきた調べ物をするお手伝いをするレファレンスなど図書館のサービスのノウハウを、例えば人文だとか自然科学など、分野別に継承していくということができなくなってしまうと現場の人たちは心配しています。

 公共サービスの水準を守っていくためにも、今、非常勤職員が担っている職を必要に応じて正規職に戻していくことは、私、重要だと思っています。

 また、明らかに正規職員と同等か、それ以上の仕事をしているすぐれた非常勤職員を、地方公務員法を盾に優先的には正規にできないというだけではなく、公募への応募のチャンスや、仕事の実績も客観的に評価できる採用方法などによって正規に迎えるルートを考えていく、そういう時代に来ているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇中西総務局長 公務員の採用に当たりましては、地方公務員法第十五条に定めます成績主義や、同法第十三条に定めます平等取り扱いの原則に基づき、客観的な能力実証により、国民全てに開かれた平等な機会を保障する必要がございます。

 そのため、現に任用されている非常勤職員に対しまして、何らかの優遇的措置を行うことは、あってはならないことというふうに考えております。

〇曽根委員 私は優遇しろということをいっているのではありません。都の職員採用において、例えばキャリア活用採用枠がありますが、民間企業等における職務経験がある人を募集しています。都での非正規職での経験についても評定できるようにすればいいわけです。

 最近、中央図書館でも、ようやく正規の司書職員をわずかながら採用し始めたそうですが、その採用試験の際に、例えば都立図書館での非常勤職員としての実績、経験があれば、それが公平に評価されるような採用基準に改善するだけでも、非常勤の方々にとって大きな希望と展望が広がるはずです。

 また、都立中央図書館では、都の非正規職員への待遇が大変低いために、有能な人材が他に流出しています。せっかく非常勤で頑張ってくれていた古い資料や文献を補修する仕事の専門家の方が、四回目の任用更新を待たずに、国会図書館の同じ部署に移ってしまったそうです。国会図書館では非常勤職にもちゃんと期末手当が出ているんです。

 国家公務員の非常勤職については、法律で、期末手当に相当する給与を、各庁の判断で支給できるようになっているんです。
 都立図書館とはいえ、職員待遇にこのように差があれば、人材流出は免れないのではないでしょうか。

 やっぱり、こういう場合、国でもやっているんですから、都も、非常勤であっても、何らかの方法で手当を出すということを考えるべきじゃありませんか。

〇中西総務局長 地方自治法第二百三条の二におきまして、非常勤職員に対しましては報酬及び費用弁償を支給するということとなっておりまして、手当は支給できないということとなっております。これについては、国からの通知におきましても明示されているところでございます。


〇曽根委員 法律が壁になって支給できないというのであれば、国に法改正を求めるべきなんです。国家公務員についてはもう改善されてきているんですから。

 しかも、都は、地方自治法二百三条の二を盾に、非常勤職員への手当を支給できないと説明していますが、この項には支給できないという規定はありません。;

 実際、二〇〇八年に東村山市の嘱託職員にせめてもの退職手当を出そうとしたら、これを違法だとして差しとめ請求訴訟が起こされましたが、自治法では常勤職員と非常勤職員の定義がなく、勤務の実態を見て判断せざるを得ないとして請求は棄却され、高裁判決で退職手当を認める判決が確定しているんじゃないですか。いかがですか。

〇中西総務局長 ご指摘の裁判例の場合は、当該職員の勤務実態等から、その任用の根拠にかかわらず、地方自治法上の常勤の職員に該当するというふうに判断されたものでございます。

 都の非常勤職員は法に沿った適正な運用をいたしておりますので、そうした実態にはなく、手当の支給はできないものと考えております。

〇曽根委員 私、聞いてみたら、東村山は、勤務時間が週三十時間で常勤の四分の三でした。これは基本的に都と同じです。

 総務省通知でも、報酬等については、職務の内容と責任に応じて適切に水準を決め、報酬の支給についても、裁判事例にも留意する必要があるとしています。

 要は、職員の勤務実態を見て、仕事に誇りと気概を持てるように努力、工夫する決意があるかどうかだと思います。この点でも抜本的に考え方を改めていただきたいということを申し上げておきます。

 次に、もっとひどいのは臨時職員です。臨時職員についても、現状を見ると古い任用制度の弊害がずっと職員を苦しめております。

 臨時職員を雇用する全国の自治体では、その大半が半年を単位に採用しています。もちろん、健康保険や厚生年金に加入させておりますが、東京都は最新の調査で、全国で唯一、二カ月単位で保険も年金も加入させる義務が生じないような任用方法をとっています。

 
全国唯一というのは、二年前の国の調査で、三カ月以下の任用期間の県が一つしかなかったからです。

 (パネルを示す)これが東京都です。そこで何が起きるかというと、パネルを見ていただきたいんですが、短期雇用を希望する人もいるでしょうが、そんな希望を聞く前に、募集自体が二カ月しか提示されないので、ある人の場合、ある都の職場に、二カ月ごとに年三回勤め、その裏側を別の方が、やはり年三回勤めているという極めて奇妙な雇用形態になっています。でも、これが一般的な都の臨時職員の雇用形態なんです。

 本人に聞きましたが、どうせ半年勤めるなら連続した方がいいし、間の細切れの失業期間を別の仕事で埋めるのも大変だから、期間の延長を希望している、裏側の人も同じだという。都の側も、連続して働いてもらった方が効率がよくなる可能性は十分だと思う。それは検討されていないんです。何とか合理的な打開方法を考えるべきではありませんか。

〇中西総務局長 臨時職員につきましては、短期または季節的な業務等に従事するという職の性格を考慮いたしまして、各局が業務の繁閑等を勘案した上で、必要に応じてその都度、個々の職を設定しており、長期にわたる継続的な任用を前提としてはおりません。

 二カ月の任期につきましては、こうした臨時職員の職の性格を踏まえて設定しており、国の行政実例におきましても、臨時の職は二カ月以内の期間を定めて雇用される者とすることが適当であるとされております。

 なお、事業執行上やむを得ない場合につきましては、当初から二カ月を超えて六カ月の範囲内で任用できるほか、一度、二カ月で任用された場合でも、更新一回で最大六カ月まで任用できる仕組みとなってございます。

〇曽根委員 二カ月を超えて任用するというのはごくごく例外でしかありません。ほとんどの場合は、さきに紹介したように二カ月置き、二人の任用を繰り返しているのが実態です。やむを得ない場合にできるというだけの規定であって、その制度を乱用して、結局は社会保険も適用されない短時間雇用を繰り返すという正規雇用の代替職は、直ちに、私は正規職に改めるべきだと、通年でその仕事のポストがあるんですから。そして、通年の仕事があるのを二人の人で雇っている現状が変えられない場合には、六カ月ごとにそれぞれ延長すれば、まだ今よりは改善され、本人も社会保険にも加入できます。

 最近、都が出された都庁組織・人事改革ポリシー、この中には、いろんなことが書いてありますけど、その一つとして、こうした臨時職や非常勤職の今後のあり方としては、一つの方向として、任期つき職員制度を導入、活用し、一定期間の業務量増加に対応の道を考えるべきだというような文言もありました。こうしたことを具体的に検討することも必要なんじゃないでしょうか。

〇中西総務局長 お話のございました任期つき職員は、恒常的に設置される職ではなく、三年ないし五年以内の期間に限りまして、常勤職員と同じ本格的な業務に従事するものであり、都では常勤の職として活用してございます。

 一時的に設置される職という面では臨時職員も同様でございますが、臨時職員は二カ月以内の極めて短期、季節的な業務であること、一方、非常勤職員につきましては、一定の学識、経験を活用し、常勤職員の職務を補完する業務であるなど、その職の位置づけはそれぞれ任期つき職員とは異なるものでございます。

 都では、毎年度、全ての業務を精査して、その職の恒常性、勤務形態や担う役割などに応じて最も適切な職を設置していることから、現在、非常勤、臨時の職と整理している職につきまして、改めて任期つき制度を活用することは考えておりません。

〇曽根委員 今、全国の自治体では、公共サービスの水準を維持していくために、職員の確保、職業能力の開発に苦労しています。その一つは、非正規公務員のモチベーションをいかに引き上げるかという課題です。東京二十三区でも、荒川区を初め、少なくとも墨田、港、杉並などで独自の昇給や昇格の制度や手当の支給を始めております。

 こうした全国の自治体が抱えている課題、東京も例外ではないはずです。このままでは人口が減り続ける中で、公務員に魅力を感じる若者や、ましてや現行制度では何十年働いてもまともに昇給も昇格も手当もなく、ワーキングプアぎりぎりの賃金で働かざるを得ない非常勤職員、臨時職員のなり手は激減していくことになります。早急に抜本的な対策をとるよう求めて、次の質問に移ります。

 次に、三月十日に東京都が未届けの有料老人ホームとして認定した北区西が丘の三つの施設について質問します。

 昨年十月の新聞報道が始まってから四カ月、各マスコミの注目を浴びましたが、時間がかかったとはいえ、北区の高齢者虐待の認定とともに、都が老人ホームの認定を下したことを問題解決の一歩として評価いたします。

 たまゆらの火災を契機に、一旦、無届けホームの認定が行われ、設備や職員配置の改善が行われてきましたが、しかしその後、新手の経営があらわれて、建物の経営と介護の事業者とを分けて、個人個人のお宅に訪問介護や訪問診療をしているという形をとったやり方が広がってきて、今回の認定でここに本格的にメスが入れられるようになりました。

 都は、当該マンションを認定したのと同様に、都内に多数あるといわれる類似の施設について直ちに立ち入りを含めて調査し、実態を把握して必要な認定を行い、届け出をさせる指導が必要ではないか。

 この間に、平成二十五年に厚労省の通知が出されて、一体運営であれば認定できるとされてからの、その後の都の認定数、その区市町村数をお聞きします。

〇梶原福祉保健局長 有料老人ホームは、老人福祉法第二十九条に基づく施設でございまして、都道府県への届け出が義務づけられております。
 都はこれまで、未届け有料老人ホームの疑いのある施設について、介護保険の保険者であり、地域の実情を把握している区市町村等からの情報も得ながら、届け出指導を行ってまいりました。

 また、有料老人ホームに該当するか否かを判断するため、現地を調査する場合には、区市町村など関係機関の協力を行っております。
 今後とも、都は関係機関と連携しながら、有料老人ホームの実態を早期に把握し、届け出指導を行ってまいります。

 厚生労働省の通知が出た平成二十五年五月から現在までの間に、都が未届け有料老人ホームに該当すると新たに判断したものは、十五区市の二十四施設でございます。

〇曽根委員 この二年弱の間に新たに認定した施設が二十四ということは、この通知の力もあって認定が広がったのではないかと思いますが、しかし、この北区西が丘の施設の一番の問題は、三つの施設を事実上経営していた主体が医療法人であって、医療と介護の両方で患者を扱っていたため、医療法の壁に守られてなかなか行政のメスが入らなかったという点です。

 しかし、事態が動き出して、区やマスコミなどに内部通報が寄せられたり、北区の介護保険の運営協議会で、この施設のことを調査するよう発言が出るようになってから、いろんな調査がされるようになりました。

 このきっかけというのが、NHKで報道されておりましたように、二〇一一年暮れから二〇一二年にかけて、この施設内で短期間に二十八人の高齢者がノロウイルスとインフルエンザで亡くなったという出来事があったからです。これが医療や介護の施設で起きれば社会的大問題になるはずですが、いまだにこの報道は、同施設も、また、北区もちゃんと確認されておりません。

 これは今回認定した施設で起きたことであるはずですが、都は把握しておりますか。また、老人ホームとして認定した現在、当時にさかのぼって施設運営者に事実を報告させるべきでありますが、どうですか。

〇梶原福祉保健局長 今お話しの件につきましては、私どもとしては確認しておりません。

 老人福祉法に基づく有料老人ホームにおいて死亡等の重大な事故や感染症が発生した場合には、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針に基づき、都に事故報告を提出するよう施設設置者に求めております。

 事故報告等に基づき、有料老人ホームの運営に課題があると考えられる場合は、設置者や施設に対し、必要な調査や指導を行っております。
 こうした法に基づく指導監督は、有料老人ホームに該当すると認定したときから可能となるものでございます。

〇曽根委員 もしこれが、過去のこうした出来事に認定後の調査が及ばないというんだったら、この認定がおくれたこと自体の行政の責任が問われることになります。二年ちょっと前に起きているのですから、こういうことが。

 したがって、このまま真実が闇に葬られたままでは絶対にならないと思います。亡くなった方々の尊厳を守るためにも、また、家族に真実を伝えて、そのときこの中で何が起きていたのか、これらの高齢者は本当にやむを得ず亡くなったのか、もっと早く手を打てば感染の広がりを防げたのではないかということがきちんと伝えられるべきです。そのために、ありとあらゆる努力を東京都は北区と連携して行っていただきたいことを申し添えておきます。

 最後に、この問題の背景には、今の医療と介護をめぐる国の政策の大きな落とし穴の問題があると思います。知事は先週の記者会見でこの問題を問われて、根本的には都内の特別養護老人ホームや老人保健施設などが足りないことに問題があるとの趣旨をお答えになりました。そのとおりだと思います。

 同時に、この問題の背景には、介護と医療が両方必要な高齢者が入れる長期療養ベッドが決定的に足りない問題があるんじゃないでしょうか。

 知事は、国の長期療養病床削減の方針に見直しを求め、そして、この間、国の方針が一貫しない問題について問題提起をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 まず第一点は、施設に対する運営指導は、利用者の安全が確保され、利用者に適切なサービスが提供されているかという観点から実施しており、感染症対策についても、こういうことで今後とも確認を行ってまいります。

 次に、療養病床には、医療保険が適用される医療療養病床と介護保険が適用される介護療養病床がございます。

 都は国に対し、医療療養病床については、将来に向け安定的に確保する方針を速やかに明示するとともに、地域の実情に応じて整備促進できる仕組みとすることを提案要求しております。

 また、介護療養病床については、今後の取り扱いを早期に明確にすることを、既に提案要求しております。

〇鈴木(あ)委員長 曽根はじめ副委員長の発言は終わりました。(拍手)



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