そね質問目次へ  そね都議活動   


  
財政委員会速記録


平成二十七年三月二日(月曜日)

2015年度予算審議「都の基金財政の運用について」

〇曽根委員 私からも、補正予算の中で、七つの基金の中でいち早く、今回防災街づくり基金が計上されておりますので、今後の展開について現時点で聞けるところを質問しておきたいなと思います。

 防災街づくり基金の意義や位置づけについては、前の委員の方からご質問がありましたので、ダブりを避けまして、私たちも都財政収入が景気動向に大きく左右されるという都の財政運営の特徴を踏まえれば、都の緊急課題については、財政確保が可能なときに適切に積み立てを行うことについては、十分理解できると考えております。

 同時に、一旦積み立てをした基金を、いつどのように、どの目的で取り崩し活用するかということは、その都度きちんと判断されるべきであり、私たち議会としても、取り崩しの際の使い道については、本来の防災まちづくりにかなったものかどうかについては意見も述べ、また要望などもしていきたいと思っております。
 そこで、この防災街づくり基金は、今年度の補正で積み立てを行い、取り崩しは、基本的に平成二十八年度からというふうに聞いておりますが、現時点で、その充当対象として想定される事業などはどういうものがあるでしょうか。

〇潮田主計部長 防災街づくり基金は、オリンピック・パラリンピックを五年後に控えまして、東京を高い防災力を備えたまちとして整備するため、今後の集中的、重点的な取り組みを支える財源として確保したものでございます。

 主な充当対象事業としましては、木造住宅密集地域の不燃化や建物の耐震化などを想定しておりますが、個々の充当対象や取り崩し額については、来年度以降の予算編成を通じて具体的に検討することとしております。

〇曽根委員 オリンピック・パラリンピックの実施が五年後に迫っている、それに向けて東京を高度な防災力を持った都市にしていく、極めて緊急の課題が、当面、差し迫っているというふうに思います。

 そういう点では、この基金を全面的に十分に活用するという点で、私は、これから取り組むこの基金の活用については、やはり短期間の間で最も効率が上がる防災の事業に充当すること、オリンピック・パラリンピックは通過点ではありますが、世界中から観客またスポーツ選手を初めとしたたくさんの人が来るだろうということから、これに備えるという点に大きな力を入れなければならないと思います。

 また、その点からいうと、今、防災の木造密集地域の対策や建物の耐震化などが挙げられていましたが、東京の都市としての、本当に今、防災の力を、レベルを上げていくために必要なものが何かという点と全面的に一致するのか、その中で緊急性の高いものは何かという非常に高度な判断が必要になります。

 そこで、一例として申し上げますと、先ほどほかの委員からもありましたが、新しい事業、新しい道路建設などの事業については、私、率直にいって、この条件については、必ずしも一〇〇%一致するのかなという疑問があります。

 私の地元北区では、赤羽西地域に、今補助八三号線の拡幅事業を行っておりますが、八三号線、七三号線ですが、十年以上かかって、まだ、完成していないという状況で、新しい都市施設、インフラをつくるのは大変時間もかかる。もちろん、基本的にはほとんどの方が事業には反対をせずにそれぞれ交渉に応じて、土地建物を立ち退き、買収に応じている道路でさえこういう問題がありますし、先ほどちょっとお話に出た特定整備路線などの中には、非常に、まだ住民の反対の強い路線もあります。そういうことについては、一つ一つの事業について厳密に判断をしていく必要があると思います。

 現在、東京都の計画では、特定整備路線二十八路線について、総事業費が三千億円を大きく超える事業となっており、同じ防災の分野で計画されている、例えば、河川の護岸の改修や海岸施設の整備などに係る費用が約三千八百億円でしたでしょうか、に次ぐ大きな規模になりますので、これからの基金の取り崩し対象として、こうした新しい道路建設にかなり重点が振り向けられてしまうんじゃないかということを想定しますと、これが果たして十分にこの基金の本来の目的にかなうものかどうかという疑問が湧くんですが、この点では、どこまで検討されているでしょうか。

〇潮田主計部長 東京を高い防災力を備えたまちとして整備するためには、例えば、特定整備路線の整備はもちろん、緊急輸送道路の機能確保に向けた取り組み、あるいは河川などの豪雨対策、また、帰宅困難者対策など、さまざまな分野にわたる取り組みが必要であります。
 防災街づくり基金は、こうした、防災力の強化に向けた総合的な取り組みの財源として充当することを予定しているものであり、二〇二〇年を見据え、高度な防災都市の実現に向け、今後適切に活用してまいります。

〇曽根委員 この後は、今後の取り崩し、活用段階での議論が本格的に行われなければならないと思いますが、防災街づくり基金という名前にあるような、まちづくり関係のみならず防災目的のためにはソフト分野の事業もありますし、また、まちづくりの中でも、今は大変予算は少ないんですけれども、今後重視されるべき建物の耐震化、特に、住宅の耐震化事業などが、今後予算が大きくなっていく可能性もあると考えております。

 また、いわゆる火災を発生段階で防止する感震ブレーカーや感震分電盤などの設備に対する公的な支援も拡充される可能性もあると思いますので、こうしたソフト分野の事業も含めて幅広くこの基金を活用するということを検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇潮田主計部長 都は、これまでも、首都東京の防災力強化を重要な課題の一つと位置づけておりまして、例えば、ソフト事業では、帰宅困難者対策、防災ブックの作成、配布、あるいは防災訓練、あるいは防災隣組の推進など、幅広い取り組みを行ってまいりました。

 また、ハード事業におきましても、特定整備路線の整備を初めとします木造住宅密集地域の不燃化、耐震化はもとより、豪雨対策や津波高潮対策など、災害に強い都市づくりの推進に向けて的確に財源を振り向けております。

 今後とも、今回の基金につきましては、特に経費が多大にかかりますハードが中心となってくるかと考えますが、基金なども効果的に活用しながら、さまざまな災害に強い都市づくりを引き続き推進してまいります。

〇曽根委員 最後に改めて、防災のための財政確保、現在の若干財政の確保が可能な時期に積み立てを行う、このことについては基本的に私たちも賛成です。同時に、今後のこの基金の使い道については、現在、防災に向けての東京都の取り組みについては、私たちも一部については意見もあり、また反対している部分もありますので、これに沿って、それぞれの各事業の委員会で、基金の充当、もしくはその事業の推進については意見を述べさせていただき、場合によってはこの基金取り崩しに反対せざるを得ない場合もあり得るということは申し上げて、質問を終わります


   そね質問目次へ  そね都議活動