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財政委員会速記録


平成二十七年三月十九日(木曜日)

2015年度予算審議「福祉インフラファンドの問題点について」

〇曽根委員 最初に、今ご説明もあった資料にも出ております東京都の、この間の最初の官民連携ファンドであります電力供給についてのインフラファンドについて、IDIインフラファンドが、海外、アジアの国に二件投資をしていたと。これは首都圏の電力安定供給というファンドの目的から外れているんじゃないかという指摘があり、それに対して、都が運営会社に決める前からこれは標榜されていたんだということや、海外に行くと発送電分離などのノウハウが学べる可能性もあるというふうなことがいわれているわけですけれども、やはりこういう、投資先についてもわからないわけですね、これは、公表されていませんので。非常に、外国だということも含めて、都議会としては、今後、これにどう対処していいかという道がないわけです。それで、まずこのIDIインフラファンドは、もう一社ありますスパークスに比べても、事業内容の公開をほとんどしていないという点でも対応が全然違うんですね。スパークスの方は、大体重立ったことについては公開されているんですけれども。そういう点で、東京都が今お答えできる範囲でいいんですが、IDIインフラファンドについて、東京都からの出資額がどこまで来ているのか、それからファンドの投資状況は、国内外でどういう状況なのか、見返りの配当はどうなっているのかなどについて、現状を確認しておきたいと思います。

〇松下管理部長 IDIインフラファンドについてでございますが、都は、出資を契約しております十五億円のうち、約十億円を出資済みでございます。一方で、既に投融資を行っている案件からの配当が始まっておりまして、平成二十五年度と二十六年度の累計で約一億六千万円の配当を受領しているところでございます。都がファンドを組成いたしました目的の一つでございます新しい資金循環システムの構築の面で、これは一つの成果が出ているものでございます。

 また、IDIインフラファンドは、これまで国内において十万キロワット級のガス火力発電所や太陽光発電所など計約二十万キロワットの発電施設を整備しており、公表しております。都がファンド組成の目的としております電力供給の安定化への貢献の面でも成果があるものでございます。

 なお、海外にも投融資を行っている案件でございますが、その件数及び金額は二件で約六億円、これは約二百億円のファンド規模に対して約三%と低い割合であり、大多数は国内エネルギー事業への投融資であります。

〇曽根委員 国内のガス火力発電所や太陽光発電所は四件とお聞きしておりますが、それで正しいのかどうかを確認したいことと、それとあわせて、これから取り組もうとしている福祉貢献インフラファンドについても質問を進めていきたいんです。

 我が党は、福祉施設整備を急速に進める必要から、民間資金の活用も否定はしないという立場です。ただし、公的資金と民間資金を合わせて活用する場合、民間は利益を保護するために素早く動けるわけですが、公的資金の方は、もとが税金ですから、当然ながら議会の決定、予算の縛りがあり、簡単には身動きができません。だからこそ安全確実が求められるということと、目的外の流用についても強い警戒が必要だということは論をまたないところであります。さらに、この間のファンドの創設を見てみると、舛添知事の金融センター構想と結びついているという点にも、我が党は、疑問を持っております。

 金融センターは、本来、行政の都合と主導で構築されていくものではないだろうし、もしそれが一部でも進んだとすれば、その後に、逆に公共団体として大きなしっぺ返しを受けかねないと危惧もしております。

 それで、確認をしておきたいんですが、東京都の金融センター構想関係の文書では、金融センターをつくっていく上で、金融市場にさまざまな金融商品やファンドが参入してくることが重要と指摘されております。官民連携ファンドは、その一つという位置づけがあると思いますが、いかがですか。

〇松下管理部長 まず、IDIインフラファンドの国内投資の確認でございますが、東京湾岸に十万キロワット級の発電所を二カ所、これは施設整備と運営でございます。さらには、ガスエンジンの発電所を一カ所、さらに再生可能エネルギーの発電所一カ所、計四カ所でございます。

 それから、国際金融センターの位置づけでございますが、平成二十六年七月に発表されました東京国際金融センター構想に向けた取り組みの中におきまして、国内外からの資金を、今後国内で成長が見込まれる分野へ呼び込む仕組みづくり、これの一環といたしまして、都の施策に資する官民連携ファンドの推進、これが記載されております。

 都といたしましては、この取り組みを進めることで、都の施策が推進されるとともに、国内のファンド事業への投資が活発化し、国内の資金循環を活性化することを期待しているものでございます。

〇曽根委員 かつての一千億円を投入した新銀行に比べれば、まだ数十億円の単位であるということで、東京都にとっては、有限責任でもあるし、もし、問題が起きても傷は浅いというふうに踏んでいるのだとすると、大きな誤りだと思います。

 その先には、金融センター構想が待っているわけですので、その呼び水としての役割は、舛添知事は非常に重視してこれを位置づけているはずですから、ここの問題でのトラブルや、もし、方針がやっぱり違っていましたとなれば、知事の構想全体にも大きな影響があるだろうし、私たちは、その点でも金融センター構想全体含めて、問題提起をしていきたいと思います。

 それで、この新銀行の失敗については、会計管理局は直接は責任はありませんが、大きな一つに、一千億円東京都が投資すれば、出資すれば、民間も同額程度出てくるだろうと思っていたのが三百億程度しか集まらず、結局は、破綻したときに都が出資分の多くを失うという結果になりました。その二の舞にならないという保証は、この官民連携ファンドではどういうところにあるのかと、お聞きします。

〇松下管理部長 会計管理局といたしましては、新銀行関係の動向につきましてはコメントする立場にはございませんが、本ファンドの投融資対象事業につきましては、福祉関連施設が低収益であることを踏まえまして、福祉関連施設を収益施設と一体的に整備して、全体として民間投資を呼び込める収益性を確保すること、これを想定してございます。

 なお、ファンドへの出資がリスクマネーである以上、出資金の毀損リスク、これは必ず存在いたします。しかしながら、ファンドの場合、金融機関や有限責任組合など、リスクの異なる関係者が事業をチェックすることで、都が単独で事業を行う場合として、事業の安全性は向上し、より大規模な事業展開を行うことが可能であります。
 都はこれまで、ファンドの関連の金融専門家を含む民間事業者からのヒアリングを通じまして、本ファンドの投資スキームは成立可能と判断しているものでございます。

〇曽根委員 このファンドについては、いろんな今までの説明を聞くと、何らかの建物をつくって、その中に福祉施設が入るというケースが多くなろうかと思います。そうすると、考えられるのが不動産投資で、不動産投資の収益性を確保しながら、その中で収益性が低い、むしろ政策的な位置づけの福祉施設を導入するということになっていくかと思いますが。私も、数少ない人脈の中で不動産投資を手がけている人に聞きますと、不動産投資の見返り配当、年利で一〇%以下だと魅力が少ないと、低いと。しかし、二〇%、三〇%ということをいってくる業者は大体がこれは詐欺まがいだと。大体適切な見返り配当が、その間ぐらいのところじゃないかというような話を聞きました。

 そうすると、この一つの建物の中に福祉施設を導入する場合、少なくとも、その建物全体は、東京都が投資するに足るものであり、しかも、主な目的が福祉施設をつくることなんだよといえるようにするためには、少なくとも事業費の半分以上は福祉施設に使うんだと。しかし、利益確保のために不動産部分もあるというぐらいの、かなりきついとは思いますが、規制をかけないと、際限なく福祉施設が相対的に小さくなっちゃって、ほとんどがもう不動産投資だというような事業に投資するようなことになったら、これは東京都としても、何だということになりかねないので、この辺の規制をかけられるかどうかということなんですが、いかがでしょうか。

〇松下管理部長 本ファンドの第一の目的でございますが、これは地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む、こういう建物を整備促進していくことでございまして、建物全体に占める福祉関連施設の床面積比率などを重視し過ぎる余り施設整備が進まないような事態がおきますと、これは避けていかなければならない状況でございます。

 また、本ファンドの投融資対象事業の収益性につきましては、前提条件が、実施条件によってかなり違いますので、一概にいうことはできません。さらに規制に関しましては、建築物や施設としての、区市町村を初めとします指導監督等を受けているものでございます。したがって、都としましては、本ファンドにより、地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む、こういった建物の整備を進めていきたいと考えております。

〇曽根委員 基本的には、こういう規制はかけられないということなので、今いったような心配は誰でもすると思いますけれども、これにどう応えるのかというのは引き続き問われると思います。あわせて、福祉の立場からいいますと、利益を一定程度確保するためには、つくる福祉施設のレベルがどうなるかということも気になるわけです。例えば、保育園の場合には、認可保育園、認証保育園、さらには、もっといろいろ規制の弱いベビーホテルなどの施設も含めると、さまざまな水準があるわけです。少なくとも、やはり東京都が出資をして保育園を整備する場合、認可保育園の水準を下回らないぐらいの、何らかの縛りがかけられるか、もしくは、それが当然とされる基準が必要だと思いますし、特養ホームなどつくる場合でも、今日の高齢者福祉の課題にちゃんと応えられるものになっているのかどうか、また一般庶民が利用できるようなものであって、何かお金持ちしか入れないような施設ができてしまうんじゃないかという、現にそういうものもありますので、そういった意味での、都民のいわば信頼に応えられるものにしていくということをどの程度配慮できるのかということもお聞きしておきたいと思います。

〇松下管理部長 本ファンドにおきましては、特別に高い水準の施設を想定するのではなく、地域のニーズに対応した福祉関連施設を含む建物、これの整備推進を図ることが重要だと考えております。

 子育て支援施設でいいますと、待機児童解消に少しでも貢献できるよう、認可保育園あるいは認証保育所、これを問わず整備されることを想定しております。

 また、高齢者向け施設でいえば、現行法上の運用では、社会福祉法人が民間から施設を賃借することはできないため、本ファンドにおいては、社会福祉法人が運営することを前提としております特別養護老人ホームを整備することはできません。

 しかしながら、認知症グループホームや、あるいはサービスつき高齢者住宅、あるいは介護つき有料老人ホームなど、幅広い高齢者向け施設を含む建物を整備することを想定してございます。

 このため、都といたしましては、ファンド運営事業者の公募に際し、福祉関連施設を含む建物の整備に当たっては、地域のニーズに十分対応するよう求めるとともに、ファンドの事業実施に当たっては、区市町村と十分連携していくことを求めていくものでございます。

〇曽根委員 大変心配な点が多いんですけれども、少なくとも、例えば、私がおります北区は、保育園整備に関しては、認可保育園を最優先するという区民との間での約束があるんですね。やっぱり、ずっとそれで−−約束というと、ちょっときついか。基本的にそういう立場をずっととってきているんですよ。これはいいことだと思っているんです、私たちは。北区の保育のいろんな伝統もありまして。だから、できるだけ認証保育園よりは認可保育園にという方向で、こういう区市町村のいろいろな方針や政策については、それにそぐわないようなものが、その地域でできることのないようにというふうなぐらいの区市町村との連携の仕方をしていかないと、何だということに、こちらでもならざるを得ないかもしれないので、この点でも、一言申し上げておきたいと思います。

 ファンドで整備された施設については、私は、整備前の段階から、こういう地域のこういう施設に投資をしますということを公表して進めるのが最もいいんじゃないかと思いますが、このファンドの性格上、それはなかなか難しいというお話ですが、少なくとも、建物ができた後に、多くの福祉施設にもありますように、プレートで、どの資金を使ったと。多くは、厚生年金の資金を使った場合には表示されますよね。それぐらいのことをちゃんと公表させないと、せっかく、例えば意義あるファンドになったとしても、それがどの施設のどういうところに使われているんだということがわからないのでは、東京都がファンドを創設したことの最終的な成果が、一般都民には全く見えないということになりますし、個人投資家も必要だというようなことも知事もおっしゃっているんですけれども、個人投資家だって自分の投資したファンドの一部がこういうところに使われたんだよということが全く見えないと、公表もされないと、投資家だから内々には知らせるのかもしれないけれども、公にならないということでは、やはり何というのですか、意欲を高める上では、逆に弱点にもなりかねないのじゃないかという点ではいかがでしょうか。

〇松下管理部長 ファンド契約におきまして守秘義務が課されていること、これがございますので、本ファンドの投資内容に関する情報開示につきまして、有限責任組合である都の意向を全て反映して、全てを公表するということはやはり困難でございます。

 しかしながら、本ファンドが整備する施設、これにつきましては、地域がまさに求める施設を含むものである以上、本ファンドの投融資案件につきましては、でき得る限り情報発信に努めていきたいと考えております。

〇曽根委員 最後に、やはり当初の都との契約に違反した場合、運営事業者はもちろんですけれども、投資する相手も含めて、契約違反があった場合のペナルティーについては、何かモデルがあって、基準があるんでしょうか。

〇松下管理部長 本ファンドにおきまして、都は、投資事業有限責任組合、これに有限責任組合員として出資することを予定しております。経済産業省が示しておりますこの投資事業有限責任組合、これのモデル契約というのがございまして、これによりますと、ファンドの運営事業者である無限責任組合員が契約に違反した行為を行った場合、有限責任組合員は、この無限責任組合員を除名することができると規定するとともに、契約違反に基づく損害賠償請求を行うことが可能となっております。本ファンドにおきましても、都はモデル契約に準じた内容の契約を締結する予定でございます。

〇曽根委員 少なくともそれぐらいの、モデル契約の基準は必要だと思いますが、それにしても、東京都の予想を超えて、逆に、民間の出資が集まった場合については、東京都の出資額が五割を切って、権限がその分だけ小さくなるのは当然だと思いますので、そういう点でも、東京都の主張が必ずしも一〇〇%、出資者としての主張が通るとは限らないと、こういう点もあろうかと思います。

 私どもは、福祉施設をつくっていく上で個人の篤志家の方も含めて、民間の資金を大いに協力を募るという発想自体は、これからの時代はあってもいいと思うんですね。しかし、そこにはやっぱり公的な資金にあわせて、善意の方々が恐らく大多数でしょうから、その善意を無駄にしないためにも、民間企業の投資というのは、やはり利益を確保するために出していくんだということを厳しく見て、今私が申し上げたような規制や縛りは、少なくとも考えて、万が一のために備えておかないと、このファンドは、やっぱり確実にうまくいくという保証はないと思います。

 そういう点では、来年度予算で、もう予算五十億積んで、さっきの電力供給の方のファンドの残りの五億円と合わせて五十五億の予算、もう計上されているわけですけれども、できるならば、時期尚早というべき段階であって、もう少し中身について検討してからでも遅くはないということは意見として申し上げておきたいと思います。

                                  以上です。


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