そね質問目次へ  そね都議活動   


  
財政委員会 平成二十七年六月十九日(金曜日)


都市再生整備地域の大企業優先の税優遇に反対

○中村委員長 第百三十三号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。

 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。

 発言を願います。

〇曽根委員 私からは、第百三十三号議案の東京都都税条例の一部改正ですが、この中には幾つか要素がありますけれども、法人事業税の減税の措置について何点か質問いたします。

 今回のこの都税条例案では、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の開発における公共スペースなどについて、これまでの減税措置をわがまち特例の制度を使って、さらに一割ずつ減税額をふやしてやるというものですけれども、この事例は大都市に限られていると思いますが、ほかの自治体での先行例というのはまだないということでしょうか。

〇加藤税制部長 都市再生に係る課税標準の特例措置の割合は、これまで一律地方税法に規定されておりました。本年三月の地方税法の改正によりまして、特例割合については、課税団体が一定の幅の中で条例により定めるいわゆるわがまち特例が導入されたところでございます。

 このため、関係する各自治体とも、都と同様に現在条例改正の手続中または準備中でございまして、それぞれの自治体の設定状況につきましては、現時点では把握しておりません。

〇曽根委員 昨年度のこの減税措置、これまでは地方税の中に入っていたということですが、この減税措置の対象物件のそれぞれの減税実績はどれほどなのか、また仮に、同じ規模の減税対象が今年度出てくるとした場合に、減税額はどれほどふえるのか教えてください。

〇加藤税制部長 平成二十六年度における実績でございますが、都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の合計で、不動産取得税につきましては六棟で十二億二千万円、家屋に係る固定資産税及び都市計画税につきましては九棟で約一千四百万円、償却資産に係る固定資産税については五事業者で約三百万円でございます。

 また、昨年度の実績をもとに改正案の特例割合で単純に試算した場合、この減税額は不動産取得税で約十四億七千万円となります。二億五千万円程度減税額がふえることになります。また、固定資産税等につきましては合計で約二千万円となりますので、おおむね三百万円程度減税額がふえる見込みでございます。

〇曽根委員 やはり法人事業税の減税の影響は大きいですけど、十数億円、それが二割さらに減税が増額となると。固定資産税であっても一千万円規模の課税ですから、我々庶民が住んでいるような住宅とは二桁ぐらい違う、かなり都心で高地価で、しかも公共スペースを提供したという部分にしても、開発にとっては非常に大きな効果がある減税になるんだと思います。

 これまでも減税の措置を受けていたにもかかわらず、さらに上乗せをすると。しかも相手は都市再生緊急整備地域の開発ですから、もう間違いなく大手なわけで、そういうところにさらに減税してやると。一割ずつとはいえ大きな減税額になりますので、こういう意義と効果というのはどういうところにあるのか教えてください。

〇加藤税制部長 この措置は、今回、わがまち特例が導入されたことを除きまして、適用要件等に変更はございません。
 都市再生事業につきましては、国際的な都市間競争に勝ち抜き、日本経済を牽引するため、国際的ビジネス環境の整備に向けて推進する必要がございます。こうしたことから、軽減の規模が最大となるように特例割合を設定いたしました。

〇曽根委員 もともと都市再生緊急整備地域、小泉内閣当時から構想されて具体化されてきたもので、この間、減税措置、相当行われてきたわけですが、これが東京のそのほかの中小企業を含めた都民生活はもちろんのこと、都市のいわば全体の機能を大きく引き上げたということには、私たちは、ならないと思っておりますし、しかも、こういうところは減税をしてやらなくても十分な利益を今までも得てきているという点から見ても、減税の上乗せを何でやるのかということで、ほかの自治体の例を探してみましたが、都内でも幾つかこのわがまち特例の減税を行っているところはありますよね。

 それから、埼玉を含めて、被災地の女川町などの例も見たんですが、ほとんどは環境対策に取り組んでいる中小企業などの固定資産税、償却資産の減税なんですよね。何とか立ち直ろうとしている女川町などの被災地、または都内や近郊で頑張っている中小企業の経営を助けながらも、環境的な減税効果が上がるということを狙っての減税措置だと思うんですけれども、こういうところに、つまり中小企業を対象に絞ってわがまち特例を適用すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

〇加藤税制部長 この特例措置につきましては、都市再生緊急整備地域において、国土交通大臣の認定を受けた大規模で優良な民間都市開発プロジェクトが対象となるものでございまして、事業者の規模によって限定されるものではございません。

〇曽根委員 都市間競争というのも大事なんでしょうけれども、しかし、都市再生地域で今も優遇を受けている大企業にこれ以上優遇したからといって、都市間競争に強くなるという根拠は、私、ほとんどないと思うんですね。しかも、それが利益を多少ふやすでしょうけれども、東京全体の都民や中小企業まで還元されることもこの間なかったというのも、既に十数年の経済状況から証明されておりますので、こういうことにわがまち特例を使うのであれば、むしろ、先ほども紹介したように、各市町村で苦労しながら頑張っている中小企業に何とかその減税の恩恵をということで、環境対策に効果のある減税措置を行っている例を参考にしながら、中小企業にもメリットがあり環境対策でも効果がある減税に取り組むべきだと、東京都がこういうことに取り組めば、これは全国に与える影響も大きいと思います。ぜひ、その方向を検討していただきたい。今回の措置については反対であるということを申し上げて質問を終わります。



   そね質問目次へ  そね都議活動