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財政委員会 平成二十七年十月二日(金曜日)

国の都税収奪と本気でたたかうために

〇曽根委員 私からは、今度出されました地方税財政に関する東京都の主張のこの文書について、簡潔に何点か質問したいと思います。

 当然ながら、我が党としては、国による一方的かつ乱暴な、また、地方と大都市との間の矛盾をかえって拡大するような地方税制の改悪について、国税化については反対の立場から、東京都とともに国と闘っていく立場も明らかにしておりますが、同時に、都の出す文書についても、この立場から改めて検証もし、また意見もいわせていただきたいと思っております。

 今回、国への文書としては、昨年に続き二回目かと思いますが、本格的な文書となってから、前回、私、これはかなり膨大であり、ちょっと内容的にもわかりにくいということを意見申し上げたと思いますが、今回その点で、評価できる点としては、昨年より極めて簡潔になったこと、それから内容としても、例えば、公共サービス総体で、国が四割、地方が六割を担っていながら、財源は逆に地方は四割しか確保されておらず、国の交付金に頼らざるを得ない構造にあることなども強調されて、この問題の解決を強調している点、また、今後の方向として、地方と大都市の共存共栄を打ち出していることなども、前進しているということは評価したいと思います。

 また、個々の表現で、昨年は、たしか具体的な名指しで、ほかの道府県の名前を挙げて比較をするというようなことがありましたが、今回は、そういうのを避けて、共存共栄の方向で、やはり地方の財政を全体として豊かにしていくという点が強調されているのは重要だと思います。

 それで、東京に集まっている人、物、金を地方に還流するというこのことも、今回改めて表現として出てまいりました。そのためには、私どもは、東京へのさらなる集積、一極集中には一定の歯どめが必要であると考えております。そういう立場から、今回、ずっと中身を見てみますと、確かに大都市需要として避けがたい、例えば、土地の高騰による福祉施設などの用地費が地方に比べ十倍近くかかるんだというような点は事実として、一定のデータも示されたことは重要ですが、中には、東京一極集中をさらに加速しかねない問題があるんじゃないかという点で、簡潔に二点だけお聞きしたいと思います。

 まず第一に、舛添知事が現在進めている東京を新たな金融センター都市にしていくというこの構想に沿って、今、経済特区構想が動いておりますが、この中で、東京都税について減免措置をとっているもの、優遇措置をとっているものが、たしかアジアヘッドクオーターと、それから特定都市再生緊急整備地域という制度があると思いますが、ちょっと時間の関係で、実績をお聞きしたいところですが、はっきりいいましてアジアヘッドクオーターについては減税実績がないと。一方で、特定都市再生緊急整備地域については、まだまだ今後わかりませんが、一定の減税実績があるという点で、これは、はっきりいいまして、国際都市間競争に打ち勝つという点でのアジアヘッドクオーター、つまり多国籍企業、外国企業が進出してきたときに対する減税措置は、ほかの外国都市との関係でいうと、この減税措置だけでは到底太刀打ちできないいろいろな問題があるということで、実績がないにもかかわらず、一方で、国内都市間競争については、こういう経済特区がさらに拡大していくことによって、やはり国内での企業活動に東京一極集中を促進する危険があるんじゃないかと。この点では、少なくともこれから国家戦略特区などが次々動くと思いますが、この中で東京都税を、企業に対して優遇措置をとるような措置は、これ以上拡大するのは極力控える必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

〇加藤主税局税制部長 現在行っておりますアジアヘッドクオーター特区及び特定都市再生緊急整備地域に対する措置でございますけれども、これは国際競争力の強化、あるいは国際的ビジネス環境の整備促進に向けて、税制上の特例措置を設けているものでございます。いずれの措置も、首都であり国際都市である東京にとって必要な施策であり、現在行っているものについては、続けていいかなと思います。

 新たな措置につきましては、まだ現在具体的に出てきておりませんので、その段階で検討することになるかと思います。

〇曽根委員 国家戦略特区は、今のところ医療関係などに限られておりますけれども、今後、国税とともに、東京都の徴収している固定資産税その他の優遇措置を国から求められるというような動きが絶対ないとはいい切れないと思います。そういう点では、国際的な競争といいながら、実際にはアジアの大都市との競争では、ほかにもたくさんの要素があってなかなか厳しいと。逆に、国内の都市間競争では、東京都のとった優遇措置によって、やっぱり東京に進出した方が有利という流れを促進しかねないというリスクも、ぜひ厳しく検討していただいて、今後のことを検討していただきたいと思います。

 もう一つは、やっぱり気になるのは、大都市需要の中身として、今回、例えば環状道路については、計画に対する充足率が、ロンドン、ソウルなどに比べて低いことや、また、羽田空港の容量が少ないというようなことがデータとして出されていますが、実際には、ロンドンやソウルなどは、ロンドンは、環状道路一本計画を断念しておりますし、ソウルについては、既に供用されている高速道路を撤去したというようなことも行われ、計画自体が絶対ではないというふうに私ども考えておりますので、そういう点や羽田空港の容量アップということで、成田や地方の空港への影響が出るということも無視するわけにいかないと思います。
 そういう点では、さきの代表質問でも主張いたしましたが、都の将来の財政負担という観点と同時に、地方との関係でも、東京の大規模開発については、極力抑制する方向に財政運営のかじを切る必要があるんではないかと感じておりますが、いかがでしょうか。

〇岩瀬主計部長 都はこれまでも、都民が生涯を通じて安心して生活できる環境を整備するため、雇用や福祉の充実といった生活の質の向上を図る施策や、教育、防災、中小企業対策などの施策に対しても的確に財源を振り向けてきております。

 また、羽田空港や環状道路を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や東京の国際競争力を高めるだけでなく、その効果が全国に波及することから、日本全体の発展を目指す上でも不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要がございます。

 今後とも、財政の健全性に十分配慮しながら、幅広い都政の課題にしっかり取り組んでまいります。

〇曽根委員 一言だけ申し上げますと、石原知事当時以来、東京の発展が日本の発展につながるということは繰り返しいわれてきましたが、やはり財政力という点で、一定の格差が生まれていることは私は事実だと思います。それをこれから共存共栄に進めていくという上で、やはり改めて東京の巨大な公共事業計画については、さきに申し上げました十五兆円もかかる今後の都市計画道路も含めて見直しが必要だということは、この都市間の、国内の自治体間の共存共栄という立場からも、徹底的に吟味をしていただきますようお願いしまして質問を終わります。



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