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2015年11月11日 平成24年度各会計
 決算特別委員会全体質疑議事録
 


保育園増設のさらなる努力と人材育成へ人件費支援を都有施設の維持更新優先・新規建設は慎重に



◯きたしろ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

 曽根はじめ副委員長の発言を許します。

◯曽根委員 日本共産党を代表して全局質疑を行います。

 本決算年度は、昨年二月に舛添知事が誕生して最初の年度でもあり、また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致が決定して最初の年度でもあります。

 当初予算の内容は、知事の交代が予算議会直前だったこともあり、石原、猪瀬都政の流れを色濃く反映しておりましたが、我が党が強く要求し、条例提案も行いました認可保育園の用地確保への支援については、昨年三定に知事より、購入ではなく借地への支援という形ですが、補正予算が提案され、実現されたこともあって、昨年度の認可保育園整備は大きく前進をいたしました。

 また、これと相まって都有地のインフラ、福祉インフラへの活用についても取り組みが進展してきております。この点について、この間の推移を確認しておきたいと思います。

 最初に、本決算年度まで四年間の認可保育所の施設及び定員の増加数はどうだったでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 過去四年間の認可保育所の施設数及び定員の増加数は、平成二十三年度が五十五施設五千三百十四人、二十四年度が六十施設七千五十九人、二十五年度が百四施設九千四百十三人、二十六年度が百六十五施設一万三千五百二十九人となっております。

◯曽根委員 この間、施設数も定員数も毎年の増加数そのものがふえておりまして、とりわけ昨年度は、認証保育所からの移行ということもあって、認可保育園の定員増が、長期ビジョンの待機児解消に向けた保育定数の年間目標を上回っております。

 次に、認可保育園整備事業の決算の推移をお聞きしておきたいと思います。

 認可保育所の施設整備に対する補助については、主なものとして保育所緊急整備事業と、また賃貸物件による保育所整備事業が挙げられますが、過去四年間におけるこの二つの事業を合計した予算額及び決算額の推移はどうなっているでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 過去四年間における保育所緊急整備事業及び賃貸物件による保育所整備事業を合計した当初予算額及び決算額を億円単位で申し上げますと、平成二十三年度が予算額六十二億円に対し決算額四十七億円、二十四年度が予算額六十九億円、決算額八十九億円、二十五年度が予算額七十九億円、決算額九十三億円、二十六年度が予算額百七億円、決算額百三十八億円となっております。

◯曽根委員 二十四年度からは決算が予算を上回り、また最近は、前年度の決算見込みより多く予算をつけても、それをまた決算が上回るという異例の事業拡大が続いております。都民の要望の強さを反映したものであり、重要な前進だと思います。

 また、この中で、スタートしたばかりですが、平成二十六年度から実施された都有地活用の減額率を拡大した後の認可保育所の公募実績と、またあわせて、二十六年度補正予算により創設されました認可保育所の国有地や民間用地の土地借料に対する補助の昨年度の実績はどうなっているでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 都有地を活用した認可保育所の整備は、公募により事業者を選定し、行うこととしておりまして、昨年八月の減額率拡大後の公募実績は四件でございます。

 また、昨年十月の補正予算で創設した国有地、民有地の借地料補助の平成二十六年度実績は二件でございます。

◯曽根委員 認可保育所については、決算額が予算を上回り、また昨年度は、都有地活用の減額率の拡大や、また補正予算による土地借料補助の創設も行われて、認可保育園が大きくふえたことは間違いありません。

 問題は、これが待機児解消につながるかどうかということであります。ここで改めて、平成二十四年から二十七年までの待機児童数の推移を伺います。

◯梶原福祉保健局長 過去四年間における四月一日現在の待機児童数は、平成二十四年が七千二百五十七人、二十五年が八千百十七人、二十六年が八千六百七十二人、二十七年が七千八百十四人となっております。

◯曽根委員 本年四月の待機児童数は三年ぶりに減少したとはいえ、いまだに七千八百人を超える待機児童がおります。また、今の数字は認可外保育施設に入った人を除いた数字なので、認可保育園に申し込んで入れなかった人は、さらに多いと思われます。

 認可保育園に対する要望がこれほど大きいからには、都は全力でこれに応えていくべきと考えます。

 そこで、引き続き待機児童の解消に向けて今後どのように取り組んでいくのか、保育人材の確保策も含めて見解を伺います。

◯梶原福祉保健局長 都はこれまで、保育サービスの整備を促進するため、区市町村や事業者の負担軽減や都有地の減額貸付、国有地、民有地の借地料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施してまいりました。

 また、保育人材の確保、定着を図るため、潜在保育士を対象とした就職支援研修と就職相談会の一体的な実施や宿舎借り上げ支援などを行うとともに、今年度からは、保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援も開始をいたしました。

 今後とも、こうした取り組みを進め、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標の実現に向け、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育など、多様な保育サービスの整備に取り組む区市町村を支援してまいります。

◯曽根委員 ぜひ認可保育園を初めとして、大きく前進をかち取っていただきたいんですが、今の答弁の中で、キャリアパス事業の導入について述べておられましたが、これは昨年度までのサービス推進費をつくりかえたものです。社会福祉法人の保育園では、補助がかえって減るところもありまして、待遇改善の保障は必ずしもありません。賃金の抜本的改善につながる支援が必要だということは申し上げておきたいと思います。

 また、都有地活用についても、都内の平均地価を下回る地域についても新たに一定の減額率が適用されるよう、さらなる拡充を求めておくものです。
 一方で、福祉インフラとして、介護施設である特養ホームや、また老人保健施設についてはどうなっているかを質問いたします。

 昨年度の特別養護老人ホーム、また老人保健施設に対する都の補助の予算額と決算額はどうなっているでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 平成二十六年度の特別養護老人ホーム整備費補助の予算現額は百十九億二千五百万円、決算額は八十八億九百万円となっております。また、介護老人保健施設整備費補助の予算現額は二十億二千九百万円、決算額は十七億四千二百万円でございます。

◯曽根委員 昨年度より前は、毎年の予算額は九割以上執行されておりましたが、昨年度の場合、特養ホームでは七四%の執行率、老健施設も八六%ですが、これは実は当初予算に対しては五割未満ということで、執行率が下がっていることは大きな問題だと思います。

 そこで、平成二十六年度までの四年間に毎年ふやしてきた特養ホームの定員は何人ずつか、また、同じように老健施設の定員増加の推移はどうでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 平成二十六年度末までに竣工した特別養護老人ホームの施設数は四百七十八カ所、定員数は四万二千八百九十八人となっております。過去四年間の定員増加数は、平成二十三年度が千二百四十九人、二十四年度は千五百九十二人、二十五年度は千四百二十三人、二十六年度は千五百五十八人となっております。

 また、平成二十六年度末までに竣工した介護老人保健施設の施設数は百八十八カ所、定員数は二万三百八十一人となっております。過去四年間の定員増加数は、平成二十三年度が千二百九十人、二十四年度は六百九十七人、二十五年度は七百四人、二十六年は三百二十四人となっております。

最後の年度だったんですが、三年間で特養ホームは約八千人ふやす計画が四千人台にとどまりました。毎年の増加数も平均約千五百人ですから、今回長期ビジョンに掲げた十年間で一万九千人という特養ホームの整備目標も、これも我が党は、現在の待機者や高齢者人口の増大傾向に対し不十分であって、都の本気度を目標の上でも示す必要があると考えておりますが、この不十分な目標すら実現が遠のいてしまいます。

 特養ホーム整備予算の執行状況をどう見ているのか、また、計画が未執行だった点の原因はどう考えておられますか。

◯梶原福祉保健局長 特別養護老人ホームの施設整備数、これは介護保険事業支援計画に、それぞれの区市町村がつくった計画に基づいてその完成数をやっているわけでございますけれども、私どもとしては、平成三十七年度末までに六万人という東京都長期ビジョンの目標に向けて、確実に達成できるように推進しているところでございます。

 なお、平成二十六年度の決算における特別養護老人ホーム整備費補助の執行率というお話でございますが、執行率は七三・九%、約三十一億円の不用額が生じておりますけれども、その主な理由は、建築価格の高騰等による入札不調で工事着工がおくれたことなどが挙げられます。
 こうした状況を踏まえまして、都は、昨年十二月の補正予算で建築価格高騰に対応した加算補助を創設しております。

◯曽根委員 昨年来の建設費の高騰に機敏に対応した支援は、我が党も求めてきたものですけれども、何よりも、かつて行っていた用地費への支援のための本格的な助成制度の復活が必要だと考えております。

 また、現実にこの間の特養ホームや老健施設などの整備のおくれが大きな問題を生んでおります。

 私のおります北区西が丘の岩江クリニックの運営する老人マンションは、この間、北区と都によって、入居者の大部分である百人もの高齢者、障害者の虐待が認定され、厳しい改善指導を受け、未届け老人ホームとしての届け出も求められる事態になりました。

 しかし、その後まだ届け出が済んでおらず、利用者の介護や医療でも、本格的な改善はこれからになると思われます。特養ホームや老健施設の整備のおくれが、こうした、いわば劣悪施設を利用せざるを得ないという実態を生んでいるのではないでしょうか。いかがですか。

◯梶原福祉保健局長 都は、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針を定め、有料老人ホームに対する届け出指導を行っておりまして、今お話のありました北区の施設につきましては、現在三棟のうち二棟について設置届が提出され、内容を審査しております。
 また、平成二十六年十一月に、当該施設の運営法人に対して介護保険法に基づく監査を実施し、不適切な身体拘束等を認めたことから、平成二十七年二月に改善勧告を行い、継続的に指導を行っております。

 介護つき有料にせよ、有料老人ホームの運営指導、これをきちっと、利用者のためになっているかということを監査するのは私どもの本来の仕事であるというふうに思っています。

 特別養護老人ホーム等の介護基盤につきましては、区市町村が地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、東京都高齢者保健福祉計画に目標を定め、整備を進めており、昨年十二月に策定をした長期ビジョンでは、平成三十七年度末までに定員六万人分確保することを目標としております。
 今後とも、都独自の支援策等により整備を促進してまいります。

◯曽根委員 こうした施設を、介護施設の不足のために利用せざるを得ないと、この問題についてお聞きした直接の質問の答えはありませんでしたでしたが、今後も環境整備を促進していくということでした。

 ただ、私たち苦労して、ここの、口を閉ざしてなかなか話してくれない利用者のある方を探し出して、ご主人がここに入居されているという奥さんの話では、この指導が入るまでは面接も自由にならないと。予告して、予約してからでないと面接させてくれない。その間に何か、私が思うには、虐待状態を一時解除しているんじゃないかと思いますが、そういったこともされて、極めて不満があるけれども、ほかに行き場がないからやむを得ないという話をされておりましたので、この点は、事態の打開が急がれているということは申し上げておきたいと思います。

 さらに、区が計画まで固めて、特養ホーム進出を見込んでいた事業者の撤退も起きております。この原因もしっかり分析する必要があると思います。不名誉な話で申しわけないですが、これも北区の豊島六丁目に予定されていた特養ホームの事業者が昨年秋に撤退しましたが、それは財務省が介護報酬の削減の方向を提案した直後でありまして、これが大きな理由とされたと北区が報告しておりますが、その経過を都は承知しているでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 お話の北区の特別養護老人ホームの整備計画につきましては、平成二十六年八月に当該法人から都に補助協議書が提出され、その後、十一月に取り下げられました。法人からの取り下げの理由としては、介護報酬の引き下げが検討されていること、人材の確保に不安があること、工事費高騰や工期の延長などが懸念されていることの三点が示されております。

 なお、平成二十六年度は補助協議が二十件上げられてございましたけれども、取り下げは本件のみでございます。

◯曽根委員 取り下げは本件のみとおっしゃいますが、年間千五百人分という、まだ目標に届かないペースで進んでいるときに、計画取り下げは、一件あっても重大だといわざるを得ませんし、しかも、この件は二百床を超える大型施設ですから、年間の東京都の定員増でも占める割合は大きかったはずです。

 さらに、三つの理由が挙げられていますが、この三つの問題こそ特養ホームが抱える典型的な困難です。とりわけ政府による介護報酬引き下げが大きな要因であることは、政治の責任は非常に大きいといわざるを得ません。財務省の介護報酬引き下げ提案は、削減幅が少し緩和されただけで実際に実施され、予測されたとおり、今年度、深刻な影響に施設現場からは悲鳴が上がってきております。

 もはや国に対し、都として黙認している姿勢は、私は許されないと思います。このままでは施設介護は早晩行き詰まり、連動して在宅介護も崩壊の危機に陥りかねないことを、断固国に物をいうべきときだと強調しておきたいと思います。

 一方、老健施設についても、施設介護と在宅介護、入院治療と在宅療養をつなぎ、さらに、多機能の在宅介護の拠点ともなる極めて重要な役割があります。東京都は、地域包括ケアを進める上で老健施設の役割をどう捉えておられるでしょうか。

◯梶原福祉保健局長 まず、特別養護老人ホームの協議の話が今ございましたけれども、これはさまざまな、それぞれの法人の持っている理由というものがあるというふうに思っております。確かに、法人からの理由は三点が挙げられておりますが、二百四十四人という定員というのは極めて大きな施設、通常は百人規模の施設であります。そうすると、トータルで二百四十四という施設をつくるには、工事費の問題、特に人材の問題、特に同時期にここでは三つの施設が開設するという事情もございました。

 ですから、施設の開設につきましては、そのそれぞれの状況というのを、なぜかということについては、勘案して考えていかなければならないということで、先ほど補助協議が二十件になっただけで、取り下げは本件のみということで申し上げたつもりでございます。

 次に、介護老人保健施設でございますけれども、介護老人保健施設は在宅生活への復帰を支援する施設でございまして、多様な介護サービス基盤の一つとして、長期ビジョンでは、平成三十七年度末までに定員三万人分を確保することを目標としております。

 そのため、都は、特別養護老人ホームの整備と同様、整備の進んでいない地域への加算、地域密着型サービス等を併設する場合の加算など都独自の支援を行い、整備を促進しております。

◯曽根委員 先ほど福祉保健局長からお話がありましたが、新設の特養ホームについて、当該の北区の計画事業者が抱えている問題ももちろんありますが、私が強調したいのは国の介護報酬引き下げという問題であって、これは新設の施設の事業計画を狂わせるだけではなく、現に苦労して運営している現在の事業者に──簡単には撤退できませんので、もうやめるわけにいかないんですから、赤字を抱えていくという大変な問題を与えている、ここのところにも着目をぜひしていただきたいと思います。
 それで、老健施設についてですが、目標を掲げていても、これまで老健施設の整備率が全国で最低レベルの東京において、この四年間に新たな整備数が、先ほどお話のあったように、年間八カ所から四カ所に減り、定員増も年間千二百九十人分から、昨年度は三百二十四人分まで実績が落ちております。老健施設は、この間、一二年の介護報酬改定についての都の調査でも、六割が減収になったと回答しており、影響は大変深刻でした。緊急に打開策が求められているということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 次に、都の財政運営の中で、今後重視していかねばならない都有施設の維持更新経費について質問いたします。

 昨年発行された財務局の年次財務報告書の中で大変重要な指摘がされまして、第三者機関の調査という形ではありますが、今後二十年間に、社会資本ストックの維持更新費用について、法定年限を前提としても、増額分だけで約二・三兆円が必要になるとの試算が出されました。

 また、この間、東北大震災の被害や、この間の異常気象による集中豪雨などを踏まえて、東京の防災機能、とりわけ河川や海岸施設、地下街、地下施設などの耐震性や水害防止機能の強化なども大きな課題として取り組まれつつあります。

 そこで、毎年発行の「決算の状況」の冊子に出ている都の普通会計決算の維持補修費を私、見てみましたが、十年前の平成十七年度約六百二十億円に対し、昨年度は約九百六十億円と約一・五倍にふえておりました。もちろんこの中には、防災や環境対策のための改修や更新の費用は入っておらず、単純な維持補修費であります。したがって、これに改修や更新の費用も合わせた、年次財務報告書でいうところの維持更新費用の決算額はどうなっているのか、この推移について調べてみたいと考えました。

 これは、全部の局を調べるのは困難なので、建設局に絞ってお聞きしたいと思います。
 建設局の道路や駐車場、河川、公園などの維持管理経費の決算額は、決算年度までの十年間で幾らから幾らにふえたでしょうか。

◯佐野建設局長 道路や河川、公園などの維持管理経費の平成二十六年度決算額は約四百四十二億円でございます。また、平成十七年度の決算額は約二百九十九億円であり、この十年間で約百四十三億円増加しております。

◯曽根委員 もう一つ、時代の進展や防災や環境の対策のために、都民の立場からグレードアップが必要な分野もあります。建設局の所管する投資的経費のうち、庁舎整備、道路補修、交通安全施設、道路災害防除や災害復旧、橋梁整備の中の補修部分、河川の防災や環境整備、高潮防御、砂防海岸整備、既設公園の改修などの経費の決算額の推移は、同じ十年間でどう推移したでしょうか。

◯佐野建設局長 ご質問の経費の平成二十六年度決算額は約千百三十八億円でございます。また、平成十七年度の決算額は約七百四十八億円であり、この十年間で約三百九十億円増加しております。

◯曽根委員 いずれの経費も約一・五倍に増額してきております。これも阪神・淡路大震災や東北大震災の被害を踏まえ、また異常気象による水害の多発などに対処するために、施設の改修や更新を急ぐことが必要な箇所がふえてきていることは間違いないし、また、これからも崖地対策などもふえてくると思われます。
 我が党としては、今後は避けて通れない公共施設の維持補修や、都民の安全や環境を守るために必要な改善、改修についての十分な財源を確保できるよう、決算審査の中で全局について明確にしていく必要があると考えております。

 また、総務省からも、公共施設の維持更新を新規建設と分けて決算報告するよう要請されているとも聞いております。しかも、今後は長期的に見て東京都も人口が減ってくることは確実であり、これを見越して、不必要な大型投資は抑制していく必要もあると考えます。

 そこで、既存の都有施設の最小限必要な維持補修と防災等の改修費用が今後も大きく増額せざるを得ないことを踏まえて、大型の新規建設などは適切な抑制が必要ではないかと思いますが、建設局の見解をお聞きしたいと思います。

◯佐野建設局長 道路、河川、公園などの都市基盤施設は、都市の安全・安心を確保するとともに、都民生活や都市活動を支える重要なストックであり、東京の発展を支えるものでございます。
 このため都は、首都圏三環状道路や骨格幹線道路などの道路ネットワークの形成を進めるとともに、木密地域における特定整備路線の整備や河川、公園の整備を推進しております。
 今後とも、質の高い都市基盤施設を着実に築き上げ、そのストックを適切に維持管理することにより、世界一の都市東京を実現してまいります。

◯曽根委員 要は、着実な整備の推進をどのレベルまで許容すべきかということではないでしょうか。

 ことし発行の年次財務報告書で、都債発行についてどう書いているか、昨年からの変化は何か、財務局にお聞きします。

◯長谷川財務局長 今年度の年次財務報告書において、都債につきましては、社会資本ストックの適切な形成、更新の財源として世代間の負担の均衡を図る機能があるが、その活用に当たっては、将来世代の受益と負担のバランスも十分考慮する必要があると記載しておりまして、この考え方はこれまでと変わるものではございません。

 その上で、今後到来する人口減少社会を踏まえ、受益と負担の関係についての議論を深めるための一つの視点として、生産年齢人口一人当たりの都債残高の推計などを試算しているところでございます。

◯曽根委員 ことし発行の年次財務報告書には、具体的には、当初予算における都債発行費を現状と同じ四千五百億円規模を続けた場合、二〇四〇年時点では、生産年齢人口一人当たりの都債残高が現在の一・九倍になるという指摘も行っております。

 そこで、現在、都が進めている大型の公共事業、とりわけ骨格幹線道路や特定整備路線など地域幹線道路の予算配分で、ここが大きく膨らんでいるということが先日分科会でも指摘されました。

 我が党は、補助八六号線は、私、北区の地元ですが、ここも含めて住民訴訟まで提訴されているような道路計画については、幾ら地元の理解と協力をいっても、これは困難であって、見直しする必要があると考えております。

 以上で質問を終わります。

◯きたしろ委員長 曽根はじめ副委員長の発言は終わりました。


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