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都市整備委員会 平成二十七年十一月十二日(木曜日)

分譲マンション対策・都営住宅・横田基地問題を質問

〇曽根委員 できるだけ私も簡潔に質問していきたいと思います。

 最初に、都内の分譲マンション対策について質問いたします。

 先ほどもお話あったように、東京都住宅政策審議会から、東京におけるマンション施策の新たな展開についてと題する、恐らく初めての総合的なマンション施策の提言があり、年度内に計画をつくるという、この都としての具体化をどう進めるのかが問われていると思います。

 この答申には、都内分譲マンションの実態把握の必要性とともに、これまでは管理運営中心の支援でしたが、居住者の高齢化などへの対応や建物の改修や建てかえの支援のあり方など、具体的な提言が盛り込まれております。

 そこで、まず、答申で触れているように、老朽マンションを初め、都内の分譲マンションの正確な実態把握は焦眉の課題だと思います。管理組合の調査にとどまらず、区分所有者や居住者の高齢化、単身化、また低所得化や借家化などの実態把握に努めることが重要です。

 そこで、私は、都が取り組んできたマンション啓発隊の実績や成果、ノウハウを生かすことが重要だと思います。

 そこで、耐震診断補強への支援制度の普及に取り組んでおりますマンション啓発隊の訪問について、都内マンションのうち、どれぐらいの割合を訪問し、どういう成果を上げているのかをお聞きします。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 マンション啓発隊活動は、平成二十三年度の実態調査により把握した旧耐震基準の全てのマンション約一万二千棟を対象に平成二十四年度から実施しており、先月末までの実績は全体の約九割に相当する約一万三百棟でございます。

 この啓発隊活動では、管理組合の役員などから直接話をお伺いいたしますので、各マンションの事情をきめ細かく把握することができますとともに、助成制度の周知が図られ、利用増加につながるなどの成果があらわれております。

〇曽根委員 九割を訪問しているということで、もう一万件を超えているということですので、この啓発隊の実績は大変貴重だと思います。

 東京都は、住政審答申に先立って平成二十三年度にマンション実態調査を管理組合のアンケート調査という形で行いましたが、困難を抱えたマンションほど回答が来ていないという傾向があるんじゃないかと思うんです。

 このように回答が来ていないマンションについては、啓発隊による直接訪問などの機会を捉えて管理組合の状況についても具体的に調査をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 マンション啓発隊では、耐震に向けた助言などを行いますとともに、管理組合の運営状況についても可能な限りヒアリングを実施しております。

〇曽根委員 ぜひ引き続きお願いしたいと思います。

 こうしたリアルな実態をつかみながら、都内に一万棟以上あるマンションの実情に見合った対策が行えるように条例化を検討すべきですが、実態に見合った条例化という点での都の今の考え方をお聞きします。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 アンケートなどによる実態調査では管理組合の協力が得られない場合も多いことなどから、九月に出された住宅政策審議会の答申では、管理組合が行政に対して管理状況を定期的に報告する制度の創設について、条例による報告の義務づけなども含め検討を行うべきとの提言がなされております。

 今後、答申を踏まえ、必要な検討を行ってまいります。

〇曽根委員 先ほども質問があったので、以下要望にとどめておきますけれども、私、条例化に当たっては、報告や登録をある程度義務づけを行うという場合に、それに見合った管理組合のメリットも必要じゃないかと。例えば、専門家の無償派遣や管理や修繕の相談にも応じたり、また設計図書が失われて大規模改修が困難なマンションには、設計図書の復元の援助など、公的な支援をあわせて検討することをお願いしたいと思います。

 もう一つは、マンション管理ガイドラインを充実させて、今後はマンション白書などグレードアップを検討することもお願いしておきます。

 もう一つは、マンションの防災対策についてお聞きしたいと思うんです。

 私もマンション族の一人で、上の階のお宅が火災になった際には、消防の水をかぶりまして大変な思いをしたことがありますが、今総務局が各マンションに講師を派遣して、マンション防災の学習交流を行っております。

 その中で、マンションは規模によっては一つの大きな地域を形成し、災害の被害が、例えば地震で外壁材や窓ガラスが大量に落下する危険など、周辺地域に思わず二次被害をもたらす場合もある。にもかかわらず、ほとんどの自治体は管理組合との直接のパイプがなく、そのために区市町村が自治会、町会に行っている防災資器材や防災活動への支援などがマンションには届きにくいと。この点での防災力の向上への公的支援のあり方が、課題になっているといわれております。

 そこで、都として関係各局が連携し、区市町村や関係諸団体と協力をして、マンション居住者による防災対策として、例えば組織づくり、計画づくり、備品や水、食料の確保、防災訓練定期化など、マンションの防災対策が大きく前進するよう、例えばガイドラインを充実させるなども含めて取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 マンションの防災力を高めるためには、管理組合が防災訓練の実施や物資の備蓄などの防災対策に主体的に取り組むことが重要であり、都では関係各局が区市町村や関係団体とも連携し、管理組合等への支援を行っております。

 都市整備局といたしましては、平成十七年度に策定したマンション管理ガイドラインにおいて震災への備えなどについても記載し、管理組合への普及啓発に努めてまいりましたが、近年、防災対策への関心が高まっていることなどから、審議会の答申におきまして内容の充実を図るべきとの提言もなされております。都はガイドラインの改定に向け、既に検討を始めているところでございます。

〇曽根委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 あとはマンションの大規模改修についての支援については、先ほども質問がありましたので要望にとどめさせていただきますが、現行のマンション改良工事助成は、今利子補給なんですが、ぜひ直接助成に充実させていただきたい。また、今回起きた偽装事件の再発を防ぐためにも、マンションの大規模改修や建てかえ工事に対して公的な資格を持った専門家を派遣し、計画段階から設計や入札、工事監理まで一貫して支援する、こうした信頼できる専門家の派遣制度を設ける必要もあるんじゃないかと。

 また、緊急輸送道路沿道耐震化助成については、なかなか資金繰りが難しくて段階的な工事を行うという場合にも十分適用されるように、また一般道沿道のマンションにも何らかの助成対象として広げていただきたいことをお願いして、次の質問に行きます。

 都営住宅整備についてお聞きします。

 都営住宅の新築募集が打ち切られて久しく、新規建設も十六年間とまっております。しかし、毎回の都営住宅募集の状況を見ても、募集する団地がだんだん不便なところになっているなという私の印象なんですが、応募倍率は上がってきております。

 きょうは、いろんな問題があるんですが、建てかえ事業の進捗の中で生み出された住宅を新規募集に活用し、新築、もしくはそれに近い都営住宅の都民提供を可能にできるんじゃないかという可能性について質問させていただきます。
 東京中の建てかえ状況の調査は困難ですから、私の住んでおります北区内の都営住宅についてちょっと調べていただきました。ご足労おかけしましたが、北区内で継続的に都営住宅建てかえが進んで、毎年一定規模の住宅が建設されておりますが、この十年間でトータル何戸が整備されたでしょうか。

〇五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 北区におきまして、平成十七年度から二十六年度までの十年間に、建てかえに着手した都営住宅の戸数は合計で約三千二百七十戸でございます。

〇曽根委員 昭和四十年代以前の団地が今建てかえの対象になっておりますが、これも大分減ってきて、建てかえ対象とされる−−まあ中層住宅ですよね、今やっているのは。これは十一団地ぐらいが残っているかなと思います。

 建てかえ中の団地は十ぐらいですが、五千戸規模の桐ヶ丘団地も含まれるので、建てかえた戸数の方がはるかに多くなってきています。建てかえ事業中の団地内でローリングをしていきますが、もう最終期に入ってきていると。最後の建物が、その一部でも新築募集ができる余地が生まれてきているんではないかと思いますが、状況を伺います。

〇五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 北区におきまして、昭和四十年代以前に建設された都営住宅のうち、まだ建てかえに着手していない団地は二十団地以上ございます。建てかえ事業を引き続き円滑に進めていくために、団地の建てかえにおける最終期の住棟は次期建てかえ団地の居住者移転先として活用することとしております。

〇曽根委員 まだ大小、団地が残っていることは承知しておりますが、建てかえ後の戸数の方がかなり大きくなってきていることから、今後の課題として、私は建てかえ後の住宅の活用というのは、ぜひ今から考えていただきたいと思います。

 例えば、私、都市整備局さんからいただいた資料の十年間の建てかえ事業対象団地のこの区域について、建てかえ後の戸数は三千二百七十戸ぐらいなんですが、従前戸数を実は調べてみました。これはちょっと古い台帳が私どもの会派の奥にしまってあったもんですから、十年以上も前の団地の戸数が載っておりますので、それで調べたら、従前戸数の合計は約二千六百五十戸でした。したがって、建てかえを通じて約六百戸以上がふえているんです。

 このうちには、大きな団地である桐ヶ丘団地が九百三十三戸を建てかえて千百九十五戸、二百六十戸ぐらいふえておりますので、これがかなり大きいんですけれども、したがって、他の団地や他地区からの転入、転出もあり、また今後団地によっては建てかえのほかの団地に使うということもあるでしょうけれども、これだけ六百戸以上ふやしてきている、この新しい建てかえ後の住宅を、一部でも新規募集に活用する可能性はあるんじゃないか。都内各地でそういう余地は今後ふえてくると思われますので、ぜひ今後の検討をお願いしておきたいと思います。

 それから、新規の団地建設についても、福祉施設整備とあわせて可能な地区で取り組むべきではないかと思いますし、今回整備される予定のオリンピック選手村跡地についても、民間のマンションなどばかりではなく、都営住宅も含めたソーシャルミックスのまちづくりを考えるべきだと思いますが、都心部でも条件があれば新規建設についても検討すべきですが、いかがでしょうか。

〇五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 先ほど建てかえ事業の中で戸数がふえているというご指摘がございましたので、一言ご説明させていただきます。

 北区内の都営住宅の管理戸数といたしましては、十年前の平成十七年度末時点で約一万四千四百戸、平成二十六年度末の時点で約一万三千五百戸と管理戸数は減ってございます。これは、建てかえのほかに集約団地もございまして、建てかえそのものではふえていたといたしましても、トータルでは減っているというものでございます。

〇加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。今後とも社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

〇曽根委員 私どもは一貫してこの間、新規建設の再開を求めてまいりました。そうしない限り、東京の高い地価と住宅費の一方で、都民の平均所得や年金収入は下がり続けている中で、公営住宅を必要とする都民は、高齢者のみならず若い世代にまで広がりつつあるこの状況に応えることはできないんじゃないかと考えております。

 同時に、新規建設については確かに困難がありまして、大体入居者が高齢者に集中してしまい、高齢者団地を新たにつくることになりかねませんので、だったらば今区や市で進めているように、最初からシルバーピアとして整備する方が合理的ではないかということで、北区はそういう道を進んでいますが、コミュニティを保障できるソーシャルミックスを進めるためには、新規建設と同時に収入基準の緩和が私は避けられないと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、桐ヶ丘団地は、約五千戸から、最初の段階では六千戸を目指すという計画だったわけです。その計画はその後変更されておりますが、現在、創出用地を福祉施設に活用しても、最終の六期目の住宅建設で六千戸を実現できる可能性が生まれてきております。

 そこで、ここに中堅所得層や若年世帯を含む広い階層への公共住宅を検討し、桐ヶ丘は高齢化が七割近くになっておりますので、こういうところにソーシャルミックスを目指すという新しいモデルの団地を目指すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇加藤住宅政策担当部長 中堅所得者階層向けの住宅につきましては、民間住宅市場において適切に供給されることが基本でございまして、都として新たに直接供給する考えはございません。

 なお、都営住宅につきましては、入居者の募集に当たりまして、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施するなど、公営住宅施策の目的の範囲内で可能な限りソーシャルミックスに配慮しております。

〇曽根委員 都営住宅の今の若年ファミリー世帯向けの制度では、なかなか安心して若年世帯が都営住宅に暮らせるという点では狭き門かなと思います。
 また、一般的に住宅市場で若い世帯や中堅所得層に負担可能な住宅費で、この都内、特に二十三区内で住宅が提供されている状況とは私はいえないと思います。

 このままでは都心を中心に階層が大きく分離してしまって、高額所得層か低所得層に分かれて中間層がいなくなってしまうんじゃないかと。これを大変心配するわけで、その中間層が住める住宅を都内二十三区にいかに確保するかは今後の東京の発展にも大きくつながる問題だと思いますので、ぜひ、私どもも提案をしてまいりますし、検討をお願いしておきたいと思います。

 最後に、横田基地問題について幾つか質問します。

 これは、後日、二十七日に請願陳情審査がありますので、きょうは基本的な点に絞ってお聞きします。

 この基地対策というのは昨年都市整備局に移管されたものですが、もともと知事本局などが担当しておりました。横田初め、米軍基地の存在によって生じる都民との間のさまざまな問題に対応していくためには、例えば、環境問題や、それから米軍の兵士が起こす犯罪や交通事故の問題だとか、道路計画や上下水道など都市基盤にかかわる問題、そのほかさまざまな問題がありますので、これらを関係各局と連携して対処することが必要になると思います。

 そして、最終的には国の防衛省や米軍関係者との一部外交分野にもわたるやりとりもあるでしょうから、極めて重要かつ厳密さが要求される仕事になることをぜひ覚悟して、それでもなお、あくまで都民と都政の安全と利益をしっかり守る立場で今後対処していただくことをまず要望しておきたいと思います。

 その上で、せっかく都市整備局が担当するんですから、一貫して東京都が米軍基地や施設に対して掲げてきた整理、縮小、返還を推し進めるために、まちづくり、都市計画のプロとしての権限、能力をフルに生かしていただきたいんですが、都市整備局は返還に向けてどういう取り組みを考えておられるのかをお聞きします。

〇筧基地対策部長 米軍基地は日米安全保障体制の一翼を担うものでございますが、日米地位協定第二条においては、必要でなくなった場合は返還されなければならず、その必要性を絶えず検討することとされております。

 都といたしましては、都内の米軍基地について返還の可能性が検討され、基地の整理、縮小、返還が促進されるよう国への提案要求や渉外知事会等の活動を通じて国に要請してきており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

〇曽根委員 そこで、横田基地の現状についてなんですが、横田基地配属の米軍には、少なくともこれからオスプレイ部隊四百人余りが加わる計画です。また、資料にもいただきましたが、三年前からパラシュート訓練も繰り返されております。

 したがって、横田の基地機能そのものは、この間事実上強化されてきたんではないか。すなわち、都が掲げてきた整理、縮小、返還の可能性は遠ざかっているんではないかというふうに思われますが、いかがでしょうか。

〇筧基地対策部長 横田基地は西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地としての役割を担っておりまして、輸送部隊が駐留しています。国は横田基地へのオスプレイ配備は、こうした輸送拠点としての機能の範囲内で行うものとしており、配備後においても横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識しております。

 また、人員降下訓練等についてでございますが、横田基地からは、空輸ハブ基地として人員や物資を空輸する能力を保持するための通常の訓練として行われているものと聞いております。

〇曽根委員 今、人員降下訓練、つまりパラシュート訓練について人員や物資を空輸する能力を保持するための通常の訓練だと、そういうふうに説明されたということですが、私、米軍の横田基地のホームページを見てみましたら、二〇一二年からこれが始まっていますが、このパラシュート訓練というのは実戦的な訓練で、サムライサージという名前もついているようですけど、つまり、米軍による襲撃の作戦という意味ですが、これについて、なぜこれを三年前から突然始めたのかということについて、この横田基地が西太平洋における唯一の輸送航空団の中継基地である。このことから、世界のどこにでも展開する準備を整えている遠征部隊として、それが大規模な訓練を行っている理由であるというふうに書かれています。つまり、世界のどこにでも出撃できる軍事体制づくりの訓練だという点でパラシュート訓練が始まったことは、私は深刻な問題があるんじゃないかと思います。

 これは以前は全くやってなかったものですので、それが今や通常の訓練というふうにお話にあったように、年間でもう十回以上、昨年はやっているわけです。

 これは、今後オスプレイも配置されることとあわせて考えると、明らかに実戦さながらの、輸送任務自体が実戦さながらのものにレベルアップしているということじゃないのかというふうに思われますし、また輸送機能以外にも、例えば五年ほど前になりますでしょうか、航空自衛隊が移転して横田に入った後に、日米共同の訓練指揮所が地下に設置されました。

 今後、ここを司令部として日米航空部隊による共同作戦もできるようになっていくんじゃないかと。単なる輸送拠点じゃなくなっていくんじゃないかということも懸念されますが、いかがでしょうか。

〇筧基地対策部長 先ほど答弁申し上げたとおり、国からはCV22のオスプレイの配備につきましては、横田基地が有している輸送拠点としての機能の範囲内で行われると聞いております。輸送拠点としての機能が強化されるのではないかというお話でしたが、国からはオスプレイの配備で横田基地の輸送拠点としての機能の強化になるとは説明を受けておりません。

 また、人員降下訓練につきましては、先ほども説明申し上げたとおり、横田基地から空輸ハブ基地として人員や物資を空輸する能力を保持することが必要不可欠でありまして、そのための通常の訓練で行われているというふうに聞いております。

〇曽根委員 後日また議論をいたしますが、国からは基地の強化とは聞いていないとおっしゃっても、これだけの事実が積み上がっていけば、単なる輸送基地にとどまらず、訓練基地としても、司令部基地としても日米が一体となった機能の拡大が着々と進んでいるという実態が出てきているということを申し上げておきたいと思います。

 それともう一つ、きょうどうしても聞いておきたいのは、この間、九次にわたり繰り返されている騒音公害裁判の結果、繰り返しこの騒音が違法と認められ、賠償を命じる判決が出ていながら、同じ趣旨の裁判が繰り返されてきている。

 このことについて、どう考えているのか、打開の道はないんでしょうか。

〇筧基地対策部長 横田基地騒音公害訴訟におきましては、一定の騒音レベルを超える地域の居住者に対して、過去の騒音被害に対する損害賠償を認める判決が出されております。

 基地に起因する騒音につきましては、国が法律の枠組みに基づき、適切に対処すべきものと認識しております。

 都といたしましては、これまでも国への提案要求や渉外知事会による基地対策に関する要望などによりまして、基地周辺の騒音被害の軽減を図るよう国に求めていたところでありまして、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

〇曽根委員 私、実は十年前にもこの問題を取り上げた際に、当時の高裁判決で読んだんですけれども、ここには非常に厳しく国、行政に対する指摘がされておりまして、ちょっと読み上げますが、横田基地の騒音についても、最高裁判所において、受忍限度を超えて違法である旨の判決が示されて久しいにもかかわらず、騒音被害に対する補償のための制度すらいまだに設けられず、救済を求めて再度の提訴を余儀なくされた原告がいる事実は、法治国家のありようから見て、異常の実態で、立法府は、適切な国防の維持の観点からも怠慢のそしりを免れないと。

 つまり、もう賠償の仕組みがいまだにできてないじゃないかといわれて、その後も繰り返し裁判を起こされて九次になっているわけです。そして、その中で決定的な問題として私、思ったのは、この裁判の判決でも、結局は騒音の測定をどこでどれだけやるのかということが争点になっておりまして、このときの裁判でも、昭和五十二年の百五十カ所測定したのに対し、平成十年には十三カ所しか測定しないことで被害の認定が減っちゃったということを原告が厳しく批判しているわけです。
 そこで、東京都の騒音の測定点は、何でも常設の場所が四カ所しかなくて、あとは短期のものだということで、裁判上よく出てくる拝島二小、拝島第二小学校ですね、そこの測定点は東京都のではなく、地元の自治体がつくっている。これが裁判では決定的な役割を果たしているようです。

 地元の自治体からも東京都の測定点をふやしてほしいと、この騒音の実態がリアルにつかめるように協力してほしいという要請が来ていると思いますが、いかがですか。

〇筧基地対策部長 騒音調査地点の増設に関する要望についてのお尋ねですが、東京都市長会から横田基地周辺における航空機騒音の調査地点の増設に関する要望がかつてあったことは承知しております。

 騒音調査は都市整備局の所管ではございませんが、環境局からは基地周辺の環境基準の達成状況を把握するに必要な数の調査地点を設けていると聞いております。

〇曽根委員 私、環境局の測定点の置き方と、地元の住民や自治体からの要望が完全にすれ違っていると思います。つまり、地元の方々は、騒音が集中的に起こっている−−現在は周回訓練という形で楕円形を描きながら横田の周辺をぐるぐる回るんですけれども、そういうところには、今東京都の測定点は余りないと。大体直線コースで飛ぶことが前提となっていると。しかし、そういうところにこそ測定点が欲しい。しかし、環境局は満遍なく平均的に測定点を置いて全体の状況がわかればいいという立場ですので、これはかみ合ってないなと思います。
 したがって、東京都としては地元住民の要望に応える形で測定点についても今後検討することを環境局とも連携して進めていただきたいと思います。

 最後に、先ほどちょっと答弁がありましたCV22オスプレイの任務についてですが、これはどういう部隊をどういう場所に運ぶものなんでしょうか。

〇筧基地対策部長 横田基地に配備されますCV22オスプレイは、各種事態が発生した場合に、アジア太平洋地域に所在する米軍の特殊作戦部隊などを作戦地域まで輸送することを主な任務としていると国から聞いております。また、大規模災害が発生した場合には、特殊作戦部隊を被災地に急行させ、CV22の高い能力を生かして捜索救難などの活動を迅速かつ広範囲にわたって行うことができるとしております。

〇曽根委員 つまり、有事の際に奇襲作戦を行う部隊ですよね。そういう攻撃性の高い部隊だということは、これは事実として確認をして、議論は次の機会にやりたいと思います。

 それから、今災害救出の話がありましたが、これを期待しているかのようですけれども、ご存じのように、ネパールの大地震の際には、ネパールに一旦沖縄配備のオスプレイが出動したんですけれども、現地で風圧のために民家の屋根が破壊されたために、ネパール政府から救援を拒否されて帰還したという経緯があります。

 また、先日のような鬼怒川の集中豪雨の中で取り残された人を例えばホバリングをして下からつり上げる、救出するということはオスプレイではできないわけです。オスプレイは単なるヘリコプターではなく、下にジェット噴射をしておりますので、つり上げようとしたらやけどしちゃうわけですよ。したがって、オスプレイの災害救出は極めて条件が限られるということを曖昧にしたまま、災害救援に使えるなどという甘い期待を持ってはならないということだけは、この際指摘をしておきたいと思います。

 以上で質問を終わります。


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