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都市整備委員会 平成二十七年十二月十一日(金曜日)

勝どきの土地信託ビルの延長措置に反対

〇曽根委員 私からも、この土地信託の延長の議案について質疑をさせていただきます。

 幾つかダブりもありますので、若干省略もさせていただきたいと思います。

 都の土地信託事業は、バブル経済真っ最中の八七年に契約されました新宿モノリス以来、五カ所で行われまして、バブル崩壊が始まっても、コスモス青山、両国シティコア、ハイジアと次々計画されて、九一年の勝どきサンスクエアが最後の土地信託になります。五カ所とも、都が期待した予想信託配当の目標を実際の配当は大きく下回っただけでなく、五カ所のうち一カ所では建設のための銀行借り入れを残す結果となっております。

 また一方で、信託銀行は、契約で貸出残高の解決も都から保障されており、また貸出利息と信託料で着実に利益を上げ、五カ所のうち勝どきを含めて四カ所では、都への配当分よりも多い額を受け取っております。

 すなわち、都としては、大事な都有地を都民のために全面的に活用することを放棄して銀行に委ねてしまった上に、バブル崩壊で全く見通しが狂ってしまった。さらに、オフィス床があいてしまうと、その穴埋めに都の出先事務所が入居して、結構高いテナント料を負担するという事態も起きております。

 また、バブル崩壊直後に建設したビルについては、いずれも着工までに地価やテナント料の下落が明らかになりつつあっただけに、踏みとどまるチャンスがあったはずだということで我が党は批判してまいりました。

 こうした経過について明確な総括もないまま、土地信託を安易に延長するやり方は認められないし、今後のあり方は、改めて都民的活用の立場で見直すべきということで、この間、これまで四カ所の信託の延長もしくは再延長に反対してまいりました。
 これらの基本点を踏まえて、勝どきサンスクエアについて、このサンスクエア独自の問題がありますので、幾つか質疑をしておきたいと思います。

 まず、この勝どき一丁目の土地信託、サンスクエアビルについて、土地信託にふさわしかったのかどうかについて、土地信託の具体化され契約して以来の長年の経過について、所管局としてちゃんと総括を行ったのかどうか、そしてこの事業の評価について、見解を伺いたいと思います。

〇桜井住宅政策推進部長 本土地信託事業は、地価が高騰する中で、その要因とならない都有地の有効活用や、民間の知識、経験を利用した土地活用を図ることができ、また毎年着実に収益を上げております。

 これに加えまして、この地域の抱える課題解決のために市街地再開発事業を行ったことで、良好な都市環境の再生に寄与したと考えております。
 これらのことから、本土地信託は大変意義のある事業であると考えております。

〇曽根委員 私たち議会として判断する上で、担当局としての明確な総括の内容が示されていないことも含めて、この事業の評価についてはもっともっと明確にしていく必要があるということをまず申し上げておきたいと思います。

 データを見る限り、今お話のあったように、ほかの大幅な赤字を出しているビルに比べて、バブル崩壊後に建設されたにしては総体的には利益を上げております。

 ただ、勝どきの場合は、借金の返済は早目に終わっているにもかかわらず、都への配当額は予定額二十九億円の一割以下の二億円程度にとどまっており、銀行が受け取った信託料や利息の方が多くなっております。この点についてはお聞きしようと思いましたが、今、前の方が質問されて、このほかに二十二億円余りの積み立てを行っているというお答えがありました。

 この積立金を、本来であれば、都への信託配当に加えることも十分できたにもかかわらず、なぜ都は−−協議をしたということですので、信託銀行と協議して、これを積み立てにしたのか、この点についてお聞きします。

〇桜井住宅政策推進部長 まず、この事業の総括、評価ですけれども、総括につきましては専門家の意見を聞きながら実施をしております。

 その結果、建設に要した借入金は平成十八年に完済をしていること、建物、設備は適宜修繕を実施して良好であること、賃料設定はおおむね市場水準を維持していること、入居率は現時点で一〇〇%であることから、今後、より安定した資産運用が見込めると考えておりまして、専門家からも同様の評価を得ております。

 それから、積立金でございますけれども、将来、信託財産が返還された際、その財産を引き続き価値のあるものとして有効活用していくためには、環境性能や情報通信など、使用者のニーズに応えるための費用がかかる可能性が高いと考えております。

 このため、信託銀行とも協議をいたしまして、将来への備えが必要であると判断し、信託配当として受け取るのではなく、積み立ててきたものでございます。

〇曽根委員 この事業の評価は、東京都の側から見ての評価というのももちろんあるでしょうが、現にこのビルに入居しているお店やオフィス、また上に入っている住宅の居住者などにとって、まちづくり全体の中で果たしている役割がどうなのかということは当然あろうかと思います。

 それをある程度は知っておかなければと思って私も現地に行ってみたんですが、このビルは、地下と一、二階まで三フロアがスーパーや商店、また地元の郵便局や食堂や飲み屋さんなどが入居しており、三階から九階までがオフィスフロアで、十階から十六階までは住宅供給公社と中央区による都民住宅、区立住宅、いわゆる中堅所得層向けの公共住宅が入っておりました。全フロアの六割強が賃貸で、残りは区分所有ということでした。お店、オフィスともにほぼ埋まっているという状況なので、確かに経営的には安定しているかと思います。

 ただ、そのオフィスの中の大体二割ぐらいの割合でしょうか、三つの区画に東京都の第一市街地整備事務所が入っておりました。それから、看板ははっきりしなかったんですが、環二の事務所も入っているということでした。

 やはり聞いてみますと、前のテナントが出てしまった後の穴埋めで都の事務所が入居したんじゃないかと思いますが、これは東京都も銀行任せでは赤字が出る危険があるということで協力したということです。したがって、都の配当が目標の二割以下でとどまっていて、一方で積み立てが積まさっているということを放置しておいていいのかという点で、私、大変疑問があります。

 そして、このビルの役割ですけれども、このビルは地下鉄勝どき駅の真上にありまして、勝どき橋交差点の角地であり、晴海、月島への結節点で、今後、東京オリンピックに向けて大変重要な位置にあると思います。また、近隣の地域は、中央区、江東区なども、どちらも人口急増地域でありまして、今、勝どき駅が通勤時に乗客があふれて大変なことになっているということで、地下鉄が動いていない夜中に拡張工事をやっているということも現地でお聞きしました。ビルの入居者、店舗の方々にもかなり騒音などでの影響が出ているということでした。

 このように、まち全体が、状況が動いている中で、このビルの役割、今後どうしていくのかと。やはりこれは銀行任せではなく、オリンピックに向けてのまちのこの地域での役割も含めて、場合によっては市街地整備事務所がそのまま入っているのがいいのか、それとも別の活用が、オフィスビル床の活用があるのかなども含めて、今後の活用を都として積極的に考える余地があるんじゃないかというふうに思います。

 それから、都が信託をやめて返還を求めれば、この二十億円以上の積立金も、このビルとともに都の裁量で今後有効に活用の道も、可能性も開けてまいります。

 以上のことを踏まえると、銀行への信託の延長ではなく、別の活用方法も、まだ何カ月かあるわけですので、十分活用方法を検討する余地があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇桜井住宅政策推進部長 今回、土地信託契約の満了を迎えまして、信託物件について、引き続き延長、売却、都への返還の三つの点から、今後の市況を含めた専門家の意見も踏まえながら検討を行いました。

 その結果、今までの運用実績は良好で、信託期間の延長により引き続き健全な資産運用が可能であることから、土地信託を五年間延長することが適切と判断をいたしました。

 副委員長のお話がありました東京都への返還につきましては、都が直接商業ビルを所有することにより、土地建物だけでなく賃貸借契約も承継することになるため、テナント管理等を都が直接行うこととなり、課題が多いというふうに考えております。

〇曽根委員 そのテナントの扱いをどうするかの問題については、ちょっと後で意見をいいますが、この勝どきサンスクエアビル、大変重要な場所にあり、ビルの人に伺いますと、前回のオリンピック誘致の、二〇一六年の方の誘致のころから、ニューヨークタイムズが取材に来たり、アメリカの投資会社のスタッフなどがもう盛んに様子を見に来ているという状況だということでした。これから本気でオリンピックを成功させるために、オリンピックが迫ってから慌てて対処するよりも、今からこの地域の貴重な資源として活用の道を確保すべきじゃないかというふうに思います。

 それから、最後に、現地でこのビルの一階に入っているパン屋さんに、偶然ちょっとパンを買いに寄らせていただきました。そのご主人が、偶然ですが、何年か前までこのビルの商店会の会長さんだった方で、先ほどちょっとお話のありました昭和四十年代からですか、長く続いたこの地域をどうするかについての長い困難な話し合いや、その後の開発の経過について話をしていただきました。この地域で商売していたお店の方、住んでいた方、ビルの入居を条件に再開発に協力してもらったこの経緯、都の側にとっても、商店街や住民にとっても大変難しい開発だったということは、私もよく、想像にかたくない状況でした。

 その後は、このお店に繰り返しこの三井住友、当時は三井、別の銀行名だったと思いますが、繰り返し来て、何度も家賃値上げの話があったと。しかし、商店街の店の決算書を全部突きつけて、みんな赤字なのに値上げとは何だ、店を全部つぶす気かと、この交渉で受け入れずに頑張ってきたという話もされていました。それから、都が建てさせたビルなんだから、なぜ銀行の人ばかり来て都が来ないんだというふうなこともおっしゃっていました。

 これは現地に住んでいる人、入居している人のいい分ですが−−都は公ですから、確かに都の職員が出ていくと不公平な家賃の値引きなどはできないという、そういう考え方もあるかもしれません。

 しかし、東京都はこういった理由でこの間ずっとこの事業を民間に委ねることで、こうした民民の問題は解決していくと。東京都として、都民のさまざまな営業や生活の大変さに直接向き合う場面を避けてきたような気が私はするんです。

 しかし、今後はオリンピックを初めとして、こうしたまちづくり一つ一つについて、都民の理解と協力が得られるように、まず都が責任を持つべきものは持つと、腹をくくらなければならないときが私は来ているような気がします。

 私、前に財政委員会におりましたときに主税局に質問をしたことありますが、主税局を褒めるわけじゃありませんけど、都民税や固定資産税を払いたくても払えない零細企業に対して、だったら破産させて従業員を解雇に追いやってまで税金を取り立てるかと、そういうことはさすがにしないわけです。

 ぎりぎりで分割納税や猶予期間を設けるなどのノウハウは、東京都だって持っています。私も交渉に何度も立ち会ってきて、そういう姿を見てまいりました。公だからできないということはないというふうに思っております。

 そういう点でも、今後のこの土地信託のあり方、そして、そこに入居して、店舗をやったりオフィスをやったり、それから上には入居者もいるという複雑なこのビルのあり方について、今後も東京都として全面的な、やはり公的な活用を考える立場で、私は安易な土地信託の延長ではなく、東京都としてもっともっと全面的な検討をすべきじゃないかということを申し上げて終わりたいと思います。

〇桜井住宅政策推進部長 当該ビルの管理運営や賃料水準などにつきましては、東京都と受託者が密接に意見交換を常日ごろより行っております。
 また、本土地信託は、民間の知識や経験を利用して土地活用を図ることを目的としております。事業の委託者である東京都が、当該土地の利活用やテナント管理に直接関与するということは考えておりません。

〇曽根委員 その直接入居しているお店やなんかの人たちと交渉しているのは、確かに今までは三井住友だったんですよ。結構本社の人が来て、そのパン屋さんの話では、パンも買って、いろいろと話をしながら、何とかその家賃問題のお互いの合意をしようということで、相当向こうも苦労していたということは認めていました。

 今度、その三井が引っ込んでみずほにかわるわけですよね、主たる信託相手が。本当にみずほにかわって、みずほの銀行の人が行くんでしょうけど、大丈夫かなと。地元にはもう相当長年のいろんな問題がたまっているし、商売だって楽じゃないと。店も、どんどん年をとって廃業になっているという状況の中で、本当に大丈夫かということはちょっと心配でした、私は。

 そういう点、東京都が直接は交渉することはないというこの仕組みについて、私は直接東京都が全面的に出ていけということはいっているんじゃなくて、例えば東京都の外郭団体も含めて活用するとかいう方法はほかの地域でもやっているわけですから、そういった手法も含めて検討すべきだということを申し上げたわけで、その点申し上げておきたいと思います。終わります。


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