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都市整備委員会 平成二十八年二月二十九日(月曜日


住宅耐震化促進事業の遅れを批判

〇曽根委員 前の二人の方とかなり内容的にダブりますが、重要な問題ですので、私からも補正予算の、特に減額補正で大きな部分を占めております耐震改修促進事業、四百十億円の減額補正のうち二百五十一億円余りと、半分以上がこの事業で占められておりますので、この点が一点と、それから木密地域の中で、特に延焼遮断帯形成事業、いわゆる特定整備路線関連の予算もかなり減額になっていることから、この二つの問題について、それぞれお聞きしていきたいと思います。

 最初に、これは今までもお話、るるありましたので、ダブりを避けますけれども、耐震化促進事業の減額が大きかったと。その原因についてはいろんなお話がありましたが、しかしこれは、緊急輸送道路の沿道建物の耐震化ですから、どうしてもやっぱりやっていかなきゃならないという点で、一旦これは減額することに対して私たちは反対はしませんけれども、来年度以降についての引き続き取り組むという姿勢について、まず基本的な点をお聞きしたいと思います。

〇飯泉耐震化推進担当部長 都は、現行の耐震改修促進計画に基づきまして、今年度末までに全ての緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を実現するため、耐震改修等に着手していない建築物の所有者が助成を受けることができるよう、毎年度、必要な額を計上してまいりました。さまざまな取り組みを行ってまいりましたけれども、今般、執行見込みのない予算を減額することになったものでございます。

 しかしながら、震災時において、支援物資の輸送など重要な役割を果たします緊急輸送道路の機能を確保するため、沿道建築物の耐震化を促進し、建物倒壊による道路閉塞を防ぐことが必要でございます。

 このため、今後も沿道建築物の耐震化を促進してまいります。

〇曽根委員 今後もやっていかなきゃならないことは、私たちもそのとおりだと思います。

 その上で、ことし、年度末までにやり切るんだということで、これは国の方針もありますから、当然十分な予算を積んできたと。しかし進まなかったということについて、減額せざるを得なかった原因と、それの問題点といいますか、課題について、改めてどういうふうに考えているのかをお聞きしたいと思います。

〇飯泉耐震化推進担当部長 ただいまのご質問についてでございますが、都はこれまで、特定緊急輸送道路沿道建築物全てを対象とした個別訪問による意識啓発や、アドバイザーの派遣、耐震改修費用に対する手厚い助成などを通じまして、区市町村と連携し、所有者の耐震化の取り組みを積極的に働きかけてまいりました。

 しかしながら、昨年のアンケート調査の結果にもあったように、分譲マンションにおいて区分所有者の合意形成に時間を要していることや、事務所ビルにおいてテナントとの交渉が難航していることなどから、多くの建築物が耐震改修等に結びつかない見通しとなり、今般、予算を減額することになったものでございます。

 アンケート調査にありましたとおり、まだ詳しく耐震改修を考えていない所有者も多くございますので、引き続き、個別訪問などによる意識啓発やアドバイザーの派遣、あわせて耐震改修助成などを通じまして、積極的に耐震化を図ってまいります。

〇曽根委員 それでは、この後、特定整備路線については別個にお聞きしますので、先に耐震化促進事業について、これは今後のことがありますので、三月の予算審議の中でも、より突っ込んで質問させていただく機会があるかと思いますが、昭和四十六年、一九七一年竣工というマンションに私自身が住んでおります。旧耐震のそのまた前の、耐震基準よりも前にできたマンションなんですね。二百七十五戸という大型のマンションで、十二階建てですが、目の前が、特定緊急輸送道路ではありませんが、地域幹線道路の一つである補助一二五号線という、やはり災害の際には間違いなく避難路として生かさなければならない道路で、赤羽から浮間を通じて板橋とつなぐ地域幹線道路なんですね。

 したがって、阪神・淡路大震災のときには、私たちも、やはり大丈夫かという点で簡易方式でしたが診断を行って、最小限の形になりますけれども、ピロティー部分の柱に鉄板を巻くなどの工事を行ったわけです。その合意形成が、なかなか大変だったんですね。

 これは財政的な問題ももちろんありますけれども、二百七十五戸もありますので、修繕積立金そのものは不足はしていなかったと。ただ問題は、こういった耐震補強の場合は、見た目にグレードアップ感がないんですね。居住者に、命を守るための一番大事な工事なんだと、外壁を何色にするかというよりももっと大事な問題なんだということをわかっていただくのに、すごく時間がかかったんですね。

 そういう点でいいますと、都の耐震改修促進事業で、マンション啓発隊なども活用して、訪問もやっていらっしゃることは知っていますけれども、私たちも、改修工事に至るまでにアドバイザーを区から何度もお呼びして、居住者の方の理解を進めるために相当苦労しました。やはり直接の訪問や粘り強い働きかけ、そして、都の方は公共的な意味合いですね、道路にもし倒壊で建物が倒れた場合には、公共的な意味での大きな損害になるということが−−この議会でも問題になりますけれども、実はこの耐震補強は、住んでいる人にとっても大きなメリットがあるということをいかに理解してもらうかということが、この事業の場合、大変大事だと思うんです。

 そういう点では、一つは、財政的な支援として九割補助でいいのかと、最大九割だけれども、実際はそうならない場合もあるとかいう話は先ほどありました。

 それから、残る自己負担に対する融資制度も、もっともっときめ細かいものが必要じゃないか。私たちも融資を借りましたけれども、利子補給しかなかったわけですね。

 それからもう一つは、見た目のグレードアップもあわせて行うような工事をやった場合に、それに対する何らかのプレミアムをつけられないか。そうすると、住んでいる側にとっても、外壁もあわせて改修できたとか、そういうさまざまな助成の幅をつけて、何としてもこれは進めるという立場で頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それから次に、いわゆる延焼遮断帯形成事業、特定整備路線関係でも、二十数億円ぐらいになるでしょうか、沿道一帯整備とあわせて減額をしておりますが、この減額補正の内容について、その理由は何かについて、お聞きしたいと思います。

〇山下防災都市づくり担当部長 特定整備路線は、震災時に発生のおそれのある大規模火災による延焼を遮断するとともに、避難経路や緊急車両の通行路となる道路であり、都民の生命と財産を守るために必要不可欠な路線でございます。

 所管の路線につきましては、平成二十六年度末までに全線事業着手いたしました。平成二十七年度予算は、関係権利者の意向も踏まえ、平成三十二年度までの完成に向けて、用地費等の必要な経費を計上してございます。

 今年度は、関係権利者宅を一軒一軒粘り強く訪問し、了解を得て、測量や物件調査を進展させるとともに、補償金提示も順次進め、一部契約にも至っておりますが、移転先選定や再建計画策定に日時を要するなどの事情により、契約までに時間がかかる件もあり、今般、執行見込みのない予算を減額するものでございます。

〇曽根委員 今お答えの中で、今後も一軒一軒訪ね、粘り強くという、今後のことについてもお話があったので、引き続き来年度も、予算計上もされておりますので、進めるということだと思います。

 前に取り上げた耐震改修促進事業と比べるわけではないんですが、道路事業についていいますと、これは耐震改修の助成事業とは大きな違いがあると私たちは思っております。

 それは、公共的な意味では、道路をつくることによって、緊急避難や、それから物資輸送や緊急自動車の通行、これは確かに便利になる面は当然あります。しかし、そのために協力する方にとっては、その地を離れなければならない場合が大変多いという点でいいますと、沿道の建物が耐震補強されることによって、その場に住み続け、しかも命の安全が守られる、そのことに対して公的な助成もあるという耐震補強助成に比べて、個人の負担や犠牲がかなり大きいということについて、私は、こういう道路事業についての協力を求める、この問題については、慎重な上にも慎重な判断が必要だということは申し上げておきたいと思うんです。

 先ほど、一軒一軒粘り強く訪ねてという話がありました。またそうしなければ、なかなか道路事業というのは進まないというのも過去の経験であります。これぐらいの粘りを、私はむしろ緊急輸送道路の沿道の建物に対して発揮していただきたいなと思います。

 いずれにしても、特定整備路線については、その全てとはいいませんが、かなり多くの路線では、これまで優先整備路線にも入っていなかったために、いわば規制緩和もありまして、建てかえに踏み切って、十年間の間に続々と建てかえが進んだところが多いわけで、そこで建てかえた途端にこの話が来ますと、借金抱えて大変なことになるという、こういう悲鳴も上がっているわけです。そうしたものに対する配慮も含めて、事業の進め方については、一旦事業化を撤回して白紙に戻し、住民との話し合いを行うべきだという基本の姿勢が私は必要だと考えております。

 したがって、今回、減額補正には賛成をいたしますが、同時に、補正で生まれる財源の活用については、どちらの事業についても、都民本位の、本当に都民にとって利益のある活用の道を改めて強く求めておきたいと思います。

 以上です。


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