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都市整備委員会   平成二十八年三月十五日(火曜日)


都市計画道路92号線見直し・都営住宅の耐震化と増設・マンション防災対策を質問

〇曽根委員 きょうは、テーマがたくさんありますので簡潔なご答弁をお願いして、私は最初に、今回出されております陳情二八第十六、十七号、補助九二号線の五百九十メートル区間を優先整備路線から除外することを求める陳情について質疑をしたいと思います。

 本陳情は、昨年の秋に環境・建設委員会で、同じく九二号線にかかわる陳情が審議された状況も踏まえ、またその後、地元荒川区議会などでも同趣旨の陳情が審議をされ、また、昨年十二月には、新たな第四次の道路整備の方針が出されたことを踏まえて、今回提出をされております。

 いわゆる道灌山通り、環状四号線より北西側が優先整備路線に今回選定をされると同時に、逆に東南側、上野駅に向かう部分については、路線が廃止ということが提案されているわけです。これに対して、道灌山通りを挟んで東南側の計画は廃止、反対側は優先整備という全く異なる位置づけにしたのには、大きな矛盾があるのではないか。少なくとも優先整備から外して、位置づけを検討し直すべきだという趣旨だと受けとめております。

 今回の方針案で、この環状四号線、道灌山通りより東南側を、見直し候補路線だったものを今回廃止提案に変更したことの理由は何でしょうか。また、それについて地元区、荒川、台東などだと思いますが、これに意見はあったのか、その内容はいかがでしょうか。

〇中島都市基盤部長 本陳情区間の南東側、補助九二号線の日暮里、谷中地区につきましては、平成十六年三月の区部における都市計画道路の整備方針第三次事業化計画におきまして、都市計画道路網の必要性の検証を行いました結果、都市計画の見直し候補区間として選定しております。

 これを受けまして、地元の荒川区や台東区などとともに、地域の特性を踏まえまして、周辺の都市計画道路ネットワークの形成が進んでいく中で、地域における交通、安全、防災の観点から検討した結果、都市計画道路としての必要性が低いことを確認いたしまして、昨年十二月、全区間を廃止する方針を公表したところでございます。

〇曽根委員 南東側の道路ネットワークがここで切られるという決定を行いながら、この道灌山通りから田端駅前通りまでの部分については、今回、優先整備に位置づける、この意義はどういうことでしょうか。

〇中島都市基盤部長 本陳情区間につきましては、東京における都市計画道路の整備方針案の策定に当たりまして、学識経験者の意見を聞きながら、区市町とともに検討を進めました将来都市計画道路ネットワークの必要性の検証の結果、必要であるという確認をしております。

 本陳情区間の整備によりまして、本郷通りから道灌山通りをつなぐ道路を初めといたしまして、周辺の不忍通りですとか、あるいは本郷通りですとか、そうした道路との道路ネットワークの形成が図られまして、交通の分散によります渋滞の緩和、あるいは住宅街などへの通過交通の流入抑制により、地域の安全性の向上に資する路線といたしまして、引き続き優先整備路線に位置づけているものでございます。

〇曽根委員 この道灌山通りの両側で、片やネットワークの必要性は低く、一方は高いというのは、通過交通の流入抑制、生活道路に入ってくるとか、ほかの道路との分散とかというふうな説明がありましたが、これは上野側についてでも同じようなことがいえると思うんですね。やっぱりあっちも道が−−広い通りが余りありませんので、流入はあるわけですし、ほかのネットワークも当然ながらあり得るわけです。

 しかし、どうしてその両者が、これほど雲泥の差があるのか。一方は計画そのものを廃止するわけですから、一方は十年以内に事業着手する優先整備と。この何が本質的に違うのかということが、今のお話を聞いても、形式論はわかりますけれども、いろんな方の意見も聞いた、地元の区の意見も聞いた。しかし、説明としては中身はよくわからないということだと思うんです。

 あえていうならば、南東側には谷中の霊園や寺社仏閣が大変多く、谷中、根津、千駄木、通称谷根千といわれる地域で、歴史的、文化的価値が最近注目されるようになってきた。北西側は民家が集中しているだけで、そういう意味での抵抗がないんじゃないかと行政側が判断したんじゃないかという勘ぐりが起きてしまうわけです。

 しかし、優先整備路線に選ばれた部分についても、今回、私も地元へ行ってまちを回りましたが、ここは戦前からまちづくりが行われていた地域なんですね。そういう意味では、道はそんなに広くありませんが、割合まちづくりは整然と行われてきた。そういう地域も含まれるなど、いずれも長い住民のコミュニティの歴史があるということで、それを例えば片方はお寺や霊園がたくさんあるということと、住民が住んでいる地域であるということの優劣は、絶対に、これはつけられないというのは当然だと思います。しかし、実際には、もう扱いに大きな差が出ている。そういう点で、地元の住民の方が憤るのは、私は当然じゃないかと思います。

 九二号線の荒川区部分については、区議会への地元町会こぞっての計画見直しを求める陳情に対して、区が、やはり住民合意は重要であると表明しておりますし、直近の議会でも繰り返し住民合意の重要性を表明するとともに、強引に計画推進をしないよう都に働きかけると区が答弁したとも聞いております。

 都はそのことを承知しておられるでしょうか。

〇中島都市基盤部長 先ほど南東側のお話がございましたけれども、先ほどもご答弁いたしましたとおり、今お話のありました寺社などが多いという、そういう地域特性も踏まえているということももちろんございますけれども、地元の荒川区や台東区などとともに、周辺の道路ネットワークの形成が進んでいく。そういった中で、この地域において、交通ですとか安全ですとか防災の観点から必要かどうか検討した結果、廃止ということで方針を出しているものでございます。

 また、今回の陳情区間でございますけれども、本陳情区間につきましては、地元区市町ですとか、あるいは学識経験者などの意見も踏まえまして、南東側から北東側に行く道路ネットワークが必要ということで、その必要性を検証し、優先整備路線に選定しているところでございます。

 今、ご質問のありました荒川区議会のお話ですけれども、昨年十二月に荒川区議会におきまして、補助第九二号線に関する陳情が趣旨採択となったこと、あるいは地元には整備に対する反対意見があることなどは、区から聞いております。

〇曽根委員 今、荒川区は客観的に反対意見があるというふうな話だというようなご答弁でしたが、とんでもない話なんです。

 実際に、荒川区の方に出された陳情の中には、地元の声ですので、地元町会ですね、これはひぐらし文化会という町会の方々の中で、反対の意思を表明している署名に応じた方が七割以上と。あとは公共施設や学校が多いですから、ほとんど真っ赤っ赤という状態。これだけの反対の声が上がっているからこそ、荒川区は、これは住民の合意が重要だといわなければならないわけですよ。

 しかも、先ほどネットワークの重要性について、西日暮里側が高いというようなことがいわれましたが、これは前回、十年前の見直しのときに出された資料なんですが、都市計画道路としての整備の必要性、ずっとこの項目はありますが、例えば自動車交通の混雑緩和への寄与はどうか、都市再生拠点整備の推進の上での役割はどうか、それから、一日の交通量だとか、さまざまな基準があって、それは、ほとんどこの九二号線の今回の部分については余り効果は期待できないと。ほとんどないんですね。

 最後に、地域のまちづくりの支援となるというところだけが丸がついて、これが都市計画道路として残ったわけですよ。しかも、これが十年間での優先整備となっている。これは丸が一個だけですよ。しかも、まちづくりへの支援になると。

 実際に、先ほどのご答弁でまちづくりの支援になるという話は一言もなかったんで、何でここで客観的に判断された資料とご答弁が違うのかなという疑問も湧いてきます。こういう点では、やはり本当に荒川区が住民の皆さんの声を受けて、この間どういう対応をしてきたのかも十分に尊重して、これは都施行ではありますが、荒川区、地元区の対応を無視しては絶対これはうまくいきませんので、それは最大限尊重することをまず求めておきたいと思います。

 それから、荒川区の区議会での答弁の中で、これは、この道路が整備された場合、道灌山通りが都市計画道路の終点になりますので、王子方面からの車の流入でボトルネックとなって新たな渋滞が発生する懸念があるとも答弁しているようです。

 明らかに、都が先ほどいわれた認識との違いもあるかと思いますが、こういう九二号線の道路整備で、むしろ自動車が流入してくる、ボトルネックになってしまう危険性、懸念というのを区が表明していることについては、都はご存じですか。また、それについて、もしコメントがあればお願いします。

〇中島都市基盤部長 今のご質問の前に、必要性の検証、これは第三次事業化計画のときの、十年前の検証のお話がございましたので、それについて補足させていただきます。

 この補助九二号線につきましては、地域のまちづくりの支援という観点から必要だということになったわけでございますけれども、その地域のまちづくりの支援の内容ですけれども、地域で暮らす人たちの日常的な自動車利用、地域開発や大規模住宅の建設に伴って発生する自動車の円滑で安全な処理、歩行者の安全性や快適性の確保、地域の防災性の向上のために必要な都市計画道路は、今後も地域のまちづくりの観点から必要ですということで、かなり幅広い観点から区市町とともに検討して、必要であるということになったものでございます。

 ただいまございました区の意見でございますけれども、区からは、先ほどご答弁させていただいたとおり、区議会において陳情が趣旨採択になったということと、地元には整備に対する反対意見があると、この二点についてお聞きしているということでございます。

〇曽根委員 やはりこの道路の整備によって、生活道路への車の流入を防ぐというよりも、むしろ道路が広がってでき上がっていくことによって、流入しやすくなるというおそれを荒川区も認めているし、地元の住民の方はそこを一番、今後心配をされているわけで、その点では、東京都の今の認識と、荒川区民の皆さん、地元住民の皆さんや区の認識とに大きなずれがあると、こういうふうにいわざるを得ないので、ここのところは、やはり当然ながら、きちんと地元の方々の声を聞くということが何よりも不可欠かと思います。
 そして、今まちづくりの支援のことを、十年前のときにはいろいろ検討し、その後もやってきたというようなお話でしたが、まちづくりのあり方についていうならば、なおのこと地元の住民の方々が参加できるやり方があるだろう。これは後ほど意見として申し上げますが、道路を整備することが、これに大きく寄与するとは到底思えないし、地元の住民の七割が反対している、こういうところで反対意見を押し切って計画を推し進めたというような例は、私も、東京広しといえどもなかなかこれは聞いたことはありません。そういう点では、これについては、当然ながら見直しを強く求めていきたいと思います。
 また、こういう心配が、やっぱり私は現実になってくると思うんですが、今後十年間、都が優先整備にこだわることによって、このままでは地元住民の方が、例えば自分のうちは耐火建築に建てかえたいとか、それから、改修をしたい、建てかえをしたい、また耐震補強などに踏み切ることが困難になってしまうということを心配しているんですが、その点についてはどう考えますか。

〇中島都市基盤部長 優先整備路線ですけれども、都市計画道路を計画的かつ効率的に整備していくために今後十年間で優先的に整備すべき路線を選定しているものでございまして、従来からある都市計画制限に影響を与えるものではございません。建物の耐火建築への建てかえ、あるいは改修、あるいは耐震補強などは、それぞれの建物所有者による判断ということになるかと考えております。
 なお、本陳情区間につきましては、先ほど来説明しておりますとおり、都市計画道路ネットワークを形成し、地域の安全性の向上を図る上で整備が必要な道路と考えております。
 事業者であります建設局におきましても、事業及び測量説明会のほか、さまざまな機会を捉えて道路の必要性について説明するとともに、地元の皆様の声を聞くなど、時間をかけて丁寧に対応していくということとしております。

〇曽根委員 やはり、実情をきちんと理解しようとしていないんじゃないか。それは、今建てかえに踏み切って、すぐ何年か後に事業化が認可されたとすると、建てかえにかけた費用の全部は戻ってこないんですよ、ほとんどの場合。二重ローンを抱えることになりかねない。そういうおそれがあるから、この道路事業に賛成、反対の態度は別にしても、このように、膠着状態が十年またはそれ以上続いている道路計画の敷地内の方というのは、本当に苦しいわけです。
 そういうことを理解すれば、むしろこのまちの防災力を、また不燃化領域を広げていくためにも、皆さんが納得できる方法による防災や不燃化のまちづくりという道が、ほかにもあるじゃないかということを私は強調したいと思います。
 例えば消防自動車が入れるような生活道路をつくっていくというようなことも、住民合意を前提に整備していくことでやっていく。それに必要な最小限のクランクだとか隅切りなどのところを部分的に改善して−−そういう道も考えられるということを強調したいと思います。
 繰り返し指摘をしますが、九二号線は、この地域には過大な道路計画であって、沿道住民の立ち退きでコミュニティが大きなダメージを受けるとともに、かえって自動車が入りやすくなり、しかも道灌山通りの出口で詰まってしまう可能性もあります。以前、九二号線の現在の道路が田端駅前通りに出てくるところで渋滞が発生していた状況は、私も北区の方で見ております。もっと大規模な渋滞が起きかねないというふうに考えます。
 この地元区の懸念を尊重し、少なくとも荒川区も住民も心配しているような強硬な手段は絶対とらないように強く要望して、この問題についての質問を終わります。

〇中島都市基盤部長 今、建てかえのお話がございましたので補足させていただきますけれども、あの事業の実施に当たりましては、地権者の方に事業に対する理解を得て、適正な補償をした上で建てかえないし移転していただく、そういう形で事業は進められることとなっております。
 また、本路線につきましては、例えばですけれども、本陳情区間に並行する谷田川通りにおきまして、通勤通学時間帯で歩行者の多い七時から九時の時間で自動車交通量を調べましたところ、二百台の交通があり、そのうち七割が通過交通ということになっておりまして、都市計画道路のネットワークを形成して地域の安全性の向上を図り、またそれが地域の防災性の向上にもつながるものと考えております。

〇曽根委員 今お話のあったように、通過交通が入ってくることはあり得ると思いますよ、それは。しかし、それをどういうふうに安全に、まちとして安全性を維持していくかということについては、住民の合意や参加抜きにはできないでしょうと、そのことを約束すべきなんだということを申し上げているんですが、それについてはお答えはありますか。

〇中島都市基盤部長 先ほどお答えいたしましたとおり、事業者であります建設局では、さまざまな機会を捉えて道路の必要性について丁寧に説明し、地元の皆様の声を聞きながら、時間をかけて丁寧に対応して事業を進めていくということとしております。

 そういうことが丁寧にやられていれば、こういう陳情は出てこないんですよ。そのことは最後に申し上げておきたいと思います。
 次に、防災都市づくり推進計画について質問いたします。

 これは平成十六年に最初の計画が出されて以来、今回二回目の改定になると思います。これまでの二回の防災推進計画では、木造密集地域の不燃化を進めるためには、特に街路整備を重点的に進めながら、延焼遮断帯の形成や不燃化領域率の引き上げを目指していくという方針が出されていまして、前回の改定のときには、その実績がかなり上がっているということが強調されていたと思います。

 それでお聞きしたいんですけど、街路整備を進めることによって不燃領域率が大きく向上したんだということがいえるのかどうかということですが、いかがでしょうか。

〇山下防災都市づくり担当部長 現行計画の平成十八年から二十六年の間では、整備地域内の都市計画道路は、三キロメートルを超える延長の整備が完了し、また沿道建築物の不燃化が進むことで、約十五キロメートルの延焼遮断帯が形成され、空間の確保と不燃化により、不燃領域率の向上に大きく寄与してございます。

 このため、今後とも延焼遮断帯の形成に不可欠な都市計画道路の整備を強力に進めてまいります。

〇曽根委員 一般論でいいますと、地域幹線道路や骨格幹線道路の、いわゆる都市計画道路を街路として新しく整備すれば、幅十五メーターとか二十メーターとかそういう幅で、ずっと住宅、建物が除却されますので、その空間はあくわけですから、もう完全不燃化ですよ、これはね。建物がないんですから。それから、その沿道は、当然、防火建築、準耐火建築などが義務づけられますので、そこも不燃化していくということで、道路が整備されれば、その中身や沿道について、これは不燃化が進むだろうということは、もう誰でも想像できます。しかし、その長さがどうかというと、この十年近くの間に三キロですよね、重点整備地域や整備地域の中に限定はされますけれども、私は都市計画道路が計画されている延長距離からいうと、やはりそう長くはないだろうと。

 やはり道路整備というのは、長さに対する不燃化効果は、それ自体は上がりますが、問題は住民の方に立ち退いてもらったり、先ほど局長のお話にもありましたが、大変な、やっぱり住民とのやりとりがありますから、その効果は、やはり全体として見れば限定されるのではないかというふうに私は思えるわけです。

 一方、道路の沿道の不燃化を進める、これは既存の道路も含めてですから、その不燃化を進めるということについては、十五キロの延長がされたと。こちらの方が実際の量的な不燃化という点では大きいんじゃないかなというふうに思うんですが、こういう中で、今回の計画は、新しく防災生活道路ということが打ち出されました。老朽住宅などを買い取って区が生活道路を確保していく、こういうやり方を、これまでも区の方ではそれぞれ取り組んできていると思います。

 私は、道路を余り前提としないで、老朽住宅や空き家になっている、または相続されない住宅などを地元の区や市が買い取って、それでオープンスペースをつくったり道路を整備していくやり方の方が、密集地域の実情に合わせて、住民が希望すれば地域で住み続けられるように、臨機応変に改善を進められるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇山下防災都市づくり担当部長 延焼遮断帯に囲まれた木密地域の改善につきましては、これまでも道路整備に当たりまして、代替地の取得など、地域の実情に合わせて道路整備を行ってきております。

 今回の改定では、緊急車両の通行等に有効な狭隘道路の拡幅計画を区と定め、住民の理解と協力を得ながら地区計画にも位置づけ、計画的、重点的に用地を買収し道路整備を行っていくことで、延焼遮断帯に囲まれた市街地の不燃化をさらに加速することといたしました。

根委員 結局、延焼遮断帯に囲まれていることが前提で、そこに接続する防災生活道路という位置づけかと思いますが、今、都が進めている二十八の特定整備路線、これは特に延焼遮断帯効果が大きいということで選ばれて、事業化も急いで進めているんですけれども、ここの中の半分以上が木密地域の周辺を囲むというよりも、木造密集地域の中に新たに幹線道路をつくるというケースが、私が見る限りで半分以上なんですね。そうすると、矛盾が大きいんですよ。細い生活道路や道路がないところに大型道路をつくるということになりますので、大変強引で乱暴なやり方が多いということは指摘しておかなきゃなりません。
 むしろ住民が参加しやすい進んだ例としては、例えば墨田区の京島地区、ここでは強制力を伴わない国の住宅市街地総合整備事業を利用しまして、地域の実情に合わせて小規模のコミュニティ住宅をつくりながら、住民が住みなれた地域内で生活し続けられるようにまちづくりを進めております。

 住民にとっては、この地域内で代替の住宅やコミュニティ住宅が用意される、地域内で移転ができるということで計画に応じやすいという声も出ており、住民合意を前提とした取り組みで木密不燃化十年プロジェクトに取り組みながら、不燃領域率は五三%から七〇%近くまで到達しているという実績も生み出してきているわけです。

 今回、新たに提案された防災生活道路などの事業の進め方として、少なくとも地域の住民との協議の場を設け、ワークショップのように話し合いで計画案を見直しながら、絶対に強制や押しつけを行わない、地区計画を定める場合には、必ず住民合意の上で策定するように進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇山下防災都市づくり担当部長 先ほど副委員長から延焼遮断帯の話がございましたが、延焼遮断帯は、学校の学区程度を一つの単位といたしまして、市街地を囲むことを基本として形成されてございます。

 ご答弁の方でございますけれども、防災生活道路の整備に当たりましては、緊急車両の通行等に有効な狭隘道路の拡幅計画を区と定め、住民の理解と協力を得ながら地区計画に位置づけることとしてございます。地区計画の策定に係る都市計画手続は、当然のことながら、住民の意見を聞きながら進めていくことになります。

 なお、ワークショップ等の任意の住民との話し合いの方法につきましては、決定権者である区に委ねてございます。

〇曽根委員 したがって、まちづくりの推進というのは、私は、東京都のこうした大きな事業の計画を出すと同時に、地元の区市町村の、やはりきめ細かい住民との対話や、それから必要に応じてワークショップや、まちづくり協議会や、さまざまな形での話し合いの場の設定ということは不可欠である。特に木密地域の中の生活を何とか維持しながら、修復型で安全な消防自動車や救急車が入れる道をつくっていく。そういうまちづくりには何よりもそれは欠かせないということは、強調しておきたいと思います。

 それで、最小限の対応として、道路整備による立ち退きとなる住民に対しては、生活圏内で同規模の住宅を確保できるようにするということと、賃貸居住者については特に配慮が必要だと思うんですが、高齢者などが多い賃貸居住者については移転先がなかなか難しいということで、自治体の側でコミュニティ住宅などの提供を進めるようにすべきだと思いますが、この点ではいかがでしょうか。

〇山下防災都市づくり担当部長 これまでも、道路の用地取得に当たりましては、足立区や荒川区などで、借家人の移転先として従前居住者用賃貸住宅の整備やあっせんを行っており、都も財政的支援などを行ってまいりました。

 事業者である区は、権利者の生活再建の意向を聞きながら用地取得を進めており、移転を希望する権利者に対しては、代替地のあっせんなどを行ってございます。
 こうした都の取り組みとともに、都は延焼遮断帯を形成する特定整備路線につきましても、権利者の生活再建に十分配慮し、整備を強力に進めてまいります。

〇曽根委員 従前居住者の移転先も含めて、大規模にたくさんの方を移転させる大型の道路では、なかなかこういうことは難しくなってしまうので、やはり私は、もう本当に必要不可欠な防災上の機能を、木密地域の中については、特に一つ一つ解決していくということが大事であるということと、それから、従前家賃を超えるような負担にならないような賃貸居住者への配慮も、例えば公営住宅家賃の設定など、配慮をお願いしたいと思います。

 また、高齢者を初め地域住民には、いざというときの防災機能だけではなく、まちづくりに協力することによる日常的なメリットを具体的に示す。まちが住みやすくなったと実感できるようにするために、例えば都市整備局の管轄ではないとは思いますが、コミュニティバスなどが、このまちづくりによって路線が設定できるなど、今後のまちづくりに期待が持てるような、さまざまな事業と連携していくということも大切だということを強調しておきたいと思います。
 時間の関係で、次のテーマに行きます。

 住宅整備に関連して、都営住宅問題について幾つか質問をしておきたいと思います。

 我が党は、都営住宅について、建てかえ事業とともに建てかえによる戸数増を図りながら新規供給に提供すべきことや、借り上げ方式なども活用して都営住宅の新規供給に取り組むよう繰り返し求めてまいりました。

 最近、国の方も民間住宅の借り上げなどで、私もよくわからないんですが、公営住宅や準公営住宅などを供給することを検討しているとの報道もありました。都は、どうも関知していないということらしいですが、都内八十万戸の空き家の中から公営住宅として活用できる住宅は、資源として積極的に活用するよう求めておきたいと思います。

 また、以前から強く要望してきた課題として、都営住宅の全ての住戸についての耐震性確保を二〇二〇年、平成三十二年までに完了させるとの約束を必ず守っていただきたい。

 都は、この計画を見ますと、今年度末までに、建てかえでは一万五千六百戸、耐震改修で四千三百、合わせて一万九千九百戸都営住宅が残されているという計画になっておりますが、三十二年度までの耐震化で、実際にこの計画のテンポどおりに進んでいるのかどうかについて、お聞きしたいと思います。

〇五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都は、平成二十四年に改定いたしました都営住宅耐震化プログラムに基づきまして、平成三十二年度の耐震化一〇〇%達成に向けて、建てかえ、または耐震改修により都営住宅の耐震化を計画的かつ着実に推進しております。

〇曽根委員 もちろん二〇二〇年までに都営住宅の耐震化を完了、達成させるとともに、そのためにも、前年度までに必要な建てかえ事業に着手しないと完成までに間に合いませんので、計画を進めていくよう求めておきます。

 同時に、耐震化を完了させるためには、残り一万六千戸弱の建てかえ計画が残っておりますので、あと実質四年間ぐらいで毎年四千戸ずつの建てかえが必要になると思います。これを確実に進めるべきだと思います。

 そこで、次にその耐震化が完了した後についても、今、東京都が持っている年間四千戸の建てかえ事業を進める体制や技術などを生かし、さらに充実させながら、建てかえによる住宅整備を耐震化完了後も進めていくべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。

〇五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅の建てかえにつきましては、昭和四十年代以前に建設された都営住宅を対象に、計画的に事業を進めております。

 東京都長期ビジョンにおきまして、既に都営住宅については、最大で年間四千戸程度の建てかえを推進することとしておりまして、耐震化が完了した後も、都民にとって住みやすい都営住宅の整備、供給に向け、引き続き建てかえ事業を推進してまいります。

〇曽根委員 私は、昨年の事務事業質疑の際に、この十年間の北区内の都営住宅の建てかえ事業の中で、現時点ですけれども、六百戸余りの戸数が従前よりふえているということも紹介いたしましたが、可能な、建てかえによる戸数増も、東京都の技術をもってすれば当然できますので、この中で新しい都営住宅の供給もできるということは、強調しておきたいと思います。

 また、耐震化が完了した段階では、建てかえ事業も大きな山を越えるといいますか、一定の余裕が生まれる見通しも出てくると思います。

 そこで、今後、建てかえなどで創出された用地を初め都有地を活用して、例えば住宅ニーズが高い地域については、福祉施設などとの合築も含めて都営住宅を新規につくっていくということも効果的だと思いますが、いかがでしょうか。

〇加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう、適切な供給や管理の適正化に努めているところでございます。

 今後、人口減少が見込まれる中、都営住宅については、現在の住宅ストックの計画的な建てかえに取り組んでいくこととしております。

〇曽根委員 人口減少の中で、建てかえには取り組んでいくというお話でしたが、人口は減ったとしても、東京の場合、都営住宅が必要とされるような低所得や単身高齢者の世帯などは増加していくということは十分予想されます。その際には、国の住宅の基本計画に明記されているように、住宅に困窮している都民に対して居住可能な住宅を供給する責任は、国にももちろんですが、自治体にもあるということを、これは都も、今後は区市町村任せというだけでは済まない場合があるということを私は強調しておきたいと思います。

 一例として、多摩ニュータウンなどのURの賃貸住宅には、一部に空き家率が二割を超えるような団地も見られます。家賃が非常に、URの場合は上がっていきますので、入居希望が低いということによる空き家がふえていると。しかし、長年住み続けている居住者にとっては、そこにコミュニティがありますので、できるだけ住み続けたい、しかし家賃は上がっていくということで、近くに都営住宅があればそこに申し込んでいるんだけれども、なかなか当たらないということから、既に公営住宅の所得階層になっているけれども、収入の半分近い家賃を負担し続けているという例が、かなり見られるわけです。

 つきましては、UR賃貸住宅について、例えば居住者の合意のもとに都営住宅のスーパーリフォームのような方式で、仮移転の上でリニューアルを行い、戻り入居の際に建物やフロアなどで区別して、借り上げ方式もしくは購入によって都営住宅に転換し、所得階層に合った方に供給するということなどは可能だし、また必要とされていると思いますが、いかがでしょうか。

〇加藤住宅政策担当部長 都営住宅の供給手法につきましては、既存ストックの有効活用を図るとともに、市場動向に左右されず安定的に供給することが重要であることから、借り上げや購入によらず、計画的な建てかえを進めていくこととしてございます。
 なお、UR賃貸住宅の空き家のお話がございましたけれども、UR賃貸住宅の運営につきましては、住宅管理者である独立行政法人都市再生機構が地域の実情を踏まえ、適切に行うものと考えております。

〇曽根委員 URが、その賃貸居住者の実情を踏まえて東京都に要請があるというようなこともないとはいえませんので、そのときには、ぜひ要請にも応える検討をしていただきたいと思います。
 また、公営住宅の供給に当たって市場動向に左右されないということですが、それは市場より高い価格で、例えば借り上げをするというようなことを避けるという点は当然だと思いますが、都が直接、公営住宅を建設するよりもはるかに安い価格で借り上げが可能である場合、しかも中古住宅であっても、旧公団住宅、現在のURの住宅は、この間の大震災でもその耐震性、安全性には定評があるという点からも、極めて合理的な借り上げの仕組みが可能になると私は考えておりますので、これは改めて、また機会を見つけてお話をしたいと思います。

 しかも多摩ニュータウンというのは、都が主導で行った大事業で、結果としてUR賃貸住宅に住んでいる階層と今の住宅家賃のミスマッチが広範に起きている。これは地元の市やURだけの責任で済まされる問題ではないというふうに私は受けとめております。

 都がそのミスマッチの解消にURと連携して取り組むことは、今後避けて通れない課題だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、時間が限られておりますが、マンション対策について何点か簡潔にお聞きします。

 マンションの防災対策については、災害時に周辺地域への影響もあるということから、マンションへの指導と支援は重要だというふうに考えております。

 必要な情報や知識を提供するために、私は、区段階ではいろいろやっているんですが、都として、東京中の自治体や、または国の情報なども盛り込んで、すぐれた内容のマンション防災マニュアルというようなものをつくって、これを普及するというようなことを検討することは、大いに意義があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 マンションの防災対策は、管理組合が主体的に取り組むべきものであり、都はこれまでも、マンション管理ガイドラインの中で、災害に備えて準備しておくべき事項等についても示し普及啓発を図るなど、管理組合の取り組みを促しております。

 なお、お話にもございましたように、区市によっては管理組合による防災マニュアル作成のための手引を作成するなど支援を行っているところもあり、都としては、そうした情報を他の区市にも提供しているところでございます。

〇曽根委員 例えば中央区は高層マンションが多いんですけれども、災害時、エレベーターがとまるという場合に、高層階から、いかに高齢者も含めて避難させるかということで、区として、高齢者や障害者を乗せて、階段を一人でおろしていく車椅子を支給しているんですね。

 こういったことは、都内全域のマンションに共通して考えなければならない問題の一つですが、これは一般の住宅ではないことなんですよね。そういう点でも、やはり都がさまざまな情報を集約して、どのマンションにも共通して役に立つというマニュアルをつくることには意味があると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 それから、先ほどの、マンション再生についての話がありましたが、私は大部分のマンションにとっては、建てかえよりも、長寿命化による改修などによる再生を選択することが、やはり現実的な道になるだろうと考えております。

 その点で、耐震性の確保や、給排水管や電気、ガス、またエレベーターなどの設備の更新をどうするか。また、室内の専有部分のリニューアルをいかに住みやすく進めるかなどが大きな鍵を握っていると思いますが、まだ、これに適切なモデルが市場に供給されていないというふうに実感しています。

 その点では、東京都が何らかの形で各分野の専門家を結集して、この長寿命化による再生の、いわばモデル事業的なものを進めていく上で、大きくイニシアチブを発揮すべきだと思いますが、いかがですか。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 マンションの再生は、管理組合がみずからの責任と努力により取り組むのが基本でございます。

 室内の専有部分は、区分所有者個人の財産でございますので、そのリニューアルに対して行政が関与すべきではないと考えておりますが、共用部分につきましては、マンションの長寿命化にも資する適正な維持管理や耐震改修等を促進することにより、地域の良好な生活環境の確保や建物の倒壊による道路閉塞の防止を図るなど、公共性の観点から支援を行っているところでございます。

〇曽根委員 この分野こそ公共性の観点と同時に、市場の中にこういう多くのマンションが、恐らく今後選ぶであろう専有部分も含めたリニューアル再生の道と、これにふさわしいさまざまなモデル、やり方を提供していくという、これは市場の力もかりて大いにやるべきだと私は思っております。こういう点でも力を発揮していただきたい。
 最後に、私は、マンションの再生の中で、自然エネルギー、再生可能エネルギーの普及が急速に進む可能性があると思いますが、こういった事業に組み込める仕組みづくりを、例えば東京都でいえば環境局などとも連携して検討すべきですが、いかがでしょうか。

〇山崎民間住宅施策推進担当部長 都はこれまでも、都市開発諸制度を活用して、マンションの建てかえを行う場合には、再生可能エネルギーの利用に努めるよう誘導しております。また、環境局が実施しておりますマンション環境性能表示や助成制度について、管理組合向けのパンフレットで紹介するなど、連携して、マンションにおける再生可能エネルギーの普及に取り組んでおります。

〇曽根委員 最後に、こうした今後のエネルギーの問題などは、私は、都民が多く参加できるようなエネルギーの開発が進められないと、なかなか普及しないだろうと思います。

 そういう点では、都が果たすマンション分野でのエネルギー開発の問題は大変大きいと思いますので、引き続き積極的に、さらに積極的に取り組むよう求めて、質問を終わります。



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