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予算特別委員会
 平成28年3月22日 しめくくり総括質疑

保育園増設・都市計画道路・公明党の不当な非難への反論

〇上野副委員長 曽根はじめ委員の発言を許します。
   〔上野副委員長退席、植木副委員長着席〕

〇曽根委員 初めに、保育園増設の緊急対策についてお聞きします。

 保育園に落ちた方の切実な訴えを書き込んだブログが大きな話題となり、共感の声が広がっています。国会前では、保育園落ちたのは私だと訴える集会が行われ、保育制度の充実を求める二万七千人以上の署名が厚労大臣に提出されました。知事は、この保護者の切実な声をどう受けとめていますか。
 都有地の活用を初めとして、都内の認可保育園がふえ始めたことは重要ですが、待機児問題は依然として極めて深刻です。保育園の増設と保育の質の充実、保育士の確保、定着対策をさらに拡充していくことが強く求められると思いますが、知事、いかがでしょうか。

〇舛添知事 待機児童問題は、子育てをしながら仕事を続けたいと願う保護者にとりまして切実な問題であります。そのため、私は、東京都長期ビジョンで保育サービスを四万人分ふやす目標を掲げまして、保育所の整備促進策や保育士の確保、定着策など、都独自のさまざまな支援策を講じてございます。
 今後とも、区市町村と連携しながら、待機児童の解消に向けました取り組みを進めてまいります。

〇曽根委員 この間、都が百六十カ所以上、一万三千人の認可保育園の定員増を実現させてきていることや、そのための都有地提供や、国有地、民有地も含めての地代の一部助成などは重要な前進です。

 しかし、我が党の調査では、都内でこの春に保育園への入園を申し込んで内定していない方は、回答があった十五区三十一市町村だけでも二万二千五百八十人に及びます。申し込んだ方の三七%が不承諾です。四月に向けて数字は動くものの、このままでは昨年を上回る待機児が残されてしまう可能性もあります。

 そこで、知事は、二〇一七年度末までに待機児ゼロを目指すという公約を掲げておりますが、整備目標を上回る認可保育園を増設しても、保育需要に追いついていないのが現実です。四年間で四万人の保育需要に応えるという整備計画では、待機児ゼロという公約を実現することは困難だということがはっきりしてきたのではないでしょうか。

 知事は、二〇一七年度末までに待機児をゼロにするという公約を必ず実現させるために、保育園の増設目標を引き上げるとともに、整備のテンポを引き上げていく必要があると思いますが、いかがですか。

〇舛添知事 先ほど申し上げましたように、都は独自のさまざまな支援策を講じておりまして、区市町村の現場の取り組みを支援しております。
 整備目標につきましては、この四月の待機児童の状況を踏まえまして検討したいと思っております。

〇曽根委員 保育園増設については、公立園をふやすこともお聞きしたいんですが、これは後にしまして、先に、この春の緊急対策について質問いたします。
 しばらくは保育需要がふえ続けることを想定すれば、ことしの待機児への対応を来年まで先延ばしにすることはできないと思うんです。四月一日の待機児数は、七月中旬から下旬になってようやく発表されますが、今回もかなりの人数に上ると見られる中で、緊急に実態を把握し、四月に入れなかった待機児童を受け入れる緊急対策を検討する必要があるのではありませんか。知事、いかがでしょうか。

〇舛添知事 曽根委員ご承知のように、国は現在、待機児童解消のための緊急対策を検討しておりまして、都は整備促進策の充実を既に申し入れてございます。今後、国と協力しまして実態把握に努めますとともに、区市町村と連携しながら、待機児童解消に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

〇曽根委員 急速な保育需要拡大に対応するには、今までのやり方では間に合わないことは明白です。例えば、緊急にとれる対策として、保育所の中には、保育士不足のせいで本来の定員まで子供を受け入れられないままの施設があります。せっかく施設はあるのに、実にもったいない話です。保育士確保の取り組みを最優先課題と捉えて、ぜひこうした施設に、定員いっぱい子供さんを迎えられるように取り組んでいただきたい。いかがでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 都はこれまでも、保育人材の確保、定着を図るため、就職支援研修や就職相談会を実施するほか、保育人材コーディネーターによる就職相談や定着支援などに取り組んでまいりました。

 来年度は、離職防止を図るため、保育従事者への巡回相談等を行う区市町村や卒業予定者に対して、保育所等への就職を促進する保育士養成施設への支援を開始いたします。また、保育士等のキャリアパスの仕組みの導入に取り組む認可保育所や認証保育所等を支援するほか、宿舎借り上げ支援なども行っております。

 国に対しても、保育士の安定的な確保、定着のため、十分な財源を確保するよう、繰り返し求めているところでございます。

〇曽根委員 保育士不足のために、予定より減らした定数で子供を入園させた例が、私たちの調査でも、昨年四月段階で五区三市で二百二十人分もありました。こうした場合、緊急に保育士を採用して定数をふやし、年度途中でも子供を受け入れられるよう支援していただきたいと思います。

 ほかにも、やればできることがあるはずで、少なくとも具体化可能な対策は、年度途中でも補正予算を組むなどして、臨機応変に取り組むよう要望しておきます。
 私は改めて、東京でこそ公立保育園の増設が現実に可能でもあるし、重要だと思います。
 ちょっとパネルを見てください。

 実は、この数年をとってみても、私立保育園はふやしているんですが、公立保育園は逆にじわじわと減らされているんです。これだけ保育需要が増大している、いわば緊急事態に直面をしているんですから、せめて問題が解決するまでの一定の期間は、区市町村が公立保育園を整備する場合に思い切った財政支援を行い、認可保育園の受け皿をふやすことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 公立保育園をふやすかどうかというのは、これはまさに、それぞれの区市町村の判断であります。

 都は、保育の実施主体である区市町村が、地域の実情を踏まえ、認可保育所や認証保育所、認定こども園、小規模保育など、多様な保育サービスを拡充できるようさまざまな支援を行っております。

 公立保育所の整備費については、平成十八年度に区市町村に税源移譲されております。

〇曽根委員 この間、民間福祉法人による私立保育園、相当ふやしているんですね。これ一個つくるだけでも大変なことなんです。それでもこの間、待機児解消のために二カ所、三カ所と、同じ福祉法人が頑張ってきています。

 しかし、新しい保育園の保育内容をつくっていくためには、既存の保育園から中心的な役割のベテラン、または中堅の保育士を異動させていきますから、既存の保育園の保育体制も大きく変えなきゃならない。もうこれ以上は無理だという声も上がっています。

 多くの認可保育園を短期間に増設していくことが切実に求められているときだからこそ、既存の保育園運営に支障なく、異動や新規採用で対応でき得る公立保育園を増設するのが非常に現実的だと考えます。強く求めておきたいと思います。

 また、増設のおくれの背景には、何よりも保育士の確保が困難だという実態が浮き彫りになり、その原因として、社会的にもこれだけ要望されているにもかかわらず、余りに待遇が低過ぎることが問題になっています。

 乳幼児期は、生涯にわたる発達の基礎が培われる極めて重要な時期であり、その時期の子供の発達を支援する保育職員の専門性は、これは国際的にも重視されています。知事は、福祉人材の処遇改善を進めると表明されていますが、保育士の専門職としての重要性について、どう認識されているでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 保育士の役割は、子供の発達の特性や発達過程を理解し、子供一人一人の心身の状態を把握しながら、その発達の援助を行うことであり、児童福祉における重要な専門職の一つであると認識しております。

〇曽根委員 私は知事にお伺いしたかったんですが、知事も局長と同じ認識ということよろしいですね。

 今のお答えのとおり、保育士は非常に重要な役割を果たしています。しかし、それに見合った待遇になっていないわけです。

 福祉保育労働組合による保育士のアンケート回答では、日中で終わらない準備や事務がたくさん残ってしまう、人が足りない。また、二十代の女性は、家賃だけで賃金の半分がなくなり、あとは何を優先するか悩んでしまうなど、大変深刻な回答が寄せられています。中には、勤務年数と手取りの給与を書いてきてくれた方もありますが、何年働いても二十万円前後の手取りということなど、私は本当に苛酷だと思います。

 パネルの二つ目をごらんください。

 知事、保育士の賃金は、全産業の平均より十万円低い。ここの下の方なんですね。現在の補助制度では、保育士の賃金の改善は極めて不十分です。さらに思い切った民間保育士の人件費の支援が、都から必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 まず前提として、今の表なんですけれども、これはマスコミの方々にもご理解をいただきたいんですが、全産業の平均より十万円以上低いというのが、今、テレビでもさまざまいって、本当に大変だという話になっています。

 ただ、これは賃金構造基本統計調査で比べているんです。これ、平成二十七年の賃金構造基本統計調査を比べると、全産業の平均は、勤続年数は十二・六年、平均年齢は四十一・九歳、保育士は六年、三十三・六歳、つまり全産業の方が勤続年数は六年長く、年齢は八歳上なんです。

 つまり、給与を比較するにおいては、ある程度長く働いていった方が給与は高くなるわけですよ。(発言する者あり)いえ、この数値のデータを比較するならば、賃金構造基本統計調査のデータをちゃんと比較するならば、そこを十分勘案しないと、冷静な−−私どもは、処遇改善キャリアアップ補助もやっていますよ。それから、国も処遇改善の手当を出していますよ。ただ、もととなるデータの理解というのを誤解されると、それは冷静な議論ができないということをいいたいんです。

 ですから、勤続年数が六年長くて、年齢が八歳上ということは、仮に一年に八千円の昇給があったら五万円近く昇給するんですよ。それから、全産業の平均年齢八年分の経験というのが加われば、これは経験年数加算が加わるんですよ。それを前提にした上での議論をしなきゃ、僕はいけないと思っています。

 それで、その上で保育士の処遇改善については、今年度から国の公定価格に処遇改善等加算が創設されます。また、都としても独自に保育士等キャリアアップ補助を開始し、キャリアパスの仕組みを導入することを条件に、処遇改善に係る経費の一部を補助しております。

 国に対しても、保育人材の確保、定着を図るため、保育士のキャリアアップのための仕組みを検討し、充実を図るとともに、十分な財源を確保するよう、繰り返し提案要求をしているところでございます。

〇曽根委員 実態をよく知っているはずの福祉保健局長からそういう答弁いただくと、大変心外です。

 保育士の勤続年数が全産業より短いのは、給与が低くて働き続けられないからですよ。勤続年数にふさわしく給与がふえていくなら、もっと定着が進んでいますよ。

 大体、そもそも保育士の勤続年数あるいは経験年数が延びても、今の補助制度のもとでは、他の職種に給与が追いつくことは絶対ありません。なぜなら、東京の各私立認可保育園の経験年数の平均は約八年ですが、経験年数がふえるに従って国の補助額もふえますけれども、十一年で頭打ちになるじゃないですか。局長、よくご存じでしょう。このときの補助の増額は、八年のときと比べて三%、職員一人当たり月一万円弱にすぎません。十五万円の差は到底埋まらないんですよ。

 大体、一方では経験は重要でないといって、都の補助から経験年数加算をなくしている都がですよ、他方で勤続年数が短いことを理由に給与が低いのを当然視するのは全く矛盾じゃないですか。これは申し上げておきたいと思います。

 私は、都のキャリアアップ補助は、確かに知事も、月二万一千円の給与改善になるとたびたび表明しましたし、人件費に限定したり単価もアップしたことは大切なことだと思っています。

 しかし、実態は改善につながっていない園が多いという、これが実態なんです。それは、キャリアアップ補助はゼロからつくった制度ではなくて、それまで行っていた補助をつくり変えたものであって、補助がふえるどころか、減ってしまった園も少なくないからなんです。

 私たちがお聞きして調べたところでは、それまでのサービス推進費補助が、例えば地域子育て支援などの加算のうち、今年度の制度見直しで廃止された項目の補助額が、昨年度の額で一園平均にすると約百四十七万円にもなりますから、多くの私立園が実際には給与をふやせないというのが実情です。先日、私が話を伺った園でも、昨年度と比べて減収の見通しになっていました。

 知事が保育士の処遇改善を公約したことは、少なくない保育関係者が期待していたと思います。しかし、補助が減った園では、どうやって給与を上げればよいのか悩んでいます。これは知事の公約にかかわることですから知事にお聞きしますが、都が保育士の賃金改善のために、現在の補助に加えて、当面、月額三万円程度の賃上げができる財政支援を行うぐらいのことをやるべきですが、いかがですか、知事。

〇梶原福祉保健局長 先ほど私がいったのは、十万円以上低いというデータを持ち出したので、正しいデータをもって私どもはお話をしようといっている話。
 それから、三万円というのが何の根拠かわかりませんが、現在、社会福祉法人が設置する認可保育所の定員百名当たりの試算の年間の補助金額は、合計で約一億六千五百四十万円です。そのうち、国の公定価格及び延長保育は一億一千三百万です。つまり、都と区市町村で既に五千二百万以上の補助金を上乗せしています。この補助制度を昨年と比較すると、全体で約百三十二万円増加しています。

 それから、株式会社が設置する認可保育所で同様に計算した場合については、従来のサービス推進費補助はなかったわけですから、全体で約二千百十五万円の増額となっています。

 この上で、こうした措置によって、私どもはキャリアアップあるいは処遇改善というのは確実に図られているものと考えております。

〇曽根委員 問題は、その補助で保育士の処遇が十分改善されているかということなんです。不十分だからこそ、求人倍率が五倍、六倍という深刻な事態になっているんじゃないですか。

 しかも、キャリアアップ補助と保育サービス推進事業は、都内の私立認可保育園のうち、七割から八割の園にとっては従来の補助が組みかえられただけであって、かえって補助額が減った園が少なくないというのは先ほど申し上げているとおりですよ。実態を見ていただきたいんです。ぜひ、都が抜本的な人件費補助に取り組んでこそ、現場は安心して基本給の引き上げに取り組めます。基本給が上がらなければ、保育士全体の給与水準が大きくは改善しません。

 以前、都は、私立保育園の保育士の給与の公務員との格差を埋める施策を、私立認可保育園の全保育士について十六年前まで行ってきた歴史があります。今、約二万数千人の民間保育士全員に平均三万円アップを保障するには大体百億円規模が必要ですが、東京都の財政能力、不要不急の事業を見直せば、十分に確保できる財源です。

 私は、福祉先進都市というなら、保育事業については、もともと収益を想定できない事業ですから、深刻な賃金格差の主要部分は、国や自治体の抜本的な公的支援で保障することは避けて通れない課題だと考えております。改めて抜本的な支援を求めて、次の質問に移ります。
 次に、都の幹線道路整備の問題について質問します。

 知事は、たびたび万機公論に決すべしと強調しております。そのためには、今後の都政にとって重要な選択となる方針や、また、都民生活に重大な影響を及ぼす計画を決定するに当たっては、その分野に関係する自治体や都民などはもちろんのこと、広く都民全体に計画の全体像を示し、細部にわたって十分な情報を提供するとともに、都民の意見、要望を尊重し、酌み取る姿勢が必要だと考えますが、知事、いかがでしょうか。

〇舛添知事 一般論として申しますけれども、都民が都政に対する意見を寄せることができる多様な機会を設けるということは非常に重要であります。それらを含めた幅広い意見なども踏まえながら、私は計画の策定などに当たっております。

〇曽根委員 これから質問する道路事業なんですが、私は都政全体を見渡して、この道路事業ほど、それにかかわった都民の暮らしや営業に多大な影響を及ぼす事業は、ほかにちょっと見当たらないぐらいだと思います。

 知事は、都の道路事業に大きな誤りはないとの認識かと思いますが、実は問題だらけなんです。後で詳しく質問しますが、だからこそ、この道路計画について、一層都民の声に耳を傾けることが大切です。

 都の道路事業は、また、莫大な財政を投じる事業でもあります。我が党は、外環道十六キロの事業化に加えて、知事がおっしゃった湾岸まで約二十キロ延長する話や、また、第四次道路整備方針で三百十五路線の優先路線を選定し、これと別に、防災のためとして二十八の特定整備路線を事業化しており、これらを合わせますと、今後、都の道路予算がますます膨らんでいくという危険性を指摘しました。

 これからいや応なくやってくる人口減少の中でも、都民の暮らしを支える福祉や中小企業対策予算などを確保するためには、新規の大型公共事業は必要最小限に抑える必要があるとも指摘してまいりました。

 しかし、都は、最大の弱点である渋滞を解消するには、幹線道路づくりが不可欠だという立場です。第四次整備方針案でも、計画の見直し検討路線は九路線、廃止検討の路線を加えても約十キロ程度で、極端に少ない。
 これはおととしの統計ですけれども、例えば京都府では百五路線百十二キロを廃止し、大阪府では二百八十路線三百八十六キロを廃止、また福岡県でも百路線百三十二キロ、道路計画を廃止して、これらはいずれも延長距離では東京の十倍以上廃止しています。
 こういう中で、東京都の道路事業では、実態はどうかということですが、これまで都市計画道路の新規整備は年平均二十数キロというペースです。残り千二百キロ余りの都市計画道路を整備するのに、半世紀近くかかる計算になります。東京都は、本当に見通しを持ってやっているんでしょうか。

〇安井東京都技監 そもそも都市計画というのは、道路に限らず百年の計でございまして、これを着実に進めるために、道路につきまして、これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、計画的かつ効率的にその整備を進めてきたところでございます。
 今回の整備方針、第四次事業化計画の案に示した道路整備によりまして、都市計画道路全体の完成率は約八割となり、骨格幹線道路だけ見れば約九割が完成することとなります。今月末には計画を取りまとめ、これに基づき都市計画道路ネットワークの早期形成を図ってまいります。

〇曽根委員 都が必要とする道路は、先ほど百年の計とおっしゃいましたが、何十年かかってもつくっていくという姿勢のようですが、計画決定から、古くは戦後混乱期に焼け野原の跡に勝手に線が引かれた復興院の計画決定から七十年、大体ほとんどが半世紀以上、計画決定からたっており、路線上に住む都民は、長期にわたって権利制限を受けてきております。その間に、周辺のまちもすっかりさま変わりしてしまったところも多数あるのが今の実態です。
 したがって、一つ一つの道路計画が現状から大きくかけ離れているじゃないかという都民の不信感は非常に根強いし、批判の声が大きいわけです。

 しかも今回、第四次の優先整備路線について、路線ごとの交通量や混雑度の現状と将来予測などの基本的なデータが都から公表されないまま、全路線を決定しようとしています。これでは、多くの地権者や都民、自治体などが、計画の是非を評価するのは困難になります。

 道路事業は莫大な費用もかかり、また、関係住民の生活や権利に大きな影響を及ぼすだけに、自動車交通量など基本的情報は全て公表し、都民の意見、要望を踏まえた上で決定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇安井東京都技監 都市計画道路の必要性の検証や優先整備路線の選定に当たりましては、昨年五月に公表の中間のまとめにおきましてその方法をお示しし、都民などの意見を踏まえた上で、評価項目そのものを決定してございます。
 これに基づきまして、交通量や混雑度、旅行速度の現況値や将来推計など、さまざまなデータを用いて路線の検証等を行い、その結果を都民にわかりやすく、また評価しやすい形で整備方針案において示してございます。

〇曽根委員 それが不信を招くやり方なんですよ。交通量の現状や将来予測というのは、その道路計画が必要かどうかを判断する基本中の基本データでしょう。その計画道路ができたら自動車の流れが地域でどう変化するのか、交通量データから検証するのは都がやるから、都民は結果だけ知ればよいというのでは、誰も納得できないんですよ。誰もが検討や判断ができるよう、都が持っている全データを直ちに公開してください。

 そして、都民がデータを分析して、意見を東京都に出すまでは決定を留保すべきです。決定後に検証というのでは、全く一方的です。どうですか。データ公開と決定の延期についてお答えください。

〇安井東京都技監 基本データそのものは、ご請求があればもちろんお出しいたしますけれども、先ほどご答弁いたしましたとおり、整備方針案に示した内容が一番都民にわかりやすい形で、評価しやすい形だということで示しているわけでございます。

 また、パブコメ等のご意見につきましては、これは従来どおり意見の概要やそれに対する都区市町の見解をまとめてございまして、これまでどおり整備方針の発表と同時に公表いたします。

〇曽根委員 公開はすると、開示請求かけてくれればと。しかし、方針を決めた後で構わないじゃないかというのであれば、何のための公開かということになります。

 最終決定の前に検討できるようにすべきですよ。都の計画に無理や矛盾があるとすれば、決定してしまった後からわかったんじゃ、これはもう全くおかしな話になってしまう。事業も困難になるだけです。検証に耐え得る計画ならば、一定期間待てばいいじゃないですか。改めて、これは求めておきたいと思います。

 しかもこの間、都は、関係区市町と連携し、地元と協議を重ねてきているといっていますけれども、発表された優先整備路線の幾つかについては、先日、委員会でもやりましたが、既に地元の多くの住民が疑問の声を上げ、見直しを求めています。こうした都民の声が、優先整備路線案が発表された後、寄せられているパブリックコメントにも反映されていると思いますが、そのパブリックコメントは、中身は、計画決定の発表と同時だと先ほどお答えありました。
 そうすると、当然ながらその反対の声は、決定された後にならないとわからないと。これはどうなんですか。順番、やっぱり違うんじゃないですか。やはりパブリックコメントの中身、またその中で、地元の住民や関係者の反対の声が多い場合には、それは本計画最終決定の中で尊重されるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

〇安井東京都技監 自治体からは、さまざまな声があることは事実でございますけれども、今回の整備方針は、地元区市町と共同で策定しているものでございます。

 それからまた、都市計画道路は、計画的かつ効率的にネットワークを形成することで、初めてその機能が発揮されるものでございまして、今後とも、必要な都市計画道路の整備につきましては、積極的に進めていくべきと考えてございます。

〇曽根委員 パブコメ、何のためにやっているかということなんですけれども、都民の意見がどう出ようが、お上が決めた方針で進めるということじゃないですか、いってみれば。パブリックコメントの意見や都の見解は、決定された後に公表されるだけ。全くおかしいじゃないですか。まともな議論のしようがありません。

 実際に、そういうやり方で具体的な問題が起きているということについて、次に質問したいと思いますが、補助九二号線の荒川区部分についてお聞きします。

 これは前回も優先整備路線になったものです。地元の十五町会の見直しを求める陳情を、荒川区議会も全会一致で趣旨採択し、荒川区も住民の合意は重要視する立場から、都に強行しないよう求めると表明しています。(パネルを示す)少なくとも、これだけの人が反対の署名に応じ、反対を表明している道路ですから、この中を通るんですけど、もうこれは、少なくともですよ、優先整備ができる状況じゃないことははっきりしているので、そこから除外するぐらいのことをやったらいいじゃないですか。いかがですか。

〇安井東京都技監 荒川区議会におきまして、陳情が趣旨採択されたことは承知してございます。

 一方、補助九二号線は、荒川区だけでなく、もう一つの自治体の北区もかかわってございまして、これは曽根委員のご地元でございますけれども、早期整備についての要望が都に出されてございます。

 補助九二号線の整備によりまして、本郷通りと道灌山通りとをつなぐ道路ネットワークの形成が図られまして、交通の分散による渋滞の緩和や住宅街への通過交通の流入が抑制されまして、地域の安全性も向上いたします。

 こうしたことから優先整備路線に選定してございまして、先ほどご答弁したとおり、必要な道路として積極的に整備に取り組んでまいります。

〇曽根委員 この路線の、確かに区をまたがっていますけれども、半分以上は荒川区にかかっているんですよ。その荒川区議会で、地元の住民、特に町会の連合十五町会からの見直しを求める陳情が趣旨採択され、区の方も、これは住民合意が大事だから、都に強行しないようにと働きかけますとも区議会で表明しており、そして多くの反対の声が現に上がっていると。ここまで地元の声がまとまっているにもかかわらず、必要な路線だということで押し通すとすれば、これはパブリックコメントも地元との協議も何もないじゃないですか、意味が。

 これはまさに民主主義のあり方の問題だし、先ほどの知事のご答弁にあったように、都民の意見をいろいろ聞いた上でどう施策に生かすかという問題として、これは知事の見解をお聞きしたいんですが、この状況を見てどう思われますか。いかがですか、知事。知事にお聞きしています。

   〔安井東京都技監発言を求む〕

〇植木副委員長 舛添知事、どうですか。

〇安井東京都技監 事業及び測量説明会などさまざまな機会を捉えまして、道路の必要性について今後とも説明していくとともに、地元の皆さんの声を聞くなど、時間をかけて丁寧に対応することとしてございます。

〇曽根委員 丁寧に対応といったって、地元が何をいおうが最後は押し切るということじゃないですか。
 大体、第四次で補助九二号を整備する主な理由は、交通安全ってなっていましたよね。生活道路に車が入ってきて沿道の人が危険だから、安全にするために道路をつくると。しかし、そのつくる道路で、沿道の人はみんな立ち退かなきゃならないんですよ。皆さん、交通安全、生活道路に入ってくると大変だから、じゃ、皆さんどいてもらえば、道路ができて安全になりますよって、こういう話じゃないですか。だから、十五町会がこぞって、こういう道路は要りませんと区議会に出しているわけですよ。

 こういう道路、しかも交通安全というけれども、この周辺道路の現在の交通事故の状況を見ても(パネルを示す)これは常識論ですけれども、狭い道路よりは、はるかに幹線道路の方が事故は多いんですよ、これは常識でわかりますけど。

 だから、道路を通せば安全になるという保証はないわけですよ、交通事故に関していえば。こういう問題として、補助九二号線は少なくともですよ、都市計画を廃止するとはしないとしても、優先路線から外して、地元の声を十分尊重し、まだ何日かありますので、見直すよう再度求めておきたいと思います。
 次に、道路整備による住民の被害の問題についてお聞きします。

 道路整備が都民に及ぼす影響がいかに大きいかについて、第四次の優先整備路線だけでも三百十五路線、二百二十三キロあります。どれだけの建物や、また敷地がこれにひっかかるのかということについて教えていただきたい。
〇安井東京都技監 優先整備路線に限らず、公園も道路もこれは同じでございますけれども、その事業化に当たって、建物や敷地の数について、現地で測量して初めて固まるものでございます。

〇曽根委員 しかし、素人の我々でも調べる方法があります。それは、ホームページで東京都が公開している二千五百分の一に建物の図面も入っておりまして、これでもって概数は数えることができます。

 私たち、数えました。三百十五路線。都施行、区市町村施行、合わせて約一万三千棟の建物がひっかかるということが、約ですけれども、わかりました。数万人の人が立ち退きを含む大きな影響を受ける可能性があります。どれだけ大変な負担を都民にかけるか。これは以前、環状国道や中央高速などを整備したときも、立ち退きは大きな問題になりました。

 しかし、今日、住宅街や商店街など地域コミュニティが完成していて、しかも高齢化が進んでいる中で、新たな移転やローンの負担ができるかということも考えると、買収に応じにくい住民が圧倒的にふえているんですよ。こういうときに、都市計画道路の整備地域で膨大な軒数の住民が、立ち退きによって生活や営業などの人生設計を狂わされ、家族が分散せざるを得なくなるなど大きな影響を受ける。このことについて、知事はどう思われますか。

〇佐野建設局長 事業用地の取得に当たりましては、都の損失補償基準に基づき、適正かつ公平な補償を行っております。関係権利者との折衝に際しましては、用地取得の進め方、補償の考え方など、お一人お一人に丁寧な説明を行っております。

 今後とも、権利者の理解と協力を得ながら、都市計画道路ネットワークの早期整備に取り組んでまいります。

〇曽根委員 丁寧な説明や対応と建設局長はおっしゃいますけれども、それによって住民に対してせめて、例えば補償金だけでも、もとどおりに近い生活が保障できるかといえば、その保障はないんですよ。
 例えば補助八二号線、豊島区の方で親の代の工場の後に、つい数年前、三階建ての賃貸マンション、重量鉄骨で今建てられますから、これを建てたら、八割が道路にかかって、補償金が出ても三千万円以上の借財が残り、この方の場合は恐らく賃貸収入も失うので、破産の危機があると。

 この方と酷似している北区の八五号線にかかっている事務所ビルの場合、道路の計画変更で立ち退きを迫られ、十年以上交渉してきましたが、ついに東京都によって収用委員会にかけられ、最近、裁定が出ております。この経過をお聞きします。

〇目黒収用委員会事務局長 お話の収用事件でございますけれども、平成二十五年十二月二十日に裁決申請、平成二十六年六月五日に明け渡し裁決の申し立てがあり、本年一月二十九日に裁決があったところでございます。

 裁決までの間、起業者、権利者双方から意見書の提出を受け、争点を整理し、平成二十七年三月十九日には、双方出席の上審理が行われております。
 なお、補償額等個別の内容につきましては、財産権に係る個人情報であり、申し上げることはできません。

〇曽根委員 ビルオーナーの方に裁定の文書を読ませていただきましたが、三億円で建てたビルが、結局はその債務、まだ残っている債務を補償金で返済することができないため、約六千万円の負債が残ります。建てる際に抵当に入った自宅と小さな工場、母親と二人で住んでいた自宅も全て失うことになると。今、破産を避けるために銀行と厳しい交渉を行っているところです。

 これは、一万三千棟のかなりの立ち退きが出る中で、こうした似たようなケースが、この十年間、規制緩和で建物、結構立派なのを建てられるようになったためにですよ、逆に財産を失う。特に賃貸アパートやそういうところは、大変な思いをしなきゃならない。こういう問題があるということをぜひ知った上で、道路計画は慎重に進めるべきです。

 都の予測でも、第四次優先整備路線が全て完成しても、自動車運行速度は一三・三%しか改善しない予定なんです。二十年かかってですよ。しかし、この四年間で、例えばハイパースムーズ作戦、これは青少年・治安対策本部がやっていますけれども、四年間で三十路線で取り組み、一二・三%のピーク時旅行時間の改善があったそうで、道路整備に比べて数千分の一の予算、かつ四年間でこれだけ改善するという方法もあるんだと、渋滞解消というならば。こういうさまざまな施策を組み合わせながら、莫大な費用をかけ、都民犠牲を生み出す新規の道路整備については、ごくごく慎重に取り組むということについて申し上げて、この問題での質疑を終わりたいと思います。

 さて、最後に、先ほどの都議会公明党、中山信行委員による我が党に触れた発言に関して申し述べます。

 そもそも都民から負託された予算審議の場は、東京都に対し、都民の立場に立って施策提案を行い、都政のさまざまな課題、施策について、ただすべきはただし、提案、伸ばすべきは伸ばすという立場で、各党がそれぞれの立場から正々堂々と質疑を行うことが求められております。

 にもかかわらず、七十分の審議時間のうち、およそ三十分にもわたって日本共産党を攻撃するための質疑を行ったのは、正直いって驚きました。

 事もあろうか、都議会の予算審議の場をかりて、このように長時間にわたって他党への攻撃を行うということは、議会審議に汚点を残すものといっても過言ではありません。また、その政党、議員のよって立つ立場、存在意義が厳しく問われるということをまず指摘しておくものです。
 そこでまず、保育園整備の都有地活用について申し上げます。

 共産党都議団は、保育園や特別養護老人ホームの増設という都民の切実な願いを前に進めるためには、具体的な土地確保対策の提案が重要だという立場から、舛添知事になるずっと前から都有地活用の提案を行ってきております。私自身、二〇〇二年第四回定例会の代表質問で、保育園整備のために都有地を活用することを提案したわけです。

 舛添知事就任一年前の二〇一三年予算特別委員会では、大山幹事長が保育園整備への都有地活用を具体的に提案しました。また、同じ年の第三回定例会で私が取り上げた北区の赤羽警察跡地は、その後認可保育園への活用が決まっております。

 こうした中で、都知事選において、舛添知事が都有地活用の促進を表明したことを私たちは重視してきました。

 ところが、知事就任後、舛添知事は、都有地はいいところが残っていないと発言を始めた。これに対して、我が党は代表質問や予算特別委員会を通して都有地の場所を示し、パネルや写真でも示して、活用可能な都有地は幾つもあることを具体的に明らかにしてきたわけです。

 その中で、都有地等の活用検討チームが設置されるという重要な前進がありました。我が党はこの新たな動きを重視し、二〇一四年七月十六日に、都有地活用の促進を初めとした待機児童対策の申し入れを行いました。

 そして、その同じ月の三十一日午後三時から四時まで行われた知事の定例記者会見で、福祉インフラ整備のための土地活用方策についてが発表されました。

 日本共産党都議団は、さらに八月二十二日、土地確保対策のさらなる充実を求める申し入れを行いました。そして、そこで要望した内容を含む平成二十六年度九月補正予算が九月二日に発表されたわけです。この補正予算は、我が党も賛成して成立しています。

 我が党は、その後も、公営企業用地や監理団体が持っている土地の活用を初めとした都有地等の活用促進を一貫して提案しています。もちろん、我が党だけの成果だというつもりはありません。その後、都有地等の活用検討チームを設置し、福祉インフラ整備のための土地活用方策についてや、また平成二十六年度補正予算を提案したことを評価し、こうした知事の施策には賛成してきております。今後もこの立場で取り組むことを表明しておきたいと思います。

 次に、戦争法という表現についてですが、今回の安保法制を戦争法と呼んでいるのは、私たち日本共産党だけではありません。他の野党も含め、多くの知識人や市民が使っているものです。創価学会員の中からも、戦争法案許しません、戦争させないなどの声が上がったことは周知のとおりです。

 日本共産党は、安保法制の中身を精査し、自衛隊の戦闘地域での活動や武器使用を認め、日本が攻撃されていなくても、集団的自衛権の行使によるアメリカの戦争に参加することができるという本質を告発し、戦争法と呼んでいます。

 この日本が他国で戦争に参加できるという安保法制について、圧倒的多数の憲法学者が憲法違反だと表明し、歴代の内閣法制局長官が衆参の議会で、安保法制を違憲だと表明したことも厳然たる事実であります。

 平和の党を標榜してきた公明党が憲法違反の戦争法に賛成したと多くの国民から批判されていることがよほど気になるかもしれませんが、そもそも安倍政権が平和安全法制などと名づけたことこそ、国民を欺くものです。

 戦争法という表現がおかしいとかいう前に、戦争法という本質を持つ……
   〔発言する者多し〕

〇植木副委員長 ご静粛に願います。

〇曽根委員 憲法違反の法律に、平和の党を標榜してきた公明党が賛成したことに対し、多くの国民が納得できるよう、正々堂々と説明されることが求められているのではないでしょうか。

 なお、日本共産党は、選挙を通じ国民多数の支持を得て、議会を通じて、平和的、民主的に社会発展の道を切り開くことを根本原則としています。暴力革命政党などといいかえられるいわれは全くありません。

 公明党が、今全国各地で、もう古臭く、使い古された共産党攻撃を行っているのは、安倍政権の暴走を説明できなくなって行き詰まっていることのあらわれだといわなければなりません。

 日本共産党は、安保法制、戦争法廃止と立憲主義の回復を目指し、野党と市民の皆さんとともに大いに奮闘していくことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)

〇植木副委員長 曽根はじめ委員の発言は終わりました。



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