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都市整備委員会 平成二十八年五月二十七日(金曜日)

幹線道路沿道の建築規制・北青山都営住宅のマンションへの建替えを批判

〇曽根委員 私からも、今度の都計審の案件について二点お聞きしておきたいと思います。

 最初の問題は、番号の三番から五番、品川、北区上十条、そして練馬のいわゆる都市計画道路の沿道の用途地域の変更についてであります。

 今回、品川区の戸越地域補助二九号線沿いと練馬区の大泉町の補助二三〇号線の沿道、そして私の地元北区上十条の補助七三号線沿いの三カ所について、道路沿道の防災力向上ということで、防火の建築規制や七メーターの最低高度などを定める案件が出されております。

 その中で、私の地元北区の補助七三号線の沿道の用途地域変更について質問いたします。

 最初に基本的なことですが、道路計画が事業化されてから、いつまでに沿道の規制をかけるのかという決まりはあるのでしょうか。

〇上野技監 道路事業と沿道の用途地域等の変更時期との関係についてでございますが、特定整備路線につきましては、沿道建築物の不燃化を促進し延焼遮断帯の形成を加速させるとともに、ご協力いただきました方々の早期の生活再建にも資するよう、建築基準法上の道路として位置づけられた場合には、高度地区及び防火地域の指定などにあわせ、用途地域を変更することが可能となっております。

 特定整備路線に選定されております補助七三号線につきましては、本年四月に建築基準法上の道路の位置づけがなされておりまして、沿道の延焼遮断機能の向上などを図るため、今回、北区による防火地域の変更などとあわせて用途地域を変更するものでございます。

〇曽根委員 もう一つ聞いておきますが、今回の案件がこの計画どおり九月の都市計画審議会で決定された場合、いつからどういう場合に規制が適用されますか。

〇上野技監 本案件につきましては、九月に予定されております都市計画審議会で審議いただきまして、案のとおり議決いただきましたならば、決定、告示日以降に都市計画変更された区域におきまして、建てかえ、あるいは新築などを行う場合には、今回の変更内容が適用されることとなっております。

〇曽根委員 私の知るところでは、以前はこれほど早く沿道の規制をかけずに、道路の用地買収が進み、道路の概成の見通しが出たころから規制をかけるのが通例でした。今回、特定整備路線ということで、防災という大義名分を掲げたとしても、ほとんど地元の意見も聞かず道路を計画し、さっさと事業化を決めて、すぐに沿道規制で二重に縛りをかけるやり方、これは余りに強引といわざるを得ないと思っております。やはり、道路整備を早く既成事実化して、後戻りさせないようにするための一つのやり方じゃないかというふうに私は受けとめております。

 そこで、今回、沿道の規制をかける補助七三号線の予定地域についてですが、これは、すぐ横を並行して通る十条銀座商店街の西側に並んでいるお店の裏側になりますので、その店の店内ではさばき切れない倉庫や作業場、例えば食料品関係でいえば調理などを行う作業場がどうしても必要だということで、裏側の地域にずらっと並んでいるんですね。

 道路自体がこうした商店の営業に欠かせないバックヤードの施設を奪いかねないということや、今回は道路にかからず、沿道であっても高さ制限がかけられるということで、倉庫やなんかはほとんど平屋ですので、こうした点でも中小商店に重い負担を負わせることになります。商店街の方は、こうした道路整備の問題は、都と区で推し進めておりますので、賛成も反対もしないという対応だと聞いておりますが、しかし個々の商店にとって、特に西側のお店にとっては死活問題になっております。

 こうした、ある意味道路でバックヤードを奪い、またさらに沿道で規制をかけることによって、小さな規模の商店も含めて、商店街に大きな影響を与える商店街破壊の道路であるというふうな点について、都としてはどう考えておられますか。

〇上野技監 今回の都市計画変更につきましては、地元商店街のまちづくり組織から区に提出された要望を踏まえまして、区におきまして変更案を作成し、商店街などと協議しながら合意形成が図られてきたところでございます。
 今回の都市計画案につきましては、こうした経緯を経まして、延焼遮断機能の向上及び地域の活力の維持向上を図るために取りまとめられたものでございます。区決定であります防火地域と高度地区につきましては、補助七三号線沿道の延焼遮断機能の向上を図るために必要な変更を行うこととなっております。

 今回の都市計画変更によりまして、沿道で建物を建てかえる場合には、高さ七メートル以上の不燃化された建築物としなければなりませんけれども、必ずしも鉄筋コンクリート造の高層建築物とする必要はございませんで、七メートル以上の耐火、準耐火建築物等とすれば、商店の倉庫や作業場の建てかえも可能でございます。

〇曽根委員 今そんなに負担がかからないような話をされましたけれども、とんでもないことで、中小商店は本当に赤字でも頑張っているところがほとんどですから、裏側の道路がかかれば作業場自体がなくなってしまって、お店の近くになければならない作業場がなくなるという問題があり、さらにはそれを一部残して建てかえようと思っても、七メーター以上にしなきゃならないという問題は、大企業じゃないんですから、中小の営業にとっては物すごい打撃になるということはいっておかなければなりません。

 それから、延焼遮断効果を高めるんだという話がありました。この補助七三号線については非常に特徴があって、この道路計画予定地のすぐ東側に十条銀座商店街があり、さらにそこから百メートル東側には埼京線がほぼ南北に、同じように並行して通っているというまちであります。

 埼京線の立体化事業というのが、今、間もなく事業化されようという段階に入っておりますが、地元の住民の要望とは違って、線路を高架化するという方向で進んでいますけれども、これを地元住民の要望に沿って地下化をするならば、埼京線の地上に大きな、いわば延焼遮断帯の機能を持つグリーンロードがつくれるじゃないかということが地元の大きな要望として出されていると。

 東京都に私、文書質問でこの趣旨のことを問い合わせましたら、その間の百メートルぐらいのところについては、補助七三号線が延焼遮断効果があるんだという趣旨のお答えがありました。しかし、補助七三号線のすぐ東側にある十条銀座商店街自体が延焼遮断効果を持っているということを私、調べてわかりました。商店街ですから、商業地域であり、両側は当然防火、準防火の建築規制が既にかかっております。今回、七メーター以上という高さ規制がかかるわけですね。

 しかも、商店街はアーケードを持っており、このアーケードには連結送水管が通っていて、消防車が中に入らなくても外側から圧送で商店街のどの場所からも放水で消火ができるという設備があるわけで、そういう意味ではかなり強力な延焼遮断効果を持つ商店街の−−いわばお金もかけて、そういう施設もつくってきているわけです。

 したがって、補助七三号線というのが防災機能、とりわけ延焼遮断効果にとって不可欠な道路であるという都の考え方は、私は、既に地元の状況には合っていないということを申し上げたいと思います。

 こうしたまちの歴史や文化、そして何よりもにぎわいやコミュニティを壊すやり方ではなく、例えば防災という点では墨田区の路地尊のような、こうした地域でのさまざまな手法での防災力向上の道があるというふうに考えますし、また補助七三号線の事業認可に対しては、これは国の方ですけれども、既に住民からの不服審査請求が出され、これから意見開陳の日程を決めようとしている段階で、その後、裁判闘争になる可能性は高いと思います。これに対抗して都が既成事実づくりを急いでいるとすれば、これはいかにもこそくなやり方といわなければなりません。

 補助七三号線の沿道規制は、本体である道路計画そのものから根本的な見直しを求めておきたいと思います。

 次に、もう一点、北青山三丁目の地区計画について質問したいと思います。

 現在は青山北町都営住宅として、五百八十六戸の住宅のうち、約三百戸が居住している、半分ぐらいは空き家になっているという都営住宅の建てかえ事業で、今回一期目として、敷地の南半分の建物について、居住者を港区内または新宿区などの団地に移転させて取り壊し、一期目の敷地の、そのまた半分を使って、団地の現居住者分ということで、約三百戸の二十階建ての都営住宅を建てる。残り半分には民間の十九階の集合住宅などを建設すると聞いております。

 そうしますと、今後、二期目の建てかえ事業については、少なくとも都営住宅ではなく、民間の開発になっていくのかなというふうに思われます。そこで、開発地域の青山北町都営住宅の現状についてお聞きしたいのですが、説明会の資料を見ますと、このアパートは建設から五十年経過して、建てかえ地域の世帯人数は半分以上がひとり暮らし、高齢化率は八割以上とも聞いております。平均的な住宅の標準家賃は三万数千円だということですが、近傍同種家賃ということになると、その三倍以上ということで、地域の年金暮らしの方にとっては、ほかに住みようがないというぐらい貴重な都営団地ということになります。

 にもかかわらず、この間、二十年間、恐らくそれ以上、募集をかけていないために半分が空き家になっているという状況で、一方で、港区内のほかの都営住宅への応募倍率は非常に高い。何年か前ですか、雑誌で一千倍を超える高倍率ということで話題になったこともあるぐらいですので、居住者にとっても住み続けたいという要望が多く、また都営住宅のそういう階層の都民にも非常に人気があるというか、要望が強いという、こうした声に応える計画が必要じゃないか。

 少なくとも従前戸数を確保することは、この計画の第一の条件としなければならないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

〇上野技監 北青山三丁目地区につきましては、日本を代表する商業集積地である表参道に近接し、周辺には文化施設等が集積しているという立地特性を踏まえ、東京都長期ビジョンに基づきまして、都営住宅の建てかえを契機とし、土地の有効高度利用を図りながら東京の活力を高め、国際競争力の一層の強化に寄与するにぎわいと魅力のある複合市街地の形成を図ることとしております。

 この将来像の実現のために必要な内容を今回の地区計画に位置づけするものでございます。

〇曽根委員 先ほども説明のあった開発の意義といいますか、都の方で考えた目標をお話しになりましたが、しかし地元の、今住んでいる高齢者を初めとする都営住宅居住者の要望をきちんと受けとめてほしい、要望にできるだけ応えてほしいということは、地元の港区からも要望が出ているはずです。

 特に高齢者の要望では、超高層はなるべく避けてほしい、住みたくないという要望が強いわけですが、私も地元で桐ヶ丘という大団地の建てかえの際に、超高層、最初三十階建てという計画が出ましたときに、希望をとったら誰も超高層の三十階建てに行きたくないという声が高く、二十階を切る高さに、最終的には改善されました。

 今回もこの都営住宅、青山北町団地の敷地を有効に活用すれば、できるだけ高層化を避けながら従前戸数を確保できる方法は設計上十分可能だと思いますが、そういう点ではいかがでしょうか。

〇上野技監 東京都長期ビジョンにおきましては、同地区におきましては、都営住宅を建てかえ、高層集約化するとともに、創出される用地を生かし、青山通り沿道との一体的なまちづくりを進め、最先端の文化、流行の発信拠点の形成を図ることとしております。

 この方針を踏まえまして、北青山三丁目地区まちづくりプロジェクトの事業実施方針におきまして、都営住宅の建てかえに当たっては、現世帯数に相当する約三百戸を整備することとしております。これらを踏まえ、当地区における望ましい将来像を実現するため、今回、北青山三丁目地区地区計画を定めることとしております。

〇曽根委員 現世帯の三百戸を確保すればよいと。それで、現在の設計どおりということですが、これははっきりいいまして、青山通りとの一体の開発といっても、民間ディベロッパーの発想ではないか。ここは都有地であって、極めて貴重な都心の公共用地ですので、これをひたすら民間ディベロッパーの発想で、それを中心に開発してしまうと、高齢者でも誰でも超高層に住まわせるのが効率的で当たり前だということになってしまいます。

 しかし、都民のために活用すべき都心の都有地を、しかも八割が高齢者という公共住宅の現状を踏まえれば、現在の都有地の広さを生かして、できるだけ従前戸数の確保とともに高層化を避けるまちづくりは可能だし、私はやるべきだと思います。

 その点で、港区からも、この計画については、第一には従前戸数の確保を求めて要望が出されているんじゃないかと思いますが、どうか。

 それから、高齢化した居住者への対策として、そこから生まれた都有地を活用して、例えば在宅介護ができる新しい住宅のスペース、サービス付き高齢者住宅の整備、シルバーピアなどの配置など、区から要望が出ているんじゃないかと。また、居住者の不安を解消するための具体的な対策をという要望も出ていると思いますが、これらについての対応はいかがでしょうか。

〇上野技監 地元の港区から要望がございましたことは承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、当地区におきましては、東京都長期ビジョンに基づきまして、北青山三丁目地区まちづくりプロジェクトの事業実施方針により、都営住宅につきましては現世帯数に相当する約三百戸を整備することとしております。
 また、導入機能につきましては、今回の地区計画の土地利用の方針におきまして、都営住宅の建てかえや、保育園等の子育て支援施設を導入するほか、質の高い民間開発の誘導により、都心居住施設やサービス付き高齢者向け住宅など、多様なライフスタイルに適合した居住環境の整備を図ることとしております。

 また、居住者への不安に関する港区のお話ですけれども、その件につきましては、都営住宅の建てかえ事業に関するものでございまして、建てかえに当たっては適切に居住者への対応がなされることとなります。

〇曽根委員 地元の住民はもちろんですが、地元の区の要望を、非常に重要な要望を出しているにもかかわらず、このまちづくりプロジェクトの方針の中で、はっきりいえば、ほとんど生かされていない、反映されていないといわざるを得ないんです。私、港区の区政については、我が党もいろいろ意見があって、野党の立場ですけれども、東京都の方針に比べれば、区の方が真っ当な住民の立場で物をいっていますよ。例えば都営住宅の建てかえだって、相談窓口をつくってくださいよということまで区はいっているんです。やっていますとおっしゃいますけど、窓口をつくっているわけじゃないし、それから従前戸数を確保するということは、私どもの地元の北区などでは当たり前のこととして、桐ヶ丘団地などは従前戸数がほぼ確保されてきているんです。

 なぜか都心だけ、二十年も募集をとめておいて、半分ぐらいに住民を減らしておいて、その数だけはつくりますよ、残り半分は民間にと。こういうやり方になっているということです。地元の区政でさえ心配しているわけですから、やはりここは改めて、これは十一月の末に出されているわけです。東京都の方針に対して区が具体的に要望を出しているので、これに少なくとも応えるのが都の役割じゃないかと思います。

 それで、実際に、民間に今回半分建設を委ねるわけですが、そこでつくられる集合住宅の家賃もしくは住宅費ですね、これは一体どれぐらいのレベルになるのかということは見通しを持っておられるのでしょうか。

〇上野技監 ただいまいただきましたご質問につきましては、本件地区計画に関する質疑にはなじまないため、お答えは控えさせていただきます。

〇曽根委員 なじまないということは絶対ないと思いますが、なぜ答えたくないのかというと、既に港区ではほかの都営団地の跡地を、建てかえて残った跡地を民間に開発させて、大変な家賃になっているわけでしょう。

 例えばパークアクシス青山一丁目、これは青山一丁目都営住宅の跡地ですけど、ここは三井不動産ですか、ここは月額賃料、最低でも三十万五千円、一番高いものは二百三十六万円ですよね。月額ですよ、これ。こういう高額家賃の、都の幹部職員でもなかなか住めないんじゃないかと私は勝手に想像しますけれども、そういう建物になり、第二弾のパークアクシスプレミア南青山もほぼ同じ七十平方メートルぐらいのファミリータイプの部屋で四十四万円から五十九万円という非常に高額の家賃になってしまっていると。

 東京都の貴重な都有地であり、都営住宅として、年金生活の収入の方にはもう都心ではなくてはならない公共用地が−−建てかえは従前戸数ではなく従前居住者、しかも残った土地は、このように公共用地としては破格の民間住宅の家賃にはね上がってしまうようなつくり方という点では、これまでは都心区ではそれは当たり前だというふうに見られていたかもしれませんが、やはりここまで来ると、本当に都心は庶民は住めないぞ、出ていってくださいといわんばかりの開発になっているじゃないかと、こういう現実がありますので、ここで大きくストップをかけて、住み続けられる、都営住宅も含めた、少なくともコミュニティが維持できるだけの、新しく入居者が入れるような団地の今後の維持存続も行っていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。



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