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2003年1月30日文教委員会
大学・生活文化局請願・陳情審査
昼夜間開講の堅持、私学助成の充実

●非常勤講師組合の陳情で、夜の講義を要望

〇曽根委員 首都圏大学非常勤講師組合、この団体からは、昨年もたしか短大の問題なども含めた陳情が出されていたと思います。そのときに、これは2の項目にかかわることなんですが、非常勤講師の労働組合としてつくられている団体なので、当然、雇用主側の大学側が労働条件に関する交渉には応じることが法的には求められるんじゃないかということで、ちょっとやりとりはありましたけれども、交渉には応ずるというお話でした。
 これ、一点確認をしておきたいんですが、その後、この講師組合との交渉は行われているということでよろしいんですね。
〇飯塚管理部長 非常勤講師組合との交渉はたびたび行ってございます。
〇曽根委員 その中で、この項目では、非常勤講師の雇用継続、それから労働条件の維持改善というのが要望で、議会にもぜひ応援してほしいということだと思います。
 私、昨年は夜間の授業を見学させていただいたりしながら、夜間というのは、授業を受ける側も教員の側も、なかなか厳しい条件の中で教育が行われているわけですが、にもかかわらず大変熱心な授業が行われ、また、七割方、八割方の学生がちゃんと授業を聞きにきているという点では、昼間の一部の授業よりもむしろより熱心であるというような印象を受けました。
 そういう点では、こういう仕事に携わっている非常勤講師の雇用を安定させるということは、大学教育にとっても大きな役割、意味があるというふうに考えますので、この点はぜひ、交渉を通じても当局側の努力をお願いしておきたいと思います。
 今回、1の項目が新しいといいますか、女性を中心とした社会人が働きながら学ぶことができる昼夜開講制を採用してほしいという要望が出されております。女性を中心としたというふうにわざわざ書き込んでおられるのは、私が見学したときも、受講者の半分以上が女性で、しかも年齢の幅もいろいろありまして、働いている方もいるんでしょうけれども、家庭におられる方もいるかもしれない。いろんな意味での女性の多様な生活や仕事に対応した大学教育のあり方ということで、単純に夜間ということでなくて、ここには昼夜開講制の採用ということが要望されています。
 今のご説明ですと、管理部長のお話では、昼夜開講制は、いわゆる夜間のみで卒業できる教育課程を用意するという点では、新大学での導入は予定していないというお話でした。夜間のみで卒業できるという意味では、夜間課程ということになります。しかし、この要望は昼夜開講制ということを求めているので、もう少し幅広い、多様なあり方があり得るのかなというふうに思います。
 それで、ちょっと今の全体の傾向をお聞きしておきたいんですが、私立大学でも昼夜開講制を採用する大学が、この間、割とふえてきているというふうにお聞きしているんですが、どのように把握しておられるでしょうか。
〇菊地改革推進担当部長 全体の状況についてご説明申し上げますが、文部科学省の調査によりますと、専ら夜間に教育を行う大学の状況といたしましては、夜間大学院を持つ大学数は増加している一方で、夜間学部は減少していまして、夜間学部数は全体で、平成七年度、百二十一だったものが、平成十三年度は八十となっています。
 また、昼夜開講制を採用している学部を持つ大学数は、平成八年度に三十八大学だったものが、この十二年度では六十八大学と増加しています。この増加につきましては、国公立大学では大きな変動がない中で、特に私立大学における増加が顕著でございまして、これは、私立大学が夜間学部を廃止する一方で、昼夜開講制を採用する傾向にあるためであると考えられます。
 都といたしましては、限りある資源を、夜間の大学院教育など都民のニーズの高い分野に振り向けていくため、夜間課程を置くことと同様である昼夜開講制については、新大学において導入することは考えていないところでございます。
〇曽根委員 私も、私学で昼夜開講制がふえているというのは今まで余り聞いたことがなかったので、中教審の資料を取り寄せてみたんですね。ちょっと拡大してきたんですが、これは、中教審の答申から直接拡大してコピーしたものですけれども、確かに国立大学は、平成八年度二十六から平成十二年度二十七と、一校しかふえていない。公立が平成八年度ゼロになっているんですね。平成十二年度が三になっている。それに対して、私学が十二から三十八と、三倍以上にふえているわけですよね。
 ちょっと興味深いのは、平成八年度に公立大学で昼夜開講制がゼロということは、都立大が入っていないということになりますね、ゼロですから。つまり、国の整理では、都立大学は夜間を主とする大学というふうに整理されているわけですね。しかし、実際の機能としては、都立大学の学生で夜間だけで卒業する人はごくわずかで、実際は昼間部の授業も受けながら卒業できるという制度を活用しているわけですね、皆さん、大半の方が。そういう意味では、ある意味、機能はここは混在しているんじゃないかなと。公立大学の中にある都立大学も、昼夜開講制の役割も最近はより多く持つように実質はなってきているというふうにいえると思うんです。それに対して私学は一層ふえているということ、これをどう見るかということなんです。私立大学は経営のことを絶えず考えておりますので、つまり需要がないところには授業はつくらないわけで、開講しないわけですから、恐らく大都市東京なども含めて、昼夜開講制を求める四年制の学生の需要はある、ふえてきているということが、この私学の十二から三十八大学にふえてきたことに反映されていると思うんです。この点は、認識、一致していると思うんですね。
 問題は、都立大学は今後、独立法人化を考えておられるわけですが、いずれにしても、新しい時代に見合った大学になるに当たって、いつも管理本部がおっしゃるのは、都民に喜ばれる、都民に求められる大学ということですね。その点は、私たちも大きな意味では同じなんです。東京で、私立大学がこうやって講座を開く傾向が強まっているぐらい昼夜開講制が需要が高まっていることが、現実にこういうふうに数字にあらわれているとすれば、都立大学は都民のニーズにこたえるという点で、今考えていないというお話でしたが、客観的に見て、都民のニーズがこういうふうに大きく広がっているのであれば、考えてしかるべきじゃないか、自然に考えればそういうふうになると思うんですが、この点はいかがでしょうか。
〇菊地改革推進担当部長 ただいまの、都民に喜ばれる大学ということで、都民のニーズにより適した大学、限られた資源の中でそういうものを追求していくわけでございますが、多様な履修形態といたしましては、昼夜開講だけではなく、さまざまな長期履修制度ですとか、また学部レベルよりも大学院レベルのニーズであるとか、そういう社会的メニュー全体を勘案いたしまして、今回のような選択をしているわけでございます。
〇曽根委員 あとは水かけ論にいつもなるので、意見にしておきますけれども、私は、パートタイマー学生制度、こういう制度も、いろんな運用の仕方によって限りなく昼夜開講制、例えば国の統計でとれば、昼夜開講制という扱いになる可能性だってあると思うんですよね。この三つのパターンで、夜間か、昼間部か、昼夜開講かという三つのパターンどれに入るのかといえば、パートタイマー学生制度もどちらかといえば昼夜開講に当たるのかもしれない。そういう意味では多様な形を当然考えて、名前にこだわらないでもらいたいということが一つです。
 それから、先ほどいいませんでしたが、何といっても私学については、国立、公立大学の二倍もしくはそれ以上の学費がかかるというのが平均的な現状です。学生の中には、不況の中で非常に家庭も厳しい、仕送りもなかなか、増額はもちろん、減額という事態だって起きている。学生も昔は遊びの費用をアルバイトで稼いだが、今は生活や授業、勉学のための費用まで自分で稼がなきゃならないという学生がふえている傾向にあるとさえ聞いています。そういう点でいえば、学費負担のまだ相対的に少ない国公立大学がこういう学生のニーズにこたえるのは当然であるという点で、昼夜開講制を導入してほしいというのは、大きな意味で大学として積極的にとらえてほしいということを要望して、質問を終わります。
 以上です。

●私立幼稚園の父母負担の軽減を

〇曽根委員 私学助成全般にわたる四つの請願について、今、一括しての説明があったんですが、この間、予算の検討の中で、局が求めてきた障害児対応の予算の増額と、今お話のあった防災などの耐震診断補強について、復活でついてきたと。耐震補強の方は局が求めなかった、たしか復活要求しなかったと思いますが、知事の方でつけたという点では、やっぱり私学関係者のこの間の努力が大きく影響したんだなというふうに思うんです。
 しかし、私、昨年、これはやっぱり請願関連もあって申し上げたんですけれども、全体として私学助成は、まだまだ実質二分の一補助にはなっていない。標準的運営費といいますが、実際に都立高校や公立の小中学校などに比べて、そこにかかっている費用の二分の一にも届いていない。むしろ実質は四割から三割台へと下がってきているという実態については、昨年明らかにしまして、実質二分の一に近づける努力というのをお願いしたところです。
 そういう観点から、どうしても後退をしている問題について絞ってお伺いしたいんですが、一つは、私学助成を進める都民の会の方々から、私立幼稚園についての請願で、一番に掲げております、私立幼稚園保護者負担軽減補助の補助対象枠を広げ、補助単価を増額してほしいと。現在の状況の説明を見ると、保護者の所得に応じた補助事業として実施し、所得制限を維持しているというふうに、現状維持かのような説明に見えますが、実際には、今年度から来年度にかけて、大幅な負担の増額が所得階層に応じてやられているということになるわけです。で、来年度は二年目になるわけです。この二年間で、どういう内容で負担の変更が行われるのか、その中身について紹介をしていただきたい。

〇中澤私学部長 私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助事業についてでございます。平成十三年度に行った見直しの内容でありますけれども、従前の生活保護、住民税所得割非課税世帯と、標準世帯の年収でおおむね七百三十万円までの世帯の二区分を、生活保護、住民税所得割非課税世帯と、おおむね年収三百六十万円まで、そして六百八十万円まで、七百三十万円までの四区分といたしまして、所得状況に応じた補助制度といたしました。
 なお、保護者の経済的負担を考慮いたしまして、実施に当たっては経過措置を設けましたほか、同一世帯から同時に私立幼稚園等に在籍をしています第二子以降の幼児につきましては、従来の補助水準を維持したところでございます。

〇曽根委員 この見直しの影響なんですけれども、今年度においてはどれぐらいの人数とどれぐらいの額の負担増が影響しているのか、来年度はどうなるのか、教えてください。

〇中澤私学部長 見直しによります平成十四年度の影響額でございますが、約九億六千万円でございます。経過措置の終了によります平成十五年度の影響額は約二億円と見込んでおります。
 また、影響を受ける人数は、平成十四年度で補助単価を見直した第一子の幼児を持つ標準世帯の年収で、おおむね三百六十万円を超え七百三十万円以下の世帯の該当幼児数は、約七万九千七百人であります。また、経過措置が終了する平成十五年度は、おおむね六百八十万円を超えて七百三十万円以下の世帯が影響を受け、その該当幼児数は約一万五千六百人と見込んでおります。

〇曽根委員 今年度が人数が大きいわけですね、七万九千七百人。来年度は一万五千六百人。これを合計すると約九万五千三百人、こういう人数になりますが、この保護者負担軽減事業費補助の対象人数、これは来年度主要事業の原案の中に人数が出ているんですけれども、全体でも十万二千六百四十六人ですから、二年かけて九割方の方が負担増になるということになりますね。
 ですから、所得階層に配慮したというけれども、大半の方は負担増になるという事実なわけですよ。それを免れている方は一割程度で、恐らく生活保護か、それに近い方でしょう。七百三十万円といえば、一般的勤労者の平均所得程度ですから、十万人近いそれ以下の方々に対してさえ、こうした負担増をかけるというのは、このご時勢で、若い、子どもさんがまだ小さい夫婦にとって非常に重いということはよくわかっていると思うんですが、私学助成、ほかの分野は曲がりなりにも前進が多いんですけど、この私立幼稚園の保護者負担だけ、があっときているんですよね。これはどうしても、全体の公平性という点でも納得いかないなと思うんですが、この影響についてはどう受けとめておられますか。

〇中澤私学部長 最初に、今、委員ご指摘で、十万人に対して、合わせれば九万人だから、九割だとおっしゃいましたが、十四年度の影響を受けた七万九千七百人、その中で十五年度は一万五千六百人でございますから、足すのではありませんで、あくまでも七万九千七百人でございまして、そういう意味では影響は八割を切っている、七〇%台だ、こういうふうに思っております。
 これをどう考えるかということでございますが、平成十三年度に行った私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の見直しは、東京都の私立幼稚園の保育料に対する公費負担率が、政令指定都市の中で最も高く、その結果として保護者の実負担額は全国でも低い水準に位置していること、生活保護、住民税所得割非課税世帯以外で、標準世帯の年収おおむね七百三十万までの世帯が同額の補助単価となっておりまして、所得に応じた負担となっていないこと、そして、私立幼稚園における預かり保育の充実など、都民の新たな保育ニーズにこたえた施策の展開が求められていることから、見直しを行ったものでございます。

〇曽根委員 都は、こういうところに限って全国との比較をよくやるんですけれども、自分の都合の悪いのは余り全国比較しないんですよ。去年私もやったけれども、千葉、埼玉、神奈川なんかと比べて東京は私学が多いわけですね。その分、公立の教育費は随分助かっているわけですよ。私、正しいかどうかはともかくとして、いろいろ計算して、局にもよく調べてもらいたいんですけど、一千億ぐらい違うと思う。その分私学に負担してもらって、公立は浮いているわけですよ。そういうことも考えれば、全国比較というなら、私学助成に全体としてもっと力を入れるということがあっていいわけなんですよ。
 こういうところだけ全国比較をしながら、東京は割と負担が軽いんだとおっしゃいますけど、東京の生活と地方の生活では、実質的な暮らしの負担というのは大きな違いが実際にあるんです。それはもう生活費や家賃や、全体にやっぱり高いわけですよ。そういうことをぜひ配慮しなければならないというふうに思うのと、最近、私立幼稚園は生き残りをかけて頑張っていますけれども、公立幼稚園は、私のいる北区も含めて次々と廃園しているわけです。つまり、幼稚園は、もう選択の余地なく私立を選ばざるを得ないんですね。したがって、父母は、公立に比べてはるかに高い負担をやっぱり負わざるを得ないんですよ。
 そういう中で、父母負担軽減、今まで大変喜ばれている、幼稚園関係で一番喜ばれているこの制度、直接の父母への補助ですから、これが切られていくというのは何とも情けないなというふうに思いますので、これは改めて充実方を求めておきたいと思うんです。
 もう一つなんですけれども、私立幼稚園障害児教育事業費補助という事業がありますよね。これを増額してほしいという要望が、この五項目めに入っているんですが、これは恐らく、この事業とあわせて養護学校の方の何か経費も、もう一つの事業が入っているんじゃないかと思うんですけど、対象の人数としては、幼稚園の障害児に対する補助が、何人ぐらいの子どもさんに対応になっているのか。そして、この間の経過もあわせてお聞きしますけど、増額をずっとしてきたんじゃないかと思うんですが、ことしから来年にかけては何か据え置きというふうな話を聞いているんですが、いかがでしょう。

〇中澤私学部長 まず、幼稚園の障害児に対する補助対象人数等でございますけれども、平成十三年度の実績で申し上げますと、盲・聾・養護学校等経常費補助金につきましては、五十八園、三百人、障害児教育事業費につきましては、百十三園、二百七人、幼稚園障害児全体では百七十一園、五百七人に対して補助を行っております。
 そして、その補助単価のお話でございますけれども、障害児教育事業費補助の補助単価につきましては、盲・聾・養護学校等経常費補助の国庫補助単価と同額に設定をしております。平成十年度の単価は三十八万円でございまして、平成十四年度には単価三十九万二千円と、毎年増額をしております。なお、平成十五年度は平成十四年度と同額の予算単価となっております。

〇曽根委員 対象の人数そのものも限られている。それにしても五百人以上いるわけで、障害児を抱えた家庭が、障害児施策についても最近大変大きな削減の中にいるということを考慮して、これは予算案の中身になりますので、また別の機会に審議したいと思いますが、ぜひ増額の努力をしていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 全体として、私立幼稚園も含めて私学助成は、請願の中にもありますが、家計急変や家庭の事情で勉学を断念せざるを得ない子どもが出ないようにということは、共通の願いだと思うんですね。しかし、今非常に厳しいです。そういう点では、もちろん三分の二補助という制度ができて非常に喜ばれてはいるんですけれども、使っている学校がまだ三分の一程度しかないということですから、残り三分の二の学校に通っている生徒さんにも−−東京都の、家計急変、家計の悪化によって学校断念で泣かなくて済むような、直接補助という要望がありますけれども、こういったこともぜひ検討していただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わります。

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