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2003年9月29日文教委・新大学構想報告への質疑

都民や大学が全くあずかり知らぬ乱暴な構想は白紙撤回を!!大学改革は都民参加と公開の場で、一からやり直せ

○曽根委員 それでは私からも何点か新大学構想について質問いたしますが、確かにダブっている部分はありますので、その点も考慮しながら進めたいと思います。
 しかし、それにしても八月一日に発表された新大学構想については、各委員からも指摘があったように、非常に唐突というよりも、内容はもちろんですが、手続上も各方面に大きな衝撃を与えるものであったということは事実だと思うんです。
 大綱路線についても、事実上、全面変更というふうにいわざるを得ないと思います。
 また、設立準備委員会もこれを機に廃止をされ、全く別の組織で新しく今後の準備が行われることになった。また、新構想を準備した組織も、設立準備委員会と全く別の組織が、しかも非公開で行っていたということも明らかになってきました。
 これに対して、先ほど紹介があったように教職員組合はもちろんですが、現学長さんや、また学生、OBの方々などからも大きな批判の声が上がっておりまして、私のところにも、新潟だとか北海道とか都立大学の卒業生の方から心配してメールが届いております。
 一体大学はどうなるんだということであります。
 昨日は三百人近い参加者で緊急のシンポジウムも行われ、大学管理本部に対する公開質問状も決議されたと聞いております。
 そこで、この議会として明らかにできることはきょう明らかにしておきたいんですが、まず、新構想策定のいきさつについて、先ほども質問ありましたが、私、資料でもお願いして、だれがいつどこで策定したのかというふうに資料をお願いしたらこの資料が出てきたんですが、これでは全く具体的なことわからないと思うんです。

 まず、検討会というもののメンバーなんですけれども、これはどういうメンバーが入っていたのか。西澤さんはわかりました。それから、前学長、総長がいたと。そのほかにどういう方が入っていたか、具体的に名前と肩書を教えてください。

○大村参事 今回の新大学の教育研究に関する検討会につきましては、座長を岩手県立大学の西澤学長が務められまして、都立の大学のOBといたしまして、もとの都立大学の総長さんと、科学技術大学の学長さんが入ってございます。あとそれ以外に国立大学の大学院であります日文研というところの教授をされております川勝平太先生、また、慶応大学の冨田勝先生が入られまして、これらの検討を行ったところでございます。

○曽根委員 このメンバーというのはどこかで公表されていましたか、これまで。今回初めて、具体的な名前が出るのはここが初めてなんですか。

○大村参事 議会にご報告とか、あるいはプレス発表したという形での公表はしてございませんが、特に聞かれれば一応いろいろご説明をしてきたという部分がございます。

○曽根委員 私、「聞かれれば」っておっしゃるから申し上げるんですけどね、促進派かと誤解されかねないくらい、繰り返し私は、この委員会で、大学改革はどうなっているんだ、大綱に基づく新しい入試要綱、学生定員なんていつ出るんだということを繰り返しお聞きして、確かに去年の十一月くらいに一定の学部コースその他が出ましたが、最終的に発表されたものは全く違うものが出たわけです。
 そうしたら、実は五月から別の組織で検討していたと。この五人のメンバーで。これは、私自身が、無関心だったら別ですけれども、これだけ関心を持って、私は非常に批判的な立場ではありますけれども、受験をする・・先ほどお話しあったように、再来年の春には受験する学生にとっては、やっぱり新しいものが、もちろんいいもので決まるのが一番いいんですが、はっきりしないと、都立大学そのものが受験の中で見放されてしまうんじゃないかということを申し上げたと思うんです。
 それが、全く発表もせずこういうメンバーでやっていたということ自体が、この委員会に対しても、私自身の質問に対してもちやんと誠実に答えてこなかったということの一つの具体的な証だと思うんです。

 それから、先ほど知事の所信表明の話があったんですが、そうすると、二定の六月末に行った知事の所信表明にある、現在、専門家による検討会でというふうにあるのは、設立準備委員会ではなくて、この五人のメンバーの検討会を指していたわけですか。

○大村参事 第二回定例会の所信表明で、知事が述べておる専門家による検討会というのは、先ほどご説明いたしました東京都大学運営諮問会議のもとに専門委員会として置かれました新大学の教育研究に関する検討会を指してございまして、専門家というのはそのメンバーの外部の先生方のことを指してございます。

○曽根委員 これはほんとに人を食った話であって、私、これ、所信表明ね、てっきり設立準備委員会だと思いますよ。だって、その前提、何も書いてないんですから。
 しかし、今になってみればですよ、全く新しい大学とかいうふうに書いてあるのを見ると、ああ、そうかと・・。
 これって、ちょっとね、私たちもほんとにこけにされたなって感じですよ。
 もしかしたらだれかにこっそり伝わっていたのかもしれませんが、少なくとも私には全くこういう公式な場で説明をされていないということなんです。

 一番この矛盾をかぶったのは設立準備委員会の方々だと思いますが、つまり、私が聞くところでは七月末までに大変な莫大な量の事務量をこなして、各学部学科の学生定員から、どの先生をはめ込むかまでほぼ決まってきていたと。それが一夜にしてひっくり返ったと。
もし、五月につくられて、六月には知事も所信表明でこのことに触れていたとするならば、当然、大学大綱に基づく具体化はその時点でストップをしてやらなきゃならぬということになるのが必然だと思うんですが、それ自体いいことかどうかは別にしてですよ、そういうふうになるのが手続上の当然の手順だと思うんですが、なぜそれをしないで七月末まで放っておいたんですか、設立準備委員会を。

○大村参事 今回の構想は、大学改革大綱そのものを全部見直すというものではなくて、大学改革大綱のうち、それ以降の社会情勢の変化に応じたところについての見直しを図った。
 また、それ以降、大学改革大綱以降に検討した部分について、もう一度社会の変化に合わせた見直しを行ったところでございます。
 準備委員会の方でいろいろ検討してきた内容のうち、幾つかの部分は必要に応じて今後の検討にも有効に活用されるものでございまして、これにつきましてはそういう形で方向転換を図る中で有用なものについて取り入れていくという形でございます。

○曽根委員 それじゃ少なくとも学部構成は全く変わるわけですよね。これからですよね、この構成は。
 したがって、学部構成に学生定員をどう割り振って、それから先生方をどう配置するかということは、少なくともこれを今日の社会情勢に合わせて大きく変えていくというふうにしたからには、その時点でストップしなきゃおかしいと思うんですけれども、学部構成を大きく変えなきゃならぬと検討会の中でなったのはいつで、それで、その時点でなぜ設立準備委員会の過程ですり合わせをしなかったんですか。

○大村参事 今回の検討会、新大学の教育研究に関する検討会でいろいろご議論いただいた上に、検討会での議論を踏まえて八月一日に知事が発表した構想として決定したものでございますので、その時点で学部構成などについて見直しがまとまりました。
 したがって、その時点で作業をストップさせたところでございます。

○曽根委員 そうすると、あくまで七月未までの二か月間は、内々の検討過程であって、固まったのは八月一日の発表直前と・・・。
 それで、その時点で設立準備委員会の作業をとめたということになるわけですね。直前と。発表直前と。

○大村参事 七月までの教育研究に関する検討会の検討を踏まえまして、八月一日に知事として発表いたしましたので、その時点で作業をとめて新しい方向への作業転換を図るための準備組織を立ち上げました。

○曽根委員 私たちにとっては、五人のメンバーも今聞いたばっかりですし、二か月間の検討期間がどれそらいの、何回くらい会議を開いてどうやったのか、全く私たちは知りませんから、はっきりいって表に出た八月一日しかわからないわけです。
 そして、設立準備委員会にもその時点で作業をとめたと。それで新しい組織をつくったと。
 つまり、表に出た限りにおいては、まさに一夜にしてひっくり返ったという実態はそのままだというふうに考えざるを得ないと思うんです。

 私、二つの点で問題があると思うんですけれども、一つは、大学構想改革大綱というのは、東京都で石原知事が表書きを書いて正式に決めたものですよ、大綱として。それを、理念も含め、学部も構成もキャンパスも大学院も、全部、全面的に見直しをしたものを出しながら、その検討過程は全く秘密裏で、しかも、具体的に作業が進められていた前の大綱の具体化作業についても何らすり合わせをしていない。一夜にしてひっくり返ったという、このこと自体の手続問題、これははっきりいって関係者の首が飛ぶそらいの問題だと思うんですよね。

 もう一つは、設立準備委員会は (発言する者あり) これは大事なところですからね、大学の中の教員の人たちで構成するとなっているわけです、管理本部のメンバーとね。
 それが、外部の人を入れて、しかも別の計画をつくって、それを最初から八月一日にこれでいきますというふうになった。大学側の意向は何ら反映できる仕組みになっていなかったという二つの点で重大だと思うんです。

 それで、私、関係者のいろんな情報や教職員組合のニュースなどを見ますと、新しい山口管理本部長が出かけていって八月一日に説明をしたというふうになっていますね。
 その後何回か学長さんたちに話をしているようですけれども、設立準備委員会に参加してきた人たちのこれまでの具体化の努力や、反対や批判はあるけれども、やっぱりそこを受けてくる学生のためにいいものをということでいろいろなことを苦しみながらもやってきた作業を、これを反故にした責任について何らかの謝罪なり反省なりがあったのか、それともしなかったのか、どうなんでしょうか。

○大村参事 この大学改革推進大綱につきまして、これは、今回全部これを反故にしたということではございません。これ以降、社会経済情勢の変化に応じて、この中にある一部のものについては見直しをしました。
 また、キャンバス配置につきましては、ここには三つのキャンパスを学部、研究科で使うと書いてあったのが、その後の検討の中で南大沢に集中するというふうなことになったところを、都心も含めて東京全体に展開するというふうにしたものでございまして、この東京都大学改革大綱そのものを否定したとか、あるいはなくして全部改めたものではございません。
 そういう意味で、今回の構想策定につきましては、この大学改革大綱を取りまとめるに当たりまして、東京都大学運営諮問会議の諮問を受けて、東京都がそれを決めた。
 それを決めたのと同じ形で、東京都大学運営諮問会議の専門委員会として今回検討会を設けまして、そこの意見を聞いて、設置者である束京都が決めたというものでございまして、手続的に何ら問魔があるというふうには考えてございません。
 なお、これまでにいろいろご検討をいただいて、この大学改革大綱を具体化していくために、その中身については専門的な教職員の力が必要だということで準備組織としては教職員の方を中心にやっていただきましたけれども、それを設置者のほうで、この部分を変えてくださいという形で今回新しい組織を打ち立てたところでございます。
 なお、今後の検討の中ではこれまでのいろいろな検討の中で必要なものについて、かなり活用する部分があると思いますので、決してご検討いただいた部分はむだではなかったというふうに考えてございます。

○曽根委員 それは先ほどの答弁と同じなんですけれども、私が聞きたいのは、これは本部長ご自身にお答えいただいてもいいんですけれども、この間、学長さんを初めとする設立準備委員会の方々のこれまでの大綱そのものを具体化していく過程で、キャンパスが具体化されたり、学科の枚舎が決まったりしたのは大綱以降ですよね。
 そういう部分もありますよ。しかしそれは、もとの大綱に戻ったり、もしくは基本方針に戻ってやり直すということでしたんでしょう。
 したがって、その作業は、いわば大幅な見直しを迫られるわけで、そのことについては何らかの、やっぱり私はおわびが必要だと思うんですよね、やらせておいて。かなりの具体化が進んだ段階で大幅な変更になったんですから。そういうことをしたのか、それとも別のことをいったのか、その辺をお聞きしたいんです。

○大村参事 今回八月一日に新しい構想を発表するに当たりまして、四つの大学、短大の学長の先生をお呼びしまして、私どもの本部長がそれまでの経過と今後のものにつきまして詳しくご説明し、そして大学に、それぞれの大学に所属する教員の方を初めとする部分にご説明をいただくということでお願い申し上げたところでございます。

○曽根委員 この教職員組合のニュースによると、管理本部長は、反省とか謝罪はなかったということ。
 それから、新しい大学をつくるのは、いわば廃止される現大学のメンバーではなく、今の学長さんたちはどうするかというと、個人として新しい大学づくりには参
加してもらいたいと。
 なぜ参加してほしいかというと、あなた方は先生方のことをよく知っているから、新しい教員体制だとか学部体制をつくるには必要だと。しかしそれは現大の学長とか学部長とかいう資格ではなくて、肩書の上ではなくて、要するに個人として入ってほしいというふうにいったと聞いているんですが、それは事実ですか。

○大村参事 今回新しい大学をつくるものでございますので、そこの大学の教育の研究の責任者は学長でございますけれども、学長あるいはそれにかわる方が最終的に責任を負うというふうなことで、そういうふうなところの責任を負える方を中心に新しい大学を設計していく必要があるだろうということでございます。その過程で、新しく公募をする人材も含めますが、大部分の人材は都立の四つの大学、短大からの人材を得るというふうなことで、現在の大学でそのような人材に詳しい学長さん、学部長さん方に今回の検討に加わっていただくことに行ったものでございます。
そのような経緯からでございまして、あくまでも今の大学の学長や何かが新しい大学の責任を持つのではなくて、新しい大学の学長、責任者が新しい大学の教育研究に責任を持つものでございまして、そのような趣旨からそのような体制をとったものでございます。

○曽根委員 確認しておきたいんですけれども、要するに個人の資格で入ってほしいというふうに、そういう趣旨からおっしゃったわけですね。

○大村参事 個人というよりも、実際の各大学学部の人材についてわかっている学識経験者の一人として入っていただくということでございます。

○曽根委員 こういう説明に対して、各学部長や、それから学長さんたちが、自分たちはやっぱり学部の先生方のいろんな問題意識だとか不安を代表しているんだということから、即座には返答できないというふうな態度をとった方もいたと。今、そういうことを置きながらも、新しい大学づくりに参加をせざるを得ないというところに来ているわけですが、 しかし私はこういうやり方で押し切っていくということで、今大学にいる先生方が基本的
には新しい大学を構成するわけですから、学長さんがだれになるのかは知りませんが、少なくともこういうやり方できちんとした信頼関係や協力関係を結ぶことは不可能だということをこの際厳しくいっておきたい。申し上げておきたいと思うんですね。

 教育研究の体制をどう引き継そのかという問題でも、まだほとんど何も決まってないみたいですけれども、少なくとも確認しておきたいのは、現在の教職員の方々は、希望すれば新大学に移行して仕事をすることはできるというふうに思いますが、どうなのか。
 そして、その配置については、どのように決めて、本人に対してはどのように示されていくのかをお聞きします。

○宮下参事 現大学の教員が希望すれば新大学に移ることができるかどうか、可能かというご質問に対してでございますけれども、新しい大学の構想に賛同し、新しい大学で教育研究の向上に寄与しようという意欲のある教員の方々にはぜひとも参加して新しい大学に移っていただきたいと、このように考えているところでございます。

○大村参事 後段の配置についてのご質問の方に私の方からお答えさせていただきます。 新大学の部分につきましては、旧来の学問体系にとらわれない新しい学部体系になるということなので、教員の方の再配置が必要になってくるところでございます。
 これにつきましては、新しい大学の設計をするということで、学識経験者として入っていただいている都立の大学の教員の方の意見も聞きながら配置をしまして、それを決めた段階では現在の大学の学長さん、学部長さんを通じて、ご連絡をしてどのような配置になるか、それをもとに教育研究の今後のカリキュラムを展開するためにどういうふうにしていくかということで、各先生方にご協力をいただくという段取りにしていきたいと考えてございます。

○曽根委員 先ほど宮下さん、ご答弁になった中で、基本的には意欲のある先生方に入ってもらいたいと。
 ただ、新大学構想に同意し、積極的にこれに賛同するということを条件として付する、それに賛同できない人は入れないということにするということは、その先生方の(「同意しない者は入れるわけがないんだよ」と呼び、その他発言する者あり) いや、最終的に確定したものについては別ですよ。現在、構想段階ですから、この構想にはいろんな意見があるのは事実ですよね、先生方の中にね。
 それについて、全面的にこれに賛同しなければだめというようなことを今から条件づける必要はないと思うんですが、いかがですか。

○宮下参事 現在この構想をもとにどのような大学にしていくかと、細部にわたって設計をしているところでございまして、それをもとに、できました新しい大学に行きたいという方について、意欲があれば新しい大学で教員として働いていただきたいと、このように考えております。

○曽根委員 これは大学の先生に限らず、実際上は今の大学をベースにして新しいキャンパスにしても教職員にしても移行していくと。
 そのときに、いわばその先生方、働いている労働者でもありますね。そういう方の考え方、つまり思想の中身を条件にして採用を云々するということは、明らかに法的に問題があります。このことは厳しく指摘しておきたいと思います。

 構想が固まって、学長予定者も決まり、そして学部構成が完全に決まった後に、それに従えないという場合と違うんですよ、まだ。何も学長予定者だってまだ決まっていないんですからね。二年間準備してきた大綱だってひっくり返っちやったんですから、学部構成が。
 この先まだ何が起こるかわからない段階ですよね。そういう段階でのこういう条件づけは非常に問題があるというふうにいっておきたいと思うんです。

 それで私、新しい学部構成を見て、いろいろ意見がありますし、いいたいこともあるんですけれども、これはこれからのことなので……。
 ただ、ちょっとお聞きしたいんですけれども、新しく都市教養学部と都市環境学部に理工系は分かれるわけですよね。
 理工学系が都市教養学部には入りますが、一部、環境・物質化学が都市環境学部に入るということで、私よくわからないんですけれども、環境というのはわかるんですけど、物質化学というのはなんか大阪大に例があるようですけれど、どういう分野か……。
 今までの構想に全くなかったものなので、どういうものか、ちょっと、わかったら教えていただきたい。

○大村参事 現在、各学部の中の具体的なコース設定であるとかカリキュラムの内容につきましては、これを具体化するために教員の方、外部の専門家を含め、また大学の教員の方も入って検討してございます。その検討でこれを決めることになってございますので、具体的な内容につきましては、その検討を待っているところでございます。

○曽根委員 今まで先生方が検討してきた設立準備委員会の学科コースのどこを見ても物質化学というのは入ってないんだけれども、新しい概念でつくるんですよ、これね。
そうであるからには、恐らく検討会ですか、この五人の方の中でこういうものが必要だというふうになった議論があったと思うんだけれども、大体どういうふうなものを考えているのか、それそらい、もしわかれば教えてくださいよ。

○大村参事 具体的な中身については現在検討会で検討しておるところでございますが、この都市環境学部の、この前ご報告した学部構成の中の白い部分につきましては、現在ある都立大学や他の大学の関係分野を再編する形をベースにしたことと考えてございますので、全く新しい分野にいくということではございません。なお、前回ご報告の表のうちの黄色く塗ったコースについては全く新しい分野としてコース制を考えておるところでございます。

○曽根委員 今もお話にないので、恐らく詳しいことは検討会の方々のお考えだと思うんですけどね。
 これは理学、工学の現在の学問体系で、いわば学科体系ですね、できているものを二つに分けて都市教養と都市環境と二つに分離することがいいのかどうかという問題も、私は大きな問題としてあると思うんです、理学関係でね。
 それからもう一つは人文科学。それから法律経済。こちらの方も都市教養ということでくくられていますけど、どうなってしまうのかという声は各方面から聞いているわけです。
 これが本当に半世紀かかってつくられてきた都立大学のこれまでの知的財産を本当に継続発展していくものになるのか。
 それとも、逆に、大きな財産を崩壊させることになるのか。これは非常に重要な問題で、大学の本質問題ですから、慎重な検討が必要だと思います。
 しかし、もうスキームができ上がっていて、物質化学という、今、説明聞いてもなかなか出てこないような新しいものに分類をされることがもう決まっているわけですよね、講座の中で何人かの先生は。そういう形で上から計画をつくって先生方に、あなたこっちに行きなさい、あっちに行きなさいということが今やられつつあるようなんですけれども、私とんでもない話だと思っているんです。

 それぞれもう何十年も研究職を勤めて、また教育を務めてきた先生方のそれぞれの、いわばいろんな考え方を、そういうふうに聞いているとまどろこっしいと思ったんでしょうか、上から全部はめ込んでいくというやり方では絶対にいい大学の研究体制も教育体制もできないという点を申し上げておきたいと思うんです。

 これから、各学部の人数さえまだはっきりしないようですから、具体的なことはまた追って機会を見つけてただしていきたいと思います。
 先ほど学生の今後の身分保障といいますか、現学生の勉学保障については先ほど石川さんのご答弁でありましたので、それは結構です。
 最後に、年俸制や任期制を導入したい、決定したいというふうになっています。これは、すぐれた基礎研究の教員が腰を据えて教育研究に打ち込みたいと思うと、これは都立大学にはなかなかいにくくなるだろうなというふうに想像されます。

 例えばノーベル賞をとった小柴先生にしても、今回名誉都民になられましたが、これはまさに下積みの期間が十年くらいあって、やっとニュートリノを見つけた。それから、島津の田中さんにしても、ほんとにそれが成功するかどうかは非常に不明確な分野を担当していて、偶然と失敗から新しい境地が開けた。それから、日本ではなかなか基礎研究が評価されずに海外に出かけたときの研究でノーベル賞をとった方もいるなど、ノーベル賞をとった方々の書いたものを読むと、共通して、国際的なレベルの研究成果というものは一朝一夕にはできないと。長い下積みと、それからやっぱり偶然も必要という場合もあるというようなことを共通して語っているわけです。

 年俸制は、年々、年ごとに貸金が変わってくる可能性がある。それから任期制は、何年かで、任期を継続するか、雇用を継続するかどうか、切られていく。こういうやり方で本当にこうした国際レベルの研究者を育てることが果たしてできるのか。都立大を見限って、他の大学、または外国に流失しないのか、この点についてはいかがでしょうか。

○宮下参事 現在、大学の置かれております状況を見ますと、少子化の影響で今後、大学間の競争がますます激一化していくものと思われます。中には淘汰される大学も出てくるであろうというようなことがいわれております。こうした状況の中で、各大学は生き残りをかけまして優秀な教員の確保にしのぎを削るようになるのではないかと予想されているところでございます。
 そのため、意欲や能力のある教員のモチベーションを高め、インセンティブを与える制度、それから、成果を適正に評価し、処遇する人事制度が必要ということで、そうした観点から、任期制や年俸制の導入は不可欠、そのように考えております。
 先ほどお話のありました、ノーベル賞級の研究者という話がございましたけれども、そうした基礎研究におきましては確かに結果は短期間では出そうにない分野であろうと思われますが、そのプロセスの評価というのは可能であろうと思われます。小柴さんの研究にいたしましても、ニュートリノの発見に至るまでの過程は、カミオカンデをつくる、あれだけの施設をつくる、その前段では非常な予算がかかるわけですが、文科省からそうした予算を獲得してくる、こういういろんなプロセスがあったわけでございまして、そのプロセスを適正に評価していくということは可能であろうというふうに考えております。

○曽根委員 これまでの日本の大学もしくは研究機関では、辛うじて小柴さんのような成果を上げるまで辛抱強く予算をつけるというようなことは確かにありました。
 (テレビの)いろんな番組でも、一定の成果を上げるまでにどれだけ苦労して予算を獲得したかという話やなんかも番組になっています、今、ドキュメンタリーで。
 しかし、これからどうなるのか。モチベーションを引き上げるということを理由にして、年々やっぱり評価をされる、され直すという中で、果たして本当にそのプロセスが正しく評価される客観的な保証があるのかというと、私は現在のところそれは、国の方もいろいろやっていますけれども、東京都は独自の評価機関をつくるというふうになっていまして、全く未知数です。
 少なくとも今までよりは前年の成果が試される、具体的に評価の対象となることだけは間違いない。
 したがって、それを評価する人のいわばレベルによっては、せっかくの優秀な人材または研究者が、もっとましな、腰を据えて研究ができる海外や他の大学に流出してしまう危険性は非常に高くなるということは指摘せざるを得ないと思うんです。

 新しい理事長は知事が選任をするというふうにいっていますし、最初の学長はそういう意味では理事長が選任するという形をとるんでしょうが、私は、これはあくまで提案ですけれども、やっぱり理事長、学長をもし分離して決めるという場合についても、また独立行政法人になる、ならないはおくとしても、この大学を引っ張っていくリーダーを決める際には、現大学を支えているやっぱり全構成員の意見がきちんと民主的に反映される方法をとるべきだということは申し上げたいと思うんです。
 たとえ学外から幾人かの先生方を招き入れるとしても、圧倒的多数は現在の大学の構成員によって新大学はスタートをするわけです。
 どんな形であれ、そういう人でつくつている組織を上からぽんとだれか持ってきてそれでうまくいくというこのは絶対ないということは、これまで繰り返し失敗を重ねてきているわけですから、これは絶対に轍を踏んではならないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、新構想については、やはり基本方針まで立ち戻って大綱を事実上大幅手直しをしてやり直すという事態になったわけですね。私は、その原因の一つには、二年間、建会、文教委員会に何も報告しないで、それでこそこそこそこそ中でやってきた、そのプロセス自体が要因の一つだと思うんですよ。
 もっと本当にオープンに、正しい改革だというんであればオープンにして、都民の意見も聞き、それからシンポジウム、私も繰り返しいっているんだけれども、シンポジウムをどんどんやって、本当にいいものを、都民の参加でやり直すべきだということです。
 二〇〇五年度の新大学オープンを、私、こだわる必要は何もないと思うんです、そういう点では。
 本当にいい大学をつくるために、本当に仕切り直しでやるべきだということで、新構想は白紙撤回して再検討すべきだということを申し上げて、終わります。

○大村参事 今回の構想を取りまとめるに当たりましては、専門家の方に最先端のいろんな国際情勢も含めました学問、教育体系のことも含めましてお聞きし、また、その過程では、先ほど申しましたように学生を受け入れていただく企業の方、あるいは現在の学生さん、それ以外の各層からの意見を聞いたところのものとして今回の構想を取りまとめさせていただきました。
 そういう意味では、都民の意見その他も全く聞いていないということでなく、アンケート的にとるのが必ずしも意見を聞いたことになるとは限りませんので、私たち、そういう最先端の意見や学生の意見なども聞きながらやってきたところでございます。
 そういう中で、学生の意見などの中でも三点、特にカリキュラムの自由度をもっと自分の勉強したいことを勉強したい、それから就職はやはり一番今心配だ、キャンパスなんかはもっとまちの中にあるといいなんというふうなものを踏まえまして今回こういうふうなことをやってきたところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 なお、今後の検討につきましては、かなり教育的な、専門的な部分になりますので、そういう意味では一部の教員だけじゃなくて、今度の新しい大学という立場から、その資源となります現在の大学の先生たちにいろいろご協力をいただいてやるというふうなことで、そういう意味では、新しい大学に移る予定の各先生たちに自分の教科目やなんかを今度設計していただくというふうな形でお願いを申し上げることになると思いますので、そういうふうな形で進めていきたいと思っております。

○曽根委員 では、せっかくだから。そういうのをつまみ食いというんです。自分たちの都合のいいときだけ必要に応じて意見を聞く、先ほども答弁ありましたけれども、学生の意見なんかを。そういうのをつまみ食いというんで、私がいっているのは、やっぱり積極的に都民の意見をオープンにして聞くと。
 大綱をつくって以来、ホームページでさえ意見を受け付けてないんですから、本当に閉ざされた世界でやってきたんですよ。
 最後だから、せっかく山口さんになって初めての質問なんで、管理本部長、今まで二年間、よしあしはともかく、私、これだけしつこく聞いてきたんだけれども、何一つからそちら側から的に報告なかったんですよ。これからはまめに報告していただけますね。この一点だけちょっとお答えいただきたいんだけれども。

○山口大学管理本部長 曽根委員のご指摘がありましたけれども、どなたが反対しているのか、私は事実、よくわかりません。
 要は、都立大学だけが大学じゃありませんで、日野にある科学技術大学、それから荒川にある保健科学大学、それからこれから今廃止を目的にしている昭島にある短大、どの学長も賛同しています。それから、都立大学の各学部長、今回の構想に対して賛同を得まして、それで協力準備委員会という委員会を設けて作業をしております。ですから、曽根委員おっしゃいましたような、どの人のご意見なのか、私にはちょっと理解不可能でございます。
 それから、今、議会運営がありましたけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、都議会を含めまして、中期計画、中期目標の計画、それから運営交付金、議会関与のものでございますので、我々も、新しい大学が17年4月を目途にしていますので、機会あるごとに委員会なりにご意見を伺いたいと思っています。

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