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2004年10月14日都市整備委員会
都市計画審議会案件の事前審議
汐留開発、府中所沢線道路の問題点

○曽根委員 私から、最初に汐留地区の地区計画の変更について何点かお聞きします。既に何人か質問が出ておりますので、ダブる点は省略したいと思います。
 汐留開発始まって、私の記憶ではもう十年になろうとしていると思うんですが、既に電通の本社ビル、日テレビルを初めとして、約十棟の超高層ビルが立ち並んでいる。私が思うところでは、現在のところ、日本で最も高密度のオフィス街になっているんじゃないかというふうに思うんです。

 今回の案件は、汐留の南西の外れといいますか、芝離宮のすぐそばの、保留になったんでしょうか、この地区に新たなオフィスビルニ十四階建てを計画するというものです。一昨年来ビルの密集した北側の地区になるんでしょうか、隣接した商店街の方々から、風が入らなくなって、夏の気温が一気に上昇したという苦情が相次いでおります。昨年はたまたま冷夏だったんですが、ことしはさらにこの間題が再燃をして、実際に七月二十日にこの近隣の地域で三十九・五度の最高気温を記録したという状況になったわけです。
 したがって、多くの専門家が指摘しているように、ビルが、全体では二十ヘクタール以上の広さがあるとはいっても、超高層が十棟も林立するということによる、一つの超高層ビルだけでも住宅にすれば万単位の住宅に匹敵する冷暖房の排熱だとか、電気その他の利用のエネルギーを使う、またCO2などの温暖化ガスや自動車交通に伴う熱も発生するということで、大変な環境負荷を与えることになるのが、十棟既に建っているということから見て、この影響ははかり知れないものがあると思いますし、さらに、ことし特に専門家が指摘しているように、湾岸の高層ビル群が、ここだけではありませんが、品川や臨海部、その他の地域と合わせて、一種の壁のような役割を果たして、東京湾からの風の通り道をふさいでいる、その冷却効果を阻害したことがことしの異常気象の中でも、特に都心部の猛暑の大きな要因だというふうに指摘されています。
 そこで、本計画の建物についての影響はどうかということについて、都市整備局でお答えできるところで答えていただきたいんですが、規模についてなんですけども、この汐留地区、再開発促進区域に入っている汐留地区計画の区域面積全体でどれくらの面積があって、この中で計画されている建物の総床面積はどれぐらいの規模なのか、また既に竣工している建物の総床面積はどれくらいまででき上がっているのか、そして、今計画のビルの床面積はどういう規模なのか、ちょっと数字を並べてお答えいただきたい。

○森下都市づくり政策部長 まずヒートアイランドといいますか、風の問題でございますけれども、この地区におきましては、Tの二街区につきましては、延べ面積が十一万八千七百平米ぐらいのものでございますけれども、このビルができますこの地区は、先ほどもご答弁申し上げましたように、東京の夏の卓越風というのは南でございまして、南の方から海風が入ってくるということでございます。
 それに対しまして、この地区の建物は南北に長い形で、南風に対する見付き面積が小さいものですから、そういう意味では風の通り道を比較的さえぎらないような形状となっております。
 また、建物の周りの空地もいろいろ確保しているということで、そういった点でも、風の道をさえぎらないような形になっていると思っております。
 そのほか、空地の緑化などにも努めるところでございまして、いわゆる風の道、ヒートアイランド対策については一応対応はできているものではないかと思っております。
 汐留地区全体の開発でございますけれども、汐留地区の地区計画の面積が全体で二十五・一ヘクタールでございまして、二〇〇三年八月段階での各事業者によります計画内容を寄せ集めますと、トータルで延べ床面積が百五十六万平米となります。
 先ほども申し上げましたように、一と二では十一万八千七百平米でございます。

○曽根委員 二十五・一ヘクタールの区域面積の中に、総床面積で百五十六万平方メートル、つまり百五十六ヘクタールですか、床面積の建物が計画をされている。既に竣工した建物の面積はお答えなかったんですが、この間ちょっとお聞きしたところ、百十万ぐらいができ上がっているということでしたね。
 それに加えて、今回十一万八百七十平方メートルの建物ができるということで、でき上がっているビルが十棟で百十一万とすれば、同じぐらいの平均的な大きさのビルがもう一個ふえて、非常に大ざっぱですけれども、一割増しになるというような量的な、関係になるのかなというふうに思います。
 今お答えの中に、夏の季節風で卓越風といわれるのは、南が多いことは事実ですが、しかし、風はいつも南側から吹いてくるわけではなくて、ここの場合は浜離宮などを通して、風の道という点でいうと、東もしくは南東からの風がちゃんと入ってくるのかどうかということが非常に大きな意味を持っているふうに私は思うんですよ。つまり、海側というのは東側なんです。
 しかも、南風の点でいうと、このすぐ南に品川の開発があって、既に品川の開発ビルなどで、南からの風はそこでかなり遮断されているんですよ。したがって、ここの汐留の開発ビルが、確かにおっしやるように、ちょっとパンフレットから拡大してきたんですが、南北に長い形で配置されているために、南北の壁になっているんですが、そのときに、ここに浜離宮があって、東からの風もしくは南東からの風がかなり遮断されるということで、実際の苦情も、西側もしくは北西側の商店街のお店から苦情が非常に多いというのが、私たちが聞いている実態なんですね。
したがって、夏の風は必ずしも南からだけではないという点からいうと、建物を建てる以上、どうしても壁の役割は避けられないと思うんです。実際に建物の建築面積は詳しくはまだわからないそうなんですが、大体見たところ、区域面積の中で三割程度の建坪でどの建物も建てているとすると、平均して二十階建てから三十階建ての高さの、建物の間はすきまがあいているとはいうものの、大きくみれば壁のような形になっている。
 特に汐留はこの区域の中に集中的にビルが建っている、今ヒートアイランドだけじやなくて、風の問題を一番起こしやすい地域になっているというふうにいわざるを得ないと思うので。
 そこの一番南の外れに、何となく書いてみたんですけど、もう一つビルができて、この区域全体で約一・ニキロにわたって壁になってしまう。間にゆりかもめのところだとか、若干のすきまはありますけれども、かなりの壁効果になるだろうというふうに思われますので、この環境対策は先ほどお答えがあったので、あえて聞きませんけれども、万全を期す必要があるし、私は、ここにこれ以上の超高層ビル建設はやはり見直すべきじゃないかということを基本的な立場としては申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一つ、発生する交通量をどうするのかという問題についても、すぐそばに通っているのが、ここの場合は区道が通っていますが、先日、朝現地に行って見たところ、既に朝から渋滞が始まっております。浜松町駅のすぐ前の道路です。この道路にさらに、都市整備局の予想だけでも、日中大体三千台以上の車がこの地区から出入りすることになるだろうということですので、この区道このままで大丈夫かなというのが率直な私の実感です。
 この点についても、もし進めるのであれば、対策がどうしても必要だろうというふうに思いますし、あの区道では、その交通量、ほかの地域からももちろん入ってきますので、飲み切れないんじゃないかということは、問題点として指摘しておきたいと思うんです。

 この間題の最後に、この汐留の区域には百戸程度だと思いますけれども、都営住宅がかつて建っていたわけです。当初は都営住宅を建てかえて区域内に残すという計画が途中でなくなって、結局この区域内には、ここは最後の開発区域だそうですけれども、公団の賃貸は若干あるものの、東京都がかかわった例えば都営住宅や公社住宅はもちろん、都民住宅も一戸も計画されないということになるわけで、住んでいた都営住宅の居住者の方は、大体が勝どきの住宅に移ったというふうに聞いております。
 私は、ここが最後の開発区域だというので、せめて東京都がかかわる中堅所得層、またはファミリー世帯が入居できる程度の家賃の公共住宅を計画できないのかというふうに思うんですが、今回審議になる区域の公共住宅の可能性があるのかどうかということと、それから、この汐留全体で見て、今後公共住宅を東京都が計画で新たに加えられる余地があるのかどうかについてお聞きしたいと思います。

○森下都市づくり政策部長 汐留地区、今地区計画を立てたところでございますが、ここにつきましての住宅建設の考え方について、私の方からご説明させていただきたいと思います。汐留地区は世界の都市東京にふさわしい業務とか商業とか文化とか、それに居住等も加えた多様な機能の集積した拠点計画を目指しているところでございます。
 そういった考え方から、この地区計画の中ではD南街区とH街区で都心居住を推進する居住ゾーンとしまして、分譲住宅とか賃貸住宅を設けております。定住性が高くて多様な住宅ニーズに応じた住宅供給を図っているところでございます。
 きょうお願いしましたTの二街区におきましても、現在共同住宅の建設が進められております。そういった住宅を民間、都市再生機構の賃貸部分を含めまして、分譲、賃貸、それぞれ合計いたしますと、約二千戸近い都心居住の住宅を供給するということでございます。そういった考え方で汐留地区全体については住宅計画を立てているところでございまして、特に都としての住宅計画はございません。

○曽根委員 確かに住宅計画はあるんですよ。公団の賃貸もあるようなんですが、まず公団の家賃制度からいうと、あの地区だと家賃は二十万は下回らないでしょうね。だから、東京都がかかわって都営住宅もしくは都民住宅でも、出発家賃でいうと、十万前後というような、中堅所得層で何とか払えるような、支払い可能な家賃の制度の住宅というのが、多様なメニューという点でいえば、住宅の中に必要だろうというふうに思いますので、可能性があるかどうかについてはお答えなかったんですが、まだ余地があるのであれば、汐留地区にもこれだけの大きな開発をやるんですから、一般庶民が暮らせる住宅を計画するということがあってしかるべきだということを申し上げておきます。

●道路環境や街づくりについて住民要望も無視した府中所沢線のアセス案件提出は許されない

 次に、府中所沢線について、何点かお聞き.します。この道路の問題は、以前、もう大分前ですけれども、私、調布保谷線とともに、東京都が主導的に、それまでの道路計画を幅員を拡張して、高規格道路というんですか、そういうものとして位置づけたという直後ぐらいに質問したことがあります。
 その後の経過について最初にお聞きしておきたいんですが、東京都が道路計画を、今事業をやっている府中のあたりですか、二十八メーターを三十六メーターに拡大した時期はいつで、どういう理由で拡大したのか、またこの道路の延長、ほかの県との交通ネットワークということが先ほど答弁もありましたが、埼玉県もしくは南の神奈川県、こういうところとの関係で、東京都が高規格、三十六メーター幅に拡大位置づけたことが他県をも含めてネットワークになってきているのかどうか、その点についてお聞きします。

○成田都市基盤部長 調布保谷線以来、こういう環境に配慮した高規格の道路をどういうふうに編成したかということでございますけれども、まず最初に府中所沢線でございますけれども、昭和三十七年の四月に幅員二十八メーターで都市計画決定をしてございます。
副委員長ご存じのように、さらにその後、平成八年三月に多摩地域におきます都市計画道路の第二次事業化計画を策定いたしまして、この中で沿道環境に配慮する方向を打ち出してございます。その後平成九年四月に、現在整備中でございます当該府中区間の事業化に際しまして、多摩地域の南北方向の、先ほど来申し上げておりますように、交通、環境、防災等に配慮し、幅員十メーターの環境施設帯を設けながら、幅員三十六メーターに都市計画変更してきたというふうな経緯がございます。
 また、広域というふうなことで、埼玉、神奈川との関係がいかがかというふうなことでございますけれども、埼玉県に関しましては、現在、埼玉県側は所沢三三一号、飯能所沢線というのがございますけれども、ここは四車線で二十五メーターで現在事業中でございますし、また所沢三四八号線、エノキドトヨオカ線というのが二車線で供用中でございます。埼玉県側につきましては、事業が都県境に近づいていることから、現在埼玉県と協議中でございます。神奈川県側についてはまだそこまでいっておりませんので、埼玉県側ほどの調整は進んでおりません。

○曽根委員 三十六メーター道路構想が出たのが、平成八年三月という話がありましたが、たしか平成七年の東京都の長期計画か何かに載ったんですね。それで我々もどうするんだろうと思ったら、翌年そういう環境に配慮したというふうな必ず形容詞がつくんですが、三十六メーターの規格の道路にするという話が出て、それからもう十年近くになるわ
けです。しかし、今お話のあったとおり、埼玉でも二十五メーター、神奈川はまだそこまでいっていないということで、他県との車のネットワークという点で見れば、東京だけ三十六メーターに仮に広げたとしても、南北のネットワークという点では他県と調整はまだ、八年たっても進んでいないというのが、私、実態だと思うんです。この点で、今後そこがボトルネックになってしまうというような問題も含めて問題が残っているということを指摘したいと思います。

 もう一つは、今回の計画は、先ほど特例環境影響配慮書を適用するということで、府中でやっているから、その延長で環境評価は事業段階ではもう省略していこうという方向が打ち出されたことは重大だと思うんです。もともと府中の事業計画の段階のアセスメントにもたくさんの意見がついて、地元の住民の方々が決して納得できるような環境評価書出てないんですよね。
 今回の計画でも、実際東京都の説明などは行われていませんが、市の説明会が八月に開かれて、そこでもかなりの意見が出ていますし、その後市長さんや、また都知事あての質問状という形でも、私がお聞きしているのは、花輪さんという方を代表とする三十六メーター道路を考える会という団体ですが、そこから質問状も出ています。
 見させていただいたんですが、この道路が高規格で本当に必要なのか。なぜ二十八メーターを十メーター近く広げなきやならないのかということについての根本的な疑問が提出されているわけです。
 ここで指摘されていることで、いわゆる府中街道ですか、ここが非常に渋滞だということが大きな動機の一つになっているんだが、府中街道の渋滞は、府中街道の改善で解決できるんじやないかということが提案されているわけです。 私、この点気になったので、お聞きしたいんですが、府中街道の一日の自動車交通どれぐらいなのか。それがこの道路計画をつくった平成七年か八年当時、そして現在どの程度交通渋滞がふえているのか、変化しているのか。その点についての数字がありましたら、お願いします。

○成田都市基盤部長 交通量についてのお何いでございますけれども、環境影響評価書にも記載してありますけれども、計画につきましては、平成二十七年で約二万から三万台となってございます。現況の府中街道での交通量でございますけれども、国分寺区間に近接する五日市街道側の北側で十二時間交通量でございますけれども、平成六年度が一万三千五百台、それから平成九年度が一万三千三百台、平成十一年度が一万三千五百台となってございます。

○曽根委員 府中街道、確かに、あの道路の規模からいうと、渋滞が起きるだろうなということはいえますね。一万三千五百台。ただ、平成六年当時からほとんど交通量変わっていない。まあまあ満杯状態だということでしょうね。それにしても十二時間測定しかないということなのですが、夜の時間はかなり減りますので、日量二万台いかないだろうと思うんです。
 ところが、この府中所沢線については、最終的には日量大体三万八千台、四万台近くを計画しているわけで、府中街道の、いわば渋滞分を飲み込むだけじゃなくて、ほかからもネットワークで自動車がかなり入ってくるということをもとも、と想定している。
 つまり、かなり通過交通量がふえるということを想定しているわけで、この点は、地元の住民の側からいえば、やはりそれだけ環境の影響は避けられませんから、非常に心配が多いということは当然だと思います。
 つくるのであれば、当然環境対策は万全にとらなければなりませんが、しかし、自動車がふえる以上はさまざまな問題が起きるのは避けられません。例えば、横断歩道一つ、どういう対策をとるのか。学校の通学区域にもまたがっているところありますから、そういう対策なども含めて、かなり私は難しいだろうと思います。
 こうしたものも含めた住民の団体または個人からの意見、先ほど紹介した質問状、こういったものに対する対応は、このアセス手続をどんどん進める前にきちんと、少なくとも基本的な納得を得られるように最大限努力をしなければならないと思うんですが、その点での説明会または質問、要望に対する回答、その他の対応についてお聞きします。

○成田都市基盤部長 地元からは曽根副委員長ご指摘のように話し合いをしてほしいという申し入れもございます。ただ、もう一方では、知事及び都議会議長あてに整備促進の陳情も出てございます。
 都といたしましては、計画案の説明あるいは環境影響評価書案の説明会、それから地元の意見を聞く会、こういうことを通じながら、地元意見を吸い上げ、計画案の絞り込みをしてまいりたいと思っています。当然、計画策定に関しましては、地域連携を図りながら、住民の理解と協力を得られるように努力してまいります。

○曽根委員 今事業中の府中は立ち退きの軒数が六十軒ぐらいですか、今度は二・五キロで百の単位になるでしょうね。二百軒ぐらいになるんじやないでしょうか。その立ち退き問題、これもいろいろ質問したかったんですが、時間の関係でやめますけれども、私も、調布保谷線の立ち退きで非常に苦労した方の相談を受けたことがあるんですよ。マンションの一階で中古車販売の仕事をしていて、マンションが丸ごと移転になるものですから、管理組合の総会で議決がなかなかできない、その一階に借りているために、いつ商売がえできるのか、いっ移転できるのかということ、それから代替地どうするのか、不況でだんだん車が売れなくなってきているときに、結局商売が赤字だと移転が非常に難しくなるわけですね。そういった非常に苦渋の選択を強いられていた例がありました。

 この道路に関しても、いろんなことが起きると思うんですよね。ですから、もちろん行政の合意は当然ですけれども、沿道の住民の方々、商売をやっている方、こういう方々に今回も代替地の計画はないそうですけれども、少なくとも希望すれば一定の代替地を提供するとか、沿道の場所を確保できるような、何らかの新しい制度をつくるとか、対策をとらないと、私、はっきりいって今は、国分寺の、行政の側はともかくとしても住民の側は有力な意見として賛成、反対、両方が強いですよ。
 もちろん早く買収に入ってくれという意見もあるでしょう。しかし、環境を心配したり、子どもの通学を心配している方もたくさんいるわけで、この合意を基本的にちや′んと取りつけることなしに、この三つの案どれも道路を、上か下かはともかくとしてもつくる案ですね。ゴーサインを出す案です。それでその後は環境評価ももう省略できるという流れになっている。
 こういうやり方をもし本当に進める、道路をつくっていくというふうに考えるんだったら、徹底した住民との対話、要望を聞いて、極力それを受け入れるということをやらずに突き進むことだけはやめてもらいたい。これは今までの道路にかかわっていろんなことがありましたので、あえて申し上げるんですが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 私は、局長の決意は余り聞くつもりはないので、これで終わりにします。

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