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2004年5月27日文教委員会
杉並の養護学校増設、都立図書館改善、七生養護の性教育の回復を求める

●杉並区内に知的障害養護学校高等部をもとめる請願

○曽根委員 私からも、中野養護の父母の方から出されています、杉並に養護学校高等部をという請願について、何点かただしたいと思うんですが、既に何人かの方がお聞きになっているので、ダブりは避けますけれども、知的障害の養護学校については、確かに請願を出された堀向さんが訪ねてこられて、お話を聞きますと、杉並と中野、それから、新宿と渋谷の一部ですか、四区をエリアとする知的養護学校で、高等部はその四区をエリアとしているということで、本当に人工密集地域であるこの四つの区にわたっているということが、いかに大変なことかなということは重々わかりました。
 ただ、先日のNHKの放送は、私、たまたま昨日、中野養護に、実際に見ておこうと思って行ったときに、校長先生がわざわざビデオをとってあったのを見せてくれたんですが、あそこでは、やっぱり全国的にも知的養護学校が、この五年間ぐらいですか、二三%も子どもの数がふえている。都内はもっとすごくて、三二%もふえているんだということなので、これは杉並区だけの問題ではないなというふうにも思うわけです。
 ただ、その中でも杉並が大変なんだということはいえるんじゃないかと思うんですね。
 そこで、都内全体の知的養護学校の生徒数の増加に対応する学校の現状について、その中で杉並地区についての状況はどうなのかという点についての都の教育委員会の認識をお聞きしておきたいと思います。

○山川都立高校改革推進担当部長 委員ご指摘のように、現在、都内の知的障害養護学校におきましては、児童生徒が大幅に増加をしておりまして、普通教室の確保が大きな課題となっております。これに対して、先ほど申し上げましたように、総合的な対応の検討が必要であるというふうに考えております。
 また、杉並区の知的養護学校高等部の通学区域は都立中野養護学校一校となっておりまして、都立中野養護学校につきましても、近年、現在ご指摘のように、生徒数の増加によりまして教室数が不足をしておりまして、私どもも大きな課題であるというふうに認識をしております。

○曽根委員 課題としての認識があるということですので、ぜひ一日も早く、この高等部設置を実現をしていただきたい。
 先日、堀向さんもおっしゃっていましたが、自分の子どもがもう間もなく卒業してしまうということから、これは自分の子どもの問題じゃなくて、次の後輩たちの問題になるんだと。
 しかし、今いる子どもたちが苦しんでいる。とにかく知的障害の子どもたちというのは、環境が悪く、とにかく狭いというだけでストレスがたまってしまう。これはテレビ放送を見させていただいて、私もよくわかったんですが、何しろ一つの教室を二つに分割して、しかも分割といってもカーテンで仕切っているだけなので、隣の教室から子どもが飛び出してくる、もしくは声が丸聞こえになってしまうという中で、こっちの教室で今までおとなしく授業を受けていた子どもたちが、そわそわそわそわし始めて、しまいに動き出してしまうということが、これは普通の小中学校でも起きることですが、より以上に深刻な実態になっているということがいわれましたし、実際に見てまいりました。
 この点では、本当に一日も早くという保護者の方々の思いと一万を超える署名が、そういうことからも出されているのではないかと思います。この点を強く求めておきたいと思うんです。

 中野養護学校について、私、深刻なのは、やっぱり教室の分割が非常に多いということ。また、相談室など大変重要な役割を持っている部屋が物置と兼用で、相談の机といすがある横には物がガーッと積んで、コンクリートのむき出しの部屋の中で、これはとても相談という雰囲気じやないなと。何か夜逃げの相談みたいな感じの部屋で、本当にそういうすさまじい雰囲気の相談室なんですね。
 この現状は何とかならないか。それは学校をつくるのも大事なんだけれども、この現状の改善も何とかならないかと思うんですが、教室の現在の数字的な現状について教えてください。

○山川都立高校改革推進担当部長 平成十六年度現在でございますが、都立中野養護学校における普通教室数は三十九教室でございます。そのうち転用教室が七教室、カーテンなどで間仕切っている普通教室は九教室でございます。

○曽根委員 結局、半分ぐらいは転用もしくは分割なんですよね。この現状を何とか、これはすぐにできることもあると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、保護者の方の切なる要望として幾つか聞いておりますので、この際、ちょっと要望をいっておきますが、新しい学校をつくってほしいんだけれども、青鳥養護のように分校、分室にだけはしないでほしい。青鳥養護も、あそこは分校ですか、プレハブで分校をつくって、何年かたてば本校になるからといって、もう十四年、もう十五年ですか、というふうになってしまっている。

 それから、高等部なんでスクールバスがないわけですけれども、障害の程度によっては、スクールバスか、もしくはそれにかわる手だてをとってほしいということ。
 それから、学校をつくる際に、親も計画づくりに参加させてほしいということを強く求められておりましたので、この際申し上げておきたいと思います。

 最後に、杉並地区における高等部設置の可能性についてお聞きします。

○山川都立高校改革推進担当部長 杉並区における養護学校高等部についてでございますが、先ほどから申し上げていますように、今後策定する都立盲・ろう・養護学校全体め再編整備の中で、ご提案の趣旨を含め、検討してまいります。

●都立図書館の充実をもとめる陳情について

○曽根委員 この東京の図書館をもっとよくする会は、たしか二年前に今の説明にあったあり方検討会の答申が出されて、都立図書館の大幅な除籍が行われた際にも、たしか請願を寄せていたのではないかと思いますが、ここでいわれているように、その後も図書館の根本問題としての書籍の購入料が減額が続いていることが、もろもろの問題を引き起こす最大の根源だと思います。
 最初にちょっとお聞きしておきたいんですけれども、ここでは出版資料の六割程度に収集率を引き上げてほしいということがいわれています。現状ではどうなっているのか。資料収集率が、この間どの程度まで、どの程度から落ちてきているのか。その点を、ちょっと数字を教えていただきたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 手元の資料では平成十一年度から十五年度までの数値を出してございますので、この数字でご説明をさせていただきます。平成十一年度では、収集率が四二・三%、現在、平成十五年度の決算数字では二八・三%ということになっております。
 なお、出版点数でございますが、平成十一年には六万二千六百二十一冊、それに対して平成十五年では七万五千五百三十冊ということで、出版点数自体が二割を超える伸びを示しているのが実態でございます。

○曽根委員 そうすると、収集率は出版点数の伸びを計算しても三割を切っていて、恐らく二年前に行った、複数点数を買わない、一夕イトルー冊という方針を出して、それだけ収集率を上げようという手だてをとったにもかかわらず、やっぱり下がり続けているという状況だと思うんです。
 私は、やっぱり、収集率を上げるために購入点数を一夕イトルー冊というふうにしてしまったことが、一方でまた大きな弊害を起こし、そのことについては後でお聞きしますけれども、しかし、同時にやっぱりそれでも収集率は下がってしまう。根本的には、予算を引き上げる努力をやっぱりやらなきゃならないということを、まず最初に申し上げておきたいと思います。
 そこで、二年前の措置で一冊しか本が買えないという方針にして、図書館の利用者、また、協力貸し出しをしている市町村などの図書館の関係者から、意見、要望がやっぱり来ていると思うんですね。そのことについて、どういった意見が来ているのか、それから、どういう問題が起きているのか、このことについてお聞きしておきたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立図書館は、調査研究を目的とした図書館であり、個人への貸し付けは行っておりませんが、区市町村立図書館への支援の一つとして、協力貸し出しを行っているところでございます。そのため、都立図書館の蔵書は、利用者が都立図書館に来館する前に、都立図書館のホームページ上で、当日の館内閲覧の可否について確認をすることができるようになっております。また、都立図書館来館者が閲覧を希望する本が区市町村立図書館に協力貸し出し中のために館内にないという場合には、返却後、優先的に閲覧ができるよう、予約の受け付けを行っております。
 なお、来館者が館内で閲覧ができないことへのご意見としては、都立図書館は資料の貸し出しをしない図書館であるから、自分は来館したのに館内に資料がないというのはおかしい、こういった趣旨のものが年に数件程度あると聞いております。

○曽根委員 やっぱり二年前の措置が、結局、協力貸し出しに出たものについては、来館して閲覧に来た方に提供できないという問題を引き起こしますし、また、一冊しかないということから、昨年の秋から、これは昨年も質疑で取り上げましたが、古いものは一冊しかないということから協力貸し出しの対象から外すという措置が、やっぱり出てきていると思うんです。
 一連のやり方については、都立図書館の特徴的なサービスとして、一つは、できるだけ多くの本を収集して都民に提供できる機能、もう一つは、国会図書館のように閲覧しか認めないというのではなくて、貸し出しも市町村図書館を通じて行っているという二つの大きな特徴のサービスを、どちらもやはり後退させてしまっているという結果だと思うんです。
 特に、昨年秋から、古いものについて貸し出しをしないということについては、利用者からも恐らく声が届いていると思うんですが、市町村などの図書館の関係者、また、利用者からの声は出ていないでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十五年九月一日から実施をいたしました協力貸し出しの範囲の変更につきましては、第一に、高価な資料、第二に、昭和二十五年以前に刊行された資料、第三に、山本有三文庫資料、この三点を協力貸し出しの対象外としたものでございます。これは、資料の紛失や損傷があった場合に、その資料の再入手や修復が非常に困難であり、今後も貴重な資料を長きにわたり、より多くの都民に活用していただくために講じた措置でございます。
 また、従来は都立図書館で購入した新刊の図書が、都立図書館の閲覧室の書架に並ぶことなく区市町村立図書館に協力貸し出しされているという状況がございまして、都立図書館の直接来館者に対して館内での閲覧期間を確保する必要があることから、閲覧室の書架に並んでから三十日間は協力貸し出しの対象外とすることにしたものでございます。これらの変更によりまして、都立図書館総体としてのサービスが後退したとは考えておりません。

 なお、この変更に対しましては、昨年度、市町村立図書館長協議会の方から、都民サービスの低下が懸念される、また、区市町村との協議が不十分であるという意見が実施前に出されましたが、私どもとしては、変更の理由を改めて明確に説明をし、さらに、実施日を一カ月おくらせることで、十分な協議期間と都民への周知期間を確保したことで、基本的には理解をいただいたものと認識をしております。
 また、先ほど失礼をいたしました。収集率を申し上げましたが、その際に、年度で申し上げましたが、これは統計上の問題で、暦年でございます。訂正をさせていただきます。

○曽根委員 私は、この陳情者の第三項目にあるように、協力貸し出しという特徴的な都立図書館ならではのサービスを改めて確立していくためには、利用が多い資料については複数点数を購入する。しゃくし定規にしないで、実態に合わせたそういう予算の使い方をするということも、ぜひ実施してもらいたいということを強く要望しておきたいと思うんです。
 それから、これからの振興計画について、この中で要望が出ているわけですが、私も都立図書館を今後どうしていくのか、日比谷図書館はどうなるのかということも含めて、都民としては、三館体制をより充実させる方向での利用者の声が、やっぱりあると思うんですね。
 そのためには、まず第一には、図書館運営協議会という法で定められた協議会がありますので、この中で一つは検討する場面があってもいいだろう。さらに、ここで要望が出ているように、都民の代表を加えた、さらに広い検討組織をつくるということも、大いに考えていくべきだろうというふうに思いますが、図書館運営協議会については、今どういうふうな運営になっているのか、現状どうなっているのかを教えてください。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 図書館協議会は、図書館法の第十四条において、館長の諮問に応じ、また、図書館方針について意見を述べる機関として位置づけられており、都立図書館では、東京都立図書館条例に基づき設置しているものでございます。直近の第二十一期東京都立図書館協議会は、委員の任期を平成十四年の四月一日から平成十六年の三月三十一日までの二年間といたしまして、第一に、子どもの読書活動推進を図るために都立図書館は何をなすべきか、第二に、都内公共図書館の発展のための連携協力について、この二つの提言をいただいております。
 なお、次期の図書館協議会の協議内容及び委員については、現在検討中でございます。

○曽根委員 これから第二十二期になるんですか、図書館協議会を組織されるということですので、その協議内容の中に、都立図書館の今後の基本方向について、都民も参加できる形での検討と言いますか、そういうものを具体化できるような方向をぜひ盛り込んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
 最後に、日比谷図書館ですが、これについては要望しておきますけれども、企業向けの図書館という構想が出たり、いろいろ話はあったけれども、現在、耐震補強しただけの状態で、資料の点数も、かつての三割以下ですか、ここに要望にも出されているような状態で、私もその後何度か行きましたが、本当に、都心に、あれだけのいい場所にありながら、もったいないなあというのが率直な実感です。
 ですから、この陳情者が出しているように、本格的に建てかえて、いい図書館にというのは、当然の要望だと思います。
 質問しても、耐震補強したばかりですから、そういう答えは出てこないと思いますので、改めて日比谷図書館もきちんと位置づけ、三館体制による充実を強く求めて、質問を終わります。

●七生養護学校の性教育を元に戻すよう求める請願

○曽根委員 今、前の委員の方から非常に重要な問題提起があって、私も今紹介された本を読ませていただいて、やっぱり率直にいって、その本に書かれている、今まで行われてきた七生の性教育と、議場で発言された議員の性教育についての批判の内容とが、余りにかけ離れている。
 どちらが一体本当なのかというふうに、全く客観的に見た都民の方からは、非常に不可解に見えるものだろうというふうに思います。だからこそ、これは本当に慎重にしなければならないし、事実は何なのかということを議論すべきだし、検討すべきだという今のお話は、もっともだと思います。

 私たち議員が視察するときも、文字どおり現場の声を聞きに行くわけで、私もきのう中野養護に伺いましたが、本当に校長先生、障害児教育の大変さを一時間にわたって話すわけですよ。こっちはもう語ることもなく、黙っていろいろ聞いていました。本当に現場の苦労している方の話は聞かなきゃならないなと思います。

 私、ある議員が七生養護を視察したときのことが批判されているのは、そういうことをしなかったからだと思うんですね。本来の議員のあり方、視察のあり方とは全く違うことをしたということがあったからだというふうに思います。
 議員というのは、有権者から選ばれていると同時に、それだけに責任を持って、本当に真実を見きわめるような、また、見れるような視察や調査のやり方をしなければならないし、現場を台なしにしたり、それから、名誉を傷つけるようなことは断じてあってはならないということを私も感じておりますので、この際、申し上げておきたいと思います。(「当然じゃないか。議論する前のことだよ」と呼ぶ者あり)当然のことなんですよ。

 それで改めて、この間題は私も何度か質疑をしておりますので、それを踏まえてということになりますけれども、やはり私が見る限り、この七生の性教育は、本でも紹介されているように、まず保護者との関係でも非常に円滑に行われていたということ。また、学習指導要領の内容を踏まえていないという批判もありましたが、私は、十分に学習指導要領に定められた範囲の中で、しかも、今の学習指導要領が持っている障害児教育における、全く何といいますか、中身がまだ十分に確定していない不十分さをはるかに補って先進的な取り組みが行われていたということなど、やはりこの陳情者が出されている内容は、非
常に正当なものだというふうに考えております。

 そこで、お聞きしますけれども、七生養護学校で、今どのような性教育が行われているのか。先ほどの委員の方も、気になったということで学校を訪ねたといっていました。私は、責任を持って都教委が、今までの性教育が不適切だった、それで、それを改善したというからには、その改善した内容や今後の方向について、当然ながら保護者や教員、関係者にきちんと説明をしなければならない義務があるだろうと思います。
 その点で、昨年、性教育の内容を大きく切りかえた、その時点で、都の教育委員会は保護者を初めとして関係者にどのような説明を行い、ちやんと理解を得ることができたのかどうか、お聞きします。

○近藤指導部長 都教育委員会では、平成十五年九月四日の全校保護者会におきまして、都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会報告に基づきまして、七生養護学校の性教育の改善に向けての基本的な考え方を説明させていただきました。また、七生養護学校における性教育の全体計画などの改善につきましては、校長先生から保護者に説明をしていただいているところでございます。

○曽根委員 そこのところをもう少しお聞きしておきたいんですけれども、九月四日に担当課長が教育庁から出向いて、そして校長先生とともに、性教育をこういう方向で変えていきますよということを説明されたというふうにお聞きしました。当然ながらそのとき保護者の方々から、今までの性教育のことについての意見があったと思うんです。
 私が聞く限りは、圧倒的に今までの性教育をそのまま実施してほしいんだという声があったというふうに聞いています。その声を聞いて、十一月ですか、新しい性教育の課程をつくったとすれば、ちゃんと保護者の期待にこたえるものになったはずですが、残念ながらそうなっていない。保護者の声は、完全に無視された形になっているんじゃないでしょうか。いかがですか。

○近藤指導部長 学校におきます性教育は、学習指導要領や、発達段階、また、障害の程度等を考えまして進めていくものでございます。したがいまして、さまざまなご意見があることはもちろん承知してございますが、私どもは、今いったような趣旨から、この七生養護学校における性教育の改善を指導してきたわけでございます。

○曽根委員 それでは、その障害児の一番身近にいる保護者、そして学校の先生たちがこぞって、今まで頑張ってきたんだし、非常によかったんだといっていることは、都教委の、要するに学習指導要領に基づく教育改善の方向からいうと、もう無視していいということですね。

○近藤指導部長 先ほどから申し上げておりますが、学校における性教育は学習指導要領等に基づいて行うものでございまして、あくまでも学校教育というのは、繰り返しお話をしておりますが、学習指導要領を基本として、それに基づいて指導する責務があるわけです。それが公教育の果たすべき役割だと私は考えております。
 また、保護者の方からは、もちろん反対のご意見等も私どもたくさん何っております。
もちろん私どもに対して、こういうふうに七生の教育を変えていただきたいという声もたくさんいただいているということにつきまして、まずご報告させていただきます。

○曽根委員 保護者や先生方が変えてほしくないという声については、あくまで学習指導要領を盾に、それを拒否して都教委の考え方でやる。
 そのあなた方がいっている学習指導要領というのを本当に踏まえた改善になっているのかということについて、実は私、都立養護学校教員という方から、匿名で手紙をいただいたんですよ。この方は、最後に紹介しますが、どうしても名前は出せないということで、名前を伏して私の事務所に手紙をよこしたわけですが、書かれていることは非常に的確なんです。なぜ匿名にしたかは、最後にご本人が書いていますので、後で紹介しますけれども。

 ここで学習指導要領について、特に「からだうた」の中で、小学校四年の教科書に出てくるペニスやワギナという名称を一年生で教えたことが学習指導要領に反しているというふうにされていることを聞いたと。しかし、知的障害養護学校の学習指導要領は学年別には示されずに段階別に示されていて、子どもの実態に応じて教員が指導内容を選ぶことになっているはずです。つまり、普通の小学校のように、一年生で教える内容、四年生で教える内容と決められてはいないのです。このことは大学生のときに講義で受けましたし、都の指導主事がはっきりそういっているのも聞きました。
 また、都立のほとんどの養護学校では、小学部低学年から調理をやっています。調理は家庭科の内容です。家庭科は知的養護学校の小学部の教科にはないはずですし、普通の小学校でも五年生からです。調理はよくて性教育はだめというやり方、さらには、生活単元学習では、日常生活に必要な内容であれば、普通の小学校の上の学年で学習する内容でも授業する場合もある、これも都の指導主事が話していたのも聞いたことがあります。
 今回の都教委の学習指導要領を踏まえていないという主張は、一部政治家の圧力により、都教委がみずから学習指導要領をないがしろにしたとしかいいようがありません。こういうふうにいっています。

 私、それで、学習指導要領というのがどうなのかということで調べてみたら、確かに障害児教育の学習指導要領の内容というのは、ある意味じゃ極めて緩やかなものになっているということを、改めて勉強しました。
 それから、学習指導要領の権限については、これはちょっと古くなりますが、昭和三十三年に文部省が出している、こういうふうに書いてあるんですね。
学校の毎日の教育を隅から隅まで縛るというようなことは不可能であり、かつ望ましいことではありませんから、改訂学習指導要領では、義務教育として最低必要と思われる内容や、すべての学校で指導すべき標準的な内容、あるいは、努力すべき方向などを示しているのですということで、要するに、隅から隅まで教育内容を縛るものではないという点を、文部省自身が指導しているという文書を資料で得ました。
 この先生は、ここから私、非常に深刻だと思うのは、「本当は私自身で校長や都教委に聞きたいのですが、日の丸・君が代問題のように、物を申せば、いつ処分をされるかわかりません。この手紙も名前を書きたいのですが、本当に申しわけありませんが、匿名にさせていただきます。今後も障害のある子どもたちの幸せのために、ぜひとも都教委の姿勢をただしていただけるよう何とぞお願いいたします。」こうなっています。

 私、こういう養護学校の先生たちの苦しい思い、私にさえ名前を書けないという、何といいますか、本当に深刻な実態がここから浮かび上がってくると思います。
 それから、いろいろ資料もつけて手紙をいただいたわけですけれども、率直にいって、性教育の中身、とりわけ障害児学校における教育の中身については、やはり子どもの実態に即してどうするのかということが、教育者としては最も切実な問題として問われることだと思います。
 その点で、今回の都教委のやり方、議論や検討が不足しているという先ほどの指摘もそのとおりだし、かつ、改善された内容についても、本格的にはこれからまた議論する場があると思いますが、やはり父母や教員の声を無視してつくられたというふうにいわざるを得ないと思うんです。

 特に深刻なのは、私、性教育の教材の問題だと思うんです。この教材については、その後の扱いについて、非常に複雑な経過をたどっているようなんですね。それで、ちょっとお聞きしておきたいんですが、七生養護の性教育教材については、不適切ではないとしたものについては学校へ戻った。しかし、不適切とされたものについては都教委が保管している。それでは、七生以外の養護学校、九つぐらいたしかあったと思いますが、そこの教材については、どういう扱いになっているんですか。

○近藤指導部長 提出いただきました教材につきましては、都教育委員会が教材、教具の適、不適を調査した上で、各学校に返却をしたところでございます。七生養護学校に返却をいたしました教材のうち、校長先生が不適切、不必要と判断したものにつきましては、校長先生の要請に基づきまして、都教育委員会に所属がえを行っているところでございます。
 また、その他の九校の学校のうち三校の性器つき人形等は、これも校長先生の判断によりまして、東京都教育委員会へ所属がえを行って保管しているところでございます。残りの九校は、校長先生が廃棄をしたと聞いております。

○曽根委員 不適切という都の教育委員会からのレッテルが張られたわけですから、学校に戻れば校長は廃棄せざるを得ない、処分せざるを得ないということで、六校は処分された。
 ところが、都の教育委員会が預かったものは、そのまま保管されている。そうすると、学校に戻したものは処分させているわけですから、この教育委員会のものも、都の教育委員会みずからが処分する、そういうことになるんですか。

○近藤指導部長 今後、都教育委員会に所属がえを行った教材につきましては、責任を持って管理する予定でございます。
 なお、先ほど、私、残りの九校というお話がありましたが、残りの六校でございますので、訂正させていただきます。

○曽根委員 学校に戻ったものは処分させておいて、都の手元に持っているものは処分できないというのが、私、率直にいうと、都の教育委員会の現状だと思うんです。
 なぜできないかというのは、当然だと思います。それは七生の教育についても、先ほどいいましたように、父母や関係者から圧倒的な支持があるだけじゃなくて、問題は、教材の問題ではないということです。
 つまり、これは指導部自身の幹部の方の発言でも私も何度も聞きましたが、教材の問題というのは、その使われ方にあるのであって、教材自身の問題ではないというふうに指導部の幹部自身も、いろんな場で発言をしていました。私はそのとおりだと思います。どんな教材でも、使われ方によっては、それは問題があることもあるだろうし、それはないとはいえませんからね。しかし、教材自身を不適切な使われ方をしたということで処分するというのは、これは教育上からいったって、極めて重大な問題だと思うんです。だから、私、これは処分できないと思うんです。すべきでもないし。

 性教育が、以前のように、やっぱり子どもたちのことを本当にまじめに考えて工夫してきた、その実践の上で、教材も含めてきちんと使われる。これまでの七生などの実践を生かしたものに改められるということが、今こそ必要だと思います。
 そして、今、都が管理している、保管している教材が、またきちんと活用されるということを強く要望しておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

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