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2004年5月28日文教委員会
私立専修学校、都立大学問題で陳情を審議

●私立専修学校の学生への支援強化を

○曽根委員 専修学校の条件改善ということですので、その間題について。まず一つは、経常費補助の創設という問題については、これは私も何度か取り上げて、ことしの春も質問いたしました。
 東京都は、国には要望をしている、私ども議会も要望をしているわけですが、都独自の制度創設についてはちょっと消極的なお答えが続いておりました。
 確かに専修学校、いろんな学校があるわけで、経営状況だって、さまざまだ。赤字もあれば、大きなもうけを上げているところも恐らくあるでしょう。しかし、国に創設を、私立学校並みに補助を求めるということであれば、何らかの基準を設けて、特に必要なところへの経常費補助、これをぜひ国に要望すると同時に、今国がこういう問題になかなか厳しい状況ですので、都独自の創設ということも含めて、ぜひ検討をお願いしたいということをまず申し上げておきます。

 そのほかについて、特に今利用が非常に伸びている育英資金については、充実に努めているというご説明がありました。実際にこの三年間ぐらい、どういう予算の状況になっているのかについて、まずお聞かせいただきたいと思います。

○中澤私学部長 三年間の予算の推移でございますが、平成十六年度は約六億八千五百万円でございました。十五年度が約八億一千六百万円で、一九・二%の増です。十六年度は八億九千九百万円、一○・二%の増、毎年増加をしているところでございます。

○曽根委員 予算全体が縮小傾向の中で、やはり活用が伸びているからこそ、これにこたえるということでの努力もあったと思うんです。その中で、専修学校の学生さんにどういうような利用の状況なのかということ、全体がこの三年間で何人から何人にふえている中で、あわせて、私立の専修学校に在学している人に対する新規の貸し付けがどういうふうになっているか、数字でお答え願います。

○中澤私学部長 事業全体の新規の貸付者は、平成十三年度は四百八十三人、十四年度が六百八十九人、十五年度は八百四十二人ということで、毎年増加しております。
 そして、専修学校への貸付状況でございますけれども、まず高等課程は、平成十三年度は五人、十四年度は八人、十五年度十八人と、毎年、やはりこれも増加をしております。
 また、専門課程でございますが、こちらの方は、平成十三年度三百一人、十四年度三百三十八人、十五年度四百六十二人、こちらも毎年増加をしております。

○曽根委員 数字が並んだので、ちょっとわかりにくいんですれども、全体の貸付者が十三年度から十四年度にかけては二百人以上伸びてますね。さらに、十四年度から十五年度にかけても百五十人以上伸びている。
 この伸びもかなり大きいものなんですが、その中で、高等課程はちょっと少ないですけど、専門課程が十三年から十四年にかけては三十人ちょっとの伸びなのに対して、十四年度から十五年度の伸びが百二十四名、全体の伸びが百五十三人の中で私立専修学校の専門課程の利用者の伸びが百二十四と、大半を占めていると
いうことですね。
 つまり、一昨年度から昨年度にかけて、専門課程のところで、この育英資金の利用者が非常に伸びたということが、この間特徴で出ていると思うんです。

 私は、一つの原因として、最近、成績要件を外したり、制度の基準緩和といいますか、そういうものが行われたことと、今日の経済状況が反映しているのかなという気もしますけれども、部長さん自身、この結果を見て、どの点に特徴がある、原因だというふうに考えられますか。

○中澤私学部長 今、委員からお話がございましたように、伸びている理由は多く分けて二つというふうに推測をいたします。一つは、やはり、平成十四年度に要件を緩和した、特に成績要件の緩和をしたということ、それから各学年、一年生だけじやなくて、二年生もいい、三年生もいい、そういうことにしたこと。それから、住所要件も、四月一日現在であればいいというふうに、ここを変えてきたこと、そうした要件の緩和、そして全体としての経済状況が反映して、こんなふうな形になっているのではないだろうかというふうに推定をしております。

○曽根委員 今、私立学校を心ならずも退学をしなければならないとか、非常に経済的に厳しい、もしくは家族の、いわば失業だとか、そういうことの影響を受けて、お金を教育費になかなかかけられない、しかし、手に職をつけなければ、まともな就職もなかなか難しいという状況の中で、かなりの金額、百万とか百五十万とか二百万とか、年間でかかる費用を払って専修学校に通うという事情のある方は相当おられると思うんです。

 そういう中で貴重な存在であるこの育英資金が活用の基準が緩和されたということから、利用が急速に伸びているし、私は、恐らく今後も大きく伸びていくことになるだろうと思います。しばらくの間、こういう状況は続くでしょう。したがって、極力、生文局として、全体のシーリング枠にとらわれずに、やっぱりこれは求められている、渇望されている制度ですから、それに応える努力を続けることをお願いしまして、質問を終わります。

●都立大学改革の説明を直接学生に説明し意見を聞くべきだ

○曽根委員 私からも、この陳情に関して何点かお聞きしておきたいと思うんですが、ここに陳情理由として書かれておりますように、現大学の学生にとっては、新大学がもし発足した場合、学習環境が大きく変わることは間違いがない。それがどの程度現学生に影響してくるのか。特にカリキュラムの保障など根幹にかかわる問題について疑問を持っている。これについて、この議会でも何度か質問がありましたが、具体的にどういう形で保障の担保がとれるのかという方針がまだ示されていないのではないかというふうに私も認識しています。
 その点で不安があるということから、いっまでにそれが示され、そして学生に対してきちんと説明がされ、質問にも答えられるような場が設けられてしかるべきじゃないかということだと思うんですね。これは現大学が行うことではなく、新大学に関することですから、大学管理本部が今のところは行うしか道がないと思います。そういう点で直接説明を求めるというのはごくごく当たり前の要望であって、これをわざわざ陳情で都議会に出さなければならないという事態が、私はちょっと異常なことだなというふうに思っているわけです。
 そこで、この間の経過について確認をしておきたいのですが、これまでも本部の方は、学生には直接の説明はしない、大学を通じて行うということをいってきました。しかし、私の知る限り、この都庁に要望や、または問い合わせに来た学生や院生に対しては、私は本部の方も一定の対応をしてきたし、せざるを得ないということがあったと思うんです。
そういう点で昨年来、新大学構想や、または現学生や院生に対する勉学の保障という点で都庁に訪ねてきた学生、院生に対する対応が実はどのようになっていたのか、その点について経過をお聞きします。

○大村参事 学生さんの要望とかお問い合わせの対応につきましては、実際の学生の状況を把握して見ており、大学の教育にも責任を持っている各大学が対応することは基本的だと考えてございます。
 ただ、昨年九月ごろから、ことし一月ごろまでにかけて、しょっちゅう学生さん、院生さんが大学管理本部に説明を求めていらっしやったり、あるいは電話をかけてきたりしたのは確かでございます。こうした場合に私どもとしては、門前払いをすることはしなくて、一応基本的なことについてはその場で真筆に対応させていただきました。
 ただ、個々の学生さんのお話については、具体的なものが多いわけですけれども、そういう具体的なことは大学の方でご検討、あるいはご回答いただくのが中心なので、一般論としてのお答えをしているというところが実情でございます。

○曽根委員 実際訪ねてくれば、そう対応せざるを得ないし、当然だと思います。たとえ一般論といえども、聞いたことにその場で答えていただく場があった学生は、それだけでも少しはこの大学構想についての理解や、それからそれに対する考え方や認識を持つことができるわけです。しかし、一般的には本部は学生には説明しない、大学に聞いてくれというふうな態度をとっているわけで、私はやっばり二面性が出てきちやっていると思うんですよ、実際上。ここにわざわざ訪ねてくれば対応するけれども、そうすれば対応しても圧倒的にいて、どうなっているんだろうというふうに思っている。

 もう一つは、大学側を通じてということについても、昨年の委員会で繰り返し本部の答弁の中にあったように、本部の真意が必ずしも、特に都立大学の場合には学生に対して大学の先生たちから伝えられていない、説明が不十分だというふうな指摘がされました。私は決してそんなことはないと思いますけれども、そういうふうに本部が認識しているからには、なおのこと学生に対して直接説明したいというふうに考えるのが当然だと思うんですよ。その点でもこれまでの大学管理本部のとってきた姿勢には、私は大きな矛盾があると思うんですね。

 したがって、今後のことについていいますと、何らかのルールを設けて、本部として直接学生の皆さんとのチャンネルをつくる必要がある。私は、基本的には学生のところに出かけていって、ちゃんと説明する機会を持つべきだし、それからここに訪ねてきた人たちには、当然のこと、きちんと会うべきだし、要望も受け、質問も答えるということがあってしかるべきだと思いますが、いずれにしても何らかのそういうルートを持たないと、本当に大学に文句をつけているばかりでは、学生への理解は進まないわけですし、その点での考え方、今後、いよいよ独立法人としての大学の設置の具体的な姿を出していこうというふうに考えているでしょうから、その点についてはなおのこと、これから必要になってくるのではないでしょうか。いかがですか。

○大村参事 大学の方で説明会を開いたり、また教員の方にご質問いただいたようなことで、重大な意見、要望などにつきましては、大学を通じていろいろ情報が来ているところでございます。これらにつきましては、教学準備委員会などの会議でいろいろ検討していただき、そして大学管理本部としても方針として公表してまいりました。それを踏まえてまた各大学で掲示をしたり、あるいは説明会を行うなどの対応をとっておりまして、現在ではほとんど大学管理本部に来庁したり、あるいは直接電話をかけてくるということはございません。
 そういう意味では、実際の学生の状況を把握し、また常時見ている大学と、そしてそれらから受けたいろいろなルールをつくってやるというふうなことについては、もうルールができているというふうに考えてございますので、問題はないと思っております。

○曽根委員 やっぱりここに訪ねてくる人があれば、また、その場で対応もせざるを得ない。引き続き、学生に対してきちんとした均等平等な対応という点では、私はそごが起きていると思うんですね。また、今後も起きる可能性が大いにあると思います。

 当然具体的な、今度定款なども問題が出てくれば、引き続き、学生や院生の方々や、また大学関係者が都庁に訪ねてくる、要望に来るというようなことは起こり得ますし、現在少ないというのは、いってみれば定款がまだ出てこないし、まだ認可申請したところですから、今少ないのは当然だと思いますけれども、そのうちまた大きな問題になってくると思うんです。
 そのときにあくまで大学を通じてというのでは、全く話にならない状況にあると思うんですよ。何か知りたければ、この議会を傍聴してくれしかないみたいな、これはおかしいと思うんですね。
 行政の機関である以上、直接の関係者や都民に対して説明責任というのは明確にあるわけですから、それを拒否することはできないわけですから、説明責任を、ホームページを出しているから一方通行でも、それでいいでしょうというわけにはいかないと思うんですね。

 この点については、改めて行政としての当たり前の説明責任の観点から、先ほど私が要望した点に、やっぱり検討はするというふうなことにはなりませんか、いかがでしょう。

○大村参事 現在、各大学においてそれぞれ必要に応じて学生への説明会などを開いておりまして、都立大学でも先日、十八日でしたか、開催しているところでございます。そういう意味でも今後も大学と連携して学生、院生に対して安心して勉強に励めるように理解の浸透を因っていきたいというふうに考えてございます。
 そういう意味ではこれからいろいろ学生さん方が心配する事項については、ますます具体的な問題になってくると思いますので、これらについては現在、先生方がそれぞれ教学準備会議やその他の部会や何かを通じてご検討いただいておりますので、それらを具体的に返していくのはやはり大学の方でやっていただかないといけないかなというふうに考えてございます。

○曽根委員 一貫して公式の態度はそういうことなんですけど、私はやっばり大学側に学生との直接対応をやらせて、それで都合が悪くなると、そのできが悪いといって文句をつける、自分たちは直接は学生に対応しない、公共機関のやり方としては非常に道理に合わないといいますか、誠実さに欠ける態度だということは厳しく申し上げておきたいと思うんです。
 それから条例案については、今度の六月の質疑のときに本格的にやりますけれども、今度出される入学料、それから考査料ですね、これは受験生がもう志望を決めなければならないときが過ぎているぐらいですから、当然早く決めて発表しなければ間に合わないわけですが、授業料なんかも、法人が立ち上がるのは来年の四月一日だとすれば、受験する学生に授業料も示せないのかということになるわけで、私は非常にスケジュール上の齟齬も起きている。これもどうするのか、説明責任の生じている問題がいっぱいあると思うんですね。

 私は、そういう点では受験生対応も含めて、本当に新大学を信頼あるものにしようと思うのであれば、現地に本部の出先の窓口を置き、受験生が、例えば大学見学に来たときには管理本部としても対応できる。
 新大学の中身については大学で説明させるからいいんだというんじゃなくて、本部が直接受験生にも、いわばちゃんと情報提供のサービスをするというぐらいの当たり前の誠実さがないと、新しい大学は、とにかく一番大事な学生や受験生に対応しないというのでは、最初から失敗を覚悟してみたいなことになりますから、あえてこの場で申し上げておきたいと思います。
 これはまた、本格的には、条例案についての質疑の中でやります。以上です。

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