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2004年9月16日文教委員会

個人情報保護審議会の提言とDV防止対策について意見表明

●警察や学校など個人情報の目的外使用の乱用を防げ

○曽根委員 私からも、この個人情報保護審議会の今回の提言については、これから具体的な条例案として四定に出されてくるので、それに向けて、きょうは、私どもの会派からの意見、要望、そして、これに関連する東京都の行政の進め方についての要望も含めて申し上げておきたいと思うんです。

 まず、今回の大きな改正点として、東京都の保有する個人情報の保護の対象として、都の公安委員会、警視庁の持っている情報を加えたということは、かねてから私ども強く求めてきたものであり、当然のことながら、大きな前進だと思います。警察が持っている個人情報というのは、犯罪歴を初めとして非常にプライバシーにかかわる重大なものがたくさん含まれております。その中で何を保護し、何を公開としてよいかなどは、極めて慎重な人権の立場からの検討も必要だと思います。
 同時に、これは個人情報とは限りませんが、この間、北海道警察を初めとして警察機構内部での裏金づくりなど、警察内部の不祥事も大変大きな社会問題になっています。こうしたことを防ぐためにも、警察内部の情報の必要な公開、これを進めていく中で個人情報をどう扱うか、ここのところを、大変複雑で難しい問題がありますが、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから、今回、利用停止請求権というのが設けられました。これは聞くところによれば、かつて、防衛庁がつかんだ入隊志願者その他の個人の情報が防衛庁内部で出回っていたということをきっかけとして、個人が自分の情報を公的な機関の内部といえども勝手に回してほしくないという利用停止請求権を設けたのは、規定がなかった点に比べれば、大変前進だと思います。

 私は、これに関連して、きょうお配りいただいた概要の中にはちょっと入っていないんですけれども、先日、生活文化局からいただいた概要の説明書きには、Cの罰則規定を設けたという下に、Dとして、個人情報保護制度の運用について審議会は一定の関与を行うということが、今回の改正の特徴点として書かれていました。今回、そこだけ抜けているのがちょっと気になるんですけれども、まあスペースの関係かもしれませんが。
 つまり、個人情報保護制度の運用の中で、個人の情報の、とりわけ目的外使用、これを行う、いわば例外的な運用を行う場合には個人情報保護者議会が関与すべきだということは、これは神奈川県を初めとしてほかの県では実施されていることでもあり、ぜひ東京都も今回の条例改正に入れてもらいたいというふうに私は思うんです。

 というのは、最近、次々と起こっているんですが、学校と警察署の子どもに関する情報の連絡協定がつくられて、これは東京都の個人情報保護審議会にかからないので、もうさっさとつくっちゃったんですけれども、それをひな型として、既に都内の四十の自治体で、東京都にならって連絡協定がつくられているようです。その中には、目的外使用をする場合には区市町村の個人情報保護審議会にかけなければならないというふうになっている自治体は、そこの審議会にかかって、その連絡協定が初めて公に出てきた。
 私は杉並の例をちょっと詳しくお聞きしたんですが、学校が握っている、これまた子どものプライバシーにかかわる数多くの情報のほとんどすべてが、必要に応じては警察に提供できるという可能性があるんですね。そこには知能指数だとか家族の構成、非行歴。学校がつかんでいるその子に関する人権にかかわる情報も含まれているわけなんです。
 それが校長先生と警察署の方の生活育成課ですかね、担当者の職員の判断だけで、相互に連絡し合えるということで、これは本当に個人情報が表に出ない形でこうやってやりとりされているということを知った場合には、多くの方がこの利用停止請求権を発動するということがあり得ると思うんですね。大量に出てくるということになりかねないわけで、それはこういう問題が起きる前に、やはり審議会で、こういう目的外使用が是か非かということは議論してしかるべきで、東京都の場合も、ちょっと後戻りになりますが、私は、審議会で改めて議論していただきたいんですね。
 また、私たちも、必要な場面でまた物をいっていきたいと思いますが、こういうこともありますので、ぜひこの点については条例化を進めていただきたいと思います。

 それから、民間部門が保有する個人情報ま保護の問題と法的な情報との関係の問題なんですが、実は私も、先ほどの委員の方の詰もありましたが、私の長女の実名を名乗るオレオレ詐欺の電話が自宅にかかってきました。長女の実名を知っていたんです。これは取り方によっては、非合法な方法をとらなくてもできるかもしれませんが。私、直接受けちゃったんですけど、相手の話を聞くと、どうも娘に関するもっとかなり細かい情報を持っていた節があるんですね。結果としては、途中で気がついたものですから、相手も私が気がついたことに気がついたらしくて、振り込みの口座番号などはいわなかったんですが、その手前まで行きました。

 したがって、民間の個人情報が、だれが、どの程度握って、どう回っているのかというのは、これは本当に大変な問題だと思います。しかし、少なくともいえることは、この間、NTTやヤフーBBとかジャパネットなど、個人情報が大量に漏れたというのは、どれもかなり大手の企業なんですね、社会的に大きな影響を与えているのは。そういうところについては、私は社会的責任として、個人情報を守るという点では、やはり厳しい罰則も含めて考える必要がある。
 先ほど松原委員もおっしやったように、五千件以下、つまり中小企業の個人情報については、これは単なる取り締まりや規制だけではいかないので、やっぱり指導、育成という問題も含めてきちんと手当てをしていただきたいと思います。

 それから、最後に申し上げたいのは、民間の事業者の個人情報の漏洩問題というのは、これはやっぱり公的な情報に比べればなかなか規制がかけにくいという、これはどうしても根本的問題が残ります。したがって、民間事業者に、今、公共が握っている情報が、これ以上安易に流れ出すような、率直にいえば、民間委託などで税情報が流れているとか、それはセキュリティーがかかっているとはいうものの、民間が都が持っていた情報を既に握り始めている。
 福祉に関しても、あちゆる分野で進んでいる。これは極力、できる限り公共が握って、なるべく民間の事業者、営利企業などには流れない方策を考える。どうしても委託などが必要な分野はたくさんありますから、そういう場合にも、それが制限できるような方法を考える。
 これは条例化の問題とは別に施策の進め方の基本姿勢として、生文局だけじやありませんが、ぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げて、意見表明とします。

●DV防止対策は、これまでの河野議員の質問などを生かして

○曽根委員 それでは、私からも配偶者暴力に関する被害実態の把握、分析及び対策について、今回、男女平等参画審議会の報告について、これは、既にこの間何度か、特に最近では昨年七月とことし六月、二回にわたって、我が等の河野議員が、まとまったDV対策の文書質問を提出しておりますし、都も一定の改善の回答をいただいておりまして、この中に、もう盛り込まれたものが幾つかあります。そういう点を踏まえて、これからさらに前進させてほしい点、多岐にわたりますので、きょうは意見を述べ、要望をするということにとどめたいと思います。
 DV防止法の実施以降、DV被害の発生という点でも、また潜在的なものが掘り起こされてきたという点でも、東京は最大のそういう件数が多いという点でも、最大の対策が必要だと思いますし、同時に、地方から加害者の追跡を逃れて、見つかりにくい東京に来て、相談や保護を求めるケースも大変多いと聞いております。それだけに、全国に先駆けての努力が必要なことは当然です。

 実際、東京では、かなり以前から、例えばウイメンズプラザを拠点としての女性財団の活動があり、相談や調査研究、被害者の保護の受け入れなどのNPOなどの自主的な活動、精力的に取り組まれてきたこと、また、あわせて女性センターやプラザの職員が大変な激務の中で奮闘していることに、この機会に心から敬意を表したいと思います。
 これらすべての成果を生かして、多分、今年度中に出されると思いますが、国の基本指針を受けての、都の基本計画策定を進めていただきたい。
 具体的なケアの体制をつくる基本プログラムですか、この計画づくりも含めた、くれぐれもぜひ計画づくりの最初から、都民運動の方々はもちろん、広く都民の参加で行うように求めておきたいと思います。

 それでは、具体の課題について、幾つか要望を申し上げます。
 最初に、被害者の支援という点ですが、昨年は被害の実態把握が、東京都の機関の把握分しか押さえていないじやないかということで、指摘をさせていただきましたが、今回の報告では、区市町村の調査や取り組みも反映されました。法整隋などを機に、被害が次々と掘り起こされ、相談が急増していることなどを踏まえまして、調査と実態把握は、常に行っていく、つまり恒常化していく体制が必要だと思います。

 それから、相談体制の強化のために、都の担当職員の増員はもちろんですが、民間団体との連携を強めること、それから、これから本格的に進めていくと思うんですが、相談者が来る可能性は、女性のDV対策の窓口に限らず、例えば都民相談や児童相談所、区市町村の女性施策の窓口や福祉事務所など多様に考えられます。そこへ相談に来たときに、そ
の職員がこの問題についての理解がないために、冷たい対応になってしまって、心理的にますます追い詰められるというようなことがあってはならないわけで、こうした大変な被害者の思いにこたえる最初の対応が適切に行えるような研修、指導を徹底していただきたいということも、申し上げておきたいと思います。

 それから、DV法で引き寄せが、さらに急増しております一次保護のシェルター、これをさらに確保すること、民間のシェルターへの支援について、これらについては、残念ながら基準が狭かったり、都は、国の補助減額についてそのままにしているなど、必ずしも熱心とはいえません。可能な手だてを尽くしていただきたいと思います。この一時保護のシェルターの需要は、大変ふえております。ぜひお願いしたいと思います。
 一時保護施設での被害者の扱いについても、この間、例えば売春防止法など、ほかの問題で入っている方と、部屋は別にしても扱いが一緒くたになってしまったりというような問題が、当事者から寄せられておりまして、これはDV被害者と他の問題での入所者とは、処遇や接し方をきちんと区別するなど、今回は書き込まれました。このことは大変重要だと思います。今後も原則としていただきたいと思います。

 それから、法の整備によって、都営住宅の活用が、こうした被害者の住まいの確保という点で、活用できるようになりました。大変大きな前進です。できるだけ希望の地域での生活が可能になるように、特に区部での都営住宅のこの問題での活用に、一定数を確保していただきたい。仕事やその後の生活を考えると、多摩の奥の方にしかないということでは、非常に制限が出てしまうと思います。

 次に、子どもに対する支援の問題です。先ほども話がありましたように、被害者の半分以上に子どもさんがいて、子どもの目の前で配偶者暴力が繰り返されると。これは大変悲惨な実態があるわけですね。この間題では、目の前で暴力を見てしまうという子どもの問題も、児童虐待の一つとして今回位置づけられたわけで、そういう意味では、児童虐待としての位置づけと対策が重要になっていると思います。

 この児童虐待問題を担っている児童相談所、また子どもの入所する児童養護施設、これは率直にいって満杯状態で、これまでの児童虐待の急増にも、必ずしもこたえ切れていない状況です。これは、生活文化局の仕事を超えた問題ですけれども、早急に、このDV問題に伴う子どもの対策の受け入れ仕制を強化していただきたいと思います。

 それから、DV被害者や児童虐待の子どもの場合、そのほかの子どもに比べて、圧倒的に肉体的、精神的に疾病状態の場合が多いわけです。病弱児のケアの体制が、残念ながらこの間、成東の児童保健院の廃止、母子保健院の廃止などで、次々と後退しています。私は、率直に見直しを求めていきたいと思います。
 母子で避難した場合の住宅の提供などは、これは子どもさんを抱えての世代で、直ちに生活を確立しなきやならない、子どもさんの学校の問題、幼稚園の問題などありますので、ぜひこれは優先的に行っていただきたいと思います。

 最後に、加害者対策について。この加害を防止するための必要な対策というのは、今回新たに項目が設けられたことは、大変重要なことです。既存の法律の活用も含めて、被害者の人権、そして生命を守るという立場から、急いで整備していただきたいと思います。
 加害男性に対しては、圧倒的に男性が加害者なんですけれど、加害男性に対しては、再発防止とケアの両面から適切な対処ができるように、この分野では専門家も非常に少ないわけですが、専門家の協力や判断も仰ぐこと、ノウハウの蓄積、専門家の育成に力を注ぐべきだと思います。

 最後ですが、配偶者暴力の問題が、潜在的なものも含めて激増し、圧倒的に男性がこの加害者であるということの背景には、個々の家庭内の事情を超えた大きな問題があると思います。
 それは、男性自身が仕事や生活のストレスなどを抱えたり、追い詰められている傾向があるとともに、もう一つは、女性が、この間、社会的な自立や社会参加が急速に進み、女性の自立意識や自己確立の意識が非常に高くなっているにもかかわらず、男性全般に、これに対する無理解や男尊女卑の意識が根強く、女性との間にさまざまなギャップが生まれているということがあることは、間違いないと思うんです。
 この間題の解決が急がれているわけですが、ところが、この間、東京都の石原知事を先頭に、女性蔑視発言や、また女性財団の廃止、さらには最近のジェンダーフリーに対する非難、ジェンダーフリーの本来の目的が、性の違いに対する社会的な差別はもちろん、社会的な因習などからの個人の開放を目指すというものであるにもかかわらず、男らしさ、女らしさをすべて否定しているかのような、ねじ曲げた解釈に基づくこの用語の禁止、男女混合名簿の制限など、
これは重大です。
 私は、こうした知事のやり方、また教育長、都の教育委員会の先ほどの先日の決定など、改めて根本的に見直す必要があるということは、申し上げなければなりません。
 以上です。

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