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2006年3月17日財政委員会 財務局予算質疑
談合の防止・都立施設の売却問題・オリンピック基金は「都市再生」のテコの役割

●都の談合防止策を中小企業を守る立場で徹底を

○曽根委員 それでは、私から、最初に、資料もいただいております入札、契約についての、この間国の関係がほとんどですが、大きな談合事件が発覚しまして、改めて入札制度の改善、改革ということが社会問題として問われていると思うんですが、昨年の橋梁談合、道路公団、防衛施設庁、今回また新たに大手ゼネコンを初めとする、恐らく排除勧告が出されるだろうと思います。
 これらを受けて、昨年ですか、十二月、ゼネコン四社談合と決別という宣言も出されて、談合と決別という宣言を談合して出たともいわれていますが、本当にこのとおりにやればかなり改善されるんじやないかという詰もありますが、再発防止が当事者から出ただけでは、それが保証されたとはいえない状況だと思います。
 私どもは、東京都がこの間談合防止のために入札制度の見直しに繰り返し努力をされてきたことはよく承知しております。最近も、指名停止期間のより厳しい適用などについての発表がありましたが、その内容についてまずお聞きしたいと思います。

○山本契約調整担当部長 都の入札において入札参加者が、暴力団員を使って他の入札参加者を脅迫する悪質な事件が発覚したため、この四月から指名停止の強化を図ることといたしました。
 主な内容としては三つございます。一つは、入札参加資格の取り消しであり、極めて悪質な企業については、競争入札参加資格を二年間取り消しいたします。
 二つ目は、指名停止期間の延長であり、談合等行った企業に対して、最長十ニカ月である指名停止期間を最長二十四カ月にいたします。
 三つ目は、指名停止対象の拡大であり、営業譲渡等により、指名停止を受ける原因となった部門を譲り受けた企業や談合を行った者が役員とし
て所属する他の企業に対しても指名停止を行うことでございます。

○曽根委員 かなり突っ込んで改善が図られ、これが全国的にも大きな影響を持つと思います。こういう問題があるんですね。これは首都高速道路の工事ですから、東京都や自治体の仕事ではないんですが、北区の堀船というところで昨年九月には水害事故もありましたが、ここで高速道路王子線、既に開通はしているんですが、石神井川の橋梁工事が行われていまして、開通後の騒音、振動がひどく、工事のやり直しが必要ということになって、その入札が行われたんですが、だれも手を挙げなかった、応札がなかったと。
 なぜかというと、この期間、この工事を最初に手がけた横河ブリッジが指名停止にかかっているんですね。横河ブリッジが参加できない入札ということでだれも手を挙げない、こういう事態のために北区議会では首都高速道路、今株式会社ですけれども、横河ブリッジの停止期間が終わってから入札をするか、隋契でやるというふうに報告をせざるを得ない事態になっているわけです。
 結局、横河の手がけた仕事に後でだれも手が出せないという現状があるわけで、私は全国探せばこの程度のやり直し工事は、全国見れば、幾らでもやれる技術を持っている会社はあると思うんですけれども、こういう事態を許していたら、談合企業の体質は変わらないと思います。
 ところで、東京都の指名停止企業についての一覧表をもらいました。二月一日現在ですが、この中に橋梁談合の企業入っていないんですが、これはどうしてでしょうか。

○山本契約調整担当部長 橋梁談合によって公正取引委員会から排除勧告を受けた企業は、四十五社ありますけれども、そのうち都の入札参加資格を有する四十二社に対して昨年指名停止を行いました。五杜については今月末までの指名停止となっておりますけれども、他の三十七社は既に指名停止期間が終了しております。

○曽根委員 ですから、リストの中に横河ブリッジが入っていないんですね。東京都は指名停止期間が終わっちゃっている。企業の方では、これを喪が明けるというふうにいうんですけれども、もう今までと同じように堂々と入札参加できるという状況です。こういう事態をやっぱり許しちゃいけないというふうに思うんです。何でそういうことを知っているのかというふうに疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが。
 それで、東京都としてこういう事態を踏まえて、入札をより公正にするために、さらに徹底した努力が必要じゃないかというふうに思います。
 幾つか、今取り組んでいる内容について伺いたいんですが、一つは、やはり大きな工事になると、もう大手しかとれないと。ですから、数が限られた中での入札になるということで非常に談合がしやすくなる。しやすい条件ができるということ。それから、そこに中小企業が入れないという問題があるんですね。
 そこで、かなり大きな工事でもできるだけ分離分割発注を行い、また中小企業の側ではジョイントを奨励するということなどを通じて、中/ト企業が東京都が発注する大規模な工事であっても、入札に参加できる道を広げることで、公正な競争をやはり進める大きな条件をつくるということが必要だと思います。
 それから、もう一つは、今東京都は入札予定価格を事前公表しているんですが、小さな工事ほど、この中で応札が全部最低価格に張りつく。つまり、ロアーリミットですね。赤字覚悟ですよ、みんな。小さな工事だから、これで赤字出ても仕事がないよりはましということで、みんな、例えば八割がロアーリミットなら八割の額でぴったり合わせて、あとはくじ引きですね、そうなると。入札の意味が私はかなり薄れちゃうなと思う。
 そういうことを克服していかなきやならない。そのためにはまず第一歩としてですけれども、地域別、それから規模別の指名入札にしていって、できるだけ、他の地域から参入してきてたたき合いになることを避けると。その地域の工事、もちろん一定規模以下の工事ですけれども、地域の企業がちやんととれるというふうに仕組みをより徹底すること。
 それから、改めてさまざまな手法によるペーパーカンパニーの参入を防いでいく必要があると思うんですね。こういったことについて、東京都も努力されていると思うんですが、現状をお聞きしたいと思います。

○山本契約調整担当部長 まず、中小企業が入札に参入する道を広げることについてでございますが、都はこれまで公共事業における中小企業者の受注機会を確保するため、いわゆる官公需法に基づき、工事等が適切に施行できる範囲で可能な限りの分離分割発注の推進に努めてまいりました。
 また、一定規模以上の工事については、大企業と中小企業との共同企業体方式を採用しております。さらに中小企業から構成される事業協同組合等の活用にも積極的に取り組んできております。
 その結果、平成十六年度における都の工事契約件数のうち、中小企業が受注した工事契約件数の割合は八六・三%となっております。
 次に、規模別、地域別の入札とペーパーカンパニー対策についてでございますけれども、工事請負契約の指名競争入札においては、発注予定金額に対応した等級の企業を指名しております。また、発注工事の施工場所付近に営業所を有する企業を優先的に指名できることになっておりまして、地域に着目した指名も行っております。
 一般競争入札の範囲拡大の議論がございますけれども、このように地域性に配慮することとの関連を十分斟酌する必要があるのではないかと考えております。
ペーパーカンパニーといわれる企業につきましては、工事の施工監理を行う監理技術者等を直接的かつ恒常的に雇用していない場合があることから、都は入札参加者に対してこの直接的かつ恒常的雇用関係の確認を行ってきており、恒常的期間の取り扱いを工事希望申し込み日の三カ月以上前から雇用関係にある者として厳格に確認しております。
 引き続き、中小企業の受注機会確保などに努めていく考えでございます。

○曽根委員 今いったことは、以前から私どももいってきたし、またほかの党の方々も提案をされていて、私、ペーパーカンパニーの問題なんかは、公明党の前の都議会議員の森田さんなんかが積極的におっしゃっていたのをそうだなと思って聞いていたんですよ。
 しかし、大手のところがやっぱり悪いというのが、この間の国の方の教訓でもあるので、改めて、東京は中小企業が支えているということが東京都としてもきちっとそれにこたえられるような入札制度の改善を行っていただきたいと。
 それから、これは財務局の担当じやないんで、意見だけにしておきますが、一部の大手企業が、例えば特殊な技術などを独占して、また市場も独占しているというような場合、中小がその下請にならざるを得ない。また工事全体の管理能力、こういう点で、どうしても、現場ではみんな下請で中小企業がやっているんだけれども、結局全体をコン.トロールできる力という点で、どうしても勝てないということを克服していく必要があると思うんです。
 そのために健全な中小企業の育成、技術的にも都が研究所などのノウハウを使って、最先端の技術を中小が身につけられるように支援することなどが必要だということで、国に比べて都がはるかに進んだ取り組みをしていることは重々承知の上ですが、そこに安住せずに引き続き努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

●都有財産の安易な売却が都民被害を深刻にしている

 次に、これも資料でいただいていますが、都有財産の、各事業局から引き継いで売却処分などをしてきた資料をいただきました。これを見ますと、都営住宅などは別にして、都立学校、福祉施設、病院などなど、保健所など、その多くの用途の廃止、財務局への移管、そして一部売却も進んできているということに対して、我が党、ほとんど反対をしてきたし、私自身も文教委員会や厚生委員会その他でこの間、一つ一つの問題について取り上げて質問もしたり、また反対意見を述べた記憶があります。
 財務局から見ると、こういうふうにリストになってしまうんですけれども、一つ一つの施設がつくられてから長い年月、その役割を果たして、その役割が終わったかどうかの判断は、それぞれ立場があるにしても、施設が一個なくなるということは、ただ建物がなくなるだけじやなくて、そこを利用していた多くの方々のさまざまなドラマや人生が変わってしまうということだってあるわけです。
 一つだけちょっと紹介しておきたいんですが、これは厚生委員会のときにも厳しく追及した成東児童保健院というのがあるんです。これは千葉県成東町にある。これが既に廃止、売却されて千葉県あてに、三ヘクタールぐらいあるんですけれども、この値段かと思うように安い値段で売却されている。ここは当時私も尋ねて、・廃止計画が出たときに、そこの職員の方とか子どもたちと詰もしたんですけれども。そのときに一人の子どもに一千万円以上の金がかかっているんだということを上からいわれているというふうな話がありました。恐らく財務局が直接乗り込んでそんなことをいうという関係ではないと思いますが、恐らくその当時担当の衛生局の方でそういう議論があったんだと思うんですけど、しかし、そのバックに財政当局による金がかかり過ぎているという話がまさかなかっただろうねというふうに。
 ここの廃止が決定した時点でも三十二名いたんです。その後なくなるまでに次々とほかの施設に移されたんですが、例えばおととし、廃止の最後まで残っていた二人の姉妹が、お姉さんは児童養護施設に、その施設がいっぱいだったので、お姉さんだけしか受け入れられないということで姉妹はばらばらになりまして、妹の方は一時保護所に行ったんですね。
 一時保護所に移ったときがちょうど小学校入学年齢のときで残念ながら入学式には出られませんでした。移ったのがちょっと遅かったので。
 それから、さらに伊豆長岡学園にその子は移りました。その伊豆長岡学園が今度民間移譲で民間に任される。幸いにもその妹さんは昨年の八月にお姉さんと同じ施設にやっと措置がえになったという状況です。一人一人追っかけていったら、無数のドラマがあるわけなんですが、果たしてこの子たちは本当に成東が必要なかったから移ったのか。それとも、必要だったんだけれども、東京都がいわば財政の事情によってこういうことになったのか。
 ここは、都民の立場から見て、いろいろ意見があるでしょうが、私は納得できない問題なんですね。
 この児童保健院はご存じのように、病気を持ちながら、一般の児童養護施設ではなかなか通えない学校に通わせるための医療っきの養護施設で、全国ではここと岩手県のニカ所しか公立のものはないといわれていたもので、残念ながらその−カ所は千葉県に、今どういうふうに使おうとしているかわかりませんが、移らざるを得なかった。
 東京都ならば、こいう施設を一カ所ぐらい持っていても、私は、今でこそ生かせるんじゃないかと思いますが、残念でなりません。
 そういったものを含めて、一つ一つには私たち、承服し切れないさまざまな問題があると考えております。
 先ほども聞きましたが、改めてこういった施設の一つ一つについて、財務局は、背後から有効性がないとかいうようなことを事業局に対して、圧力をかけるといいますか、アドバイスするようなことはしていないというふうにいえますか。

○泉本財産運用部長 所管局で役割を終えた財産につきましては、財務局で当該財産を引き継ぎまして、全庁的な観点から、各局と活用について協議をしているところでございまして、売却を優先しているものではございません。
 また、地元区市町村などの取得意向なども踏まえ、行政ニーズがないと判断した場合、売却、一般競争入札による売却など、適切に処理しているところでございます。

○曽根委員 私、そういう部長の答弁だけでは納得できない問題を昨年知ってしまったんですね。百条委員会で。というのは、私もよくは知らなかったんですが、おととしの九月に財務局が幹事局となる都有財産利活用推進会議というのがつくられて、各事業局に対して、例えば職員の研修施設が有効に動いているのかということを局を越えて財務局が主導で、各局にさまざまな点検、調査を行うということまでできるような組織として立ち上がったんじやないかと思うんですが、この推進会議は今どうなっていますか。

○泉本財産運用部長 この推進会議は十六年九月に設置いたしましたが、その後財産情報システムの構築、そして、その統廃合等の推進、さらには事業残置などの調査、活用方法の検討などの重要な項目について検討はしてきてございます。
 今後とも進めていきたいと考えているところでございます。

○曽根委員 まだ組織は生きているわけですね。それで、もちろん全庁的な立場から、どの局の施設であっても、それが本当に都民的に見て、また職員の利用する施設であっても、その目的にかなって利用されているかどうかをお互いに検証し合おうじやないかというのは、それ自体悪いことじやないんですよ。ところが、強力な権限を持った組織が一たん悪用されるとどうなるかを私たちは見てしまったわけです。それは事実だから。知ってしまったんですよ。
 つまり、時の権力を握っている人が、部長を使ってつぶしたいと思っている、まだ役割を果たしていた社会福祉総合学院のところに行って、どうなんだと。逆に小日向の、当時福祉保健局、職員の研修センターについてどうなんだということで、これをこっちに持ってきてこっちは追い出そうというような策動に事実上利用されたという実態ですよね。 こういう悪用、乱用は絶対にあってはならない。その保証は私まだないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○東本財産運用部長 都における土地建物の所有は、租税負担がないことから、コスト意識が民間に比べまして、働きにくいものになる、このように考えております。したがいまして、常に土地建物の持つ市場における経済価値を意識した効率的な財産運用が不可欠、このように考えております。
 その前提の上でこの推進会議は全庁的な協議の場、特に体系を超えたオープンの協議の場として設置した、先ほどもご説明いたしました財産情報システムの構築をいたしましたけれども、この四月から可動しますが、これまでは財務局でしか見えなかった情報が、各局、会計相互に一定のセキュリティーの確保をしながら行われるオープンの方向を目指しております。
 このような取り組みはご理解いただけるかと思いますが、乱用を目指すものではございません。

○曽根委員 その部長がおっしやったその論理で、小日向にある研修センターは、売れば高く売れる、研修施設は練馬でいいじやないかということで、動かそうという論理が動いたんです。流れができたんです。確かに小日向ですから、一等地ですから、高く売れますよ。しかし、研修所を利用している職員や、その関係の方々にとっては、練馬と小日向では、それは研修所としての利用という点では、やっぱり違うんですよ。目的にかなった利用という点では私は小日向の今ので立派に役割を果たしていると思うので、やっぱりコスト論、経営優先という考え方だけではこういう施設一つ一つの役割ははかれないんだということを改めて強調しておきたいと思います。

●投資予算は経常経費の中にも含まれ総額1兆円近く

 それでは、来年度予算について幾つかお聞きしたいと思います。
 まず最初に、先日代表総括質疑でも明らかにしましたが、二〇〇〇年度から二〇〇四年度までの福祉関係費と土木関係費の増減について、改めて正確にしておきたいと思います。
福祉関係費の二〇〇〇年度、二〇〇二年度、二〇〇四年度の決算数値、また一方での同じ年度での土木関係費から住宅費及び廃棄物費を除いた決算数値はそれぞれ幾らでしょうか。

○安藤主計部長 ただいま理事の方からお話がありました福祉関係費の決算数値は、二〇〇〇年度は六千五百五十五億円、二〇〇二年度は六千三百億円、二〇〇四年度は六千十六億円となってございます。
 また、土木関係費の決算数値でございますが、二〇〇〇年度は五千九百三十三億円、二〇〇二年度は六千四百二十億円、二〇〇四年度は六千二十七億円でございます。二〇〇〇年度から二〇〇四年度にかけましては三百九十三億円減少し、福祉関係費とほぼ同じ水準となってございます。

○曽根委員 以上が正確な数値でありまして、赤旗の記事についてと同時に、私ども都議団の出した宣伝物についてもこの際訂正をしておきたいと思います。
 二〇〇四年度に住宅費を除く土木関係費が、今、同水準というお話がありましたが、福祉関係費を上回っていること自体は事実で、福祉予算の異常な削減ということの一つのあらわれとして改めて指摘をしておきたいと思います。
 全国の政令都市を含む大都市を持つ県の財政を見ても、一斉地方選挙がありました九九年度以降、普通会計決算での福祉保障費に当たる、いわゆる普通会計では民生費になっていますが、この比率を下げているのは東京のほかには兵庫県しかありません。兵庫県は、阪神震災後の対策で特別に多く組んでいた福祉関連予算が減ったという事情があります。
 さらに、これも予算の質疑の中で、予特の質疑の中で指摘をしましたが、土木関係費に加えて、経常経費に含まれているさまざまな形での投資関係の予算、これがある、両方合わせると一兆円規模に近い規模になっているという指摘をいたしました。投資的経費に含まれないものとして、例えば地下鉄建設の助成だとか、日暮里舎人線や常磐新線などの車備事業への出費、臨海高速鉄道出資金、供給公社も土木の関係に当たるわけですね。それから、ふ頭公社、あと公営企業会計の病院や市場を除いた公共事業関係の経費、これらは経常経費の中に入っているんですね。 この中にはもちろん必要なものもあって、私たち、進めている立場のものもあります。しかし、同時に、例えば首都高の貸し付けだとか出資金もあるわけで、トータルで全体としてどれぐらいの規模なのかということを正確に押さえておきたいということなんです。これらの経常経費の中の投資関係の経費は総額幾らになるんでしょうか。

○安藤主計部長 ただいまお尋ねの経費でございますが、地下鉄、地下高速鉄道建設助成については、十八年度二百五億円などでございまして、これら、今合計八項目をご指摘いただきましたが、八項目の合計は二千九百三十六億円でございます。

○曽根委員 一般会計の投資的経費と言われている六千五百億円余の来年度予算と合わせると九千五百ぐらいですかね、億円になって、これが大きく一兆円に近い額で残されているというのが私たちの指摘で、もちろん、先ほども申しましたが、この中には必要なものもあるんですが、同時に、明らかに筋違いで、法的に見ても東京都が払う必要のないものがかなり含まれているんじやないか、そこを見直せば、この額そのものを大きく縮小できるということが私たちの主張であります。

●オリンピック基金は外環道路に使われることも

 それで、次に、オリンピック基金については先ほどいろいろ質問があったので、ダブりを省いていくどうなるかというと、先ほどこういう答弁がありましたね。一兆円を超えるオリンピック関連の整備費が必要になるだろう、これに備えての基金であるという答弁、これは私、聞いたのは初めてなんですね、一兆円超えるだろうというのは。
 それで、ちょっとそれについて確認をしておきたいんですが、オリンピック準備基金というのは、一兆円を超えるだろうと財務局が見ている関連整備の事業に対応するもの、一兆円を超えても全額を都が負担するわけじやないという詰ももちろんあるわけですが、それにしても、これらの整備の事業にかかわるものとして負担するものに対応するということでよろしいんでしょうか。

○安藤主計部長 オリンピックでございますので、他の外国の諸都市におきます開催状況とその経費を予算特別委員会の方へ資料が提出をされて、ロンドンでは、鈴木先生からも話がありましたけれども、二兆円近いと。ほかの都市の、前回のアテネ等もあるんですけれども、どうも関連整備費等が記入されておりませんのでわかりませんが、国家的プロジェクトとしてやるということでありますし、さまざまな競技場についても必要な部分は当然出てくるということで、私ども財政当局の覚悟といいますか腹づもりとしては一兆円は超えてくるのではないかというふうな思いで先ほど申し述べたものでございまして、何か裏の数字を財務局が持っているのではないかというふうなことでは全くございません。
 それと……(「何か数字があるんじやないの」「疑っちゃうよね」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。全くございませんので。
 それで、一千億円というものは、るる述べてまいりましたように、財政的な需要が当然想定される中で、将来の財政負担の平準化という、財務当局としては当然配慮すべき事柄でございますので、それに対する備え、そしてもう一つは、これまでの財政再建の取り組みの中で、東京都、財政体力を回復しつつあります。まだ一区切りついた段階でございますが、そういう状況の中で、これまでの成果を生かして、新しい目標としてオリンピックを掲げ、そこに向かって、東京都、全力で都議会ともども進んでいこうという、こういうことの中では、財政的にも大丈夫であるという姿勢を示す意味で今回基金をつくったものでございます。
 また、具体的な基金の取り崩し、充当につきましては、条例の中でオリンピックの開催に関連する社会資本整備と書いてございまして、繰り返しになりますけれども、今後、計画書の中で位置づけられた事業に対して充当していくということになろうかと思います。
 少し歯切れが悪いんですが、計画の中で今後やるべき社会資本等が明らかになれば、それらの財源を、この基金を使い、あるいは起債を使い、国からも、そして民間からもご協力いただきながら、財政のファイナンスについていえば、間違いのないようにやっていくのが私どもの使命であるというふうに考えてございます。

○曽根委員 ちょっと何か物が挟まっているかもしれませんが、大きな規模の財政がかかることは間違いない、それに対する備えということですよね。広くとらえれば、一兆円以上かかるんだから、その中での都の負担に対応するという、私の質問はそういうことなのかなというふうに受けとめていいと思うんですが。
 そうすると、これはまだはっきりとはいえないと思うんですけれども、しかし、この間の予算の質疑の中で吉田議員から質問したように、質問の答弁にも明らかになったように、外環は事実上オリンピックまでに間に合わせるということで進んでいるんじやないかということで、最初の答弁は、オリンピックに関係なく前から計画し進めてきた事業なんだというふうに答弁されていたんですが、途中から、オリンピックに間に合わせてつくってみせますとまでおっしやったし、知事は、国を動かして間に合わせるんだというような趣旨の答弁もされました。つまり、私たちはこれは決して賛成できないんですけれども、オリンピックまでに間に合わせたいということの事業の、いってみれば、今一番の最大の事業といえるのはこの外環になってしまうのかなというふうに思うんですよ。
 だから、計画の中で明らかになるんでしょうけれども、この外郭環状道路にオリンピック基金が何らかの形で充当される可能性は今の時点でも否定はできないと思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤主計部長 予算特別委員会でその点について議論があったのは十分承知をしておりまして、都市整備局長からは、外環は、首都圏の交通の円滑化とか環境改善はもとより、東京の再生に不可欠な路線であるから、それに、これまで幅広く地元との話し合いを行いながらいろいろやっているんだ、今後とも早く事業に着手して、早期完成できるように国に働きかけ、取り組んでいく、こういうふうに答えていらっしやいます。
 そして、外郭について申し上げますと、今、意義についてはそのとおりだというふうに思いますけれども、今後、オリンピック開催に合わせて整備を進めていくことになるというふうに受けとめておるわけですけれども、外環というのは、オリンピックの招致の話の前から地元に入ってお話をされているわけであるし、一方、都市整備局長からは、図面に青い線はないかという問いに対して、その中に外環が入っていたかと思いますけれども、これについては、オリンピック開催を視野に入れて整備が促進されていくことを期待する、こういうふうに答弁をされておるわけでございます。
 私どもは、今の社会資本整備基金とオリンピック整備基金はともに社会資本等の整備をやるわけですけれども、オリンピックの方が一般法に対して特別法みたいな感じでなっておるわけでございますので、それを使う事業は、関連事業というような位置づけを、どこかの時点で社会資本整備についてはそういうものがされるだろうというふうに思っています。
 その中で、外環についてその中に位置づけられれば、オリンピックのこの基金を充当する可離は出てくるというふうに思っておりますが、既につくるということを表明し、地元の住民の方々とも話し合いをし、それで、いつ完成するかというのは私も聞いていてよくわかりませんでしたけれども、そういう今までの路線上で外環の整備が進むものを、あるいはオリンピックに関連づけて何か特別なことということになれば、つまりオリンピック関連という位置づけに意義があるかと思うんですけれども、その辺の議論を待たないと、私どもとしては、基金が当たるのか当たらないのかというのはにわかに申し上げられないということで、これまた歯切れが悪いんですが、ご理解をいただきたいというふうに
思います。

○曽根委員 また今後、オリンピック関連のインフラ整備の中に位置づけられる可能性も否定はできないですよね。だから、これは間もなく明らかになるでしょうけれども、オリンピックの前から、オリンピックが出てくる前から使っていた施設、つくっていた施設というのはほかにもあるわけですよね。東京国際フォーラムだって使えるじやないか、これをオリンピックに位置づけて使いましょう、それから後楽園とか、いろいろ出ているわけですね。そういうことだってあるわけですから、前からつくったり供用されている施設でも、オリンピックに合わせてその目的のために使うという場合の、それを手直ししたりする事業というのは当然あって、これは当然入ってくると思うんですよ。外環もそういうふうになる可能性は十分あるわけで、私は、だからそういうことをてこに、例えば外環でいえば、外環としての物すごい大変な積み上げがあったわけで、これがほごにされるようなことは絶対あってはならないし、オリンピック自体がそういうことをいわば促進するためのてこにされるようなこともオリンピック精神に反するということを改めて強調しておきたいと思うんです。
 それから、知事は、一方で東京富裕論とか東京ひとり勝ち論は根拠がないというふうにいいながら、オリンピック基金のねらいとして、これは自民党の方への答弁なんですが、関連した基盤整備に備えて負担の平準を図るとか、今お話がありましたよね、強い意思を、オリンピック招致の意思を示すとかいいながらも、財政再建にもめどがついた、東京ならではの財政力の証左であるという答弁もしています。これは事実上、先ほど安藤部長の答弁でも、財政的な優位性というお詰もありました。
 先ほどの方は質問しなかったので、私、ずばり聞きたいんですが、こういうことをいっていると、やっぱり東京、財政富裕じやないかというふうに全国からは見られてしまう。
 それが事実かどうか、東京都民の需要にこたえているのかどうかということは抜きにしても、一般の予算と別に一千億円積めるような自治体はないわけですよ、ほかに。それをぽんと積んでみせる、まだ何も財政計画が出てないときに。これではやっぱり、私たちだけではなくて、さまざまなマスコミでも指摘されていますが、東京富裕論をみずから実証するようなものじゃないかと思うんですが、これはやっぱりやり方としてはうまくないと思うんですが、いかがですか。

○安藤主計部長 先ほどちょっと、外環のことでちょっと先につけ加えさせていただきたいと思いますけれども、外郭環状道路についていいますと、まだ負担の問題というのは、整備手法も含めてでございますけれども、決まっておりませんので、私、先走って、外環が関連道路になったときにそこに基金を充てるというふうに申し上げましたけれども、実は整備手法等を踏まえた上でのことでございまして、ここら辺もいまだ未定ということについてはご理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、富裕論の関係で、優位性という言葉を私、先ほど申し上げましたけれども、国家的プロジェクトで、かなりお金はかかるというふうに思います。それを全部東京都が負担するということではございませんけれども、やはりそれなりの財政力は、開催するに当たって、当たる、候補としていく都市としては備えるべき必要条件の一つだというふうに思っております。
 そういう意味で、何も福岡のことをとやかくいうつもりはございませんけれども、東京都、かつて一千億円からの赤字を抱えていた、さらにそれを回復して、ここまで財政的に立ち直りましたよということを示す意味で、一千億というのは意味のある数字だというふうに思います。
 また、ご理解いただきたいことは、オリンピック開催にたえ得る財政力をアピールはしている、そういう趣旨でいっておりますけれども、これはまた東京富裕論とは全く別物であるということでございまして、この辺はぜひとも曽根先生にご理解をいただきたいところでございますけれども、都財政も財政再建に一つの区切りがついた段階であり、例えれば、ちょっと前は瀕死の状態であったのではないかなと思いますが、現在、少し体力が回復してきた、こういうことだと思います。
 そういう中で、我々はかねてから、東京は大都市特有の需要を抱えております、そのための財源確保が課題であるというふうに各方面に訴えてきたところでございます。そういう中で、今回の予算におきまして、オリンピックのための取り組みに対して積極的に対応しておりますけれども、これは、都議会の皆様方、都民の皆さん方のご協力の結果、どうにか到達しつつある財政再建の成果であって、富裕論というのとは全く関係はないというふうに思っておりますし、矛盾をしているというふうには考えてございません。
 税収の増加というのは確かに事実でございますが、仮に使い道がなければ富裕だということになるかもしれませんけれども、オリンピックとも関連した都市基盤整備、これは先ほども、オリンピックを開催する、しない、基金を積む、積まないにかかわらずやらなきゃいけないことだ、こう申し上げました。こういう需要を抱えていることは確かでございまして、こういう東京がまるでお金が余っているというようないい方をされるのは私どももいささか心配でございます。ぜひとも東京都の財政についてのご理解を曽根先生によろしくお願いしたいと思います。

○曽根委員 私がよろしく理解するかどうかを超えて、都民がどう受けとめ、全国の自治体も含めた世論がどう受けとめるかの問題だと思うんですよ。

●都市再生の基金の膨張は再び借金拡大の入り口になる

 まず、一千億円をなぜ今なんだという話はさっきあったので、もう繰り返しませんけれども、こうした東京都が財政的に、じや、招敦が仮に決定した後でも積めないのかというと、そんなことは決してないという点でも、手続論的にいっても早過ぎるという問題もありますよ、もちろん。ただ、私は、そういうことよりは、むしろ本当に東京都がオリンピック自体を本当の意味で成功させるような形で招致したい、それから、東京都の大都市間題、大都市需要というものにまともにこたえようという決意があるならば、東京で今何が都民的に見て大都市間題として解決しなきやならないのかといえば、私は、全国的にも厳しい状態にある格差の問題だとか、そういうことだと思いますよ。
 去年の暮れ、私が代表質問したころは、私しかいってなかったような雰囲気だったけれども、今年になってからの各マスコミ、それからさまざまな国会での論議を含めて、格差問題というのは、今これをどうするのかというのは、今後の二十一世紀の日本の大きなテーマの一つになったわけですよ。
 例えば、東京都の足立区がどういう状態にあるかみたいな、かなりショッキングなレポートだって某雑誌には出ていることであって、こういった問題に光を当てていかないで見過ごすということはもうできなくなってきているということを改めて指摘しておきたいと思うんです。
 それで、オリンピック基金のもう一つの問題として、私、これが都市整備というか都市基盤整備、これに使われる基金の二番目だということなんですよ。今までも、一千億円を超える都市基盤整備基金ですか、これがあるわけですよね。来年度も積んで、合計で二千億円以上になる、倍になるわけですよね。一方に財調基金もありますけれども、こういうものがふえていくということが、ある意味で東京都の財政的なゆとりも示す反面、今後どう使われるのかという問題が当然出てくるわけです。
 東京都の財政の来年度予算の説明の中で、強固な財政基盤構築と構造改革の足取りを確かにする取り組みの一つの論拠と・して、基金残高が隠れ借金を上回るんだ、来年度予算でということが強調されているんですが、どうしてこれが強固な財政基盤構築の論拠になり得るのかなと、そこのところが私どうも納得できないので、その論拠についてお聞きしておきたいと思うんですけれども。

○安藤主計部長 今お話しのように、財政調整基金と社会資本等整備基金、そしてオリンピックの整備基金の三基金を合わせて六千億ほどになるわけでございますけれども、これら、設置目的は違ったとしても、財政運営上の視点で申し上げると、将来の財政負担を軽減するという共通の効果を持ち合わせておりますので、そのときの財政状況等を勘案しながら、将来の必要なサービスに備えるために蓄えた貯金だというふうに思っております。
 財政当局としては、この三基金が都にとっての純粋な貯金に当たるというふうに考えておりまして、都の貯金が幾らあるのかということを都民の皆さん方にわかりやすく説明するということを意味を持っておりますし、過去の数字を見ましても、十六年度末では隠れ借金が一兆円を超えておりまして、そのときの基金が約二千八百億で、差っ引きマイナス七千四百億ほどでございました。十七年の当初ではこれがマイナスの五千八百億になり、そして十八年度当初でこれがプラスになったということもございまして、この基金については、家計に例えるまでもなく、都民にとっての大きな貯金ができたという意味で、私どもは、財政の健全度ないしは構造改革は進んだという一つの象徴としてご説明を申し上げているところでございます。

○曽根委員 そろそろ予定の時間が近づいてきたので、以後、答弁は簡潔にお願いします。
 私たちは、隠れ借金というふうに東京都がしているものについては、過去の投資関係の負の遺産という面がありますので、何らかの手当てがいずれ必要だということは当然だと考えています。しかし、隠れ借金というならば、過去の最大の借金である臨海の転貸債のツケがまだ残っており、また、臨海の第三セクターが破綻処理に入れば、隠れ借金どころか、一気にこれが表の借金として都の負担になりかねません。
 さらには、一般会計の都債残高も七兆円近いレベルで、何年か先には下がっていくめどが立っているかというと、むしろ、この間計画されているさまざまな開発を見れば、ふえていく可能性が高いといわざるを得ない。こうした問題が解決の道が示されないままで、隠れ借金だけが問題にされて、来年度予算には、それを基金が上回るために、市場会計に、何も急ぐことがないのに繰り上げ償還して全額償還するというようなことは、やはりこれはおかしいんじやないかということは指摘しておきたいと思うんです。
 とりわけ、都市基盤整備の基金が二千億円を超えるという点は、これは単なる貯金ではなくて、使い道が都市基盤整備というふうになっておりますので、場合によっては新たな投資に、場合によらなくても新たな投資に使われる可能性が高いわけで、それ自体は借金ではありませんよ、しかし、今後これが引き金になって、また莫大な投資の呼び水となる危険性はあるんじやないかということを危快しているんですが、そういうことは絶対ないということはいえるでしょうか。

○安藤主計部長 どうも基金が負担の呼び水になるようにお考えでしたら、そういうことはないというふうに申し上げておきます。私どもは、オリンピックのこの基金についても、関連する事業についてはいずれ計画でお示ししますし、それをもとに財政計画をつくることになると思いますし、社会資本整備計画には、社会資本整備等の基金についても、金があるからむだなものをつくるというようなことは決して行うつもりはございませんし、その辺はぜひとも信用していただきたいと思います。

○曽根委員 こう私がいうのは、かつてバブル当時、都の予算では福祉はほとんど伸びませんでしたが、高い税収があった、ですから、当時は、その高い税収に支えられて、ほとんど借金しないでばんばん公共投資できたんですよ。だから、当時、都債はほとんどないんですね。ですから、国の補助がつかなくても単独事業でやりましょうということで、当時はどんどん単独事業で、全額都が出して公共事業をやれた。
 しかし、その流れがとまらないうちにバブルが崩壊して、その後は悲惨でしたよ。とにかく、毎年八千億円から一兆円の借金が、バブル崩壊で税収がどんどん下がっているのに借金だけがとまらなかったんですよ、何年かねっ このツケが今残っているわけですよ。あの暴走を結局とめられなかった。当時、金があるからということで単独事業が動き出しちゃったものだから、それがとめられなかったわけですよ。
 こういう事態が一回あったわけですから、私たちは、こういう、お金が残って、貯金できるというときに、これが
新たな投資に使われることに対しては、財務当局としては厳に慎重でなければならないということを申し上げて、答弁は要りませんので、終わりにします。

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