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2006・9・29財政委員会
「財政運営の指針で浪費型オリンピックに財政つぎ込むのはやめよ」

○曽根委員 私からも、今後の財政運営の指針について、何点か質問をさせていただきます。
 まず、この間、財政に関するプランが幾つか出されてきたものを読み返してみたんですが、その中で気がつくのは、都の財務当局における都財政の現状認識がどう変わってきたかということです。
 第二次財政再建推進プランの中には、都財政の現状というところに、五年連続となる実質赤字を記録し、経常収支比率も高い、隠れ借金もたくさん残っているというような認識が示されています。
 直近のところというと、都財政が直面する課題、昨年七月に出された文書でも、多額の隠れ借金を抱えていることと、七年連続で実質収支の赤字が続いているようなことが書かれている。
 ところが、今回、指針になりますと、赤字が解消されたと。これは予算のときからそうお話しになっているわけですが、それを支える都税収入については、今までは一時的な増収はあっても都税収入は不安定なんだというふうに強調していたのが、今回、財源の根幹をなす都税収入は、当面は堅調に推移すると見込まれるというふうに変わってきています。
 いわば、ことしの予算から認識が急に変化をしているというふうに受け取らざるを得ないんですけれども、あたかもオリンピック招致の話とタイミングを合わせるようにこういう表現がされるようになっている。一体実態はどうだったのかということになるわけです。
 まず、財務局としての都財政の現状認識、なぜこれだけ大きな変化がわずか一年足らずの間で起こっているのか,その点についてのご説明をお願いします。

○安藤主計部長 ご指摘のとおり、昨年度二つの冊子を出しているわけでございまして、今回新たに指針を出しましたけれども、都財政を取り巻く基本的な状況認識については、何ら変わらないというふうに私どもも考えております。
 今回の指針を含めまして、いずれの冊子におきましても、都税収入の動向については、景気変動に左右されやすい、中長期的には大幅な伸びは期待できないという視点に基づいて、引き続き財政構造改革を進めるという基調のもとに、そういった必要性を強調しているわけでございます。
 今般の指針では、短期的に景気が上昇局面にあることから、十九年度からの直近三年間について税が堅調に推移すると見込んだものでございまして、お話しのように、オリンピックと関連づけてどうこうするという意図は全くございませんし、たまたま景気回復とオリンピックが符号したということでございますので、ご理解のほどをお願いいたします。

○曽根委員 そうはいっても、昨年七月に出されたパンフレットの直後に、九月になってオリンピックの話が出て、ことし春先に、たしか東京都の検討会議の報告の中でも、都財政が再建されたからこそオリンピックを招致できるんだと、都の財政力を誇るような表現も見られました。
 先日のプレゼンテーションでも知事はそのことを盛んに強調し、場合によっては東京プロパーの資金でオリンピックを賄ってもいいんだということまでおっしやっているんで、大変なことになるぞと思ったんですが、そういうふうに都民向け、またオリンピック招致に勝つためとはいえ、そこまで財政力を強調するという根拠は何なのかということでちょっとお聞きしておきたいと思うんです。
 この中で盛んに強調されてきたのは、実質赤字の連続という問題なんですが、私たちは、これは、実質赤字といいながらも、財政的にはこの間、財政プランニ回、一次、二次ありましたが、通算七年を通じても、ここのプランの中で掲げていた財政見通し、税収見通しから見ても、財務局長が答弁されたように、二兆六千六百億円ですか、収入見込みを上回る税収があったじやないかと。でこぼこはありますけれども、七年で割っても四千億円近い増収。
 一体この間赤字で苦しいといいながら、いろんな都民サービスを切ってきたのは何なのかということを問うてきたわけです。
 そこで、連続の実質赤字ということについてお聞きしたいんですが、私、非常に素朴に考えて、昨年度の未に補正予算の中で、公営企業会計支出金支払い繰り延べの解消というのが行われました、四百億円。
 今まではこれができないために実質赤字が大体ここで生まれていたわけですよね。ほとんどこれですよね。四百億円。放っておけば昨年度未も四百億円の赤字が残るわけだったんだけれども、これを補正予算で解消したと。解消したのは補正予算の財源があるからなんですよね。
 そうしてみると、それまでの年度どうだったのかなと。いただいた基金の積み立てについての資料を見ますと、平成十一年度を除けば、その年度に積み立てた、もしくは年度末の基金残額とその年に出したといわれる赤字額を見ると、積立額の方が大体二倍かそれ以上ですよ。つまり、本気になって赤字を解消しようと思えば、少なくとも財調基金の積み立てだけだって、七年間のほとんどの期間、その年度の赤字は解消できたじゃないかというふうに単純に思うんですが、なぜこれが行われなかったのかな、その点についてご説明ください。

○安藤主計部長 十七年度決算で五百億余りの黒字になったわけでございますけれども、私ども地方交付税の不交付団体でございまして、しかも繰り返し申し上げておりますが、税収構造が大変不安定なものでございます。
 そういう中で、都民サービスを安定的に提供していくためには、財源の年度間調整の手段として、活用可能な基金残高というのはどうしても一定程度確保していくことが必要で、これは、ご指摘のように、赤字であるとか黒字であるとかとは別の次元の問題でございまして、必要不可欠なことと思っております。
 平成十六年度決算についてご指摘ありましたので、それについて申し上げますと、それが赤字となったのは、赤字の大きな要因であります公営企業に対する支払い繰り延べの解消とするよりも、やはり不測の事態に備えて、財政調整基金に積み立てておくことが今優先変が高いと、こう判断した結果でございます。

○曽根委員 私、十五年度決算と特定して聞いてないんですけれども、今聞こうと思っていたんですよ。先に答えられちゃった。(笑声)十五年度決算なんか確かに私見え見えだと思っているんですよ。しかし、例えばこの年度は、都税収入の増収額だけでも、この補正の時点で三千億近い増収が見込まれていた。その後最終的に決算ではまたふえるわけですけどね。
 そのときに、二百五十億ぐらいですか、なぜ今年度末の赤字が埋められないのか。そんなばかな話はないわけですよね。したがって、赤字解消を重要だと考えるならば、よほど大きなマイナス要因がない限り、基金を取り崩して充当したり、もしくは補正財源を使うことで解消はできたはずだと思うんです。
 確かに、年度間調整は私たち否定しません。基金を一定程度積んでおくことも必要です。
しかし、都民に対しては、七年連続の赤字を散々強調して、徳俵に足がかかっているという状態を強調しておきながら、実際には施策的な優位性は持っていないというお話が先ほどありましたが、それはなぜなんですか。

○安藤主計部長 十六年度で二百五十五億の実質収支の赤字でございました。このときの決算について申し上げますと、それが赤字となりましたのは、繰り返しますけれども、その要因は、公営企業に対する支払い繰り延べ四百億円によるものでございますが、それを解消することよりも、基金の重要性にかんがみて、不測の事態に備えてそこに積み立てておくことが、優先度として高いと判断した結果でございます。
 なお、この十六年度におきます特別の事情をちょっと付言させていただきますと、その年の十二月時点で、旧興銀訴訟判決というもので都税の還付が生じてきまして、これは前に当財政委貞会でも申し上げたことがございますけれども、急遽財調基金六百四十億円を取り崩しました結果、実は残高が百五十億円まで減少してしまって、私どもから見ますと、もう米びつの底に米は二、三粒しかないというような状況になってしまったわけでございまして、ここで何かか起これば完全に都財政がパンクしてしまう状態にあったわけでございまして、私どものこれを基金に積むという方向については、大方の方々にはご理解をいただけるものというふうに思っております。
 いわば、黒字にしたはいいけれども倒産してしまう。黒字倒産みたいな構造一概にいえるかどうかはわかりませんけれども、仮に黒字を優先したとしても、その当時私どもは一兆円以上の隠れ借金を抱えて、経常収支比率も九七・九%ということで、じや黒字になったから都財政は大丈夫ですとはとてもいえる状況にはないということでございまして、私どもとしましては、黒字倒産よりも、しっかりと財政運営ができる基盤を基金としてつくっておくことが必要だ、こういう財政運営の判断のもとに行ったものでございます。

○曽根委員 銀行課税のことが出ましたけれども、銀行課税の問題は、裁判としては平成十五年にたしか和解していますよね。したがって、今お話のあった時点では完全に予想が見えているわけで、しかし一方ではものすごい規模で当時都税収入は伸びていました。
 したがって、百五十億しかなくなってしまうという一方で、年度末に三千億近い積み立てができるというような事態、可能性もあったわけで、ですから、そういう差し引きを見れば、当然、私が申し上げているように、赤字解消ということを本当に大事だと思うんだったら、都民に対してそういうことはできないはずだ、そういういい方はできないはずだということを申し上げておきたいと思うんです。

 それから、負の遺産について先ほど質問がありましたので、負の遺産については、これは質問の予定がなかったんですが、私たちの考え方について申し上げておきたいんですけれども、基本的には、隠れ借金といわれていたものと大きな違いはないというふうに私、考えております。
 隠れ借金の方も、確かに赤字額の確定度は高いとはいうものの、負の遺産で挙げられたような有料道路にしても、モノレールにしても、それからここには入っていませんが、臨海の第三セクターについても、最終的な赤字額が決まっているわけではないし、現状では本格的な対策がとられているかどうかの判断も、これは現時点ではだれにもいえないことだと思うんです。
 第三セクターがもう一度破綻しないとはいえませんので、そういう点では、都財政として先を見て、これは赤字が膨らむかどうかという判断をしなければならないし、手を打たなきゃならないということは、私たち口を酸っぱくしていってきたことであり、それは単に借金を返すということだけではなく、その原因になっている三セクのあり方、外郭団体のあり方なども含めて、都の第二種市街地開発事業のあり方なども含めて、検討しなければならない問題だというふうにいってまいりました。
 もちろん、障害者の年金については別の問題です。これはむしろ、きちんと財政的なバックアップをして維持しなければならない責任があります。その点については申し上げておきたいと思います。

 それで、このように財政的にも二兆六千億を超える、いわば見込みを超える税収があり、しかも赤字といっても、本当の企業の赤字で法人税も納められないような赤字とは違う財政状況のもとで、今後どういうふうに財政運営を行っていくのかということが問われているんですが、この中で、今出されているように、オリンピック基金というのが予定されています。
 このオリンピック基金が、先ほど何か、いわゆる減価償却的なものというふうなお話がありました。私は全然違うと思うんですが、オリンピック基金は、四年分で四千億円となっていますけれども、これにとどまるという何らのあれはないと思うんですね。
 今後、その四千億円まではフレームに出されていますけれども、その後どうなるのかということについては何らかの考えがあるのか、それとも決まっていないのか、どうでしょうか。

○安藤主計部長 今回の財政フレームは、あくまでも十八年度予算をベースとしまして、現時点で見込まれる歳入歳出を加味した上で試算したものでありまして、これ自体、将来にわたって拘束するものではないということでございますので、そういう意味においては、オリンピック基金の積立額について変更することもあり得ないわけではございませんけれども、現時点では、あくまでも毎年度一千億円を前提としての財政運営を私どもは考えてございます。

○曽根委員 今のところもう少し詳しくお聞きしたいんですが、つまり、四年間で四千億円という、毎年度一千億円積立額についても変更がないとはいえないということと、そのフレームの後の年度についてもまだ定かではないという両方の意味が入っているということで、よろしいでしょうか。

○安藤主計部長 フレームというものの性格上から、私どもは、この一千億円を前提としての財政運営を考えているということを今回示したものでございまして、それ以上でもありませんし、その先の、それを五千にするかということについて、何ら申し上げているものではございませんので、そういう意味では決まっていないというのがお答えになろうかというふうに思います。

○曽根委員 フレームとはそういう性格のものですよね。だからこれからは三年間の間に、東京オリンピック招敦のためにもっと資金が必要だ、その年度の基金の積み立ての千億円テンポでは足りないということが出てきた場合には、変更もあり得るという性格のものだろうと思います。またそういう可能性がないのかといえば、私はないとはいえないと思っているんですね。

 この間の代表質問でもちょっと紹介しましたけれども、これは全部都が負担するとは限りませんが、例えば、関連がないといっている外環、その他の道路、これだけでも七兆円近い財政支出になっていくわけですよ。これは国も入ってくるでしょうけどね。しかし、直接的な経費であるオリンピック関連の競技施設だけでも膨らんでいくんですよ。これは間違いなく膨らむと思います。
 私たちは競技団体に全部取材したんですけれども、まあ知事が、何しろ任せてください、いかようにもしますというふうに、競技団体に直接電話もされたそうですね。それもある団体からお聞きしましたよ。知事から直接電話が来たと。何とでもしますというんですよ。いわれちゃったというんですよ。例えば、テニスなんかは有明コロシアムを使う予定ですが、隣のオープンになっているテニスコートでは足りない、屋根かけてほしい−屋根つけましょうという話があると。

 トライアスロンの話はこの間代表でしたのでもう繰り返しませんが、夢の島のユースプラザですね。まだ発足して三年ぐらいですか,今度取り壊して、PFIの契約どうなるかわかりませんが、横にある夢の島公園の半分ぐらいつぶして、大きなアリーナを二つ、それとアーチェリーの施設をつくると。
 大変な規模でつくるそうなんですけれども、一つ一つ見てみると、メーンスタジアムを国が二つ目つくってくれるかどうかもわからないということになって、莫大な資金。
 それを全部足し合わせると、先日申し上げましたように、八兆五千億円になろうかというような規模になるんですよ。
 ですから、本当にオリンピック基金がどんどんエスカレートしていく危険を私はあえて指摘しておきたいと思うんです。

 それで、今後の財政見通しとして、こういった問題を抱えながら、都民の方のサービスは削ってはならない、下げてはならないというお話、私もそのとおりだと思いますが、現実には、構造改革ということで、国が進めている医療、保険、年金、その他、税金についても見直しがやられていて、負担増は現実に都民に来ている。それが着々と今進んでいるわけですよね。
 したがって、その関係の出費は、高齢社会が進んでいくにもかかわらず伸びない、にもかかわらず税収は伸びているという事態が今進行しています。
 これはどういうことかというと、昨年十一月に、先ほどほかの委員も取り上げましたが、「人口減少社会における都財政運営のあり方」という冊子が出ていて、私これちょっとおもしろいなと思ったんですが、今後の長期収支の見通しパターンというのが三つ示されているんですね。
 パターンのT一1というのが、歳出も伸ばさないようにするけれども、歳入も落ち込んで、そのために財源不足が生まれてくるというパターンです。これは最悪のパターンだと。
 第二のパターンというのは、パターンT−2というもので、歳出は伸びていっちゃうんだけれども、その一方で歳入も伸びていく。だからこれで大丈夫、バランスがとれているというのが、これは楽観的過ぎるパターンだといって紹介されています。

 第三のパターンが、これが理想とすべきだというふうに研究会の方は報告しているんですが、歳出は構造改革でしっかり抑えていく、歳入の方も今後余り伸びは期待できない、両方が堅調に推移してバランスをとっていく、これが都財政の方向だというふうに研究会の報告では出ているんですが、財務局と
しても、この方向で基本的に今後の都財政は進むべきだというふうにお考えになるでしょうか、その点ちょっとお聞きしておきたいんですが。

○安藤主計部長 ご指摘のとおり、昨年研究会の方から答申がございまして、パターンT、パターンT−2、パターンUで、パターンUは、都税収入増減せず、財政構造改革に取り組むというようなことを方向として出しておりまして、私どもも、長期的な観点に立てばこういう姿勢で臨むべきだ、こう考えております。

○曽根委員 長期的にはという言葉はつきましたが、基本的には、財務局もこの研究会報告でいわれている、歳出の方も構造改革その他で抑え込む、同時に歳入もそんなに期待できないという形で、堅調にバランスをとっていく方向だということですよね。
 実際に、構造改革はきちっとやられてきているんですよ。もうびしびしと都民税、社会保険負担、のってきているわけです。
 その一方で、歳入の方は伸びているんですよね。ですから、歳出の方はパターンU、しかし歳入の方はパターンT−2の方でいっているわけですね。ここに乖離が生じているわけですよ、現実に今。
 そこのすき間を縫ってオリンピック基金が入ってきているという、雑駁ですけれども、今そういう構造です。少なくとも、ここ数年は堅調に都税収入は伸びていくというふうに財務局も見ていらっしゃる。
 私、これは危険な方向だと思いますよ。長い目で見たら大変なことになっていくと思うんですが、少なくともここ数年都税収入の伸びと、一方で都民の方は税金もふえ、社会保険負担もふえ、介護その他の負担もふえていく中で、なかなか厳しいという実態になるというそこの乖離が広がっている。
 そういうときにオリンピック基金が、幾ら膨らむかわからないけれども入ってきている。
 私は、こういう今の都財政運営の構造というのは、都民から見て非常に納得のいかないものだというふうに思うんですよ。
 これは、オリンピックがいいとか悪いとかいう前に、やっぱり都民の暮らしに対してもっとサービスを維持する−−維持するといったって今下がってきているわけですから、拡大するような、また都税収入の伸び、この間五百億円近く伸びてきているというものを都民に還元するような、そういった施策が考えられなければならない。
 つまり、歳出の中の社会福祉関係をこの際伸ばしていくようなことも考えていかなければ、都財政の都民から見たバランスがとれてないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤主計部長 オリンピックと関連して多々ご指摘をいただきましたが、私どもも、都税の増収は都民サービスの維持向上に必要となる施策の充実に活用していくことであるというふうに思っております。
 さらには、社会状況が大きく変化する中にあっても、どうしてもやはり我々の財政構造の持っている弱点であります税の変動等があるわけですので、長期的、安定的にサービスが提供できるような財政基盤を確立していくというこの二つの観点を踏まえて、適切に対応すべきだというふうに思いますし、現に十八年度予算におきましても、都市整備等と福祉と保健等とのバランスについては十分配慮しておりますし、その点については、都民の皆様方のご理解も待ているというふうに思っております。

 また、オリンピックが税の伸びた分のすき間に入り込んでいるというような趣旨でございますけれども、オリンピックは、先ほどのやりとりもございますけれども、社会資本の整備等とともに、環境でありますとか、福祉でありますとか、そういうものも当然伴うものでございまして、知事からは、東京五輪を成功させるには、交通渋滞の解消や先駆的な環境対策だけではなく、生活、文化、産業などのさまざまな分野で東京の将来像を国内外に明らかにして、成熟した都市の新しい可能性を世界に示すんだ、こういう姿勢でございまして、オリンピックに向けて施策を行っていくということは、都民の方々にとってもサービスの充実になるし、福祉の向上にも必ずや役立つものだというふうに考えてございまして、それに対して必要な財源を用意するのは、財務局の当然の責務であるというふうに思っております。
 また、八兆円等の数字が出ておりますけれども、これまでの経験を踏まえて、財政運営に節度を持って臨むというのは、私ども理事者ばかりではなく、都議会の先生方についても当然お考えのことだというふうに思っておりますので、そういうバランスの中で、オリンピックを後世に残せるような、バランスのとれた成果が上がるものにしていくというもののためにも、財務局はその責任の一端を担っていきたい、こう考えております。

○曽根委員 今、オリンピック関連の投資についてのお話があって、たしかオリンピック関連といいますか、都政全体が何でも絡んでくるわけですよ。
 もちろん直接のスポーツ施設だけではないわけですよね,その中には、先ほど話があったように、バリアフリーもあれば、環境もあるでしょうし、道路もあると。
 私たちがいろんなもの、要素を見てみると、道路が大きいわけですよ。八兆五千億のうち、私たちの試算ですけれども、七兆円が道路なんですよ。そういう意味では、バランスのとれた財政運営はそのとおりだと思います。必要です。

 だれから見てどうバランスがとれているのかということについては、これからの議論にしたいと思うんですが、今後の財政運営について、私、興味あるデータがあるので紹介しておきたいんですけれども、これは主税局からもらったんですが、平成十一年度のときには、都税収入の中で、個人都民税が三千五百七十億程度で、構成比八・九%なんですね。それに対して、法人事業税が八千七十億程度で、二○・一%だったんです。
 今日どうかということなんですよね。今日、個人都民税は、決算が確定している十六年度で見ると、三千六百六十一億で、八十億ぐらい伸びているんですかね。構成比八・六%で少し落ちています。
 それに対して、法人事業税は一兆六百六十七億ということで、構成比二五・一%。
 昨年度の予算で見ると、個人都民税が八・八%に対して、法人事業税は二六・○%と、都税の中で占める割合がどんどんどんどん法人事業税の方が大きくなって、金額の伸びも三千億円を超えようという勢いです。
 つまり、この七年間で個人都民税の規模を伸ばしているぐらいの、個人都民税の額がすっぽり入ってしまうぐらいの法人事業税の伸びがあるわけですよ。
 したがって、これが続いていくと、私は、都民一人一人の税金が、なかなか納められないという事態が厳しくなってきて、個人都民税が細っていく一方で、法人税がどんどん伸びていくという事態がしばらく続くんじゃないか。これはあまりいい傾向じゃないと思うんですよ。

 一つは、バブルの崩壊が心配なんですね。大体今までは、消費税が導入された直後の九十年に株価の暴落でバブル崩壊が始まっていますし、九七年の税率アップの直後にまた経済が悪くなっている。今消費税の話がまた出ているんで、バブル崩壊−−−今までのような規模かどうかはともかくとしても、また経済の大きな墜落というか、そういうことが起きかねないなということと、そうならないにしても二極化は進むと思うんです。
 今、「東洋経済」なんかで盛んに追っかけていますけれども、シャープの工場で正社員は年収七百三十六万円、その一方で、いわゆる非正社員、派遣社員ですね、三百十二万円ですよ。
 正社員の方は賃金上がっていくでしょうけれども、三百十二万円の非正社員の賃金は絶対に上がらないというのが特徴ですよ。開いてくわけです。人数は非正社員の方がどんどんどんどん多くなってきている。

 こういう事態がもちろん都内でも起こっているわけで、私は、こういう中での二極化で、例えば、労働難民、介護難民、医療難民などが大量に生まれてくるアメリカ型社会のような方向をたどってはならない、そのツケは国の政府は負わないわけですよね。大体自治体の方にこれは来ますよ。そのための大変な対策を打たなければならなくなってくる。
 そうなる前に、先ほどもお話がありましたが、早めに都民に対するさまざまなサービス拡充によって、少子化や高齢者、その他の負担増を克服する課題に取り組むことを強く求めまして、質問はこれで終わりたいと思います。

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