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2007年11月8日財政委員会事務事業質疑(財務局)
コスト計算の限界について・財政再建プランのしわよせで官製ワーキングプアが都庁にも

○曽根委員 それでは、私から、大きく二点、お聞きしたいと思います。
 一つは、前定例会で私は新たな会計制度による財務諸表の活用について質問させていただきましたが、その続きというわけじゃないんですけれども、コスト計算書などの活用について何点かお聞きしておきたいと思います。

●財務諸表はコスト計算の限界を踏まえ、都有施設更新等に活用を

 前回申し上げましたように、障害児教育の現場である養護学校のホームページにまで生徒一人当たりの行政コストを載せているというふうな問題については、余りにも無神経である、コスト計算のひとり歩きを戒めて、活用を慎重かつ適切な範囲に抑える何らかのルールや規制が必要だということを申し上げたわけです。
 今回、これとの関連で、行政コスト計算の仕組み上、同じ行政サナビスであってもコストが違ってくる問題について、確証のため資料をお願いいたしました。出していただいた資料で、都立の学校施設でA校とB校、事業所ということで、都税事務所だということですけれども、]とYということで、平成の時期に新設もしくは建てかえたものと昭和三十年代ごろの古い建物を比べれば、当然のことながら残存簿価でも大きな違いがありますし、減価償却費も数倍もしくは十倍ぐらいの違いが出てくるということがわかります。
 この違いが、この間、私、問題にしました行政コストとしての計算上の額の違いに出てくることになるんだと思いますが、いかがでしょうか。

○真田主計部長 ただいま先生お話しいただきましたとおり、施設の建設時期あるいは規模などによりまして減価償却費の多寡に違いが生じて、コスト全体の水準に影響を及ぼすということは事実でございます。
 しかし、そうした施設ごとの状況も含めまして、さまざまな判断材料を踏まえて、事業運営のより効率的、効果的なあり方を検討することは重要だというふうに考えておりまして、状況が違うからコストを比較すべきでないというのは、私どもとしては容認できない考え方でです。

○曽根委員 私、コストを比較すべきじゃないなんていっていないわけで、一定の限界があるということを踏まえた上での活用が必要だと申し上げているわけです。
 ここで出てくるのは、恐らく減価償却費が毎年違っているわけですよね。例えば、A校、B校でいうと三千万円ぐらいですか、違いがあるわけで、これが生徒一人当たりのというふうな計算をこの間のようにやれば数万円の違いになるのかな。ということで違ってくるわけで、しかし、これからコスト主義が余りにも徹底されると、数%程度のコストの違いにきゅうきゅうとすることになりかねないから申し上げているわけです。
 そんなことがあってはならないし、大体、都のほとんどの事業の場合、その事業を行っている建物の築年数の違いで、行政サービス、教育なり福祉なり都税事務所の仕事なりにサービスの違いが出てはならないし、実際ないわけです、そんなことは。
 ということでありますので、こういう点でも行政コスト計算には限界があるということを踏まえて、したがって、それぞれの行政分野の本来の使命を十分に果たしていくという観点に立てば、財務諸表を使って、例えば学校などの施設ごとのコストを比較して事業のあり方を利用者に問うというやり方は慎むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○真田主計部長 ただいま申し上げましたとおり、個別事情に応じて減価償却の状況が違うというのは事実でございますけれども、なぜそういう違いが出るのかというのは当然説明した上で、そのコストが妥当なのかどうか、それをご判断いただくためにそういった情報を提供することは意義あることだというふうに考えております。

○曽根委員 相変わらず意義あることだとおっしやるので、そういう説明がされないまま、本当にだれでも見られるような養護学校や都立の個々の施設のホームページにまで載っちゃっているから私は申し上げているわけで、そういう点は改めて強く申し上げておきたいと思うんです。

 それで、私、都政全体にわたって、減価償却費も含む資産情報によるこういう財務諸表が作成されたことで、むしろだれしもが期待をするといいますか、求めたいと考えるのは、今急務とされている膨大な都有施設の今後の更新費用を割り出していく上で大きな根拠となるデータが出てくるということではないかと思うんです。膨大な都有施設がある、その資産価値はどの程度なのかということがいろんなメジャーでこの間出されましたよね。
 現在、財務局は、大規模施設の更新を図るための改築や改修の方針をつくっているというふうに聞いていますけれども、この財務諸表が出たことでこうした作業が促進されたのではないかと思うんですが、現状についてお聞かせいただきたいと思います。

○真田主計部長 前回の財政委員会でも桜井委員の方からのご質問にお答えしたとおりでございまして、今年度、大規模施設等の改築、改修計画について各局に調査を実施しまして、現在、この調査を踏まえまして、大規模施設等の改築、改修に関する実施方針の策定に向けた検討を行っているところでございます。
 財務諸表におきまして得られたデータ、それらも当然参考にしながら、今現在作業を進めているところでございます。

○曽根委員 九月にいただいた決算参考書の財務諸表では、都有資産の減価償却額について、全会計を合わせると当期償却額が一千四百九十三億円余り、当期末減価償却累計額が二兆三千六百億円を超える額というふうになっています。全会計といえば公営企業会計も入りますから、都民からの料金でもって施設を賄うものは除いたとしても、一般会計でも、当期償却額は一千八十五億余り、当期末減価償却累計額は一兆七千億を超えるという状況ですよね。
 この数字から見ますと、これはもちろん簿価であって、減価償却方式によっても違いが出るのは承知の上で、また、現有施設をすべて維持更新していくとは限らないということも承知しているわけですが、都有施設を更新していけば、平均してこれから年間で一千億円規模の金額がかかってくるんだというふうに推定してよろしいんでしょうか。

○真田主計部長 ただいま先生の方からお話ございましたとおり、施設が建設された年次とか仕様とかによりまして、もともとの減価償却のもととなる建設コストも大きく異なってまいりますし、また、そもそも建設コストと改修コストが同額になるということもございませんし、また、すべての施設を更新するわけでもございませんので、改修経費と減価償却累計額が同額になるということはない、これは当然そうなるかと考えておりますけれども、ただ、今後の更新需要を把握するための一定の目安ということにはなるというふうに考えております。

○曽根委員 目安ということですけれども、いずれにせよ、今後、都有施設の維持更新だけでも巨額の費用が必要となることは、この財務諸表の一つの数字からも容易に予想され、当然ながら計画的な改築、改修が必要になると思います。

 私、その際、大変危惧しているのは、今都が大規模施設についての更新を検討しているということで、まかり間違っでも、大境模なものが優先されて、小規模なもの、特に都民生活に密着した都営住宅だとか学校その他、都民の身近なものが、相対的に小規模なものですね、後回しや、場合によっては、更新費用を軽減するためということで施設の統廃合が進められていくことがあっては、これは全く本末転倒であって、これは絶対あってはならないと考えますが、いかがでしょうか。

○真田主計部長 都民から預かりました貴重な税金を使って私ども行政サービスを行っているわけでございますので、その税金を使うに当たりましては、費用対効果を最大限発揮する、それはもう当然のことだというふうに考えております。
 そういった観点から、都有施設の改築、改修につきましても同様の考え方でございまして、すべての施設を機械的に改築、改修するということではなくて、やっぱり時代状況の変化あるいは都民ニーズの変化に対応して、その時代に合った費用対効果を求めて必要な施設を精査することが必要だというふうに考えております。
 それは単に費用だけで判断するのではなくて、費用と行政効果を比較して、それで更新すべきかどうかということを判断すべきだというふうに考えておりまして、費用が多額であっても効果が大きければ当然実施することになりますし、また、費用に対して効果が少なければ、当然見直すということにもなろうかというふうに思います。
 必要な施設を精査する取り組みというのは、単に費用面だけでの効率性だけではなくて、行政目的ですとか効果ですとか、そういったさまざまな要因を総合的に判断して行っていくものでございまして、これは行政として当然そういうふうにしなければならないというふうに考えておりますので、先生ご懸念のそういった点はないというふうに考えております。

○曽根委員 その答弁、非常に大事ですので、よく押さえておいていただきたいんですが、しかし、実際には、都営住宅など小規模なものは、区市町村が受け取らない場合、今、次々と住民はほかの団地に移転させて、除却が進んでいるわけなんです。北区でも、田端とか滝野川の地域の住宅で、これから三カ月ぐらいでほかの団地に移ってくれということが都からの通知が来て、みんな混乱しているという現状が実際あるわけです。
 ですから、私が危惧している点は、一部先取りが、これは局の方針とかいろいろあるんでしょうけれども、先取りされてきている実態が見かけられるものですから、くれぐれも財務局がそうしたことの、都民にとってどう大事なのかということの観点を抜きにした、いわば企業的な効率化のみで旗を振るようなことがないように、くれぐれもこれは申し上げておきたいと思います。今都民が求めているのは、都心の大規模施設優先ではなくて、より身近な、生活に欠かせない都有施設の耐震化だとか更新だということも改めて強調しておきたいと思います。

●財政プランの税収見通しを3兆1千億円も上回る一方、コスト削減で官製ワーキングプア生み出し

 次に、財政再建推進プランについても資料をいただきました。第一次、第二次の財政再建推進プランが終了して初めての決算が先日出されたわけで、ー次、ニ次を通じて、いつもお聞きしてはいますが、プランの見込みと実際の税収の違いは、最終的に確定された数字では幾らの金額の違いが出たんでしょうか。

○真田主計部長 平成十一年度に策定しましたいわゆる第一次の財政再建推進プラン期間中、平成十二年度から十五年度までの四カ年でございますけれども、そのときの都税の決算額は十六兆五千五百七十四億円でございまして、収入見通し十五兆八千四百億円に対しまして七千百七十四億円の増でございます。
 また、第二次財政再建推進プラン、これは十六年から十八年度までの三分年でございますけれども、同様に決算額が十三兆七千七百六十一億円でございまして、収入見通し十一兆三千七百億円に対しまして二兆四千六十十億円の増となっております。
 これらを合算しますと、都税決算額が合計で三十兆三千三百三十五億円、収入見通しが二十七兆二千百億円でございますので、結果として三兆一干二百三十五億円の増という形になってございます。

○曽根委員 三兆一千二百三十五億円の、それぞれのプランの見込んだ時期は違いますが、トータルすると見込みから増額があった。
 これと、それぞれのプランの中でさまざまな見直しが計画されて実行されたわけですが、例えば都民施策の見直しという点でいえば、一次プランで二千四百億円、これは一〇〇%以上達成しています。第二次プランでは一千二百億円、これは九四・五%達成していることになっているんですが、合計した額よりもはるかに大きい金額が、約四千五百億円ですよね、七年間でならしても。これがいわばプランの見通しよりも増額されていたということは、これは本当に都民要望をここまで削るどころか、むしろ増額・拡充さえ可能だったことが決算としては明らかになったと思うんです。

 都民施策の見直し問題は先日、決算委員会で植木議員が質問したので、ここでは繰り返しませんが、私、もう一つ、見直しの中で大きな位置を占めていた内部努力について、きょう、ちょっと何点か聞きたいと思うんです。
 資料の内部努力項目、財政プラン、財源確保のですね、目標額一千億円、その中の第一に給与関係費の削減というのが出てきます。これは、正規職員の給与の引き下げとか定数削減はもちろんですが、非正規の都職員にも及んでいるわけです。
 それで、ちょっと具体にお聞きしたいんですが、都の臨時職員、つまり一般的にいえばアルバイト、これの大部分の給与は時給八百円を切っていると思うんですけれども、現在幾らで、どこが決めているのかお聞きします。

○真田主計部長 現在の臨時職員の時給というか賃金の額でありますけれども、この十月十九日が直近でございますが、一日八時間としまして六千三百五十円でございます。
 この貸金の決定に当たりましては、基本的には、予算の範囲内におきまして各局が職務内容に応じて決定しているところでございます。

○曽根委員 各局が決めているといいながら、実際にはほとんどの方が日給六千三百五十円、時給にすれば七百八十九円で働かされているというのは、どこに、もとの数字があるんでしょうか。

○真田主計部長 ちょっと先ほど答弁でご説明が漏れて恐縮ですけれども、この六千三百五十円の根拠となっていますのは、基本的には、私ども、各局が予算を見積もるに当たりまして参考単価というのを示しておりまして、そちらで、賃金の参考単価ということでお示しした数字がその数字でございます。それに基づきまして、最終的にはそれを参考にしながら各局が決める形になりますけれども、結果として各局がそれを適用してやっているというところでございます。

○曽根委員 失礼しました。さっき六千三百五十円というお話でしたね。これは実際の実施は来年度の予定の金額じゃなかったかと思うんですが、いや、いいです。
 そうしますと七百九十四円ですよね、時給がね。どちらにしても八百円を切っているわけですが、今、民間の動向などを参考にしているというお話、それで参考単価をつくったものが、実際には各局がそれを使っているというお話がありましたが、八年前、平成十一年までは、日給六千五百六十円、時給八百二十円だったんではないでしょうか。

○真田主計部長 何年前ですか。

○曽根委員 八年前です。

○鈴木委員長 真田主計部長、わかりますか。

○真田主計部長 八年前、平成十一年度は六千五百六十円でございます。

○曽根委員 六千五百六十円、時給八百二十円だったわけです。民間の企業は、この間、八百円台ではなかなかアルバイトも雇えないということで、大体九百円前後まで上がってきているんですが、実際には、東京都の方は逆にこの八年間で下がってきて、いろいろでこぼこはありますよ、去年よりはことしはちょっと上がったんでしょうけれども、それにしても八百円を切っている。

 ほかをちょっと調べてみたんですが、都内の区市町村で平均が八百五十円ぐらい。東京都よりも臨時職員の賃金が低いのは奥多摩町と日の出町のみです。財政力豊かな東京都が何でこんなに低いのかということなんです。
 臨時職員といえども労働者ですから、その労働者の貸金を決めるのに、財務局が数字を出すと、それが全部ひとり歩きで、全部ほかの局がその金額を使って予算を計算するからそのとおりになっていく。結局、働く人を一人前に暮らせるような金額で雇うという形で検討されていないじゃないかというのが、私、率直な実感なんですけれども、少なくとも、今いわれている千円とはすぐにはいかないまでも、都内の自治体の平均八百五十円などを参考にして大幅な引き上げが必要だと思いませんか。

○真田主計部長 私どもの参考単価でございますけれども、これにつきましては国、他団体の賃金状況も参考としておりますし、また都の人事委員会の勧告内容なども参考にしながら、最終的にはそういったものと職務内容とをあわせまして、予算編成上の参考単価という形で各局にお示ししているところでございます。
 ちなみに、平成十一年からの数字を先生おっしやられていますので、平成十一年から十九年度まで参考単価がどうだったかというのをちょっと私も見てみましたけれども、この間、参考単価自体は、三・八%、平成十九年は下がっておりますけれども、例えばその間のベア率を見ますと、七・五%下がっておりまずので、そういう意味からすると、ベア率の下げ幅よりも今回の賃金単価の下げ幅の方が少ないということでございまして、そういう意味からすると、それなりの、職務内容等々、あるいは、他団体、民間の賃金状況なんかも加味した妥当な水準になっているというふうに考えております。

○曽根委員 下がり方が入勧よりも少ないから、それよりはましというお話はちょっといただけないんですけれども、もともとベースが低い上にまた下がっているわけですから。民間と本当にまともに比較した上でも、それから他の自治体と比較しても余りに低過ぎる。この金額は私どもはどんな職業であっても時給最低千円はということを政策で掲げておりますが、少なくとももっと大幅な現状からの引き上げが必要だというふうに申し上げたいと思うんです。
 まさにこれは、さっき血のにじむ努力とありましたけれども、実際は、血がにじんでいるのは働いている方だ、都民ももちろんですけれども、ということは申し上げなきやならないと思うんです。

●民間業務委託費の激減で正規雇用の清掃会社が仕事失いワーキングプアが生み出されている

 それから、都の雇用している職員もなんですけれども、もう一つあるのは、コスト管理の徹底ということは委託で出している事業などについてコストを見直していくということだと思うんですけれども、その一例として、私たちが任事をしております議会棟、この議会棟の清掃委託の費用が相当下がっていると思うんですが、この五年間の推移についてお知らせいただきたい。

○岡沢参事 議会棟に関します建物の清掃委託費でございますが、平成十四年度は九千七十二万円、十五年度は八千六百七千三万円、十六年度は四千四百十方円、十七年度は約四千六十四万円、昨年十八年度は約二千九百九十四万円となってございます。

○曽根委員 平成十四年、二〇〇二年度に九千万円以上だったものが、平成十八年度、二〇〇六年度、昨年ですね、二千九百九十万円と三千万円を切っているわけです。三分の一以下に下がっているわけですが、正規の雇用ではとても落札できない金額になっていると思うんです。実際、今働いている方々は全部アルバイト雇用だそうで、そういう会社でなければ入札では落とせないという実態です。
都は、一般的にいえば、都内企業の雇用については、雇用の安定とか正規雇用を呼びかけていると思うんですけれども、実際は、自分のところで契約して仕事を任せている会社には、結果として非正規雇用の企業しか残れない仕組みに現になってきているという点で、先ほどのアルバイトの安過ぎるという問題も含めて、これこそ本当に官製ワーキングプアを東京都が率先してつくり出してきているということにはなりませんか。いかがでしょうか。

○岡沢参事 ただいまお尋ねの契約金額が落ちている理由等でございますけれども、清掃業務委託経費につきましては、都民からお預かりしております貴重な税を効率的に用いるために、これまでも、清掃回数の見直しといった工夫を重ねてコストの縮減を図ってきたところでございます。
 契約金額が低下してきた原因につきましては、これは入札でございますので、入札に参加した企業が、清掃方法でございますとか機材の選定等につきましてそれぞれ工夫に努めたということに加えて、入札に当たって、企業の経営戦略上の思惑など、さまざまな要素があったものと考えております。
 非正規雇用を生み出していないかというお尋ねでございますが、業務委託契約でございますので、これは、委託者が求めるサービスを受託者が契約に沿いまして提供するということを目的とするものでございます。そのサービスをどのように提供するかということは、受託者の判断にゆだねられているものでございます。したがいまして、サービスの提供の際に従業員の雇用形態をどのようなものにするかといったことは、受託者側の経営上の問題に属するものと考えているところでございます。

○曽根委員 公共の契約で、そういうことだけで、きれいごとで済まされる実態じゃないということなんです。
 例えばこの議事堂の清掃についてなぜ取り上げたかというと、平成十五年度までは、東京都弘済会という財団法人、ここが受けていたわけです。それでも、その間に半分ぐらいに額が落ちたんだけれども、弘済会は頑張って引き下げて入札で勝ち残ったんですが、その後さらに入札額が落ちて、現在三千万円を切っていまして、ついに負けたわけです。
 東京都弘済会というのは、財団法人であることもあるんでしょうが、前はこの都庁舎の清掃で障害者も雇っていたんですが、それが維持できなくなったわけです、半分ぐらいに下がっちゃったから。 さらに下がったので、結局、都庁関係の清掃、ほとんど仕事を失った。下水やそれから水道局の仕事もなくなって、ついにもう清掃事業から全面撤退するということで、ことし、全員解雇、百五十人の清掃部門、整理解雇を労働組合に提案したということで、総務部長にもお話を伺ったんですが、本当に身を切る思いだけれどもしようがないんだ。ほかの民間企業は全部アルバイトだから、とても正規雇用では太刀打ちできない、そういう実態になってきているんです。組合としても、労働者がほかの企業で生き残るためには、アルバイトにならなきゃならない。正規雇用で雇ってくれる清掃会社なんかもうどこにもない、そういう状態にまでなっているわけです。
 こうした事態をやっぱり東京都が率先して進めていいのかという問題として、改めて、契約条件に正規雇用を行っている会社などの条件を入れるような方向で検討できないものでしょうか、これは。

○新田経理部長 今お話ございました清掃委託など、都が発注します業務委託契約におきましては、あくまでも、業務内容を仕様書、図面等に明示いたしまして、受託者におきましては、明示された業務内容を契約書に基づきまして適切に履行していただくというものでございまして、最終的には検査に合格することで履行が完了し、委託の目的が達成されるということになっております。

 入札契約の条件、これはなかなか厳しいものがございます。雇用形態など、企業内のマターに属します労働条件等につきまして、発注者として契約条件とするということで関与すること、これはなかなか適当でないというふうに考えております。

○曽根委員 今まで例が余りないのは事実です。しかし、清掃委託だということで、清掃のできぐあいはいろいろ検査するでしょう。だから、余り安く落とし過ぎたところは一回だめになった場合もあるというふうに聞いていますが、でも、ちゃんとやるように検査していけば、その面ではレベルは落ちないでしょう。しかし、最後は、そういう場合には労働者の貸金にしわ寄せがいっちゃうわけです。会社としての保険もない、国民健康保険と国民年金だけで雇われているという方が一生懸命仕事をしています。だけれども、時給八百五十円だというんだから。そういう実態を都庁みずからつくり出しちゃいけない。同じ都庁で働いているのに、我々議員だとか都の職員の方々と十倍以上も賃金が違う、こんなことでいいのか。貴賎の差別はないといったって、現に差別が物すごくあるという実態があるわけで、そこは私、改めて、難しいことはいろいろあると思います。隘路があるということはわかりますが、しかし、これからはやっばり、きちんとした雇用を行っている会社がちゃんと正当な仕事をし、負託にこたえる仕事をするんだというルールをつくっていく必要があるということを強調したいと思います。
 きょうは内部努力問題についてちょっと質問したんですが、東京都の第一次、第二次プラン、さっきもいいましたけれども、血のにじむ努力というのはやっぱり都民や職員の犠牲の血だと思うんです。そういうことでもって財源をつくり出して、そして今、財源に余裕ができた。また、景気もよくなったので、大手を中心にして法人税もふえてきた。その財源がまた、ほかの自治体との関係で摩擦が問題にされているということだと思います。
 それで、反論ペーパーについても一問だけちょっとやっておきたいんですが、私、今回の「都市と地方の共倒れを招く『法人二税の格差是正策』に反論する」というこの文書で、中身で私たちがもっともだなと思う点ももちろんあります。それから、前回、私が指摘した東京の昼間流入人口の問題も新たに入れていただきました。
 ただ、結論が−−その前に、私たちの基本的な立場としては、一つは、やはり国の責任として考えるべきは、先ほどどなたかいいましたけれども、ナショナルミニマムとして最低限国が責任を持たなきゃならない義務教育費とか、それから福祉の補助金などについて大幅に削り込んだというこの間の財源調整、交付金の引き上げなどについてはもとに戻すべきだということと、同時に、それでもなおかつ、東京都の昼間人口など、その他の大都市需要を考えてもなお東京都が財政的にはやはり差がある、地方との間に。ここは、国の関与ではなく、自治体間の自主的な努力で調整をする方法をやはり協議していかなきゃならないということは、都税調を初めとして申し上げてきたのでそれをまず申し上げておきたい。
 それに対して、東京都の結論なんですけれども、一七ページに、地方の自立を確立するために、小手先の対策ではなく、財政的に自立できるよう、消費税の税率の引き上げ、国と地方との配分についての抜本的検討に直ちに入ることというふうにあるんですが、少なくとも、東京都の自分の財源は手をつけられたくない、自分の懐は痛めたくない、そのために国民に対して新たな増税を求める。それも、かねてから申し上げているように、庶民の重い逆累進の消費税を第一に掲げるというのは全くの本末転倒で、こういう考え方が都民に受け入れられるというふうに考えているんでしょうか。

○真田主計部長 消費税の問題ですから、税制度ですとか、あるいは税率とか、そういう問題に関することにつきましては私ども、お答えする立場ではございませんので、私どもの立場とすれば財政運営の観点からお答えしたいというふうに考えておりますけれども、今回の国の議論では、限られた地方税のパイの中で大都市の税を地方に回そうとしているけれども、そもそも地方税と地方交付税を合わせた一般財源ベースで見れば、既に偏在は交付税によって十分均衡されている。それにもかかわらず今地方が因っているというのは、その最大の原因は、国が三位一体改革の名のもとに交付税を大幅に削ったことにあるんだというふうに考えておりますので、まずはこれを国の責任で復元するとい−うのが重要だというふうに考えております。
 ただ、本質的な問題である地方の自立に向けた検討をするに当たりましては、地方税財源の充実を真剣に考えるということをするならば、今の限られた地方税の中だけで議論していては、問題の本質的な解決にはならないんじゃないかというふうに考えておりまして、本質的な解決を検討するのであれば、地方税財源全体のパイをふやすことも視野に入れた検討が必要じゃないかというふうに考えていまして、そのための方策の一つとして、今回、消費税率の引き上げですとか、国と地方の配分の見直しとかいった方策を提言したものでございまして、そういう観点からこのくだりが出ておりますので、決して大都市の税源を守るためにそのことを提言したということではございませんので、ご理解いただきたいと思います。

○曽根委員 そうはいっても、前の方は全部、大都市財源をしっかり守るという話があって、最後に確かに交付税の問題もいっていますが、具体的な財源対策として、将来に向けて消費税、これは到底受け入れられませんよ。
 最近、新聞の方で世論調査をやって消費税の論議が出てきたものですから、社会保障財源に充てるといったって消費税増税に納得できないというのが五四%。「増税で社会保障」に対する反発だというふうに新聞にも書かれているぐらいで、ましてや、東京都の税財源を守るために、国民の皆さん、都民の皆さん、消費税で泣いてくださいなんて、どこがどうしていえるかという問題だと思うんです。
 まして、今、原油の高騰で大変なわけです。私も今ちょっと原油高騰問題もいろいろ調べているんですけれども、とにかく商店街の中で、少ないところでも五%、多いところは二○%から三○%の資材値上げで転嫁は困難、商売をもうやめなきゃならないというところが続出しているわけです。こういうときにこういう消費税の話を持ち出すというのは、本当に都民のことを考えていないというふうに、この結論については全くいただけないということを申し上げておかなきゃなりません。
以上で質問を終わります。

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