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07年2月27日財政委員会予算質疑

石原都政の投資予算は1兆円越え高止まり
借金体質の改善は都債発行を思い切って減らすこと


○曽根委員 私からも、都財政運営について何点か質間させていただきたいと思います。
 先日来の予算特別委員会でも議論があったところですが、東京都の石原知事になって間もなく満八年ということで、この間、私たちは財政運営のゆがみが一層ひどくなっているということも指摘してきたわけです。その一つの指標としての都債残高の議論がありましたので、正確にしておきたいと思います。
 一般会計の中の都債残高の知事就任直前の・・就任した年ですね。決まっていた予算での九九年度、平成十一年度末の残高と、来年度末、見込み額になりますか、の額はそれぞれ幾らでしょうか。

○安藤主計部長 一般会計におきます十一年度の都債残高は七兆一千七百十一億円でございまして、十九年度末見込みは六兆七千六百三十四億円となっております。

○曽根委員 この数字をもって一般会計の都債残高は下がっているという議論がありましたので、私たちは、これはべ−スがイコールではないと。たしか二〇〇二年度ですか、都営住宅事業が一般会計から特別会計に移っているわけで、これは大変大きな額になりますので、その分を除いてそれぞれ比べてみると、同じ年度の額はそれぞれ幾らになりますか。

○安藤主計部長 一般会計都債残高のうち、お尋ねの都営住宅事業会計分を考慮した場合の十一年度末残高は六兆三千七百六十八億円、十九年度未見込みは六兆七千六百三十四億円となってございます。

○曽根委員 したがって、ベースを同じにすれば、都債残高は若干ですがふえているのは、これは事実として押さえておきたいと思います。
 もちろん、先日の補正予算の審議で私申し上げましたが、だからといって、以前の鈴木知事、青島知事のころのように莫大な都債を石原さんになってからも発行しているというふうには申し上げてないんです。都債の発行額は確かに抑えられているんですよね。
 しかし、私たちは、都債が発行額が少なくなったことの一方で、いろいろなからくりがあるということについて、この間、明らかにしてきたつもりです。

 その一つであります、投資的経費以外に経常経費の中に含まれている投資部分、これについてきちんと見ておく必要があると思います。
 一つには、投資的経費がどうなっているかという点で、石原さんになって最初の予算を組んだ二000年度、平成十二年度、それから来年度、それぞれの金額は投資的経費で、幾らになるのかということと、あわせて、経常経費の中に含まれている投資部分、ピックアップしますと、例えば地下高速鉄道建設助成、これは交通局の関係ですね。それから首都高の、今は道路公団じゃない、株式会社になりましたが、出資金等、それから、日暮里・舎人線や常磐新線の整隋事業がありますね。それから臨海高速鉄道がありますね。あと、羽田の再拡張事業、住宅供給公社の助成もあります。市街地再開発事業会計、埠頭公社の貸付金、病院や市場を除いた公営企業会計の支出金などがあります。これらの合計額をそれぞれ二〇〇〇年度と来年度について述べていただきたい。

○安藤主計部長 まず、投資的経費の当初予算額は、十二年度は七千二百六十億円、十九年度は六千九百八億円でございます。
 それから、地下高速鉄道建設助成など、十ほどでしょうか、事業についてのお話がございましたが、これを単純に合計いたしますと、十二年度は三千二百二十五億円、十九年度は三千三百五十八億円でございます。
 なお、今、投資的な経費とおっしゃいましたけれども、首都高への支出金や貸付金などの経費はあくまでも経常経費に分類されるものでございまして、お尋ねがありましたのであえてお答えいたしましたが、合算するのはいかがなものかというふうに思っております。

○曽根委員 私、投資的経費とはいってないですよ。経常経費の中にある投資部分というふうに申し上げたのでね。用語の使い方はともかくとして、間達いなく投資事業なんです、これは、使われているのは。
 それで、合計すると十二年度は一兆五百億円近くになりますか。十九年度、来年度についても一兆三百億円近くになるということで、ほとんど動いてない。途中に、石原さんになってから何年か後に九千億円ぐらいまで下がったことはあるんですけれども、この合計額が、最近また、羽田の再拡張などが始まって、どんどん上がってきているわけですね。
 今後も上がり続けるでしょう、恐らくね。品川線も本格的に進んできていますし、新たにまた新しい道路をつくろうとしていますから。
 そういうことでいうと、一兆円を超えようというこの投資、私たちは投資型経費といっていますが、この部分が、これも都債の発行に裏づけられている事業ですから、それぞれが都債を押し上げる要因としては残っているんだよということは申し上げておきたいと思うんです。

 それから、投資的経費が減ったことも、私は中身がいろいろあろうかと思うんです。一つは、これはわかりやすい話なのでお聞きしておきたいんですけれども、公共事業はかなりの部分が用地買収にかかるわけで、私の地元で、例えば高速道路の王子線の工事が、当時いろいろ調べてみますと、用地買収費が大体八割ぐらい占めていました。この用地買収費が恐らく下がっているだろうと思うんです。
 それでお聞きしたいんですけれども、一番土地が高かった平成二年、九○年ごろと比べて、最近の実績でいうと、単位面積当たりの東京都の公共事業で買った用地買収の単価、どれぐらい下がっていますか。

○安藤主計部長 投資的経費のうちの用地費、そのうちの単価でございますが、普通会計決算におきます一平方メートル当たりの平均取得費は、平成二年度が五十三万円、平成十七年度が二十二万円となっておりまして、取得単価は約六割低下をしてございます。
 なお、用地費といいますと、取得面積も当然入ってくるわけですけれども、ちなみに申し上げますと、平成二年度が百二十一万平方メートル、平成十七年度が約四十七万平方メートルで、これまた約六割減少しておりまして、投資的経費ということで用地費を論ずる場合には、地価の下落だけではなくて事業量を減らしたこともございますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。

○曽根委員 やっぱり聞かないことも答えてきますね。そういうこともあろうかと思って、ちょっと私も、まだ雑駁な数字、ちょっと細かい数字は調べ切れなかったんですが、用地取得、確かに面積も減っているんですよね。
 ただ、単価が四割ぐらいになっているわけですよね、当時の。そうすると、同じ事業、同じ面積を買っても、公共事業の費用としては当時の四割でできるという、これは都債発行にも大きく影響することは間達いないというのが一つですね。

 それから、面積が減ったのの大きな要因は、私、例えば郁立公園、最近ほとんど新しいのをつくっていないとか、それから、都営住宅は新規に建設していませんので、都営住宅用地買わなくなったわけですよね。こういうのをトータルしたものがかなり大きいだろうと思っているんです。
 というのは、一方での道路予算、特に骨格幹線道路がほとんど落ちてないんですよ。九○年代当時も大体一千億オーダーでありましたし、来年度を見ても九百八十四億円ですかね、骨格幹線道路は。ほとんど大体一千億円前後で推移しているんですね。ですから、用地費も考えると、かなり事業量をふやしているのかなとも思うんですが、この辺は正確にはまだわかり切りませんけれども、いずれにしても、予算額としては骨格幹線道路は基本的に維持されている。

 一方で犠牲になっているのは、どうも生活関連、小さい細かい道路や、それから都立公固や都営住宅関係なんじやないかな。私ども、詳しく精査したわけじやありませんが、用地買収が減った中身は、そういうものが大きな要因を占めていることは間達いないんじゃないかというふうに認識しております。

 それで、もちろん骨格幹線道路について私たちは全面否定ではありません。これはいつも誤解されるような発言があるので申し上げておきますが、例えば、今回補正予算で通りました大田区の、たしか放肘一九号でしたかね、あれについては賛成しているんです、必要な道路ですから。住民要望もありますしね。だから、骨格幹線道路全面否定じやないんです。必要な道路なのか、しかしこれは浪費なのかというふうにして、吟味して私たちは申し上げているつもりですし、毎年予算組み替えも出しておりますが、骨格幹線道路全額削除ではなく、半分削除ということの中身も、やっぱりとめられないものもあるということは配慮しているつもりです。

 それから、こういうふうな大型の道路などを最優先にして、先日もちょっと議論しましたけれども、道路優先というような問題とか、それから、これから膨らんでいく経常経費などにも入っている投資部分、こういったものを路線を改めないと、本格的には都債残高減らしていけないんじやないか。
 確かに都債残高は減りにくくなっているんですよね、十年一括返済という都債の発行の形が変わっていますから。それにしても、もう石原さんになって八年たっているわけで、石原知事になってからのこれからは借金が、減債基金や、それから都債残高に全面的に影響してくる時代に入るわけですから、そういう意味でも、これからについては、こうした骨格幹線道路の見直し、全体は抑えている中で生活密着型が犠牲になっているという構造は改める必要があると思うんですが、この点についての見解をお聞きしたいと思います。

○安藤主計部長 道路予算について今ご発言がございましたが、私ども、突然ですので数字はございませんが、今ちょっと急遮調べましたところ、道路予算も落ちているはずでございます。投資の内容についてはいろいろ見解もあろうかと思いますけれども、道路にせよ、都民生活に密接に関連する施設の整隋にせよ、必要なものについては厳しい財政の中でもしっかり措置をしていくべきものだというふうに思います。

 また、今般新しく「十年後の東京」が出まして、そこで示されておりますさまざまな事業につきましても、財政再建の成果を還元するという意味でも粛々と事業を実施していく、そのために私ども財政当局としては必要な財源を用意するし、また、知事自身のご発言でもございますけれども、財政再建成ったとはいえ、やみくもな歳出拡大には走らず、締めるべきものは締める、こういっておりますので、必要なものに必要な財源を措置するということを基本にやっていくことになろうかというふうに思っております。

○曽根委員 そういうふうに主計部長おっしやっても、抑え切れない流れが今つくられようとしているわけで、私たちが先日、予算特別委員会でも私指摘しましたが、鈴木知事の末期、臨海開発に突入していったころに似てきているんじやないか。もちろん開発の性格等は達いますけれども。

 しかし、オリンピックをてこにして、私たちの試算ですが、八兆円を超える投資になろうとしている。これが本当に動き出したら、外環も始まった、品川線はやっている、また新しい道路構想が出てきたなどなどになってくると、本当に年間数千億円の新たな投資部分が出てくる可能性は十分にあるわけですよね。全体で大体・・・以前、青島知事のときにも、首都圏関係で十兆円という話もありましたし、オリンピック関連でも八兆円を超えるだろうというふうに私たちは見ていますので。それがこれから十年を焦点にして事業化していこうというのが既に出ているわけですから、大変な投資が膨らんでくる可離がある。

 それから、これはやむを得ない事情ですが、先ほども議論があった、これまで建設してきた都立のさまざまな施設の更新があるわけですよね。もうすぐ出していただけるということで、その試算を見て私たちも議論したいんですが、簡単に考えても三百ぐらいの都立のさまざまな建物がある、それが、どう小さく見積もっても、スパンによりますけれども、例えば半世紀スパンぐらいで更新を考えていく、建てたと同じぐらいの費用が大体メンテナンスにずっとかかっていくというふうに考えれば、毎年数百億、場合によっては一千億近い必要な事業が出てくる可能性がありますよね。そういう点で見ても、私は、極力都債の発行、特に浪費型の部分については極力抑えながら、都民に本当に役立つ事業にシフトしていく、私たちは、むしろ都立公園や都営住宅関係はもっとふやさなきゃならないというふうに思っているんですが、そういうふうに意見を申し上げておきたいと思います。

 それから最後に、先日、予算特別委員会で公明党の委員の方から指摘のあった、都債発行を抑えるべき水準として九二年というふうに、これは、補正予算の討論のときに私どもの会派から述べたのは、実際には九二年から都債発行がはね上がったわけですね、したがって、これは九二年より前というべきだったものですので、訂正をしておきたいと思います。訂正したからといって、私たちが述べてきた財政の間題の論拠が崩れるわけセはありませんので、そのことは申し土げておきたいと思います。
以上です。

○安藤主計部長最後にちょっとお話しさせていただきたいんですが、都債残高はふえているのが現実だというご意見でございますが、現実には減ってございます。
 制度の変更を無視して、数字を使って語られるのは重大な誤解を与えるものと思いますし、普通会計ベースで申し上げますと、十一年度と十九年度を比較しますと九千億円以上の減になっていることをたびたび申し上げてきておるところでございます。

 また、投資的経費が減っていないということでございますけれども、事実は減っておりまして、十一年度は九千億が、十九年度が六千九百億ということでございます。

 また、税を投入する単独事業について申し上げれば、十一年度は五千五百億ですが、十九年度は三千六百億と二千億近くも抑えているわけでございまして、歳出に占める割合も落ちてございます。
 また、客観的に数字を検証すれば、前にも申し上げましたけれども、起債依存度で申し上げれば、東京都を除く団体は、現在わかっている十六年決算で申し上げますと一五・六%、私ども、普通会計べ−スでございますけれども、八一二%と格段に低い依存度になっておりますし、地方債現在高を比較いたしましても、税に対します倍率で申し上げますと、十六年度、東京都は残高対税収比でいいますと一・八倍、他の道府県は五・九倍ということで、さまざまな数字を見ても、現在の都財政の姿というのは、客観的に眺めて十分な健全度を備えているというふうに思っております。

 その上で知事が、やみくもな歳出拡大に走らない、締めるべきものは締める、そして「十年後の東京」のビジョンでは、決してハード偏重ということではなくて、環境であるとか福祉であるとかも含めて姿をお示しして、それに向けて、必要な手当として基金をつくるなど万全の備えをしているというふうに思いますし、これまで十年間、都財政が直面してきた厳しい中で得た教訓というものをぜひとも生かしていきたいし、この財政委員会でもきっと厳しくチェックされると思っておりまして、野放図な財政運営が行われる、あるいは危機を招くような財政運営が行われるということはないというふうに私ども信じていますし、それを目指して財政運営をやっていきたいというふうに思っております。

○曽根委員 一言だけ、誤解があるといけないので。
 私、投資的経費減ってないとはいっていませんからね。減っている中身がやっぱり問題があるよというふうに申し上げているので。

 それから都債残高も、これは普通会計については計算方法として減債基金部分を除くことができるわけで、その合計額でおっしやっている。実質的には、それが借金返済のお金が担保されているんだという意味ではそういう解釈もありますから、それは結構なんです。
 しかし、私たちは、そうはいったって、もう石原知事になって八年たって、石原知事が最初になってから借りた借金の返しが減債基金にもなり、これから本格的に都債を返していく、つまり、都債残高で持っている金額を全面的に責任を持たなきやならないところに来ているんですよということを申し上げているわけで、それは誤解のないように申し上げておきたいと。
 くれぐれも、今おっしゃったように、浪費的な、無駄な出費が増えるようなことがないように、財務局はしっかりがんばってもらいたいと言う点では、まさにその通りですので、よろしくお願いします。
 以上です。

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