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2007年5月16日東京都税制調査会

消費税を地方税の中心に置くことに反対
ふるさと納税に疑問

(前略)
【神野会長】どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、ご意見、ご質問ありましたらお願いします。
 三つですね、地方の財政需要の増大について、基幹税のあり方について、環境税についてと三つを柱にしながら、議論を進めていきたいというふうに思いますが、いかがでございますでしょうか。状況について資料のご説明をいただいたのですが、ご意見、ご質問ございましたら。よろしいでしょうか。どうぞ。

【曽根委員】特別委員の曽根です。
 少しちょっと全体的な議論が、もしほかの方からあればとは思うのですが、きょうの事務局からの提案の中で、特に強調されておりました消費課税についての、国からの消費税からの税源移譲を強く主張してほしいという、ここが−番強く言われたように受けとめましたので、私はその点についてちょっと絞った、これからの議論を進める上での意見を述べたいと思うのですが、議論を進める上でこの点ですね。

 特に先ほど会長おっしゃったように、税財政をめぐっては激しい動きになっておりますので、絶えず原点に立ち戻った議論が必要であろうと。
 原点というのは、私の認識では、先ほどの参考資料にもあったように、地方自治体が仕事は6割やっているんだが、財源は4割しか自主財源がないと。そのギャップをどう埋めていくのかというところが出発点だろうというふうに思います。
 その点で、これは税制、地方財政の充実という点では税制だけではなく、国からの財源のさまざまな保障という形での交付金や補助金というのが現在もあるわけです。
 その中身として、例えば義務教育のように、国が一律に責任を持つべき財源まで、税源移譲と引きかえに削減をするというようなことは許されないということで、私たちは義務教育だけではなく、社会保障、医療、介護分野でも当然、このことが言えるだろうという点では、税源を国によこせというだけではなく、これまでの補助金の中で削減されたものの中にも、本来ならば国がちゃんと財源を地方に全国的な統一的な水準を維持するために保障すべきものがあると。この点の議論に対する配慮は、当然必要であるということが一つあります。

 それから、税金の間題について検討する上で、消費税の地方消費税への移行、さらには課税自主権も含めた移行ということまで議論することについては、前々から私たちは反対をしています。
 それは、これまでも繰り返し言っていたので省略しますが、逆累進性ですね。やはり住民に対する課税の負担としては、一番大衆課税として最悪の税のかけ方ではないかと。特に日本の場合、食料品まで全部かかっていますので。
 そういう点で私たちの希望は、やはり東京都の自治体としての財源確保という前に、やはり都民の利益を第一と考えるという立場が税制を考える上でも必要だろうという観点からの反対が一つあります。それからもう一つは、消費税が安定的な税収であるというふうに言われているのは、今日、国民的にどの世帯も大体平均収入が落ちていて、所得も毎年連続して下がっているときに、消費税が、安定的な税収があるということは、逆に言えば、食生活も含めた日常生活の中で、もう削りようがないところに課税されていると。
 本来ならば、もう税金を負担させるべきではない低所得、もしくは所得がない世帯にまで課税がされているという実態を反映しているとも言えるわけで、そういう点では納税者を苦しめているのですね。
 しかも、低い方の世帯の納税者を苦しめている。こういう税制を地方財政の中心に据えていくなり、またふやしていくということについては賛成できないということがあるわけです。

 ちょっと卑近な例で申しわけないのですが、私、最近事務所を商店街、小さな商店街ですけど、その中の一角に、おととし移しまして、商店街でいろいろな行事に参加させていただくようになったのですよ。
 そこは小さい商店街で、ほとんどのお店が、はっきりとは言いませんが、赤字でやっていると思います。中小企業の7割が赤字ですから。そういうときに1000万円まで課税の基準が下がった消費税を負担しているのは・・ほとんど赤字ですから、丸々負担と、生活費に食い込んで負担しているのですね。
 そういう方々がおっしやるのは、もうお酒飲んで本音が出れば、次に、少しでも消費税が上がったら、もう店たたまざるを得ないと。慈善事業でやっているのじやないんだと、お店は。ただ、地域の中で商店街が果たす役割がありますから、店閉めないで頑張ってきたんだけど、その生活費まで食い込むような消費税課税というのは、もう耐えられないという話がもう続々と出るわけです。

 そういう実態を踏まえて、本当に束京都の、もしくは都内の自治体の課税の中心に消費税を据えていいのかと。
 ましてや、課税自主権まで国からもらって、消費税率をこれから上げましょうみたいな話が東京都が仮にやったとしても、では地方自治体、ほかの道府県の自治体が、そこに住んでいる住民にかけられるのかと、今より高い消費税を。というのは、全く実態を見ていない議論だろうというふうに私は思いますので、この点については特にちょっと絞った発言になりましたけれども、議論をする上での都民の利益にかなった議論を、ぜひしていただきたいなということを申し上げたいと思います。
 以上です。

【神野会長】今のご意見は、今後検討していく中での話で、項目として事務局の方から提示していることについての反対ではないというふうに理解してよろしいですよね。

 (中略)

ふるさと納税に対する緊急答申の提案について

【曽根委員】できるだけ簡潔に私どもの意見を述べたいと思うのですが、まず、今出されている「ふるさと納税」については、幾つかの考え方がまだ相当幅広く出ていて、どういう形で定まるかがはっきりしないと。
 ただ、出ている範囲で言うと、かなり個人の善意に頼って、その人が「ふるさと」と認めるところに何らかの形で財政を持っていくと。
 その分は、住んでいる居住地の税源が減るという仕組みなのかなという印象ですが、かなり個人任せのものになるということは避けられないと思います。

 例えば、私は国鉄の家庭に育ったので、全国転々としまして、九州から北海道まで子供時代いろいろなところに住みましたので、心の「ふるさと」と生まれの「ふるさと」と学校の「ふるさと」は全く違うという、どこを選ぶか、結局は戸籍がもう移っている方が大多数でしょうから、個人任せになると。コントロールのしにくい税制であるということははっきりしていると思います。

 それから、もともとやっぱり東京に財政が集中していることの責任の一端は国がやっぱり持っているわけであって、その是正の責任を国民の善意にすがって解決しようという根性は余りよくないというふうに言わざるを得ないと思うんですね。

 ただ、形としてどういうものになっていくのかというのは見えないのに、明確な反対の議論は今、私は難しいだろうと。
 ですから、都としての緊急提言を否定するわけではありませんが、都としてものを言うとすれば、やはり現状として、現実にこのデータで見ても、法人二税を中心に都とそれから他の道府県の間の財政格差があることは現実でありますので、それをやっぱりお互いの自治体間で、国の介入を許さない形で納得できる解決の道を、水平調整の道を探っていくというようなやはり仕組みづくりだろうと。

 国の交付税だけで解決できていない現状がある以上、それはやっぱり東京都がリーダーシップをとってやっていくということについての何らかのアピールは、私はしてしかるべきではないかと。
 それがふるさと納税のような、非常に今の段階で言えばとっぴな形に対するオーソドックスな都としての対応じやないかというふうに思います。
 以上です。

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