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2008年6月19日財政委員会

払い過ぎの住民税還付の徹底を
工事契約改善で資材急騰にスライド制導入を

<1>収入が激減した人が、このままでは住民税で損をする。(主税局への質疑)

○曽根委員 今回の法人事業税国税化については、昨年の暮れ、私どもも、これまでの態度を一変させた知事の福田首相との合意、それに基づく措置がいよいよ出てくるということで、厳しく批判をしてきたところです。
 これはあくまで暫定措置だから、抜本的な税制改革によって解消されるんだという見通しを繰り返し都は示していますけれども、そんなに甘い状況じゃないんじゃないかと。抜本的な税制改革の展望と、本当にこれが短い年限のうちに解消されるという見通しを都は持っておられるのかどうか、この点についてお聞きしておきます。

○松田税制部長 今回の措置はあくまで税の原則に反しておりまして、分権の流れにも逆行するものでございますから、先ほど局長からも療弁いたしましたように、東京都として本質的に賛成できるものではございません。
 ただ、先ほどからの質疑にもあったように、国が十方的に決めるごとができる中で、国の方で都の重要施策に最大限の協力をするという約束を取りつけるとともに、今回の措置を暫定措置とすることを条件に、知事が首都東京知事としてやむなく受け入れ、協力を決断されたものでございます。したがいまして、今後、地方税財政制度の抜本改革の早期実現により、この暫定措置が速やかに解消できるよう、都としても国に対して強く働きかけてまいります。

○曽根委員 都が国に抜本的な税制改革の地方財源として今後求めている主な財源は、消費税の課税を強化し、それを地方財源とするということが主たる内容じゃないんですか。

○松田税制部長.今後の抜本改革におきましては、消費課税、あるいは地方法人課税、また今問題になっております道路特定財源のあり方を一体的に検討するとともた、単に財源だけではなくて、国と地方との権限配分、あるいは税収で賄えない分をカバーするところの財政調整措置、そういったものを総合的に判断する必要があるというふうに考えられます。都としても、今後こういったことを換封いたしまして、適切な時期に国に対して要求をしていくということになります。

○曽根委員 いろんな任組みの問題はもちろんあるでしょうが、何といっても地方の権限を拡大する最大の根拠は財源の拡大だということは、前から東京都自身が国に求めている文書の中でも強調しているとおりで、それを主な財源とした消費課税の強化に求めていることも、これは事実として明らかだと思います。そういう点で見ると、確かにその後、道路特定財源についての内閣の閣議決定もあって、この財源をどうするかというのは今後論議になるでしょうが、しかし、そう簡単に福祉や教育などに道路財源が回ってくるこという簡単なものでもなさそうだと。
 一方で消費税の増税についても、与党の中でさえいろんな議論があって、そんな簡単にまとまらないというふうにもいわれている。しかし、福田首相は最近、どうも増税に踏み込んだ発言もされているようです。
 私たちは、前々からいっておりますように、消費税の増税で今後の地方税を拡大していこうという路線は、これはもう本当に地方から、逆累進の庶民への負担増にみずから手を染めていくという点で厳しく反対をしているところです。

 先日、税制調査会で、三回にわたって消費税についての専門家を呼んでの講演会がありまして、私はそのうち二回は出席できたんですけれども、民間のある研究所の方がいみじくもいっていましたが、日本経済の実質的な成長は、今、年間二%前後しかないと。消費税を大幅アップしたならば、その実質成長率二%を食ってしまって、それをきっかけに大変な日本経済の後退が起きかねないという点で、今サブプライムローン問題などで経済も厳しくなってきているときに、本当にこの消費税大幅増税というのは、また大変大きなバブル崩壊の引き金になりかねないということもお話しされていました。私はそういう点でも、都民の暮らしの点からいっても、この消費税を地方財源に求めていく方向というのは、大きな誤りだということを申し上げておきたいと思うんです。

●地方財源充実は大企業への超過課税増額で可能

 だとすれば、今後、地方税の財源として我々の課題とすべきは何かというと、一つ、これですべてカバーできるものではもちろんありませんが、超過課税の見直しというのがあると思います。
 今回資料をいただきましたが、史上最高の利益を上げている大企業などへの適正な課税を課題とした場合、この資料にもありますように、残念ながら制限税率を適用したとしても、今後増収できる金額が、今までは千九百六十億円の増収の余地があったのですが、今年度ベースでいっても、一部が国税に持っていかれましたので、制限税率を適用しても、今後七百八十三億円の増収の余地しかない。大きく減ってしまったのは残念なんですが、これはやはり都民の生活への負担、それから一方での法人への負担・・・先ほど法人への風は厳しいというお話がありましたが、私たち都議会としてとるべき道は、やはりまだまだ担税能力が高いし、社会保険負担も含めれば国際的に見ても決して負担が重いとはいえない法人への課税の適正な強化。特に、超過課税については都の裁量でできるわけですから、その方向に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。

○松田税制部長 現在行っております法人事業税の超過課税は、大都市特有の財政需要に対応するため一定の大規模法人に対しまして、標準税率による通常の負担を超えた特別の負担をお願いしているものでございます。
 超過税率を制限税率まで引き上げるべきではないかというご指摘でございますが、今回の税率の改正は、あくまで国の暫定措置に伴うものでございまして、納税者である法人に新たな税負担を求めることは適当ではないと思われますことから、制限税率まで超過税率を引き上げることは考えておりません。

○曽板委員 私たちは前から、いわば担税能力がありながら減税などの恩恵を受けている対象として、大規模な法人と、それから株の譲渡、配当に対する課税がずっと減税されていましたよね。これについて言って参りましたけれども、今回、株の譲渡、配当については軽減税率が廃止と。若干小さい部分については残すという不十分さはありますが、廃止ということになりました。したがって、残っているのはやっぱり法人課税なんです。
 この点で、率直にいって、やっぱり客観的に見れば、今の都民生活に満遍なくかける・・・消費税は部分課税で複数税率にすればまたいろんな議論はあるでしょうけれども、しかし当分満遍なくかける均等税率は変わらないだろうといわれていますので、消費税を大幅アップするということと、それから、今とり得る法人税の超過課税ということ、どちらを選んでいくのかといえば、やはり法人がまだ担税能力が高いというふうに見ざるを得ないと思うし、今回の株の譲渡・配当への軽減税率の廃止で大体二百億円ぐらいの増収が都の場合あるのではないかと思うので、それと合わせると一千億近い増収がこれで図れる。

 三千億円規模の国への税が持っていかれる、その三分の一程度は取り返すことができるということになりますので、その道をぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 それから、この間、早いものを入れれば足かけ六年ぐらいにわたって税制改革と称するものが行われてきましたが、その後始末といいますか、宿題の一つが住民税の問題です。
 ー昨年度、2006年度の税制改正に伴って、所得税から住民税への税源移譲が行われましたが、これが所得税と住民税の課税年限が⊥年ずれているために、所得税がかからない
ほど収入が減った人、退l除や、それから解雇などになった人が、2006年から2007年にかけて減った場合、住民税だけがふえているという方が結構な人数いるはずなのです。
 これに対する経過措置があったと思いますが、これはどうなっているんでしょうか。

○安田課税部長 ご指摘の経過措置でございますが、平成十八年分は所得税が節税される程度の所得がありながら、平成十九年分は所得税が課税されない程度に所得が減少した、そういった方に対しましては、所得税率の引き下げによる税負担軽減の影響は受けることができない。その一方で、個人住民税率の引き上げによる税負担の増加の影響のみを受けることになるわけでございます。
 このような方でございますが、平成二十年七月一日から三十一日までに、平成十九年一月一日現在お住まいの区市へ申告書を軽出されることによりまして、平成十九年度分の住民税額から、税源移譲により増額となりました住民税相当額を減額いたします。納付済みの場合は還付する制度でございます。

○曽根委員 例えば年収四百万円、夫婦二人世帯の方が仕事を失った、もしくは退職した場合、どれぐらいの影響を受けて、どれぐらいの還付をすることができるのか、簡潔にお
答えください。

○安田課税部長 ただいまの例でございますと、夫婦二人世帯で平成十七年から十九年までの給与収入がそれぞれ四百万という場合を想定いたしますと、税源移譲前、平成十八年分の所得税額は十五万円、平成十八年度分の住民税の所得割額は八万円、合計二十三万円ということになります。これが税源移譲後でございますが、平成十九年分の所得税額は七万五千円、平成十九年度分の住民税額は十五万五千円、合計額は二十三万ということで、税負担の総額は変わりない制度設計になってございます。
 仮にこの方が、先生のお話のように平成十九年に所得税額がゼロになる、退職等で収入が減少する、そういった場合でございますが、平成十八年分の所得をもとに算定されます平成十九年度分の住民税の所得割額は、税源移譲前です左八万円になるわけでございますが、移譲後の税率では十五万五千円ということで、差し引き七万五千円の税負担の増加、その影響のみを受けることとなります。
 したがいまして、この例でございますと、減額申告書を提出していただくことによりまして、平成十九年度分め先ほど申しました差額が、七万五千円の差額が減額されまして八万円になります。納付済みの場合は、減額されたその七万五千円が還付されるということになります。

○曽根委員 これがどれぐらいの人数出てくるのかということを都の方は試算していないということですが、私の地元の北区にお聞きしましたら、一万人ぐらいいるだろうということでした。一人平均大体四万円ぐらいの遷付があるんじゃないかというごとで、結構な人数がいると思います。
 とくに所得がなくなって暮らしが間違いなく厳しくなっている世帯ですから、一人の漏れもなく、この税源移譲という自治体と国の間の税制の仕組みの変更に伴って、払わなくてもいい税金まで払ってしまっている世帯なんですからこ一カ月間の申告期間しかないということなので、一人の漏れもなく還付がされるように、周知徹底を図る必要があると思います。
 全都的には百億円以上の税収の違い、還付の額が出てくると思いますが、これについての周知徹底はどういうふうにされていますか。

○安田課税部長 周知徹底でございますが、各区市町村におきましては、減額対象者に対しまして、個別に減額申告書あるいはお知らせを送付する、今月中には送付されるというふうに聞いております。
 東京都といたしましても、区市町村と協力いたしまして、住民税の還付を受けるために、納税者の申告が必ず出されるということの徹底のために、これまでも周知ポスターの掲出、あるいは主税局の広報誌でございます「あなたと都税J、「ガイドブック都税」、あるいは主税局ホームページ、それから五月に実施いたしました納税キャンペーン、こういったさまざまな媒体を活用いたしましてPRを行ってきたところでございます。
 今後は七月の「広報東京都」に周知記事を掲載するといったことによりまして、PRに万全を期してまいりたいと存じます。

○曽根委員 納税者に対する周知徹底もぜひお願いしたいと思いますが、同時に、例えば多摩の市町村、割合小さい規模の自治体でも、億の単位の還付がされると。
 窓口は区市町村ですので、都税分も区市町村が立てかえて還付をするということになります。
 ある市の課税担当者が、ぜひ早目に都から・・全体で四割分ぐらいは都民税ですので、その立てか
え分を早く市町村と精算してほしいという声が出ていますが、仕組みでいうと、来年の八月にならないとこの精算がされないという仕組みだそうですけれども、一年以上待たせるわけです。今年度中に、ある程度の見通しを立てればできるはずなので、何とか早く早期
交付の要望にこたえていただきたい。そういう声があることも聞いていると思いますが、いかがですか、できませんか。

○安田課税部長 一部の区市町村から、本措置に伴いまして還付いたしました都民税相当分につきまして徴収取扱費の早期交付といった要望があることは承知してございます。
 しかしながら、個人都民税の徴収取扱費の交付につきましては都税条例第二十四条の十一、こちらの規定によりまして、前年の七月一日からその年の六月三十日までのその間に確定いたしました各算定基礎に基づく金額につきまして、八月三十日までに交付をするということになってございます。今回の措置によります還付金額は平成二十年、ことしの七月以降に発生をするということでございますので、平成二十年度の個人都民税の徴収取扱費ということで交付することになってございます。
 ご要望はお聞きしておりますが、そういった制度の仕組み上、やむを得ないということでご理解をいただいているところでございます。

○曽根委員 東京都にとってはそれほど大きくない金額かもしれませんが、都の百分の一以下の予算で動いている市町村にとっては決して小さくない額なので、来年度にならなければできないという仕組みも、これは今回限りですから、何らかの措置をとって、一日も早く市町村との間で精算を終えるように努力をしていただきたいことを要望して、終わります。

<2>資材価格高騰を機敏に反映させた公共工事契約を(財務局への質問)

○曽根委員 私からも今回の単品スライド条項についてお聞きしたいことがあるんですが、大分ダブりますので少し割愛をさせていただきたいと思いますが、先に契約議案の関連で二、三お聞きしておきたいと思います。

 まず、百五十三号議案、中央環状品川線シールドトンネル工事−2の請負契約について資料をいただきました。これは私自身も体験したことですが、昨年の二定の際に議案の正式提案に至ったにもかかわらず、その後発覚したといいますか、国の指定解除の措置を受けた、指名停止の措置を受けた防衛施設庁発注工事関連の大成建設の指名停止によって議案取り下げとなったものです。これについては、今回、同じ大成を頭とするジョイントベンチャーが、この工事内容も基本的には同じ中身で、若干設計は違っているようですが大成が落札したということで、これについては、発注する都として一たん指名停止でもって取り下げになったところが、同じゼネコンのトップのジョイントベンチャーでもうー回落札されたということについての意見、感想をお聞きしておきたいと思います。

○竹本契約調整担当部長 中央環状品川線シールドトンネル工事でございます。昨年の議案につきましては、十九年六月二十七日に議案を撤回した後に、エ事起工局は設計等を見直し、再積算、起工を行い、改めて今回提案いたしました中央環状品川線シールドトンネル工事−2請負契約として、財務局に対し契約締結請求を行ったものです。
 財務局は、この契約締結請求を十九年十二月二十六日に受領し、直ちに契約手続に着手いたしました。二十年一月十一日に公告、三月三日から七日まで参加申請の受け付け、三月二十五日に資格確認委員会において参加者の資格を確認し、相手方に通知いたしました。
 その後、四月十日まで入札書及び技術提案書を受け付け、四月十一日から十六日までの間に建設局の技術審査委員会において技術提案書を審査いたしております。四月十七日に開札、落札者となった者と仮契約を締結いたしました。
 以上のとおり、適正な手続を経て今定例会に議案を付議したものでございます。

○曽根委員 そういうことだというお話ですけれども、昨年の第二回定例会の際に、国の方の指名停止ですよね、これは。これに対応して、都は規定がありますから、国の指名停止を受けた企業に対しては都も指名停止をするという措置をとったと思うんですが、その指名停止期間としてはどうだったんですか。

○竹本契約調整担当部長 委員の方から、国の指名停止を受け、都が指名停止というお話がございましたが、事実は異なっておりまして、昨年度の経緯をご説明いたしますと、公正取引委員会が防衛施設庁発注工事をめぐる談合事件に関連し、平成十九年六月二十日に排除措置命令等を行ったことから、東京都は六月二十二日に関係局の契約担当部署で構成する東京都契約事務協議会の協議を経て、独占禁止法違反に伴う指名停止を決定し、直ちに同日付で該当者への通知を行ったところでございます。
 昨年度提案いたしました中央環状品川線シールドトンネルエ事請負契約の落札者であり、仮契約を結んでおりました建設共同企業体の代表者の指名停止の月数のお尋ねでございます。十九年六月二十二日から十月二十一日までの四カ月間の指名停止といたしました。

○曽根委員 結果として、都のほうは適正な契約手続でもって今回も入札をかけたというのは事実だと思いますが、国のというのは間違いですか、公正取引委員会ですかね。そこの摘発を受けた、そのことを受けての都の指名停止期間四カ月ということはしっかりクリア−をされて、もう一回同じ企業が落札をしたという事実もまたあるわけであります。
 結論からいえば、私はこういう結果を受ければ、この防衛施設庁のときには談合体質を何とか脱皮したいという宣言まで出されましたが、しかし、まだまだ道は違いなというふうにいわざるを得ないわけであります。もちろんシールド工事ですから、特殊な技術も含み、今回も技術提案型の総合評価ですから、やっぱり技術の高いところが落札するという当然の結果だといえばそれまでなんですけれども、しかし、法的な不正を働いた企業は、何らかの方法でそれに対する、やはり少なくとも同じ場所の同じ工事については落札ができないような方策が、これは都の問題というよりは国の段階で何らかの手だてが打たれる必要があるということを指摘しておきたいと思います。

 今回の場合は、(昨年の撤回案件のときより)入札予定価格を大幅に下げているわけです。これについては、恐らく昨年の落札価格なども参考にされたんじゃないかと私は勝手に想像しているんですが、先ほどもお話があったように、中小企業などの建設会社が担っているさまざまな工事の資材は上がっておりまして、それを受けて今回、国と都が、国が六月十三日でしたか、都が六月十六日ということで、単品スライド条項の適用が、昭和五十五年以来ですから三十年ぶりぐらいに適用された、初めての適用ということになったと思います。画期的な事実だと思います。
 そこで、それに先立つ資材高騰の動きについては、先ほどもお話のあったように、都もかなり頻繁にそれを調べているというお話でしたが、いつごろから、どれぐらいの頻度で資材単価の動向について調べ、また、それを入札に反映させているんでしょうか。

○山本参事 資材の単価につきましては、平成十六年度までは年に一回行っておりましたが、平成十七年度からは四半期ごとに行っております。

○曽根委員 最近はもう少し頻度が高くなっているんじゃないかと思いますが、月一遍というふうにありましたが、その点の事実の確認と、それから、私は近隣の手葉県、神奈川県などの担当者にもお聞きしたんですが、臨時に調べる、必要があれば月一遍とは限らないというぐらいの覚悟でそれぞれ動いてもいるようです。そういう点では、今後も当分の間、資材の変動が見込まれることから、都としても、今かなり頻度も上げているのは事実だと思いますが、さらにこの資材高騰に臨機応変に対応して調べていく、また、それを入札にも反映させるという点ではいかがでしょうか。

○山本参事 本年に入りまして、特に最近ですが、鉄筋や鉄骨などの鋼材の価格の高騰が顕著になったため、銅材については五月及び六月に臨時改正、資材を調べまして単価の臨時改正を行っております。また、今後とも設計単価につきましては適切に、その動きを見ながら設定していきたいと考えております。

○曽根委員 調査の頻度についてはお答えがなかったんですが、事前にお聞きしたら月一遍ぐらいやっているでしょう。それについてはどうですか。

○山本参事 本年に入りまして、五月と六月に臨時改正して行ったということは、毎月、そのたびごとに資材の調査をしております。

○曽根委員 それで、単品スライド条項というのは、単品についてもちろん適用するものなんですが、今回、政府も都も鋼材と燃料油こついて適用ということで、これは最近の価格の高騰の幅も大変大きいということは、先ほどもお話があったので省略します。
 さらに、この単品スライド条項の適用が、実をいうと、公共の工事でいうと鋼材というのは大きいんですけれども、民間のさまざまな工事にも、都がこれに踏み出した、国もこれからやっていくと思うんですが、非常に大きな影響があると。もちろん、いい意味での影響です。民間の工事、民民の間でも、やはり契約をした後に資材の変動でもって、特に下請のほうが泣かされるという現状がかなりあるということで、公共のお役所でさえこれをやったのだから、民民の関係なんだからもう少し調整してください、工事契約で、一たん契約したけれども、というような話ができるようになってくるということなんですね。
 そこで、公共の工事の場合には大きな位置は占めないけれども、民間の工事では割合がかなり多い、さっき生コンの話が出ましたけれども、例えばアルミサッシの関係だとか、コンパネだとか、工事用ネットとか、こういった石油関連の製品、もしくはアルミのように単位量生産にエネルギーが非常にかかる、今後温暖化問題も含めて高コストが問題になる製品などについては、全体として考えてほしいんだという声が出ています。
 そこで、先ほどもちらっと出たんですけれども、全体スライド制、もしくはインフレ・デフレに対応するインフレスライド制。こういったものも政府の条項の中には定めがあるので、場合によってはこういうことも含めて、今後、これは動向次第ですけれども検討していく余地は、私はゼロではないと思いますが、いかがでしょうか。

○竹本契約調整担当部長 契約標準約款には、先ほどは単品スライド条項の説明をいたしましたけれども、全体スライドもしくはインフレスライドにつきましても約款にございますので、それぞれの状況、また必要な条件がございますので、そういったことを十分勘案していく必要はあるかと思っております。

○曽根委員 資材の問題もさることながら、私たちは独自の立場から、人件費の問題についてもやはりいろいろ問題があると思っているんです。つまり、都から発注する際の人件費の積算の根拠というのは非常にはっきりしていると思うんですが、それをお聞きしたいんですけれども、実態はそれと違っているわけです。現場で働いている職人さんたちの賃金というのは。
 都の発注の基準というのは、どうなっているかをまずお聞きしておきたいんです。

○山本参事 工事の積算に用います労務賃につきましては、全国の公共工事における技能者の労賃を調査集計いたしまして技能職種ごとに定めたものであり、毎年見直しを行っております。

○曽根委員 その積算の根拠というのは、当然ながら最低賃金水準だとか、それから二省協定、そういったものが根拠になっていると思います。しかし、公共工事も含めた現場の実態は、四次、五次下請が当たり前の世界で、その下請けにおりていくたびに代金が下がっていって、最後はどこでしわ寄せされるかというと人件費にしわ寄せされるというのが、もうどこの工事の話を聞いても同じです。これは、公共工事も共通した声か上がっております。
 そこで、最近いろいろ動きがありまして、最終的に現場で働いている職人さんの貸金を少なくともこれ以上に保障したいということから、総合評価制度の中に現場の人件費や労働条件、こういうものも総合評価の評価の中に加えて、全体として入札を行うという総合評価制度が少しずつですけれども自治体がとり始めていると聞いているんです。都も、直ちにどうこうという具体的なことはまだ聞こえてきませんが、このことも含めて今後検討することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○竹本契約調整担当部長 先ほどのスライド条項、全体スライドについて、ちょっと私が乱暴な答弁をしてしまって申しわけございません。少し補足させていただきますが、スライド条項は、全体スライドでございますが、契約締結日から一年を経過した後に貸金水準または物価水準が変動した場合の請負代金金額の変更規定でございます。また、インフレ条項は、期間の限定をつけずに急激なインフレまたはデフレが生じた場合の請負代金の変更規定ということで、そういった条件を十分加味する必要があるという趣旨でご答弁させていただきました。
 それから、ただいまの人件費の件でございます。委員がおっしゃった総合評価、工事請け負契約の総合評価に現場の労働賃金を評価に加える入札方式は、残念ながら私どもは承知しておりません。
 東京都は、これまで業界団体や受注した元請企業に対し、下請に対する契約や代金の支払いについて、建設業法等を遵守して施工するよう要請を行ってきており、今後とも同様にその点については要請してまいります。

○曽根委員 答弁の訂正があって、条件の厳しさが強調されましたけれども、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、国の条項かすべてではないと。都が踏み出して、国の制度を使ってスタートさせるわけですが、私たちが前々からいっておりますように、都が独自にやれる余地が十分に財政的にもありますので、そういった制度の大幅な拡充を求めておきたいと思います。
 人件費について聞き及んでいないということですけれども、例えば大阪府は、府の庁舎の改修や管理などについて、総合評価の点数の半分まで、その受注する会社の労働条件など、それから障害者を雇用しているとか、そういった条件を加味した総合評価をだんだん改善をしながら進めていると聞いています。こうした自治体の例も参考にしながら取り組んでいただきたい。

 私は、今の資材値上げがりは、そう簡単に片づく問題ではないと思いますし、これから地球温暖化問題の対応で、非常にコストのかかり方もまた変動してくると思います。そういう点では、契約締結から工事まで、資材調達までに一定の期間がかかることが多い、公共工事の場合だからこそ、単品スライド条項はもちろんのこと、全体スライド、インフレスライド条項の適用ということも視野に入れて、ぜひ積極的な取り組みをしていただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。

○鈴木委員長ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異義なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

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