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2008年3月18日都議会財政委員会

わずか半日で400億円の補正予算を決定
予算全体も知事のトップダウン事業優先で都民要望は後回し

●開示資料で明らかな、わずか半日の予算決定

○曽根委員 私からは、最初に、追加補正議案として出されております新銀行東京への四百億円の追加出資について、何点か質していきたいと思います。
 二月二十日の議案提案以来、日を追うごとに都民の怒りが広がっております。四百億円といえば、都内の過半数の自治体にとって恐らく年間予算か、それ以上に当たる巨額の出費です。それが予算の知事原案にも復活予算にも出てこないと思ったら、いきなり開会日に提案される・・・こんな安易な提案がまかり通ってよいのかという点では、これは財務当局としての責任は免れませんので、この点について質していきたいと思います。

 まず、この間題に入る前に、既に三年前に行われた新銀行に対する一千億円の投資がもう失われようとしています。このことについて、都民から預かった税金を一円も無駄にしてはならない立場の財務当局として、どう総括しておられますか。

○真田主計部長 お尋ねの件につきましては、所管の常任委員会で議論されるべき課題というふうに認識しております。

○曽根委員 都民の税金を、いわば財政運営全体の責任を負う財務当局として、言葉は悪いが、こんな紙くず同然にされてしまったことに対して何の思いもないのですかね。主計部長として、いかがですか。

○真田主計部長 今申し上げましたとおり、その点につきましては、事業を所管しております常任委員会で議論される課題というふうに考えております。

○鈴木委員長 所管内の部分について質問してください。

○曽根委員 産労局が所管といいますが、きのう経済・港湾委員会もありましたけれども、これは投資されたものの使い方については議論していますが、この投資を決めたのは銀行の幹部でもなければ産労局でもありませんよ。東京都は、まさにあなた方が予算を組んで出したお金ですよ。その責任は忘れてはならないと思うんです。
 しかも一千億円のうち七百億円は都債で賄ったという話が先ほどもありました。東京都にいわせると、財政再建の途上で財政的に余裕がなかったと・・。私たちはこれは事実は違うと思っていますが、そういうことを理由に都債にしたために百億円の利息の負担も、どんなことがあれ負担は生じているわけです。そうまでして銀行開業に手を出した結果、こういう事態を招いているということについては責任は大きいといわざるを得ません。
 これだけ大きな損失をこうむりつつあるという以上は、財政当局として同じところへの追加出資は当然ながら相当慎重に臨む必要があると思いますが、いかがですか。

○真田主計部長 その点につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、所管局から要求いただきまして、私どもも所管局と調整しながら、議論を尽くしながら、最終的には知事のご判断をいただいたものでございます。

○曽根委員 そうおっしゃるんでしたら、聞きますけど、この追加出資の議案そのものについて原議を切ったのは、どなたですか。

○真田主計部長 その手続、起案の点でございますけれども、最終的には知事決定の分掌でございます。

○曽根委員 私は、原議を起案したのはどこの局かと聞いているんです。

○真田主計部長 予算の議会に対する議案の提出の意思決定につきましては、財務局が所管しておりますので、財務局が原議を立てました。

○曽根委員 予算の議案を、原義を起案した以上は、それに対する責任はあるわけですよ。これは形式論じゃありませんよ、四百億ですから。
 どうも反省が感じられないんですけれど、追加出資を補正予算で提案するという話が財務局に対してあったのは、いつ、だれから、どういう形であったんですか。

○真田主計部長 その点につきましても、予算編成の途中にかかわる情報でございますので、これはコメントを差し控えさせていただきます。

○曽根委員 ここに私たちが開示請求でとった原議の写しがあります。これです。(資料を示す)
 これは財務局でつくった原議ですね。開示資料で取りました。
 ここの日付を見ると、二月十九日に原議を起案しています。先ほどもちょっとありましたが、新銀行東京から正式に追加出資の要請があったのは、同じ日のようですけれども、じゃ、一体、その二月十九日のいつごろ向こうから要請があったんですか。向こうは取締役会も開いた上でやっているんですよ。時間的にはいつごろなんですか。

○真田主計部長 二月十九日の時日関係を申し上げますと、お昼前に会社の方の取締役会がございまして、その決定を経まして私どもの方に、私どもというのは産業労働局でございますけれども、産業労働局の方にお話がありましたのは午後を切ってすぐでございます。それを受けまして、産業労働局の方から予算要求が私どもの方に上がってまいりまして、私どもの方で、同日、財務局内の意思決定を経まして知事査定をもらったということでございます。

○曽根委員 通常の予算編成なら、主計部が担当局の予算担当者を呼んで、かなり細かく査定をします。私たちも予算見積もりを出した局が実際に査定をされた後の数字も比較していただいておりますので、毎年、細かい査定があります。
 たった一日でどれだけの資料を取って査定をやったのか、まさか再建案の表紙入れても六ページだけのものしか見ていないということはないと思いますが、いかがですか。

○真田主計部長 先ほど申し上げました二月十九日といいますのは、一連の形式的な申請があった日でございます。
 もちろん新銀行東京の経営状況につきましては私どもとしても以前から問題意識を持っておりまして、財務局内でも独自に検討を進めてきたのは事実でございます。また産業労働局からも、検討段階のお話を事前にはいただいておりまして、連日深夜にわたります真剣な議論を尽くしてまいりました。
 その上で、最終的には十九日一日という先生のお話でございますけれども、そういうもろもろの積み重ねを経て、十九日にそういう形の決定がなされたということでございます。

○曽根委員 そういう水面下の話が仮にあったとしても、しかし、正式に要請はなかったし、金額だって全く公表されていなかったじゃありませんか。じゃあ、それが裏でもう流れていたんですか、財務局に。四百億ぐらいになるよとか、そういう話がもし事前にあったとしたら、これは重大な事実ですから、いかがですか。本当にあったんですか、前もって。

○真田主計部長 その点につきましては、予算編成の意思決定にかかわる情報でございますので、ここではコメントを差し控えさせていただきます。

○曽根委員 先ほど来の答弁、私、非常に疑問を持っているんですけれども、予算編成というのは、私たちに見えない部分があるのは当然です。それはやむを得ないと思っていますよ。しかし、正式な予算の要請があり、起案がされて、そして知事の査定を受ける、このルートとは別に、水面下で根回しがあるというようなことがあったら、これは重大な問題ですよ、都政のあり方として。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)そうですよ。
 しかもこれは都民的にも極めて重大な関心が持たれている議案ですから、仮にも四百億円の問題が事前に情報が漏れるなんていうことがあってはならないし、都民に対して、これは都政としてはまさに説明がつかない問題になると思います。
 しかも、この間の産労局の答弁でほ、再建案以上のものは銀行が出さないんだといっていると。知事は読んだというふうなことらしいですけれども、調査報告書についても本文は出てこないと。これでは、産労局も財務局も、いろいろな裏情報はあったかもしれないけれども、正式には詳しい資料もほとんど検討する間もなく、一日のうちで(原議を立てた)−−いや恐らく半日でしょうね。午後だというから。
 しかも、原議には副知事以下全員の判こが押してありますから、副知事さんが登庁しておられる時間内に決定されたということですから、本当にスピードのうちに決定されたということが、この原議の資料と、それから、これは私どもがやはり開示で取った津島代表からの要請文ですけれども、十九日にやはり出されています。
 本当に、この半日のうちに23個も判こをずらずらっととって決定がされるというようなことがやられたということですね。このことほ事実として確認をしておきたい。

○真田主計部長 それは、その書類にあるとおりの意思決定がその日になされたものでございます。

○曽根委員 それでは、この四百億円、原議を切った以上はきちっとしたこれに対する説明責任は財務当局にもあると思いますが、財調基金をおろして投入するということですが、これが本当にふさわしい投資のあり方なのか、予算の使い方なのかという点ではいかがですか。

○真田主計部長 その辺につきましては私の方から申し上げるのも何でございますけれども、基本的には、予算につきましては、予算特別委員会においてまず審議がなされまして、予算委員会におきまして、それぞれの各局所管の事業につきましては、各所管の委員会に個別の調査が付託されているということでございます。そういう中で、本件につきましては、施策の具体的な中身につきましては、産業労働局が所管しております経済・労働委員会の方に付託され、私どもの方につきましては、基本
的には歳入の財調基金を充てることがどうかということにつきまして、当委員会に付託されているというふうに理解しております。

○曽根委員 そんなことはありませんよ。まず第一に、予算特別委員会から、この財政政委員会というのは一般会計予算全体についての審議を付託されているんですから。それはもちろん、いろんな細かい事業はありますよ。しかし、この問題は追加補正として一本なんですから。議案もそれについては、原議はあなた方が切っているんですよ。
 しかも、これは中身抜きには判断できない問題でしょう。例えば、今明らかになっているとおり、新銀行は三月末にはまだ債務超過になっていないわけですよ。なる見通しではないと。だったらば、来年度に入ってから、三月決算を十分に分析してから、投資への対応を検討することが本来の筋じゃないですか。そういう出費の最終的な判断をする財務局が、いや内容は関知しませんということでは済まされない。
 今、補正で出すべき問題なのか、来年度に入ってから出すべき問題なのかという判断は、原議を切っているあなた方の判断があるわけですから、例えば債務超過にまだなっていない三月の決算が出てから、分析を十分した上で出すのが筋だという点では何か見解をお持ちですか。

○真田主計部長 その件につきましても、事業を所管します常任委員会で議論されるべき課題だというふうに認識しております。

○曽根委員 余りにも財政当局として見識がなさ過ぎると思うんですが、これはあなた方にこの場でもいっておきますけれども、大体、中小企業のために銀行を助けなければならないというんだったら、銀行から借りている企業も含めて、まじめに返済しようとしている方には昨日、当該委員会でも小竹委員が提案したように、制度融資を思い切って拡充するなど、本当に困っている業者も救われ、また都の財政被害も少ない方法がほかに幾らでもあるわけです。
 そういう点を、財政当局として、ほかで議論してくださいというんじゃ済まされないということは申し上げておきたい。
 しかも、先ほどもちょっとありましたが、今回の四百億円は新銀行の減資につながるものです。昨日、産労局の金融部長は、再建計画の想定資本は千五百八十一億円だと答えましたが、減資については今後の検討課題だと答えました。このこと自体、四百億円の追加出資を要請しながら、減資するかどうかも定かでないという無責任ぶりを示したものです。
 減資を行うと、四百億円の追加出資が、既に投資した一千億円のいわば大半を完全放棄することにつながる。そういうことについての検討はされましたか。

○真田主計部長 先ほども申し上げましたが、今回の補正予算案につきましては、関係局と調整し、必要な検討を行いまして、最終的には知事の判断で決定したものでございます。
 減資につきましては、新銀行において今後の検討課題とされている問題だというふうに認識しております。

○曽根委員 とんでもありません。もし減資が要請されて、これを受け入れるということになれば、財務局としては直ちに都債の発行根拠が失われますので、手だてを打たなきゃならないはずです。財務として検討しない方がおかしいと思うんです。
 先ほど安易な債権放棄はすべきでないという債権管理条例の話がありましたけれども、資本家としての、投資家としての、投資したものの放棄を、いわば権利を投げ捨ててしまうということを安易に行なっていいものじゃないことは明らかです。
 減資の要請を受け入れたらどういう手続になるのかを、改めて私にもお答えいただきたいと思うのです。

○真田主計部長 その点につきましては、先ほどもお答えしましたとおり、仮に減資がなされた場合には、出資が一切なくなったことへの対応が必要となりまして、その具体的な方法につきましては、その際に検討することになりますけれども、この都債が市場公募債でありますので、繰り上げ償還はできませんので、減債基金への積み立て等によることとなるというふうに思われます。

○曽根委員 繰り上げ償還にしても、減債基金を積む形にしても、四百億円に加えて、来年度予算の中で、減資の規模によっては、六百億円規模の財政出費を、恐らくまた補正でかけなければならないということになるわけです。こんな事態は、私、過去にも例はなかったと思うんですが、いかがですか。

○真田主計部長 先ほども申し上げましたけれども、基本的には減債基金への積み立て等によることになると思われますけれども、現時点において、その具体的な時期ですとか内容ですとかにつきましては、まだ未定でございます。

○曽根委員 これをやられれば、初めての重大問題になります。例えば臨海三セクでさえ、破綻処理はせざるを得なかったわけです。石原知事のトップダウンで始めた事業だけは、何が何でも継続させ、救済するなどというやり方は都民の財政を預かる者として絶対あってはならないというふうに思います。
 大体これが仮に、今は例は少ないけれども縁故債であれば、繰り上げ償還してしまえば、まだしも百億円の利子の負担というのは将来残らないということはあったかもしれないが、結局、公募債ですから、十年間ずっと利息は積まなければならないわけですよね。
 しかも、株主としての権利は大幅に縮小されてしまうということになるわけですから、先ほど何か出費が早まるだけで、違いがないかのようなお話がありましたが、とんでもありません。株主の権利を放棄しているんですから。
 都民の方からは続々とメールやファクスが来ています。
 東京都にも来ているようですが、例えば吉田幹事長のところには、石原知事と同じくらいの年齢だという男性の方から、きょうの午前中に来ました。「自分も石原と同じくらいの年齢だが、社会人としてまだこんな人間がいるのかと驚く。毎日、友人と飲んでも、みんなこの間題で怒っている。自分は共産党員でも何でもないが電話をいろいろ調べて電話させてもらった。ぜひとも頑張ってほしい。」
 都民は本当に頭にきているわけですよ、こういう使い方に。
 四百億円あれば、少なくとも、例えば、私たちが昨日委員会にかけました低所得者の家賃助成なんかも、大体同じぐらいの規模で実現できるわけですよ。こういったことに使うべきじゃないか。
 本当にこれが都民の役に立つ、ほかに使い道はないんだ、これしかないんだというふうにお考えですか。

○真田主計部長 先ほどから何回も申し上げておりますけれども、新銀行東京への出資そのものにつきましては、予算委員会及び経済港湾委員会に付託されておりまして、それらの委員会におきまして議論すべき課題だというふうに認識しております。
 なお、お尋ねの施策の内容でございますけれども、私どもとしましては、都市基盤整備あるいは福祉関係施策の充実など、都民にとって必要な施策につきましては、二十年度当初予算で十分な財源を振り向けているというふうに考えております。

○鈴木委員長 曽根理事、理事会でも、質問の重複や所管の事項こついて質問を行うということで、先ほど確認しておりますので、それに従って質問してください。

○曽根委員 私たちは、こういう四百億円の、まさにどぶに捨てるようなやり方は許せないということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。

●予算全体でも知事のオリンピックと都市再生・そのための溜め込み優先

 来年度予算全体を見ても、同じようなお金のむだ遣い、むだ遣いではないが、一方でため込み、こういう問題については、前回の中間議決のときに、私、議論させていただきました。
 来年度についても史上最高の増収がありながら、これを都民が求めているような、例えば昨年の秋に行われた生文局の世論調査でも、第十位は高齢者対策、それから医療対策などですよ。それから、教育条件の整備など要望が強い。こういうところに思い切った充実をさせるのではなくて、専ら基金に積んでいるというのが特徴だと思います。
 その理由として、財務局は、今後、税収が落ち込んでいく危険があり、その場合であっても、行政サービスの水準を守るためには、一定の基金は必要なんだというふうに常々おっしゃっています。
 それでは、バブル当時、基金がかなりピークになったことがありました。いわゆる取り崩し型の基金ですね。この水準と、来年度未で達する基金の水準とはどれぐらいの違いがありますか。

○真田主計部長 ただいまの基金残高でございますが、過去最高でございましたのは平成元年度でございまして、財政調整基金、あるいは平成九年度に社会資本整備基金の方に統合されましたけれども、地下鉄十三号線の整備基金ですとか、住宅整備基金ですとか、七基金がございました。そういったもの、それから、年度間の財源調整分め減債基金の合計
で、一兆五百九十億円ございました。
 それに対しまして、お尋ねの平成二十年度末の残高は、これらの基金に、今回お認めいただきました法人事業税国税化対策特別基金、それからオリンピック開催準備基金、平成十九年度に設置しました三基金を加えました合計額では、一兆六千百三十六億円でございます。
 この間、財政規模は約六千四百億円増加しております。また、今後、法人事業税の国税化の影響により、二年間で六千億円もの減収が確実に見込まれておりますます。そういったことなどを踏まえれば、現在の基金残高はなお十分とはいえない状況にあるというふうに認識しております。
 財政状況や税収の動向など、都財政の置かれている状況が異なっている過去の時点と数字を単純に比較すること自体は、余り意味がないというふうに考えます。過去にも基金残高が底をついたこともございます。そうした経験を踏まえて、堅実な財政運営を行っていくことが重要であるというふうに考えております。

○曽根委員 私も単純に金額だけ比較するつもりはありませんが、それにしても金額は史上最高ですよね、取り崩し型基金の一・六兆円。
 しかし、もう一方で基金の中身を見ると、来年度の、いわゆるそういう取り崩せる形の基金の圧倒的部分は、オリンピック基金や社会資本整備基金など、インフラ整備や投資事業のために目的が定められている基金が占めているんじゃないですか。

○真田主計部長 ただいま申しあげましたとおり、一兆六千億の基金がございますが、今回、平成二十年度で見てみましても、その中で、例えば去年認めていただいた三基金は、社会福祉ですとかあるいは環境ですとか、文化、スポーツ、こういったものに早速二十年度から財源として活用させていただいておりまして、そういったことを考えますと、基金がハード偏重であるという、ご批判は当たらないというふうに考えます。

○曽根委員 金額の上では、来年度積む予定の基金、取り崩せる形のもののうち、大半はオリンピック基金と社会資本整備基金ですね。これで三千五百億円ですよね。
 じゃあ、都民の求めている、直接の都民サービスの水準を維持するという要望に、この基金を積んでいくことは応えられるんですか。

○真田主計部長 ただいまお話がありました社会資本整備基金あるいはオリンピック基金につきましては、今後、膨大な財政需要が見込まれるという中にありまして、現在、それに向けて備えをしている最中でございまして、近い将来、それが今度は基金の取り崩しということで活用されることになります。
 その中身は、基本的には特定目的基金ですから、それに合致する事業に充てるわけでございますけれども、そういったもの、例えば社会資本整備基金が想定しております社会資本のインフラの整備あるいは建物の更新等に使うということは、都民にお役に立てるというふうに考えておりますし、また、そういったことで財源を有効活用することによりまして、他の一般財源が浮きます。他の一般財源が浮いたものは、また都民施策に遷元できますので、そういったことで、基金につきましては全体トータルで判断していただきたいと思います。

○曽根委員 過去のいきさつを見ると、そうはなっていないんですよ。これまでの経過を見れば、バブル崩壊後、税収が落ち込んで厳しいときがありました。
 そのときには社会資本整備基金が大体六千億円ぐらいピークであった。それがフルに活用されて、ハコ物の建設だとか、臨海関連とか、地下鉄十二号線なんかは何とか事業を維持することはできたわけです。でも、ほとんどそれで基金は底をついちゃった。
 しかし、並行して、福祉その他の都民施策については、毎年経常費としてかかる、ここを削らなければ財政再建できないという名のもとに、第一次、第二次の財政再建推進プランで、合計三千五百億円毎年の予算から削減が行われて、何とか財政再建をやりましたという報告があったわけですよね。
 ですから、税収が落ち込んで厳しいときは毎年かかる福祉などの経常予算は、本当に情け容赦なく削られて、しかし、積んであった基金は、箱物や道路やハードの事業に何とかそれを支えるために投入されるという、これが今までの経過じゃありませんか。
 これは私の雑駁な記憶なので、確かかどうかわかりませんが、少なくとも、バブル崩壊後、財政が厳しいときに、東京都の福祉事業を維持するために、積んであった基金が明確に、細かいものは別として、投入されたというのは余り記憶にないんですけれども、そういう例はありましたか。

○村山財務局長 まず前提として、ハード事業が都民の期待にこたえていない事業であるかのようなご主張でございますけれども、それは全く違うという点を申し上げておきたいと思います。
 それを前提とした上で、バブル崩壊以降の、都財政が、税収がバーンと落っこって、苦しくなったときの基金の使い道についてでございますけれども、これについては、先般の本会議のときに、私、答弁させていただいているわけでございますが、合わせて八千八百億円の基金取り崩しをいたしております。そのうち、特定目的基金が四千百五十億円、財政調整基金が四千六百三十億円というふうになっております。
 この特定目的基金というのは、都市交通基盤整備基金の要素もありますけれども、福祉施設整備基金の要素もございます。したがいまして、ハードについていっても、いわゆる都市交通、それについてはきっとお気に召さないのかもしれませんが、都市交通基盤整備と福祉施設整備基金と両面あるということがまず一点。
 それから、残りの四千六百三十二億円の財政調整基金については、当然のことながら、ソフト事業も含めて、全体としての行政水準確保のために使われているということでございまして、これが大体四年の間に行われておりますので、年平均にいたしますと、約二千二百億を毎年基金を取り崩して、行政水準のソフト、ハード両面にわたる確保のために使われてきたというのが、バブル崩壊後の私どもの財政運営の実態でございます。
 それは、その前の段階の税収が伸びた時期に、財政調整基金あるいは特定目的基金にしっかりと蓄積してきた結果でございまして、そのことによって、私どもは、バブル崩壊後の非常に厳しい中にあっても、必要な行政水準を確保できたというふうに認識しております。

○曽根委員 今の局長のお答え、私、まずハードの問題についていえば、私たちが求めている福祉施設の基盤整備や学校の基盤整備、学校施設とか、いろいろありますから、それ全体を否定するつもりはさらさらありません。しかし、都民サービス部門にかかわる、例えばハードでも、都営住宅とか公園や生活道路関係のものについては、その中でまた格差がつけられてるんですよ。そういう細かいことはいろいろありますよ。
 しかし、全体の都政のバランスからいうと、経常経費として、特に福祉予算は割合が大きいわけですから、その分がどう支えられてきたのかといえば、基金をそういう特定の福祉事業だとか・・・大きいものは例えば一番大きかった老人医療費助成、マル福なんかは、年間数百億の財源が必要だったわけですね。そういうものを支えるために使われたということはないわけですよ。そういうふうには基金は使われないでしょう。財調基金として最後に帳じりを合わせることには使うけれども。
 そういう状況が今まであったということを申し上げているわけです。

 ここ三年間を見ますと、平成十七年度、二〇〇五年度を起点に、二〇〇六年度、二〇〇七年度、二〇〇八年度、来年度も含めて、二〇〇五度から都税が伸びた分、これは累計で合計すると、約二・二兆円あるわけですよ。その二・二兆円に対して、約八割、一兆八干億円分は基金で積まれて、これは減債基金なんかも入っていますけれども、それで崩せる型の基金の半分以上はハードと決まっている基金だということを見ると、ため込み分の多くは、特にこれからのハードというのは、大規模施設の改修、これは必要な部分ももちろんありますが、多くはオリンピックの関連などですね。そうしたインフラ整備に使われる。知事の非常に偏った大型投資が中心になっていかざるを得ないという点は指摘しておきたいと思うのです。

 私、こうした財政運営を続けていられなくなる時期が必ず来ますよ。税収は非常に不安定になっているんですから。そのときに、本当に守っていくべき都民のための行政サービスというのは何かということが問われるときがまた来ますよ、バブルの崩壊後のときのように。
 いま税収があるときに、これまでさんざん削ってきて、じゃあ本当に守るべき事業があるのか、水準があるのか。水準を維持するというけれども、さんざん削ってきたじゃありませんか。
 むしろ私たちは、思い切って拡充するか、もしくは復活しないと、全国に誇れるような、東京都独自の福祉事業というのは、大体なくなってきちゃっているんですよ。
 それから知事の公約である中学校までの医療費助成だってまだ実現していないんですよ。そういう点でいうと、水準維持より、思い切った拡充こそ必要だと思います。
 今後、取り組んでいく上では水準の維持どころではなく、本当に都民のために使うべき事業を、今、税収があるのをため込む一方ではなくて、一定の基金はもちろん必要ですよ、今後のことで。
 しかし、やはり、一定の部分は(「基金が必要だなんて初めて聞いたよ、共産党がいうのを」と呼ぶ者あり)財調基金なんか、私たち提案していますよ、今議会で。
 一定の部分は、やはり都民施策を新たに始める。例えば、家賃助成を私たちは提案しました。これまで削られた老人医療費助成なんかも、一部復活すべきだと思っています。
 そういうものに今こそ使うべきだという考え方についてはどう思いますか。

○真田主計部長 平成二〇年度予算編成の考え方をご説明しましたけれども、一方においては、これからやらなければならない、「十年後の東京」を初めとする施策の充実に向けた、いわゆる攻めの予算を組んだと。
 一方で、財政がこれから不透明である、それから、国の例の国税化の対策もとっていかなければならぬという中にあって、引き続き責任ある財政運営を行っていくためには、それに対する、将来ともに財政を安定的にやっていくための備えもしなきゃならぬということで、攻めと備えの両方バランスをとった予算を今回組んでおります。
、その攻めの中で、どういった施策を充実していくべきかどうかということにつきましては、それぞれ見解の相違、立場によりましてございまして、私どもとしては、私どもなりの判断基準に基づきまして、施策の充実を図っておりますし、それにつきましては、議会でご審議いただき、基本的には、この二十年度予算につきましても、ご理解をいただけるんじゃないか、ぜひご理解いただきたいというふうに考えているところでございます。

○曽根委員 最後に意見を申し上げますが、今の「攻めと備え」という点でいえば、今の都の財政運営の「攻め」といえば、これはもう福田首相に合意で押し込んだという十三の事業に象徴されるように、オリンピック関連、大型のハードの投資が、やはり偏重ですし、「備え」という点でいうと、大変なときに備えて、とりあえず知事の公約、中学校までの医療費無料化は控えておくというようなことでは、都民は納得しないということを申し上げて、質問を終わります。

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