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2008年3月25日予算特別委員会しめくくり総括質疑

新銀行破たんの責任を取り、知事は辞職せよ

○小磯副委員長曽根はじめ理事の発言を許します。
〔小磯副委員長退席、川井副委員長着席〕

○曽根委員 日本共産党都議団を代表して、今議会最大の焦点である新銀行東京問題に絞って締めくくり総括質疑を行います。
 既に一千億円の出資金を失った上に、破綻が明瞭な銀行に再び四番億円の税金を投入するという知事の提案に、どの世論調査でも、七割から八も割の圧倒的多数の人たちが反対しています。
 しかも、きょうの報道では、破綻の責任を、上げて旧経営陣に押しつける知事のいい分とは全く逆に、知事に責任があるとする人が九三%に達しているんです。
 最初にお伺いしますが、知事、この都民の声をどう受けとめるんですか、今こそ、すべての責任がみずからにあることを明らかにし、都民に謝罪すべきです。そして、追加出資を撤回すべきですが、どうですか。

〔曽根委員「知事、知事に聞いているんですよ」と呼ぶ〕

○川井副委員長 曽根委員、委員長が指名していますので。

○佐藤産業労働局長 世論調査は世論調査でございます。我々は四百億円の追加出資をお願いをしております趣旨は、さまざまな選択肢の中で、これ以外に現在、都民や預金者、中小企業の皆さん方に負担をおかけする影響、これが一番少ない形での選択肢をとらざるを得ない、苦渋の選択としてのご説明をさんざんしてまいりました。ご理解をいただきたいというふうに思っております。

○曽根委員 知事は、今の局長の答弁でいいんですか。それとも別の考え、あるんですか。

○石原知事 先ほども申しましたように、組織としてのつかさつかさの責任あると思いますが、しかし、総体的には最終責任は私にあると自覚しております。

○曽根委員 (知事も)先ほどはちょっと頭を下げました。しかし、一千億円を失ったということで頭を下げれば済むという問題ではないんですよ。本当にあなたは往生際が悪いと思います。
 我が党が指摘しているのは、知事の設立や監視責任だけではないんです。都が主導したマスタープランが過大で無責任なものであったわけです。そして、旧経営陣がその上を走らなければならなかったことが、赤字を生んだ最大の原因だと指摘してきました。
 多くのマスコミも同じことを指摘しています。昨日のNHKで、知事のトップダウンによる設立とマスタープランづくりに携わった都の担当者だった職員の証言を知事はお聞きになったでしょうか。
 「天の声というか、一千億円ありきで進んでいたので、それに見合うような形で目標数字がつくられていったという気がする。」「適正さの検証というのは、事実上ほとんどなかった」と言っているんです。
 天の声とはもちろん知事のトップダウンのことです。銀行の元役員も三日で融資決定をすることがマスタープランの根幹だったと証言しています。
 石原知事は、当時の大塚出納長などに、かなり無理のあるマスタープランという基本方針をつくらせ、銀行経営者には強引にマスタープランどおりの経営を押しつけてきた。この責任をきちっと知事は認めるべきだと思いますが、どうですか、知事にお聞きしています。知事、いかがですか。

○佐藤産業労働局長 かねてから申し上げておりますけれども、マスタープランを作成いたしましたのは、確かに東京都で作成をいたしました。ただ、作成の内容に当たりましては、多くの専門家の力を借りてつくったというのが実態でございます。
 そのマスタープランに基づきまして、銀行が実際の経営に当たる、この経営の責任者は、当然代表執行役ということになるわけでありますけれども、マスタープランと全く同じ形で経営が行われたのかということになりますと、これは極めて違いがあります。
 例えば、中期経営目標というのは、十七年の四月に開業されて数カ月たった時点で目標が設定されておりますけれども、その間マスタープランと中期経営目標の間での計画数値の積み上げについての議論は、当然東京都と銀行側でなされましたけれども、結果として見れば、中期経営目標に定められました各目標数値はマスタープランとかなりの程度で乖離をしているというのが実態でありまして、その計画数値をつくりました経営者がその目標に向けて、経営について努力したということであります。

○曽根委員 まだ、しらを切るつもりですか。
 私たちはマスタープランで銀行がスタートしたときのことを問題にしているんです。基本的なスキームがそこで決められたわけです。
 そこで伺いますが、新銀行東京の開業前の二〇〇四年十一月から翌年一月ごろまで都側と銀行側で、事業計画についてブリーフィングを繰り返し行っていたはずですが、どうですか。

○佐藤産業労働局長 先ほど申し上げましたけれども、当然、東京都と新銀行東京とは事業に関して、定期または不定期に打ち合わせを行っておりまして、この中で新銀行東京のいろんな事業計画等々についても話し合いを行っております。

○曽根委員 我が党は、都の幹部が、新銀行開業前から新銀行経営陣に、無理やりマスタープランどおりに運営することを押しつけていたことを裏づけるブリーフィングのメモを入手しました。(資料を示す)これがそのメモです。
 これは開業前年の二〇〇四年十一月と開業直前の一月に、銀行側が、都の幹部に具体的な事業計画をブリーフィングし、都側がそれに対して注文をつけるという会議の記録のうち、私たちが入手したのは、十一月の十二日、十六日及び一月の二十日の記録です。
 具体的問題を協議するために、事業分野ごとに日を分けて何回も行われています。銀行側のメンバーがこれは記録したものです。
 都側は、津島新銀行東京設立本部長、現在の新銀行代表取締役を筆頭に担当部課長、銀行も仁司代表執行役ほか執行役員が勢ぞろいしています。
 この間の質疑で、事実に基づいて告発すると、だれのものだとか、具体的名前をいえとかいう話がありますが、私たちは公益通報者保護法に基づいて、この公益に基づく情報を提供した方に迷惑がかからないようにこれを提供しております。

 この記録を読むと、銀行に、都の設定したマスタープランを何が何でも守らせようという執念が手にとるようにわかります。
 (パネルを示す)パネルをつくってきました。十一月十二日の記録を見ると、最初に融資についての議論が始まりますが、津島本部長が、冒頭に、都がマスタープランで融資の中心に位置づけたポートフォリオ融資について、こういうふうにいっています。
 「金融庁へ説明した数字が中心となって走ってしまい、マスタープランの数字と社内的な目標数値が余りにも乖離することになると、出資者としては耐えられない」と発言し、「他の形態の融資を行うことによって、人員、コストなどがかかり、本来のポートフォリオ型融資の数値ができなくなるようなことがないように」と、繰り返し銀行側に要求しています。
 ほかの都の幹部も、「純粋なポート型が少な過ぎる」などと具体的に指摘をし、銀行の担当者は、これに対して、「ご指摘に従い、ポートフォリオ型融資を中心に事業計画を立てる」と答えています。

 ここでいう、「金融庁へ説明した数字」というのは、開業当時に我が党が存在を指摘した事業計画、つまり、マスタープランではもう金融情勢の厳しさに合わないからプランを修正して、金融庁にはそっちで説明するというものです。
 銀行設立当時からマスタープランに無理があったことを旧経営陣がつかんでいて、みずからの手で少しでも現実的な計画にハンドルを切ろうとした証拠でもあります。
 知事、あなたは、マスタープランはモデルカーであって、それをどう運転するかは、経営者の才覚だったが、やらなかったんだといっていますが、事実は全く違う。少しでもまともな方向にハンドルを切りかえようとしたのに、マスタープランどおりでなければいけないといって、それを認めなかったのはあなたの側近です。旧経営者に上げて責任を押しつける調査報告書をまとめた津島氏はあなたの部下じゃないですか。
 結局、マスタープランを押しつけた知事の部下が今になって旧経営者に責任をなすりつけるような報告書をまとめただけの話じゃないですか、知事、どうですか、実態は。

○佐藤産業労働局長 お答えする前に、ちょっと、資料も私の方からよく見えませんし、その資料自体がどういう資料のものなのか、確認ができない上でのお話というのはなかなか答えられません。
 ただ、ご質問の中で、マスタープランを押しつけたというようなお話がありましたけれども、具体的な数値で申し上げますと、今お話のあった金融庁云々かんぬんという話がありますけれども、その同時期にありました中期経営目標というのは、銀行側の経営陣が出した目標でありますけれども、例えば、総資産の部分でいきますと、マスタープランの一七%ほど減じておりますし、また、業務純益につきましても四ニ%ほど減じている計画をつくっております。それから、経常利益についても六一%、預金残高につきましても二二%の減という、マスタープランを押しつけたとおっしゃいますけれども、結果として、経営陣が責任を持って立てた中期経営目標というのは、今いったような形でのマスタープランとの乖離は、数値目標上では大きなところが違っております。

○曽根委員結局、マスタープランが現実に合わないことがもう、一年、二年ではっきりしたからじゃないですか、それは。
 大体、東京都が無責任なのは、新銀行東京に関する調査報告書を知事は読んだというふうにおっしゃいましたが、東京都に調査報告書はあるんですか。
 後藤議員が調査報告書の開示請求を行ったところ、取得しておらず、存在しないという知事名の回答があったじゃないですか。知事は読んだというようなことや、持っているとおっしゃいましたが、事実はどうなんですか。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京の発表しました調査報告書につきましては、私も内容を見ておりますけれども、物自体は私どもの方に置いてはございません。これは新銀行東京では、調査報告書本文をもとに訴えを提起することを考えておりまして、本報告書はその重要な資料であります。
 また、本報告書の本文には個人名が記載をされておりまして、個人のプライバシー保護に配慮する必要がある、こういうことから都は本報告書の内容は承知しておりますけれども、物自体を所持をしておりません。

○曽根委員 本当に無責任ですよ。都は事実かどうかを示すものを手元に持っていないと、見ただけだと。概要版だけで見て、新銀行東京の経営陣のいい分をうのみにしてしまった。旧経営陣を批判してきたわけです。これでは幾ら経営陣に対する監視委員会をつくるといったって、だから、大丈夫といわれても、信用できるわけはありません。
 これだけじゃないんですよ。このブリーフィングで、津島氏らは、マスタープランの目玉であり、こげつきを生み出した最大の原因であるポートフォリオ型融資、一貫してこれにこだわり続けている。「ポートフォリオ型融資以外に力点が置かれている」としてポートフォリオ型中心の計画に直させ、「申し込んだ日を含めて三日以内の回答というのがマスタープランなのに、そうなっていない」と。「議会に対して説明済みの内容なので、そうしなければ許されないん」だということで激しく迫っているんです。
 知事、このことも知らなかったということですか。事実と異なるというんですか。だれに経営破綻の責任があるのかにかかわる大問題です。調べて事実を明らかにすべきです。
 少なくとも事実が明らかになるまでは追加出資はやめるべきです。いかがですか、知事に聞いているんです、これは。知事、答えてくださいよ。

○佐藤産業労働局長 先ほどから申し上げましたけども、その資料自体ちょっとよく、どこから出ている資料なのか、はっきりさせていただかないと、それに基づいた議論を、我々としてもお答えのしようがないわけですね。

○曽根委員当然、私たちは公開しますが、当然。わからないなら調べていただきたいんです。どうですか、局長、調べてくださいよ。

○佐藤産業労働局長 もとより、一千億円の出資を、議会の議決をいただいて出資をするということが決まった。そのときに議会側にるる説明をしたプラン、これが尊重されないで、そのまま経営者だけの判断で勝手に変えられるということに対して、東京都側の責任ある立場の者が、このプランになるべく準拠してほしいという姿勢で臨むのは、ごく当然の話でありますし、それが結果として、経営者との間でのやりとりから、最終的に経営者の判断として中期経営目標なり何なりがつくられてくるということ、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、スタンスとして、そのことがなぜ違うのか、その趣旨については、私どもはわかりかねます。

○曽根委員 この文書の真実性については、私たちは、この文書をもらった人とは別の元執行役の人にもこの文書を見せて事実であることを確認しています。
 今、局長お答えになったように、マスタープランについて都が要請するのは当然じゃないかということですが、そのマスタープランにこだわったときに何が起きたかということなんですよ。
 ポートフォリオ融資。しかも、申し込みがあって三日以内の回答、三日以内の回答ということになると、これはだれも専門家は知っていることですが、現場を調べることができないわけです。民間のデータバンクぐらいでは、財務諸表に粉飾があっても見抜くことさえできない。貸してから短期間で倒産した件数も多く、また明らかにデータをごまかして不正な借り方をしたと思われるものが、報道では三十五件あったといわれているじゃないですか。
 さらに、マスタープランの原案で、十億から二十億の赤字が出るものを都側が五十四億円の黒字に変えたという問題も指摘をいたしました。
 我が党は、マスタープランで三年後の個別貸倒引当金をゼロに設定して赤字を減らすという方法をとったことも指摘しましたが、この点でも、私たち元執行役の方にお会いしましたが、新たな証言がありました。
 本来なら、三年でも赤字になるところを黒字にするために、いわゆるATM、現金自動支払い機の大量配置という計画を押し付けたということです。
 マスタープランではATMは二百台置くと。小さい銀行にしては多い台数なんですが、実際は百五十一台が配置された。
 実際に新しい銀行が、カードをつくってATMをやるときに、ほかの人は、ほとんど持っているのは他行のカードだから、ATMをたくさん置けば、ほかの銀行のカードを使ってくれるだろうと。そうすると、一回百円ぐらいの手数料が入るんだと。それで見込んだのが数十億円ですよ、この中で、マスタープランで。
 しかし、実際はどうだったかというと、ほかのATMで新銀行のカードを使ったのが四十七万枚あるというのが報告ありましたが、新銀行のATMでほかの銀行のカードを使った数というのは公表もできないというんですよ。全く赤字で話にならなかったわけですよ。
 十二億円もかかったんでしょう、この設備、百五十一台で。こういう赤字が起きている。
 どれもこれも、知事がもとをただせばつくった構想、それに基づいてマスタープランがつくられ、それを銀行に何が何でもこのとおりやれというふうに押しつけたことが赤字を拡大し、これが破綻に至った、新銀行破綻に至った最大の原因ではありませんか。もう一回、知事、認識をちゃんと答えてくださいよ。

〔佐藤産業労働局長発言を求む〕
〔曽根委員「知事」と呼び、その他発言する者多し〕

○佐藤産業労働局長 趣旨はもう先ほど来お答えしているとおりでございます。

○曽根委員 知事は全然立ってこないんですけれども。
 だからこそ金融庁だって、二〇〇六年末に、異例の報告徴求命令が出されたんじゃないですか。「FACTA」と言う雑誌には、この徴求命令は、@中間決算でなぜ赤字が出たのか、Aリスク管理債権が急激に増加したのはなぜか、B貸出金利の下落はなぜか、C知事がATMについて言及しているが、都と銀行の関係はどうなっているのか、それから、D○七年三月期までのより具体的な営業計画を示せという内容だと、これは報道されています。都が知らないはずはありません。幾ら何でもこの時点で手を打つべきだったんじゃないですか。この認識はいかがですか、知事。

○佐藤産業労働局長 本日のさきの質疑でもお話し申し上げましたけれども、金融庁と金融機関の関係でございまして、私たちは、その件については存じ上げません。

○曽根委員 知らぬ存ぜぬでは済まないわけですよ、これは。
 旧経営陣の乱脈ももちろん私たち重大だと思います。しかし、一千億円の赤字の最大の元凶は、石原知事がトップダウンでつくらせ、旧経営陣がそのレールの上で走らされたマスタープランであったことはもう今日、明白な事実なんですよ。
 第一に、三年後に無理やり五十四億円の黒字をつくるという、到底不可能な目標を押しつけたこと、その上に立った過大な融資目標で不良債権の山をつくったこと。
 第二に、過大な預金を受け入れることで、巨額な有価証券や金融商品の購入で損失を出したこと。 第三に、ATMを初めとする高過ぎるコストですよ。

 私はこれに加えて、誇大広告ともいうべき計画や言動で都民をだまし、銀行を設立したばかりか、欠陥計画を押しつけて、赤字を拡大させてきた知事と側近こそ、都民の税金一千億円をいわばどぶに捨てるようなことになった元凶であることを改めて指摘しておきたいと思います。

●四百億円の根拠となる「再建計画」も都民だまし

 次に、知事が一手億円出資金を失い、しかも責任を省みることなく提出した四百億円追加出資の前提となる再建計画について伺います。
 先日の経済・港湾委員会で、我が党の委員が、再建計画の業務純益や想定する預金金利など、基本中の基本の情報を明らかにすることを求めたのに対して、産業労働局はほとんどの事項について答弁を拒否しました。都政をチェックする役割を付託されている都議会を軽視するものです。許されるものではありません。
 肝心なことを明らかにせず、追加出資を認めよということは、白紙委任せよといっているのと同じです。
 そこで改めて、これはぜひ知事に伺いたいんですが、現在の再建計画では、銀行業で本来のもうけをあらわす、いわゆる業務純益ですね、これがプラスになるのか、物になるのかと、この判定の、その数字が出てないんです、今、再建計画案には。
 知事は、少なくとも四百億円出す、出資を提案した責任者ですから、その点はぜひお答えいただきたいんですが、いかがですか。

○佐藤産業労働局長 新銀行東京は、経営の危機に瀕しているものの、営業を継続しながら再建の道を選択しているわけであります。個々の新しいビジネススキームで想定するいろいろな数値、指標がございますけれども、この根拠数値はまさに重要な営業情報にかかわるもの、そういうものにつきまして明らかにすることは競争上著しく不利になるということは明らかで、それにかかわるものについてはお示しをできません。

○曽根委員 ちょっと笑い話みたいなんですけど、新銀行東京って、一体ライバル、どこなんですか。(笑声)だれも相手にしてないんじゃないんですか。
 それで結局、四百億円、何にも大事なことは示さずに出せという、こんなやり方を、普通の人だったらお金出しませんよ。自分の懐が痛まないから、四百億円という途方もない税金をつぎ込めるんです。

 しかも知事は二言目には、新銀行東京が融資している中小企業を守らなければだめだ、中小企業を助けるために銀行を続けるんだといっていますが、これもごまかしです。
 お聞きしますけれども、再建計画実施後、現在貸し付けているという一万三千社、このうち、継続して融資が受けられなくなるのはどれぐらいあるのか、そして、どういう理由で受けられなくなるのか、事業ごと、債権分類ごとに示してください。

○佐藤産業労働局長 再建計画実施後、現在の貸付先、これは一万三千社あると申し上げてきておりますけれども、そのうち、どれだけがどのような理由で継続して融資を受けられなくなるのかということでありますけれども、当然、審査によりまして、延滞が見込まれる先、これは難しいというふうに考えております。また、そういう意味で、今後不良債権化するおそれのある事業者に対しては、残念ながら、継続して融資を行うことはできないというふうに聞いております。

○曽根委員 今、延滞が見込まれる先ということがいわれましたが、融資を継続しないと、とんでもない話なんです、これは。あなたが答えたことは、きちんと返済、今返済していても、新銀行東京の都合で勝手に融資を打ち切ってしまうということに等しいんです。
 普通の銀行や信用金庫などは、たとえ返済が滞ったとしても、経営を支援して、融資を打ち切ったりしません、簡単には。それは銀行や信用金庫では、融資を損失しないために、その方が努力するかいがあるからなんですよ。
 知事、延滞が見込まれるというだけで貸し剥がしをするというんですか。それは全く、知事がこの間話したことと違うんじゃありませんか。
 大体、二千億円の貸付金が七百億円になってしまう、しかも一般融資は健全な既存顧客を中心に百億円だという計画なんですから、ほとんどの中小企業の融資ははがされていっちゃうんじゃないですか、先ほどもちょっと話がありました。それで銀行だけは身ぎれいな体になれるんですか、知事、どうなんですか、この点について。それで中小企業のためだといえるんですか。

〔佐藤産業労働局長発言を求む〕
〔曽根委員「知事に聞いているんです、これは、知事の基本方針だから」と呼ぶ〕

○川井副委員 佐藤産業労働局長。
〔曽根委員「だめですよ。局長、だめだ、知事に聞いているんですよ。知事、あなたね」と呼ぶ〕

○川井副委員長 曽根はじめ理事、座ってください。曽根はじめ理事、座ってください。

〔曽根委員「中小企業のためだというんなら答えなさいよ」と呼ぶ〕

○川井副委員長 委員長が既に答弁者を指名しておりますので。

〔「質問者の声にこたえろ」と呼び、その他発言する者多し〕

○佐藤産業労働局長 再建計画の実施後、現在、貸付先が一万三千杜ございます。銀行によりますと、そのうち九千社が健全な返済をされている先というふうに聞いております。
 まずはこの九千社というのが対象になりますけれども、きょう別の機会にご答弁申し上げましたけれども、赤字や債務超過で企業、これが五千社を超えておりますけれども、そのうちの二千社がこの九千社のうちに入ります。ただ、残りの三千数百のうちのまた二千社は今後の融資対象として考えているということでございますので、赤字、債務超過先五千数百社のうちの四千社を引き続き融資対象とするというふうに受けとめていただいて結構です。

○曽根委員 こんな貸しはがしは聞いたことがありません。本当に困っている小零細業者には結局貸さない、貸しても一○%とかの高利、少しでも滞れば貸しはがし、こんな銀行が必要なんですか、世間に。有害なだけじゃありませんか。
 しかも、再建計画では別個にハイリスクの新ビジネスが中心になってきますし、既に他の金融機関がやっていることです、これは。うまくいく保証もなければ、これが中小企業のための銀行かと、専門家も驚くような内容ですよ、これは。
 まさに新銀行東京はもう無用の長物といっても過言ではありません。したがって、銀行の存続を前提とするのではなく、どうしたら都民の被害を少なく、撤退できるか、ここにこそ力を注ぐべきことは、だれの目にも明らかであります。

 そこで伺いますが、二〇〇九年、来年の三月末に、本業の自己資本比率四%を維持するのに必要な資本金は幾らなんですか。簡潔に金額だけお答えいただきたいと思います。

○佐藤産業労働局長 そのご質問は余り意味がなくて、実は銀行経営にとっての自己資本、これはもう何度もご説明しておりますけれども、単純に、例えば四%とかそういう数字だけをリスクアセットにかけるという数字で成り立つわけではなくて、るる説明していますけれども、従来の自己資本比率何%と、それに加えまして、信用リスクや市場リスクなど、将来発生することがあり得る損失に基づく自己資本額が経営上必要というふうになっているわけですね。ですから、新BIS規制は、両者いずれも達成することを求めておりまして、新銀行東京の再建に当たっては、四百億円の資本が必要となるということを説明を申し上げてきているところでございます。

○曽根委員 聞いてないところまで答えているんですよ。あなた方は、何を聞いても結局、自己資本比率四%以上のために、数字としては四百億円必要だとしかいいませんけれども、しかし、そのほとんどは新たなリスキーな事業に乗り出すからではありませんか。新銀行東京は、高利で頭金を集め過ぎて、運用で損失を出すという失敗をしているんですから、余計なことに事を出すべきじゃないんです。地道に中小企業のための融資をすると本業に徹した場合に、最低限、自己資本はあと幾ら必要なのか・・、もうお答え、幾ら聞いてもいわないから、私、計算しましたよ。

(パネルを示す)ここにあるように、自己資本比率四%を達成するには、資本金は二十七億円あればいいわけです。追加は三億円あれば十分なんです、今二十四億円ですから。
 余計なこと、リスキーなことに手を出さなければ三億円で済むんですよ。仮に一○%を確保するといっても、資本金は七十七億円あればいいわけですから、追加は五十三億円だけでいいんです。
 これは、先ほどもちょっとお話が出ましたけど、同じ中小企業金融を目的につくられた都民銀行の場合、預金が三兆二千四百二十一億円、貸し付けが一兆七千三百九十億円、それで資本金は四百八十一億円、自己資本比率は一○・二一%ですよ。これに対し新銀行東京は、預金が来年度で五百億円、それが二百億円台まで下がると。貸付金も七百億円から四百億円になっていくと。一方、資本金は千五百八十一億円、これは減資するでしょうけれども、したとしても約五百六十億円も必要だというんです。だれが見たっておかしいじゃないですか。
 私が話を伺った金融専門家、公認会計士、さらに再生ファンドの経営者は一致して、再建計画のいいかげんさと危険の高さを指摘しています。マスコミもこの点では全く一致しています。

 伺いますが、他の百八十七億円の出資者には追加出資を求めるんですか。

○佐藤産業労働局長 他の出資者につきましては、日常的に銀行が出資者との情報交換をしている中で、出資を求められる状況かどうかということについては判断をしております。

○曽根委員 はっきりしたお答えがなかったんですけど、出資なんかしませんよ、だれも。
 しかも、今回の追加出資に先立って、新銀行東京が頭を下げて回ったにもかかわらず、幾つもの銀行に当たってもどこも協力を表明していない。民間から、市場からもう見放された新銀行東京に未来などあろうはずがありません。 知事はメンツを捨てて、銀行の継続をあきらめるべきなんです。なぜそれができないんですか。追加出資か、ペイオフか、一千億円の税金投入になるのかという問題の立て方が間違っているし、ごまかしなんですよ。
 私は、第四の道を提案したいと思います。
(「聞いてみようじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)

(パネルを示す)図を用意しましたが、まあ単純な話です。(笑声)
 都の説明のように、現在預金が四千五百億円あります。これが、負債です。一方、資産は、すぐに現金化できる流動資産が三千五百億円です。(「見えないよ」「何で資料配らないんだよ。こういうとき配れよ、ちゃんと」と呼ぶ者あり)したがって、不足が一千億円です。これは簡単ですから、配る必要ないんですよ。
 これをどうするか。まず、この下の部分、新たな事業、すなわちハイリスクな部分は中止するということですよ。その上で、二千億円ある貸し付けを順次回収し、一千億円の預金の回収に充てるというものです。−−一時的に資金ショートが起きるという人もいますけれども、実際には、預金の大半は二年とか三年の定期ですから、今すぐ一千億円が金庫になければならないというものではありません。貸し付けは、先ほどいいましたように正常債権が一千四百億円もあるんですから、延滞債権も合わせれば、しっかり回収すれば大丈夫なんです。それを売り急いでバルクセールにかけるなんていうことは、ハゲタカファンドを喜ばすだけなんです。
 知事、どうですか。こういう極めてシンプルなスキームで、あなたが新銀行から撤退することを決断すればやっていけるんじゃないですか。いかがですか、知事。

○佐藤産業労働局長 単純な図式を示されましたけれども、具体的な事業の中身をもってどれだけのリスク資本に割り当てられる資本が必要なのかということもさっぱりわかりませんし、それでは全く判断ができません。

○曽根委員 局長は事実上反論できないと思うんですけど、最大の問題は中小企業の支援なんです。これは、正常債権や延滞債権は通常どおり融資を回収して、継続して回収すればいいんですが、新銀行東京の貸付先には、他の銀行が乗りかえを認めた貸し付けがたくさんあります。みんながみんな焦げつくわけではありません。
 デフォルトについても、もちろん不正な融資だとか情実の融資などは除いて、まじめに働いている中小零細業者については、別途新たな制度融資などで受け皿をつくればいいんです。できればそれに国のセーフティーネットを組み合わせることができれば、都の負担も軽くなります。京都府ではこのやり方で、新銀行東京が貸し付けたような赤字の企業でも借りられる融資をつくって救済しているんです。できないことじゃないんです。知事が国や民間銀行に頭を下げてでも新しい制度融資を実現したらいいじゃないですか。こういうことを我が党は提案しておきたいと思います。

 知事は結局、何だかんだいって、大事なのは都民の税金じゃなくて、自分のメンツだけじゃないんですか。
 東京新聞読者欄にこういうのがありました。「新銀行東京を継続させるなら、知事とそれに賛成する議員は、全財産を担保に出してもらいたい」という声が寄せられています。私はもっともな話だと思うんです。知事、どうですか。これは知事のことだから。

〔佐藤産業労働局長発言を求む〕
〔曽根委員「知事、もういいかげんに答えてくださいよ。私の質問、一回しか答えてないじゃないですか」と呼ぶ〕

○川井副委員長 佐藤産業労働局長。
〔曽根委員「どうして局長が答えられるんですか」と呼び、その他発言する者多し】

○佐藤産業労働局長 私どもは、新銀行東京が事業清算なり破綻処理になった場合のさまざまな影響、これはもうるる説明してまいりましたけれども、こういう影響を与えてはいけないということで、とり得る最善の選択肢が、今ご提案中し上げている、事業継続を前提としました四百億円の追加資本をお願いしているわけでありまして、これがなされることが、都民や預金者、中小事業者、これに対する影響が最も少ない、ベターな方法であるんだということでお願いをしているところでございます。

○曽根委員 今局長がちょっと別のお答えをしたからいっておきますが、制度融資で、何のために預託原資があるかということなんですよ。四百億円、わけのわからないことに使うんだったら、その半分でも預託して金融機関に協力してもらえばいいんですよ。経営が厳しいところには預託原資を厚くすればいいんです。制度融資のデフォルト率は新銀行の五分の一ですよ。都市銀行や信用金庫ならば、支払いが多少延滞してもいきなり切り捨てたりはしていませんよ。こういうところにこそ、やはり力を、協力をしてもらって、遠回りだけれども損失を少なくする、都民の犠牲を少なくする道があるじゃないですか。
 私たちはそのことを強く提案したいと思います。

 以上いろいろ質してきましたけれども、知事が一千億円を失った責任は免れません。先ほど何かおわびしたみたいですけど、その上で、しかし、やっぱり四百億円は認めてくれというんだったら、まず一千億円の責任をとって、潔く知事の職を辞して、選挙で都民の判断を仰ぐべきではないですか、どうですか、これだけは知事、答えてくださいよ。
 四百億円が本当に正しいと思うんだったら、都民に判断を仰ぐべきじゃないですか、どうですか、知事。

○石原知事 先ほど東京新聞の読者の声を紹介されましたが、我々に残された選択肢というものをもう少し冷静に分析し判断していただければ、都民にもわかっていただけると思います。ゆえに、あなたのご提案に私は従うつもりはございません。

○曽根委員 もう知事の一千億円の責任ははっきりしているのですよ。この上、四百億円。
 大体、知事は、みずから新銀行東京にいくらか預金しているのじゃないですか。まさか、一千億円をどぶに捨てるようなことをしておいて、自分の預金は利子をつけて全額返してもらうわけではないでしょうね。知事、いかがですか、正直にいってくださいよ。どうですか。(佐藤産業労働局長発言を求む)知事、何で局長がわかるんですか、何で局長がわかるんですか、そういうことを。

○佐藤産業労働局長 全く個人の資産に関することでありまして、適当なご質問ではないと思います。
〔発言する者あり〕

○曽根委員 (うるさくて)局長の答弁も聞こえませんけれども、大体、知事の預金について、局長がわかるわけがないわけですよ。
 知事、あなたは新銀行をつくって、これは私たちの以前の本会議の質問には、一千億が兆の単位になるんだとまでおっしゃったのですよ。そのあなたが預けていないわけがないじゃないですか。まさか、本当に都民の税金をむだにしておいて、自分だけはちゃっかり預金の利息も含めてもらおうなんていうことは、あってはならないですよ、これは。
 自分のメンツだけにこだわって、都民の税金をどぶに捨てようと意に介さない。こんな知事を持った都民は本当に不幸だといわざるを得ません。こんなことをやっているから、知事の支持率はもう五割を切っているのですよ。そういう調査もあらわれています。
 私は改めて、モラルハザードを起こした銀行は市場から撤退させること、石原知事はみずからの責任を認め、知事の職を辞すべきであることを強く求めて、質問を終わります。
(拍手)
○川井副委員長 曽根はじめ理事の発言は終わりました。

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