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住宅港湾93年11月2日

 青ヶ島埠頭に新工法、利島の待合所、三宅漁港、臨海の環境問題

 

◯曽根委員 私からは、最初に、離島対策について何点かお伺いいたします。

  まず初めに、青ヶ島港の港湾整備についてお聞きします。

  現状を地元の方からお聞きしたんですが、平成三年度までに五十メートルの物揚げ場が完成をして、現在、第三セクターの運営する「環住丸」というのがここに接岸をしている。

しかし、東京から運航している「黒潮丸」が接岸できる岸壁がないために、平成三年度からそちらの整備にかかっているというふうにお聞きをしています。  それで、三年度以降の本格的な「黒潮丸」を接岸できる岸壁の防波堤工事の各年度ごとの進捗状況をまずお聞きします。

 

◯高見離島港湾部長 平成三年度以降の防波堤工事の年次別の進捗状況についてでございますが、平成三年度十メートル、平成四年度十五メートル、平成五年度十メートルでございます。  なお、平成六、七年度とも、おおむね十メートル程度を予定してございます。

 

◯曽根委員 いただいた資料を見ますと、あと残された部分、かぎ型になっているようなんですが、合計しますと、まだ百五十メートルぐらい残されているんじゃないかと思うわけですね。しかも、水深がだんだん深くなっていくという中で、あそこは外洋に直接面している島ですので、防波堤の工事は今後ますます困難になっていくだろうと思われるんですが、そういう点で、七年度までの計画以降、何とか促進をする方法はないものか、この点での検討がされていれば、具体的にお答えをいただきたい。

 

◯高見離島港湾部長 青ヶ島、非常に施工条件の厳しい場所でございます。したがいまして、従来工法では建設工事に長期間要することになります。このため、平成三年度から平成四年にわたり、運輸省と都で委員会を設置いたしまして、建設促進工法の技術的検討を進めてきております。この結果、SEP工法が有力であるとの結論を得ております。

 

◯曽根委員 今、SEP工法というお話があったんですが、私も素人なので、なるべくわかりやすく技術的な内容についてご説明をいただきたい。

 

◯高見離島港湾部長 SEP工法でございますが、事例で申し上げますと、北海油田の採掘などで用いられている工法でございます。これを応用したものでございまして、海上台船に足を取りつけた構造物を防波堤本体とするものでございまして、この足を支柱として、台船全体を波の影響を避けるために一たん上昇させまして、その後、足を固めた後に台船本体を下げまして、これを防波堤とする工法でございます。

 

◯曽根委員 この工法を使った場合、今までに比べて大体どの程度工事のテンポが上がるのか。  それから、これを実際に具体的に実施に移すとすれば、どういう段階から───七年度までは計画があるそうですが、八年度以降、実施に移せるのかどうか、その見通しについて。

 

◯高見離島港湾部長 このSEP工法を防波堤として使った実績がまだございませんので、これからさらに技術的な検討を加えた上で、いろいろ整備スケジュール等についても具体的に検討していくことになろうかと思います。  なお、平成八年度から始まります第九次の港湾五カ年計画に、このSEP工法が取り入れられるよう運輸省に働きかけていく予定でございます。

 

◯曽根委員 離島の中でも、特に青ヶ島は、本格的な岸壁がないために、いまだにはしけで「黒潮丸」からは物や人を運ばなきゃならないということで、地元の方からは、岸壁を早くという声が大変強く出されている。

  今の工法では何十年かかるかわからない。要するに、ちょっと技術的には不可能に近いというふうにもお聞きしておりますので、何とか新しい工法でこの促進を図っていただきたいと強くお願いをしておきます。

  それから、一つの島に二つの港を反対側につけるという考え方で、大千代港の整備が行われているわけですが、この現状について。

 それから、地元の方からは、この大千代港の方は、外輪山から歩いておりなければならない、極めて険しい道になっておりまして、外輪山を突き抜ける、青ヶ島港と同じようなトンネルをつくれないかというお話を伺っているんですが、その検討状況をお聞かせいただきたい。

 

◯高見離島港湾部長 大千代港については、物揚げ場延長四十四メートルを整備してきたところでございます。今後は、三カ年の予定でさらに物揚げ場を六メートル延長いたしまして、「環住丸」が安全に接岸できるよう延長五十メートルにする予定でございます。

  また、トンネルについてでございますが、このトンネルについては建設局の所管でございます。建設局では、今後、大千代港の就航率の状況を見てから検討するというように考えているようでございますが、当局では、まず港湾の整備を先に進めていきたいと考えております。

 

◯曽根委員 ぜひ検討をお願いしたいと思います。  次に、利島の利島港についてお聞きしたいんですが、こちらでは最近観光客が着実にふえてきているというふうにお聞きしています。そこで、ここ五年間ほどの利島港の利用客の変化について、まずお聞きしたい。

 それから、その中で、現在の船客の待合所が、ほかの目的の建物を借りているために大変みすぼらしい、何とか本格的な待合所を建設してほしいと。これは前々からの要望だと思うんですが、その実現の見通しはどうか。二点お聞きします。

 

◯高見離島港湾部長 利島港の乗りおり合わせた利用客数でございますが、昭和六十三年一万七百八十二人、平成元年一万九百七十一人、平成二年一万一千四百七十六人、平成三年一万一千五百四十九人、平成四年一万二千四十六人でございまして、徐々に増加していく傾向でございます。

  待合所の件でございますが、現在、利島村の所有の生産物直売所を待合所として利用している状況でございます。したがいまして、これまで利島村を初めとして地元から強い要望がございました。このために、平成六年度、船客待合所の整備を予定しているところでございます。

 

◯曽根委員 現在のところで今まで我慢してきたこともありますので、ぜひ立派なものにということで要望が出ている。それから、現在の待合所が岸壁から大変遠いということもありまして、できるだけ近くにという話もありますので、この点での場所等の見通しはどうかということも、わかっていましたら、お願いします。

 

◯高見離島港湾部長 船客待合所の位置でございますが、今使っておりますのは岸壁からかなり離れたところでございますが、今度は岸壁のすぐ近く、つけ根のところに整備する予定でございます。

 

◯曽根委員 離島の対策の最後なんですが、三宅島の阿古漁港についてお聞きしたい。こちらは岸壁の長さはかなり十分にとられているんですけれども、満潮時になると波をかぶりそうだという話がありまして、本来の基準に比べて岸壁の高さがちょっと低目なんではないかという地元からの声があったわけですが、その点についてどうかということと、かさ上げについての予定があるかどうかもあわせてお聞きしますので、両方お答え願います。

 

◯高見離島港湾部長 三宅島の阿古の岸壁でございますが、確かに好天の満潮時には波をかぶることがございます。これは昭和四十六年代の建設で、非常に古いときにつくったものでございまして、岸壁の高さが、当時は満たしていたわけでございますが、現在の整備水準から見ますと、八十センチほど低くなっている状態でございます。  今後、かさ上げの予定についてのお尋ねでございますが、三宅村を初め地元からも要望がございまして、かねてよりかさ上げの検討を進めていたところでございます。平成六年度から始まります第九次の漁港整備長期計画に採択されるよう国に要求しているところでございます。

 

◯曽根委員 ぜひ、これも実現をお願いしたいんですが、今お話があったように、これは国の補助金をかなり高い割合で取る事業なんで、この間補助金が下げられているというお話をお聞きしまして、なかなか厳しいと。それから東京都の予算の厳しいお話も再三私たち伺っていますが、離島の対策というのは、地元の町村ではどうにもならない財政規模がかかるわけで、何としてもこれは地元の方々のために頑張ってもらいたいということを最後にお願いします。

●臨海部の環境問題

 次に、私の二つ目の問題として、臨海部開発の関連なんですが、環境対策について何点か質問をしたいと思います。  環境対策の現状、それから環境に及ぼす開発の影響などについては、おととしの特別委員会のときにかなり集中的な議論がされたと思います。特に当時提出されました広域調査の報告、また広域幹線道路のアセスメントの評価書案の内容、それからこの間いろいろと議論されておりますヒートアイランド問題など、そうしたことについての議論がされたわけですが、残念ながら、この特別委員会の中でこれらの問題がきちんと解決をされていない。我が党についても、出席の委員から───特に大気汚染問題で、広域調査の中では、臨海部副都心による窒素酸化物、NOxの東京全域に対する、または、さらに広く広域的な地域に対する影響については小さいというふうに報告がされていることをもって、臨海副都心の大気汚染問題での影響は少ないというふうに断定をされてしまったわけで、この点については厳しく批判をしたのはご存じのとおりです。

  つまり、臨海部副都心の及ぼす大気汚染問題というのは、東京全域問題を語る前に、まず何よりも地元の臨海部地域、特に広域幹線道路が通過する地域の大気汚染をどの程度悪化させるのかということをまず第一に考えなければならないはずで、その点での環境に対する影響について、見直しの際にほとんど触れられていないという点を厳しく批判したわけです。

 それから、さらにヒートアイランドの問題など、まち全体が発生する熱量が大気や気象に大きな影響を与えるという点でも、これは新しい問題ですけれども、検討がほとんどされていない。それから、それに対する幾つかの対策が出されましたけれども、その後も前進をしたというふうには私たちはとらえておりません。

  そういう点で、改めて、この環境問題というのは、きちんと検討されなければならないだろうというふうに考えております。ただ、ここは港湾局所管の事務事業の審査ですので、環境保全局や建設局の方には来ていただけないので、突っ込んだ話になりますと、これは特別委員会でもつくらないと───これはぜひつくってもらうように私たちは要望していますが、できないということで、きょうは限られた範囲でありますが、お答えをいただけるものに限って何点かお聞きします。

  最初に、大気汚染問題、これはどうしても触れなければならないんですが、特に、この臨海部地域に集中する自動車の排気ガスによるNOxの汚染の対策についてお聞きしたいと思います。

  一昨年の特別委員会のときには、再検討委員会の第一次報告の中で、先ほど申し上げましたように、広域環境調査の結果をもとにして、NOxの負荷量、これが東京全体に与える影響は小さいんだということから、環境に与える影響は少ないんだという報告の中での結論を出してしまっているわけですが、この特別委員会でも我が党の委員が指摘したように、これは極めて恣意的なデータの使い方になっている。しかもこれは、つけ加えていいますと、このときのデータの問題でも、データの改ざんがあったんじゃないか、捏造があったんじゃないかという新聞報道など、また、実際に数字が間違っていたというような釈明もあったわけで、非常にそのとき疑惑を呼んだわけですね。それから、参考人のお一人の方からも、NO2と書くべきところをNOxと書きかえたのではないかという指摘もされたというふうに、これは大変疑いの持たれたときのデータなんですね。そういう点から見ても、このときの環境問題での論議の中では積み残された未解決の問題がたくさんあるというふうに私たちは考えております。

  それで、一つは、こうした自動車の交通量を大きく引き上げてしまう───調査の中でも、予測されているのでは一日約三十万台の出入りがあるだろうと、現在が十万から十三万台だとすれば二倍以上だろうというふうにいわれている。これだけの交通量を発生させる広域幹線道路または湾岸道路、この計画について、その後何らかの変更があったのかどうか。もう既にアセスが行われてしまって都市計画決定がされていますが、この広域調査が行われた時点から以降変更があったのか、または環境に対するその点での影響はどの程度違うのか、まず第一にお聞かせいただきたいと思います。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 その後の変更の例についてでございますけれども、広域幹線道路のうち月島・晴海連絡道路、補助三一四号線と申しておりますけれども、この道路につきましては、当初、月島地区におきましては幅員三十三メートル、往復四車線、晴海地区におきましては幅員五十メートル、往復六車線で計画されておりました。しかし、その後、月島地区につきましては、区立の運動公園をこの道路が縦断し、また、小学校や幼稚園にも隣接してすぐそばを通る、こういう計画になっていたため、地元の中央区や町会、さらには小学校等から、計画の変更を求める請願あるいは要望が出されたこともございまして、結果としまして、月島地区につきましては幅員二十二メートルから二十五メートル、往復二車線、こういうふうに変更することといたしまして、それに基づきまして環境影響評価を実施し、都市計画決定を行ったという例がございます。

 なお、この月島地区の車線数が四車線から半分の二車線に変更されたことによりまして当然交通量も減少するわけですから、結果としては、環境に及ぼす影響も軽減されたものと考えております。

 

◯曽根委員 広域調査以後、車の対策がどうしても必要だということや、地元から、区議会から意見書まで出されたと。また、私たちも何度か現地を調査したりしましたが、中央区では、この広域幹線道路の計画の抜本的な見直しを求めて住民運動も起こっているわけですね。そういう声のもとに行われた変更が今の点だというお答えで、これは若干改善になっている、大気汚染問題も改善されているはずだというお話がありましたが、私は、そんなにこれの効果はないんじゃないかと。

 念のためお聞きしておきますが、この計画が四車線から二車線に変更になったのは、補助三一四号ですか、これの全部ではないわけですよね、一部ですよね。月島地区に限ってであって、向かい側の豊洲に渡りますとまた四車線になるわけです。きょういただいた資料がたまたまこの自動車交通予測量を、これは最新の資料だと思いますが、出しておりまして、資料の七ページにこれが載っておりますが、ここでいいますと、番号の7がこの道路に当たるわけで、車線数は四というふうに、一部が狭くなるけれども、全体四車線なんだということは変わってないわけですね。そういう点では、その後の交通量が本当に───四車線から一部二車線に変更したことによって、大気汚染が改善されるというような比較調査なりをやったのかどうか、その点だけ念のためにお聞きしておきたい。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 変更した後の影響調査については行ってございません。

 

◯曽根委員 そういう点では、これで若干改善されるだろうといっても根拠がないと思います。しかも、この資料をよく見ますと、交通容量が一日三万六千台分あって、平成十二年度の交通量の予測が一万七千台と半分以下になっている。つまり四車線つくっているから、この連絡道路についていえば、容量の半分程度でおさまるだろうというふうに予測をされているということですよね。途中が二車線になって、半分程度埋まるだろうという予測ですから、この台数そのものが下がるというふうには思えないんじゃないかと思うわけです、途中が二車線で狭くなっても。そういう意味で、この一万七千台という平成十二年度の交通量予測が、一部二車線に変更したことで減るというのは、余り根拠はないんではないかというふうにいわざるを得ないわけで、これは所管が港湾局ではないようですから、これだけの指摘にとどめておきますが、それでもし交通量がその部分だけ少し下回ったとしても、東京の都心から入ってくる車の量は、臨海部開発の地域のオフィス計画その他が変わらない以上は、基本的には全部予定台数が入ってくるわけで、この道路が若干減っても、その分がほかの道路に回るだけのことなわけですね。

そういう点では、全体として一日三十万台以上というような予測は変わらないという点でも、若干この地域だけ、いろいろ地元が見直しを求めているので散らした、対症療法的にちょっと散らしたという程度にすぎないのではないかというふうにいわざるを得ないわけです。

  私も現地に行っていろいろお話を伺ってきましたが、晴海・月島地区というのは、もともとがNO2を初めとする大気汚染の濃度の大変高いところで、地元の住民運動で、大体百メートルメッシュでもって、毎年六月と十二月にNO2の測定をやっているのです。これは三年前の十二月に行ったデータをいただいてきたのですが、この月島地区については軒並み〇・一ppm、またはそれ以上の値が出ているのです。基準はご存じのとおり〇・〇六ですから、もう軒並み二倍近い、またはそれ以上の大気汚染になっている。その上に、ここに黄色くかいてありますが、網をかけるように幹線道路が上に乗るわけですね。これは倉庫群なものですから、大型車両が普段から出入りしている。そのために濃度が高いのですが、その上に幹線道路が乗っかって、ここの地域にとっては完全に通過道路ですよね。それがこの三一四号についていえば、月島から向かい側に渡る際に、運動公園を削らないようにということで若干狭くしたとはいうものの、そこにあります区立の公園をつぶさなければならないし、区民館も警察も、それから住宅も、完全にそこを取りのけなければ道路ができないという地域で、この点については平成四年の三月に地元の区議会からも見直しの意見書が出ているとおりなんです。

 この地元の反対の声というのは全然おさまってないわけですよ、聞いてみたら。こういうやり方をとっていたのでは、はっきりいって地元の納得は絶対得られない。地元が納得しない道路というのは、やっぱり基本的にはできないですね。十年たっても二十年たっても、この道路は通らないというふうに私は思うのです。そういう点では、この広域幹線道路についても、根本的に考え方を改めなければ、環境問題もクリアできないだけではなくて、道路自体ができないというふうに私は思います。

 それから、二つ目に臨海の地域内のことで、共同溝の中での地域冷暖房システムの問題について少し聞きたいのですが、この地域冷暖房システムの住宅への供給をやめたことによって、計画上も、また環境への影響という点でもいろいろ変化があると思うのですが、環境に対する影響については、どのように影響があると見ているか、また、それに対する対策を何か考えているのかどうか、お聞きします。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 東京都の環境保全局の行いました調査によりますと、個別冷暖房は地域冷暖房と比較いたしまして、窒素酸化物の排出量で約二八%増、二酸化炭素で約四・六%増、エネルギー消費量で約二二・五%の減となっております。こういった計算もございますので、今後の冷暖房に関します技術革新等の動向を踏まえながら、住宅への地域冷暖房システムの導入につきまして追求していきたいと考えております。

 

◯曽根委員 この住宅への供給をやめたことによって、一方では確かに窒素酸化物が排出がふえてしまうという面と同時に、私が非常に驚いたのは、エネルギー消費量が冷暖房システムの中で二割以上減るということですね。これはそういう意味では、個別の冷暖房に切りかえて、共同溝を通してやるのに比べて熱量が下がるということは、共同溝による地域冷暖房システムをとると、住宅については非常にロスが大きいということがわかるわけですよね。そういうことは最初からよく検討すればわかったはずだと思うのですが、途中で計画を変更したということによって、非常に共同溝の建設そのものにもロスが出てきているというふうに思うのです。

 これが住宅に行かないということによって、例えば、一部パイプを通さないで済むところができるのかどうかというふうにお聞きしたら、どうも余りそういうところはないようで、とにかく一通り全部地域内を通さなければならないと。ごく一部だけ、住宅だけしかないところがあって、そこはパイプをとめられるらしいのですが、そういう意味でも非常にもともとの計画からいえば見通しが狂った、ある意味では、熱供給の最初につくった計画から見ますと、むだが出ているというふうに思うのです。

  これからの問題を考えますと、さらに問題があると思うのは、住宅は別の形で冷暖房することになったのですが、オフィスについては全部やるわけですよね。そうしますと、今、大体予定では、始動期の間にこの冷暖房システム、共同溝はほとんどでき上がってしまうわけですが、始動期以降、もしオフィスビルが予定どおり建ち上がらなかったら、例えば二次募集以降の進出が思うようにいかないとか、もしくは計画をずらさなければならないとかいうようなことで、もしこれが予定どおり建たなかったとしたらば、何もビルが建ってない地下のところを通っている冷暖房システム、これを何らかの方法で、行かないように変えることはできるわけですか。その点の技術的な問題をちょっとお聞きしたい。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 もし、どこかの区画に予定していたビルが建たない、こういうことはしないように頑張ろうと思っていますけれども、そういう場合には、地域冷暖房はところどころでバルブでシャットできるようになっておりますので、そこで閉めて、そこから先にはいわゆる暖気、冷気とも行かないようにできるような構造となっております。

 

◯曽根委員 私が聞いたところでは、この地域内では、それを切りますと───結局人間の体を動脈と静脈が流れているように、動脈と静脈を途中で切るわけにいかないと思います。一貫して流れているものなんですね。また、逆に動脈から静脈に途中でつなぐわけにはいかないのだと。とにかくでき上がったパイプというのは、一通り地域内を通さなければ済まないというふうにお聞きしているのですが、今のように途中でもってビルがないところについては切れるのですか。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 説明が不十分で申しわけございませんでした。私が申し上げましたことは、地域冷暖房のパイプがあるところまで行って、その先がもうないという場合には、そこで閉めることができる。途中におきましては、おっしゃられますように、一つの回路を形成しておりますから、予定していたビルがないとすれば当然そこには行きませんけれども、その導管だけは蒸気が通るということになります。

 

◯曽根委員 それでわかりました。つまり、共同溝の中を通っている部分から出る、端の枝といいますか、そういう部分は切れるけれども、共同溝が一巡しているそのラインは切るわけにいかないわけですよね。そうしますと、これは決して非現実的な予想ではない、いろいろな予想も今出ているわけで、計画そのものがかなり時間的にも、それから物理的にもおくれるかもしれない。そうすると、建物のない地下を八十度の熱湯をずっと回し続けなければならないということも可能性としてはあるわけで、これは決して熱供給としてロスが出るだけでなくて、八十度の熱湯を地下を通して回すということによる熱の発散というのは、必ず何らかの形で環境の中に放出されてしまうわけですよね。それが共同溝の中の気温を上げる形になるのか、地熱を上げるのか、そこは分かりませんけれども、必ず町全体の温度を上げる一つの要素にはなるはずだと思うので、その点では、この問題もやはり環境に熱的に影響を与える問題として、私は放置できない問題だなというふうに思っているのです。細かい点はこの場では難しいかと思いますが、その点を指摘をしておきたいと思います。

 それから、やはり特別委員会の中ではいろいろと、再検討の方針の中で、ビルの屋上の緑化、それから臨海副都心の地域内の緑の増加などの対策や、浸透性の舗装とか低公害車の普及などの対策をとるというふうになっていたわけですが、その点での具体化がどこまで進んでいるのか、お聞きします。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 臨海副都心の公園緑地面積につきましては、臨海部全体の面積の約二六%ございます。これを一人当たりの公園緑地面積に直しますと、約十九平方メートルございます。この数値は、例えばロンドンの約十七平方メートル、パリの約十九平方メートルと比べて決して遜色のないものであると考えております。また、例えば東京都区部の計画一人当たり公園緑地面積と比較いたしますと、約三倍となっております。

  このほか緑化につきましては、臨海副都心地域における環境を良好に保つため、公園や道路の植樹帯の整備など、公共施設の緑化を積極的に進めるほか、民間建築物につきましても、建築計画に応じてビルの屋上、あるいは人工地盤上の緑化などを指導してまいりたいと考えております。また、できる限り浸透可能な舗装構造とするなど、環境面にも配慮した道路整備を進めてまいります。さらに、地域内交通への低公害車の活用を進めることともしておるところでございます。

 

◯曽根委員 それで、進出がもう既に決まっている、または建設途中の民間のビルや第三セクターのビルなどで、屋上緑化などが具体化した例がありますか。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 現在建築中のタイム二十四、あるいは東京ヒューマニアエンタプライズ等の民間ビルにつきまして人工地盤の緑化が具体化しております。また、台場地区の住宅等につきましても人工地盤の緑化を具体化することといたしております。

 

◯曽根委員 この見直しの方針の緑化の問題では、臨海の地域内についての緑化という点では、いろいろと努力をされているというのはわかるわけですが、臨海地域内だけでの緑化対策や、それから緑をふやすなどの対策だけでは済まない大きな環境への影響があるだろうといわれているわけです。一昨年の特別委員会の際にも、私たちは、一つはヒートアイランド問題としてこの問題を取り上げました。最近、環境科学研究所が新宿御苑周辺について、飛行船を飛ばして、飛行船から地表の温度をはかる、これは赤外線ですかね、カメラを使って地表の温度を測定した。測定を実際行ったのは九〇年、非常に暑かった年の七月ごろだったというふうに聞いておりますが、それによると、ビルだとか建物などの表面は大体四十度以上五十度、またはそれ以上になることもあると。夏場ですね。それに対して、樹林帯といいますか、木が繁っているところ、これが大体二十五度程度の地表温度になっていると。芝生だとか人工の緑、また屋上の緑化した部分というのは、残念ながら樹林帯ほどの気温を下げる効果がなくて、地表の温度でいうと、大体三十度以上になってしまうというふうにいわれているわけですね。

 こういうデータが出されているように、屋上の緑化というのは、水分を植物が発散させるという点で、蒸散効果により気温を下げるという効果は若干あるのですけれども、地表の温度が太陽の直射によって上がっていくのを抑える効果は、木が繁って木陰をつくることに比べると半分以下だろうというふうにこの中では分析をされているわけです。そういう点からも、臨海部を中心として、地表温度が上がり、その周辺の大気温が上がっていくという現象については、これは町全体が熱を発散していますから、抑えようがないといいますか、ある意味では、緑化だけでは到底抑えようがないというふうに見ざるを得ないと思うのですね。

 これは、環境庁の調査がご存じのようにありまして、ほぼ広域調査と同じ時期に行われたのですが、それによると、今の都心三区の中で、大体太陽一個分、約七十万ギガカロリーですか、一平方キロメートル当たり年間でそれぐらいの熱量を発散している。太陽が六十七万ぐらいだそうですから、太陽一個分余計に日照が当たっているというふうに見られているわけですね。それに対して臨海部開発については、大体百四十万ギガカロリーだろうと。これは太陽二個分で、つまり本当の太陽を加えると太陽の三倍ぐらいの日照が臨海部地域については当たるのと同じ熱が───というふうに予測を立てているわけです。これは残念ながら東京都が出したのじゃなくて、環境庁の方が研究結果を調査に基づいてやっているわけなんですが、これでいいますと、ヒートアイランド問題というのは、私は今都心で起きている、幾つか現象として指摘をされているヒートアイランドに比べても、さらに規模の大きい、また程度のひどいものが起きる可能性が強いのじゃないかと思うのですが、この点についての認識と、それから具体的な対策を考えていらっしゃるのかどうか、この点をお聞きしたい。

 

◯鈴木臨海部整備担当部長 ヒートアイランド現象につきましては、先生お話しの東京都の環境保全局の環境科学研究所で平成元年度から調査を進めておりまして、その中では、都心部の高温化、あるいは公園、緑地の気温低減効果ということが確認されていると聞いております。現在、これらの調査は引き続き進められているところでございますので、私どもといたしましては、その動向を見きわめて考えてまいりたいと思っております。

 

◯曽根委員 今、答弁の中にありました環境科学研究所の昨年の年次報告、私も読ませていただいたんですが、ヒートアイランド現象、つまり都心を中心に等温線がしま状になっていくという現象が起きる原因として、第一には、都市内での燃焼、いろんな形での熱の発散によるものと、同時に、二番目として、大気汚染による温室効果、これは炭酸ガスなどを含めてだと思います。それから三番目に、建物の影響による風速の減少に伴う顕熱輸送の減少、つまり熱が出てきたときに風が運んでくれるものが、拡散してくれるものが、建物があるために風がとまって、熱が拡散していかないという現象。それから、建物などの蓄熱効果。それから五番目に、緑地の減少、排水施設の整備に伴う蓄熱と、放熱の減少などが主なものだというふうに挙げられています。

 私、環境庁の研究と、この東京都の環境科学研究所のレポートを比べてみて、非常に気になった点は、環境庁の研究報告では、東京湾というのは広い海を抱えていて、これが都心を初めとして東京全域に対するいわば冷却効果を持っていると。海の上を風が通ってきて、都内に冷気を運んでくれることによるラジエーター効果があるというふうにいわれているわけで、この東京湾を大規模に埋め立てるとどうなるかという研究を環境庁はあわせてやっているわけですね。それによると、東京湾の約半分程度を埋め立ててしまうと、場合によってはヒートアイランド現象が大変ひどくなって、都心などでは温度が大体二度以上上がるかもしれないというふうに予測している。

  二度というのは少ないようですが、大体平均気温で二度上がるということは、東京が今の鹿児島ぐらいの温度になるということで、この百年間の間に東京都が平均気温が上がってきたのが二度ぐらいですから、百年間分を一気に上げるということになるわけです。

  これが、東京湾を埋め立てた場合の予測なんですが、臨海部開発の場合には、わざわざヒートアイランド現象を起こすまちを、都心部から東京湾の方に、改めてこちらに引き寄せてつくろうという計画ですから、そういう意味では、一つは、ヒートアイランドをまた新たに発生させて、東京湾からの風を抑えてしまうという危険性と、同時にもう一つは、物理的に、建物による、風を通りにくくするという現象によって、熱の拡散を抑えてしまうということで、二十三区、特に都心区域については、東京湾を埋め立てると同じような温度上昇の危険性があるんじゃないかというふうに、私などは非常に気になったわけなんです。

  この点については、まだまだ研究が途上という段階でありますけれども、しかし、都心の大気温の上昇を初めとして、大気汚染問題も含めて、環境問題はどういう点がこれから発生してくるのかという点、議会としても当然検討しなければならない課題であろうと思いますし、そのためにはどうしても担当の港湾局だけでは限界があるので、特別委員会を設置して、環境保全局や建設局、都市計画局などにも来てもらっての検討がどうしても必要であろうというふうに考えている。その点を指摘して、私の質問を終わります。

 

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