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94年12月9日住宅港湾委員会質問全文
都営住宅の新規建設の増加を要求

◯曽根委員 今回は、都営住宅の建設工事の請負契約の四つの議案が出されているわけですが、昨年度の一連の建設の請負契約の本数と比べて、今年度は、第二回定例会ではこうした請負契約の議案がなく、今回も四つという点で、昨年に比べても非常に着工が少ないのではないかという点で、ちょっと心配なわけなのですが、いずれにしても、今年度末もう一回定例会がありますので、予定されている千八百戸の建設は、少なくとも確実に行うように強く要望しておきたいと思います。
 それから、年間千八百戸の都営住宅がつくられるようになって、そろそろ三年ぐらいになろうかと思うのですが、かつての一万戸以上つくった時期に比べるとはるかに少ないとはいえ、一千戸を割った数しか建設できなかった期間が五年ほど続いて、その後、何とか千五百、千八百戸とふやしてきた経緯がありますが、ことしの新築の募集を見ますと、こうした都営住宅の建設戸数がここ数年ふえてきたにもかかわらず、募集戸数が余りふえていないという点が私は大変気にかかるわけです。
 それで最初に、ことしの十月の都の新築の公募、それから地元の割り当て分、それぞれ何戸、合計幾つ募集されているのか、お聞きします。

◯那須管理部長 去る十月に実施いたしました新築都営住宅の募集では、都の公募分が五百七十二戸、地元区市の公募分が四百七十八戸、合わせまして千五十戸を募集いたしました。

◯曽根委員 全体で千五十戸ということですが、いわゆる建てかえでつくったものではなくて、新規建設で建設した住宅の数というのは、千五十戸のうち何戸になるでしょうか。

◯那須管理部長 新規建築分は百三十戸でございます。

◯曽根委員 その百三十戸というのは、今千八百戸ぐらい新規建設でつくっているにもかかわらず、一割にも満たないわけで、非常に少ないと思うのですが、今回十月に募集している分というのは、向こう一年間に建物が完成して入居をしていくという分になるわけで、今でき上がっているものではないわけですよね。
 そうしますと、大体平成四年度から千五百戸以上の都営住宅がつくられてきているわけですから、そろそろ二年ないし、来年に入っていく分としますと三年ぐらいになるわけですから、それらが完成してでき上がってくれば、当然百三十戸というような数に公募が抑えられているという状況ではないはずだと思うのですが、こうした向こう一年間で完成してくる都営住宅の数が、百三十戸ですべてなのか。それともほかに回っていて、合計でどれぐらいの数が新規建設で公募などに回ってくることになるのか、その合計数を教えてください。

◯那須管理部長 十月の新規募集では、ただいま先生ご指摘のように、今後おおむね一年間に建物が竣工いたしまして、入居可能となる住宅を見込みまして募集をしているところでございますけれども、新規に建設いたしました住宅すべてを公募しているわけではございません。
 新規に供給される住宅のうち、建てかえ事業等の受け皿として使用を予定される住宅につきましては、これを除いて公募しているところでございます。
 平成六年度について申し上げますと、公募は、先ほど申しましたように百三十戸でございましたけれども、新規供給の全体といたしましては二百八十六戸が見込まれてございます。同様に平成五年度は、公募は四百八十三戸でございましたけれども、新規の供給全体といたしましては六百九十七戸ございました。また平成四年度は、公募は四百十九戸でございましたけれども、新規の供給は千百六十戸見込んだところでございます。

◯曽根委員 新規の募集が百三十ですが、新規の供給という点では、向こう一年間二百八十六戸の見通しだと。百三十戸との差となります残る百五十六戸は、建てかえ事業などで使われる予定だということだと思いますが、それにしても極めて少ない数なわけですね。
 それから、今わざわざお答えいただきましたが、昨年が六百九十七戸、一昨年度は千百六十戸ということで、どういうわけか、着工戸数は年々ふえてきていたのに、この数年、新規に供給される戸数が年々減り続けている。
 それも極端に減っているという現象が起きているわけです。非常に奇異な感じがするわけですが、このように新規に建設されてきている数と大きく異なる数、少ない数しか供給されない、また、それが減ってきてしまっている主な原因は何でしょうか。

◯遠藤建設部長 一般的に新規で募集する住宅につきましては、おおむね募集年度の二年前に着手したものが中心になります。
 したがって、平成六年度の募集では、平成四年度に着工されました新規建設が中心となりますが、この年度の新規建設分につきましては、高層、超高層住宅が三年度以前に比べまして大幅にふえ、千五百四十二戸着工したうちの約千戸程度、これらが高層などの工期が長い関係上、その大部分が平成七年度以降の入居予定となるというのが主な理由でございます。

◯曽根委員 そうすると、平成四年度着工分は、今まででいえば、平成六年度ですから、そろそろことしの募集で反映されていいはずなんだが、そのうちの三分の二ぐらいが超高層住宅なので、もう一年か二年になりますかね、おくれるというようなことだと思うのですが、超高層住宅の問題については、私、昨年の本委員会でかなり詳しく意見を申し上げたところですけれども、きょうはくどくどやるつもりはありませんが、それにしても、せっかく着工戸数がふえたにもかかわらず、二年たっても出てこないという点では、やはりもう少しきちんと、着工したものが着実に、一定の年数がたてば、少なくともどんどん減り続けるようなことがないような供給ができるように、そういう面では調整をきちんと行う必要があるというふうに、この点は強く要望しておきたいと思います。
 それで、先ほどお話伺った千五十戸の募集戸数に対して、新規建設による供給が百三十戸としますと、残る分というのはどういうところから供給されたのでしょうか。

◯那須管理部長 十月の募集戸数千五十戸のうち、新規建設戸数百三十戸を除きます残りの九百二十戸につきましては、建てかえによる増加戸数分として受け入れさせていただきました。

◯曽根委員 建てかえ事業から九百二十戸回して、それで最終的には、十月の募集でいえば、去年が、都の募集が五百七十七で、ことしが五百七十二、地元割り当ても入れて、去年が千百十戸程度ですか、ことしが千五十戸。まあ何とか去年並みに近づけたという感じなのですが、しかしそれにしても、昨年は十月の新築募集以外に、五月にも七十一戸の新築募集があったわけですね。そういう点からいうと、やはり数は一割程度下がっているわけです。
 私は、建てかえ事業から、ことしのように九百二十戸、例年に比べるとかなり数を多く回すことができたという点で、辛うじてことし、新築募集は一千戸を上回る戸数が地元と都公募と両方出たのですが、これは本当に気をつけないと、やっぱり三万人以上の方が応募しているにもかかわらず、戸数がまた極端に減るというようなことがないようにしないといけないと思います。
 それで、建てかえ事業で、実際にはどの程度の戸数が建てかえの中で確保されているのか。この平成三年度から、数が出ております五年度までの三年間で見て、建てかえ事業で、もともと何戸のものを何戸に建てかえて、増加したのは何戸なのか、この三年間分について教えてください。

◯遠藤建設部長 まず、平成三年度について申し上げます。元戸数三千二百八十七戸に対しまして、建設戸数四千二百八十二戸でございまして、増加分は九百九十五戸でございます。
 四年度分につきましては、元戸数が三千三十六戸に対しまして、建設戸数三千六百十九戸、五百八十三戸の増でございます。五年度につきましては、元戸数二千八百九十戸に対しまして、建設戸数三千七百八十七戸でございまして、八百九十七戸の増でございます。

◯曽根委員 そうすると、毎年大体五百八十戸から九百戸以上、建てかえの中でふやしてきているわけですね。合計しますと、三年分だけでも二千四百七十五戸に増加分としてはなるわけで、平均して八百戸以上、建てかえ事業の中でもふえているわけです。
 そうすると、新規建設も着工がふえているし、建てかえ事業の中でも八百戸ずつ新たにつくられてきているわけですから、来年度以降、これはぜひ新規建設の計画戸数の千八百戸、さらに建てかえで余剰分、これがどんどん公募に回るというふうに住宅局がきちんと取り組むべきだと思いますが、この辺の見通しはどうでしょうか。

◯遠藤建設部長 建てかえ事業を円滑に実施していくためには、建てかえによる余剰戸数のほか、新規建設の一部を事業用として活用していくことがどうしても必要でございます。
 しかしながら、ご指摘のように公募戸数を確保するということは非常に重要でございますので、今後とも建てかえ事業の進捗状況を見ながら、新規分も、また建てかえ余剰戸数につきましても、従来同様に、可能な限り公募に向けて努力してまいりたいというように考えております。

◯曽根委員 私どもは、都営住宅の建てかえ問題については、住民の皆さんのちゃんとした合意を得ることは当然ですけれども、促進の立場でやっております。
 当然、環境問題その他についてはクリアしなければなりませんがね。しかし、それにしても、今お話のあったように、建てかえ事業でこれまでは数はふやしてきました。これは主に木造とか簡易耐火住宅が今まで建てかえの対象としては中心でしたので、中層化するにしても、一定の数はふやせるという状況があったと思います。
 しかし、これからは中層住宅の建てかえに本格的に取り組むと思うので、建てかえの中で、今までほどに数が稼げるという状況ではなくなってくると思いますが、そういう点からも、新規建設の方にも、やはりさらに抜本的に力を入れていかなければならなくなるだろうという点では、今年度、先ほど申し上げたように着工戸数が今のところ非常に少ない。
 年度末に頑張ってもらわなければなりませんが、昨年度、この住宅建設のために新たに取得した用地が、これまでと比べて、計画どおり着工可能なほど確保されているのかどうか。その点での年度末に向けての見通しはどうなのでしょうか。

◯遠藤建設部長 平成五年度の用地取得は、平成四年度に比べまして約三・七ヘクタール程度減少しているところでございます。これにつきましては、合築推進等の計画を含めまして、計画戸数千八百戸の達成に向けまして努力しているところでございます。

◯曽根委員 必ず、少なくとも計画戸数はクリアしなければならないと思います。それから、バブルが崩壊した直後に、かなり土地の引き合いがあった時期に比べて、公営住宅建設用の用地の取得がなかなか厳しくなっているというふうにお聞きしていますが、住宅建設については、昨日も本会議でいろいろとご意見がありましたが、均等に各地域に確保していく上でも、用地の確保というのが最小限クリアしなきゃならない問題です。
 これについては、やはり今いろいろネックになっている高い地価の問題を、ありとあらゆる方法を駆使して、そこに建設していく、合築なども一つの方法なんですが、この決意を持って取り組まなければならないと思います。
 私たちは、年間一万戸以上の建設は当然必要だというふうに思っていますが、今後の公営住宅、都営住宅建設についての大量供給、この決意を改めてお聞きします。

◯村上住宅政策担当部長 都営住宅の建てかえ事業につきましては、居住水準の向上と土地の有効利用による供給戸数の増加を図ることを目的に行ってきているところでございまして、ご指摘のとおり、従前、中層住宅のような場合には、既にある程度の土地の利用がなされているということから、可能な限り建てかえに際して土地の有効利用を行いましても、従来のようには、戸数増が図れなくなることもあろうかと考えられるわけでございます。
 都営住宅入居への応募状況を考えますと、今後とも供給戸数の確保には努めていく必要があると考えておりまして、そのためには、必要な用地取得でありますとか公共施設との合築、まちづくりとの連動による住宅供給などに努めてまいりますとともに、国で現在制度化の動きが出てきております借り上げ方式でありますとか、定期借地権等による借地方式などの活用についても積極的に検討してまいる必要があると考えております。
 その一方で、見落としてはならないことに、現在の都営住宅に多くの収入超過者が居住しており、公営住宅法及び東京都営住宅条例に基づき明け渡し努力義務が課されていることがございます。 東京の住宅事情が厳しいことから、次に移りやすい、移り住みやすい状況をつくり出していく努力も行う必要がございますが、現に低所得の新規入居希望者が多数いることを考えますと、収入超過者の入居している住宅もストックとして活用していくことも、同時に、かつ総合的に考えて、都営住宅の供給のあり方を考えていくべきだと考えております。
 いずれにいたしましても、現在、東京都住宅政策審議会に、今後の住宅政策のあり方をお諮りしているところでございまして、都営住宅の今後の供給と管理についてもご検討いただき、その審議の結果を踏まえて、適切に対処していくことが必要と考えております。

◯曽根委員 今、お聞きした以外のいろんなことをおっしゃったので、最後に私も意見を申し上げておきますが、今住んでいる居住者の収入超過者の問題とか、こういったことはこれまでさんざん議論してきました。
 私たちは、当然収入に応じて住むべき公共住宅がきちんと提供される条件があれば、収入超過の方、高額認定の方、それはやっぱりスムーズにちゃんと都営住宅を明け渡して、それぞれふさわしい公共住宅に移っていける、そういう条件を整備するのが東京都の責任だというふうに思うんですよ。
 しかし、現に今一万三千人以上の高額認定の方はどこに行けばいいという――公共住宅がないわけですから。そういうことを一方的におっしゃるのは、全く不当なものであるというふうに(「一方的じゃないよ、そんなもの」と呼ぶ者あり)これは私の方からの意見として申し上げておきます。  大体、私は建設問題を聞いているのに、そうしたことも絡めてお答えになったので、あえてここで意見として申し上げておきますが、大量建設というのは、ことしも三万三千人ですか、申し込みがあるように、まず供給が先なんですよ。
 その上で、ほかの公共住宅の大量供給と合わせて、その中で初めて調整ができる余裕ができてくるわけで、数が全く足りないところでは調整しようにも調整できないというのが、実際に仕事をしていらっしゃる住宅局の職員の方々も実感しているところだと思います。
 そういう点では、私たちは供給戸数は今の千八百でも決して十分ではない、一万戸以上の建設が当面、応募戸数、応募総数が数十倍の規模になっている以上は必要だということを、またあえて繰り返しになりますが、いっておきたいと思います。  終わります。

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